特開2016-142836(P2016-142836A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-142836(P2016-142836A)
(43)【公開日】2016年8月8日
(54)【発明の名称】光ケーブル判別方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/46 20060101AFI20160711BHJP
   G02B 6/28 20060101ALI20160711BHJP
   H02G 1/00 20060101ALI20160711BHJP
【FI】
   G02B6/46
   G02B6/28 V
   H02G1/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-17031(P2015-17031)
(22)【出願日】2015年1月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000110309
【氏名又は名称】SEIオプティフロンティア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】譽田 英弥
(72)【発明者】
【氏名】豊岡 弘康
(72)【発明者】
【氏名】岡部 圭寿
(72)【発明者】
【氏名】大塚 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】石塚 秀樹
【テーマコード(参考)】
2H038
5G352
【Fターム(参考)】
2H038CA39
5G352CH02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡易的な手法で複数の光ケーブルから所定の光ケーブルを判別することができる方法を提供する。
【解決手段】複数の光ケーブルから所定の光ケーブルを判別する光ケーブル判別手法は、可視光を出射する光源を用いて、複数の光ケーブルのうちの所定の光ケーブルに可視光を入力する入力工程S1と、複数の光ケーブルのうち少なくとも一つの選択光ケーブルを曲げることで湾曲部を形成する湾曲部形成工程S2と、湾曲部から漏洩した可視光を検出する検出工程S3と、湾曲部から漏洩した可視光が検出されたとき、可視光が検出された選択光ケーブルを所定の光ケーブルと判断する判断工程S4と、を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光ケーブルから所定の光ケーブルを判別する光ケーブル判別手法であって、
可視光を出射する光源を用いて、複数の光ケーブルのうちの所定の光ケーブルに前記可視光を入力する入力工程と、
前記複数の光ケーブルのうち少なくとも一つの光ケーブルを曲げることで湾曲部を形成する湾曲部形成工程と、
前記湾曲部から漏洩した可視光を検出する検出工程と、
前記湾曲部から漏洩した可視光が検出されたとき、前記可視光が検出された光ケーブルを前記所定の光ケーブルと判断する判断工程と、
を有する光ケーブル判別方法。
【請求項2】
前記検出工程では、前記湾曲部から漏洩する可視光を目視で検出する請求項1に記載の光ケーブル判別方法。
【請求項3】
前記複数の光ケーブルは、光信号を受信して当該光信号を電気信号に変換する変換装置に光学的に接続されており、
前記光源から出射される可視光が前記所定の光ケーブルを介して前記変換装置に入力されたときに、前記変換装置に入力された可視光の出力パワーが前記可視光の波長に対応する前記変換装置の最大許容パワー以下となるように、前記光源から出射される可視光の出力パワーが設定されている請求項1又は請求項2に記載の光ケーブル判別方法。
【請求項4】
前記可視光のピーク波長は、630nmから690nmの範囲内である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光ケーブル判別方法。
【請求項5】
前記複数の光ケーブルは、光信号を受信して当該光信号を電気信号に変換する変換装置に光学的に接続されており、
前記光源から出射される可視光が前記所定の光ケーブルを介して前記変換装置に入力されたときに、前記変換装置に入力された可視光の出力パワーが+3dBm以下となるように、前記光源から出射される可視光の出力パワーが設定されている請求項4に記載の光ケーブル判別手法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ケーブル判別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバを部分的に曲げて光信号を漏洩させる曲げ付与部と、漏洩光を検出する受光素子と、受光した漏洩光を増幅し判別する検出回路を備えた光心線判別装置を用いて、複数の光ファイバから所定の光ファイバを判別する手法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−109401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された光心線判別装置は、装置機構が複雑なため高価である。
【0005】
本発明は、簡易的な手法で複数の光ケーブルから所定の光ケーブルを判別する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の光ケーブル判別方法では、
複数の光ケーブルから所定の光ケーブルを判別する光ケーブル判別手法であって、
可視光を出射する光源を用いて、複数の光ケーブルのうちの所定の光ケーブルに前記可視光を入力する入力工程と、
前記複数の光ケーブルのうち少なくとも一つの光ケーブルを曲げることで湾曲部を形成する湾曲部形成工程と、
前記湾曲部から漏洩した可視光を検出する検出工程と、
前記湾曲部から漏洩した可視光が検出されたとき、前記可視光が検出された光ケーブルを前記所定の光ケーブルと判断する判断工程と、
を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡易的な手法で複数の光ケーブルから所定の光ケーブルを判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】光通信システムの概略図である。
図2】光ケーブルの長手方向に直交する方向における断面図である。
図3】多数の光ケーブルが受信装置又は送信装置に接続された様子を示した図である。
図4】本発明の実施形態に係る光ケーブル判別方法を説明するための図である。
図5】本実施形態に係る光ケーブル判別方法のフローチャートである。
図6】別の光ケーブルの長手方向に直交する方向における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本発明の実施形態の説明]
本発明の実施形態の概要を説明する。
(1)複数の光ケーブルから所定の光ケーブルを判別する光ケーブル判別手法であって、
可視光を出射する光源を用いて、複数の光ケーブルのうちの所定の光ケーブルに前記可視光を入力する入力工程と、
前記複数の光ケーブルのうち少なくとも一つの光ケーブルを曲げることで湾曲部を形成する湾曲部形成工程と、
前記湾曲部から漏洩した可視光を検出する検出工程と、
前記湾曲部から漏洩した可視光が検出されたとき、前記可視光が検出された光ケーブルを前記所定の光ケーブルと判断する判断工程と、
を有する光ケーブル判別方法。
【0010】
上記方法によれば、光ケーブルの湾曲部から漏洩した可視光を検出することで複数の光ケーブルから所定の光ケーブルを判別することができる。このように、簡易的な手法で複数の光ケーブルから所定の光ケーブルを判別することができる。
【0011】
(2)前記検出工程では、前記湾曲部から漏洩する可視光を目視で検出する項目(1)に記載の光ケーブル判別方法。
【0012】
上記方法によれば、特別な装置を必要とせずに、目視によって複数の光ケーブルから所定の光ケーブルを判別することができる。このように、さらに簡易的な手法で複数の光ケーブルから所定の光ケーブルを判別することができる。
【0013】
(3)前記複数の光ケーブルは、光信号を受信して当該光信号を電気信号に変換する変換装置に光学的に接続されており、
前記光源から出射される可視光が前記所定の光ケーブルを介して前記変換装置に入力されたときに、前記変換装置に入力された可視光の出力パワーが前記可視光の波長に対応する前記変換装置の最大許容パワー以下となるように、前記光源から出射される可視光の出力パワーが設定されている項目(1)又は(2)に記載の光ケーブル判別方法。
【0014】
上記方法によれば、光源から出射される可視光が所定の光ケーブルを介して変換装置に入力されたときに、変換装置に入力された可視光の出力パワーが可視光の波長に対応する変換装置の最大許容パワー以下となるように、光源から出射される可視光の出力パワーが設定されている。このため、可視光が変換装置に入力された場合でも、可視光の出力パワーによって変換装置が破壊されることを防ぐことができる。
【0015】
(4)前記可視光のピーク波長は、630nmから690nmの範囲内である項目(1)から項目(3)のいずれか一項に記載の光ケーブル判別方法。
【0016】
上記方法によれば、ピーク発振波長が630nmから690nmの範囲内である赤色光源は、比較的安価な光源であるため、光ケーブル判別方法を低コストで実現できる。
【0017】
(5)前記複数の光ケーブルは、光信号を受信して当該光信号を電気信号に変換する変換装置に光学的に接続されており、
前記光源から出射される可視光が前記所定の光ケーブルを介して前記変換装置に入力されたときに、前記変換装置に入力された可視光の出力パワーが+3dBm以下となるように、前記光源から出射される可視光の出力パワーが設定されている項目(4)に記載の光ケーブル判別手法。
【0018】
上記方法によれば、所定の光ケーブルを介して変換装置に入力される可視光の出力パワーが+3dBm以下となるように、光源から出射される可視光の出力パワーが設定されている。このため、可視光が変換装置に入力される場合でも、可視光によって変換装置が破壊されることを防ぐことができる。
【0019】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、本実施形態の説明において既に説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。また、本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0020】
図1は、光通信システム1の概略図を示している。図1に示すように、光通信システム1は、送信装置2と、複数の光ケーブル3と、受信装置4とを備えている。
【0021】
送信装置2は、電気信号を光信号に変換するE/O変換装置として機能する。送信装置2は、例えば、ピーク波長が850nm付近となるレーザ光源を備えている。尚、送信装置2は一般的な構成を有するため、その構成の詳細な説明はここでは省略する。
【0022】
図2を参照して光ケーブル3の構成を説明する。図2は、光ケーブル3の長手方向に直交する方向における断面図を示している。光ケーブル3は、光ファイバ心線31と、光ファイバ心線31を覆う抗張力繊維32と、抗張力繊維32を覆うシース33とを有する。
【0023】
光ファイバ心線31は、信号光を伝搬するコア層と、コア層を覆うクラッド層から構成される。本実施形態では、光ファイバ心線31としては、マルチモードファイバが採用されるが、用途に応じてはシングルモードファイバが採用されてもよい。抗張力繊維32は、アラミド繊維等の繊維質材料からなる。シース33は、透明又は白色の樹脂材料からなる。例えば、ポリ塩化ビニル樹脂(Polyvinyl chloride:PVC)であり、波長780nmの光(可視光)における可視光線透過率は50%以上、より好ましくは70%以上、更に好ましくは80%以上である。
【0024】
複数の光ケーブル3は、送信装置2及び受信装置4にマトリックス状に光学的に接続されている。特に、図3に示すように、各光ケーブル3の一端に設けられたコネクタが、送信装置2の対応するポートに嵌め込まれると共に、各光ケーブル3の他端に設けられたコネクタが、受信装置4の対応するポートに嵌め込まれている。
【0025】
受信装置4は、光ケーブル3から出力された光信号を電気信号に変換するO/E変換装置として機能している。受信装置4は、例えば850nm付近で最大感度を有するフォトダイオードと、フォトダイオードから出力された電気信号を増幅する増幅器と、増幅された電気信号を所定の電圧信号と比較し、デジタル信号を出力するコンパレータとを備えている。尚、受信装置4は一般的な構成を有するため、その詳細な構成については図示しない。
【0026】
フォトダイオードとしては、Siフォトダイオード又はGaAsフォトダイオードを用いることができる。フォトダイオードの受光感度(A/W)は、波長依存性があるため、受信装置4の最大許容パワーは、受信装置4に入力されるレーザ光のピーク波長に応じて異なる。一般的に広く普及している製品では、受信装置4に入力されるレーザ光のピーク波長が850nm付近のとき、受信装置4の最大許容パワーは約0dBm(1mW)と規定されている。
【0027】
このように、図1に示す光通信システム1では、電気信号が送信装置2によって光信号に変換され、変換された光信号が光ケーブル3を介して受信装置4に送信され、受信装置4によって光信号が電気信号に変換されている。
【0028】
ところで、図3に示すように、光通信システム1においては多数の光ケーブル3が受信装置4及び送信装置2にマトリックス状に高密度に接続されているため、所定の光ケーブル3を送信装置2及び受信装置4から取り外す作業の際には慎重を期する必要がある。特に、取り外すべき光ケーブル3を間違えた場合には、光通信システム1がダウンする等の重大な通信障害が発生する虞がある。
【0029】
例えば、各光ケーブルには識別番号等が付与されているため、当該識別番号を頼りに所定の光ケーブル3を取り外すこととなる。ここで、識別番号nが付与された所定の光ケーブル3を送信装置2及び受信装置4から取り外す場合、所定の光ケーブル3に識別番号nが付与されていることを確認することで、所定の光ケーブル3の一端側に設けられたコネクタを送信装置2のポートから取り外し、その後、所定の光ケーブル3の他端側に設けられたコネクタを受信装置4のポートから取り外す。このような作業では、光ケーブル3が送信装置2及び受信装置4に高密度に接続されているため、識別番号nが付与された所定の光ケーブル3のコネクタを送信装置2のポートから取り外したにもかかわらず、識別番号m(m≠n)が付与された別の光ケーブル3のコネクタを誤って受信装置4のポートから取り外してしまう可能性がある。特に、光ケーブル3が送信装置2及び受信装置4に高密度に接続されている場合には、光ケーブル3のシース33上に表示された識別番号を誤認識することで、取り外すべき所定の光ケーブル3を誤って判別してしまう可能性がある。このように、複数の光ケーブル3は識別番号等によって互いに区別可能であるものの、作業中に光ケーブル3の判別を間違える可能性がある。
【0030】
そこで、本実施形態によれば、簡易的な手法により複数の光ケーブルから所定の光ケーブルを判別する光ケーブル判別方法によって、所定の光ケーブル3を受信装置4から確実に取り外すことができる。
【0031】
次に、本実施形態に係る光ケーブル判別方法について図4及び図5を参照して以下に説明する。図4は、本実施形態に係る光ケーブル判別方法を説明するための図であって、識別番号nが付与された所定の光ケーブル3(以降では、光ケーブル3aとのみ称する)の一端側に可視光を出射する光源5が設けられている点で図1に示す光通信システム1とは異なる。尚、本説明において、作業者は、送信装置2及び受信装置4から光ケーブル3aを取り外すことを前提としている。
【0032】
図4は、光ケーブル3aの一方のコネクタを送信装置2のポートから取り外した後であって、光ケーブル3aの他方のコネクタを受信装置4のポートから取り外す前の状態を示している。
【0033】
図5は、光ケーブル判別方法のフローチャートを示している。
図5に示すステップS1では、可視光を出射する光源5を用いて、複数の光ケーブル3のうち光ケーブル3aに可視光が入力される。光源5としては、例えば半導体レーザ等のレーザ光源を用いることができる。光源5から出射されるレーザ光は、例えば、ピーク波長が630nmから690nmの範囲内である赤色光である。630nmから690nmの範囲内のピーク波長を有する赤色光源は、比較的安価な光源であるため、光ケーブル判別方法を低コストで実現することができる。尚、レーザ光は赤色光には限定されず、青色光等の可視光を適宜採用することも可能である。
【0034】
また、ステップS1において、赤色光(レーザ光)が光源5から光ケーブル3aに入力されると、赤色光は光ケーブル3aを介して受信装置4に入力される。ここで、受信装置4の破壊を防ぐために、受信装置4に入力された赤色光の出力パワーは、赤色光の波長(630nm〜690nm)に対応する受信装置4の最大許容パワー以下となるように、光源5から出射される赤色光の出力パワーが設定されることが好ましい。
【0035】
既に述べたように、受信装置4の最大許容パワーは波長依存性がある。一般的に広く普及している製品では、受信装置4に入力される光のピーク波長が850nm付近のとき、受信装置4の最大許容パワーは約0dBm(1mW)と規定されている。一方、受信装置4に入力される赤色光のピーク波長は630nm〜690nmの範囲内であるため、受信装置4の最大許容パワーは、約+3dBm(=2mW)となる。これは、受信装置4に設けられたフォトダイオードの630nm〜690nmの波長帯における受光感度が、850nmの波長帯における受光感度の約半分(−3dB)となるためである。
【0036】
このように、本実施形態では、受信装置4に入力された赤色光の出力パワーが+3dBm以下となるように光源5から出射される赤色光の出力パワーが設定されている。具体的には、光源5から出射される赤色光は、光ケーブル3aを介して受信装置4に入力されるため、赤色光の出力パワーは、受信装置4に至るまでに伝送損失や結合損失によって減衰してしまう。このため、光源5から受信装置4に至るまでの損失が仮に−1dBとすれば、光源5から出射された赤色光の出力パワーは、少なくとも+4dBm以下であればよい。
【0037】
次に、光ケーブル3aと推測される光ケーブル3(以下、選択光ケーブル3と称する)を曲げることで、選択光ケーブル3に湾曲部が形成される(ステップS2)。当該湾曲部は、作業者の手作業によって形成されてもよいし、湾曲部を形成するための特殊な治具を用いてもよい。ここで、光ケーブル3aには識別番号nが付与されているので、作業者は、多数の光ケーブル3のうちどれが光ケーブル3aに該当するかを推測することができる。
【0038】
次に、湾曲部から漏洩する赤色光(以下、漏洩光と称する)が検出されたどうかが確認される(ステップS3)。漏洩光は、作業者の目視で検出されてもよいし、漏洩光を検出する検出器を用いて検出されてもよい。特に、選択光ケーブル3のシース33が透明または白色樹脂で形成されている場合に、漏洩光を容易に検出することができる。また、選択光ケーブル3の湾曲部は、漏洩光が検出できる程度の曲げ半径を有する。
【0039】
次に、漏洩光が検出された場合(ステップS3でYES)、漏洩光が検出された選択光ケーブル3を光ケーブル3aと判断して(ステップS4)、光ケーブル判別方法が終了する。一方、漏洩光が検出されなかった場合(ステップS3でNO)、光ケーブル3aと推測される光ケーブル3を選択し直して(ステップS5)、再びステップS2に戻る。このように、漏洩光が検出されるまで、ステップS2及びS3は繰り返し行われる。
【0040】
以上より、本実施形態に係る光ケーブル判別方法によれば、複数の光ケーブル3から光ケーブル3aを確実に判別することができるため、光ケーブル3aを受信装置4から確実に取り外すことが可能となる。このように、光ケーブルの取り外し作業において、光通信システムの通信障害等の発生を確実に防ぐことが可能となる。
【0041】
また、本実施形態に係る光ケーブル判別方法によれば、選択光ケーブル3の湾曲部から漏洩した可視光を検出することで、複数の光ケーブル3から光ケーブル3aを判別することができる。このように、簡易的な手法で複数の光ケーブル3から光ケーブル3aを判別することができる。
【0042】
さらに、ステップS2において、作業者の目視によって漏洩光を検出する場合、検出器等の特別な装置を必要とせずに、複数の光ケーブル3から光ケーブル3aを判別することができる。このように、さらに簡易的な手法で複数の光ケーブル3から光ケーブル3aを判別することができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0044】
例えば、光ケーブル3に代わって、図6に示す光ケーブル3Aを光通信システム1に用いることができる。光ケーブル3Aは、光ケーブルを識別するための着色糸34が抗張力繊維32と共に設けられている点で図2に示す光ケーブル3と異なる。着色糸34は、光ケーブル3Aを識別するために用いられ、光ケーブル3A毎に所定の抗張力繊維32とは異なる色で着色される。尚、着色糸34が外部から視認されるように、シース33は透明材料で形成されることが好ましい。また、シース33に表示された識別番号に代わって、着色糸34によって各光ケーブル3Aを識別することが可能である。
【0045】
また、光通信システム1には、送信装置2と受信装置4との間に中継装置が設けられていてもよい。この場合には、光ケーブル3の一方のコネクタは送信装置2のポートに接続される一方、光ケーブル3の他方のコネクタは中継装置の受信ポートに接続される。また、別の光ケーブル3の一方のコネクタは中継装置の送信ポートに接続される一方、別の光ケーブル3の他方のコネクタは受信装置4のポートに接続される。このような光通信システムでも、本実施形態に係る光ケーブル判別方法を用いて光ケーブルを送信装置、中継装置及び受信装置から確実に取り外すことが可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0046】
1:光通信システム
2:送信装置
3,3a,3A:光ケーブル
4:受信装置
5:光源
31:光ファイバ心線
32:抗張力繊維
33:シース
34:着色糸
図1
図2
図3
図4
図5
図6