【解決手段】基板対基板コネクタ1は、自動実装機2によってLED実装基板3に実装可能なコネクタである。基板対基板コネクタ1は、複数のコンタクト4と、コンタクト4を保持し、コンタクト挿入スリット6を有するハウジング5と、を備える。ハウジング5は、一体的に形成された単一の部品である。ハウジング5は、複数のコンタクト4を保持するハウジング本体7と、自動実装機2が吸着可能な吸着面9を有すると共にハウジング本体7に重なるように配置され、コンタクト挿入スリット6を覆う吸着板10と、ハウジング本体7と吸着板10を連結する破断容易な4つの連結部11と、を有する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、
図1〜
図18を参照して、基板対基板コネクタ1(コネクタ)を説明する。
【0010】
図1には基板対基板コネクタ1の斜視図を、
図2には基板対基板コネクタ1の分解斜視図を示している。
図14には、自動実装機2によってLED実装基板3(基板)のLED実装面3A(実装面、コネクタ実装面)に基板対基板コネクタ1を実装している様子を示している。
図1及び
図2、
図14に示すように、基板対基板コネクタ1は、自動実装機2によってLED実装基板3のLED実装面3Aに実装可能なコネクタであって、複数のコンタクト4と、複数のコンタクト4を保持するハウジング5と、を備える。
図2に示すように、ハウジング5には、複数のコンタクト挿入スリット6(スリット)が所定ピッチで形成されている。そして、複数のコンタクト4を複数のコンタクト挿入スリット6に夫々圧入すると、複数のコンタクト4はハウジング5によって保持されるようになる。
【0011】
ここで、
図2を参照して、ピッチ方向、コンタクト挿抜方向、及び、上下方向を定義する。ピッチ方向は、複数のコンタクト4が並べられている方向である。コンタクト挿抜方向は、ハウジング5の各コンタクト挿入スリット6に各コンタクト4を挿入する際に、ハウジング5と各コンタクト4が向かい合う方向である。各コンタクト4は、コンタクト挿抜方向に沿って各コンタクト挿入スリット6に挿入される。コンタクト挿抜方向は、ピッチ方向に対して直交している。上下方向は、ピッチ方向及びコンタクト挿抜方向に対して直交する方向である。
【0012】
(ハウジング5)
次に、
図3〜
図12を参照して、ハウジング5を説明する。
図3〜
図5は、様々な角度から見たハウジング5の斜視図である。
図6及び
図7は、
図4のA部を示している。
図7では、説明の便宜上、ハウジング5の一部を切り欠いている。
【0013】
図3〜
図5に示すように、ハウジング5は、射出成型により一体的に形成された単一の樹脂製部品である。
図3〜
図7に示すように、ハウジング5は、複数のコンタクト4を保持するハウジング本体7と、
図14に示す自動実装機2の吸着ノズル8が吸着可能な平坦な吸着面9を有すると共にハウジング本体7に重なるように配置された吸着板10(吸着部)と、ハウジング本体7と吸着板10を連結する破断容易な4つの連結部11と、を有する。4つの連結部11が破断容易に構成されているので、
図8に示すように、吸着板10をハウジング本体7から引き剥がすことができるようになっている。
【0014】
次に、ハウジング本体7について詳細に説明する。
図3〜
図5、
図8に示すように、ハウジング本体7は、略直方体状であって、上面7A(ハウジング対向面)、下面7B、正面7C、背面7D、2つの側面7Eを有する。
【0015】
上面7A及び下面7Bは、上下方向に直交する面である。
図3及び
図8に示すように、上面7Aは、上下方向において吸着板10と対向している。下面7Bは、上面7Aの反対側の面である。正面7C及び背面7Dは、コンタクト挿抜方向に直交する面である。正面7Cには、
図17及び
図18に示す給電基板12の端子部13が挿入される端子部挿入溝14が形成されている。
図3及び
図5に示すように、背面7Dは、正面7Cと反対側の面である。
図3〜
図5に示すように、2つの側面7Eは、ピッチ方向に直交する面である。
【0016】
図8に示すように、前述の複数のコンタクト挿入スリット6は、ハウジング本体7に形成されている。複数のコンタクト挿入スリット6は、ピッチ方向に所定ピッチで並んで形成されている。複数のコンタクト挿入スリット6は、上面7Aに開口している。即ち、複数のコンタクト挿入スリット6は、吸着板10に向かって上方(第1の方向)に開口している。従って、ハウジング本体7の上面7Aには、複数の開口部6Aが形成されている。複数の開口部6Aは、複数のコンタクト挿入スリット6の上面7Aにおける開口に相当している。複数の開口部6Aの存在に起因して、ハウジング本体7の上面7Aには、自動実装機2がハウジング本体7を吸着するのに十分な平坦面が存在していない。複数の開口部6Aは、吸着板10によって覆われている(
図6を併せて参照)。複数のコンタクト挿入スリット6は、正面7Cにも開口している。
【0017】
図3及び
図9に示すように、上面7Aのピッチ方向の各端部7Fには、吸着板10から離れる方向(下方)に窪むと共に、ピッチ方向で外側に開口している上方窪み15(窪み)が夫々形成されている。各上方窪み15は、上下方向で吸着板10と対向している。
【0018】
図9に示すように、各側面7Eの背面7D寄りには、ピッチ方向で窪む側方窪み16が夫々形成されている。
【0019】
次に、吸着板10について詳細に説明する。
図3〜
図8に示すように、吸着板10は、長方形の板であって、前述の吸着面9と、吸着面9の反対側の面である裏面20を有する。吸着板10の裏面20は、ハウジング本体7の上面7Aと上下方向で対向している。
図10には、ハウジング5の平面図を示している。
図10に示すように、吸着板10は、ハウジング本体7の上面7Aに形成されている複数の開口部6Aを覆っている。
図3及び
図10に示すように、吸着板10は、ハウジング本体7を完全に覆っている。詳しくは、
図10に示すように、吸着板10は、上下方向において、2つの上方窪み15と対向している。従って、
図11に示すように、上下方向において、ハウジング本体7と吸着板10の間には隙間Gが積極的に形成されている。そして、この隙間Gの存在により、隙間Gに指F1を挿入して、吸着板10の裏面20に指F1を引っ掛けて、吸着板10をハウジング本体7から容易に引き剥がせるようになっている。
【0020】
また、
図10に示すように、上下方向で見て、吸着板10は、ハウジング本体7よりも外側に突き出た2つの突出部21を有する。
図10では、2つの突出部21を二点鎖線で特定している。2つの突出部21はハウジング本体7よりも外側に突き出ているので、
図11に示すように、各突出部21の裏面22に指F2を難なく引っ掛けて、吸着板10をハウジング本体7から容易に引き剥がせるようになっている。
【0021】
図12には、基板対基板コネクタ1の重心23を示している。
図12に示すように、上下方向で見ると、基板対基板コネクタ1の重心23は、吸着板10内にある。正確に言えば、上下方向で見ると、基板対基板コネクタ1の重心23は、吸着板10の外周縁24の内側にある。従って、自動実装機2によって吸着面9を吸着した際に、基板対基板コネクタ1の姿勢が安定する。
【0022】
次に、4つの連結部11について詳細に説明する。
図3〜
図5に示すように、4つの連結部11は、上下方向においてハウジング本体7と吸着板10に挟まれるように配置されている。4つの連結部11は、ハウジング本体7の上面7Aと、吸着板10の裏面20と、を連結している。4つの連結部11は、吸着板10の裏面20からハウジング本体7の上面7Aに向かって突出して形成されている。換言すれば、4つの連結部11は、ハウジング本体7の上面7Aから吸着板10の裏面20に向かって突出して形成されている。
【0023】
図7に示すように、各連結部11は、下方(第2の方向)に向かって先細るように形成されている。各連結部11は、コンタクト挿抜方向に沿って見ると台形状を呈している。各連結部11の下端25は、コンタクト挿抜方向に沿って細長い長方形の断面形状を有している。
【0024】
図3及び
図4に示すように、4つのうち2つの連結部11は、正面7C寄りに形成されている。
図5に示すように、残りの2つの連結部11は、背面7D寄りに形成されている。そして、
図12に示すように、上下方向で見て、3つの連結部11を相互に結ぶ線分30は、三角形を構成している。換言すれば、相互に結ぶ線分30が三角形を構成するような3つの連結部11の組み合わせが存在している。以上の構成によれば、以下の問題を解決できる。即ち、仮に、4つの連結部11がすべて一直線上に並んでいるとすると、自動実装機2で吸着面9を吸着した際、その直線を軸として、ハウジング本体7が吸着板10に対して揺れ動いてしまう問題がある。これに対し、以上の構成によれば、吸着板10がハウジング本体7に対して回転不能となるので、自動実装機2で吸着面9を吸着した際のハウジング本体7の揺らぎを効果的に抑制することができる。
【0025】
(コンタクト4)
次に、
図13を参照して、コンタクト4を説明する。
図13に示すように、コンタクト4は、ベース40と、U字部41と、保持部42と、を有する。ベース40は、コンタクト挿抜方向に細長く延びて形成されている。ベース40の両端には、2つの実装部43が形成されている。各実装部43は、
図15に示すLED実装基板3のLED実装面3Aのパッド44にハンダ付けされる実装面45を夫々有する。各実装面45は、下方を向く面である。U字部41は、U字状に形成されている。保持部42は、ベース40とU字部41を連結する部分である。
【0026】
そして、
図1及び
図2に示すように、各コンタクト4をハウジング本体7の各コンタクト挿入スリット6に圧入すると、各コンタクト4はハウジング本体7によって保持されることになる。
【0027】
(基板対基板コネクタ1の実装方法)
次に、
図14〜
図16を参照して、基板対基板コネクタ1の実装方法を説明する。先ず、自動実装機2の吸着ノズル8が図示しないキャリアテープに収容されている基板対基板コネクタ1の吸着面9を吸着することで自動実装機2が基板対基板コネクタ1を保持する。次に、自動実装機2が基板対基板コネクタ1のハウジング本体7をLED実装基板3に形成されたコネクタ取付孔50に挿入し、その後、自動実装機2は吸着を解除する。すると、
図15に示すように、各コンタクト4の各実装面45がLED実装基板3の各パッド44に着座し、基板対基板コネクタ1がLED実装基板3に仮保持される。この状態で、自動実装機2が各実装面45を各パッド44にハンダ付けする。このハンダ付けが完了したら、
図11に示す方法で、作業員が吸着板10をハウジング本体7から引き剥がす。すると、
図16に示すように、基板対基板コネクタ1の、LED実装基板3のLED実装面3Aからの突出量が大幅に抑えられ、もって、基板対基板コネクタ1が低背化する。
図16の例では、LED実装基板3のLED実装面3Aに複数のLED素子51が実装されている。本実施形態の基板対基板コネクタ1は、実装後に低背化する機能を有しているので、基板対基板コネクタ1をLED素子51の近傍に配置しても、LED素子51から出力された光が基板対基板コネクタ1によって遮られ難くなっている。
【0028】
なお、吸着板10が引き剥がされたハウジング本体7には、
図9に示すように、連結部11が破断されたことに起因する破断面Sが4箇所、残っている。裏を返せば、実装後のハウジング本体7の上面7Aに少なくとも1つの破断面Sが視認し得る場合、ハウジング本体7の上面7Aから何らかの部分が引き剥がされたものと考えられる。そして、複数の開口部6Aの存在に起因してハウジング本体7の上面7Aに吸着するのに十分な平坦面がない場合、引き剥がされたものは本実施形態のような吸着板10であるものと強く推測できる。
【0029】
図17及び
図18には、基板対基板コネクタ1に給電基板12を取り付ける様子を示している。
図17及び
図18に示すように、基板対基板コネクタ1をLED実装基板3のLED実装面3Aに実装すると、ハウジング本体7の大部分はLED実装基板3よりも下側に突出する。即ち、ハウジング本体7の端子部挿入溝14は、LED実装基板3よりも下側に位置することになる。給電基板12には、図示しない回路部品が配置され、図示しない回路パターンが形成されている。給電基板12の端子部13には、図示しない複数の電極が形成されている。そして、
図17及び
図18に示すように、給電基板12の端子部13を基板対基板コネクタ1の端子部挿入溝14に挿入すると、給電基板12が各LED素子51に電力を供給できるようになる。
【0030】
以上に、本願発明の好適な実施形態を説明したが、上記実施形態は、以下の特長を有する。
【0031】
基板対基板コネクタ1(コネクタ)は、自動実装機2によってLED実装基板3(基板)に実装可能なコネクタである。基板対基板コネクタ1は、複数のコンタクト4と、コンタクト4を保持するハウジング5と、を備える。ハウジング5は、一体的に形成された単一の部品である。ハウジング5は、複数のコンタクト4を保持し、複数の開口部6Aを有するハウジング本体7と、自動実装機2が吸着可能な吸着面9を有すると共にハウジング本体7に重なるように配置され、複数の開口部6Aを覆う吸着板10(吸着部)と、ハウジング本体7と吸着板10を連結する破断容易な4つの連結部11と、を有する。以上の構成によれば、自動実装機2で基板対基板コネクタ1をLED実装基板3に実装後、4つの連結部11を破断して吸着板10をハウジング本体7から取り除くことで、実装後の基板対基板コネクタ1を低背化することができる。また、ハウジング5は一体的に形成された単一の部品であるので、基板対基板コネクタ1を低コストで製造することができる。従って、自動実装機2によってLED実装基板3に実装可能な基板対基板コネクタ1を低コストで低背化することができる。
【0032】
なお、上記実施形態において、基板対基板コネクタ1は、複数のコンタクト4を有することとしたが、これに代えて、1つのコンタクト4を備えることも考えられる。
【0033】
また、上記実施形態において、基板対基板コネクタ1は、4つの連結部11を有することとしたが、これに代えて、1つの連結部11を有する場合、2つ又は3つの連結部11を有する場合、5つ以上の連結部11を有する場合が考えられる。
【0034】
また、上記実施形態において、ハウジング本体7は複数の開口部6Aを有することとしたが、これに代えて、1つの開口部6Aを有することも考えられる。何れにせよ、上記実施形態では、1つ又は複数の開口部6Aを覆う吸着板10が設けられているので、1つ又は複数の開口部6Aを形成したことに起因してウジング本体7の上面7Aに吸着可能な面積を十分には確保できない場合であっても、問題なく自動実装機2による自動実装を行うことができる。
【0035】
上記実施形態では、基板対基板コネクタ1は、複数の連結部11を有する。以上の構成によれば、ハウジング本体7と吸着板10を確実に連結することができる。
【0036】
上記実施形態では、基板対基板コネクタ1は、少なくとも3つの連結部11を有している。
図12に示すように、少なくとも3つの連結部11を相互に結ぶ線分30は三角形を構成している。以上の構成によれば、前述したように、複数の連結部11が一直線上に並んでいる場合と比較して、自動実装機2によって吸着面9を吸着したときのハウジング本体7の揺らぎを効果的に抑制することができる。
【0037】
また、
図12に示すように、上下方向(吸着面9に対して直交する方向)で見ると、基板対基板コネクタ1の重心は、吸着面9内にある。以上の構成によれば、上下方向で見て基板対基板コネクタ1の重心23が吸着面9内にない場合と比較して、自動実装機2によって吸着面9を吸着したときの基板対基板コネクタ1の姿勢が安定する。
【0038】
また、
図8に示すように、ハウジング本体7は、コンタクト4を収容する複数のコンタクト挿入スリット6(スリット)を有している。複数の開口部6Aは、夫々、複数のコンタクト挿入スリット6の開口である。前述したように、複数の開口部6Aは、吸着板10によって覆われている。
【0039】
この実施形態は、本発明の一例に過ぎず、ハウジング本体の上面に開口部(自動実装機の吸着ノズルで吸着できない形状)が形成されており、吸着部がハウジング本体と重なるように配置され、開口部を覆っていれば、
図8に開示の形態とは異なる形態であっても「自動実装機によって実装可能なコネクタを低コストで低背化できる」という効果が同様に発揮される。例えば、ハウジング本体の上面の開口部は、コンタクトを上方から挿入するための開口部、コネクタに給電基板を挿入するための開口部、コネクタ同士を嵌合させるための開口部などでもよい。
【0040】
また、上記実施形態において、ハウジング本体7には複数のコンタクト挿入スリット6が形成されていることとしたが、これに代えて、ハウジング本体7には1つのコンタクト挿入スリット6のみが形成されている場合が考えられる。
【0041】
また、
図9に示すように、ハウジング本体7の吸着板10に対向する上面7A(ハウジング対向面)には、吸着板10から離れる方向に窪むと共に外側に開口している上方窪み15(窪み)が形成されている。吸着板10は、上下方向で見て、上方窪み15と対向している。以上の構成によれば、
図11に示すように、ハウジング本体7と吸着板10の間に隙間Gができるので、吸着板10をハウジング本体7から取り除き易くなる。
【0042】
また、
図10及び
図11に示すように、吸着板10は、ハウジング本体7よりも外側に突き出た突出部21を有する。以上の構成によれば、
図11に示すように、突出部21の裏面22が露出するので、吸着板10をハウジング本体7から取り除き易くなる。
【0043】
なお、上記実施形態において、基板対基板コネクタ1は、複数のコンタクト4と、ハウジング本体7と吸着板10と4つの連結部11を有するハウジング5と、によって構成されるものとした。しかし、説明の便宜上、本明細書では、
図16〜
図18において、吸着板10をハウジング本体7から引き剥がした後も、複数のコンタクト4とハウジング本体7を有する構成を基板対基板コネクタ1と称している。
【0044】
また、本明細書において、「上」や「下」、「上下方向」など方向を具体的に示す用語を使用したが、これらの用語は説明の便宜上使用したものに過ぎず、本願発明の権利範囲を限定するものではない。