【課題】被着体に容易に貼り付けることができるとともに、被着体を汚さずに被着体から容易に剥がすことができ、更に、被着体に貼り付けて情報表示体とする際に地図情報を保護したり追加情報を付加したりすることが可能な、情報シートを提供する。
【解決手段】第1の樹脂層を含み且つ面2Bに情報4を有する不透明フィルム層2と、第2の樹脂層を含み且つ不透明フィルム層の情報を有する面2Bとは反対の面2Aに吸着または粘着した透明フィルム層3と、を含む情報シート1である。
前記情報シートから前記第一の透明フィルム層を剥離し、前記第一の透明フィルム層を裏返して前記剥離により露わになった面を前記不透明フィルム層の前記情報を有する面の上に重ね合わせたときに前記一群の情報が認識できるように、前記不透明フィルムが有する情報と前記第一の付加情報が相互に関連づけて形成されている請求項8に記載の情報シート。
前記第一の透明フィルム層の前記不透明フィルム層側の面とは反対の面に設けられた第2の吸着層または第2の粘着層を有し、前記第一の透明フィルム層の前記不透明フィルム層側の面が前記第1の吸着層または前記第2の粘着層に貼着している請求項4に記載の情報シート。
第1の樹脂層の一の面に設けられた第1の粘着層または第1の吸着層、および第2の樹脂層の一の面に設けられた第2の粘着層または第2の吸着層のいずれかの粘着層または吸着層の上に、剥離層を積層する工程と、前記第1の粘着層または前記第1の吸着層および前記第2の粘着層または前記第2の吸着層のうち前記剥離層が積層されていない粘着層または吸着層が設けられた樹脂層を、その粘着層または吸着層の表面が前記剥離層に接するように前記剥離層の上に積層する工程と、前記第1の樹脂層の前記第1の粘着層または前記第1の吸着層が設けられた面とは反対の面側に情報を付与する工程と、
を含む情報シートの製造方法。
第1の樹脂層の一の面に設けられた第1の粘着層または第1の吸着層の上に、一の面に第2の粘着層または第2の吸着層が設けられた第2の樹脂層を、その第2の粘着層または第2の吸着層が設けられた面とは反対の面が前記第1の粘着層または前記第1の吸着層に接するように積層する工程と、
前記第2の粘着層または前記第2の吸着層の前記第2の樹脂層に接する面とは反対の面に剥離層を積層する工程と、
前記第1の樹脂層の前記第1の粘着層または前記第1の吸着層が設けられた面とは反対の面側に情報を付与する工程と、
を含む情報シートの製造方法。
前記第二の樹脂フィルム層が第三の透明フィルム層であり且つ前記第二の透明フィルム層との吸着面とは反対の面に第三の付加情報を付加することができる請求項20に記載の貼着シート。
前記樹脂フィルム層の前記情報を有する面とは反対の面に設けられた第1の吸着層または第1の粘着層を有し、前記第1の吸着層または前記第1の吸着層を介して前記樹脂フィルム層が前記被着体に貼着している請求項22に記載の情報表示体。
前記第一の透明フィルム層の前記樹脂フィルム層側の面に設けられた第2の粘着層または第2の吸着層を有し、前記第2の吸着層または前記第2の粘着層を介して前記第一の透明フィルム層が前記樹脂フィルム層に貼着している請求項24に記載の情報表示体。
前記他の透明フィルム層が、樹脂フィルム層側の面とは反対の面側に静電気によって吸着または再貼着可能な吸着層または透明粘着層を介して第一の透明フィルム層に接着した請求項28に記載の情報表示体。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0014】
本発明の情報シートは、第1の樹脂層を含み且つ一の面に情報を有する不透明フィルム層と、第2の樹脂層を含み且つ前記不透明フィルム層の前記情報を有する前記一の面とは反対の面に吸着または粘着した第一の透明フィルム層と、を含む。また、本発明の情報表示体は、被着体と、第1の樹脂層を含み且つ一の面に情報を有し且つ他の面において被着体と吸着または粘着している樹脂フィルム層と、第2の樹脂層を含み且つ前記樹脂フィルム層の前記情報を有する前記一の面上に吸着または粘着した第一の透明フィルム層と、を含む。
本発明において「吸着」とは、吸引力により一方の物と他方の物が互いに付着することをいい、「粘着」とは、粘着剤を介して一方の物と他方の物が互いに付着することをいう。吸着を生じる吸引力は、特に制限されないが、例えば静電吸引力、負圧吸引力、磁気吸引力等を挙げることができる。以下において、静電吸引力、負圧吸引力または粘着剤を吸着に用いる情報シートを代表例として本発明の構成を説明する。なお、以下の説明では、静電吸引力を用いる情報シートを「静電吸着情報シート」といい、負圧吸引力を用いる情報シートを「負圧吸着情報シート」といい、粘着剤を用いる情報シートを「粘着情報シート」ということがある。
【0015】
[層構造]
(静電吸着情報シート)
本発明の情報シートの一例として静電吸着情報シートについて図を用いて説明する。
図1は、本発明を適用した静電吸着情報シートの積層構造を示す断面図である。
図1に示すように静電吸着情報シート1は、不透明フィルム層2と、第一の透明フィルム層3と、を含む積層体を有している。不透明フィルム層2の一の面(面2B)上には、情報4が付与されている。
図1に示すように、不透明フィルム層2は、単独の樹脂層(第1の樹脂層)のみで形成されていてもよいし、別途樹脂層上に記録層を設けて前記記録層に情報4を有する態様としてもよい。
不透明フィルム層2は、情報4を有する面2Bとは反対の面(剥離面2A)において第一の透明フィルム層3の一の面(剥離面3A)と静電気によって吸着(静電吸着)している。
図1に示すように、第一の透明フィルム層3は、単独の樹脂層(第2の樹脂層)のみで形成されていてもよいし、複数の樹脂層等から構成される多層構造であってもよい。
【0016】
図1に示すように、静電吸着情報シート1の両面(
図1における面2Bおよび面3B)は非帯電となっている。静電吸着情報シート1は、使用前は外部に静電吸着力を発現しないため、特に製造過程においてロールへの貼り付きやシート同士のブロッキング等のトラブルが発生し難く、ハンドリング性が良好であり、また、多様な印刷方式に対応できる。
【0017】
こうした静電吸着情報シート1は、第1の樹脂層および第2の樹脂層のいずれか一方の樹脂層の一の面に帯電処理を施す工程と、第2の樹脂層および第2の樹脂層を、帯電処理を施した樹脂層の帯電させた面と帯電処理を施していない樹脂層の一の面とを向い合せて積層し、互いに静電吸着させる工程と、第1の樹脂層の第2の樹脂層との吸着面とは反対の面側に情報を付与する工程とによって製造することができる。樹脂層に用いる樹脂材料および組成、帯電処理の方法、樹脂層の積層方法、情報を付与するための印刷方法については後述する。
【0018】
次に、本発明を適用した静電吸着情報シートの使用方法について説明する。
図2は、本発明を適用した静電吸着情報シートの使用方法を説明するための断面図である。上述のように静電吸着情報シート1を被着体に吸着させる際には、まず
図2に示すように静電吸着情報シート1から第一の透明フィルム層3を剥離する。
図2に示すように、不透明フィルム層2の剥離面2Aと、第一の透明フィルム層3の剥離面3Aとは、両面ともに静電気によって帯電している。不透明フィルム層2の剥離面2Aは、情報表示体とする際に被着体に吸着させる面となる。また、第一の透明フィルム3の剥離面3Aは、不透明フィルム層2を被着体に吸着させて情報表示体とする際に、不透明フィルム層2の情報4上に吸着させる面となる。第一の透明フィルム層3は、情報シート1を情報表示体とする際に情報4を保護するための保護膜として機能させることができる。
【0019】
(粘着情報シート)
次に、本発明の情報シートの他の例として粘着情報シートについて図を用いて説明する。
図3は、本発明を適用した粘着情報シートの積層構造の一例を示す断面図である。
図3に示すように粘着情報シート11は、不透明フィルム層12と、第1の粘着層13と、剥離層14と、第2の粘着層15と、第一の透明フィルム層16と、を含む積層体を有している。不透明フィルム層12の一の面(面12B)上には、情報4が付与されている。
この粘着情報シート11では、不透明フィルム層12の情報4を有する面12Bとは反対の面12Aに第1の粘着層13が設けられており、第一の透明フィルム層16の不透明フィルム層12側の面16Aに第2の粘着層15が設けられている。そして、第1の粘着層13は不透明フィルム層12に接する面とは反対の面(剥離面13A)において剥離層14に粘着しており、第2の粘着層15は第一の透明フィルム層16に接する面とは反対の面(剥離面15A)において剥離層14に粘着している。これにより、不透明フィルム層12の面12Aと第一の透明フィルム層16の面16Aは、第1の粘着層13と剥離層14と第2の粘着層15を介して互いに粘着している。
図3に示すように、不透明フィルム層12は、単独の樹脂層(第1の樹脂層)のみで形成されていてもよいし、別途樹脂層上に記録層を設けて前記記録層に情報4を有する態様としてもよい。また、第一の透明フィルム層16は、単独の樹脂層(第2の樹脂層)のみで形成されていてもよいし、複数の樹脂層等から構成される多層構造であってもよい。
【0020】
こうした粘着情報シート11は、第1の樹脂層の一の面に設けられた第1の粘着層13および第2の樹脂層の一の面に設けられた第2の粘着層15のいずれか一方の粘着層の上に、剥離層14を積層する工程と、第1の粘着層13および第2の粘着層15のうち剥離層14が積層されていない方の粘着層が設けられた樹脂層を、その粘着層の表面が剥離層に接するように剥離層の上に積層する工程と、第1の樹脂層の第1の粘着層13に接する面とは反対の面側に情報4を付与する工程とによって製造することができる。樹脂層に用いる樹脂材料および組成、粘着層13、15に用いる粘着剤および組成、樹脂層の積層方法、情報4を付与するための印刷方法については後述する。
【0021】
次に、
図3に示す粘着情報シートの使用方法について説明する。
図4は、
図3に示す粘着情報シートの使用方法を説明するための断面図である。粘着情報シート11を被着体に粘着させる際には、まず
図4(a)に示すように、情報シート11の第1の粘着層13から、剥離層14と第2の粘着層15と第一の透明フィルム層16からなる積層体を剥離することにより、不透明フィルム層12と第一の透明フィルム層16を分離する。分離された不透明フィルム層12の情報を有する面12Bとは反対の面12Aには第1の粘着層13が設けられている。この第1の粘着層13の剥離面13Aは、情報表示体を構成する際に、不透明フィルム層12を被着体に粘着させる面となる。次に、
図4(b)に示すように、第一の透明フィルム層12に設けられた第2の粘着層15から剥離層14を剥離する。この第2の粘着層15の剥離面15Aは、情報表示体を構成する際に、第一の透明フィルム層16を不透明フィルム層12の情報4上に粘着させる面となる。第一の透明フィルム層16は、情報シート11を情報表示体とする際に情報4を保護するための保護膜として機能させることができる。
【0022】
次に、本発明を適用した粘着情報シートの他の例について説明する。
図5は、本発明を適用した粘着情報シートの積層構造の他の例を示す断面図である。
図5に示すように情報シート17は、不透明フィルム層12と、第1の粘着層13と、第一の透明フィルム層16と、第2の粘着層15と、剥離層14と、を含む積層体を有している。不透明フィルム層12の一の面(面12B)上には、情報4が付与されている。
この粘着情報シート17では、不透明フィルム層12の情報4を有する面12Bとは反対の面12Aに第1の粘着層13が設けられている。そして、第1の粘着層13の不透明フィルム層12と接する面とは反対の面(剥離面13A)に、第一の透明フィルム層16の一の面16Aが粘着している。これにより、不透明フィルム層12の面12Aと第一の透明フィルム層16の面16Aは、第1の粘着層13を介して互いに粘着している。また、第一の透明フィルム層16の不透明フィルム層12側の面16Aとは反対の面16Bには第2の粘着層15が設けられており、第2の粘着層15の第一の透明フィルム層16に接する面とは反対の面(剥離面15A)には、剥離層14が積層されている。これにより、第2の粘着層15の剥離面15Aにゴミ等が付着するのが防止される。
図5に示すように、不透明フィルム層12は、単独の樹脂層(第1の樹脂層)のみで形成されていてもよいし、別途樹脂層上に記録層を設けて前記記録層に情報4を有する態様としてもよい。また、第一の透明フィルム層16は、単独の樹脂層(第2の樹脂層)のみで形成されていてもよいし、複数の樹脂層等から構成される多層構造であってもよい。
【0023】
こうした粘着情報シート17は、第1の樹脂層の一の面に設けられた第1の粘着層13の上に、一の面に第2の粘着層15が設けられた第2の樹脂層を、その第2の粘着層15が設けられた面とは反対の面が第1の粘着層13に接するように積層する工程と、第2の粘着層15の第2の樹脂層に接する面とは反対の面に剥離層14を積層する工程と、第1の樹脂層の第1の粘着層13が設けられた面とは反対の面側に情報4を付与する工程とによって製造することができる。樹脂層に用いる樹脂材料および組成、粘着層13、15に用いる粘着剤および組成、樹脂層の積層方法、情報4を付与するための印刷方法については後述する。
【0024】
図5に示す粘着情報シート17の使用方法について説明する。
図6は、
図5に示す粘着情報シート17の使用方法を説明するための断面図である。この粘着情報シート17を被着体に粘着させる際には、まず
図6(a)に示すように、粘着情報シート17の第1の粘着層13から第一の透明フィルム層16と第2の粘着層15と剥離層14からなる積層体を剥離することにより、不透明フィルム層12と第一の透明フィルム層16とを分離する。分離された不透明フィルム層12の情報を有する面12Bとは反対の面12Aには第1の粘着層13が設けられている。この第1の粘着層13の剥離面13Aは、情報表示体を構成する際に、不透明フィルム層12を被着体に粘着させる面となる。次に、
図6(b)に示すように、第一の透明フィルム層16に設けられた第2の粘着層15から剥離層14を剥離する。この第2の粘着層15の剥離面15Aは、情報表示体を構成する際に、第一の透明フィルム層16を不透明フィルム層12の情報4上に粘着させる面となる。第一の透明フィルム層16は、情報シート17を情報表示体とする際に情報4を保護するための保護膜として機能させることができる。
【0025】
(負圧吸着情報シート)
次に、本発明の情報シートのさらに他の例として負圧吸着情報シートについて説明する。負圧吸着情報シートの積層構造としては、第1の粘着層13の代わりに第1の吸着層が不透明フィルム層12に設けられ、第2の粘着層13の代わりに第2の吸着層が第一の透明フィルム層16に設けられ、これら吸着層と、これら吸着層に接する層とが負圧により吸着していること以外は、上記の粘着情報シート11、17と同様の積層構造を採用することができる。また、その製造方法および使用方法についても、第1の粘着層13および第2の粘着層15が第1の吸着層および第2の吸着層であり、粘着の代わりに負圧による吸着であること以外は、上記の粘着情報シート11、17の製造方法および使用方法と同様であり、これらについての説明を参照することができる。
負圧を発現する吸着層としては多孔質層を用いることができる。例えば、多孔質層に、第一の透明フィルム層や剥離層、樹脂フィルム層、被着体等を圧接させると、多孔質層の各孔部内の空気が一部排気されて各孔部内が負圧状態になる。これにより、これらの物が多孔質層に負圧により吸着される。多孔質層の材料や組成については、後述する。
以上のような、本発明の情報シートは、壁面、ガラス面、柱、掲示板、ロッカー、書棚等の被着体に吸着させて情報表示体とする前の態様であり、例えば、出荷時、搬送時、販売時等に好適な態様である。
【0026】
(情報表示体)
本発明の情報表示体の一例について説明する。
図7は、本発明の情報表示体の積層構造例を示す断面図である。
図7において
図1および
図2と共通する部材については同様の符号を付しその説明を省略する。
図7に示すように、情報表示体は、樹脂フィルム層2’と第一の透明フィルム層3とを含む積層体10が被着体5上に静電吸着した構造を有している。樹脂フィルム層2’は第1の樹脂層を含むものであり、樹脂フィルム層2’の一の面(面2B)には情報4が付与されている。そして、樹脂フィルム層2’の情報4を有する面(面2B)上に、第一の透明フィルム層3の剥離面3Aが静電吸着している。本発明の情報表示体における樹脂フィルム層2は、透明であっても不透明であってもよく、本発明の情報シートにおける不透明フィルム層を含む概念である。このため、樹脂フィルム層2’を構成する第1の樹脂層は、不透明フィルム層を構成する第1の樹脂層と同じであってもよい。
【0027】
このため、
図7の情報表示体は、例えば、上述のように第一の透明フィルム層3を不透明フィルム層2から剥離した後、静電気によって帯電している不透明フィルム層2の剥離面2Aを被着体5に吸着させ、更に、静電気によって帯電している第一の透明フィルム層3の剥離面3Aを不透明フィルム層2の情報4上に吸着させることによって作製することができる。情報4は、面3B側より観察することで第一の透明フィルム層3を介して視認することができる。
図7の情報表示体では、情報4が第一の透明フィルム層3によって保護されている。また、積層体10は静電気によって被着体5に吸着しているため、情報表示体としての役割を果たした後に被着体5から剥がして回収する際に、被着体5側に糊が残ってしまったり、表面の塗装が剥れたりすることなく、容易に剥離させることができる。また、積層体10の最外面である第一の透明フィルム層3の面3Bは静電気によって帯電させていないため、静電気によるゴミ等の付着を抑制することができる。
【0028】
本発明の情報表示体の他の例について説明する。
図8は、本発明の情報表示体の積層構造の他の例を示す断面図である。
図8において
図3〜
図6と共通する部材については同様の符号を付しその説明を省略する。
図8に示すように、情報表示体は、第1の粘着層13と、樹脂フィルム層12’と、第2の粘着層15と、第一の透明フィルム層3とを含む積層体20が被着体5上に粘着した構造を有している。樹脂フィルム層12’は第1の樹脂層を含むものであり、樹脂フィルム層12’の一の面(面12B)には情報4が付与されている。そして、樹脂フィルム層12’の情報4を有する面(面12B)上に、第一の透明フィルム層16の一の面16A(または16B)が第2の粘着層15を介して粘着している。本発明の情報表示体における樹脂フィルム層12’は、透明であっても不透明であってもよく、本発明の情報シートにおける不透明フィルム層を含む概念である。このため、樹脂フィルム層12’を構成する第1の樹脂層は、不透明フィルム層を構成する第1の樹脂層と同じであってもよい。
【0029】
こうした情報表示体は、例えば、
図3および
図5に示す本発明の情報シート(粘着情報シート)11、17を用いることにより製造することができる。
情報表示体を製造するには、まず粘着情報シート11、17の第1の粘着層13から、剥離層14と第2の粘着層15と第一の透明フィルム層16からなる積層体を剥離することにより、不透明フィルム層12と第一の透明フィルム層16を分離した後、不透明フィルム層12に設けられた第1の粘着層13の剥離面13Aを被着体5に粘着させる。更に、第一の透明フィルム層16に設けられた第2の粘着層15から剥離層14を剥離し、その第2の粘着層15の剥離面15Aを不透明フィルム層12の情報4上に粘着させることによって作製することができる。ここで、情報シートとして
図3に示す粘着情報シート11を用いた場合には、第一の透明フィルム層16の各面16A、16Bのうち、粘着情報シート11において、不透明フィルム層12側とは反対側にあった面16Bが情報表示体の外側の面(樹脂フィルム側の面とは反対の面)を構成する態様になる。また、情報シートとして
図5に示す粘着情報シート17を用いた場合には、第一の透明フィルム層16の各面16A、16Bのうち、粘着情報シート17において、不透明フィルム層12側にあった面16Aが情報表示体の外側の表面(樹脂フィルム層12’側の面とは反対の面)を構成する態様になる。
情報4は、第一の透明フィルム層16の樹脂フィルム層12’側の面とは反対の面16B(または16A)側より観察することで、第一の透明フィルム層16を介して視認することができる。
図6の情報表示体では、情報4が第一の透明フィルム層16によって保護されている。
【0030】
また、本発明の情報表示体は、
図8に示す情報表示体において、第1の粘着層13の代わりに第1の吸着層が設けられ、第2の粘着層15の代わりに第2の吸着層が設けられており、各吸着層が発現する負圧により、第1の吸着層が被着体が吸着し、第2の吸着層が不透明フィルム層の情報上に吸着している情報表示体であってもよい。こうした情報表示体は、
図3または
図5に示す粘着情報シートにおいて、第1の粘着層13の代わりに第1の吸着層が設けられ、第2の粘着層15の代わりに第2の吸着層が設けられた負圧情報シートを用い、
図3または
図5に示す粘着情報シートを用いる場合と同様の工程により製造することができる。こうした情報表示体では、積層体が負圧によって被着体に吸着しているため、情報表示体としての役割を果たした後に被着体から剥がして回収する際に、被着体側に糊が残ってしまったり、表面の塗装が剥れたりすることなく、容易に剥離させることができる。
【0031】
本発明の情報表示体の製造方法は、上記に説明した方法に限定されるものではなく、同様の構造を有するものであれば特に製造方法は限定されるものではない。例えば、本発明の情報表示体は、本発明の情報シート以外の情報シートと透明フィルム層を有する透明貼着シートを用いることで製造してもよいし、本発明の情報シートと、本発明の情報シート以外の情報シートや透明貼着シートを組み合わせて製造してもよい。
本発明の情報シート以外の情報シートとしては、樹脂層を含み、一の面に情報を有するとともに他の面が吸着または粘着を発現する吸着面または粘着面となるように構成された樹脂フィルム層と、樹脂フィルム層の吸着面または粘着面に積層された剥離層とを含む情報シートを挙げることができる。樹脂フィルム層は、透明であっても不透明であってもよい。また、透明貼着シートとしては、樹脂層を含み、一の面が吸着または粘着を発現する吸着面または粘着面となるように構成された透明フィルム層と、透明フィルム層の吸着面または粘着面に積層された剥離層とを含む透明貼着シートを挙げることができる。
ここで、本発明の情報シート以外の情報シートおよび透明貼着シートにおける「吸着」および「粘着」の定義と具体例については、本発明における「吸着」および「粘着」の定義と具体例についての説明を参照することができる。
【0032】
本発明の情報シート以外の情報シートと透明貼着シートを用いて情報表示体を製造するには、情報シートの樹脂フィルム層から剥離層を剥離した後、露出した吸着面または粘着面を被着体5に吸着または粘着させる。更に透明貼着シートの透明フィルム層から剥離層を剥離した後、露出した吸着面または粘着面を樹脂フィルム層の情報上に吸着または粘着させることによって情報表示体を製造することができる。
【0033】
また、本発明の情報シートと、本発明の情報シート以外の情報シートを用いて情報表示体を製造するには、本発明の情報シート以外の情報シートの樹脂フィルム層から剥離層を剥離した後、露出した吸着面または粘着面を被着体5に吸着または粘着させる。更に本発明の情報シートから上記の手順で第一の透明フィルム層、もしくは第2の吸着層または第2の粘着層が設けられた第一の透明フィルム層を分離して吸着面または粘着面を露出させた後、その吸着面または粘着面を樹脂フィルム層の情報上に吸着または粘着させることによって情報表示体を製造することができる。
【0034】
また、本発明の情報シートと、本発明の情報シート以外の透明貼着シートを用いて情報表示体を製造するには、本発明の情報シートから上記の手順で不透明フィルム層、もしくは第1の吸着層または第1の粘着層が設けられた不透明フィルム層を分離し、吸着面または粘着面を露出させた後、その吸着面または粘着面を被着体5に吸着または粘着させる。更に透明貼着シートの透明フィルム層から剥離層を剥離した後、露出した吸着面または粘着面を不透明フィルム層の情報上に吸着または粘着させることによって情報表示体を製造することができる。
【0035】
もっとも、本発明の情報シート以外の情報シートや透明貼着シートを用いる場合、1つの情報表示体を製造する毎に、2枚の剥離層が手元に残るのに対して、本発明の情報シートを用いれば、手元に残る剥離層が1枚で済む。このため、本発明の情報シートによれば、剥離体の回収や運搬して処理する手間を軽減することができ、無駄になる資材を削減することができるという効果を得ることができる。
【0036】
また、
図7および
図8においては、第一の透明フィルム層3、16を一層のみ使用した態様について説明したが、本発明は前記態様に限定されることなく、
図9および
図10に示すように、第一の透明フィルム層3、16の樹脂フィルム層側の面とは反対の面3B、16B(または16A)側に他の透明フィルム層6を有していてもよい。
図9および
図10において、他の透明フィルム層6の面4Aと第一の透明フィルム層3、16の面3B、16B(または16A)とは静電吸着をしていてもよいし、静電吸着以外の吸着をしていてもよいし、粘着または接着をしていてもよい。また、他の透明フィルム層6の第一の透明フィルム層3、16側ではない面(面4B)には第二の付加情報が付加されていてもよい。他の透明フィルム層6の面4Bには、1層以上のさらに他の透明フィルム層を同様に積層することが可能である。このとき積層する各透明フィルム層には、それぞれ付加情報が付加されていてもよい。
前記他の透明フィルム層は、単独で用意した片面を静電気によって帯電させた透明フィルムや片面に吸着層または粘着層18が設けられた透明フィルムであってもよいし、貼着シートから剥離した透明フィルム層であってもよい。貼着シートから剥離した透明フィルム層として、第3の樹脂層を含み、一の面に第二の付加情報を付加することができる第二の透明フィルム層と、第4の樹脂層を含み且つ前記透明フィルム層の前記第二の付加情報を付加することができる前記一の面とは反対の面に吸着または粘着した第二の樹脂フィルム層と、を含む貼着シートから剥離した前記第二の透明フィルム層を例示することができる。
【0037】
[付加情報]
(第一の付加情報)
図7および
図8における情報表示体は、第一の透明フィルム層3、16の樹脂フィルム層2’、12’(不透明フィルム層2、12)側の面とは反対の面に第一の付加情報を有していてもよい。前記第一の付加情報は、
図7および
図8における情報表示体を形成した後に、面3B、16B(または16A)上に付与してもよいし、
図1および
図3における情報シート1、11の状態で、不透明フィルム層2、12側の面(面3B、面16B)上に付加しておいてもよい。また、
図5における情報シート17の状態で、不透明フィルム層12側の面とは反対の面(面16A)上に付加しておいてもよい。また、前記付加情報は、前記情報と重ね合わせた際に一群の情報となることが好ましい。第一の透明フィルム層3、16への付加情報の付与は後述する印刷、マーカー、ラベル、付箋紙等を用いて行うことができる。
【0038】
前記第一の付加情報について
図11を用いて説明する。ここでは、情報シートが
図1に示す静電吸着情報シートであり、情報表示体が
図7に示す情報表示体である場合を例にして説明するが、本発明の他の情報シート(例えば、
図3および
図5に示す粘着情報シートや負圧吸着情報シート等)や本発明の他の情報表示体についても、同様の手法により同様の情報および付加情報を付与することができる。
図11は、本発明における情報と第一の付加情報との関係を示す説明図である。ここで、
図11(A)は、第一の付加情報を有する情報シート1を面3B側から観察した説明図であり、
図11(B)は、情報シート1を面2B側から観察した説明図である。更に、
図11(C)は、第一の付加情報を有する積層体10を有する情報表示体を面3B側から観察した説明図である。
図11(A)、(B)に示すように、情報シート1は、第一の透明フィルム層の不透明フィルム層との吸着面とは反対の面3B上に第一の付加情報7(八分音符)が付与されており、不透明フィルム層の一の面2B上に情報4(五線譜)が付与されている。
【0039】
図11において、第一の付加情報7は、情報と重ね合わせた際に一群の情報となるように設計されている。
図11(B)に示すように、情報シート1の不透明フィルム層の面2B上には、情報4が形成されている。情報シート1から不透明フィルム層を剥離し被着体に吸着させ、剥離した第一の透明フィルム層を不透明フィルム層に形成された情報上に吸着させて
図7における積層体10を形成すると、
図11(C)に示すように、積層体10の第一の透明フィルム層は、樹脂フィルム層(不透明フィルム層)との吸着面とは反対の面3Bに第一の付加情報7を有することとなる。積層体10を形成した場合、面3B側から第一の透明フィルム層を介して情報4を観察すると、情報4に重ねて積層体10の面3B上に形成された第一の付加情報7が表示されることとなる。
図11(C)に示すように第一の付加情報7は情報4と重ね合わせた際に一群の情報8として表示される。例えば、共通の情報4を使用しつつ、第一の付加情報7を変更することで積層体10の設置者、位置、設置時期等の状況に合わせた情報表示体とすることができる。
剥離した第一の透明フィルム層を不透明フィルム層の情報上に重ねる態様は特に制限されない。例えば
図1や
図3に示す情報シート1、11では、剥離した第一の透明フィルム層は裏返して不透明フィルム層に重ねることになるが、裏返す際には任意の軸を中心に180°回転させることができる。例えば、剥離した第一の透明フィルム層が長辺と短辺を有する場合は、その長辺を軸として180°回転させた状態にしてもよいし、短辺を軸として180°回転させた状態にしてもよい。また、剥離した第一の透明フィルム層に存在する対称軸を軸として180°回転させた状態にしてもよい。一方、
図5に示す情報シート17では、剥離した第一の透明フィルム層は裏返さずに不透明フィルム層に重ねることになるが、重ねる際には、不透明フィルムに対する向きを変えずに重ねてもよいし、面内で180°回転させた状態にしてもよいし、面内で90°回転させた状態にしてもよい。第一の付加情報が使用時において非可変情報である場合、いずれかの態様で回転することを予め決めておいて、重ねたときに一群の情報が表示されるように、情報と第一の付加情報を相互に関連づけて付与しておくことが好ましい。ここで「第一の付加情報が使用時において非可変情報である場合」には、情報シート1を用いて情報表示体を作製して表示させるまでの間に第一の付加情報を変更することができない場合と、第一の付加情報を変更することが可能であっても変更しない場合が含まれる。付加情報の変更には、情報の付加と削除と改変が含まれる。また、第一の付加情報が使用時において可変情報である場合、重ねたときに一群の情報が表示されるように、マーカー、ラベル、付箋紙等の方法を用いて変更可能な情報を付与することが好ましい。
【0040】
本発明の情報表示体における樹脂フィルム層と被着体は、それぞれ透明の材料で構成してもよい。そうすることによって、情報4や第一の付加情報7を情報表示体の奥にある背景とともに視認することができるようになる。また、情報表示体の情報4や第一の付加情報7を、積層体10側からだけでなく、被着体5側からも視認することができるようになる。例えば、透明ガラス製や透明樹脂製のウィンドウを被着体として選択し、ウィンドウの内側に積層体10を形成すれば、ウィンドウの内側と外側の両方から情報4と第一の付加情報7を視認することができる。情報表示体を被着体5側から見せることを意図する場合は、情報4が第一の付加情報7の前面に表示されることになるため、第一の付加情報7を調整することによって情報の背景を変えやすくなる。
本発明における情報と第一の付加情報の組み合わせは、重ね合わせることにより一群の情報となるものであれば、特に制限されない。例えば、下記表1に情報と第一の付加情報の組合せの具体例を挙げる。
【0042】
(第二および第三の付加情報)
本発明において、樹脂フィルム層の一の面に有する情報の上に第一の付加情報を重ねて得られた情報表示体の第一の付加情報の上に、さらに第二の付加情報を重ねることができる。加えて、第二の付加情報の上にさらに第三の付加情報を重ねることができる。
第3の樹脂層を含み、一の面に第二の付加情報を付加することができる第二の透明フィルム層と、第4の樹脂層を含み且つ前記透明フィルム層の前記第二の付加情報を付加することができる前記一の面とは反対の面に吸着または粘着した第二の樹脂フィルム層とを含む貼着シートを準備し、該貼着シートから前記第二の透明フィルム層を剥がすことによって、前記第二の付加情報を有する第二の透明フィルム層を得ることができる。こうして得た第二の透明フィルム層を、樹脂フィルム層の一の面に有する情報の上に第一の付加情報を重ねて得られた積層体の第一の付加情報の上にさらに積層することにより、情報と第一の付加情報と第二の付加情報を重ねた情報表示体を得ることができる。
また、前記貼着シートの前記第二の樹脂フィルム層が第三の透明フィルム層である場合には、該貼着シートから前記第二の透明フィルム層を剥がして残った第三の透明フィルム層として前記第三の付加情報を得ることができる。こうして得た第三の付加情報を有する第三の透明フィルム層を、情報の上に第一の付加情報と第二の付加情報を重ねて得られた積層体の第二の付加情報の上にさらに積層することにより、情報と第一の付加情報と第二の付加情報と第三の付加情報を重ねた情報表示体を得ることができる。
ここで、前記第二の付加情報および第三の付加情報の内容は例えば前記第一の付加情報で列記されているものの中から選択できるが、前記第一の付加情報と同じである必要はない。
第二の付加情報または第三の付加情報が使用時において非可変情報である場合、重ねたときに一群の情報が表示されるように、情報と第二の付加情報または第三の付加情報を相互に関連づけて付与しておくことが好ましい。
また、前記第二の付加情報または第三の付加情報は変更可能な情報であってもよい。
以下において、本発明の情報シートに用いられる各部材について説明する。
【0043】
[不透明フィルム層]
本発明の情報シートを構成する不透明フィルム層は、第1の樹脂層を含み且つ一の面に情報を有する。本発明において不透明フィルム層とは、不透明度が50〜100%の層を意味する。不透明度が50%以上であれば、ラベルとして使用した際に、被着対象物の着色や絵柄・模様が透けて見えることがないという利点がある。前記不透明フィルム層の不透明度は、好ましく60〜100%であり、より好ましくは70〜100%である。本発明における不透明度は、JIS−P−8138に準拠し、測定背面に、黒色および白色標準板を当て、光の反射率の比(黒色板/白色板)を百分率で示した値で表示される。
尚、本発明の情報表示体の樹脂フィルム層も、本発明の情報シートにおける不透明フィルム層と同様の構成とすることができる。但し、本発明の情報表示体における樹脂フィルム層は、不透明度が50〜100%であるものに限定されるものではなく、不透明度が50%未満であってもよい。即ち、本発明の情報表示体における樹脂フィルム層に用いられる樹脂としては、第1の樹脂の同様の樹脂や後述する透明フィルム層に用いられる第2の樹脂と同様の樹脂を用いることができる。
【0044】
不透明フィルム層は、種々の被着体に貼り付け表示することが可能である。例えば、不透明フィルム層が静電吸着力により被着体に貼り付けられるものである場合、情報表示体として使用する際に静電吸着力が高く、静電吸着力の持続性も充分で長期に亘り表示使用することができ、静電吸着力が湿度に影響され難く、且つ使用後は被着体を汚さずに容易に剥がすことができることが好ましい。上述のように不透明フィルム層はその片面に記録層を備えることができる。
【0045】
不透明フィルム層の厚みは20〜500μmであることが好ましく、25〜400μmであることがより好ましく、30〜200μmであることが更に好ましく、40〜150μmであることが特に好ましい。不透明フィルム層の厚みが20μm以上であると、不透明フィルム層を被着体に貼り付ける際にシワが入りづらく、上手く貼り付けやすい。また、不透明フィルム層の厚みが500μm以下であると不透明フィルム層の自重が大きくなりすぎず、静電吸着力やその他の吸着力、粘着力で自重を保持できずに被着体から落下してしまうのを防止することができる。
【0046】
[第1の樹脂層]
本発明における第1の樹脂層は、不透明フィルム層を構成するものである。不透明フィルム層が静電吸着力により被着体に貼り付けられるものである場合、第1の樹脂層は、さらに帯電処理を施すことによって内部に電荷を保持し、その静電吸着力によって不透明フィルム層を表示物として被着体に貼り付けることを可能にするものである。
本発明の第1の樹脂層は熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。特に、静電吸着力により貼り付けられる不透明フィルム層の第1の樹脂層として、絶縁性の優れた熱可塑性樹脂を使用することにより、内部に蓄積した電荷を保持しやすく好ましい。
【0047】
第1の樹脂層に用いる熱可塑性樹脂の種類は特に制限されず、以下において例示する樹脂を適宜用いることができる。これらの樹脂は、特に静電吸着力により貼り付けられる不透明フィルム層の第1の樹脂層に好適に用いることができる。具体的には、第1の樹脂層の樹脂として、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、プロピレン系樹脂、ポリメチル−1−ペンテン等のポリオレフィン系樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン等の官能基含有ポリオレフィン系樹脂、ナイロン−6、ナイロン−6,6等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやその共重合体、ポリブチレンテレフタレート、脂肪族ポリエステル等の熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン等を使用することができる。これらの熱可塑性樹脂の中では、絶縁性と加工性に優れるポリオレフィン系樹脂、官能基含有ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂のより具体的な例としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキセン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、メチル−1−ペンテンなどのオレフィン類の単独重合体、及び、これらオレフィン類2種類以上からなる共重合体が挙げられる。
【0048】
官能基含有ポリオレフィン系樹脂のより具体的な例としては、前記オレフィン類と共重合可能な官能基含有モノマーとの共重合体が挙げられる。かかる官能基含有モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン類、酢酸ビニル、ビニルアルコール、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ブチル安息香酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類、アクリル酸、メタクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メタロール(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリル酸エステル類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、フェニルビニルエーテルなどのビニルエーテル類が特に代表的である。これら官能基含有モノマーの中から必要に応じ1種類もしくは2種類以上を適宜選択し共重合したものを用いることができる。
更にこれらポリオレフィン系樹脂及び官能基含有ポリオレフィン系樹脂を必要によりグラフト変性し使用することも可能である。
【0049】
グラフト変性には公知の手法が用いることができ、具体的な例としては、不飽和カルボン酸またはその誘導体によるグラフト変性が挙げられる。該不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げることができる。また、上記不飽和カルボン酸の誘導体としては、酸無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩等も使用可能である。具体的には、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、イタコン酸ジエチルエステル、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、マレイン酸−N−モノエチルアミド、マレイン酸−N,N−ジエチルアミド、マレイン酸−N−モノブチルアミド、マレイン酸−N,N−ジブチルアミド、フマル酸モノアミド、フマル酸ジアミド、フマル酸−N−モノエチルアミド、フマル酸−N,N−ジエチルアミド、フマル酸−N−モノブチルアミド、フマル酸−N,N−ジブチルアミド、マレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム等が挙げられる。グラフト変性物は、グラフトモノマーをポリオレフィン系樹脂及び官能基含有ポリオレフィン系樹脂に対して、一般に0.005〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%グラフト変性したものである。
【0050】
これらの熱可塑性樹脂の中では、絶縁性と加工性に優れるポリオレフィン系樹脂、官能基含有ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。第1の樹脂層の熱可塑性樹脂としては、前記の熱可塑性樹脂の中から1種を選択して単独で使用してもよいし、2種以上を選択して組み合わせて使用してもよい。更にこれらポリオレフィン系樹脂の中でも、プロピレン系樹脂が、絶縁性、加工性、耐薬品性、コストの面等から好ましい。プロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体であり、アイソタクティックないしはシンジオタクティックおよび種々の程度の立体規則性を示すポリプロピレンや、プロピレンを主成分とし、これと、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンとを共重合させた共重合体を主成分として使用することが望ましい。この共重合体は、2元系でも3元系以上でもよく、またランダム共重合体でもブロック共重合体であってもよい。プロピレン系樹脂には、プロピレン単独重合体よりも融点が低い樹脂を2〜25質量%配合して使用することが好ましい。そのような融点が低い樹脂として、高密度ないしは低密度のポリエチレンを例示することができる。
【0051】
本発明における第1の樹脂層に使用する熱可塑性樹脂には、以下において例示する無機微細粉末および有機フィラーの少なくとも一方を添加したものであっても良い。無機微細粉末や有機フィラーの添加および後述の延伸工程により、第1の樹脂層内部に空孔を形成することが容易となる。第1の樹脂層における熱可塑性樹脂の配合量は、総量として50〜100質量%であることが好ましく、60〜100質量%であることがより好ましい。配合量が50質量%以上であれば、第1の樹脂層を成形しやすく、得られる第1の樹脂層中の熱可塑性樹脂に電荷を保持しやすい。
【0052】
無機微細粉末を添加する場合は、レーザー回折による粒度分布計で測定した平均粒径が通常0.01〜15μm、好ましくは0.1〜5μmのものを使用する。具体的には、炭酸カルシウム、焼成クレイ、シリカ、けいそう土、白土、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム、アルミナ、ゼオライト、マイカ、セリサイト、ベントナイト、セピオライト、バーミキュライト、ドロマイト、ワラストナイト、ガラスファイバーなどを使用することができる。
【0053】
有機フィラーを添加する場合は、第1の樹脂層の主成分である熱可塑性樹脂とは異なる種類の樹脂を選択することが好ましい。例えば、熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂である場合には、有機フィラーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン−6、ナイロン−6,6、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリメタクリレート等の重合体であって、ポリオレフィン系樹脂の融点よりも高い融点(例えば170〜300℃)ないしはガラス転移温度(例えば170〜280℃)を有し、かつ非相溶のものを使用することができる。
【0054】
第1の樹脂層には、必要に応じて熱安定剤(酸化防止剤)、光安定剤、分散剤、滑剤等を添加することができる。熱安定剤を添加する場合は、通常0.001〜1質量%の範囲内で添加する。具体的には、立体障害フェノール系、リン系、アミン系等の安定剤等を使用することができる。光安定剤を使用する場合は、通常0.001〜1質量%の範囲内で使用する。具体的には、立体障害アミン系やベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系の光安定剤等を使用することができる。分散剤や滑剤は、例えば無機微細粉末を分散させる目的で使用する。使用量は通常0.01〜4質量%の範囲内にする。具体的には、シランカップリング剤、オレイン酸やステアリン酸等の高級脂肪酸、金属石鹸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸ないしはそれらの塩等を使用することができる。
【0055】
第1の樹脂層の肉厚は、20〜500μmであることが好ましく、より好ましくは30〜400μmの範囲であり、更に好ましくは40〜300μmである。第1の樹脂層の肉厚が20μm以上であると、第1の樹脂層単体を取り扱う際に、帯電により手等に貼り付きにくく作業性を向上させることができる。また、被着体に貼り付けた際にシワになりにくく外観性に優れる。また、肉厚が500μm以下であると第1の樹脂層の自重が大きくなりすぎず、静電吸着力で自重を保持できずに被着体から落下してしまうのを防止することができる。
【0056】
[多層化]
第1の樹脂層は、2層構造、3層以上の多層構造のものであってもよく、この多層構造の延伸軸数が1軸/1軸、1軸/2軸、2軸/1軸、1軸/1軸/2軸、1軸/2軸/1軸、2軸/1軸/1軸、1軸/2軸/2軸、2軸/2軸/1軸、2軸/2軸/2軸であっても良い。第1の樹脂層の多層化により耐電圧性能の向上や、筆記性、耐擦過性、2次加工適性等の様々な機能の付加が可能となる。
第1の樹脂層を多層構造にする場合は公知の種々の方法が使用でき、以下において例示する方法を適宜用いることができる。 具体例としては、フィードブロック、マルチマニホールドを使用した多層ダイス方式と、複数のダイスを使用する押出しラミネーション方式等が挙げられる。又、多層ダイスと押出しラミネーションを組み合わせて使用することも可能である。
【0057】
[延伸]
第1の樹脂層は、少なくとも1軸方向に延伸された延伸樹脂フィルム層を含むことが好ましい。樹脂フィルム層の延伸は、通常用いられる種々の方法のいずれかによって行うことができる。
延伸の温度は、第1の樹脂層に主に用いる熱可塑性樹脂のガラス転移点温度以上から結晶部の融点以下の熱可塑性樹脂に好適な公知の温度範囲内で行うことができる。
具体的には、第1の樹脂層の熱可塑性樹脂がプロピレン単独重合体(融点155〜167℃)の場合は100〜166℃、高密度ポリエチレン(融点121〜136℃)の場合は70〜135℃であり融点より1〜70℃低い温度である。また、延伸速度は20〜350m/分にするのが好ましい。
【0058】
延伸方法としては、ロール群の周速差を利用した縦延伸、テンターオーブンを使用した横延伸、縦延伸と横延伸を組み合わせた逐次2軸延伸、圧延、テンターオーブンとリニアモーターの組み合わせによる同時2軸延伸、テンターオーブンとパンタグラフの組み合わせによる同時2軸延伸などを挙げることができる。又、インフレーションフィルムの延伸方法としては、チューブラー法による同時2軸延伸を挙げることができる。
延伸倍率は特に限定されず、第1の樹脂層に用いる熱可塑性樹脂の特性等を考慮して適宜決定する。例えば、熱可塑性樹脂としてプロピレン単独重合体ないしはその共重合体を使用しこれを一方向に延伸する場合は、約1.2〜12倍、好ましくは2〜10倍であり、2軸延伸の場合には、面積倍率で1.5〜60倍、好ましくは4〜50倍である。その他の熱可塑性樹脂を使用し、これを一方向に延伸する場合は、1.2〜10倍、好ましくは2〜5倍であり、2軸延伸の場合には、面積倍率で1.5〜20倍、好ましくは4〜12倍である。
【0059】
このようにして得られる第1の樹脂層は、微細な空孔をフィルム内部に多数有するものであり、次式(1)で算出された空孔率が5〜60%であることが好ましく、10〜45%であることがより好ましい。空孔の存在により、樹脂フィルム内の界面数が増加し、内部に電荷を保持しやすくなる。これと空孔が存在しない樹脂フィルムとを比較すると内部に電荷を蓄積できる性能が向上することから、高湿な環境下でも吸着性能の低下が少ないものとなる。又、空孔による光拡散率の向上効果により、不透明度の高い第1の樹脂層を得ることが可能となる。
【数1】
【0060】
第1の樹脂層の情報を設けない面の表面抵抗率は、1×10
13〜9×10
17Ωの範囲であることが好ましい。前記表面抵抗率は、5×10
13〜9×10
16Ωの範囲であることがより好ましく、1×10
14〜9×10
15Ωの範囲であることが更に好ましい。表面抵抗率が1×10
13Ω未満になると、後述の帯電処理の際に電荷が表面を伝い逃げてしまうために、第1の樹脂層への電荷注入の効率が低下し帯電処理に過剰なエネルギーが必要となるか、或いは、帯電処理の効果が得られず静電吸着性能の低いものとなってしまう。一方、9×10
17Ωを超える場合は、第1の樹脂層の機能としては問題ないが、現在公知の物資を使用してこの様な高絶縁性の表面を形成することは困難であり、実現できたとしても高コストの為、現実的でない。 第1の樹脂層の記録層を設けない面の表面抵抗率を所望の範囲とすることは、熱可塑性樹脂として絶縁性に優れるポリオレフィン系樹脂を使用することや、これに配合する無機微細粉末の種類や量を調整することで達成できる。
【0061】
[記録層]
本発明の情報シートを構成する不透明フィルム層は、上述の不透明フィルム層の片面に記録層を設けることができる。前記記録層は、不透明フィルム層に帯電防止性能を付与することによって印刷工程でのトラブルを発生し難くしてハンドリング性を改善させるとともに、不透明フィルム層の印刷インキとの密着性を向上させて、その記録適性を向上させることができる。結果として本発明の情報シートは多様な印刷方式に対応することができる。前記記録層は、帯電防止剤0.1〜100質量%と高分子バインダー0〜99.9質量%と顔料粒子0〜70質量%を含むことが好ましく、帯電防止剤0.5〜70質量%と高分子バインダー30〜99.5質量%と顔料粒子0〜69.5質量%を含むことがより好ましく、帯電防止剤1〜50質量%と高分子バインダー50〜99質量%と顔料粒子0〜49質量%を含むことが更に好ましい。
記録層は、これら成分を含む塗工層として、第1の樹脂層上に直接塗工により設けるか、或いは予め別のフィルム上に記録層を形成して、これを第1の樹脂層にラミネートすることで形成することが好ましい。
【0062】
該帯電防止剤は、記録層に帯電防止性能を付与するために添加するものであり、例えば、ステアリン酸モノグリセリド、アルキルジエタノールアミン、ソルビタンモノラウレート、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルジフェニルエーテルスルフォン酸塩などに代表される低分子量有機化合物系の帯電防止剤、ITO(インジウムドープド酸化錫)、ATO(アンチモンドープド酸化錫)、グラファイトウィスカなどに代表される導電性無機充填剤、ポリチオフェン、ポリピーロイル、ポリアニリンなどの分子鎖内のパイ電子により導電性を発揮するいわゆる電子導電性ポリマー、そしてポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンジアミン等の非イオン性ポリマー系の帯電防止剤、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート四級化物等の第四級アンモニウム塩型共重合体、アルキレンオキシド基および/または水酸基含有ポリマーへのアルカリ金属イオン添加物等のアルカリ金属塩含有ポリマーに代表される帯電防止機能を有するポリマーなどが挙げられる。
【0063】
これら帯電防止剤はそれぞれ特性があり、低分子量有機化合物系の帯電防止剤は、環境湿度に帯電防止性能が大きく影響されやすく、ブリードアウトによる印刷インキ転移性の低下やインキ密着性の低下が発生するなどの欠点がある。導電性無機充填剤は少量の添加では充填剤同士が接触しないため帯電防止効果が充分に得られない欠点がある。又、導電性無機充填剤は充填剤同士が接触しあう程度の量を添加するとバインダー量が著しく低くなる為、インキの密着性と帯電防止効果を両立することが難しいという欠点がある。電子導電性ポリマーは共役系に由来する着色により一般的には黒色、緑色、或いは青灰色の着色が有り、これを用いれば優れた帯電防止効果は得られるものの、くすんだ色のラベルとなり印刷用原紙としては適さないなどの欠点がある。
帯電防止機能を有するポリマーは、インキの密着性、転移性への影響も小さく、着色も殆ど無いことから本発明の帯電防止機能を有するポリマーとして好ましい。
中でも、第四級アンモニウム塩型共重合体やアルカリ金属塩含有ポリマーは帯電防止性能が良好であり、環境湿度の帯電防止性能への影響が小さい為、より好ましい。
【0064】
(第四級アンモニウム塩型共重合体)
本発明で用い得る帯電防止機能を有するポリマーの一例として、第四級アンモニウム塩型共重合体よりなるマルチカチオン型水溶性ポリマーが挙げられる。該共重合体は、下記一般式(化1)で表される第四級アンモニウム塩型単量体構造単位(a)、下記一般式(化6)で表される疎水性単量体構造単位(b)、及びこれらと共重合可能な単量体からなる構造単位(c)を含有し、これら構造単位の重量割合を、(a):(b):(c)=30〜70:30〜70:0〜40(wt%)の範囲として、これらを共重合してなる第四級アンモニウム塩型共重合体である。
各構造単位(a)、(b)及び(c)の重量割合は、好ましくは35〜65:35〜65:0〜20(wt%)、特に好ましくは40〜60:40〜60:0〜10(wt%)である。
【0065】
(a)第四級アンモニウム塩型単量体単位
構造単位(a)を形成する第四級アンモニウム塩型単量体は、下記一般式(化1)で表されるアクリル酸乃至メタクリル酸のエステル乃至アミドである。該単位は構造内の2以上のカチオンにより該共重合体の帯電防止機能に寄与する成分である。該共重合体中の同成分が30重量%より少ないと、十分な帯電防止効果を与えることが出来ない。また70重量%を超えると過度に水溶性となり、高湿度条件下でべたつきの原因となる。
【0067】
上記式中、Aはオキソ基(−O−)または第2級アミン基(−NH−)、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数が2〜4のアルキレン基または下記一般式(化2)で表される2−ヒドロキシプロピレン基であり、R
3,R
4,R
5及びR
6は炭素数が1〜3のアルキル基、R7は炭素数が1〜10のアルキル基または炭素数が7〜10のアラルキル基、Xは塩素原子、臭素原子、または沃素原子、mは1〜3の整数を表わす。R
3,R
4,R
5及びR
6は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0069】
前記一般式(化1)で表される構造単位(a)を形成する第四級アンモニウム塩型単量体は、下記一般式(化3)で表されるジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、及びジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミン含有単量体を、下記一般式(化5)で表される3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド等の変性剤で、重合前に若しくは重合後に変性することによって得ることができる。
【0071】
上記式中、Aはオキソ基(−O−)または第2級アミン基(−NH−)、R
1は水素原子またはメチル基、R
2は炭素数が2〜4のアルキレン基または下記一般式(化4)で表される2−ヒドロキシプロピレン基であり、R
3,R
4は炭素数が1〜3のアルキル基を表わす。R
3とR
4は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0074】
上記式(化5)中、R
5及びR
6は炭素数が1〜3のアルキル基、R7は炭素数が1〜10のアルキル基または炭素数が7〜10のアラルキル基、Xは塩素原子、臭素原子、または沃素原子、mは1〜3の整数を表わす。R
5とR
6は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0075】
(b)疎水性単量体単位
構造単位(b)を形成する疎水性単量体は、下記一般式(化6)で表されるアクリル酸乃至メタクリル酸のエステルである。該単位は、該共重合体に親油性を付与するものであり、耐水性や印刷インキ転移性に寄与する成分である。印刷適性と帯電防止性の両立から、疎水性単量体との共重合が必要となる。ポリマー中の同成分が30重量%より少ないと、上記の効果が低下する。また70重量%を超えると相対的に帯電防止効果が低下する。
【0077】
上記式中、R
8は水素原子またはメチル基、R
9は炭素数が1〜30のアルキル基、炭素数が7〜22のアラルキル基、または炭素数が5〜22のシクロアルキル基を表わす。
上記一般式(化6)で表される構造単位を形成する単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0078】
(c)共重合可能な他の単量体単位
また、必要に応じて共重合に使用される、上記単量体(a)成分及び単量体(b)成分と共重合可能な他の単量体単位としては、下記一般式(化7)〜(化11)で表されるスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル等の疎水性単量体や、ビニルピロリドン、(メタ)アクリルアミド等の親水性単量体を挙げることができる。これらの単量体は第四級アンモニウム塩型共重合体中に構造単位(c)として好適に組み込むことができる。該単位は該共重合体の共重合を容易とし、また塗工液調整時の溶媒への溶解性を調整するものである。
【0084】
(共重合)
上記共重合体を得るための共重合方法としては、ラジカル開始剤を用いた、塊状重合、溶液重合、乳化重合等の公知の重合方法を採用することができる。これらの中で好ましい重合方法は溶液重合法であり、該重合は、各単量体を溶媒に溶解し、これにラジカル重合開始剤を添加して、窒素気流下において加熱攪拌することにより実施される。溶媒は水乃至はメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、セロソロブ等のアルコール類が好ましく、またこれらの溶媒を混合して使用してもよい。重合開始剤は、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリルなどのアゾ化合物が好適に用いられる。重合時の単量体固形分濃度は、通常10〜60重量%であり、重合開始剤の濃度は、単量体に対し通常0.1〜10重量%である。第四級アンモニウム塩型共重合体の分子量は、重合温度、重合時間、重合開始剤の種類及び量、溶剤使用量、連鎖移動剤等の重合条件により任意のレベルとすることができる。
本発明で用い得る第四級アンモニウム塩型共重合体の分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量が1千〜100万の範囲内であることが一般的であるが、1千〜50万の範囲が好ましい。
【0085】
(アルカリ金属塩含有ポリマー)
本発明で用い得る帯電防止機能を有するポリマーの別の一例として、アルカリ金属塩含有ポリマーが挙げられる。該共重合体は、下記一般式(化12)で表されるポリアルキレンオキシド化合物単量体構造単位(d)、上記一般式(化6)で表される疎水性単量体構造単位(b)、及びこれらと共重合可能な単量体からなる構造単位(c)を含有し、これら構造単位の重量割合を、(d):(b):(c)=1〜99:0〜99:0〜40(wt%)の範囲として、これらを共重合してなるアルカリ金属塩含有ポリマーである。
各構造単位(d)、(b)及び(c)の重量割合は、好ましくは20〜70:30〜80:0 〜20(wt%)、特に好ましくは30〜60:40〜70:0 〜10(wt%)である。
【0086】
(d)ポリアルキレンオキシド化合物単量体単位
構造単位(d)を形成するポリアルキレンオキシド化合物単量体は、下記一般式(化12)で表されるアクリル酸乃至メタクリル酸のエステルである。該単位は構造内のアニオン及びアルカリ金属イオンによりポリマー(C)の帯電防止機能に寄与する成分である。ポリマー中の同成分が1重量%より少ないと、十分な帯電防止効果を与えることが出来ない。また99重量%を超えると過度に水溶性となり、高湿度条件下でべたつきの原因となる。
【0088】
上記式中、R
10は水素原子またはメチル基、R
11は水素原子、塩素原子、またはメチル基、Aは下記の<1群>から選択される1種の連結基か、下記の<1群>から選択される1種以上の連結基と下記の<2群>から選択される1種以上の連結基とが交互に結合した連結基か、または単結合を表し、Mはアルカリ金属イオン、nは1〜100の整数を表す。
<1群>置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキレン基、
置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリーレン基、
<2群>−CONH−、−NHCO−、−OCONH−、−NHCOO−、
−NH−、−COO−、−OCO−、−O−、
【0089】
<1群>の炭素数1〜6のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基が挙げられ、これらは直鎖状であっても分枝状であってもよいが好ましいのは直鎖状である。置換基としては、ヒドロキシル基、アリール基などが挙げられる。炭素数6〜20のアリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基などが挙げられる。置換基としては、ヒドロキシル基、アルキル基などが挙げられる。アルキル基が置換したアリーレン基としては、トリレン基、キリリレン基などが挙げられる。
また、<2群>から選択される連結基としては、ウレタン基やエステル基を好ましく選択することができる。
【0090】
<1群>から選択される1種以上の連結基と<2群>から選択される1種以上の連結基とが交互に結合した連結基としては、「(1群から選択される連結基)−(2群から選択される連結基)」で表される連結基や、「(1群から選択される連結基)−(2群から選択される連結基)−(1群から選択される連結基)−(2群から選択される連結基)」で表される連結基などが挙げられる。後者の場合は、2種類の(1群から選択される連結基)は互いに同一であっても異なっていてもよく、また、2種類の(2群から選択される連結基)は互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0091】
上記一般式(化12)において、nが2以上であるとき、n個のR
11は同一であっても異なっていてもよいが、好ましいのは同一である場合である。nは1〜100の整数を表すが、2〜50が好ましく、3〜50がより好ましい。例えば、R
11が水素原子の場合、nを10〜35、さらには15〜30、さらには20〜25の範囲内から選択したり、R
11がメチル基の場合、nを1〜20、さらには3〜16、さらには5〜14の範囲内から選択したりしてもよい。
【0092】
上記一般式(化12)において、Mはアルカリ金属であり、Li、Na、Kなどを挙げることができ、イオン半径の小さいLiを用いることが導電性の観点で好ましい。
本発明において好適に用い得るポリアルキレンオキシド化合物単量体の例としては、例えば、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)クロロエチレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレートなどの(ポリ)アルキレンオキシド(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、これらの具体例において、さらに上記一般式(化12)のAに相当する箇所に単結合以外の連結基を有するアルキレンオキシドモノマーも挙げられる。例えば、Aにウレタン結合を有する化合物として、特開平09−113704号公報に記載される化合物を使用することができる。
【0093】
Mに相当するアルカリ金属を導入する方法は、特に制限されないが、通常はアルキレンオキシドモノマーにアルカリ金属塩を反応させて水酸基末端をイオン化することによりアルカリ金属イオンによるイオン導電性を持たせることができる。本発明において好適に用い得るアルカリ金属塩の例としては、リチウム、ナトリウムまたはカリウムの過塩素酸塩、またはこれらの塩化物、臭化物、ヨウ化物、チオシアン化物等の無機塩が挙げられる。これら無機塩を上記ポリアルキレンオキシド化合物単量体に添加してアルコキシド化することによりアルカリ金属イオンによるイオン導電性を得ることができる。又、特開平09−113704公報には、式1のAにウレタン結合を持ったアルキシド化合物が提案されている。
【0094】
本発明に用い得るアルカリ金属イオンとしては、前述のリチウム、ナトリウム、カリウム、を用いることが出来るが、中でもイオン半径の小さいリチウムが最適である。本発明の塗工層にはアルカリ金属イオン濃度として、好ましくは0.01〜1.00重量%、より好ましくは0.01〜0.70重量%、更に好ましく0.01〜0.50重量%となる様に帯電防止機能を有するポリマーを添加することが望ましく、アルカリ金属イオン濃度が0.01重量%未満では、十分な帯電防止効果が得られず、1.00重量%を超えると帯電防止効果は得られるものの金属イオンの増加から印刷インキとの密着性が低下してしまう。
【0095】
(共重合)
本発明で用い得るアルカリ金属塩含有ポリマーは、上記一般式(化12)で表されるポリアルキレンオキシド化合物単量体構造単位(d)と、上記一般式(化6)で表される疎水性単量体構造単位(b)と、これらと共重合可能な上記一般式(化7)〜(化11)等の単量体構造単位(c)とを共重合させることにより製造することができる。
このアルカリ金属塩含有ポリマーの製造方法は、特に制限されず、公知の重合手法を単独乃至組み合わせて適宜用いることができるが、前出の第四級アンモニウム塩型共重合体と同様、ラジカル開始剤を用いた、塊状重合、溶液重合、乳化重合等の公知の重合方法を採用することが好ましい。
【0096】
これらの中でより好ましい重合方法は溶液重合法である。具体的には、窒素気流下において、原料として用いるポリアルキレンオキシド化合物単量体構造単位(d)、疎水性単量体構造単位(b)、共重合可能な単量体構造単位(c)等のモノマーを不活性有機溶媒、例えば、n−ヘキサン、n−ブタノール、2−プロパノール、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノエチルエーテル等、に溶解し、これにラジカル重合開始剤を添加した後に、通常65〜150℃に加熱しながら攪拌することにより実施される。重合時間は通常1〜24時間に設定する。重合時の単量体固形分濃度は通常10〜60重量%であり、重合開始剤の濃度は単量体に対し通常0.1〜10重量%である。アルカリ金属塩含有ポリマーの分子量は、重合温度、重合時間、重合開始剤の種類及び量、溶剤使用量、連鎖移動剤等の重合条件により任意のレベルとすることができる。
【0097】
共重合に用いる重合開始剤は、脂溶性であることが好ましく、好適な重合開始剤として有機過酸化物、アゾニトリル等が挙げられる。有機過酸化物には、アルキルパーオキシド(ジアルキルパーオキシド)、アリールパーオキシド(ジアリールパーオキシド)、アシルパーオキシド(ジアシルパーオキシド)、アロイルパーオキシド(ジアロイルパーオキシド)、ケトンパーオキシド、パーオキシカーボネート(パーオキシジカーボネート)、パーオキシカーボレート、パーオキシカルボキシレート、ヒドロパーオキシド、パーオキシケタール、パーオキシエステル等が含まれる。アルキルパーオキシドとしては、ジイソプロピルパーオキシド、ジターシャリーブチルパーオキシド、ターシャリーブチルヒドロパーオキシド等が挙げられる。アリールパーオキシドとしては、ジクミルパーオキシド、クミルヒドロパーオキシド等が挙げられる。アシルパーオキシドとしては、ジラウロイルパーオキシド等が挙げられる。アロイルパーオキシドとしては、ジベンゾイルパーオキシド等が挙げられる。ケトンパーオキシドとしては、メチルエチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド等が挙げられる。アゾニトリルとしては、アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスイソプロピオニトリル等が挙げられる。
【0098】
本発明で用い得るアルカリ金属塩含有ポリマーの分子量は、ゲル・パーミエーション・
クロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量が1万〜100万の範囲内であることが好ましい。分子量が1万以上であれば、形成した塗工層から同ポリマーが染み出し難くなるため、十分な耐水性が得られやすい傾向がある。分子量が100万以下であれば、バインダー成分と混和しやすいため塗工欠陥が生じにくくなり均一な帯電防止効果が得られやすい傾向がある。
【0099】
本発明における記録層は、必要に応じて高分子バインダーを含んでいても良い。前記高分子バインダーは、記録層を設ける第1の樹脂層、或いは別のフィルムとの密着性を有し、かつ印刷インキとの密着性を向上させる目的から、適宜使用することができる。
高分子バインダーの具体例としては、ポリエチレンイミン、炭素数1〜12のアルキル変性ポリエチレンイミン、ポリ(エチレンイミン−尿素)、ポリ(エチレンイミン−尿素)のエチレンイミン付加物、ポリアミンポリアミド、ポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物、およびポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加物等のポリエチレンイミン系重合体、アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、ポリアクリルアミドの誘導体、およびオキサゾリン基含有アクリル酸エステル系重合体等のアクリル酸エステル系重合体、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等、加えて、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、尿素樹脂、テルペン樹脂、石油樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体樹脂、塩素化エチレン樹脂、塩素化プロピレン樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、ニトロセルロース樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体等が挙げられる。
【0100】
これらの高分子バインダーは、いずれか1種を単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。これらの高分子バインダーは有機溶剤または水に希釈または分散した様態で用いることができる。これらの中でも、ポリエーテルウレタン、ポリエステルポリウレタン、アクリルウレタンなどのウレタン樹脂、若しくはアクリル酸エステル共重合体が、前述のイオン性ポリマー系の帯電防止機能を有するポリマーとの相性(相溶性)がよく、混溶して塗料とした際に安定しており、塗工しやすく好ましい。
【0101】
本発明における記録層は、必要に応じて顔料粒子を含んでいても良い。記録層には0〜70質量%の範囲で顔料粒子を含むことが可能である。即ち70質量%以下の顔料粒子を含んでいても良く、含まなくても良い。
顔料粒子は、その吸油性による印刷インキの定着性向上、体質顔料として表面の風合いや光沢感向上、白色顔料として白色度向上、表面凹凸付与によるブロッキング防止性能向上、紫外線反射材として耐光性や耐候性向上、等の性能付与を考慮し適宜選択して使用できる。
【0102】
顔料粒子として、有機、無機の微細粉末が使用され、具体的な例としては、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、焼成クレイ、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、珪藻土、アクリル粒子、スチレン粒子、ポリエチレン粒子、ポリプロピレン粒子等を使用することができる。顔料粒子の粒子径は、好ましくは20μm以下のものであり、より好ましくは15μm以下のものである。顔料粒子の粒子径が20μmを超えると形成した塗工層から顔料粒子が脱落しやすくなり粉吹き現象が発生する。記録層中の顔料粒子含有量は、好ましくは0〜70重量%、より好ましくは0〜60重量%、更に好ましくは0〜45重量%の範囲である。顔料粒子の含有量が70重量%を超えると相対してバインダー樹脂が不足し、記録層の凝集力不足が発生して、印刷インキが剥離しやすい傾向にある。
【0103】
記録層は上記成分を含む塗工液を調製し、不透明フィルム層等の上に塗工し、これを乾燥、固化させて塗工層として設けることが可能である。塗工には、従来公知の手法や装置を利用することができる。
記録層はラミネートにより不透明フィルム層に設けることも可能である。この場合は、あらかじめ記録層を設けた別のフィルムを作成し、不透明フィルム層にこれをラミネート加工すればよい。ラミネート加工は、通常のドライラミネート、または溶融ラミネート等の手法により行うことができる。
不透明フィルム層への記録層の設置は、後述の帯電処理を実施する前に行うことが好ましい。記録層の持つ帯電防止性能により、帯電処理後であっても記録層面側の静電吸着力を抑止することが可能となる。
【0104】
本発明の記録層は帯電防止性能を有するものである。記録層表面の表面抵抗率は、1×10
-1〜9×10
12Ω、好ましく1×10
3〜9×10
11Ω、更に好ましくは1×10
6〜9×10
10Ωの範囲内に調整されている。
記録層の表面抵抗率が9×10
12Ωを超えてしまうと、不透明フィルム層が持つ静電吸着力を充分に抑止できずに、情報シートが印刷工程でロールへの貼り付きやシート同士のブロッキング等のトラブルが発生し易いものとなる場合がある。一方、記録層の表面抵抗率が1×10
-1Ωを下回った場合は、不透明フィルム層の静電吸着力が損なわれる恐れがあり、またこの様な高導電性を有する記録層を形成することは技術的に困難であるか、形成できたとしても、高コストとなってしまうことから、現実的ではない。
【0105】
記録層の膜厚は、0.01〜50μmであることが好ましく、0.05〜30μmであることがより好ましく、0.1〜10μmであることが更に好ましく、0.3〜8μmであることが特に好ましい。膜厚が0.01μmに満たない場合は、記録層の均一性を維持することが難しく、印刷インキの密着性が低下する可能性がある。一方50μmを超えてしまうと、記録層が重くなり不透明フィルム層の静電気による吸着力では、自重を支えることができず剥れ落ちやすくなってしまい、本発明の所期の性能を達成しづらい。
【0106】
[透明フィルム層]
(第一の透明フィルム層)
本発明の情報シートを構成する第一の透明フィルム層は、第2の樹脂層を含み且つ前記不透明フィルム層の前記情報を有する前記一の面とは反対の面に吸着または粘着されている。第一の透明フィルム層は、例えば不透明フィルム層に後述する帯電処理を施し、内部に電荷を蓄積した不透明フィルム層の第1の樹脂層と接触させて静電吸着により積層するものである。あるいは、不透明フィルム層に後述する粘着層や吸着層を設け、粘着層の粘着面または吸着層の吸着面を第1の樹脂層に粘着または吸着させて積層するものである。本発明において透明フィルム層とは、不透明度が50%未満の層を意味する。透明フィルム層の不透明度が50%を超えると、本発明の情報シートを情報表示体とした際に、透明フィルム層を介して情報を観察するのが困難となる。
また、本発明の情報シートを構成する第一の透明フィルム層が、上述する不透明フィルム層と同様の樹脂フィルムを含む場合には、これに帯電処理を施し、内部に電荷を蓄積した第一の透明フィルム層とした後に、不透明フィルム層の第1の樹脂層と接触させて静電吸着により積層して本発明の情報シートとすることもできる。
第一の透明フィルム層は、不透明フィルム層と同様に、その片面に帯電防止性能を持つことにより、不透明フィルム層と組み合わせた情報シートがその両面に帯電防止性能を持つように構成することができる。その結果、特に不透明フィルム層と第一の透明フィルム層との吸着に静電吸着力を用いる場合、積層体である情報シートは外部に静電吸着力を発現せずに、情報シートの運送、保管、印刷等の取扱時に周囲への貼り付きや、情報シート同士のブロッキング等のトラブルが発生し難く、ハンドリング性が良好なものとなる。
【0107】
第一の透明フィルム層は、不透明フィルム層との吸着または粘着や、帯電防止性能の付与を考慮して公知の素材からなるものが、適宜選択される。
第一の透明フィルム層は、単層構成でもよく、2層以上からなる複層構成でも良い。特に、不透明フィルム層と第一の透明フィルム層との吸着に静電吸着力を用いる場合、上述の通り第一の透明フィルム層は、その片面が不透明フィルム層と接触させて静電吸着可能であり、またその反対面が帯電防止性能を持つように構成することから、複層構造を有することが好ましい。
【0108】
また、不透明フィルム層と第一の透明フィルム層との吸着に静電吸着力を用いる場合、第一の透明フィルム層は、下記のような特性を有することが好ましい。
まず、第一の透明フィルム層は、これらの材料から構成されることや、内部に空隙を形成する加工等により、その比誘電率が1.1〜5.0の範囲にあることが好ましい。不透明フィルム層と第一の透明フィルム層とを積層した際に、第一の透明フィルム層の比誘電率は、1.1〜5.0であることが好ましく、1.2〜4.0であることがより好ましく、1.5〜3.0であることが更に好ましい。第一の透明フィルム層の比誘電率が5.0以下であると、不透明フィルム層が長期間電荷を保持でき、静電吸着力が低下しにくくなる。一方、技術上の観点から比誘電率が1.1以上であることが好ましい。
【0109】
更に第一の透明フィルム層は、電荷の移動を少なくする観点から絶縁性が優れている樹脂から構成し、第一の透明フィルム層の不透明フィルム層と接する面の表面抵抗率が1×10
13〜9×10
17Ωの範囲であることが好ましい。前記表面抵抗率は、5×10
13〜9×10
16Ωの範囲であることがより好ましく、1×10
14〜9×10
15Ωの範囲であることが更に好ましい。表面抵抗率が1×10
13Ω以上であると、不透明フィルム層の電荷が同表面を伝って外部(大気中等)に逃げにくく、不透明フィルム層が長期間電荷を保持でき、静電吸着力が低下しにくくなる。一方、コストおよび技術上の観点から表面抵抗率が9×10
17Ω以下であることが好ましい。
【0110】
一方、第一の透明フィルム層は、その片面に帯電防止性能を持たせるといった目的から、情報シートの外層にくる面には帯電防止性能を付与することができる。
第一の透明フィルム層への帯電防止性能の付与は、不透明フィルム層に用いた前記記録層(B)と同様のものを設ける方法や、導電性塗料を塗工して導電層を設ける方法や、直接蒸着、転写蒸着、蒸着フィルムのラミネート等により金属薄膜を設ける方法、第一の透明フィルム層を構成する樹脂へ帯電防止剤を練り込む方法等が挙げられる。
【0111】
前記方法により、第一の透明フィルム層の情報シートの外層にくる面の表面抵抗率は1×10
-1〜9×10
12Ωの範囲内であることが好ましい。前記表面抵抗率は1×100〜9×10
11Ωの範囲であることが好ましい。
第一の透明フィルム層の情報シートの外層にくる面の表面抵抗率が9×10
12Ω以下であると、帯電防止性能が充分であり、情報シートの周囲への貼り付きや、情報シート同士のブロッキング等のトラブルが発生しにくい。一方、技術上の観点から表面抵抗率が1×10
-1Ω以上であることが好ましい。
第一の透明フィルム層の厚みは20〜500μmであることが好ましく、25〜400μmであることがより好ましく、30〜200μmであることが更に好ましく、35〜150μmであることが特に好ましい。
第一の透明フィルム層の厚みが20μm以上では、不透明フィルム層と静電吸着する面から第一の透明フィルム層の厚みを介して電荷が流出しにくく、不透明フィルム層の静電吸着力を高めることができる。また、前記厚みが逆に500μm以下であると、得られる情報シートも厚みをおさえることができ、印刷工程や断裁工程での作業性を向上させることができる。
【0112】
(第二および第三の透明フィルム層)
本発明の情報シートを構成する第二の透明フィルム層は、第3の樹脂層を含み且つ第二の樹脂フィルム層に吸着または粘着して貼着シートを構成している。第二の透明フィルム層は、第二の樹脂フィルムとの吸着または粘着や、静電吸着を用いる場合の帯電防止性能の付与を考慮して公知の素材からなるものが、適宜選択される。また、前記第二の樹脂フィルムは第三の透明フィルム層であってよい。第二および第三の透明フィルム層には前記第一の透明フィルム層と同様の材料を用いることができ、第二の透明フィルム層を含む貼着シートは情報シートと同様の製法、例えば特開2012−145935号公報に記載の方法で製造することができる。
【0113】
[帯電処理]
本発明の情報シートは、不透明フィルム層に帯電処理を施し、次いで第一の透明フィルム層と接触させて静電吸着させた積層体や、第一の透明フィルム層に帯電処理を施し、次いで不透明フィルム層に接触させて静電吸着させた積層体を含むものである。
帯電処理の手法としては、特に制限されず、公知の種々の方法にしたがって行なうことができる。例えば、不透明フィルム層を成形した後、不透明フィルム層の表面にコロナ放電やパルス状高電圧を加える方法や、不透明フィルム層の両面を誘電体で保持し、両面に直流高電圧を加える方法(エレクトロエレクトレット化法)、不透明フィルム層にγ線や電子線等の電離放射線を照射してエレクトレット化する方法(ラジオエレクトレット化法)等が挙げられる。
エレクトロエレクトレット化法のより具体的な例としては、直流高圧電源に繋がった印加電極とアース電極の間に不透明フィルム層または第一の透明フィルム層を固定する方法(バッチ式、
図12、13参照)か、又は通過させる方法(連続式、
図14、15参照)が望ましい。本手法を用いる場合の主電極は針状のものを等間隔で無数に配置するか金属ワイヤーを使用し、対電極には平な金属板か金属ロールを使用することが望ましい。
本発明において帯電処理は、直流式コロナ放電処理であることが好ましい。本発明において使用できる直流式コロナ放電処理とは、
図12〜15に例示するように針状やワイヤー状の主電極(印加電極)と平板状やロール状の対電極(アース電極)を直流高圧電源に繋げた装置を用い、対電極上に不透明フィルム層または第一の透明フィルム層を設置し、主電極と対電極の間に直流高電圧をかけることで発生するコロナ放電により、不透明フィルム層または第一の透明フィルム層に電荷を注入する処理である。
【0114】
主電極と対電極の間隔は1〜50mmが好ましく、2〜30mmがより好ましく、5〜20mmが更に好ましい。電極間が1mm未満では電極間距離を均一に保つことが難しく、幅方向に均一な帯電処理が得られない場合がある。一方、50mmを超えるとコロナ放電が発生し難くなり、不透明フィルム層または第一の透明フィルム層への帯電処理が不均一となる場合がある。
両極間に印加する電圧は、不透明フィルム層および第一の透明フィルム層の電気特性、主電極と対電極の形状や材質、主電極と対電極の間隔により決定されるものであるが、具体的には1〜100KVが好ましく、3〜70KVがより好ましく、5〜50KVが更に好ましく、10〜30KVが特に好ましい。主電極の極性はプラスでもマイナスでも良いが、主電極側をマイナス極性にした方が比較的安定したコロナ放電状態となるため好ましい。
主電極と対電極の材質は、導電性の物質から適宜選択されるが、鉄、ステンレス、銅、真鍮、タングステンなどの金属製またはカーボン製のものが好ましい。
これらの帯電処理によって不透明フィルム層または第一の透明フィルム層に導入される電荷の量は、処理時に主電極と対電極間に流れた電流量に依存する。該電流量は両電極間の電圧が高いほど多くなることから、印加電圧は不透明フィルム層または第一の透明フィルム層が絶縁破壊しない程度に高くに設定することが好ましい。
【0115】
不透明フィルム層への帯電処理は、好ましくは記録層を設けていない側の表面に、上記コロナ放電や高電圧を加える手法により行うことが好ましい。記録層は帯電防止性能を具備していることが好ましく、このような表面への帯電処理は、与えた電荷が記録層を介して周囲に散逸してしまう可能性が高く効果的ではない。記録層がアース側(金属板や金属ロール)に接している場合は、特にこのような問題は生じない。
本発明の情報シート、不透明フィルム層または第一の透明フィルム層は帯電処理後に除電処理を行うことも可能である。除電処理を行なうことにより、印刷工程、ラベル等への加工工程でのトラブルを回避することが可能である。係る除電処理とは電圧印加式除電器(イオナイザ)や自己放電式除電器など公知の手法を用いることができる。これら一般的な除電器は表面の電荷の除去はできるが、樹脂層内部に蓄積した電荷までは除去できない。したがって除電処理により不透明フィルム層または第一の透明フィルム層の静電吸着力が大きく影響を受けることはない。
【0116】
[吸着層]
本発明の情報シートは、第1の吸着層が設けられた不透明フィルム層と、第2の吸着層が設けられた第一の透明フィルム層とを、第1の吸着層の吸着面と第2の吸着層の吸着面とを向い合せ、剥離層を介して積層した積層体や、第1の吸着層が設けられた不透明フィルム層と、第2の吸着層が設けられた第一の透明フィルム層とを、第1の吸着層の吸着面と第一の透明フィルム層の第2の吸着層が設けらた面とは反対の面を向い合せて積層し、さらに第2の吸着層の吸着面に剥離層を積層した積層体を含むものである。
吸着層に用いる材料や組成については、例えば特開2004−174918号公報に記載の発泡樹脂層、特開2014−019753号公報に記載の自己吸着高分子、特開2014−151563号公報に記載の吸着層に用いられる材料や組成を適宜用いることができる。
【0117】
[粘着層]
本発明の情報シートは、第1の粘着層が設けられた不透明フィルム層と、第2の粘着層が設けられた第一の透明フィルム層とを、第1の粘着層の粘着面と第2の粘着層の粘着面とを向い合せ、剥離層を介して積層した積層体や、第1の粘着層が設けられた不透明フィルム層と、第2の粘着層が設けられた第一の透明フィルム層とを、第1の粘着層の粘着面と第一の透明フィルム層の第2の粘着層が設けらた面とは反対の面を向い合せて積層し、さらに第2の粘着層の粘着面に剥離層を積層した積層体を含むものである。
粘着層に用いる材料や組成については、特開2002−169470号公報に記載の粘着性ポリマーおよび架橋剤により架橋された粘着性ポリマー、特開平9−197972号公報に記載の再剥離性粘着剤層、特開2004−216098号公報に記載の粘着剤層、特開2009−275231号公報に記載の粘着剤層、特開2014−012808号公報に記載の粘着剤組成物に用いられる材料や組成を適宜用いることができる。
【0118】
[剥離層]
本発明の情報シートが第1の吸着層および第2の吸着層、または第1の粘着層または第2の粘着層を有する場合、これらの露出した表面(吸着面または粘着面)を保護する目的で、その吸収面または粘着面の上に剥離層が積層される。
剥離層としては、特に制限されないが、例えば上質紙やクラフト紙をそのまま、あるいは上質紙やクラフト紙にカレンダー処理、樹脂コート、フィルムラミネートをしたもの、またはグラシン紙、コート紙、プラスチックフィルム等のシリコーン処理を施したもの等を使用することができる。
【0119】
[積層]
本発明の情報シートは、これを構成する不透明フィルム層と第一の透明フィルム層とを接触させるか、これら2層を、吸着層または粘着層を介して積層した積層体を含むものである。両者の積層は、例えば
図16に示すように、第1の樹脂層(不透明フィルム層)を長尺の巻き取り(41)とし、これを巻き出しながら電極(45)、(46)間を通過させて帯電処理を行い、別に第2の樹脂層(第一の透明フィルム層)を長尺の巻き取り(42)としたものを巻き出し、両者を圧着ロール(49)で加圧接着することにより行うことができる。
また、例えば、第1の吸着層または第1の粘着層が設けられた不透明フィルム層と第一の透明フィルム層との積層は、
図16において電極(45)、(46)を除外した製造装置にを用い、2本の層同士の間に吸着層または粘着層が介在するようにして、ロール(48)、(49)の箇所で層同士を加圧接着することにより行うことができる。さらに、第1の吸着層または第1の粘着層が設けられた不透明フィルム層と剥離層の積層、第2の吸着層または第2の粘着層が設けられた第一の透明フィルム層と剥離層の積層も、この積層方法を応用して行うことができる。
【0120】
[印刷]
本発明の情報シートは、不透明フィルム層の一の面に情報を付与する場合、不透明フィルム層表面に印刷を施すことで情報を作製可能である。係る印刷としてはオフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、レタープレス印刷、スクリーン印刷、インクジェット記録方式、感熱記録方式、熱転写記録方式、電子写真記録方式等の従来公知の手法を用いることが可能であるが、デザインやサイズの変更が容易であるオフセット印刷、インクジェット記録方式が好ましい。更に印刷インキとしては、油性インキ、水性インキならびにUVインキが使用可能であるが、乾燥速度が速いUVインキが好ましい。
【0121】
[厚み]
本発明における厚みは、JIS−K−7130に準拠し、定圧厚さ測定器((株)テクロック製、「PG−01J」)を用いて測定した値である。成形した第1の樹脂層が多層構造である場合に、各層の厚みは、測定対象試料を液体窒素にて−60℃以下の温度に冷却し、ガラス板上に置いた試料に対してカミソリ刃(シック・ジャパン(株)製、「プロラインブレード」)を直角に当て切断し断面観察用の試料を作製し、得られた試料を走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製、「JSM−6490」)を使用して断面観察を行い、組成外観から熱可塑性樹脂組成物ごとの境界線を判別して、第1の樹脂層全体の厚みと観察される層厚み比率を乗算して求めた。
【0122】
[表面抵抗率]
本発明における表面抵抗率は、23℃、相対湿度50%の条件下で、表面抵抗率が1×10
7Ω以上の場合は、JIS−K−6911に準拠し2重リング法の電極を用いて測定した値である。表面抵抗率が1×10
7Ω未満の場合は、JIS−K−7194に準拠し、4深針法で測定することによって求めた抵抗(R)に、補正係数Fを乗じてこれを表面抵抗率とした。
【0123】
[水蒸気透過係数]
本発明におけるJIS−Z−0208に準拠して、カップ法により、40℃、90%RHの条件下にて測定した値である。得られた透湿度(g/(m
2・24hr))とフィルムの厚み(mm)から、水蒸気透過係数(g・mm/m
2・24hr)を求めた。本発明の情報シートに使用される不透明フィルム層の水蒸気透過係数は、好ましくは0.01〜2.50の範囲内であり、より好ましくは0.01〜2.00の範囲内である。水蒸気透過係数が2.50以下であると、高湿度下での帯電性の低下を抑制でき、不透明フィルム層の吸着性能を高めることができる。一方、水蒸気透過率が0.01以上の不透明フィルム層を用いると、吸着性能が高くすることができる。
【0124】
[ガーレ柔軟度]
本発明におけるガーレ柔軟度は、JAPAN TAPPI No.40:2000に準拠し、温度23℃湿度50%RHの環境下で、MD方向とTD方向それぞれを測定した値である。本発明における不透明フィルム層のガーレ柔軟度は、好ましくは5〜1000mgf、より好ましくは5〜700mgf、更に好ましくは5〜400mgfであり、第一の透明フィルム層のガーレ柔軟度は、好ましくは5〜10000mgf、より好ましくは5〜7000mgf、更に好ましくは5〜3000mgfである。不透明フィルム層のガーレ柔軟度が5mgf以上だと、腰が強く取り扱い性が高く、シワになりにくいため外観性を保ちやすい。また、1000mgf以下であると、腰が強すぎず、吸着力の持続性が高い。第一の透明フィルム層のガーレ柔軟度が5mgf以上だと、第一の透明フィルム層が掴みやすく、不透明フィルム層を剥がす際に切欠等を作りやすい。また、10000mgf以下であると、第一の透明フィルム層を変形しやすく情報シートの搬送性および取り扱い性が向上する。
【0125】
[比誘電率]
比誘電率の測定法は、測定周波数範囲により選定される。測定周波数が10Hz以下の場合には、超低周波ブリッジを用い、10Hz〜3MHzの場合には変成器ブリッジを用い、1MHzを越える場合には、並列T型ブリッジ、高周波シェリングブリッジ、Qメーター、共振法、定在波法、空洞共振法を用いる。又、測定周波数の交流信号に対して、回路部品に対する電圧・電流ベクトルを測定し、この値から静電容量を算出するLCRメーター等でも測定できる。
【0126】
第一の透明フィルム層の比誘電率を測定する測定装置としては、平行に配設した平板状印可電極と平板状ガード電極との間に試料を一定圧力で挟み込み、5V程度の電圧が印加でき、測定周波数が任意に選定できる測定装置が好ましい。このような測定機によれば、周波数を変更することにより、試料の周波数依存性が把握でき、適性使用範囲の指標にできる。試料は、できるだけ厚みが均一で表面が平滑なものが好ましい。表面状態が悪いと、試料と電極との間に空隙(空気層)が形成され、測定値に大きな誤差を与える。この場合、試料と電極との電気的接触を完全にするために、銀導電性塗料を塗工するか、真空蒸着することが好ましい。測定装置の具体例としては、Agilent Technologies社の「4192A LF IMPEDANCE ANALYZER」、横河電機(株)社の「LCRメーター4274A」、日置電機(株)社の「HIOKI 3522 LCRハイテスター」等が挙げられる。
【0127】
本発明の第一の透明フィルム層の比誘電率の測定には、Agilent Technologies社の「4192A LF IMPEDANCE ANALYZER」を使用し、温度23℃、相対湿度50%の環境条件下で、直径38mmの主電極と直径56mmの対電極との間に電極直径より大きい試料を表面抵抗率が高い面が主電極側になる様に挟み込み、5Vの電圧を印加し、10Hz〜1MHzの範囲の周波数で測定し、周波数100Hzの測定値を代表値とした。
【0128】
[被着体]
上述の記録物より、第一の透明フィルム層を剥がした不透明フィルム層よりなる表示物を吸着させる被着体としては、掲示版、看板、サインボード、ホワイトボード、壁、天井、柱、ドア、パーティション、床、ロッカー、机、棚、窓(ガラス製、樹脂製)、冷蔵庫(金属面、ガラス面、プラスチック面)、各種機器(工作機、印刷機、成形機等)、および車内(自動車、バス、電車)、船舶内、航空機内の壁面等を例示することができ、何れも利用可能である。特に被着体はその表面の平滑性が高い場合に本発明の情報シートとの密着面積が大きくなり、得られる静電吸着力も高まることから好ましく適用することができる。
【実施例】
【0129】
以下に実施例を記載して、本発明を更に具体的に説明する。以下に示す材料、使用量、割合、操作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。なお、以下に記載される「%」は、特記しない限り質量%である。
【0130】
[試験方法]
(不透明度)
成形例1の樹脂フィルム層、成形例2の樹脂フィルム層および製造例2〜7で得た積層体から剥がして採取した樹脂フィルム層の不透明度は、ISO 2471:1998(JIS P8149:2000)「紙及び板紙?不透明度試験方法(紙の裏当て)−拡散照明法」に準拠し、測定背面に黒色筒を当てて測定した単一シート視感反射率および同じ試料の測定背面に白色標準板を当てて測定した固有視感反射率の比(単一シート視感反射率/固有視感反射率)を百分率で示した値で表示した。
【0131】
(静電吸着力)
製造例1の積層体を200mm×220mmのサイズに断裁し、相対湿度50%の雰囲気下で1日間保管した後、同雰囲気下で、製造例1の積層体から成形例1の樹脂フィルム層(不透明)を剥がして、
図17に概略図を示す吸着力測定装置のガラス板上に、吸着面積が200mm×200mmとなり成形例1の樹脂フィルム層の下端20mm幅分がはみ出す様に貼り付け、成形例1の樹脂フィルム層の下端部分にクリップを取り付け、糸を取り付けた10gの分銅を1つずつクリップに追加して行き、成形例1の樹脂フィルム層が滑り落ちた時の分銅の重さから吸着力を平米当りに換算して求めた。
【0132】
(粘着力及び吸着力)
製造例2〜7の積層体を幅25mm、長さ150mmに切断し、評価用サンプルとした。この評価用サンプルについて、JIS Z0237「粘着テープ・粘着シート試験方法」に準じて粘着力を測定した。具体的には、温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下で、評価用サンプルから剥離紙を剥がし粘着剤層面をSUS304鋼板に、2kgローラー1往復により貼り付けた。23℃、湿度50%RHで60分間養生した後、引張試験機(島津製作所(株)製、「AUTOGRAPH」)を用い、剥離角度180°、引っ張り速度300mm/分で粘着力を測定した。
【0133】
本発明の樹脂フィルム層の製造例に使用する熱可塑性樹脂組成物を表2にまとめて示す。これらは予め表2に記載した使用原料を表2に記載した割合で混合した樹脂組成物(a)〜(e)を、210℃に設定した2軸混練機にて溶融混練し、次いで230℃に設定した押出機にてストランド状に押し出し、冷却後にストランドカッターにて切断して樹脂組成物(a)〜(e)のペレットを作成して、以降の製造例で使用した。
【0134】
【表2】
【0135】
[記録層用の塗工溶液の調製]
メチルエチルケトンを攪拌機(プライミクス(株)製、「ホモミクサーMARK II 2.5型」)にて静かに攪拌しながら、これに表面処理硫酸バリウムを10分間かけて少量ずつ添加した後、沈降性シリカを10分間かけて少量ずつ添加し、固形分濃度が20質量%になるようにメチルエチルケトンを添加して調整した後、攪拌機の回転数を上げて30分間攪拌し顔料分散液を作製した。
次いで攪拌機の回転数を落とし、この顔料分散液に、高分子バインダー溶液、帯電防止機能を有するポリマー溶液、およびヘキサメチレンジイソシアネートの酢酸エチル溶液(固形分20質量%)をこの順に添加し、そのまま20分間攪拌して混合し、その後100メッシュのフィルターを通し粗粒径物の除去を行い、メチルエチルケトンで固形分濃度が20%となる様に希釈し、調整例1の記録層塗工液を得た。
【0136】
[記録層塗工液の調整例2]
表3に記載の高分子バインダー、硬化剤及び帯電防止剤溶液をこの順に、表3に記載した配合割合となるように添加し、水で固形分濃度3質量%となる様に攪拌機(プライミクス(株)製、「ホモミクサーMARK II 2.5型」)にて攪拌しながら希釈し、そのまま20分間攪拌して混合し、記録層用の調整例2の記録層塗工液を得た。
【0137】
【表3】
【0138】
[樹脂フィルムの成形例1]
熱可塑性樹脂組成物cを230℃に設定した3台の押出機にて溶融混練した後、250℃に設定した押出ダイに供給し、これを冷却装置により60℃まで冷却して無延伸シートを得た。
この無延伸シートを140℃に加熱し、ロール群の周速差を利用して縦方向(MD)に4.5倍延伸した。次いで可塑性樹脂組成物dを250℃に設定した2台の押出機にて溶融混練した後、シート状に押し出して上で調製した4.5倍延伸シートの両面にそれぞれに積層し、3層構造の積層シートを得た。次いで、この5倍延伸シートを60℃まで冷却し、テンターオーブンを用いて再び約135℃に加熱して横方向(TD)に8倍延伸した後、更に160℃まで加熱して熱処理を行った。
次いで60℃まで冷却し、耳部をスリットした後、この2軸延伸フィルムの両面にコロナ放電による表面処理を施し、肉厚が80μmで、空孔率が37%である3層構造〔各層樹脂組成(d/c/d)、各層厚み(10μm/60μm/10μm)、各層延伸軸数(1軸/2軸/1軸)〕の延伸フィルムを得た。
更に調整例2の塗工液を乾燥後の厚みが3μmになる様にバーコーターで塗工し、70℃のオーブンで30秒乾燥し、続いて40℃で8時間硬化させて成形例1の樹脂フィルム層を得た。その外観は白色不透明であった。
【0139】
[樹脂フィルムの成形例2]
熱可塑性樹脂組成物aと熱可塑性樹脂組成物bを230℃に設定した3台の押出機にてそれぞれ溶融混練した後、250℃に設定した押出ダイに供給し、ダイ内で積層してシート状に押し出し、これを冷却装置により50℃まで冷却して無延伸シートを得た。
この無延伸シートを140℃に加熱し、ロール群の周速差を利用して縦方向(MD)に4.5倍延伸した。次いで、この4.5倍延伸シートを60℃まで冷却し、テンターオーブンを用いて再び約150℃に加熱して横方向(TD)に8倍延伸した後、更に160℃まで加熱して熱処理を行った。
次いで60℃まで冷却し、耳部をスリットした後、この2軸延伸フィルムの両面にコロナ放電による表面処理を施し、肉厚が70μm、空孔率が0.1%、3層構造〔各層樹脂組成(b/a/b)、各層厚み(3μm/64μm/3μm)、各層延伸軸数(2軸/2軸/2軸)〕の延伸フィルムを得た。
更に調整例2の記録層塗工液を乾燥後の厚みが0.1μmになる様にスクイズコーターで塗工し、70℃のオーブンで30秒乾燥し、続いて40℃で8時間硬化させて成形例2の樹脂フィルム層を得た。その外観は無色透明であった。
【0140】
[樹脂フィルムの成形例3]
熱可塑性樹脂組成物eを270℃に設定した押出機にて溶融混練した後、270℃に設定した押出ダイに供給し、シート状に押し出し、これを冷却装置により60℃まで冷却して無延伸シートを得た。
この無延伸シートを90℃に加熱し、ロール群の周速差を利用して縦方向(MD)に3.0倍延伸した。次いで、この3.5倍延伸シートを50℃まで冷却し、テンターオーブンを用いて再び約95℃に加熱して横方向(TD)に3.5倍延伸した後、更に230℃まで加熱して熱処理を行った。
次いで60℃まで冷却し、耳部をスリットした後、この2軸延伸フィルムの両面にコロナ放電による表面処理を施し、肉厚が90μm、空孔率が0%の延伸フィルムを得た。 更に調整例2の記録層塗工液を乾燥後の厚みが0.2μmになる様にスクイズコーターで塗工し、70℃のオーブンで30秒乾燥し、続いて40℃で8時間硬化させて成形例3の樹脂フィルム層を得た。その外観は無色透明であった。
【0141】
【表4】
【0142】
[粘着剤塗工液の調整例3〜5]
表5に記載の材料を配合し、攪拌機(佐竹化学機械工業(株)製、「ポータブルミキサーA640」)で攪拌して、調製例3〜5の粘着剤塗工液を調製した。
[吸着剤塗工液の調整例6]
表5に記載のアクリルエマルジョン液を連続発泡機(大平洋機工(株)製、「マイルダ―MDF0」)で攪拌して、機械的に空気を吹き込んで微細気泡を生成させた。
【0143】
【表5】
【0144】
[積層体の製造例1]
特開2012−145935号公報の
図8に概略図を示す製造装置を用い、成形例1の樹脂フィルム層をロールより巻きだし、成形例1の樹脂フィルム層の記録層を設けていない面(非塗工面)に、直流式のコロナ放電による電荷注入処理を実施した。電荷注入処理の条件として、ワイヤー状電極と対電極ロールの距離を1cmに設定し、17kVの放電電圧を用いた。別に成形例2の樹脂フィルム層をロールより巻きだし、成形例2の樹脂フィルム層の記録層を設けていない面(非塗工面)が成形例1の樹脂フィルム層の電荷注入処理を施した面と接するように積層し、圧着ロールで加圧接着して成形例1の樹脂フィルム層と成形例2の樹脂フィルム層との積層体を得た。
打ち抜き刃で得られた積層体を200mm×220mmのサイズに打ち抜いた。得られた積層体を1m×1mのガラス板上にランダムに広げて、手でかき集めて100枚の束を作製したところ、4辺がきれいにそろった束を作製でき、紙揃え性が良好であった。
表6に樹脂フィルム層の構成、不透明フィルム層の物性、透明フィルム層の物性をまとめて示す。
【0145】
【表6】
【0146】
[積層体の製造例2,3]
成形例1の樹脂フィルム層に調製例4または5の粘着剤塗工液を乾燥後の厚みが30μmとなるようコンマコーターにて塗布し、70℃で1分間乾燥して粘着層を形成した。次いで、粘着層の表面にシリコーン処理を施した剥離紙(王子タック(株)製、「GR64W/C/SP−N」、厚み:62μm)のシリコーン処理面を貼り合わせて製造例2,3の積層体を得た。
【0147】
[積層体の製造例4]
成形例1の樹脂フィルム層に調整例6の吸着剤塗工液をコンマコータにて塗工し、8 0 ℃ から1 2 0 ℃ まで6分間、一定昇温速度で乾燥して、発泡樹脂層としての厚み150μ m の吸着層を形成した。次いで、吸着層の表面にシリコーン処理を施した剥離紙(王子タック(株)製、「GR64W/C/SP−N」、厚み:62μm)のシリコーン処理面を貼り合わせて製造例4の積層体を得た。
なお、製造例4の積層体から剥離紙を剥離し、吸着層の表面を光学顕微鏡にて観察したところ、直径5〜100μmの陥没孔が、吸着層1mm
2あたりに、約300個の割合で存在していることが確認された。
【0148】
【表7】
【0149】
[積層体の製造例5]
成形例3の樹脂フィルム層に調整例3の粘着剤塗工液を乾燥後の厚みが20μmとなるようコンマコーターにて塗布し、150℃で2分間乾燥して粘着層を形成した。次いで、粘着層の表面にシリコーン処理を施した剥離紙(王子タック(株)製、「GR64W/C/SP−N」、厚み:62μm)のシリコーン処理面を貼り合わせて製造例5の積層体を得た。
【0150】
[積層体の製造例6,7]
成形例2の樹脂フィルム層に表8に記載の粘着剤塗工液を乾燥後の厚みが15μmとなるようコンマコーターにて塗布し、70℃で1分間乾燥して粘着層を形成した。次いで、粘着層の表面にシリコーン処理を施した剥離紙(王子タック(株)製、「GR64W/C/SP−N」、厚み:62μm)のシリコーン処理面を貼り合わせて製造例6,7の積層体を得た。
【0151】
【表8】
【0152】
[実施例1]
幅469mm、長さ318mmの製造例1の積層体の主フィルム層側の面に、オフセット印刷機(三菱重工(株)製、「OF−4」)およびUVインキ((株)T&K TOKA製、「ベストキュアーUV−161墨S」)を使用し五線譜を6000枚/時の速度で1000枚連続印刷し、UV照射器にて強度25mj/cm
2の紫外線を照射し本発明の情報シートを作成した。
得られた情報シートより主フィルム層を剥がしてスキャナ機能付ホワイトボードの表示面に貼り、更に剥がした後の透明フィルム層を第一の透明フィルム層とし、第一の透明フィルム層を長辺を軸として180°回転させることにより裏返して、樹脂フィルム層の印刷情報上に貼り付け表示体とした。第一の樹脂フィルム層の上にクレヨン(サクラクレパス(株)製、「水で落とせるクレヨン」)で音符を記入し楽譜を作成した。また濡れた雑巾で音符を消去し、続いて音符を書き込む事により容易に音符の修正が可能であった。表示体をホワイトボードのスキャナ機能でスキャンし、楽譜として取り出すことができた。表示体は1週間経過しても剥がれることはなく、また使用した表示体を剥がした後のホワイトボードの表示面には糊残り等の汚染は発生していなかった。
【0153】
[実施例2]
幅600mm、長さ900mmの製造例1の積層体の主フィルム層側の面に、UVインクジェット印刷機(日本OCE(株)製、「UV−IJ LuxelJet UV250GT」)を使用しマンションの間取り図を印刷し情報シートを作成した。
得られた情報シートより主フィルム層を剥がしてガラス窓に貼った。一方、幅600mm、長さ900mmの製造例5の積層体から剥離紙を剥がして、第一の透明フィルム層とし、第一の透明フィルム層を裏返さずに樹脂フィルム層の印刷情報上に貼り付け表示体とした。第一の透明フィルム層の上にクレヨン(サクラクレパス(株)製、「水で落とせるクレヨン」)で家具の配置図を記入した。家具の配置図は濡れた雑巾で消去し、書き直す事により容易に修正が可能であった。表示体は1週間経過しても剥がれることはなく、また使用した表示体を剥がしたガラスには糊残り等の汚染は発生していなかった。
【0154】
[実施例3]
実施例2において、製造例5の積層体の代わりに製造例6の積層体を使用したこと以外は実施例2と同様にして家具の配置図を作成した。家具の配置図は濡れた雑巾で消去し、書き直す事により容易に修正が可能であった。表示体は1週間経過しても剥がれることはなく、また使用した表示体を剥がしたガラスには糊残り等の汚染は発生していなかった。
【0155】
[実施例4]
実施例2において、製造例5の積層体の代わりに製造例7の積層体を使用したこと以外は実施例2と同様にして家具の配置図を作成した。家具の配置図は濡れた雑巾で消去し、書き直す事により容易に修正が可能であった。表示体は1週間経過しても剥がれることはなく、また使用した表示体を剥がしたガラスには糊残り等の汚染は発生していなかった。
【0156】
[実施例5]
幅469mm、長さ318mmの製造例2の積層体の主フィルム層側の面に、オフセット印刷機(三菱重工(株)製、「OF−4」)およびUVインキ((株)T&K TOKA製、「ベストキュアーUV−161墨S」)を使用し、五線譜を6000枚/時の速度で1000枚連続印刷し、UV照射器にて強度25mj/cm
2の紫外線を照射し情報シートを作成した。
得られた情報シートより剥離紙を剥がしてコンクリート製の壁に貼りつけた。一方、幅469mm、長さ318mmの製造例1の積層体から透明フィルム層を剥がして第一の透明フィルム層とし、第一の透明フィルム層を短辺を軸として180°回転させることにより裏返して樹脂フィルム層の印刷情報上に貼り付け表示体とした。第一の透明フィルム層の上にクレヨン((株)サクラクレパス製、「水でおとせるクレヨン」)で音符を記入し楽譜を作成した。また濡れた雑巾で音符を消去し音符を書き込む事により容易に音符の修正が可能であった。表示体は1週間経過しても剥がれることはなく、また使用した表示体を剥がした壁には糊残り等の汚染は発生していなかった。
【0157】
[実施例6]
実施例5において、製造例2の積層体のかわりに製造例3の積層体を使用したこと以外は実施例5と同様にして楽譜を作成した。楽譜は濡れた雑巾で音符を消去し音符を書き込む事により容易に音符の修正が可能であった。表示体は1週間経過しても剥がれることはなく、また使用した表示体を剥がした壁には糊残り等の汚染は発生していなかった。
【0158】
[実施例7]
実施例5において、製造例2の積層体のかわりに製造例4の積層体を使用したこと以外は実施例5と同様にして楽譜を作成した。楽譜は濡れた雑巾で音符を消去し音符を書き込む事により容易に音符の修正が可能であった。表示体は1週間経過しても剥がれることはなく、また使用した表示体を剥がした壁には糊残り等の汚染は発生していなかった。
【0159】
[実施例8]
幅600mm、長さ900mmの製造例2の積層体の主フィルム層側の面にUVインクジェット印刷機(日本OCE(株)製、「UV−IJ LuxelJet UV250GT」)を使用しマンションの間取り図を印刷し情報シートを作成した。
得られた情報シートより剥離紙を剥がしてガラス窓に貼った。一方、幅600mm、長さ900mmの製造例5の積層体から剥離紙を剥がして、第一の透明フィルム層とし、第一の透明フィルム層を裏返さずに樹脂フィルム層の印刷情報上に貼り付け表示体とした。第一の透明フィルム層の上にクレヨン(サクラクレパス(株)製、「水で落とせるクレヨン」)で家具の配置図を記入した。家具の配置図は濡れた雑巾で消去し、書き直す事により容易に修正が可能であった。表示体は1週間経過しても剥がれることはなく、また使用した表示体を剥がしたガラスには糊残り等の汚染は発生していなかった。
【0160】
[実施例9]
製造例8において、製造例2の積層体の代わりに製造例3の積層体を使用し、製造例5の積層体の代わりに製造例7の積層体を使用して第一の透明フィルム層を得たこと以外は実施例8と同様にして家具の配置図を作成した。家具の配置図は濡れた雑巾で消去し、書き直す事により容易に修正が可能であった。表示体は1週間経過しても剥がれることはなく、また使用した表示体を剥がしたガラスには糊残り等の汚染は発生していなかった。
【0161】
[実施例10]
製造例8において、製造例2の積層体の代わりに製造例4の積層体を使用したこと以外は実施例8と同様にして家具の配置図を作成した。家具の配置図は濡れた雑巾で消去し、書き直す事により容易に修正が可能であった。表示体は1週間経過しても剥がれることはなく、また使用した表示体を剥がしたガラスには糊残り等の汚染は発生していなかった。
【0162】
[実施例11]
実施例10において、製造例5の積層体の代わりに製造例6の積層体を使用したこと以外は実施例10と同様にして家具の配置図を作成した。家具の配置図は濡れた雑巾で消去し、書き直す事により容易に修正が可能であった。表示体は1週間経過しても剥がれることはなく、また使用した表示体を剥がしたガラスには糊残り等の汚染は発生していなかった。
【0163】
[実施例12]
実施例10において、製造例5の積層体の代わりに製造例7の積層体を使用したこと以外は実施例10と同様に家具の配置図を作成した。家具の配置図は濡れた雑巾で消去し、書き直す事により容易に修正が可能であった。表示体は1週間経過しても剥がれることはなく、また使用した表示体を剥がしたガラスには糊残り等の汚染は発生していなかった。
【0164】
[実施例13]
幅469mm、長さ318mmの製造例4の積層体の主フィルム層側の面にオフセット印刷機(三菱重工(株)製、「OF−4」)およびUVインキ((株)T&K TOKA製、「ベストキュアーUV−161白S」)を使用し花瓶の図柄と合うように隠蔽層を印刷し、続いてオフセット印刷機(三菱重工(株)製、「OF−4」)およびUVインキ((株)T&K TOKA製、「ベストキュアーUV−161黄S、紅S、藍S、墨S」)を使用し花瓶の絵柄を6000枚/時の速度で1000枚連続印刷し、UV照射器にて強度25mj/cm
2の紫外線を照射し印刷シートを作成し、花瓶の絵柄が中央よりやや下にくる様に印刷シートを210mm×297mmのサイズに断裁した。
製造例4の積層体を210mm×297mmのサイズに断裁し、その主フィルム層側表面の中央に押し花(ガーベラ)を載せた。一方、幅210mm、長さ297mmの製造例5の積層体から剥離紙を剥がして、第一の透明フィルム層とし、第一の透明フィルム層を裏返さずに樹脂フィルム層の押し花の上に載せ、押し花を載せた製造例の積層体と第一の透明フィルム層との四辺が揃う様に貼り付けて情報シートとした。更に情報シートの積層体4側の剥離紙を剥がし、積層体4側の吸着層面をべニヤボードに貼り付け、支持体層(ii)に印刷された花瓶に生花(ガーベラ)を挿したような表示体を作成した。
この表示体は一週間経過しても剥がれることはなく、表示体を剥がしたベニヤボードには糊残り等の汚染は発生していなかった。
【0165】
[実施例14]
幅600mm、長さ900mmの製造例2の積層体の主フィルム層側の面にUVインクジェット印刷機(日本OCE(株)製、「UV−IJ LuxelJet UV250GT」)を使用し格子状枠線を印刷し情報シートを作成した。
得られた情報シートより剥離紙を剥がしてスチールロッカーに貼った。一方、幅600mm、長さ900mの製造例1の積層体から透明フィルム層を剥がして、第一の透明フィルム層とし、第一の透明フィルム層を短辺を軸として180°回転させることにより裏返して樹脂フィルム層の印刷情報上に貼り付け表示体とした。第一の透明フィルム層の上に油性ペン(サクラクレパス(株)製、「マイネーム 名前書き用油性」)で最も左の列に氏名を記入し、最も上の行に行先を記入した。次に幅600mm、長さ900mの製造例1の積層体から透明フィルム層を剥がして、第二の透明フィルム層とし、第二の透明フィルム層を裏返さずに、第一の透明フィルム樹脂フィルム層の手書き情報上に貼り付け、その上にマグネットを配置して表示体とした。マグネットを動かすことにより行先を表示することが可能であった。表示体は1週間経過しても剥がれることはなく、手書き情報や印刷情報が消えることもなかった。
また表示体を半年間使用後、表示体から第二の透明フィルム層と第一の透明フィルム層とを剥がし、長さ900mmの製造例1の積層体から透明フィルム層を剥がして、第一の透明フィルム層とし、第一の透明フィルム層を短辺を軸として180°回転させることにより裏返して樹脂フィルム層の印刷情報上に貼り付け表示体とした。第一の透明フィルム層の上に油性ペン(サクラクレパス(株)製、「マイネーム 名前書き用油性」)で最も左の列に氏名を記入し、最も上の行に行先を記入した。次に幅600mm、長さ900mの製造例1の積層体から透明フィルム層を剥がして、第二の透明フィルム層とし、第二の透明フィルム層を裏返さずに、第一の透明フィルム樹脂フィルム層の手書き情報上に貼り付け、その上にマグネットを配置して再び表示体として半年間使用した。さらに使用した表示体を剥がしたスチールロッカーには糊残り等の汚染は発生していなかった。
【0166】
[実施例15]
幅420mm、長さ297mmの製造例6の積層体の主フィルム層側の面にUVインクジェット印刷機(日本OCE(株)製、「UV−IJ LuxelJet UV250GT」)を使用し新郎新婦の写真を印刷し情報シートを作成した。
得られた情報シートより剥離紙を剥がして木枠付コルクボード(A3横)に貼り、このコルクボードを結婚式場に置いた。この上に、参列者にメッセージを記入した粘着ラベル((株)デザインフィル製、「ミドリ カラー色紙用シール ハート柄」)を自由に貼ってもらった後、幅420mm、長さ297mmの製造例5の積層体の剥離紙を剥がして、第二の透明フィルム層とし、第二の透明フィルム層を裏返さずに樹脂フィルム層の印刷情報上に貼り付け、さらにその上にリボンや造花を配置し表示体とした。表示体は3か月間経過してもコルクボードから剥がれることはなかった。
【0167】
本発明の情報シートは、剥離して使用する前は外部に静電吸着力、粘着力及び吸着力を発現せず、シート同士のブロッキング等のトラブルが発生し難くハンドリング性が良好であった。また、情報シートから樹脂フィルム層を剥離して被着体に貼り付けた後の静電吸着力、粘着力及び吸着力は充分に高かった。また、樹脂フィルム層が透明の場合、樹脂フィルム層に設けられた情報と被着体表面のデザインとを重ねて視認することにより新たな意匠が生じた(実施例15)。
樹脂フィルム層に設けられうる情報は、印刷に限定されない(実施例13)。加えて、前記情報は第一の透明フィルム層により十分に保護されており、第一の付加情報と重ねて見ることにより一群の情報を認識することができた。
第一の透明フィルム層表面に設けられた第一の付加情報の上には、必要に応じ第二の透明フィルム層および第2の付加情報を設けることができる(実施例14)。
更に、使用後には第一の透明フィルム層と不透明フィルム層の積層体を被着体から容易に剥がすことができ、且つ、剥離後の被着体表面に積層体の断片や目立った異物は認められなかった(実施例14)。