特開2016-141937(P2016-141937A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-141937(P2016-141937A)
(43)【公開日】2016年8月8日
(54)【発明の名称】杭打機
(51)【国際特許分類】
   E02D 7/16 20060101AFI20160711BHJP
   E21B 15/00 20060101ALI20160711BHJP
【FI】
   E02D7/16
   E21B15/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-16011(P2015-16011)
(22)【出願日】2015年1月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(72)【発明者】
【氏名】児玉 敦史
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 隆明
【テーマコード(参考)】
2D050
2D129
【Fターム(参考)】
2D050EE10
2D050EE29
2D050FF07
2D129BA13
2D129CA02
2D129CA17
2D129CB13
2D129DC02
2D129DC62
(57)【要約】      (修正有)
【課題】輸送時に下部ガイドと干渉しないように登坂角を確保し、作業装置が下部リーダから脱落しない杭打機を提供する。
【解決手段】ベースマシンの前部に設けられたフロントブラケット5に起伏可能に設けられたリーダと、リーダに昇降可能に設けられた作業装置11と、リーダ下部に設けられた下部ガイド23とを備えた杭打機において、リーダは上部リーダ7bと下部リーダ7aとを有し、輸送時に上部リーダ7aが下部リーダ7bに対して後方へ折り曲げ可能に連結され、作業装置11と下部ガイド23とは、互いを連結する連結片26,27をそれぞれ設け、下部リーダ7aに輸送時の作業装置11の上昇を規制するリミットスイッチが設けられている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースマシンの前部に設けられたフロントブラケットに起伏可能に設けられたリーダと、
前記リーダに昇降可能に設けられた作業装置と、前記リーダ下部に設けられた下部ガイドとを備えた杭打機において、
前記リーダは上部リーダと下部リーダとを有し、輸送時に上部リーダが下部リーダに対して後方へ折り曲げ可能に連結され、
前記作業装置と前記下部ガイドとは、互いを連結する連結片をそれぞれ設け、
前記下部リーダに輸送時の前記作業装置の上昇を規制するリミットスイッチが設けられていることを特徴とする杭打機
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭打機に関し、詳しくは、輸送時に上部リーダが下部リーダに対して後方へ折り曲げ可能に連結されるとともに、下部リーダの前面に作業装置と下部ガイドとを昇降可能に設けている杭打機に関する。
【背景技術】
【0002】
輸送時における杭打機の全高を低くするため、リーダを上部と下部に分割して折り曲げ可能に連結し、上部リーダのみを水平姿勢にし、作業装置や下部ガイドを保持した下部リーダをベースマシンの前方に垂下した状態でトレーラ等へ積み込まれる杭打機が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−242578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ベースマシンの前方に垂下した下部リーダに保持される下部ガイドのサイズが大きい場合、トレーラへの積み込みや積み下ろしの際に登坂板や地面に干渉するおそれがあり、登坂板を長くして傾斜を緩やかにしたり、特許文献1に記載の杭打機のように下部リーダの下端を持ち上げた傾斜姿勢を保持したりしなければならなかった。
【0005】
そこで本発明は、長い登坂板や下部リーダの傾斜姿勢を保持するような複雑な機構を必要とせず、トレーラへの積み込み時等に登坂板や地面との干渉を回避できる杭打機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の杭打機は、ベースマシンの前部に設けられたフロントブラケットに起伏可能に設けられたリーダと、前記リーダに昇降可能に設けられた作業装置と、前記リーダ下部に設けられた下部ガイドとを備えた杭打機において、前記リーダは上部リーダと下部リーダとを有し、輸送時に上部リーダが下部リーダに対して後方へ折り曲げ可能に連結され、前記作業装置と前記下部ガイドとは、互いを連結する連結片をそれぞれ設け、前記下部リーダに輸送時の前記作業装置の上昇を規制するリミットスイッチが設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の杭打機によれば、作業装置と下部ガイドとを互いの連結片を介して連結しているので、ベースマシンの前面に垂下する下部リーダに保持された作業装置を上昇させることで、下部ガイドも上昇されるので、登坂角を確保することができる。また、下部リーダに輸送時の作業装置の上昇を規制するリミットスイッチを設けているので、作業装置が下部リーダから脱落することを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一形態例を示す杭打機の施工状態の側面図である。
図2】同じく杭打機の輸送状態の側面図である。
図3】施工状態から輸送状態への切り替えを説明する要部側面図である。
図4】輸送状態を説明する要部側面図である。
図5】作業装置と下部ガイドとの上昇を説明する要部側面図である。
図6】同じく要部正面図である。
図7】リミットスイッチの回路図である。
【0009】
図1乃至図7は、本発明の杭打機の一形態例を示すものである。図1に示すように、施工状態の杭打機1は、下部走行体2と該下部走行体2の上部に旋回可能に設けられた上部旋回体3とからなるベースマシン4と、該ベースマシン4の前部に設けられたフロントブラケット5と、該フロントブラケット5の前上部に支持軸6を介して起伏可能に設けられるリーダ7と、該リーダ7を後方から支持するバックステー8と、フロントブラケット5の後部とリーダ7との間に介設される起伏シリンダ9とを備えている。
【0010】
前記リーダ7には、各種作業装置、例えば本形態例では、掘削具10aと撹拌具10bとを下端に有するロッド10を駆動するオーガ11が昇降可能に設けられている。また、リーダ7の頂部には、各種物品を吊り上げるためのワイヤロープが掛け回されるトップシーブブロック12が設けられている。
【0011】
また、ロッド10の上端には、注入ホースからロッド10内の注入孔に地盤改良剤を導入するスイベルジョイント13が設けられ、該スイベルジョイント13のつれ回りを防止する回り止めロッド14の一端がオーガ11に固設され、他端がロッド10の上端に設けられた取付部材に取り付けられている。
【0012】
リーダ7は、フロントブラケット5との支持軸6より下方において、下部リーダ7aと上部リーダ7bとに分割されて、図4に示すように連結軸15により折り曲げ可能に連結され、施工時には図3に示すようにフランジ16,16に通したボルト17をナット18で締結することにより、真っ直ぐとなるように接続される。
【0013】
リーダ7には、両側前端にガイドパイプ19と前面中央にラック20とが一体的に形成され、オーガ11がガイドギブ21をガイドパイプ19に係合してラック20に噛み合うピニオン22の回転によりリーダ7に沿って昇降可能となっている。
【0014】
また、リーダ7の下端には、回転駆動時のロッド10の振れを防止して鉛直性を確保するための下部振れ止め23aと、ロッド10の掴み替え時にロッド10を把持するための下部チャック23bとが上下一体に構成される下部ガイド23が設けられている。下部ガイド23は、オーガ11にチェーン24によって吊持され、ガイドパイプ19を介して昇降可能となっている。
【0015】
輸送時には、図2に示すように、ロッド10を取り外し、バックステー8及び起伏シリンダ9を短縮させることにより、上部リーダ7bがほぼ水平姿勢でベースマシン4の上部に格納されるとともに、下部リーダ7aは、オーガ11及び下部ガイド23を保持した状態でベースマシン4の前方に垂下した状態となっている。また、トップシーブブロック12が折り曲げられ、杭打機1の全高を抑えている。
【0016】
施工状態から輸送状態への切り替えを図3乃至図5により説明する。施工状態からロッド10を取り外すとともに、下部ガイド23を吊持していたチェーン24を取り外す。図3に示すように、下部ガイド23を下部リーダ7aの下端に固定し、オーガ11をリーダ7に沿って下降させる。
【0017】
オーガ11のガイドギブ連結ブラケット25の下部から突出する一対の連結片26,26に設けられたピン孔26a,26aと、下部チャック23bの左右に設けられた一対の連結片27,27のピン孔27a,27aとが一致するまでオーガ11を下降させ、ピン孔26a,27aにピン28を挿入し、ベータピン29によって固定することでオーガ11と下部ガイド23とを連結させる。
【0018】
次に、フロントブラケットの前下部に斜め下方に突出して設けられたリンク連結片30のピン孔30aと、下部リーダ7bに設けられたリンク31の先端のピン孔31aとを一致させ、連結ピン32及びベータピン33で固定する。リンク31は、支持軸6と連結軸15との間隔より長く形成され、施工時には図3に示すように、リンク31の先端を連結ピン32及びペータピン33によって、下部リーダ7bに固定されている。
【0019】
そして、バックステー8及び起伏シリンダ9を収縮させることにより、図4に示すように、連結軸15により上部リーダ7bが下部リーダ7aに対して後方へ折り曲げられ、輸送状態となる。
【0020】
トレーラへの積み込み時等に登坂板や地面に対して、下部ガイド23が干渉する虞がある場合には、図5に示すように、オーガ11を上昇させることで、下部ガイド23も一緒に上昇するため、登坂角を確保することができる。
【0021】
また、オーガ11が上昇し過ぎた際に、ラック20とピニオン22との噛み合いが外れてしまい、オーガ11が下部リーダ7aから脱落しないように、オーガ11の上昇を規制するオーガ上昇規制リミットスイッチ41が設けられている。
【0022】
図7は、オーガ上昇規制リミットスイッチ41が作動するための回路40である。回路40は、オーガ上昇規制リミットスイッチ41と、リーダ起伏リミットスイッチ42と、リーダ左右リミットスイッチ43と、リーダ起伏停止リレーR3と、オーガ昇降停止リレー回路R5と、オーガ昇降のための作動油を送るための流量制御弁44と、解除スイッチ45とで構成されている。
【0023】
図7における各スイッチ等の実線で表されているのは、施工時のものであり、オーガ11は、リーダ7に沿って昇降可能な状態となっている。輸送状態となるため、上部リーダ7bが下部リーダ7aに対して後方に折り曲げられると、上部リーダ7bに設けられた押動部材46によって、リーダ起伏リミットスイッチ42が作動し(実線から点線に切り替わる)、リーダ起伏停止リレーR3が作動して、上部リーダ7bの折り曲げが停止される。その際、オーガ上昇規制リミットスイッチ41も実線から点線に切り替わる。
【0024】
その状態で、オーガ11を上昇させ、ガイドギブ21に設けられた押動部材47によって、オーガ上昇規制リミットスイッチ41を作動させる(点線から実線に切り替わる)と、オーガ昇降停止リレー回路R5が作動し、実線から点線に切り替わる。そのため、流量制御弁44が停止し、オーガ11の上昇が規制される。なお、解除スイッチ45を作動させ、実線から点線に切り替わることで、さらにオーガ11を昇降させることも可能となる。
【0025】
上述のような回路構成とすることで、輸送時に登坂角を確保しようと、オーガ11を上昇させた場合にも、下部リーダ7aから脱落することはない。
【符号の説明】
【0026】
1…杭打機、2…下部走行体、3…上部旋回体、4…ベースマシン、5…フロントブラケット、6…支持軸、7…リーダ、7a…下部リーダ、7b…上部リーダ、8…バックステー、9…起伏シリンダ、10…ロッド、10a…掘削具、10b…撹拌具、11…オーガ、12…トップシーブブロック、13…スイベルジョイント、14…回り止めロッド、15…連結軸、16…フランジ、17…ボルト、18…ナット、19…ガイドパイプ、20…ラック、21…ガイドギブ、22…ピニオン、23…下部ガイド、23a…下部振れ止め、23b…下部チャック、24…チェーン、25…ガイドギブ連結ブラケット、26,27…連結片、26a,27a、30a,31a…ピン孔、28…ピン、29,33…ベータピン、30…リンク連結片、31…リンク、32…連結ピン、40…回路、41…オーガ上昇規制リミットスイッチ、42…リーダ起伏リミットスイッチ、43…リーダ左右リミットスイッチ、R3…リーダ起伏停止リレー、R5…オーガ昇降停止リレー回路、44…流量制御弁、45…解除スイッチ、46,47…押動部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7