特開2016-139786(P2016-139786A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.の特許一覧

<>
  • 特開2016139786-コイル部品及びその製造方法 図000003
  • 特開2016139786-コイル部品及びその製造方法 図000004
  • 特開2016139786-コイル部品及びその製造方法 図000005
  • 特開2016139786-コイル部品及びその製造方法 図000006
  • 特開2016139786-コイル部品及びその製造方法 図000007
  • 特開2016139786-コイル部品及びその製造方法 図000008
  • 特開2016139786-コイル部品及びその製造方法 図000009
  • 特開2016139786-コイル部品及びその製造方法 図000010
  • 特開2016139786-コイル部品及びその製造方法 図000011
  • 特開2016139786-コイル部品及びその製造方法 図000012
  • 特開2016139786-コイル部品及びその製造方法 図000013
  • 特開2016139786-コイル部品及びその製造方法 図000014
  • 特開2016139786-コイル部品及びその製造方法 図000015
  • 特開2016139786-コイル部品及びその製造方法 図000016
  • 特開2016139786-コイル部品及びその製造方法 図000017
  • 特開2016139786-コイル部品及びその製造方法 図000018
  • 特開2016139786-コイル部品及びその製造方法 図000019
  • 特開2016139786-コイル部品及びその製造方法 図000020
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-139786(P2016-139786A)
(43)【公開日】2016年8月4日
(54)【発明の名称】コイル部品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/00 20060101AFI20160708BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20160708BHJP
   H01F 41/04 20060101ALI20160708BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20160708BHJP
【FI】
   H01F17/00 B
   H01F17/04 A
   H01F41/04 C
   H05K3/46 N
   H05K3/46 Z
   H05K3/46 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-229395(P2015-229395)
(22)【出願日】2015年11月25日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0012772
(32)【優先日】2015年1月27日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ジュ ファン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ジン ヒュック
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジョン ユン
(72)【発明者】
【氏名】シム、ウォン チュル
【テーマコード(参考)】
5E062
5E070
5E316
【Fターム(参考)】
5E062DD01
5E070AA01
5E070AB01
5E070BA12
5E070CB02
5E070CB13
5E070CB17
5E316AA12
5E316AA15
5E316AA32
5E316AA38
5E316AA43
5E316BB02
5E316BB20
5E316CC09
5E316CC10
5E316CC13
5E316CC32
5E316CC34
5E316CC38
5E316CC39
5E316DD02
5E316DD12
5E316DD32
5E316DD33
5E316EE01
5E316FF15
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG22
5E316GG28
5E316HH03
5E316HH33
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ビアが形成される面に平坦性が与えられ、ビアの不めっき不良を防ぐことができるコイル部品及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ビアパッド111〜111”を含む多層構造のコイル導体110と、各層のビアパッド間を連結するビア112〜112”と、を含み、且つ、隣接する二つの層のビアパッド111〜111”は一部または全部が重なり、ビアパッド111〜111”を介して連続する二つの層のビア112〜112”は互いにずれて配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビアパッドを含む多層構造のコイル導体と、
各層の前記ビアパッド間を連結するビアと、を含み、隣接する二つの層の前記ビアパッドは一部または全部が重なり、前記ビアパッドを介して連続する二つの層の前記ビアは互いにずれて配置される、コイル部品。
【請求項2】
全層の前記ビアは互いに異なる垂直線上に配置される、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記ビアの側端と前記ビアパッドの側端が一直線上に位置する、請求項1または2に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記ビアの幅は前記ビアパッドの幅の半分である、請求項1から3のいずれか1項に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記コイル導体は絶縁層に内設され、前記絶縁層はベース基材上に備えられる、請求項1から4のいずれか1項に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記ベース基材はフェライト焼結体である、請求項5に記載のコイル部品。
【請求項7】
ビアパッドを含む多層構造のコイル導体と、
各層の前記ビアパッド間を連結するビアと、を含み、隣接する二つの層の前記ビアパッドは一部または全部が重なり、前記ビアパッドを介して連続する二つの層の前記ビアは互いにずれて配置され、且つ、偶数層に位置する前記ビアまたは奇数層に位置する前記ビアは同一の垂直線上に配置される、コイル部品。
【請求項8】
前記ビアの側端と前記ビアパッドの側端が一直線上に位置する、請求項7に記載のコイル部品。
【請求項9】
前記ビアの幅は前記ビアパッドの幅の半分である、請求項7または8に記載のコイル部品。
【請求項10】
前記コイル導体は絶縁層に内設され、前記絶縁層はベース基材上に備えられる、請求項7から9のいずれか1項に記載のコイル部品。
【請求項11】
前記ベース基材はフェライト焼結体である、請求項10に記載のコイル部品。
【請求項12】
第1絶縁層上に第1ビアパッドを含む第1コイル導体を形成し、前記第1コイル導体を覆蓋する第2絶縁層を、前記第1絶縁層上に形成する段階と、
前記第1ビアパッド上に形成されたビアを通じて層間連結され、前記第1ビアパッドと一部または全部が重なる第2ビアパッドを含む第2コイル導体を、前記第2絶縁層上に形成する段階と、
前記第2コイル導体を覆蓋する第3絶縁層を、前記第2絶縁層上に形成し、前記ビアと重ならないビアホールを形成して前記第2ビアパッドの一部領域を露出させる段階と、
前記ビアホールにめっきされて形成されたビアを通じて層間連結され、前記第2ビアパッドと一部または全部が重なる第3ビアパッドを含む第3コイル導体を、前記第3絶縁層上に形成し、前記第3コイル導体を覆蓋する第4絶縁層を、前記第3絶縁層上に形成する段階と、を含む、コイル部品の製造方法。
【請求項13】
前記第3コイル導体を形成する段階は、前記ビアホールの内壁と前記第3絶縁層上にシード層を形成する段階と、前記シード層上にレジスト層を付着した後に前記レジスト層をパターニングする段階と、パターニングされた前記レジストのパターンの間に金属を成長させる段階と、前記レジストを除去した後、外部に露出した前記シード層をエッチングする段階と、を含む、請求項12に記載のコイル部品の製造方法。
【請求項14】
前記第1コイル導体を形成する前に、ベース基材上に前記第1絶縁層を形成し、前記第1絶縁層上に前記第1コイル導体を形成する、請求項12または13に記載のコイル部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部品に関するもので、より詳細には、ノイズフィルタとして動作するコイル部品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
技術の発展に伴い、携帯電話、家電製品、PC、PDA、LCDなどのような電子機器がアナログ方式からデジタル方式に変化し、処理するデータ量を増加することによって高速化を実現している。
【0003】
これにより、高速信号送信インターフェースとしてUSB2.0、USB3.0及び高精細度マルチメディアインターフェース(high−definition multimedia interface;HDMI(登録商標))が広範囲で普及され、これらインターフェースは現在個人用コンピュータ及びデジタル高画質テレビのような多くのデジタルデバイスで用いられている。
【0004】
これら高速インターフェースは、長い間一般的に用いられたシングルエンド(single−end)送信システムとは異なって、一対の信号線を用いて差動信号(差動モード信号)を送信する差動信号システムを採用する。しかし、デジタル化且つ高速化する電子機器は、外部からの刺激に敏感であるため高周波ノイズによる信号歪曲が度々発生している。
【0005】
このようなノイズを除去するために電子機器内にフィルタが設置されている。特に、高速差動信号線などには、コモンモードノイズ(Common mode noise)を除去するためのコイル部品としてコモンモードフィルタ(Common Mode Filter)が広く用いられている。
【0006】
コモンモードノイズは差動信号線で発生するノイズであり、コモンモードフィルタは従来のフィルタでは除去することができないコモンモードノイズを除去する。
【0007】
このようなコモンモードフィルタをはじめ多様なコイル製品は、高いインダクタンスを得るために、コイルのターン数を増加させるとともに、より多くの層数でコイル層を積層している。
【0008】
このとき、コイル層の層間を連結するためには、ビアという垂直構造の金属が必要となる。しかし、ビアは、絶縁層の厚さに相応するだけ陥没された構造を有し、このようなビアが同一の位置に累積される場合、ビアの不めっき不良が発生するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−289781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、連続する二つの層のビアを互いにずらして配置させることにより、同一の位置にビアが累積されないコイル部品及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面によれば、ビアパッドを含む多層構造のコイル導体、及び各層の上記ビアパッド間を連結するビアを含み、且つ、隣接する二つの層の上記ビアパッドは一部または全部が重なり、上記ビアパッドを介して連続する二つの層の上記ビアは互いにずれて配置されるコイル部品を提供する。
【0012】
ここで、各層の上記ビアは、ジグザグ型で配置されるか、階段型で配置されることができ、上記ビアが階段型で配置される場合、隣接する二つの層の上記ビアパッドにおいて重なり領域の幅は上記ビアの幅と同一である。また、上記ビアがジグザグ型で配置される場合、偶数層に位置する上記ビアまたは奇数層に位置する上記ビアは同一の垂直線上に配置される。
【発明の効果】
【0013】
本発明のコイル部品によると、ビアが形成される面に平坦性が与えられるため、ビアの不めっき不良を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態によるコイル部品の断面図である。
図2】本発明に含まれるコイル導体を層別に分解して示す斜視図である。
図3】本発明に含まれるコイル導体を層別に分解して示す斜視図である。
図4図1のA領域の拡大図である。
図5】本発明の第2実施形態によるコイル部品の断面図である。
図6】本発明の第3実施形態によるコイル部品の断面図である。
図7】本発明のコイル部品の製造方法を順に示す流れ図である。
図8】各段階の工程で示されるコイル部品の工程図である。
図9】各段階の工程で示されるコイル部品の工程図である。
図10】各段階の工程で示されるコイル部品の工程図である。
図11】各段階の工程で示されるコイル部品の工程図である。
図12】各段階の工程で示されるコイル部品の工程図である。
図13】各段階の工程で示されるコイル部品の工程図である。
図14】各段階の工程で示されるコイル部品の工程図である。
図15】各段階の工程で示されるコイル部品の工程図である。
図16】各段階の工程で示されるコイル部品の工程図である。
図17】各段階の工程で示されるコイル部品の工程図である。
図18】従来のコイル部品の製造時に発生する可能性がある不めっき不良を説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、添付の図面を参照し、本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0016】
図1は本発明の第1実施形態によるコイル部品の断面図である。
【0017】
図1を参照すると、本実施形態によるコイル部品100は、多層構造で形成されたコイル導体110を基本構造として有する。
【0018】
コイル導体110は、絶縁層120の内部に埋め込まれる形態で設置されることができ、絶縁層120は剛性のベース基材130上に備えられることができる。
【0019】
即ち、本実施形態は、コイル導体110が内設された絶縁層120、または絶縁層120がベース基材130上に積層された構造体が一つの単位素子となるコイル部品に関し、2012(2.0mm×1.2mm×1.2mm)、1005(1.0mm×0.5mm×0.5mm)、0603(0.6mm×0.3mm×0.3mm)、0403(0.4mm×0.3mm×0.3mm)などの多様なサイズに製作されることができる。
【0020】
ベース基材130は、フェライト素材からなる板状の焼結体で、電流印加時に発生する磁束(magnetic flux)の移動通路になる。したがって、ベース基材130は、所定のインダクタンスを得ることができる限り任意の磁性材料、例えば、Fe及びNiOを主成分とするNi系フェライト材料、Fe、NiO及びZnOを主成分とするNi−Zn系フェライト材料、及びFe、NiO、ZnO及びCuOを主成分とするNi−Zn−Cu系フェライト材料から選択されるいずれか一つ以上の磁性材料を用いて形成することができる。
【0021】
図面にはこのようなフェライト素材のベース基材130が絶縁層120の一方の面にだけ備えられるように示されているが、本実施形態は、磁束の流れをより円滑にさせるために、ベース基材130のようなフェライト焼結体が絶縁層120の両方の面にすべて形成されたコイル部品を提供することができる。この他にも、本実施形態は、絶縁層120の下部面にモジュラス(Modulus)が高いフェライト焼結体が備えられ、上部面に磁性粉末と高分子樹脂をミーリングして製造したペーストを塗布して形成したフェライト−樹脂複合体が備えられたコイル部品を提供することもできる。
【0022】
絶縁層120は、コイル導体110を覆うように形成されることにより、コイル導体110の層間絶縁性を確保し、湿気や熱などの外部環境からコイル導体110を保護する機能を行う。
【0023】
したがって、絶縁層120の構成材質としては、絶縁性だけでなく耐熱性、耐湿性の特性に優れた高分子樹脂、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、ポリイミド樹脂などを用いることができる。
【0024】
具体的には、絶縁層120は、ベース基材130との絶縁性を確保し、ベース基材130の表面凹凸を抑制して平坦性を与える下部絶縁層が先に形成され、その上にコイル導体110を覆蓋するビルドアップ絶縁層が順に積層されることにより形成される。但し、高温・高圧の積層過程において各層間の境界は区分されず、図面に示されているように一体化されることができる。
【0025】
コイル導体110は、平面上に形成されるコイル形状の金属配線で、電気伝導性に優れた銀(Ag)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、金(Au)、銅(Cu)、または白金(Pt)からなる群より選択される少なくとも1種以上の金属からなることができる。
【0026】
コイル導体110は複数個が所定の間隔を置いて厚さ方向に積層された多層構造で形成され、各層のコイル導体110はビア112を通じて層間連結されて電磁気的に結合する1次コイルと2次コイルを形成することができる。
【0027】
図2及び図3はコイルの連結構造を説明するためにコイル導体110を層別に分解して示す斜視図である。図2に示されているように、1層のコイル導体110は2層に形成されたビアパッド111と3層に形成されたビアパッド111を経て4層のコイル導体110と連結され、2層のコイル導体110は3層のコイル導体110と連結される。
【0028】
または、図3に示されているように、1層のコイル導体110は2層に形成されたビアパッド111を経て3層のコイル導体110と連結され、2層のコイル導体110は3層に形成されたビアパッド111を経て4層のコイル導体110と連結されることもできる。
【0029】
これにより、本実施形態にかかるコイル部品100は、1次コイルと2次コイルに同一方向の電流が印加されると磁束が補強されてコモンモードインピーダンスが増加し、反対方向の電流が流れると磁束が互いに相殺されてディファレンシャルモードインピーダンスが減少するコモンモードフィルタ(Common Mode Filter)として動作することができる。
【0030】
ビア112は、各層に形成されたビアパッド111の間に備えられる。即ち、ビアパッド111はビア112の連結信頼性を確保するために形成された比較的広い面積を有するランド部で、ビア112はこのような各層のビアパッド111の間を垂直方向に連結する。明確な説明のために、図面にはビアパッド111とビア112を区分して示されているが、ビアパッド111とビア112は、同一金属で形成されるもので、その間の境界が区分されずに一体で形成されることができる。
【0031】
ここで、隣接する二つの層のビアパッド111、例えば、図1において、ビアパッド111'とビアパッド111''は、一部の領域が垂直方向に重なり、一ビアパッド111'を介して連続する二つの層のビア112、例えば、ビアパッド111'の上下面にそれぞれ接するビア112'とビア112''は垂直方向に互いに重ならずにずれて配置される。
【0032】
図4図1のA領域の拡大図であり、コイル導体110を形成するためのめっき過程においてビアパッド111とビアパッド111の下面に接するビア112が同時に形成される。これにより、例えば、図4のビアパッド111'において、ビア112'に対応する部分は一定の高さまでめっきされずに陥没した形態になる。
【0033】
このような形態のビアパッド111'において、次のめっき工程を通じて形成されるビア112''はビア112'とずれて配置されることにより、ビアパッド111'の平坦面に備えられ、その結果、ビアの不めっきによるオープン(open)不良を防ぐことができる。これに対する説明は、本実施形態の製造方法において後述する。
【0034】
全層のビア112は、互いに異なる垂直線上に配置されることができる。このとき、図1のように、ビアパッド111の一部が重なる実施形態において、その重なった領域の幅Wはビア112と同一の幅を有するように設定することができる。即ち、各層のビア112は、ビアパッド111の重なり領域に形成され、これにより、ビア112の側端とビアパッド111の側端は一直線上に位置するようになる。
【0035】
ここで、ビア112の幅は、ビアパッド111の幅の半分になるように設定することができる。例えば、図1において、ビアパッド111'の左側の半分はビア112'が形成される領域になり、ビアパッド111'の右側の半分はビア112''が形成される領域になる。
【0036】
このように、ビア112の幅がビアパッド111の幅の半分になる場合、ビアパッド111の製造時に用いられる金属量を最小化することができるため、製品単価を大きく減らすことができる。
【0037】
図5は本発明の第2実施形態によるコイル部品の断面図である。
【0038】
図5を参照すると、本発明の第2実施形態によるコイル部品100において、各層のビアパッド111は全領域が垂直方向に重なり、その間を垂直連結するビア112は全層で互いに異なる垂直線上に配置される。この場合、ビアパッド111の位置整列が容易になるため工程収率が向上する。
【0039】
図6は本発明の第3実施形態によるコイル部品の断面図である。
【0040】
図6を参照すると、本発明の第3実施形態によるコイル部品100は、上述の実施形態のように、一ビアパッド111を介して連続する二つの層のビア112、即ち、一ビアパッド111の上下面にそれぞれ接する二つのビア112は垂直方向に互いに重ならずにずれて配置される。
【0041】
また、最下層のビア112から最上層のビア112までを順に第1ビア112a、第2ビア112b、第3ビア112cとするとき、第2ビア112bは第1ビア112aの左側に位置し、第3ビア112cは再び第2ビア112bの右側に位置する。
【0042】
即ち、本実施形態において、ビア112はジグザグ型で配置される構造を有する。このような構造は、各層のビアパッド111が一部だけ重なる場合だけでなく、全部が重なる場合でも可能となる。
【0043】
図6の実施形態は、ビアパッド111が全部重なる場合である。ここで、奇数層に位置する第1及び第3ビア112a、112cは同一の垂直線L上に配置され、第1及び第3ビア112a、112cの側端とビアパッド111の側端が一直線上に位置することができる。また、偶数層に位置する第2ビア112bは同一の垂直線上に配置されることができる。
【0044】
このような構造で、ビア112の幅がビアパッド111の幅の半分になる場合、コイル導体110でビアパッド111が占める面積を最小化することができるため、コイル導体110のターン(turn)数を増やすことができる。
【0045】
これは、図1に示されたコイル導体110のターン数と図6に示されたコイル導体110のターン数を比較すると確認できる。図6の場合、ビアパッド111の周囲のB領域により多くの配線が形成されて、全体のコイルのターン数が図1に比べて二つのターンだけさらに増加したことが確認できる。
【0046】
以下では、コイル部品100の製造方法について説明する。
【0047】
図7はコイル部品100の製造方法を順に示す流れ図であり、図8から図17は各段階の工程で示されるコイル部品の工程図である。
【0048】
図7を参照すると、コイル部品100の製造方法は、まず、Ni系フェライト、Ni−Zn系フェライト、またはNi−Zn−Cu系フェライト素材の磁性粉末を一定の条件下において焼結して製作したベース基材130を設け、ベース基材130上に第1絶縁層120aを形成する段階を行う(S100、図8)。
【0049】
第1絶縁層120aは、コイル導体110とベース基材130との絶縁性を確保し、ベース基材130の表面凹凸を抑制してコイル導体110が形成される面に対して平坦性を与えるためのもので、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、ポリイミド樹脂などの高分子樹脂をスピンコーティングなどの通常のコーティング法で塗布することにより形成することができる。
【0050】
次に、第1絶縁層120a上に第1ビアパッド111aを含む第1コイル導体110aを形成し、第1コイル導体110aを覆蓋する第2絶縁層120bを、1絶縁層120a上に形成する段階を行う(S110、図9)。
【0051】
その後、第1ビアパッド111a上に形成されたビア112を通じて層間連結され、第1ビアパッド111aと一部が重なる第2ビアパッド111bを含む第2コイル導体110bを、第2絶縁層120b上に形成する段階を行う(S120、図10)。本実施形態では、ビアパッド111の一部が重なる構造を基準に説明するが、図5または図6の実施形態によるコイル部品の製造時にビアパッド111の全領域が重なるように形成することができる。
【0052】
ビア112をはじめ第1コイル導体110aと第2コイル導体110bは以下で説明される第3コイル導体(図16の110c)の製造方法と同一の方法で形成されることができる。
【0053】
第3コイル導体110cを形成するために、まず、図11のように第2コイル導体110bを覆蓋する第3絶縁層120cを、第2絶縁層120b上に形成し、ビア112と垂直方向に重ならないビアホールVHを第3絶縁層120cに形成して第2ビアパッド111bの一部領域を露出させる段階を行う(S130、図12)。
【0054】
続いて、ビアホールVHの内壁を含む第3絶縁層120c上にシード層sを形成する(S140、図13)。シード層sは、電解めっきを行うための引込線になるもので、無電解銅めっきを通じて形成されることができる。
【0055】
その後、シード層s上にレジスト10を付着した後、レジスト10をパターニングする(S150、図14)。レジスト10は、感光性高分子物質からなる部材で、露光時に光を受けた部分において光反応が生じて現像時に残るネガ型(negative type)や、光を受けた部分が現像時に除去されるポジ型(positive type)などを用いることができる。
【0056】
このような露光、現像のパターニングを通じてレジスト10に形成されるパターンは、第3コイル導体110cのパターンとは反対になる。これにより、図15のように、電解めっきを通じてレジスト10のパターン間に金属を成長させると、第3コイル導体110cに対応するパターンのめっき層110c'が形成される(S160)。
【0057】
次に、レジスト10を除去した後、外部に露出するシード層s、即ち、レジスト10によってカバーされて、めっき層110c'が形成されない部分のシード層sをフラッシュエッチングなどを通じて除去すると、第3ビアパッド111cを含む第3コイル導体110cが形成される(S170、図16)。上述の通り、第3コイル導体110cをはじめ第1コイル導体110aと第2コイル導体110bは、シード層sを含んでいるが、その厚さは全体に比べて非常に薄いため図16からは省略する。
【0058】
また、詳細に図示されてはいないが、図15のめっき過程時にビアホールVHの底面から金属が成長するため、第3ビアパッド111cにおいてビアホールVHに対応する部分は一定の高さまでめっきされずに陥没した形態になり、これは同一の方法で形成される第2ビアパッド111bでも同様である。
【0059】
即ち、第2ビアパッド111bにおいてビア112に対応する部分は、一定の高さまでめっきされずに陥没した形態になるが、本実施形態においては、ビア112と重ならない位置にビアホールVHを形成することにより不めっき不良を防ぐことができる。
【0060】
図18は従来のコイル部品の製造時に発生する可能性がある不めっき不良を説明するための図面である。
【0061】
図18を参照すると、第2ビアパッド12'は、ビア13と同時に形成されることにより上部面が陥没した形態になる。これにより、レジスト1をパターニングする過程において第2ビアパッド12'の上部面にレジスト1の残留物が生じるようになる。その結果、シード層sを引込線にして電解めっきを行っても、ビアホールVHの内部に金属が成長しないため、ビアの不めっきによるオープン(open)不良が発生するようになる。
【0062】
図16のように第3コイル導体110cが形成されると、第3コイル導体110cを覆蓋する第4絶縁層120dを、第3絶縁層120c上に形成することにより、本発明のコイル部品を最終的に完成させることができる(S180、図17)。
【0063】
本実施形態では、3層構造のコイル導体110を基準に説明しているが、求められるスペックによってさらに多くの層数のコイル導体110を形成することができ、ビア112も階段型の他にジグザグ型で形成することができる。
【0064】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有するものには明らかである。
【符号の説明】
【0065】
100 コイル部品
110 コイル導体
111 ビアパッド
112 ビア
120 絶縁層
130 ベース基材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18