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特開2016-141314車載システム、車載器、情報処理方法および情報処理プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-141314(P2016-141314A)
(43)【公開日】2016年8月8日
(54)【発明の名称】車載システム、車載器、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20160711BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20160711BHJP
【FI】
   B60R16/02 640K
   G01C21/26 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-19793(P2015-19793)
(22)【出願日】2015年2月3日
(71)【出願人】
【識別番号】391065611
【氏名又は名称】株式会社テクトム
(74)【代理人】
【識別番号】100134430
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 卓士
(72)【発明者】
【氏名】富田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】筒井 勇
【テーマコード(参考)】
2F129
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129EE02
2F129EE38
2F129EE43
2F129EE88
(57)【要約】
【課題】車両使用時の走行状態を考慮して、走行距離に基づく適切な情報提供を行なうこと。
【解決手段】車載器が、車両の走行距離を検出する走行距離検出部と、車両の走行状態を検出する走行状態検出部と、車両の運転者に所定情報を報知すべき報知条件を走行距離が満たし、かつ、運転者に所定情報を報知することを許す報知許可条件を走行状態が満たす場合に、運転者に所定情報を報知する報知部と、を備える。さらに、車両の走行位置を検出する走行位置検出部を備えて、サービス提供の報知ができる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行距離を取得する走行距離取得手段と、
前記車両の走行状態を取得する走行状態取得手段と、
前記車両の運転者に所定情報を報知する報知条件を前記走行距離が満たし、かつ、前記運転者に前記所定情報を報知することを許す報知許可条件を前記走行状態が満たす場合に、前記所定情報を前記運転者に報知する報知手段と、
を備えた車載器。
【請求項2】
前記報知手段は、前記運転者が設定した報知希望距離より短い所定距離を前記走行距離が超え、かつ、前記運転者に前記所定情報を報知することを許す報知許可条件を前記走行状態が満たす場合に、前記走行距離が前記報知希望距離に近付いたことを通知する請求項1に記載の車載器。
【請求項3】
前記報知手段は、前記走行距離が所定距離を超える直前の前記車両の停止状態であり、かつ、前記運転者に前記所定情報を報知することを許す報知許可条件を前記走行状態が満たす場合に、前記走行距離が報知希望距離に近付いたことを通知する請求項1または2に記載の車載器。
【請求項4】
前記車両の走行位置を検出する走行位置検出手段を、さらに備え、
前記報知手段は、前記走行位置から所定の走行距離内に前記走行距離の数字に対応する目標地が存在し、かつ、前記運転者に前記所定情報を報知することを許す報知許可条件を前記走行状態が満たす場合に、前記目標地への案内情報である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車載器。
【請求項5】
前記報知手段は、前記車両の運転者に所定情報を報知する報知条件を前記走行距離が満たしても、前記走行状態が前記報知許可条件を満たさない場合に前記所定情報の報知を中止し、前記所定情報の報知を中止した後、前記走行状態が前記報知許可条件を最初に満たした時、前記走行状態がエンジン停止となる時、または、前記走行状態がエンジン停止の後の最初のエンジン始動となった時に、前記所定情報を前記運転者に報知する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車載器。
【請求項6】
前記報知手段は、前記車両の運転者に所定情報を報知する報知条件を前記走行距離が満たし、かつ、前記車両の車速が閾値速度に満たない、または、舵角変化量が閾値舵角変化量に満たない場合に、前記所定情報を前記運転者に報知する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車載器。
【請求項7】
車両の走行距離を取得する走行距離取得ステップと、
前記車両の走行状態を取得する走行状態取得ステップと、
前記車両の運転者に所定情報を報知する報知条件を前記走行距離が満たし、かつ、前記運転者に前記所定情報を報知することを許す報知許可条件を前記走行状態が満たす場合に、前記運転者に前記所定情報を報知する報知ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項8】
車両の走行距離を取得する走行距離取得ステップと、
前記車両の走行状態を取得する走行状態取得ステップと、
前記車両の運転者に所定情報を報知する報知条件を前記走行距離が満たし、かつ、前記運転者に前記所定情報を報知することを許す報知許可条件を前記走行状態が満たす場合に、前記運転者に前記所定情報を報知する報知ステップと、
をコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【請求項9】
車両の走行距離を検出する走行距離検出手段と、
前記車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、
前記車両の運転者に所定情報を報知すべき報知条件を前記走行距離が満たし、かつ、前記運転者に前記所定情報を報知することを許す報知許可条件を前記走行状態が満たす場合に、前記運転者に前記所定情報を報知する報知手段と、
を備えた車載システム。
【請求項10】
前記車載システムは、エンジン電子制御装置と、車載器と、カーナビゲーション装置または携帯端末と、を含み、
前記エンジン電子制御装置は、前記走行距離検出手段および前記走行状態検出手段を有し、前記車両のエンジンを制御しながら前記走行距離および前記走行状態を前記車載器に出力し、
前記車載器は、
前記車両の走行距離を前記エンジン電子制御装置から取得する走行距離取得手段と、
前記車両の走行状態を前記エンジン電子制御装置から取得する走行状態取得手段と、
前記車両の運転者に所定情報を報知すべき報知条件を前記走行距離が満たし、かつ、前記運転者に前記所定情報を報知することを許す報知許可条件を前記走行状態が満たす場合に、前記所定情報を前記運転者に報知するよう前記カーナビゲーション装置または前記携帯端末の報知手段に指示する指示手段と、を有し、
前記カーナビゲーション装置または前記携帯端末は、前記前記所定情報を前記運転者に報知する前記報知手段を有する、請求項9に記載の車載システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載システム、車載器、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野において、特許文献1には、車両の走行距離を取得し、運転者が希望する報知希望距離、例えば「77777」(km)などのキリ番、より短い報知距離に一致した場合に、一致したことを運転者に報知する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−041752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献に記載の技術では、報知条件が、走行距離が報知距離に一致した場合のみを想定しており、車両使用時の走行状態を考慮しないので、適切な情報提供ができなかった。
【0005】
本発明の目的は、上述の課題を解決する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る車載器は、
車両の走行距離を取得する走行距離取得手段と、
前記車両の走行状態を取得する走行状態取得手段と、
前記車両の運転者に所定情報を報知する報知条件を前記走行距離が満たし、かつ、前記運転者に前記所定情報を報知することを許す報知許可条件を前記走行状態が満たす場合に、前記所定情報を前記運転者に報知する報知手段と、
を備えた。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理方法は、
車両の走行距離を取得する走行距離取得ステップと、
前記車両の走行状態を取得する走行状態取得ステップと、
前記車両の運転者に所定情報を報知する報知条件を前記走行距離が満たし、かつ、前記運転者に前記所定情報を報知することを許す報知許可条件を前記走行状態が満たす場合に、前記運転者に前記所定情報を報知する報知ステップと、
を含む。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理プログラムは、
車両の走行距離を取得する走行距離取得ステップと、
前記車両の走行状態を取得する走行状態取得ステップと、
前記車両の運転者に所定情報を報知する報知条件を前記走行距離が満たし、かつ、前記運転者に前記所定情報を報知することを許す報知許可条件を前記走行状態が満たす場合に、前記運転者に前記所定情報を報知する報知ステップと、
をコンピュータに実行させる。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る車載システムは、
車両の走行距離を検出する走行距離検出手段と、
前記車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、
前記車両の運転者に所定情報を報知すべき報知条件を前記走行距離が満たし、かつ、前記運転者に前記所定情報を報知することを許す報知許可条件を前記走行状態が満たす場合に、前記運転者に前記所定情報を報知する報知手段と、
を備えた。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車両使用時の走行状態を考慮して、走行距離に基づく適切な情報提供を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係る車載システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第2実施形態に係る車載システムの動作概要を示す図である。
図3A】本発明の第2実施形態に係る車載システムの機能構成を示すブロック図である。
図3B】本発明の第2実施形態に係る車載器のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3C】本発明の第2実施形態に係るエンジン電子制御装置、車載器およびカーナビゲーションシステムの構成と関連を示すブロック図である。
図3D】本発明の第2実施形態に係る車載器が車両通信インタフェースを介して取得するデータの構成を示す図である。
図3E】本発明の第2実施形態に係る車載器の外観を示す図である。
図3F】本発明の第2実施形態に係る車載器およびカーナビゲーション装置間の通信メッセージの構成を示す図である。
図4A】本発明の第2実施形態に係る報知条件の構成を示す図である。
図4B】本発明の第2実施形態に係る報知許可条件の構成を示す図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る報知判定テーブルの構成を示す図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る車載器の処理手順を示すフローチャートである。
図7A】本発明の第2実施形態に係る報知判定処理の手順を示すフローチャートである。
図7B】本発明の第2実施形態に係る報知中止後の報知処理の手順を示すフローチャートである。
図8】本発明の第3実施形態に係る車載システムの動作概要を示す図である。
図9】本発明の第3実施形態に係る報知条件の構成を示す図である。
図10】本発明の第3実施形態に係る報知判定処理の手順を示すフローチャートである。
図11】本発明の第4実施形態に係る車載システムの機能構成を示すブロック図である。
図12A】本発明の第5実施形態に係る車載器の外観を示す図である。
図12B】本発明の第5実施形態に係る車載システムの動作概要を示す図である。
図13】本発明の第5実施形態に係る車載システムの機能構成を示すブロック図である。
図14】本発明の第5実施形態に係る車載器のハードウェア構成を示すブロック図である。
図15】本発明の第5実施形態に係る車載器の処理手順を示すフローチャートである。
図16A】本発明の第5実施形態に係る報知判定処理の手順を示すフローチャートである。
図16B】本発明の第5実施形態に係る報知中止後の報知処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施の形態に記載されている構成要素は単なる例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。なお、以下の説明中における「走行距離」とは、車両の走行開始から累積した距離であり、例えば、オドメータの走行距離に相当する。
【0013】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態としての車載器100について、図1を用いて説明する。車載器100は、走行距離に基づくサービスを提供する装置である。
【0014】
図1に示すように、車載器100は、走行距離取得部101と、走行状態取得部102と、報知部103と、を含む。走行距離取得部101は、車両110の走行距離を取得する。走行状態取得部102は、車両110の走行状態を取得する。報知部103は、走行距離が車両110の運転者に所定情報を報知すべき報知条件131を満たし、かつ、走行状態が運転者に所定情報を報知することを許す報知許可条件132を満たす場合に、所定情報を運転者に報知する。
【0015】
本実施形態によれば、車載器が、走行距離が報知条件を満たし、かつ、走行状態が報知許可条件を満たす場合を判定するので、車両の走行状態を考慮して、走行距離に基づく適切な情報提供を行なうことができる。
【0016】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る車載システムについて説明する。本実施形態に係る車載システムは、車載器が、エンジン電子制御装置から得た車両の走行距離および走行状態に基づいて、特定数値の走行距離に近付いたことをカーナビゲーション装置から運転者に報知させる。また、走行状態により報知を中止した場合は、その後の所定条件下で運転者への報知を行なう。なお、本実施形態においては、車載器が報知の条件を判定して、カーナビゲーション装置に報知情報の出力を指示する構成を示したが、これに限定されない。例えば、車載器で報知情報を生成してカーナビゲーション装置に送信する構成であっても、あるいは、カーナビゲーション装置で報知の条件を判定して報知情報を出力する構成であってもよい。
【0017】
《車載システムの動作概要》
図2は、本実施形態に係る車載システム200の動作概要を示す図である。なお、図2は、本実施形態の特徴的な例を示しており、図示しない他の処理を排除するものではない。
【0018】
図2の動作状態210は、運転者が報知を希望する走行距離を設定している状態を示している。動作状態210は、現在の車速計および走行距離計であるオドメータを含む表示メータ211と、カーナビゲーション装置の表示画面212とを含む。表示画面212は同時にタッチパネルによる設定画面であり、報知を希望する走行距離“077777”を設定している。他に、誕生日を表わす数値などを設定してもよい。なお、運転者による設定なしに、ゾロ目や規則的数値やキリ番などはあらかじめ格納されていてもよい。また、図示しないが、本実施形態における報知許可条件についても、あらかじめ格納されていてもカーナビゲーション装置の表示画面212から設定してもよい。
【0019】
動作状態220は、走行距離が“077777km”に近付いた、例えば10km前の“077767km”になり、かつ、車速が45km/hでカーブでもないので、報知を実行している状態を示している。表示メータ221は、走行距離“077767km”と車速“45km/h”とを表示している。カーナビゲーション装置の表示画面222には、“あと10kmで77777km走行!”とのメッセージが表示され、スピーカからは“あと10kmで、ゾロ目の走行距離になります”との音声223が出力される。
【0020】
一方、動作状態230は、走行距離が“077777km”に近付いた、例えば10km前の“077767km”になったが、閾値速度60km/hを超える車速が61km/hなので、報知中止とした状態を示している。表示メータ231は、走行距離“077767km”と車速61km/h”とを表示している。
【0021】
動作状態240は、動作状態230で報知が中止された後、走行距離が“077777km”にさらに近付いた、例えば6km前の“077771km”の時点で、閾値速度60km/hを車速が下回ってカーブでもないので、報知した状態を示している。表示メータ241は、走行距離“077771km”と車速49km/h”とを表示している。カーナビゲーション装置の表示画面242には、“あと6kmで77777km走行!”とのメッセージが表示され、スピーカからは“あと6kmで、ゾロ目の走行距離になります”との音声243が出力される。
【0022】
《車載システムの機能構成》
図3Aは、本実施形態に係る車載システム200の機能構成を示すブロック図である。車載システム200は、エンジンを制御あるいはテストすると共に、車両内の各センサのデータを収集するエンジン電子制御装置330と、車載器300と、カーナビゲーション装置370と、を含む。
【0023】
車載器300は、車両通信インタフェース(一例としてOBD−II(On Board Diagnosis second generation)/J1939インタフェース)301と、走行距離取得部302と、走行状態取得部303と、報知条件判定部304と、報知指示部305と、通信制御部306と、報知条件設定部307と、データベース308と、を備える。
【0024】
車両通信インタフェース301は、エンジン電子制御装置330へコマンドを標準プロトコルに準拠して送信し、エンジン電子制御装置330が検出して保持している、各種センサ情報やテスト結果などを標準プロトコルに準拠して受信する。走行距離取得部302は、受信した情報から車両の走行距離を抽出して取得する。走行状態取得部303は、受信した情報から車両の走行状態を抽出して取得する。本実施形態では、車両の走行状態として車速と、カーブの度合いを表わすハンドルの舵角とを取得する。なお、ブレーキやアクセルの踏み込み角、車間距離などの検出データ、あるいは、検出データから算出したタイヤのスリップ量など、安全運転を脅かす他のデータを取得して報知許可判定に使用してもよい。
【0025】
報知条件判定部304は、報知判定テーブル349を有し、取得した走行距離および走行状態と、データベース308に格納された報知条件および報知許可条件との比較に基づいて、報知を行なうか否かを判定する。報知指示部305は、報知条件判定部304が報知を行なうと判定した場合に、カーナビゲーション装置370に対して報知の指示を送信する。かかる報知の指示には、報知する走行距離や報知の種類を示す情報が含まれる。さらに、車載器300が報知メッセージを生成可能ならば、報知メッセージが含まれてもよい。
【0026】
通信制御部306は、カーナビゲーション装置370との通信を制御する。なお、カーナビゲーション装置370との通信は、近接通信や近距離通信、例えば、無線インタフェース、赤外線通信などが用いられるのが望ましい。また、通信制御部306は、カーナビゲーション装置370との通信に限定されず、運転者の携帯するスマートフォンなどの携帯端末や、サービスステーションの通信端末などとの通信を行なってもよい。報知条件設定部307は、カーナビゲーション装置370の操作部372から運転者が入力した、報知希望の走行距離や、他の報知条件や報知許可条件などをデータベース308に設定する。データベース308は、報知条件格納部381と報知許可条件格納部382とを含む。報知条件格納部381は、走行距離に関連する報知条件を格納する。報知許可条件格納部382は、車速や舵角変化量に関連する報知許可条件を格納する。
【0027】
カーナビゲーション装置370は、表示部371と、タッチパネルを含む操作部372と、スピーカを含む音声出力部373と、走行位置検出部として機能するGPSセンサ374と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)やストレージを含む記憶部375と、CPU(central Processing Unit)を含むカーナビ制御部376と、を備える。
【0028】
表示部371は、カーナビゲーション機能として地図を表示し、本実施形態の報知指示を受けると、所定の走行距離の接近を重畳して表示する。操作部372は、カーナビゲーション機能への操作指示に加えて、報知条件としての走行距離の数値や、報知許可条件などの入力に用いられる。音声出力部373は、カーナビゲーション機能として案内報知に加えて、本実施形態においては設定した走行距離に近付いたことを音声報知する。なお、図示しないが、音声入力部としてマイクも備え、報知条件や報知許可条件の入力や車載システムの操作入力を行なってもよい。
【0029】
GPSセンサ374は、車両の現在地を走行位置として検出する。記憶部375は、カーナビゲーション機能を実現するプログラムやデータに加えて、本実施形態の処理を実行するアプリケーションプログラムやデータを記憶する。カーナビ制御部376は、記憶部375のデータを使用しながらプログラムを実行して、カーナビゲーション機能と本実施形態の走行距離報知機能とを実現する。
【0030】
《車載器のハードウェア構成》
図3Bは、本実施形態に係る車載器300のハードウェア構成を示すブロック図である。なお、図3Bにおいて、図3Aと同様の構成要素には同じ参照番号を付している。
【0031】
図3Bにおいて、CPU310は演算制御用のプロセッサであり、様々なプログラムを実行することで図3Aに示した各機能構成部を実現する。フラッシュROM320は、CPU310と一体に設けられ、樹脂でモールドされたCPUチップの中に入っている。フラッシュROM320は、初期データおよびプログラムなどの固定データおよびプログラムを記憶する。RAM315は、CPU310が動作開始後に書き込まれる一時的なデータを保持する演算ワークエリアとして機能し、やはり、CPU310と一体に設けられている。すなわち、いわゆる「ダイ」にCPUコアとフラッシュROMとRAMが載っている。また、通信制御部306は、Bluetooth(登録商標)技術を用いてカーナビゲーション装置370と通信する。
【0032】
なお、CPU310は1つに限定されず、複数存在しても、あるいは画像処理用のGPU(Graphics Processing Unit)を含んでもよい。CPU310は、処理結果を大容量フラッシュメモリ350に準備し、後の送信は通信制御部306に任せる。
【0033】
RAM315は、CPU310が一時記憶のワークエリアとして使用するランダムアクセスメモリであり、CPU310が動作開始後に書き込まれる一時的なデータを記憶する領域が確保されている。
【0034】
フラッシュROM320には、車両通信インタフェースコマンドデータ321、車両情報(OBD−IIデータを含む)322、および報知判定テーブル349が記憶される。車両通信インタフェースコマンドデータ321は、車両通信インタフェース301が車両情報や自己診断の診断コードを得るための入出力コマンドである。車両情報(OBD−IIデータを含む)322は、車両通信インタフェース301が得た車両情報や自己診断の診断コードである。報知判定テーブル349は、所定の走行距離に近付いたことを報知するか否かを判定する時に使用するテーブルである。
【0035】
フラッシュROM320には、さらに、報知条件設定モジュール351と、走行距離取得モジュール352と、走行状態取得モジュール353と、報知条件判定モジュール354と、報知指示モジュール355と、が記憶されている。CPU310は、これらそれぞれのモジュールを実行することにより、図3Aに示した車載器300の各機能構成部を実現する。
【0036】
大容量フラッシュメモリ350には、報知条件格納部381と報知許可条件格納部382とを含むデータベース308が格納されている。また、大容量フラッシュメモリ350には、車両から取得したデータや各種のパラメータが記憶されてもよい。
【0037】
(エンジン電子制御装置、車載器およびカーナビゲーション装置の関連)
図3Cは、本実施形態に係るエンジン電子制御装置330、車載器300およびカーナビゲーション装置370の構成と関連を示すブロック図である。なお、図3Cにおいて、図3Aおよび図3Bと同様の構成要素には同じ参照番号を付して、説明を省略する。
【0038】
エンジン電子制御装置330は、車両のエンジンを制御する電子回路であって、全体の制御を司るエンジン制御ユニット(図中、ECU:Engine Control Unit)331と、エンジン制御ユニット331に動作用の電源を供給する電源回路332と、車両の状態を検出する各種センサ類からの信号をエンジン制御ユニット331に伝える入出力回路333と、車両診断用コネクタ(OBD−II)341を介して外部と通信するための通信回路334とを有する。エンジン電子制御装置330は、車速センサ336、舵角センサ337およびオドメータ338と入出力回路333を介して接続されており、車速、舵角および走行距離を、車両診断用コネクタ341を介して車載器300に通知する。さらに、エンジン電子制御装置330は、車両に設けられた各種センサの検出値を入力し、図3Dに示す多様な車両通信ネットワークデータ(例えば、CANデータなど)として、コネクタ341、342を介して、車載器300に送る。すなわち、エンジン電子制御装置330は、走行距離検出部や走行状態検出部を含む。
【0039】
ここで、車両診断用コネクタ341を介して送信出力される車両情報は、車載器300の車両通信インタフェース301からのコマンドによって取得される。また、バス上を流れているフローデータを取得することもできる。エンジン電子制御装置330の電源回路332へのバッテリ340からの電源供給は、イグニッションスイッチ(図中SW)335により切断される。なお、車載器300の電源(+12V/+24V)は、イグニッションスイッチ335を介さずに、車両診断用コネクタ341を経由して常時供給される。
【0040】
車載器300のコネクタ342は、保護回路を介して車両通信インタフェース301に接続され、エンジン電子制御装置330からの車両情報は、CPU310の制御により、大容量フラッシュメモリ350に格納される。
【0041】
通信制御部306は、Bluetooth(登録商標)プロトコルを経由してカーナビゲーション装置370のBluetooth(登録商標)モジュール377と無線通信する。カーナビゲーション装置370の制御部376であるCPUは、車載器300から走行距離が所定距離に近付いたことを報知する指示を受信する。なおここでは、車載器300とカーナビゲーション装置370との間の通信を、Bluetooth(登録商標)を用いて行なうこととしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、WiFi-Direct等の近距離通信用プロトコルであれば、様々なものを用いることができる。
【0042】
(車両通信インタフェース)
図3Dは、本実施形態に係る車載器が車両通信インタフェース301を介して車両通信ネットワークから取得するデータの構成を示す図である。
【0043】
図3Dにおいて、PID391は、車両通信インタフェースを介して取得する車両情報の識別子である。そして、内容392は、各PID391により識別される情報の内容である。例えば、エンジン回転数、速度、スロットル開度、エンジン始動後経過時間、などが取得される。また、舵角やオドメータからの走行距離の取得についての詳細は、SAE(Society of Automotive Engineers) standard J/1979などに開示されている。さらに、車間距離なども取得される。
【0044】
(車載器の外観)
図3Eは、本実施形態に係る車載器300の外観を示す図である。
【0045】
車載器300は、車両診断用コネクタ341に接続され、エンジンコンピュータ等からのCAN情報を取得、蓄積し、Bluetooth(登録商標)経由でカーナビゲーション装置370へ送り出す。車載器300のコネクタ342を、車両診断用コネクタ341に接続するだけで接続は完了する。車載器300の背面309には、カーナビゲーション装置と通信中であることを示すランプと、車両から車両情報を受信中であることを示すランプが設けられている。
【0046】
(通信メッセージ)
図3Fは、本実施形態に係る車載器300およびカーナビゲーション装置370間の通信メッセージの構成を示す図である。なお、図3Fはメッセージフォーマットの一例であって、これに限定されない。
【0047】
通信メッセージ361は、カーナビゲーション装置370から車載器300に対して伝送されるメッセージである。通信メッセージ361は、通信先を示す車載器アドレス、通信元を示すカーナビアドレス、報知希望走行距離を含む報知条件データ、オプションとして報知許可条件データ、そして、エラーコレクション用のCRC(Cyclic Redundancy Check)データ、が含まれる。
【0048】
通信メッセージ362は、車載器300からカーナビゲーション装置370に対して伝送されるメッセージである。通信メッセージ362は、通信先を示すカーナビアドレス、通信元を示す車載器アドレス、カーナビゲーション装置370に報知を指示する報知コマンド、報知メッセージを選択するための報知の種類、オプションとして報知メッセージ、そして、エラーコレクション用のCRCデータ、が含まれる。
【0049】
なお、かかる通信メッセージ361および362に含まれるデータは、処理速度や信頼性などを考慮して、車載器300とカーナビゲーション装置370とに、本実施形態で実現する機能をどちらが実現するのが望ましいか、どのように割り当てられるか、などにより変更される。
【0050】
(報知条件)
図4Aは、本実施形態に係る報知条件格納部381に格納される報知条件の構成を示す図である。報知条件格納部381は、データベース308に含まれ、デフォルトの報知条件、あるいは、あらかじめ設定した報知条件を格納して、報知条件判定部304における報知判定に使用される。
【0051】
報知条件格納部381は、運転者がカーナビゲーション装置370から入力した報知希望距離411と、報知希望距離411に近付いた第1報知目標距離412と、さらに報知希望距離411に近付いた第2報知目標距離413と、を記憶する。
【0052】
図4Aにおいては、第1報知目標距離412は報知希望距離411の50km前、第2報知目標距離413は報知希望距離411の10km前、である。なお、これらの目標距離については、限定されない。例えば、1日の走行距離が長い環境、あるいは、高速道理を頻繁に使用する環境であれば、目標距離をさらに前に報知してもよい。また、この目標距離を運転者がカーナビゲーション装置370から入力してもよい。また、報知回数を絞るには報知目標距離は1つでよく、一方、報知希望距離411を確実にするためには報知回数を3回以上に増加してもよい。かかる車両走行の環境については、蓄積された走行履歴に基づいて、車両に対応して確定される。また、同じ車両を複数の運転者が運転する場合に、運転者IDに対応して蓄積された走行履歴に基づいて、運転者の運転傾向から確定してもよい。
【0053】
(報知許可条件)
図4Bは、本実施形態に係る報知許可条件格納部382に格納される報知許可条件の構成を示す図である。報知許可条件格納部382は、データベース308に含まれ、デフォルトの報知許可条件、あるいは、あらかじめ設定した報知許可条件を格納して、報知条件判定部304における報知許可判定に使用される。
【0054】
報知許可条件格納部382は、報知許可条件として、車速条件421と、舵角変化量条件422と、車間距離423と、を記憶する。図4Bにおいては、車速条件421として60km/h未満、舵角変化量条件422として15度未満、が設定されている。さらに、他の報知許可条件としては、ブレーキやアクセルの踏み込み角や、タイヤのスリップ量などが考えられるが、限定されない。安全運転に影響を与えないための条件であればよい。例えば、走行距離が所定距離を超える直前の車両の停止状態、例えば、信号による停止など、を報知可能条件としてもよい。
【0055】
報知許可条件格納部382は、報知中止後の報知条件として、報知中止後の最初の報知許可431と、エンジン停止時432と、エンジン始動時433と、を記憶する。報知中止後の最初の報知許可431は、報知中止後に報知許可条件が満たされた時点で報知を行なう条件である。エンジン停止時432は、運転者がエンジンを停止して車両から降りる前に報知を行なう条件である。エンジン始動時433は、運転者が車両に乗り込んでエンジンを始動した時点で報知を行なう条件である。
【0056】
なお、報知中止後の報知条件はこれらに限定されない。例えば、1日の終わりに車庫に入った時点、あるいは、1日の始まりに車庫から出る時点などでもよい。さらに、走行履歴から1日の走行距離の平均値を求めて、“明日、走行距離が…に到達します”、あるいは、“3日後に、走行距離が…に到達します”などを報知してもよい。詳細には図示および説明しないが、これらの処理も本実施形態の構成および処理の開示から想定可能である。
【0057】
(報知判定テーブル)
図5は、本実施形態に係る報知判定テーブル349の構成を示す図である。報知判定テーブル349は、エンジン電子制御装置330から取得した走行距離と報知条件格納部381に格納された報知条件とを比較して報知条件を満たすか否かを判定するために使用される。さらに、報知判定テーブル349は、エンジン電子制御装置330から取得した車速や舵角変化量と報知許可条件格納部382に格納された報知許可条件とを比較して報知許可条件を満たすか否かを判定するために使用される。そして、報知判定テーブル349は、報知条件判定部304が報知指示部305に対する判定結果を決定するために使用される。なお、図5において、○は条件を満たす結果、×は条件を満たさない結果を示す。
【0058】
報知判定テーブル349の内、テーブル510は、カーナビゲーション装置370に報知を指示する場合を示している。報知判定データ511は、走行距離が“011111km”の50km前である報知条件を満たすことを示している。また、報知許可条件データ512は、車速が60km/h未満の46km/hであり、舵角変化量が15度未満の10度であり、報知許可条件を満たすことを示している。したがって、報知条件かつ報知許可条件を満たすので、報知指示513を行なう。なお、50km前なので第1目標距離であることを示す。報知を指示したので、報知中止履歴514には報知中止が記憶されず、当然、報知中止後の報知条件515は考慮されない。
【0059】
報知判定テーブル349の内、テーブル520〜540は、一連の報知処理を順に示している。
【0060】
まず、報知判定テーブル349の内、テーブル520は、カーナビゲーション装置370への報知指示を中止する場合を示している。報知判定データ521は、走行距離が“011111km”の50km前である報知条件を満たすことを示している。しかし、報知許可条件データ522は、車速が60km/hを超える62km/hであり、舵角変化量が15度未満の8度であっても、報知許可条件を満たさないことを示している。したがって、報知許可条件を満たさないので、報知指示523を行わずに中止する。報知中止したので、報知中止履歴514には報知中止が記憶され、報知中止後の報知条件515にはまだ満たさないことが示される。
【0061】
次に、報知判定テーブル349の内、テーブル530は、報知中止後のエンジン始動時に、カーナビゲーション装置370への報知を指示する場合を示している。報知判定データ531は、走行距離が“011111km”の12km前であり報知条件を満たしていない。一方、報知許可条件データ532は、エンジン始動時なので、停止状態であり、車速が60km/h未満の0km/hであり、舵角変化量が15度未満の0度であり、報知許可条件を満たすことを示している。このように、走行距離が報知条件を満たさないが、報知中止履歴534には報知中止が記憶され、報知中止後の報知条件535のエンジン始動を満たす。したがって、報知指示533が行なわれる。指示内容は、報知中止された第1目標である。
【0062】
そして、報知判定テーブル349の内、テーブル540は、第2目標である10km前のカーナビゲーション装置370への報知を指示する場合を示している。報知判定データ541は、走行距離が“011111km”の10km前であり報知条件を満たしている。また、報知許可条件データ542は、車速が60km/h未満の42km/hであり、舵角変化量が15度未満の5度であり、報知許可条件を満たすことを示している。したがって、報知指示543が行なわれる。指示内容は、10km前の第2目標である。報知を指示したので、報知中止履歴544には報知中止が記憶されず、当然、報知中止後の報知条件545は考慮されない。
【0063】
なお、図5には、エンジン始動の例のみを示したが、他の報知中止後の報知条件においても、その動作は同様である。また、テーブル530では、報知条件は満たさないとしたが、報知条件を特定の走行距離とせずに走行距離の範囲とし、例えば、走行距離が“011061”を超えた場合は報知条件を満たすと判定してもよい。
【0064】
《車載器の処理手順》
図6は、本実施形態に係る車載器300の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、図3CのCPU310がRAM315、フラッシュROM320、大容量フラッシュメモリ350を使用しながら実行し、図3Aの車載器300の機能構成部を実現する。
【0065】
車載器300は、ステップS601において、オドメータから累積した走行距離である車両の走行距離を取得する。そして、車載器300は、ステップS603において、車両の走行状態をエンジン電子制御装置330から取得、あるいは、取得したデータを演算することにより取得する。
【0066】
次に、車載器300は、ステップS611において、カーナビゲーション装置370から報知条件の設定指示があったか否かを判定する。報知条件の設定指示があった場合、車載器300は、ステップS613において、カーナビゲーション装置370から報知条件である報知希望走行距離を取得する。なお、オプションとして、報知許可条件を取得してもよい。車載器300は、ステップS615において、取得した報知条件や報知許可条件を、データベース308に格納する。
【0067】
報知条件の設定指示でなかった場合、車載器300は、ステップS621において、報知条件の判定処理であるか否かを判定する。報知条件の判定処理であれば、車載器300は、ステップS623において、報知判定処理を実行する。なお、報知判定処理には報知許可判定処理や報知指示処理も含まれる。
【0068】
報知条件の設定指示でなく、報知条件の判定処理でもない場合、車載器300は、ステップS631において、報知中止後の報知条件判定処理であるか否かを判定する。報知中止後の報知条件判定処理である場合、車載器300は、ステップS633において、報知中止後の報知処理を実行する。
【0069】
報知条件の設定指示でなく、報知条件の判定処理でなく、報知中止後の報知条件判定処理でもない場合、車載器300は、ステップS641において、他の処理を行なう。
【0070】
(報知判定処理)
図7Aは、本実施形態に係る報知判定処理(S623)の手順を示すフローチャートである。
【0071】
車載器300は、ステップS701において、報知条件データとして走行距離をエンジン電子制御装置から取得する。なお、既に取得している場合は、記憶部から読み出す。次に、車載器300は、ステップS703において、報知条件をデータベース308の報知条件格納部381から読み出す。そして、車載器300は、ステップS705において、走行距離が報知条件を満たすか否かを判定する。走行距離が報知条件を満たさない場合は、リターンする。
【0072】
走行距離が報知条件を満たす場合、車載器300は、ステップS707において、報知許可条件データとして車速や舵角変化量などをエンジン電子制御装置から取得あるいは取得データを基に算出する。すなわち、舵角変化量は取得した舵角の差を時間で除算することにより取得する。次に、車載器300は、ステップS709において、報知許可条件をデータベース308の報知許可条件格納部382から読み出す。そして、車載器300は、ステップS711において、車速や舵角変化量などが報知許可条件を満たすか否かを判定する。
【0073】
車速や舵角変化量などが報知許可条件を満たす場合、車載器300は、ステップS713において、報知指示をカーナビゲーション装置370に送信して、報知結果を格納する。一方、車速や舵角変化量などが報知許可条件を満たさない場合、車載器300は、ステップS715において、報知を中止して報知中止フラグをONにして、格納する。
【0074】
(報知中止後の報知処理)
図7Bは、本実施形態に係る報知中止後の報知処理(S633)の手順を示すフローチャートである。
【0075】
車載器300は、ステップS721において、報知中止後の報知条件を、データベース308の報知許可条件格納部382から読み出す。そして、車載器300は、ステップS723において、現在の走行状態が報知中止後の報知条件を満たすか否かを判定する。現在の走行状態が報知中止後の報知条件を満たす場合、車載器300は、ステップS725において、報知指示をカーナビゲーション装置370に送信して、報知結果を格納する。そして、車載器300は、ステップS727において、報知中止フラグをOFFにする。一方、現在の走行状態が報知中止後の報知条件を満たさない場合、車載器300はなにもしない。
【0076】
本実施形態によれば、車速や舵角変化量などにより報知中止をした後に、所定条件下で報知を行なうことにより、車両の走行状態を考慮して、走行距離に基づく適切な情報提供を確実に行なうことができる。
【0077】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る車載システムについて説明する。本実施形態に係る車載システムは、上記第2実施形態と比べると、ユーザである運転者の設定する走行距離でなく、サービス提供者に関連する走行距離に基づくサービスを報知する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0078】
《車載システムの動作概要》
図8は、本実施形態に係る車載システム800の動作概要を示す図である。なお、図8は、本実施形態の特徴的な例を示しており、図示しない他の処理を排除するものではない。
【0079】
図8の動作状態820は、走行距離が“123123km”に近付いた、例えば5km前の“123118km”になり、かつ、車速が40km/hでカーブでもないので、報知を実行している状態を示している。表示メータ821は、走行距離“123118km”と車速“40km/h”とを表示している。カーナビゲーション装置の表示画面822には、“走行距離123123km、5km先に123店あり!”とのメッセージが表示され、スピーカからは“走行距離が123123キロになります。前方5キロ右に123店があります”との音声823が出力される。
【0080】
一方、動作状態830は、走行距離が“123123km”に近付いた、例えば5km前の“123118km”になったが、閾値舵角変化量の15度を超えるカーブなので、報知中止とした状態を示している。表示メータ831は、走行距離“123118km”と車速32km/h”とを表示している。すなわち、報知許可条件の車速は閾値速度60km/h未満であるがカーブ走行中なので、報知中止とした状態である。
【0081】
動作状態840は、動作状態830で報知が中止された後、走行距離が“123123km”を超えて、例えば5km後の“123128km”の時点で、閾値速度60km/hを車速が下回ってカーブでもないので、報知した状態を示している。表示メータ841は、走行距離“123128km”と車速25km/h”とを表示している。カーナビゲーション装置の表示画面842には、“走行距離123123km、2km先に123店あり、スマホに記録済!”とのメッセージが表示され、スピーカからは“走行距離が123123キロになりました。前方2km右に123店があります。123123キロはスマホに記録されています”との音声843が出力される。
【0082】
動作状態850は、動作状態820で報知された後、走行距離が“123123km”になった時点で、スマートフォン852に到達した走行距離が記録された状態を示している。表示メータ851は、走行距離“123123km”と車速25km/h”とを表示している。スマートフォン852には、“走行距離123123km記録”と表示されている。
【0083】
動作状態860は、スマートフォン852に記録された“走行距離123123km記録”を123店861の店員に提示して、サービスを受ける状態を示している。サービスとしては、例えば、簡単な数字合わせ、例えば“XX123km”(下3桁のみ)ではポイントの増加など、また、貴重な数合わせ、例えば“123123km”(6桁)では旅行招待など、と分けてもよい。
【0084】
数合わせは、上記例に限定されない。例えば、東京スカイツリーの近傍で“634634km”に到達した場合、あるいは、奈良市内で“710710km”、京都市内で“794794km”に到達した場合、などであってもよい。
【0085】
(報知条件)
図9は、本実施形態に係る報知条件格納部981に格納される報知条件の構成を示す図である。本実施形態の報知条件格納部981は、図4Aの報知条件格納部381に代替する情報である。
【0086】
報知条件格納部981は、サービス提供者901に対応付けて、第1サービス条件902と、第2サービス条件903と、を記憶する。第1サービス条件902は簡単なサービス条件であり、報知距離は“XX123”や“XX109”など下3桁であり、報知目標距離の範囲に入ると、所定距離内にあるサービス提供者901が探索される。そして、所定距離内にサービス提供者901が居れば、サービス内容(△△ポイント、あるいは、○○ポイント)が提供される。第2サービス条件903は貴重なサービス条件であり、報知距離は“123123”や“109109”など6桁であり、報知目標距離の範囲に入ると、所定距離内にあるサービス提供者901が探索される。そして、所定距離内にサービス提供者901が居れば、目標地への案内情報が報知され、サービス内容(旅行招待、あるいは、ブランド品贈呈)が提供される。
【0087】
(報知判定処理)
図10は、本実施形態に係る報知判定処理(S633)の手順を示すフローチャートである。なお、図10において、図7Aと同様のステップには同じステップ番号を付して、説明を省略する。
【0088】
車載器300は、ステップS711で報知許可条件を満たす場合、ステップS1001において、サービス提供者を探索する。そして、車載器300は、ステップS1003において、探索されたサービス提供者(123店や109店など)が所定範囲内(車両から所定距離以内)にあるか否かを判定する。サービス提供者が所定範囲内にあれば、車載器300は、ステップS713において、報知指示をカーナビゲーション装置370に送信する。
【0089】
本実施形態によれば、サービス提供者に関連する走行距離に基づきサービスを報知するので、車両の走行状態を考慮して、走行距離に基づくサービス提供と宣伝とを行なうことができる。
【0090】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る車載システムについて説明する。本実施形態に係る車載システムは、上記第2実施形態および第3実施形態と比べると、スマートフォンなどの携帯端末により走行距離に基づく処理を制御する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態、第3実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0091】
《車載システムの機能構成》
図11は、本実施形態に係る車載システム1100の機能構成を示すブロック図である。図11において、図3Aと同様の構成要素には同じ参照番号を付して、説明を省略する。
【0092】
図11においては、図3Aのカーナビゲーション装置370がスマートフォンなどの携帯端末1170に変わっている。携帯端末1170における各機能構成部1171〜1176の機能は、スマホ制御部1176がスマホを制御する以外は、図3Aの各機能構成部371〜376と同様であるので、説明を省略する。
【0093】
なお、携帯端末1170は、車外の、例えば、サービスセンターの通信端末や、高速のゲートや路側に配置されたETC(Electronic Toll Collection System)路側器と通信して、さらに複雑な処理をサーバに依頼してもよい。
【0094】
本実施形態によれば、スマートフォンなどの携帯端末により処理制御を行なうことにより、車両の走行状態を考慮して、走行距離に基づく適切な情報提供を簡単な構成で行なうことができる。
【0095】
《第5実施形態》
次に、本発明の第5実施形態に係る車載システムについて説明する。本実施形態に係る車載システムは、上記第2実施形態乃至第3実施形態と比べると、車載器自体が走行距離に基づく報知を行なう報知部を有する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態から第4実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0096】
《車載器の外観》
図12Aは、本実施形態に係る車載器1201の外観を示す図である。
【0097】
車載器1201は、コネクタ1204を介してエンジン電子制御装置330に接続される。また、車載器1201は、表示部1202、音声出力部(スピーカ)1203、および、キー群1205を有する。キー群1205には、電源キー、操作キー、表示部1202の表示選択キー、表示部1202へのデータ入力キー、などが含まれる。車載器1201は、コネクタ1204を介してエンジン電子制御装置330車両情報を取得する。そして、車載器1201は、オドメータからの走行距離が運転者への報知条件を満たし、かつ、車両情報に基づく車速や舵角変化量から報知許可条件を満たす場合に、表示部1202に走行距離が所定距離(例えば、ゾロ目など)に近づいたことを表示して運転者に知らせる。あるいは、音声出力部1203から音声を出力して運転者に知らせる。あるいは、音声出力部1203から報知音を出して、表示部1202に報知内容を表示してもよい。
【0098】
《車載システムの動作概要》
図12Bは、本実施形態に係る車載システム1200の動作概要を示す図である。なお、図12Bにおいて、図2と同様の要素には同じ参照番号を付して、説明を省略する。また、図12Bは、本実施形態の特徴的な例を示しており、図示しない他の処理を排除するものではない。
【0099】
図12Bの動作状態1210は、運転者が報知を希望する走行距離を設定している状態を示している。動作状態1210は、車載器1201の表示画面1212を含む。表示画面1212は設定画面であり、報知を希望する走行距離“077777”を設定している。設定は、所定のキー1205の操作で行う。動作状態1210は一例であり、例えば、画面にタッチパネル機能を保有させて設定してもよい。他に、誕生日を表わす数値などを設定してもよい。なお、運転者による設定なしに、ゾロ目や規則的数値やキリ番などはあらかじめ格納されていてもよい。また、図示しないが、本実施形態における報知許可条件についても、あらかじめ格納されていても表示画面1212から設定してもよい。
【0100】
動作状態1220は、走行距離が“077777km”に近付いた、例えば10km前の“077767km”になり、かつ、車速が45km/hでカーブでもないので、報知を実行している状態を示している。車載器1201の表示画面1222には、“あと10kmで77777km走行!”とのメッセージが表示され、スピーカからは“あと10kmで、ゾロ目の走行距離になります”との音声1223が出力される。
【0101】
一方、動作状態1230は、走行距離が“077777km”に近付いた、例えば10km前の“077767km”になったが、閾値速度60km/hを超える車速が61km/hなので、報知中止とした状態を示している。
【0102】
動作状態1240は、動作状態1230で報知が中止された後、走行距離が“077777km”にさらに近付いた、例えば6km前の“077771km”の時点で、閾値速度60km/hを車速が下回ってカーブでもないので、報知した状態を示している。車載器1201の表示画面1242には、“あと6kmで77777km走行!”とのメッセージが表示され、スピーカからは“あと6kmで、ゾロ目の走行距離になります”との音声1243が出力される。
【0103】
《車載システムの機能構成》
図13は、本実施形態に係る車載システム1200の機能構成を示すブロック図である。なお、図13において、図3Aと同様の機能構成部には同じ参照番号を付して、説明を省略する。
【0104】
車載器1201は、走行距離が所定距離に近付いたことを報知するための報知部1305として、表示部1351や音声出力部1352を有する。また、車載器1201は、報知条件や報知許可条件を入力するための操作部1371を有する。また、車載器1201は、第4実施形態におけるように現在位置の取得が必要な場合、現在位置を取得するためのGPSセンサ1372を有する。
【0105】
《車載器のハードウェア構成》
図14は、本実施形態に係る車載器1201のハードウェア構成を示すブロック図である。図14において、図3Bと同様の構成要素には同じ参照番号を付して、説明を省略する。
【0106】
車載器1201のフラッシュROM1320には、CPU310で実行するプログラムとして、報知モジュール1355を格納する。また、車載器1201は、表示部1351と、操作部1352と、音声出力部1371と、GPSセンサ1372と、を備える。さらに、車載器1201は、音声入力部としてマイクを備え、報知条件や報知許可条件の入力や車載システムの操作入力を行なってもよい
【0107】
《車載器の処理手順》
図15は、本実施形態に係る車載器1201の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、図14のCPU310がRAM315、フラッシュROM1320、大容量フラッシュメモリ350を使用しながら実行し、図13の車載器1201の機能構成部を実現する。なお、図15において、図6と同様のステップには同じステップ番号を付して、説明を省略する。
【0108】
車載器1201は、ステップS1513において、操作部1352から入力された報知条件や報知許可条件を取得する。
【0109】
また、車載器1201は、報知条件を満足すると、ステップS1523において、表示部1351または音声出力部1371から走行距離の所定距離に近付いたことを報知する報知処理を行なう。また、車載器1201は、報知中止後に報知条件を満足すると、ステップS1533において、表示部1351または音声出力部1371から報知中止後の報知をする報知処理を行なう。
【0110】
(報知判定処理)
図16Aは、本実施形態に係る報知判定処理(S1523)の手順を示すフローチャートである。なお、図16Aにおいて、図7Aと同様のステップには同じステップ番号を付して、説明を省略する。
【0111】
車載器1201は、ステップS1613において、報知条件を満たし、かつ、報知許可条件を満たすので、所定情報を報知部1305から報知して、報知結果を格納する。
【0112】
(報知中止後の報知処理)
図16Bは、本実施形態に係る報知中止後の報知処理(S1533)の手順を示すフローチャートである。なお、図16Bにおいて、図7Bと同様のステップには同じステップ番号を付して、説明を省略する。
【0113】
車載器1201は、ステップS1625において、報知中止後に報知条件を満たすので、所定情報を報知部1305から報知して、報知結果を格納する。
【0114】
[他の実施形態]
なお、上記実施形態においては、車両内部あるいは周辺の車載器から通信可能な範囲における処理を説明したが、車両外部のサーバ(図示せず)に携帯端末やサービスステーション端末を経由して、走行距離情報を送信させ、サーバによる集中管理を行なってもよい。
【0115】
また、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。
【0116】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する情報処理プログラムが、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給される場合にも適用可能である。したがって、本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるWWW(World Wide Web)サーバも、本発明の範疇に含まれる。特に、少なくとも、上述した実施形態に含まれる処理ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)は本発明の範疇に含まれる。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16A
図16B