特開2016-13979(P2016-13979A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2016-13979クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物、及び化粧料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-13979(P2016-13979A)
(43)【公開日】2016年1月28日
(54)【発明の名称】クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物、及び化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/36 20060101AFI20151228BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20151228BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20151228BHJP
【FI】
   A61K8/36
   A61K8/06
   A61K8/34
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-135723(P2014-135723)
(22)【出願日】2014年7月1日
(11)【特許番号】特許第5658845号(P5658845)
(45)【特許公報発行日】2015年1月28日
(71)【出願人】
【識別番号】591040144
【氏名又は名称】太陽油脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086759
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 喜平
(74)【代理人】
【識別番号】100123548
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 晃二
(74)【代理人】
【識別番号】100154184
【弁理士】
【氏名又は名称】生富 成一
(72)【発明者】
【氏名】有吉 佐奈恵
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健一郎
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083CC01
4C083CC02
4C083CC05
4C083DD33
4C083EE01
4C083EE10
4C083EE12
4C083EE13
(57)【要約】
【課題】 合成界面活性剤を実質的に含有せず、その上で離水しにくく安定性に優れ、さらにはなじみやすさなどの優れた使用感を併せ持つクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物、及び化粧料を提供する。
【解決手段】 水、油性成分、脂肪酸及び脂肪酸のアルカリ塩を含有し、粘度が2,000〜90,000mPa・sのクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物であって、この乳化組成物全体中、合成界面活性剤を実質的に含有せず、脂肪酸としてベヘン酸、ステアリン酸及びパルミチン酸を含み、脂肪酸及び脂肪酸のアルカリ塩の合計含有量が3〜15重量%であり、脂肪酸中のベヘン酸/ステアリン酸/パルミチン酸の重量比が13〜68/17〜57/15〜50であり、脂肪酸のアルカリ塩中のベヘン酸アルカリ塩/ステアリン酸アルカリ塩/パルミチン酸アルカリ塩の重量比が13〜68/17〜57/15〜50である。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水、油性成分、脂肪酸及び前記脂肪酸のアルカリ塩を含有し、粘度が2,000〜90,000mPa・sのクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物であって、
クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物全体中、合成界面活性剤を実質的に含有せず、
前記脂肪酸としてベヘン酸、ステアリン酸及びパルミチン酸を含み、前記脂肪酸及び前記脂肪酸のアルカリ塩の合計含有量が3〜15重量%であり、
前記脂肪酸中のベヘン酸/ステアリン酸/パルミチン酸の重量比が13〜68/17〜57/15〜50であり、
前記脂肪酸のアルカリ塩中のベヘン酸アルカリ塩/ステアリン酸アルカリ塩/パルミチン酸アルカリ塩の重量比が13〜68/17〜57/15〜50である
ことを特徴とするクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物。
【請求項2】
クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に含有される前記脂肪酸及び前記脂肪酸のアルカリ塩の合計含量に対して、前記脂肪酸のアルカリ塩を20〜45重量%含有することを特徴とする請求項1に記載のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物。
【請求項3】
クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物全体中、高級アルコールを0.1〜1重量%含有する請求項1又は2に記載のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物。
【請求項4】
クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に含有される高級アルコール/脂肪酸の重量比が1/2未満であることを特徴とする請求項3に記載のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物。
【請求項5】
ベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸を除く油性成分を、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物全体中2〜14重量%含有することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物。
【請求項6】
前記脂肪酸としてベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸のみを含むことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物を含有する化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物、及び化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
乳化組成物は、油性成分と水溶性成分を混合し、均一に乳化させて得られるものであり、化粧用途においては、主にクリームや乳液などのスキンケア製品に利用されている。これらのスキンケア製品は、水分及び油分を効果的に補うことを目的としているが、当然ながら優れた使用感を実現することが求められる。一方で、製造後に経時的に水分が分離する場合があり、このような離水の発生は、乳化組成物の品質に悪影響を及ぼすことが懸念される。このため、乳化組成物には、使用感とともに、乳化の経時安定性(以下、乳化安定性)が求められ、いわゆる両親媒性物質を乳化剤として組成物内に含有させることが必須であり、特に、乳化剤としての効果が高く、安価に製造できる合成界面活性剤を使用することで乳化安定性を向上させることが一般的に行われている。
【0003】
一方、合成界面活性剤には、皮膚に刺激反応を誘発しやすく、肌荒れの原因が指摘されるものも存在する。このため、特に皮膚に用いることの多い化粧料用乳化組成物においては、合成界面活性剤を含有することなく、優れた乳化安定性及び使用感を有する製品を求める消費者も少なくない。
【0004】
合成界面活性剤を含有させることなく、化粧料用乳化組成物を製造する技術としては、例えば特許文献1,2に記載のように、高級アルコールを含有させる方法がある。このように化粧料用乳化組成物を高級アルコールを含有させて製造することで、その乳化安定性を向上させることが可能である。
また、常温で液状を呈する化粧用油成分と、常温で固形状を呈する化粧用油成分の両者を用い、これらの油成分を、カルボキシビニルポリマーのアルカリ中和塩水溶液(水性ゲル)により加温条件下で高速撹拌することにより、合成界面活性剤を含有させることなく、化粧料用乳化組成物を製造することも提案されている(特許文献3参照)。
さらに、カラギーナンなどの水溶性高分子を含有させることによって、合成界面活性剤を含有させることなく、化粧料用乳化組成物を製造することも提案されている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−271421号公報
【特許文献2】特開平7−267814号公報
【特許文献3】特開2004−224722号公報
【特許文献4】特開平8−245363号公報
【特許文献5】特開昭59−139920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、高級アルコールによる乳化組成物の安定化には、比較的多量の高級アルコールを含有させる必要があるため、その組成によっては、被膜感や粉っぽさなどの使用感の低下をもたらす場合がある。このため、高級アルコールを用いることなく、乳化組成物の安定性を向上させることができればより好ましい。
また、常温で液状を呈する化粧用油成分と常温で固形状を呈する化粧用油成分を水性ゲルにより加温条件下で高速撹拌する方法では、水性ゲルの調整が必要であるため製造工程がやや煩雑になる。また、乳化組成物に水性ゲルが多量に含まれると、使用感の調整が難しくなるという問題もあった。
さらに、水溶性高分子を使用すると、経時的に乳化物の粘度や高度が変化し、保存上の問題を生じることがある上に、水相、油相共に溶解しづらく、膨潤してダマを生じやすいため、グリセリンなどの多価アルコールに事前に溶解させたり、ホモジナイザー等の機械的な力を加えるなどの処理が必要となるため、工程が煩雑になるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明者らは鋭意研究し、乳化組成物における脂肪酸及び脂肪酸のアルカリ塩として、ベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸並びに、これら3種類の脂肪酸のアルカリ塩を含有させることにより、合成界面活性剤を用いることなく、優れた乳化安定性を実現することに成功し、本発明を完成させた。
【0008】
ここで、特許文献5には、ベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸などの直鎖飽和脂肪酸の少なくとも1種と室温で液状の脂肪酸の少なくとも1種とを含む合計3種以上の脂肪酸を塩にして、合計で0.5〜5wt%含む水中油型乳化物を乳液、クリーム、ファンデーションなどの化粧品に用いる技術が記載されている。しかしながら、当該技術では、合成界面活性剤を使用していたり、高級アルコールを多量に含んでいたりして、肌荒れや使用感への問題があった。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、合成界面活性剤を実質的に含有せず、その上で離水しにくく安定性に優れ、さらにはなじみやすさなどの優れた使用感を併せ持つクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物、及び化粧料の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するため、本発明のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、水、油性成分、脂肪酸及び前記脂肪酸のアルカリ塩を含有し、粘度が2,000〜90,000mPa・sのクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物であって、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物全体中、合成界面活性剤を実質的に含有せず、前記脂肪酸としてベヘン酸、ステアリン酸及びパルミチン酸を含み、前記脂肪酸及び前記脂肪酸のアルカリ塩の合計含有量が3〜15重量%であり、前記脂肪酸中のベヘン酸/ステアリン酸/パルミチン酸の重量比が13〜68/17〜57/15〜50であり、前記脂肪酸のアルカリ塩中のベヘン酸アルカリ塩/ステアリン酸アルカリ塩/パルミチン酸アルカリ塩の重量比が13〜68/17〜57/15〜50であるものとしてある。
【0011】
また、本発明のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に含有される前記脂肪酸及び前記脂肪酸のアルカリ塩の合計含量に対して、前記脂肪酸のアルカリ塩を20〜45重量%含有するものとしてある。
【0012】
また、本発明のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物全体中、高級アルコールを0.1〜1重量%含有するものとしてある。
さらに、本発明のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に含有される高級アルコール/脂肪酸の重量比が1/2未満であるものとしてある。
【0013】
また、本発明のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、ベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸を除く油性成分を、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物全体中2〜14重量%含有するものとしてある。
また、本発明のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、前記脂肪酸としてベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸のみを含むものとしてある。
さらに、本発明の化粧料は、上記のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物を含有するものとしてある。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、合成界面活性剤を実質的に含有せず、その上で離水しにくく安定性に優れ、さらにはなじみやすさなどの優れた使用感を併せ持つクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物、及び化粧料の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物におけるベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸の好適な配合割合を特定するための試験1の結果を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物におけるベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸の好適な配合割合を特定するための試験2の結果を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物におけるベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸の好適な配合割合を特定するための試験3の結果を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物におけるベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸の好適な配合割合を示す三角図である。
図5】本発明の実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物における脂肪酸のアルカリ塩(石けん分)の好適な含有割合を特定するための試験4の結果を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に含有される脂肪酸及び脂肪酸のアルカリ塩の好適な合計含量を特定するための試験5の結果を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物における高級アルコールの併用による乳化安定性、粘度及び使用感への影響を検証するための試験6の結果を示す図である。
図8】本発明の実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物における配合脂肪酸の種類の好適な組み合わせを特定するための試験7の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
本発明の実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、水、油性成分、脂肪酸及び脂肪酸のアルカリ塩を含有し、粘度が2,000〜90,000mPa・sのクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物であって、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物全体中、合成界面活性剤を実質的に含有せず、脂肪酸としてベヘン酸、ステアリン酸及びパルミチン酸を含み、脂肪酸及び脂肪酸のアルカリ塩の合計含有量が3〜15重量%であり、脂肪酸中のベヘン酸/ステアリン酸/パルミチン酸の重量比が13〜68/17〜57/15〜50であり、脂肪酸のアルカリ塩中のベヘン酸アルカリ塩/ステアリン酸アルカリ塩/パルミチン酸アルカリ塩の重量比が13〜68/17〜57/15〜50であることを特徴とする。
【0017】
すなわち、化粧料用乳化組成物において、合成界面活性剤を使用しなかったり、高級アルコールの使用量を減らしたりすると、その乳化安定性が極端に低下するところ、本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物によれば、ベヘン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、並びにこれら3種類の脂肪酸のアルカリ塩を特定の組成で使用することで、外相中に液晶の形成を促進し、乳化性及び安定性を大幅に向上させると共に、乳化物に硬度(粘度上昇)が生じ、外相の流動性が抑制されることで乳化の不安定化を抑制できる。
また、従来、合成界面活性剤を使用しない乳化安定化のアプローチとして知られている高級アルコールの併用では、高級アルコールが比較的多量(1%以上)に必要となることで、被膜感やなじみにくさといった使用感の低下が起こりやすい。これに対して、本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物によれば、高級アルコール無添加の状態でも十分な乳化安定性が得られ、また、高級アルコールを少量(例えば0.25%)添加することで安定性に飛躍的な向上が見られるため、乳化安定性と使用感の両面で優れた化粧料用乳化組成物を得ることが可能となっている。
【0018】
本実施形態に係る「クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物」には、化粧又は美容のために用いられる乳化組成物が広く含まれる。
本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物からなる製品としては、例えばモイスチャークリーム、クレンジングクリーム、コールドクリーム、バニシングクリーム、ナリシングクリーム、ファンデーションクリーム、ひげそり用クリーム、ヘアクリーム、ハンドクリーム、ボディークリーム、シャンプー、コンディショナー、乳液等を挙げることができる。
【0019】
本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、「脂肪酸」として、ベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸の3種類を含有する。
また、本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、「脂肪酸のアルカリ塩(石けん分)」として、ベヘン酸アルカリ塩、ステアリン酸アルカリ塩、及びパルミチン酸アルカリ塩を含有する。
これらの脂肪酸のアルカリ塩は、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の製造にあたり、系内で脂肪酸とアルカリとを反応させることにより、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に含有させることができる。
また、予め調製された脂肪酸のアルカリ塩を配合することにより、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に含有させることもできる。
さらに、系内での脂肪酸とアルカリとの反応、及び予め調製された脂肪酸のアルカリ塩の配合を併用することにより、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に含有させることも可能である。
【0020】
本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の製造にあたり、脂肪酸のアルカリ塩を、系内で脂肪酸とアルカリとを反応させることによりクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に含有させる場合、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物には、反応により得られた脂肪酸のアルカリ塩と、反応せずに残留する脂肪酸(残留脂肪酸)が含有される。
【0021】
本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の製造にあたり、脂肪酸のアルカリ塩を、系内で脂肪酸とアルカリとを反応させることによりクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に含有させる場合、原料として油性成分に配合するベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸(これら3種類の脂肪酸を、配合脂肪酸と称する場合がある)の割合は、製造されたクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に含有されるベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸の含有割合、並びに製造されたクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に含有されるベヘン酸アルカリ塩、ステアリン酸アルカリ塩、及びパルミチン酸アルカリ塩の含有割合と同等と考えることができる。
【0022】
ベヘン酸アルカリ塩としては、ベヘン酸ナトリウム、ベヘン酸カリウム等の陰イオン界面活性剤が挙げられ、ベヘン酸カリウムであることが特に好ましい。
同様に、ステアリン酸アルカリ塩としては、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等の陰イオン界面活性剤が挙げられ、ステアリン酸カリウムであることが特に好ましい。
また同様に、パルミチン酸アルカリ塩としては、パルミチン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム等の陰イオン界面活性剤が挙げられ、パルミチン酸カリウムであることが特に好ましい。
【0023】
本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、脂肪酸の合計100重量%に対して、ベヘン酸を13〜68重量%、ステアリン酸を17〜57重量%、及びパルミチン酸を15〜50重量%含有し、脂肪酸のアルカリ塩の合計100重量%に対して、ベヘン酸アルカリ塩を13〜68重量%、ステアリン酸アルカリ塩を17〜57重量%、及びパルミチン酸アルカリ塩を15〜50重量%含有する。
すなわち、図4において、以下の5点:(A=68,B=17,C=15);(A=28,B=57,C=15);(A=13,B=57,C=30);(A=13,B=37,C=50);及び(A=33,B=17,C=50)で囲まれる範囲内の重量比で脂肪酸及び脂肪酸のアルカリ塩をそれぞれ含有する。
ベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸の含有割合、並びにこれら3種類の脂肪酸のアルカリ塩の含有割合をこのようにすると、得られるクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物が離水しにくく、安定な状態を長期間維持することが可能となり、また使用感も優れたものとすることが可能となる。
【0024】
このような観点から、本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、脂肪酸の合計100重量%に対して、ベヘン酸を20〜60重量%、ステアリン酸を20〜57重量%、及びパルミチン酸を20〜40重量%含有し、脂肪酸のアルカリ塩の合計100重量%に対して、ベヘン酸アルカリ塩を20〜60%、ステアリン酸アルカリ塩を20〜57重量%、及びパルミチン酸アルカリ塩を20〜40重量%含有することが好ましい。
すなわち、図4において、以下の5点:(A=60,B=20,C=20);(A=23,B=57,C=20);(A=20,B=57,C=23);(A=20,B=40,C=40);及び(A=40,B=20,C=40)で囲まれる範囲内の重量比で脂肪酸及び脂肪酸のアルカリ塩をそれぞれ含有することが好ましい。
【0025】
また、本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、脂肪酸の合計100重量%に対して、ベヘン酸を20〜40重量%、ステアリン酸を30〜50重量%、及びパルミチン酸を30〜40重量%含有し、脂肪酸のアルカリ塩の合計100重量%に対して、ベヘン酸アルカリ塩を20〜40%、ステアリン酸アルカリ塩を30〜50重量%、及びパルミチン酸アルカリ塩を30〜40重量%含有することがより好ましい。
すなわち、図4において、以下の4点:(A=40,B=30,C=30);(A=20,B=50,C=30);(A=20,B=40,C=40);及び(A=30,B=30,C=40)で囲まれる範囲内の重量比で脂肪酸及び脂肪酸のアルカリ塩をそれぞれ含有することがより好ましい。
【0026】
本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物において、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に含有される脂肪酸及び脂肪酸のアルカリ塩の合計含量を、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の全量に対して、3〜15重量%とすることが好ましい。
脂肪酸及び脂肪酸のアルカリ塩の合計含量をこのようにすると、得られるクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物を離水しにくく、使用感を優れたものにすることが可能になると共に、その粘度をより適切にすることができるためである。
このような観点から、脂肪酸及び脂肪酸のアルカリ塩の合計含量を、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の全量に対して、4〜13重量%とすることがより好ましく、9〜13重量%とすることがさらに好ましく、10〜12重量%とすることがより一層好ましい。
【0027】
本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、その粘度に応じた硬さを有するものとして製造され、粘度が2000〜90000mPa・sの場合に、特に好適に用いることが可能である。
【0028】
本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物において、脂肪酸のアルカリ塩である、ベヘン酸アルカリ塩、ステアリン酸アルカリ塩、及びパルミチン酸アルカリ塩は、乳化剤としての役割を果たす。
本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物において、脂肪酸のアルカリ塩の含量を、脂肪酸及び脂肪酸のアルカリ塩の合計含量に対して、20〜45重量%とすることが好ましい。
脂肪酸のアルカリ塩の含量をこのようにすると、得られるクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の安定性と使用感を共に優れたものにすることが可能になるためである。
このような観点から、脂肪酸のアルカリ塩の含量を、脂肪酸及び脂肪酸のアルカリ塩の合計含量に対して、24〜42重量%とすることがより好ましく、26〜42重量%とすることがさらに好ましい。
【0029】
本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、ベヘン酸、ステアリン酸及びパルミチン酸を含む油性成分と、水を含む水性成分とを前記脂肪酸のアルカリ塩の存在下で乳化機を用いて混合、乳化することによって製造することができる。
本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の原料となるベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸を除く油性成分は、通常の水中油型乳化組成物に配合される油分であれば特に制限はなく、例えば、オリーブ油、アーモンド油、ゴマ油、アボガド油、ヒマシ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、ククイナッツ油、ローズヒップ油、杏仁油、ナタネ油、バオバブ油、アルガニアスピノサ核油、ヒマワリ油、コメヌカ油、ホホバ油、アマニ油、コーン油、ブドウ種子油、小麦胚芽油、米胚芽油、綿実油、大豆油、落花生油、茶実油、月見草油、ミンク油、卵黄油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、シア脂、カカオ脂、牛脂、羊脂、豚脂、馬脂等のアシルグリセロール及びそれらの硬化油、分別油、エステル交換油、ホホバ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、モクロウ、ホホバロウ、綿ロウ、ヒマワリワックス、ライスワックス、ラノリン等のロウ類、スクワラン、スクワレン等の炭化水素油等を適宜含有させることができる。
本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物において、ベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸を除く油性成分の含量は、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の全量に対して、例えば2〜14重量%とすることが好ましい。
【0030】
本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の原料となる水溶性成分は、水のみに限定されず、保湿剤等のその他の成分を含めることができる。保湿剤としては、例えばグリセリン、プロパンジオール、1,3-ブチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、イノシトール、トレハロース、ベタイン、グルコース、マルトース、マルチトール、D-マンニット、スクロース、フルクトース、ラフィノース、ヒアルロン酸ナトリウム、グルコシルセラミド、澱粉分解糖、澱粉分解還元アルコール等が挙げられる。
本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物において、保湿剤の含量は、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の全量に対して、例えば2〜25重量%とすることができる。
【0031】
また、本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物において、多様な薬効を有する各種の抽出物を、水溶性成分のその他の成分として含有させることができる。例えば、アロエエキス、ウイキョウエキス、カミツレエキス、カワラヨモギエキス、クマザサエキス、チンピエキス、シラカバエキス、ビワエキス、シソエキス、ヒバマタエキス、ボタンピエキス、ヘチマエキス、ムクロジエキス、ジオウエキス、スイカズラエキス、ジュウヤクエキス、ジユエキス、緑茶エキス、オウバクエキス、セージエキス、ローズマリーエキス、チョウジエキス、カンゾウエキス、クインスシードエキス、柿葉エキス、ペパーミントエキス、ヨクイニンエキス、セイヨウサンザシエキス、ノバラエキス、ビルベリーエキス、ザクロエキス、コメヌカエキス、オタネニンジンエキス、ニンジンエキス、トマトエキス、ソウハクヒエキス、シャクヤクエキス、ユキノシタエキス、ユーカリエキス、プラセンタエキス、シルク抽出液等を含有させることができる。
【0032】
本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の製造にあたり、脂肪酸のアルカリ塩を、系内で脂肪酸とアルカリとを反応させることによりクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に含有させる場合、アルカリは、上述したように、脂肪酸のアルカリ塩の含量が、脂肪酸及び脂肪酸のアルカリ塩の合計含量に対して、20〜45重量%となるように配合することが好ましく、24〜42重量%となるように配合することがより好ましく、26〜42重量%となるように配合することがさらに好ましい。
アルカリとしては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等を用いることができ、水酸化カリウムを用いることが好ましい。
【0033】
本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、合成界面活性剤を含有させることなく製造することができる。この「合成界面活性剤」とは、一個の分子中に親水基と親油基を同時に持ち合わせており、且つ乳化力、可溶化力、分散力等を持つ成分のうち天然に存在しない成分のことである。
具体的には、例えばショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、POE−ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、POE−アルキルエーテル、POE−アルキルフェニルエーテル、POE・POP−グリコール、POE・POP−アルキルエーテル、及びそれらの誘導体等が挙げられる(POEはポリオキシエチレン鎖、POPはポリオキシプロピレン鎖を表す)。
なお、本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に含有される石けん成分は、界面活性剤の一種であるが、家庭用品品質表示法において「純石けん分」として合成界面活性剤とは明確に区別されており、合成界面活性剤とは別種のものである。
【0034】
本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の製造にあたり、水は他の成分を除いた残量分が配合される。
本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物における水の含量は、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の全量に対して、例えば、60〜90重量%とすることができる。
なお、本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に、その他に一般的に使用されている酸化防止剤、防腐剤、増粘剤、pH調整剤、キレート剤、紫外線散乱剤、紫外線吸収剤、無機鉱物、美白剤、香料、色素等を含有させても良い。
【0035】
さらに、本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物において、高級アルコールを含有させることもできる。高級アルコールとしては、例えばホホバアルコール、硬化ホホバアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等が挙げられる。
上述したように、高級アルコールによる乳化組成物の安定化には、比較的多量の高級アルコールを含有させる必要があるため、その組成によっては、被膜感や粉っぽさなどの使用感の低下をもたらす場合がある。しかしながら、本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物における脂肪酸組成と共に高級アルコールを用いることで、比較的少量の高級アルコールの添加でも飛躍的な安定性の向上が見られるため、使用感に優れ、かつ安定性を向上させたクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物を製造することが可能である。
このとき、高級アルコールの含量としては、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の全量に対して、0.1〜1重量%とすることが好ましく、0.25〜0.9重量%とすることがより好ましい。
また、高級アルコールの含量としては、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に含有される脂肪酸の含量に対して、1/2未満とすることが好ましい。
【実施例】
【0036】
以下、本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に適する脂肪酸及び脂肪酸のアルカリ塩の組成を特定するために行った試験等について詳細に説明するが、本発明は、以下の構成に限定されるものではない。
なお、以下の試験では、脂肪酸のアルカリ塩を、系内で脂肪酸とアルカリとを反応させることによりクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に含有させているため、上述したように、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に配合させるベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸の割合は、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に含有されるベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸の含有割合、並びにクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に含有されるベヘン酸アルカリ塩、ステアリン酸アルカリ塩、及びパルミチン酸アルカリ塩の含有割合と同じであるため、組成は、配合脂肪酸の割合として表す。
【0037】
[試験1]
本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に適する脂肪酸組成を特定するために、ベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸の3種類の脂肪酸のうち、まずは1種類又は2種類の組み合わせについて、各種組成割合毎にクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物を製造し、それぞれの乳化安定性、粘度及び使用感についての評価を行った。
【0038】
具体的には、本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に配合させるベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸の3成分の好適な配合割合の範囲を特定するため、以下のB1〜B6までの6通りの脂肪酸組成について試験を行った。
以下、本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に配合させるベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸の合計配合量に対する、ベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸の割合を、(ベヘン酸(重量%):ステアリン酸(重量%):パルミチン酸(重量%))の形式で示す。
【0039】
B1(100:0:0)
B2(0:100:0)
B3(0:0:100)
B4(50:50:0)
B5(0:50:50)
B6(50:0:50)
【0040】
クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の製造は、次のように行った。
まず、油性成分として、配合脂肪酸の合計配合量をクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の全量の10重量%とし、B1〜6のそれぞれについて、脂肪酸成分を上記各割合で処方した。また、その他の油性成分として、ハイオレイックヒマワリ油、ホホバ油、オリーブスクワランからなる液体油を8重量%、防腐剤を0.12重量%、及び酸化防止剤を0.05重量%処方した。そして、これらの油性成分を混合した。
【0041】
また、水溶性成分として、グリセリンを18重量%、エキス成分を0.1重量%の割合で処方した。また、脂肪酸のアルカリ塩の合計含量が3.0重量%となるようにアルカリとして48%KOH水溶液を処方し、残りを全て水として、これらの水溶性成分を混合した。
【0042】
次いで、油性成分を70℃に、水溶性成分を75℃に加温して、水溶性成分に油性成分を加え、真空乳化機PVQ−3UN(みづほ工業株式会社製)を用いて均一に乳化した。その後、得られた乳化組成物を撹拌混合しながら室温まで冷却し、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物を得た。
【0043】
クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の乳化安定性の評価は、次の試験方法により行った。
すなわち、製造後1日経過したクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物を、チャック付きスタンドパック袋 ラミジップLZ-9(株式会社生産日本社製)の底部に40g入れ、ある程度袋を膨らませた状態でチャックをして、熱シールで密封した。これを10℃の恒温槽に入れて3時間以上放置した。次に加圧棒が固定されたレオメーター用昇降テーブルを恒温槽に入れ、上記の袋をテーブルに両面テープで固定した。テーブルを稼働させて加圧棒が袋の底部におけるクリームを十分に押圧できるように調整した。そして、この加圧装置を用いて、毎分24回、24時間加圧を行った。加圧終了後、クリームを底部に寄せて逆さにし、そのまま10℃の恒温槽で離水するまで保存した。
【0044】
また、次の市販のクリームについて、上記と同じ方法で乳化安定性の評価を行った。
すなわち、合成界面活性剤である(ステアリン酸/リンゴ酸)グリセリルが乳化剤として用いられた化粧料用乳化組成物(市販クリームA)と、天然の界面活性剤である水添レシチンが乳化剤として用いられた化粧料用乳化組成物(市販クリームB)について評価を行った。
その結果、市販クリームAは保存開始後4日目に離水し、市販クリームBは保存開始後2日目に離水した。
【0045】
そこで、上記試験におけるクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の乳化安定性の評価基準を、保存開始日から離水の確認された日までの期間(図中の離水までの期間)にもとづいて、以下のように規定した。
・加圧中に離水 :非常に低い(図中の×)
・1〜3日で離水 :比較的低い(図中の△)
・4〜6日で離水 :比較的高い(図中の○)
・7〜19日で離水:非常に高い(図中の◎)
・20日以上で離水:極度に高い(図中の☆)
【0046】
クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の粘度の評価は、製造の翌日のクリームについて、VISCOMETER(BROOKFIELD社製)及び4号ローターを使用して粘度[mPa・s]を測定することにより行った。
【0047】
クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の使用感の評価は、室温20℃の部屋において、製造翌日のクリームを肌に塗布した際の使用感について評価することにより行った。
具体的には、なじみやすさ、水っぽさ、保湿感、被膜感の4つの指標について、以下の4段階の基準でそれぞれを評価すると共に、これらを合計して総合評価を行った。
(各指標の個別評価)
・4点:非常に良い
・3点:比較的良い
・2点:比較的悪い
・1点:非常に悪い
(総合評価)
・13点以上 :非常に良い(図中の◎)
・11,12点:比較的良い(図中の○)
・9,10点 :比較的悪い(図中の△)
・8点以下 :非常に悪い(図中の×)
【0048】
B1〜6についてのクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の乳化安定性、粘度、及び使用感の評価結果と、市販クリームA,Bについての乳化安定性の評価結果を図1に示す。なお、B1〜B3は製造直後に離水したため、使用感の評価は行っていない。
【0049】
図1に示されるように、ベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸のうち、1成分又は2成分のみを配合して得られたクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物(比較例1〜6)は、安定性が非常に低いか又は比較的低いことがわかる。
合成界面活性剤である(ステアリン酸/リンゴ酸)グリセリルが乳化剤として用いられた市販クリームA(比較例7)は、安定性が比較的高く、1成分又は2成分のみを配合して得られたクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、いずれも市販クリームAよりも安定性が劣っていることがわかる。
また、天然の界面活性剤である水添レシチンが乳化剤として用いられた市販クリームB(比較例8)は、安定性が比較的低いものであった。
【0050】
[試験2]
次に、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に配合させるベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸の3成分の割合を以下のE1〜E10の10通りとして、それぞれのクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物を製造し、乳化安定性、粘度、使用感についての評価を行った。本試験のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の製造方法、並びに乳化安定性、粘度、及び使用感についての評価方法は、試験1と同様である。
【0051】
E1(80:10:10)
E2(10:80:10)
E3(10:10:80)
E4(45:45:10)
E5(10:45:45)
E6(45:10:45)
E7(33:33:33)
E8(57:22:22)
E9(22:57:22)
E10(22:22:57)
【0052】
E1〜10についてのクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の乳化安定性、粘度、及び使用感の評価結果を図2に示す。
図2において、E7(33:33:33)(実施例1)、E8(57:22:22)(実施例2)、及びE9(22:57:22)(実施例3)の脂肪酸組成のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、極度に高い又は非常に高い安定性を示している。また、これらのクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の使用感は、非常に良いか又は比較的良く、粘度も適切な値を示している。
【0053】
[試験3]
次に、本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に配合させるベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸の3成分の好適な配合割合を特定するために、さらに以下の9通りについて、それぞれのクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物を製造し、乳化安定性、粘度、使用感についての評価を行った。本試験のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の製造方法、並びに乳化安定性、粘度、及び使用感についての評価方法は、試験1と同様である。
【0054】
G1(20:70:10)
G2(20:60:20)
G3(20:40:40)
G4(40:20:40)
G5(20:50:30)
G6(20:30:50)
G7(30:20:50)
G8(67:17:17)
G9(60:20:20)
【0055】
G1〜9についてのクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の乳化安定性、粘度、及び使用感の評価結果を図3に示す。
図3において、G3(20:40:40)(実施例4)、G4(40:20:40)(実施例5)、G5(20:50:30)(実施例6)、G6(20:30:50)(実施例7)、G7(30:20:50)(実施例8)、G8(67:17:17)(実施例9)、及びG9(60:20:20)(実施例10)の脂肪酸組成のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、極度に高いか、非常に高いか、又は比較的高い安定性を示している。また、これらのクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の使用感は、非常に良いか又は比較的良く、粘度も適切な値を示している。
【0056】
(乳化安定範囲の特定)
試験1〜3により優れた乳化安定性及び使用感を示すことが確認された配合脂肪酸の組成を、三角図に表した。なお、上述したように、本試験では、配合脂肪酸の割合は、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物中の脂肪酸の含有割合、及びクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物中の脂肪酸のアルカリ塩の含有割合と同じである。その結果を図4に示す。
図4の三角図において、(A)は、ベヘン酸を、(B)は、ステアリン酸を、(C)は、パルミチン酸を示し、右斜辺がベヘン酸の重量%を、左斜辺がステアリン酸の重量%を、底辺がパルミチン酸の重量%をそれぞれ示している。三角図内の任意の点により、これら3種類の脂肪酸の合計が100重量%となる脂肪酸組成を表すことができる。
【0057】
優れた乳化安定性及び使用感を示すことが確認された脂肪酸組成は、以下の5点:(A=68,B=17,C=15);(A=28,B=57,C=15);(A=13,B=57,C=30);(A=13,B=37,C=50);及び(A=33,B=17,C=50)で囲まれる重量比の範囲、すなわち、ベヘン酸を13〜68重量%、ステアリン酸を17〜57重量%、及びパルミチン酸を15〜50重量%の範囲に存在していることがわかる。
【0058】
またその多くは、以下の5点:(A=60,B=20,C=20);(A=23,B=57,C=20);(A=20,B=57,C=23);(A=20,B=40,C=40);及び(A=40,B=20,C=40)で囲まれる重量比の範囲、すなわちベヘン酸が20〜60重量%、ステアリン酸が20〜57重量%、及びパルミチン酸が20〜40重量%の範囲に存在している。
【0059】
さらに、以下の4点:(A=40,B=30,C=30);(A=20,B=50,C=30);(A=20,B=40,C=40);及び(A=30,B=30,C=40)で囲まれる重量比の範囲、すなわちベヘン酸が20〜40重量%、ステアリン酸が30〜50重量%、及びパルミチン酸が30〜40重量%の範囲には、特に乳化安定性に優れた脂肪酸組成が集中していることがわかる。
このように、本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、上記の配合脂肪酸の組成、すなわちクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物中の脂肪酸の含有割合、及びクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物中の脂肪酸のアルカリ塩の含有割合の範囲において、特に優れた乳化安定性及び使用感を示すことが明らかとなった。
【0060】
[試験4]
本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物における脂肪酸のアルカリ塩の好適な含有割合を特定するための試験を行った。
具体的には、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物における配合脂肪酸の合計配合量を10重量%とし、脂肪酸のアルカリ塩の含量を2.0重量%,2.5重量%,3.0重量%,3.5重量%,4.0重量%,4.5重量%,5.0重量%,5.5重量%とし、脂肪酸組成を(20:50:30)として、各クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物を製造し、それぞれの乳化安定性、粘度及び使用感についての評価を行った。本試験のその他の点についてのクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の製造方法、並びに乳化安定性、粘度、及び使用感についての評価方法は、試験1と同様である。その結果を図5に示す。なお、図5におけるK3のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、上述したG5(実施例6)のものと同一である。
【0061】
図5において、「脂肪酸配合量」は、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に配合されるベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸の合計配合量を示している。
また、「脂肪酸アルカリ塩(A)」は、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に含有されるベヘン酸カリウム、ステアリン酸カリウム、及びパルミチン酸カリウムの合計含量を示している。
また、「脂肪酸+脂肪酸アルカリ塩(B)」は、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に含有される脂肪酸及び脂肪酸アルカリ塩の合計含量を示しており、配合される脂肪酸及び配合されるアルカリの合計配合量に相当する。
また、「石けん分割合(A/B)」は、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に含有される脂肪酸及び脂肪酸のアルカリ塩の合計含量に対する脂肪酸のアルカリ塩の合計含量の割合を示している。
これらの定義は、後述する図6、7においても同様である。
【0062】
図5に示される通り、脂肪酸アルカリ塩が2.0重量%で、石けん分割合が19.4重量%のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物(比較例18)は、粘度が適切な値であり、比較的良い使用感を示しているが、非常に低い安定性を示した。
一方、脂肪酸アルカリ塩が2.5〜4.5重量%で、石けん分割合が24.0〜41.9重量%のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物(実施例11,7,12〜14)は、粘度が適切な値であり、非常に良い又は比較的良い使用感を示し、極度に高い又は非常に高い安定性を示した。
また、脂肪酸アルカリ塩が5.0〜5.5重量%で、石けん分割合が46.2〜50.4重量%のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物(比較例19,20)は、粘度が適切な値であり、非常に良い又は比較的良い使用感を示すものの、非常に低い又は比較的低い安定性を示した。
【0063】
したがって、本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に含有される脂肪酸及び脂肪酸のアルカリ塩の合計含量に対して、脂肪酸のアルカリ塩が20〜45重量%含有されることが好適であることが分った。
【0064】
[試験5]
本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に含有される脂肪酸及び脂肪酸のアルカリ塩の好適な合計含量を特定するための試験を行った。
具体的には、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物における脂肪酸配合量が2重量%,4重量%,8重量%,12重量%,16重量%である場合のそれぞれについて、石けん分割合を28.6重量%、脂肪酸組成を(33:33:33)として、各クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物を製造し、それぞれの乳化安定性、粘度及び使用感についての評価を行った。本試験のその他の点についてのクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の製造方法、並びに乳化安定性、粘度、及び使用感についての評価方法は、試験1と同様である。その結果を図6に示す。
【0065】
図6に示される通り、脂肪酸及び脂肪酸のアルカリ塩の合計含量が2.1重量%のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、非常に良い使用感を示したものの、粘度が極端に低く、非常に低い安定性を示した(比較例21)。
一方、脂肪酸及び脂肪酸のアルカリ塩の合計含量が4.2〜12.6重量%のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、粘度が適切な値であり、比較的良い使用感を示し、非常に高い安定性を示した(実施例15〜17)。
また、脂肪酸及び脂肪酸のアルカリ塩の合計含量が16.8重量%のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、非常に高い安定性を示したものの、粘度が極端に高く、比較的悪い使用感を示した(比較例22)。
したがって、本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に含有される脂肪酸及び脂肪酸のアルカリ塩の合計含量を3〜15重量%とすることが好適であることが分った。
【0066】
[試験6]
本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物における高級アルコールの併用による乳化安定性、粘度及び使用感への影響を検証するための試験を行った。
具体的には、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物における脂肪酸配合量を10重量%、石けん分割合を28.6重量%、脂肪酸組成を(33:33:33)とし、ベヘニルアルコールの含量を0.25重量%、0.5重量%、0.75重量%として、各クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物を製造した。このとき、ベヘニルアルコールの含量分だけクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に含有させる水分量を減らした。その他の点については、本試験のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の製造は、試験1と同様の方法で行った。
そして、各クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の乳化安定性、粘度及び使用感についての評価を行った。乳化安定性、粘度、及び使用感についての評価方法は、試験1と同様である。その結果を図7に示す。なお、図7におけるP1のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、上述したE7(実施例1)のものと同一である。
【0067】
図7に示される通り、ベヘニルアルコールを含有させて製造したクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、いずれも極度に高い安定性と、非常に良いか又は比較的良い使用感を示し、粘度も適切な値であった(実施例18〜20)。
【0068】
[試験7]
本実施形態に係るクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物における配合脂肪酸の種類の好適な組み合わせを確認するための試験を行った。
具体的には、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物における配合脂肪酸の合計配合量を10重量%、石けん分割合を28.6重量%とし、脂肪酸組成を(ベヘン酸:ステアリン酸:パルミチン酸)=(33:33:33)、(ベヘン酸:パルミチン酸:オレイン酸)=(33:33:33)、(ベヘン酸:ステアリン酸:ミリスチン酸)=(33:33:33)として、各クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物を製造し、それぞれの乳化安定性、粘度及び使用感についての評価を行った。本試験のその他の点についてのクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の製造方法、並びに乳化安定性、粘度、及び使用感についての評価方法は、試験1と同様である。その結果を図8に示す。なお、図8におけるR1のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物は、上述したE7(実施例1)のものと同一である。
【0069】
図8において、「脂肪酸配合量」は、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に配合されるベヘン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、及びミリスチン酸の合計配合量を示している。
また、「脂肪酸アルカリ塩(A)」は、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に含有されるベヘン酸カリウム、ステアリン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、オレイン酸カリウム、及びミリスチン酸カリウムの合計含量を示している。
なお、「脂肪酸+脂肪酸アルカリ塩(B)」、並びに「石けん分割合(A/B)」は試験4における定義と同一である。
【0070】
図8に示される通り、脂肪酸組成が(ベヘン酸:ステアリン酸:パルミチン酸)=(33:33:33)の場合、粘度が適切な値であり、非常に良い使用感を示し、非常に高い安定性を示した(実施例1)。
一方、脂肪酸組成が(ベヘン酸:パルミチン酸:オレイン酸)=(33:33:33)の場合、粘度が適切な値であり、非常に良い使用感を示したものの、非常に低い安定性を示した(比較例22)。また、脂肪酸組成が(ベヘン酸:ステアリン酸:ミリスチン酸)=(33:33:33)の場合、粘度が適切な値であり、比較的良い使用感を示したものの、比較的低い安定性を示した(比較例23)。
したがって、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物における配合脂肪酸の種類の組み合わせとしては、(ベヘン酸:ステアリン酸:パルミチン酸)が好適であることが確認できた。
【0071】
以上、本発明のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物の好ましい実施形態と実施例について説明したが、本発明のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物はこれらの実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、脂肪酸以外の油性成分として、実施例とは異なる他の液体油を含有させるなど適宜変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、合成界面活性剤を含有させることなく、化粧料用の乳化組成物を製造する場合に、好適に利用することが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2014年10月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水、油性成分、脂肪酸及び前記脂肪酸のアルカリ塩を含有し、粘度が2,000〜90,000mPa・sのクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物であって、
クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物全体中、合成界面活性剤を実質的に含有せず、
前記アルカリ塩がナトリウム塩又はカリウム塩であり、
前記脂肪酸としてベヘン酸、ステアリン酸及びパルミチン酸を含み、前記脂肪酸及び前記脂肪酸のアルカリ塩の合計含有量が3〜15重量%であり、
前記脂肪酸中のベヘン酸/ステアリン酸/パルミチン酸の重量比が13〜68/17〜57/15〜50であり、
前記脂肪酸のアルカリ塩中のベヘン酸アルカリ塩/ステアリン酸アルカリ塩/パルミチン酸アルカリ塩の重量比が13〜68/17〜57/15〜50であり、
クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に含有される前記脂肪酸及び前記脂肪酸のアルカリ塩の合計含量に対して、前記脂肪酸のアルカリ塩を20〜45重量%含有する
ことを特徴とするクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物。
【請求項2】
クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物全体中、高級アルコールを0.1〜1重量%含有する請求項に記載のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物。
【請求項3】
クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物に含有される高級アルコール/脂肪酸の重量比が1/2未満であることを特徴とする請求項に記載のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物。
【請求項4】
ベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸を除く油性成分を、クリーム状化粧料用水中油型乳化組成物全体中2〜14重量%含有することを特徴とする請求項1〜の何れかに記載のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物。
【請求項5】
前記脂肪酸としてベヘン酸、ステアリン酸、及びパルミチン酸のみを含むことを特徴とする請求項1〜の何れかに記載のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物。
【請求項6】
請求項1〜の何れかに記載のクリーム状化粧料用水中油型乳化組成物からなる化粧料。