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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-143243(P2016-143243A)
(43)【公開日】2016年8月8日
(54)【発明の名称】商品販売機
(51)【国際特許分類】
   G07F 5/02 20060101AFI20160711BHJP
   G07F 11/04 20060101ALI20160711BHJP
   G07F 11/16 20060101ALI20160711BHJP
   G07F 11/22 20060101ALI20160711BHJP
【FI】
   G07F5/02 103
   G07F11/04
   G07F11/16 D
   G07F11/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-18729(P2015-18729)
(22)【出願日】2015年2月2日
(71)【出願人】
【識別番号】510195331
【氏名又は名称】西川 俊宏
(74)【代理人】
【識別番号】110001988
【氏名又は名称】特許業務法人小林国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西川 郁朗
【テーマコード(参考)】
3E044
3E046
【Fターム(参考)】
3E044AA01
3E044BA01
3E044FA01
3E044FA02
3E044FB05
3E044FB07
3E044FB08
3E044FB17
3E046AA02
3E046BA01
3E046BB02
3E046CA11
3E046CC02
3E046DA01
3E046EA01
3E046EB05
3E046FA03
3E046HA06
(57)【要約】
【課題】積み重ねて収容された複数の商品のうち最下段の商品を1つずつ排出可能な商品販売機を提供する。
【解決手段】商品販売機10は、商品26を積み重ねて収容する商品収容部21を有する。商品収容部21は、底部に底部開口30、前面側に排出口31を有する。最下段の商品26aは、支持板33の上面33aに載置され、下面がガイド開口34から露呈する。ガイド開口34は、底部開口30と排出口31に連通する。商品販売機10は、商品排出用レバー16が操作されると駆動アーム56が軸回転し、押し出しユニット23を初期位置から押し出し完了位置へ移動させる。押し出しユニット23は、当接部52がガイド開口34よりも上方に突出した突出位置で、排出口31を介して最下段の商品26aを押し出す。押し出し後、当接部52がガイド開口34の位置以下の沈み込み位置に変位し、商品26の下方を通過して初期位置に復帰する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品排出用レバーと前記商品排出用レバーの操作によって排出された商品を取り出す商品取り出し口とを備えた商品販売機において、
最下段の商品が載置される載置面を有する載置板と、前記最下段の商品から順に垂直方向に積み重ねられた複数の商品を収容する筒状体と、前記筒状体において前記商品取り出し口側の前面の下端に形成され、前記最下段の商品の前面を露呈し、前記筒状体から前記商品取り出し口に向けて水平方向に排出するための排出口であり、前記載置板に形成され前記最下段の商品の下面を露呈する露呈開口と連通する排出口が形成された商品収容部と、
前記商品排出用レバーの操作に連動して、前記最下段の商品に対して後方から当接して前方の前記排出口に向けて前記商品を押し出す押し出しユニットであり、前記最下段の商品と当接する当接部を有し、前記当接部が前記最下段の商品と当接するために前記露呈開口の前記垂直方向の位置よりも上方に突出する突出位置と、前記当接部が前記突出位置から下方に退避して前記露呈開口の前記垂直方向の位置以下に沈み込む沈み込み位置との間で変位する押し出し部材と、前記押し出し部材を変位自在に保持し、かつ、前記押し出し部材を、前記最下段の商品の後方に位置する初期位置と、前記最下段の商品の押し出しを完了する押し出し完了位置との間で前記水平方向に往復移動させるためのスライダとを有する押し出しユニットとを備えていることを特徴とする商品販売機。
【請求項2】
前記押し出し部材は、前記スライダに回転自在に設けられており、
前記押し出し部材が第1方向に回転すると、前記当接部は、前記突出位置から前記商品取り出し口のある前方に向けて屈むように前記沈み込み位置に変位することを特徴とする請求項1に記載の商品販売機。
【請求項3】
前記押し出しユニットが前記初期位置から前記押し出し完了位置に前記水平方向に移動する際に、前記押し出し部材は、前記当接部の前面で前記最下段の商品と当接することにより、前記商品を押し出し、
一方、前記押し出しユニットが前記押し出し完了位置から前記初期位置に前記水平方向に移動して復帰する際に、前記押し出し部材は、前記当接部の背面で、前記押し出しを完了した前記商品の次に最下段に落下した前記商品と当接することにより、前記第1方向に回転することを特徴とする請求項2に記載の商品販売機。
【請求項4】
前記押し出しユニットは、前記押し出し部材における前記第1方向とは反対の第2方向の回転を、前記当接部が前記突出位置で留まるように規制する回転規制部を有していることを特徴とする請求項3に記載の商品販売機。
【請求項5】
前記押し出しユニットは、前記スライダを前記初期位置に付勢するバネを有していることを特徴とする請求項4に記載の商品販売機。
【請求項6】
前記商品排出用レバーの1回の操作によって規定量回転して、前記押し出しユニットが前記初期位置から前記押し出し完了位置まで移動するための駆動力を与える駆動アームを有していることを特徴とする請求項5に記載の商品販売機。
【請求項7】
前記押し出し部材は、前記駆動アームからの押圧を受けて前記駆動力が入力される被押圧部を有しており、
前記押し出し部材は、前記駆動アームから入力される前記駆動力によって前記第2方向に回転することを特徴とする請求項6に記載の商品販売機。
【請求項8】
前記押し出し部材は、前記駆動アームからの押圧が開始されると、前記第2方向に回転して前記突出位置に変位し、前記突出位置に変位した前記押し出し部材は前記回転規制部によって前記第2方向への回転が規制され、
前記回転が規制された後、前記駆動アームの前記駆動力によって前記押し出しユニットが前記水平方向の移動を開始することを特徴とする請求項7に記載の商品販売機。
【請求項9】
前記商品収容部の下方に配置され、前記商品収容部と前記押し出しユニットとを保持する基台を備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の商品販売機。
【請求項10】
前記筒状体の底部には底部開口が形成され、
前記基台には、前記載置板として機能する平板状の支持板と、前記支持板に設けられ、前記スライダの前記水平方向の移動をガイドするガイドレールと、前記支持板に形成され、前記底部開口と少なくとも一部が対向して配置され、前記当接部の前記水平方向の移動をガイドし、かつ、前記露呈開口として機能するガイド開口とが設けられており、
前記当接部は、前記ガイド開口を介して前記底部開口の前記垂直方向の位置よりも上方に突出することを特徴とする請求項9に記載の商品販売機。
【請求項11】
前記押し出しユニットは、前記露呈開口から露呈された前記最下段の商品の下面を支持する商品支持部を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の商品販売機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品排出用レバーの操作に連動して商品の排出を行う商品販売機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無人で商品を販売可能な商品販売機が広く普及している。商品販売機には、電力を利用する電気式のものと、電力を利用しない機械式(手動式)のものがある。機械式の商品販売機は、屋外などの電源が取れない場所に配置できるため、設置場所や停電などによる制約を受けることなく、安定して商品を販売可能である。機械式の商品販売機で販売される商品は、例えば、玩具、カード、ティッシュペーパー、マスク、ストッキング、紙おむつなどであり、商品は、内容物が折り畳まれて包装されたり、ケースに収容された形態で販売される。
【0003】
機械式の商品販売機は、例えば、特許文献1に記載されているように、商品収容部と、商品排出用レバーと、回転板と、押し出し部材とを備えている。商品収容部は、垂直方向に積み重ねられた複数の商品を収容し、底部に底部開口を有する筒状体で構成されており、筒状体の側面の下端には、前記底部開口と連通し、最下段の商品を商品取り出し口に向けて水平方向に排出する排出口が形成されている。
【0004】
商品排出用レバーは、商品を排出するために操作される操作部材であり、例えば、商品1つ分の価格に応じたコインが投入された場合に操作可能となる。回転板は、商品排出用レバーの1回の操作に連動して規定量回転する。回転軸から放射状に延びる複数本の押し出し部材が、回転板の周方向に等角度間隔で設けられている。
【0005】
商品排出用レバーの1回の操作が行われる直前において、1本の押し出し部材は、最下段の商品の後方に待機している。待機位置にある押し出し部材は、回転板が規定量回転すると、底部開口から商品収容部内に進入して、最下段の商品と当接して、排出口から商品取り出し口に向けて商品を押し出す。
【0006】
商品収容部内においては、最下段の商品が排出口から押し出されると、押し出された商品の直上に積み重ねられた次の商品が最下段に落下する。また、回転板の規定量の回転により、次の押し出し部材が待機位置に移動する。こうした動作が繰り返されて、商品排出用レバーの1回の操作に応じて、商品が1つずつ排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭61−55769
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
商品販売機は、商品1つ分の対価の支払いに応じて商品を排出するものであるから、当然ながら、商品排出用レバーの1回の操作に応じて、商品は1つずつ排出することが求められる。しかしながら、特許文献1に記載の商品販売機の構成では、商品排出用レバーの1回の操作によって、複数の商品が排出されてしまう懸念があった。
【0009】
具体的には、特許文献1に記載の商品販売機では、回転板に放射状に設けられた押し出し部材が商品と直接当接して、商品の押し出しを行っている。押し出し部材は、回転運動によって商品を押し出すため、商品との当接を開始する押し出し直後から商品と離れる押し出し完了までの間に、当接する最下段の商品に対する高さが変化する。押し出し部材の高さが変化すると、最下段の商品だけでなく、その直上の商品と当接することがあり、この場合、最下段の商品の排出の際に、直上の商品が引きずられて排出されてしまう懸念があった。
【0010】
上述のとおり、カード、ティッシュペーパー、マスク、ストッキング、紙おむつなどの商品は、商品収容部内において、厚みが薄い薄型の形態で収容される場合が多い。このように商品が薄型の場合には、押し出し部材の高さ変化が僅かであっても、上述した問題が生じやすいため、改善策が要望されていた。
【0011】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、積み重ねて収容された複数の商品のうち最下段の商品を1つずつ排出可能な商品販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の商品販売機は、商品排出用レバーと前記商品排出用レバーの操作によって排出された商品を取り出す商品取り出し口とを備えた商品販売機において、最下段の商品が載置される載置面を有する載置板と、前記最下段の商品から順に垂直方向に積み重ねられた複数の商品を収容する筒状体と、前記筒状体において前記商品取り出し口側の前面の下端に形成され、前記最下段の商品の前面を露呈し、前記筒状体から前記商品取り出し口に向けて水平方向に排出するための排出口であり、前記載置板に形成され前記最下段の商品の下面を露呈する露呈開口と連通する排出口が形成された商品収容部と、前記商品排出用レバーの操作に連動して、前記最下段の商品に対して後方から当接して前方の前記排出口に向けて前記商品を押し出す押し出しユニットであり、前記最下段の商品と当接する当接部を有し、前記当接部が前記最下段の商品と当接するために前記露呈開口の前記垂直方向の位置よりも上方に突出する突出位置と、前記当接部が前記突出位置から下方に退避して前記露呈開口の前記垂直方向の位置以下に沈み込む沈み込み位置との間で変位する押し出し部材と、前記押し出し部材を変位自在に保持し、かつ、前記押し出し部材を、前記最下段の商品の後方に位置する初期位置と、前記最下段の商品の押し出しを完了する押し出し完了位置との間で前記水平方向に往復移動させるためのスライダとを有する押し出しユニットとを備えている。
【0013】
前記押し出し部材は、前記スライダに回転自在に設けられており、前記押し出し部材が第1方向に回転すると、前記当接部は、前記突出位置から前記商品取り出し口のある前方に向けて屈むように前記沈み込み位置に変位することが好ましい。
【0014】
前記押し出しユニットが前記初期位置から前記押し出し完了位置に前記水平方向に移動する際に、前記押し出し部材は、前記当接部の前面で前記最下段の商品と当接することにより、前記商品を押し出し、一方、前記押し出しユニットが前記押し出し完了位置から前記初期位置に前記水平方向に移動して復帰する際に、前記押し出し部材は、前記当接部の背面で、前記押し出しを完了した前記商品の次に最下段に落下した前記商品と当接することにより、前記第1方向に回転することが好ましい。
【0015】
前記押し出しユニットは、前記押し出し部材における前記第1方向とは反対の第2方向の回転を、前記当接部が前記突出位置で留まるように規制する回転規制部を有していることが好ましい。
【0016】
前記押し出しユニットは、前記スライダを前記初期位置に付勢するバネを有していることが好ましい。
【0017】
前記商品排出用レバーの1回の操作によって規定量回転して、前記押し出しユニットが前記初期位置から前記押し出し完了位置まで移動するための駆動力を与える駆動アームを有していることが好ましい。
【0018】
前記押し出し部材は、前記駆動アームからの押圧を受けて前記駆動力が入力される被押圧部を有しており、前記押し出し部材は、前記駆動アームから入力される前記駆動力によって前記第2方向に回転することが好ましい。
【0019】
前記押し出し部材は、前記駆動アームからの押圧が開始されると、前記第2方向に回転して前記突出位置に変位し、前記突出位置に変位した前記押し出し部材は前記回転規制部によって前記第2方向への回転が規制され、前記回転が規制された後、前記駆動アームの前記駆動力によって前記押し出しユニットが前記水平方向の移動を開始することが好ましい。
【0020】
前記商品収容部の下方に配置され、前記商品収容部と前記押し出しユニットとを保持する基台を備えていることが好ましい。
【0021】
前記筒状体の底部には底部開口が形成され、前記基台には、前記載置板として機能する平板状の支持板と、前記支持板に設けられ、前記スライダの前記水平方向の移動をガイドするガイドレールと、前記支持板に形成され、前記底部開口と少なくとも一部が対向して配置され、前記当接部の前記水平方向の移動をガイドし、かつ、前記露呈開口として機能するガイド開口とが設けられており、前記当接部は、前記ガイド開口を介して前記底部開口の前記垂直方向の位置よりも上方に突出することが好ましい。
【0022】
押し出しユニットは、露呈開口から露呈された最下段の商品の下面を支持する商品支持部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、積み重ねて収容された複数の商品のうち最下段の商品を1つずつ排出可能な商品販売機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】商品販売機を示す斜視図である。
図2】商品押し出し機構を示す斜視図である。
図3】商品収容部に商品が収容される状態を説明する説明図である。
図4】商品収容部の基台への取り付けを説明する説明図である。
図5】押し出しユニットを示す斜視図である。
図6】押し出し部材の変位を説明する説明図である。
図7】押し出しユニットが初期位置にある状態を説明する説明図である。
図8】往路において、駆動アームが押し出しユニットの被押圧部に当接した状態を説明する説明図である。
図9】往路において、押し出し部材の当接部が最下段の商品に当接した状態を説明する説明図である。
図10】往路において、押し出し部材が最下段の商品を押出す状態を説明する説明図である。
図11】押し出しユニットが押し出し完了位置にある状態を説明する説明図である。
図12】復路において、押し出し部材の当接部が最下段に落下した商品と当接して沈み込み位置に変位する状態を説明する説明図である。
図13】復路において、押し出しユニットが商品の下部を水平方向に移動する状態を説明する説明図である。
図14】押し出し部材が突出位置に変位する状態を説明する説明図である。
図15】第2実施形態の商品販売機を示す斜視図である。
図16】第2実施形態の押し出しユニットを示す斜視図である。
図17】第2実施形態の押し出し部材の変位を説明する説明図である。
図18】第2実施形態の後輪の取り付け状態を示す断面図である。
図19】第2実施形態の場合に、押し出しユニットが初期位置にある状態を説明する説明図である。
図20】第2実施形態の場合に、往路において、駆動アームが押し出しユニットの被押圧部に当接した状態を説明する説明図である。
図21】第2実施形態の場合に、往路において、押し出し部材の当接部が最下段の商品に当接した状態を説明する説明図である。
図22】第2実施形態の場合に、往路において、押し出し部材が最下段の商品を押出す状態を説明する説明図である。
図23】第2実施形態の押し出しユニットが押し出し完了位置にある状態を説明する説明図である。
図24】第2実施形態の場合に、復路において、押し出し部材の当接部が最下段に落下した商品と当接して沈み込み位置に変位する状態を説明する説明図である。
図25】第2実施形態の場合に、復路において、押し出しユニットが商品の下部を水平方向に移動する状態を説明する説明図である。
図26】第2実施形態の場合に、押し出し部材が突出位置に変位する状態を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第1実施形態]
図1に示すように、本発明の商品販売機10は、本体部12の前面に、コイン投入口13と、コイン返却ボタン14と、コイン返却口15と、商品排出用レバー16と、商品取り出し口17とが設けられている。
【0026】
コイン投入口13は、コインを投入するためのスリット状の孔である。コイン投入口13から投入されたコインは、本体部12の内部に設けられたコイン選別器(図示省略)によって、正規のコインであるか否かの判別が行われる。そして、投入されたコインは、正規のコインでないと判別された場合にはコイン返却口15へ返却され、正規のコインであると判別された場合には周知の前金制御機構(図示省略)へ送られる。前金制御機構は、規定数のコイン(例えば、商品1つ分の価格に応じたコイン)が投入された場合に、商品排出用レバー16のロックを解除する。
【0027】
コイン返却ボタン14は、商品の購入を途中で止めるために設けられており、コインの投入後に操作されると、投入されたコインと同じ数のコインをコイン返却口15に返却させる。コイン返却口15は、コイン返却ボタン14の操作に伴うコインの返却の他、コイン選別器により正規でないと判別されたコインや、規定数を超えて投入されたコインなどを返却するための開口である。
【0028】
商品排出用レバー16は、ロックされた状態では、操作が不可能とされ、ロックが解除された状態では、本体部12の前面に形成された溝18に沿って押し下げ操作が可能とされる。商品排出用レバー16は、1回の操作が行われると、1つの商品を商品取り出し口17へ向けて排出させる。商品取り出し口17の奥には、排出された商品が上端側から商品取り出し口17のある下端側へ滑り落ちる斜面19が設けられている。これにより、商品排出用レバー16を操作した際に、斜面19を滑り落ちた商品が商品取り出し口17から取り出し可能となる。
【0029】
図2に示すように、本体部12の内部には、商品収容部21と、基台22と、押し出しユニット23と、駆動機構24とが設けられている。商品収容部21は、垂直方向に商品26を積み重ねて収容する筒状体27から構成される。商品26は、例えば、玩具、カード、ティッシュペーパー、マスク、ストッキング、紙おむつなどである。
【0030】
商品収容部21内には、これらのうちの1種類の商品26が複数個収容される。商品収容部21内に収容される個々の商品26は、内容物が折り畳まれて包装されたり、ケースに収容された形態をしており、同一形状及び同一サイズである。形状としては、例えば、平面形状が四角形で比較的厚みが薄い扁平な形状である。商品収容部21の平面サイズは、商品収容部21内において積み重ねられた複数の商品26が移動して荷崩れなどがおきないように、商品26の平面サイズとほぼ同サイズで形成されている。
【0031】
図3及び図4に示すように、筒状体27は、底部開口30と、排出口31と、背面開口32とを有する。底部開口30は、筒状体27の底部を全部開放するように形成されており、積み重ねられた複数の商品26のうち、最下段の商品26aの下面を筒状体27から露呈させる。筒状体27の底部は、底部開口30が形成されているため、最下段の商品26aは、基台22の支持板33の上面33aに載置される。本実施形態では、最下段の商品26aが載置される載置面を有する載置板は、支持板33が兼用する。
【0032】
排出口31は、筒状体27の前面側の下端に形成され、底部開口30と連通する。また、排出口31は、最下段の商品26aの前面の全部を露呈させるサイズ(幅及び高さ)を有する。この排出口31を介して、最下段の商品26aが筒状体27から前方へ水平方向に排出可能とされる。
【0033】
背面開口32は、筒状体27の背面側の下端に形成され、底部開口30と連通する。また、背面開口32は、最下段の商品26aの背面のうち一部を露呈させるように形成されている。具体的には、最下段の商品26aの背面のうち、幅方向の中央部分が露呈される。最下段の商品26aの背面のうち残りの部分は筒状体27と当接するため、最下段の商品26aが筒状体27から後方へ水平方向に排出不可能とされる。つまり、最下段の商品26aは、商品収容部21の前面の排出口31からのみ排出可能である。
【0034】
基台22は、商品収容部21の下方に配置され、商品収容部21と押し出しユニット23とを保持する。
【0035】
基台22には、略平板状の支持板33と、ガイド開口34と、ガイドレール35と、前方フランジ36と、後方フランジ37とが設けられている。支持板33には、上面33aに商品収容部21が取り付けられる。また、上述のとおり、支持板33は最下段の商品26aが載置される載置板として兼用され、上面33aは、最下段の商品26aを載置する載置面として機能する。また、上面33aは、商品26を商品取り出し口17に向けて搬送する搬送路としても機能する。支持板33は、前端及び後端がそれぞれ下方に向けてL字状に屈曲しており、前端には前方フランジ36が、後端には後方フランジ37がそれぞれ形成されている。
【0036】
ガイド開口34は、支持板33に形成され、底部開口30と少なくとも一部が対向して配置される。商品収容部21が基台22に取り付けられた状態では、ガイド開口34は、底部開口30と排出口31と背面開口32とに連通する。また、ガイド開口34は、最下段の商品26aの下面を露呈する露呈開口としても機能する。ガイド開口34を介して、後述する押し出し部材43の当接部52が底部開口30の位置よりも上方に突出して、最下段の商品26aの排出を行う。
【0037】
ガイドレール35は、支持板33の下面33bに設けられている。ガイドレール35は、後方から前方に向けて、支持板33に対して水平方向に2本延びている。ガイドレール35は、ガイド開口34の両側に配置されている。このガイドレール35は、押し出しユニット23を保持するとともに、ガイド開口34と協働して、押し出しユニット23の水平方向の移動をガイドする。
【0038】
前方フランジ36は、例えば、斜面19(図1参照)の上端部と接続される。これにより、排出口31から上面33aを搬送された商品26aが、斜面19を介して商品取り出し口17に排出可能となる。
【0039】
後方フランジ37は、本体部12の後方側の内面から延びる固定部材38に固定される(図7参照)。後方フランジ37には、押し出しユニット23を付勢するバネ39の一端を取り付けるための基台側バネ取り付け孔40が設けられている。
【0040】
図5及び図6に示すように、押し出しユニット23は、スライダ42と、押し出し部材43とを有する。スライダ42は、2本のガイドレール35の間に配置され、ガイドレール35によって保持される。スライダ42には、幅方向に延びる平板で形成された回転規制部48と、回転規制部48の両端から下方に延びる側板42aとを有する。
【0041】
スライダ42には、両側板42aにそれぞれ2つずつ合計4つの車輪50が設けられており、各車輪50は、幅方向に延びる2本の車軸49の両端にそれぞれ取り付けられている。車輪50は、ガイドレール35に取り付けられ、車輪50の回転により、スライダ42がガイドレール35に沿って水平方向に往復移動する。
【0042】
また、スライダ42の両側板42aには、スライダ側バネ取り付け孔46が設けられている。スライダ側バネ取り付け孔46には、基台側バネ取り付け孔40に取り付けられたバネ39の他端が取り付けられる。このバネ39によって、押し出しユニット23がガイド開口34(図7参照)の後方の初期位置に付勢される。
【0043】
押し出し部材43は、前方の車軸49に対して回転自在に取り付けられる。押し出し部材43は、当接部52と、被押圧部53とを有する。当接部52は、図6に示すように、スライダ42の移動方向の横断面形状が、L字を倒立させた形状をしている。当接部52は、押し出しユニット23が往路を移動する際に商品26と当接する前面52aと、押し出しユニット23が復路を移動する際に商品26と当接する背面52bとを有する。押し出しユニット23の移動の際は、ガイド開口34によって当接部52の水平方向の移動がガイドされる。
【0044】
図6に示すように、被押圧部53は、当接部52の背面52bの下端と連接しており、垂直方向に対して前方に40°程度屈曲した形状をしている。被押圧部53は、後方から駆動機構24による押圧を受ける。この押圧力は、押し出しユニット23が前方へ移動するための駆動力となる。
【0045】
押し出し部材43は、当接部52と被押圧部53が接続する、垂直方向の中央付近に前方に突出する取り付け板43aを有しており、取り付け板43aを介して車軸49が取り付けられる。このため、押し出し部材43は、車軸49を基準に上方に当接部52が、下方に被押圧部53が配置される。
【0046】
図6に示すように、押し出し部材43は、車軸49を中心に回転することにより、当接部52が、最下段の商品26aの載置面に形成されるガイド開口(露呈開口)34を介して底部開口30の垂直方向の位置よりも上方に突出する突出位置と、突出位置にある当接部52が下方に退避してガイド開口(露呈開口)34の垂直方向の位置以下に沈み込む沈み込み位置との間で変位自在である。
【0047】
スライダ42の回転規制部48は、上面が、ガイド開口34の垂直方向の位置以下となっている。回転規制部48は、突出位置にある当接部52が、前方へ向けて回転する回転方向である第1方向とは反対、すなわち後方へ向けて回転する回転方向である第2方向へ回転することを規制する。具体的には、回転規制部48は、当接部52の背面52bと当接することにより、当接部52が第2方向へ回転することを規制する。このように、突出位置にある当接部52は、前方の第1方向への回転が許容されているため、前方に向けて屈むように沈み込み位置に変位可能となる一方で、後方の第2方向への回転が規制されているため、当接部52が突出位置に留まることが可能となる。
【0048】
図7に示すように、駆動機構24は、押し出しユニット23の下方に配置されている(図2〜4も参照)。駆動機構24は、回転軸55を中心として放射状に延びた3本の駆動アーム56a〜56cを有する。駆動アーム56a〜56cは、例えば、120°の等角度間隔で設けられている。また、駆動アーム56a〜56cは、商品排出用レバー16の操作に連動して、回転軸55を中心に第1方向(図7において反時計方向)へ規定量回転する。本実施形態では、商品排出用レバー16の操作が1回行われることによって、駆動アーム56a〜56cが回転軸55を中心に第1方向へ120°回転する。
【0049】
駆動アーム56a〜56cは、商品排出用レバー16の操作が行われる直前において、駆動アーム56a〜56cのうち駆動アーム56aが被押圧部53の後方に配置されている。そして、商品排出用レバー16が操作されると、駆動アーム56aは、回転軸55を中心に120°回転する。この回転の際に、駆動アーム56aが、被押圧部53を前方側へ向けて押圧することによって、押し出しユニット23に対して駆動力を与える。駆動アーム56aが120°回転した後、次の駆動アーム56bが被押圧部53の後方に配置される。
【0050】
次に、図7図14を参照して、本発明の商品販売機10の作用を説明する。
【0051】
商品排出用レバー16が操作される直前では、図7に示すように、押し出しユニット23は、バネ39によって初期位置に付勢されている。押し出し部材43は、当接部52の背面52bが回転規制部48に当接し、当接部52が突出位置に配置されている。突出位置では、車軸49に対して、当接部52が上方にあり、被押圧部53が下方にある状態となる。被押圧部53の後方には、駆動アーム56aが配置されている。
【0052】
規定数のコインの投入によってロック解除された商品排出用レバー16が操作されると、図8に示すように、駆動アーム56a〜56cは、回転軸55を中心として、第1方向に120°の回転を開始する。駆動アーム56aが被押圧部53に当接することにより、駆動アーム56aから被押圧部53に対して駆動力が入力される。被押圧部53は、当接部52の背面52bが回転規制部48に当接しているため、第2方向への回転が規制される。したがって、押し出し部材43は、当接部52が突出位置に維持される。
【0053】
図9に示すように、さらに駆動アーム56a〜56cが回転して、駆動アーム56aから被押圧部53への駆動力がバネ39の付勢力以上となると、当接部52が突出位置に維持された状態で、スライダ42が前方へ向けて移動を開始する。そして、背面開口32を介して、当接部52の前面52aが、最下段の商品26aのうち露呈された一部の背面に当接する。
【0054】
図10に示すように、当接部52の前面52aが最下段の商品26aに当接した後、最下段の商品26aの押し出しが開始される。最下段の商品26aは、当接部52からの押し出しによって、排出口31を介して商品収容部21の外に排出される。そして、排出された商品26aは、支持板33の上面33aを搬送されて商品取り出し口17へ向けて移動する。
【0055】
図11に示すように、スライダ42は、当接部52が商品26aを押し出しながら押し出し完了位置まで移動する。押し出し完了位置では、商品収容部21から押し出された商品26aが、斜面19の上端に到達し、斜面19の上端側から下端側へ落下する。これにより、商品取り出し口17から商品26aの取り出しが可能となる。また、商品収容部21内では、商品26aが商品収容部21の外に押し出されたことに伴い、商品26aの上に載っていた商品26bが、支持板33の上面33a上に落下する。
【0056】
図12に示すように、スライダ42が押し出し完了位置に配置された状態で、さらに駆動アーム56a〜56cが回転すると、被押圧部53は、駆動アーム56aによる押圧から開放される。これにより、スライダ42は、バネ39の付勢力によって初期位置へ復帰するために、後方へ向けて水平方向に移動を開始する。スライダ42が初期位置に復帰する際に、当接部52の背面52bが、商品26aの次に最下段に落下した商品26bと当接する。この当接による反動で、押し出し部材43は、当接部52が突出位置にある状態から前方の第1方向に回転して、当接部52が沈み込み位置に変位する。
【0057】
図13に示すように、当接部52が沈み込み位置にあるため、押し出しユニット23は、最下段に落下した商品26bの下方を通過する。このとき、駆動アーム56a〜56cは、120°の回転が完了され、駆動アーム56bが被押圧部53の後方に待機した状態となる。
【0058】
図14に示すように、押し出しユニット23が初期位置に復帰する際に、被押圧部53は、後方で待機している駆動アーム56bと当接する。この当接による反動で、被押圧部53が第2方向に回転するとともに、当接部52が第2方向に回転して沈み込み位置から突出位置に変位する。このように当接部52が突出位置に変位する際は、図7に示すように当接部52の背面52bが回転規制部48に当接する場合もあるが、第2方向の回転力が弱い場合には、当接部52の背面52bが回転規制部48まで到達しない状態で停止する場合もある。しかし、上述のように、押し出しユニット23が初期位置に復帰する際には、被押圧部53の後方に駆動アーム56bが待機しているため、商品排出用レバー16の操作が再び行われた場合に、駆動アーム56bが回転して被押圧部53に対して駆動力が入力される。これにより、押し出しユニット23が押し出されるため、商品を商品取り出し口17へ向けて排出することができる。
【0059】
以上のように、本発明の商品販売機10は、商品26を押し出す押し出し部材43を水平方向に移動する押し出しユニット23を有しているから、押し出し部材43の高さ変化が無く、積み重ねて収容された複数の商品26のうち最下段の商品26aを1つずつ排出することができる。
【0060】
また、押し出し部材43は、最下段の商品26aを露呈するガイド開口34を介して底部開口30の垂直方向の位置よりも当接部52が上方に突出する突出位置と、当接部52が突出位置から下方に退避してガイド開口34の垂直方向の位置以下に沈み込む沈み込み位置との間で変位する。そのため、当接部52が突出位置にある状態で、押し出し部材43を初期位置から水平方向に移動させて押し出しを行い、押し出し完了後、当接部52を沈み込み位置に変位させた状態で、押し出し部材43を初期位置に復帰させることができる。最下段の商品26aが押し出されると、次の商品26bが最下段に落下するが、初期位置に復帰する際には、当接部52が沈み込み位置に変位するため、当接部52は、最下段に落下した商品26bの下方を通過することができる。
【0061】
上記実施形態では、押し出し部材43を、車軸49を中心に回転させることにより、突出位置と沈み込み位置との間で変位させている。押し出し部材43の変位に関しては、上記回転の他、複数のリンク部材を用いたリンク機構等を構成することによっても可能である。しかしながら、上記実施形態のように押し出し部材43の回転により変位させる場合は、リンク機構等を構成する場合と比較して、部品点数が少なく構造が簡単であるためコストを抑えることができる。
【0062】
また、押し出しユニットを押し出し完了位置から初期位置へ復帰させるためにバネを用いるため、バネを用いずに初期位置へ復帰させる構成と比較して構造が簡単で、部品点数が少なくて済む。
【0063】
なお、上記実施形態では、商品収容部21の底部開口30を、最下段の商品26aの底面が全部露呈するサイズに形成し、基台22の支持板33を、最下段の商品26aが載置される載置板として機能させる例で説明したが、商品収容部21内の最下段の商品26aの載置板を、支持板33と別部材としてもよい。例えば、筒状体27において、底部開口30を底部の一部のみ開放するように形成し、残りの底部を最下段の商品26aを支持する載置板として機能させても良い。この場合には、筒状体27の底部の一部に形成された底部開口30が露呈開口として機能する。また、載置板と支持板33が別部材となるため、商品収容部21内に収容された状態では、最下段の商品26aは、基台22の支持板33と接触せず、排出口31から排出された時点で、支持板33と直接接触することになる。
【0064】
[第2実施形態]
上記第1実施形態の商品販売機10では、底部開口30及びガイド開口34から露呈した最下段の商品26aの下面は支持されないが、図15図26に示す第2実施形態の商品販売機100では、押し出しユニット104に設けられた商品支持部によって、底部開口30及びガイド開口34から露呈した最下段の商品26aの下面を支持している。以下では、上記第1実施形態と同様の符号を付している部分については説明を省略する。
【0065】
図15に示すように、第2実施形態の商品販売機100は、商品収容部21から商品が水平方向に排出され、排出された商品の一部が商品取り出し口17から飛び出すことによって、商品の取り出しが可能とされている。(図23参照)
【0066】
図16図18に示すように、押し出しユニット104は、スライダ106と、押し出し部材108とを有する。図16に示すように、スライダ106には、回転規制部48の他に、商品支持部109と、回転規制部48と商品支持部109とを接続し、かつ商品支持部109の両端から下方に延びる側板106aとを有する。
【0067】
商品支持部109は、商品収容部21内の最下段の商品26aの下面のうち、底部開口30及びガイド開口34に対応する部分を支持する。ここで、スライダ106に商品支持部109が設けられていない場合には、最下段の商品26aは、底部開口30及びガイド開口34に対応する部分が下側にたるんで、押し出しユニットの移動の際に擦れて傷が付いてしまう可能性がある。このため、最下段の商品26aがたるまないように、商品支持部109で支持している。
【0068】
両側板106aは、上記第1実施形態と同様に、スライダ側バネ取り付け孔46が設けられている。また、両側板106aには、2つの前輪110と、2つの後輪111が設けられている。各前輪110は、幅方向に延びる車軸112の両端にそれぞれ取り付けられている。
【0069】
一方、図17に示すように、各後輪111は、各側板106aに別々に固定された車軸113に対して、それぞれ軸回転可能に取り付けられている。後輪111は、例えばベアリングを有し(図示省略)、このベアリングに車軸113が挿通されることによって、側板106aに取り付けられる。車軸113は、一端に後輪111が取り付けられ、他端が側板106aにカシメられて固定される。図18に示すように、各車軸113の間には、突出位置から沈み込み位置に回転した押し出し部材108が入り込むことができる隙間が空いている。
【0070】
押し出し部材108は、垂直方向の中央付近に前方に突出する取り付け板108aを有しており、取り付け板108aを介して前方の車軸112が取り付けられる。押し出し部材108は、前面114と背面116とを有する平板の形状をしている。
【0071】
前面114の上端は、押し出しユニット104が往路を移動する際に商品26と当接する。背面116の上端は、押し出しユニット104が復路を移動する際に商品26と当接する。したがって、前面114及び背面116の上端は、本発明の当接部として機能する。また、背面116は、後方から駆動機構24による押圧を受ける。したがって、背面116は、本発明の被押圧部としても機能する。
【0072】
また、前面114の下端には、重り118が設けられている。重り118は、その自重によって、車軸112を基準に、前面114及び背面116の上端を上方に配置させ、前面114及び背面116の下端を下方に配置させる。これにより、前面114及び背面116の上端(当接部)が突出位置に留まることを可能とする。
【0073】
次に、図19図26を参照して、第2実施形態の商品販売機100の作用を説明する。
【0074】
商品排出用レバー16が操作される直前では、図19に示すように、押し出しユニット104は、バネ39によって初期位置に付勢されている。押し出し部材108は、重り118の自重によって、背面116の上端が回転規制部48に当接し、前面114及び背面116の上端(以下、単に当接部という)が突出位置に配置されている。背面116の後方には、駆動アーム56aが配置されている。
【0075】
規定数のコインの投入によってロック解除された商品排出用レバー16が操作されると、図20に示すように、駆動アーム56a〜56cは、回転軸55を中心として、第1方向に120°の回転を開始する。駆動アーム56aが背面116の下端(以下、単に被押圧部)に当接することにより、駆動アーム56aから被押圧部に対して駆動力が入力される。被押圧部は、背面116の上端が回転規制部48に当接しているため、第2方向への回転が規制される。したがって、押し出し部材108は、当接部が突出位置に維持される。
【0076】
図21に示すように、さらに駆動アーム56a〜56cが回転して、駆動アーム56aから被押圧部への駆動力がバネ39の付勢力以上となると、当接部が突出位置に維持された状態で、スライダ106が前方へ向けて移動を開始する。そして、背面開口32を介して、当接部の前面114が、最下段の商品26aのうち露呈された一部の背面に当接する。
【0077】
図22に示すように、当接部の前面114が最下段の商品26aに当接した後、最下段の商品26aの押し出しが開始される。最下段の商品26aは、当接部からの押し出しによって、排出口31を介して商品収容部21の外に排出される。そして、排出された商品26aは、支持板33の上面33aを搬送されて商品取り出し口17へ向けて移動する。
【0078】
図23に示すように、スライダ106は、押し出し部材108が商品26aを押し出しながら押し出し完了位置まで移動する。押し出し完了位置では、商品収容部21から押し出された商品26aが商品取り出し口17から取り出しが可能となる。また、商品収容部21内では、商品26aが商品収容部21の外に押し出されたことに伴い、商品26aの上に載っていた商品26bが、支持板33の上面33a上に落下する。
【0079】
図24に示すように、スライダ106が押し出し完了位置に配置された状態で、さらに駆動アーム56a〜56cが回転すると、被押圧部は、駆動アーム56aによる押圧から開放される。これにより、スライダ106は、バネ39の付勢力によって初期位置へ復帰するために、後方へ向けて水平方向に移動を開始する。スライダ106が初期位置に復帰する際に、当接部の背面116が、商品26aの次に最下段に落下した商品26bと当接する。この当接による反動で、押し出し部材108は、当接部が突出位置にある状態から前方の第1方向に回転して、当接部が沈み込み位置に変位する。
【0080】
図25に示すように、当接部が沈み込み位置にあるため、押し出しユニット104は、最下段に落下した商品26bの下方を通過する。このとき、前面114及び背面116は、下端部が各車軸113の間に入り込むことによって、支持板33に対してほぼ水平になる。
【0081】
図26に示すように、押し出しユニット104が初期位置に復帰する際に、重り118による自重で、被押圧部が第2方向に回転するとともに、当接部が第2方向に回転して沈み込み位置から突出位置に変位する。
【0082】
以上のように、第2実施形態の押し出しユニット104は、商品支持部109が設けられているため、最下段の商品26aが下側にたるんでしまうことが無く、押し出しユニットの移動の際に、最下段の商品26aが擦れて傷が付いてしまうことを防止できる。この商品支持部109は、商品や、商品を包装する箱等が軟らかい素材でできている場合に、特に効果的である。
【0083】
また、上記第1実施形態のスライダ42では、後方側の各車輪50が、前方側の各車輪50と同様に、幅方向に延びる車軸49の両端に取り付けられている。このため、押し出し部材43は、被押圧部53を平板形状とした場合には、当接部52が突出位置から沈み込み位置に回転する際に、被押圧部53が後方側の車軸49に当たって回転が阻害される。この場合には、当接部52が沈み込み位置に完全に変位しないため、スライダ42が初期位置へ復帰する際に、当接部52の背面52bが最下段に落下した商品26bと擦れて、商品26bを傷つけてしまう可能性がある。これを防ぐために、上記第1実施形態では、被押圧部53を前方に屈曲した形状とすることによって、当接部52が沈み込み位置に完全に変位するようにしている。
【0084】
これに対して、第2実施形態のスライダ106では、各後輪111を取り付ける各車軸113が幅方向に延びていないため、各車軸113の間に押し出し部材108の下端部分が入り込む隙間が有る。このため、押し出し部材108を平板形状にしても、当接部が突出位置から沈み込み位置に回転する際に、押し出し部材108の回転が車軸113によって阻害されずに、当接部を突出位置から沈み込み位置に確実に変位させることができる。
【符号の説明】
【0085】
10,100 商品販売機
16 商品排出用レバー
17 商品取り出し口
21 商品収容部
22 基台
23,104 押し出しユニット
24 駆動機構
26 商品
27 筒状体
30 底部開口
31 排出口
34 ガイド口
35 ガイドレール
39 バネ
42,106 スライダ
43,108 押し出し部材
48 回転規制部
52 当接部
53 被押圧部
56 駆動アーム
109 商品支持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26