【課題】コネクタが用いられる電線或いは基板の条件によって金属製のコンタクト同士の嵌合作業が難しくなってしまうことを抑制でき、接続作業の作業性が低下してしまうことを抑制することができるコネクタを提供する。
【解決手段】金属製の第1コンタクト11が、電線100に接続される。金属製の第2コンタクト12が、基板101に接続されるとともに第1コンタクト11に接続される。第1コンタクト11及び第2コンタクト12には、一方のコンタクト11が他方のコンタクト12に嵌まり込んで嵌合した際に第1コンタクト11と第2コンタクト12とを互いに係合させる係合機構13が設けられる。電線延長方向に対して垂直な方向と平行な方向に沿って、一方のコンタクト11が他方のコンタクト12に対して嵌まり込んで嵌合することで、係合機構13により、第1コンタクト11と第2コンタクト12とが結合される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示されたコネクタによると、電線が第1端子から延びる方向は、挿入部が収容部に挿入される方向と平行となる。そして、第1端子が第2端子に嵌合して接続される際には、第1端子の挿入部が、電線が第1端子から延びる方向と平行な方向であって基板の表面と平行な方向に沿って、第2端子の収容部に挿入される。この構成のため、作業者が第1端子を第2端子に嵌合する嵌合作業を行う際、第1端子の挿入部を第2端子の収容部に挿入する前に電線を一旦大きく湾曲させる必要が生じ易いことになる。このため、コネクタが用いられる電線或いは基板の条件により、嵌合作業が難しくなり、接続作業の作業性が低下してしまうという問題がある。
【0008】
より具体的には、例えば、第1端子に接続される電線の長さが短い場合、電線を一旦大きく湾曲させて第1端子を第2端子に嵌合させる作業が難しくなり、接続作業の作業性が低下してしまうという問題がある。また、第2端子が基板の表面の中央付近で実装されている場合、電線を一旦大きく湾曲させて第1端子を第2端子に嵌合させる際、電線が湾曲するためのスペースが基板によって妨げられてしまい易く、嵌合作業が難しくなり、作業性が低下してしまうという問題がある。また、複数の基板が近接して設置されるような機器において上記のコネクタが用いられる場合、第2端子が実装された基板の周囲のスペースが少ないため、電線を大きく湾曲させるためのスペースを確保することが難しく、第1端子を第2端子に嵌合させる作業が難しくなり、作業性が低下してしまうという問題がある。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、コネクタが用いられる電線或いは基板の条件によって金属製のコンタクト同士の嵌合作業が難しくなってしまうことを抑制でき、接続作業の作業性が低下してしまうことを抑制することができるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記目的を達成するための本発明のある局面に係るコネクタは、電線と基板とを電気的に接続するコネクタに関する。そして、本発明のある局面に係るコネクタは、前記電線に接続される金属製の第1コンタクトと、前記基板の表面に実装されて前記基板に接続されるとともに前記第1コンタクトに接続される金属製の第2コンタクトと、を備え、前記第1コンタクト及び前記第2コンタクトには、前記第1コンタクト及び前記第2コンタクトのうちの一方のコンタクトが、前記第1コンタクト及び前記第2コンタクトのうちの他方のコンタクトに嵌まり込んで嵌合した際に、前記第1コンタクトと前記第2コンタクトとを互いに係合させる係合機構が設けられ、前記第1コンタクトに接続された状態の前記電線が前記第1コンタクトから延びる方向である電線延長方向に対して垂直な方向と平行な方向に沿って、前記一方のコンタクトが前記他方のコンタクトに対して嵌まり込んで嵌合することで、前記係合機構により、前記第1コンタクトと前記第2コンタクトとが結合される。
【0011】
この構成によると、電線延長方向に対して垂直な方向と平行な方向に沿って、一方のコンタクトが他方のコンタクトに対して嵌まり込むことで、両コンタクトが互いに係合して結合される。このため、電線延長方向と、一方のコンタクトが他方のコンタクトに対して嵌合する方向に平行な方向とが、互いに垂直に設定されることになる。これにより、作業者が、一方のコンタクトを他方のコンタクトに嵌合する嵌合作業を行う際、電線を一旦大きく湾曲させる必要がなく、一方のコンタクトを他方のコンタクトに対して容易に嵌合させることができる。よって、上記の構成によると、コネクタが用いられる電線或いは基板の条件によって金属製のコンタクト同士の嵌合作業が難しくなってしまうことを抑制することができる。そして、電線に接続された第1コンタクトと基板に接続された第2コンタクトとを接続する接続作業の作業性が低下してしまうことを抑制することができる。
【0012】
従って、上記の構成によると、コネクタが用いられる電線或いは基板の条件によって金属製のコンタクト同士の嵌合作業が難しくなってしまうことを抑制でき、接続作業の作業性が低下してしまうことを抑制することができるコネクタを提供することができる。
【0013】
(2)前記コネクタは、前記電線延長方向に対して垂直な方向と平行な方向であって前記基板の表面に対して垂直な方向に沿って、前記一方のコンタクトが前記他方のコンタクトに対して嵌まり込んで嵌合することで、前記係合機構により、前記第1コンタクトと前記第2コンタクトとが結合されることが好ましい。
【0014】
この構成によると、作業者が、一方のコンタクトを他方のコンタクトに嵌合する嵌合作業を行う際、一方のコンタクトを他方のコンタクトに対して、電線延長方向に垂直で且つ基板の表面に垂直な方向に沿って、嵌合させることができる。このため、嵌合作業の際、電線を一旦大きく湾曲させる必要が生じないことに加え、基板が嵌合動作の妨げとなり得る状態もほとんど生じないことになる。よって、コンタクト同士の嵌合作業を更に容易に行うことができ、接続作業の作業性を更に向上させることができる。
【0015】
(3)前記係合機構は、前記一方のコンタクトに設けられた第1係合部と、前記他方のコンタクトに設けられて前記第1係合部が係合する第2係合部と、を備え、前記第1係合部は、前記一方のコンタクトの壁部から外側に向かって出っ張るように設けられ、前記電線延長方向に対して垂直な方向と平行な方向に沿って、前記一方のコンタクトが前記他方のコンタクトに対して嵌まり込んで嵌合することで、前記第1係合部が前記第2係合部に係合し、前記第1コンタクトと前記第2コンタクトとが結合されることが好ましい。
【0016】
この構成によると、係合機構が、一方のコンタクトの壁部から外側に向かって出っ張る第1係合部と、第1係合部に係合する他方のコンタクトの第2係合部とによって構成される。このため、嵌合の際に両コンタクトを互いに係合させて確実に結合させる係合機構を、簡素な構造で構成することができる。
【0017】
(4)前記第1係合部は、前記第2係合部に対して、前記電線延長方向に平行な方向と、前記電線延長方向に対して垂直な方向に平行な方向と、の両方の方向において、係合することが好ましい。
【0018】
この構成によると、一方のコンタクトの第1係合部が、他方のコンタクトの第2係合部に対して、電線延長方向に平行な方向及び電線延長方向に垂直な方向に平行な方向の両方向において係合する。このため、一方のコンタクトに対して他方のコンタクトをより強固に結合させることができる。そして、電線に対して種々の方向の外力が作用した場合であっても、コンタクト同士の結合状態をより強固に維持することができる。
【0019】
(5)前記第2係合部は、前記他方のコンタクトの壁部の一部であって前記第1係合部が係合する貫通孔が形成された第1壁部に設けられ、前記第1係合部は、片持ち状に延びるように設けられるとともに、片持ち状に延びる先端側の部分が、前記一方のコンタクトに対して、先端側にかけて外側に向かって広がるように、設けられ、前記第1係合部は、先端側の部分が、前記第1壁部における前記貫通孔の縁部分に対して係合することが好ましい。
【0020】
この構成によると、嵌合の際、片持ち状に延びて外側に向かって広がった第1係合部の先端側の部分が第1壁部の貫通孔の縁部分に係合し、両コンタクトが結合される。このため、一方のコンタクトが他方のコンタクトに嵌合した状態のコネクタにおいて、一方のコンタクトを他方のコンタクトから離間させる方向の力が作用した場合であっても、第1係合部がより強固に第2係合部に係合した状態が維持されることになる。これにより、一方のコンタクトが他方のコンタクトから外れてしまうことがより確実に防止され、両コンタクトをより強固に結合させることができる。
【0021】
(6)前記他方のコンタクトの壁部には、前記一方のコンタクトに対して係合する第3係合部が設けられた第2壁部が含まれ、前記第2壁部は、前記他方のコンタクトの壁部において、前記第1壁部とは異なる部分として設けられ、前記第3係合部は、前記第2壁部において、前記他方のコンタクトの内側に向かって凸状に出っ張るように設けられ、前記電線延長方向に対して垂直な方向と平行な方向に沿って、前記一方のコンタクトが前記他方のコンタクトに対して嵌まり込んで嵌合することで、前記第3係合部が前記一方のコンタクトに係合することが好ましい。
【0022】
この構成によると、一方のコンタクトが他方のコンタクトに嵌合した際に、一方のコンタクトの第1係合部が他方のコンタクトの第2係合部に係合するとともに、他方のコンタクトの第3係合部が一方のコンタクトに係合する。このため、両コンタクトを更に強固に結合させることができる。
【0023】
(7)前記他方のコンタクトの壁部には、前記第1壁部と前記第2壁部との間において、溝が設けられていることが好ましい。
【0024】
この構成によると、第1壁部と第2壁部との間に溝が設けられているため、第1壁部が弾性変形する際の第2壁部への影響を抑制することができる。このため、第1壁部が外側に向かって開くように大きく弾性変形した場合であっても、第2壁部が第1壁部とともに大きく外側に向かって開くように弾性変形してしまうことを抑制することができる。これにより、第1係合部及び第2係合部による係合状態と、第3係合部による係合状態とを、より独立した状態で維持することができる。よって、両コンタクトが結合した状態を維持することの信頼性を更に向上させることができる。
【0025】
(8)前記第2壁部には、前記一方のコンタクトに対して接触し、前記一方のコンタクトと前記他方のコンタクトとを電気的に接続する接点部が設けられ、前記接点部は、前記第2壁部において、前記他方のコンタクトの外側から内側に向かって凹むように形成されるとともに前記他方のコンタクトの内側に向かって出っ張るように形成され、前記第2壁部は、前記第3係合部が設けられている部分が撓む際に、前記接点部が設けられている部分も一体に撓むように、設けられていることが好ましい。
【0026】
この構成によると、第3係合部が一方のコンタクトに係合する際に第2壁部が弾性変形して撓むと、第2壁部における接点部が設けられている部分も撓むことになる。そして、第2壁部の弾性変形が回復して第3係合部が一方のコンタクトに係合した状態では、他方のコンタクトの内側に出っ張った接点部が、一方のコンタクトに接触することになる。このため、一方のコンタクトに他方のコンタクトを電気的に接続する動作と、第3係合部の係合動作とを、連動させることができる。更に、第3係合部の係合動作は、第2壁部の弾性変形の回復に伴って行われる。このため、第3係合部の係合動作の際には、第1コンタクトと第2コンタクトとの間で瞬間的な振動が生じ、クリック音(カチッという音)が生じることになる。これにより、一方のコンタクトを他方のコンタクトに接続する作業者は、上記の瞬間的な振動或いはクリック音を確認して第3係合部の係合動作を確認することで、一方のコンタクトが他方のコンタクトに電気的に接続されて一方のコンタクトの他方のコンタクトへの嵌合が完了したことを容易に確認することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、コネクタが用いられる電線或いは基板の条件によって金属製のコンタクト同士の嵌合作業が難しくなってしまうことを抑制でき、接続作業の作業性が低下してしまうことを抑制することができるコネクタを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明は、電線と基板とを電気的に接続するコネクタとして、種々の用途に広く適用することができるものである。
【0030】
[コネクタの概略]
図1は、本発明の一実施の形態に係るコネクタ1の斜視図であって、コンタクト同士が接続されていない状態を示す図である。
図2は、コネクタ1を
図1とは異なる方向から見た状態を示す斜視図である。
図3は、コネクタ1の斜視図であって、コンタクト同士が接続された状態を示す斜視図である。
図4は、コネクタ1を
図3とは異なる方向から見た状態を示す斜視図である。
【0031】
図1乃至
図4に示すコネクタ1は、電線100と基板101とを電気的に接続するコネクタとして構成されている。尚、
図1乃至
図4においては、電線100及び基板101は、それらの一部のみが切欠き状態で模式的に示されている。より具体的には、
図1乃至
図4では、電線100及び基板101については、コネクタ1に接続されている部分とその近傍の部分とが図示されている。
【0032】
コネクタ1は、金属製の第1コンタクト11と、金属製の第2コンタクト12と、を備えて構成されている。第1コンタクト11は、電線100に接続される。第2コンタクト12は、基板101の表面101aに実装されて基板101に接続されるとともに、第1コンタクト11に接続される。
【0033】
尚、
図1及び
図2では、コンタクト同士が接続されていない状態、即ち、第1コンタクト11と第2コンタクト12とが接続されていない状態が図示されている。一方、
図3及び
図4では、コンタクト同士が接続された状態、即ち、第1コンタクト11と第2コンタクト12とが接続された状態が図示されている。また、
図1乃至
図4にて一部のみが切欠き状態で模式的に図示された基板101は、導電回路パターンが設けられた基板として構成されている。
図1乃至
図4では、基板101における導電回路パターンの図示は省略されている。
【0034】
電線100に接続された第1コンタクト11と、基板101に接続された第2コンタクト12とが、互いに接続されることで、電線100と基板101とが電気的に接続される。また、コネクタ1は、第1コンタクト11及び第2コンタクト12のうちの一方のコンタクトである第1コンタクト11が、第1コンタクト11及び第2コンタクト12のうちの他方のコンタクトである第2コンタクト12に嵌まり込んで嵌合することで、第1コンタクト11と第2コンタクト12とが電気的に接続される。尚、以下の説明においては、第1コンタクト11を一方のコンタクト11とも称し、第2コンタクト12を他方のコンタクト12とも称する。
【0035】
また、第1コンタクト11及び第2コンタクト12には、係合機構13が設けられている。係合機構13は、一方のコンタクト11が他方のコンタクト12に嵌まり込んで嵌合した際に、第1コンタクト11と第2コンタクト12とを互いに係合させる機構として設けられている。
【0036】
係合機構13は、第1係合部14と第2係合部15とを備えて構成されている。第1係合部14は、一方のコンタクト11(第1コンタクト11)に設けられている。尚、第1係合部14は、一方のコンタクト11の本体部11aに設けられている。本体部11aは、一方のコンタクト11において、他方のコンタクト12に嵌め込まれる部分として設けられている。本体部11aは、略筒状の構造を有する部分として設けられ、その壁部には、複数の切欠き状或いは孔状の形状が形成されている。
【0037】
第2係合部15は、他方のコンタクト12(第2コンタクト12)に設けられ、他方のコンタクト12において第1係合部14が係合する部分として設けられている。尚、第2係合部15は、他方のコンタクト12の本体部12aに設けられている。本体部12aは、他方のコンタクト12において、一方のコンタクト11が嵌め込まれる部分として設けられている。本体部12aは、2面が開口した状態の略箱状の構造を有する部分として設けられ、その壁部には、複数の切欠き状或いは孔状の形状が形成されている。
【0038】
コネクタ1は、一方のコンタクト11の本体部11aが、他方のコンタクト12の本体部12aの内側に嵌まり込んで嵌合するように構成されている。また、コネクタ1は、第1コンタクト11に接続された状態の電線100が第1コンタクト11から延びる方向である電線延長方向に対して垂直な方向と平行な方向に沿って、一方のコンタクト11(第1コンタクト11)が他方のコンタクト12(第2コンタクト12)に嵌まり込んで嵌合するように構成されている。更に、コネクタ1は、上記の電線延長方向に対して垂直な方向と平行な方向であって基板101の表面101aに対して垂直な方向に沿って、一方のコンタクト11が他方のコンタクト12に対して嵌まり込んで嵌合するように構成されている。尚、上記の電線延長方向については、
図1乃至
図4において、矢印Aで示されている。また、電線延長方向に対して垂直な方向と平行な方向であって基板101の表面101aに対して垂直な方向については、
図1及び
図2において、矢印Bで示されている。
【0039】
また、コネクタ1は、上記のように、一方のコンタクト11が他方のコンタクト12に対して嵌まり込んで嵌合することで、第1係合部14が第2係合部15に係合し、第1コンタクト11と第2コンタクト12とが結合されるように構成されている。即ち、コネクタ1は、一方のコンタクト11が他方のコンタクト12に対して嵌まり込んで嵌合することで、係合機構13により、第1コンタクト11と第2コンタクト12とが結合されるように構成されている。
【0040】
[第1コンタクト]
次に、第1コンタクト11について更に詳しく説明する。
図5は、第1コンタクト11の斜視図であって、第1コンタクト11が電線100に接続された状態を示す図である。
図6は、第1コンタクト11を
図5とは異なる方向から見た状態を示す斜視図である。
図7は、第1コンタクト11の平面図であって、第1コンタクト11が電線100に接続された状態を示す図である。
【0041】
図1乃至
図7に示す第1コンタクト11は、導電性を有する金属材料で形成されたコンタクトとして設けられている。そして、第1コンタクト11は、電線100に接続される。電線100は、導体100bの周囲が被覆部100aによって絶縁被覆されて構成されている(
図7を参照)。そして、第1コンタクト11は、電線100の端部において被覆部100aから突出して露出した導体100bの端部に対してかしめられて接触していることで、電線100の導体100bに対して電気的に接続されている。
【0042】
第1コンタクト11には、前述した係合機構13の一部である第1係合部14に加え、電線固定部16、導体かしめ部17、係合凹部18、等が設けられている。第1係合部14及び係合凹部18は、本体部11aに設けられている。電線固定部16及び導体かしめ部17は、本体部11aに一体に設けられ、本体部11aと電線100とを接続する部分として設けられている。
【0043】
電線固定部16は、電線100の端部に対して被覆部100aの外側からかしめられ、電線100に対して固定される部分として設けられている。導体かしめ部17は、電線100の端部から突出して露出した導体100bに対して導体100bの周囲を覆うようにかしめられ、導体100bに対して固定される部分として設けられている。
【0044】
第1係合部14は、第1コンタクト11の本体部11aにおいて、一対で設けられている。そして、一対の第1係合部(14、14)のそれぞれは、本体部11aにおいて対向する一対の壁部(19、19)のそれぞれに設けられている。尚、第1係合部14が係合する第2係合部15も、第2コンタクト12の本体部12aにおいて、一対で設けられている。そして、各第1係合部14が各第2係合部15に係合するように構成されている。
【0045】
また、各第1係合部14は、第1コンタクト11(即ち、一方のコンタクト11)の各壁部19から外側に向かって出っ張るように設けられている。そして、各第1係合部14は、各壁部19において内側を部分的に露出させるように窓状に切り欠かれて形成された部分において、板状の形状で突出する部分として設けられている。電線延長方向(
図1乃至
図4にて矢印Aで示す方向)に対して垂直な方向と平行な方向に沿って、第1コンタクト11(一方のコンタクト11)が第2コンタクト12(他方のコンタクト12)に対して嵌まり込んで嵌合することで、各壁部19から外側に出っ張って設けられた各第1係合部14が各第2係合部15に係合する。これにより、第1コンタクト11と第2コンタクト12とが結合される。
【0046】
また、各第1係合部14は、各壁部19において、片持ち状に延びるように設けられている。更に、各第1係合部14は、片持ち状に延びる先端側の部分が、第1コンタクト11(即ち、一方のコンタクト11)に対して、先端側にかけて外側に向かって広がるように、設けられている。尚、一対の第1係合部(14、14)は、一対の壁部(19、19)の中間位置を通り一対の壁部(19、19)に対して略平行な仮想の面を中心として、略線対称の状態で、片持ち状に延びるように設けられている。そして、一対の係合部(14、14)のそれぞれの先端側の部分は、本体部11aの外側に向かって且つ互いに逆方向に向かって広がるように設けられている。
【0047】
係合凹部18は、第1コンタクト11の本体部11aにおいて、第2コンタクト12の本体部12aに設けられた後述する第3係合部20が係合する部分として設けられている。そして、係合凹部18は、第1コンタクト11の本体部11aにおいて、一対で設けられている。また、一対の係合凹部(18、18)のそれぞれは、本体部11aにおいて対向する一対の壁部(19、19)のそれぞれに設けられている。よって、各壁部19には、第1係合部14及び係合凹部18が設けられている。
【0048】
また、各係合凹部18は、各壁部19において、内側を部分的に露出させるように窓状に切り欠かれて形成された部分として設けられている。尚、一対の係合凹部(18、18)は、一対の壁部(19、19)の中間位置を通り一対の壁部(19、19)に対して略平行な仮想の面を中心として、略線対称の位置に配置されている。
【0049】
[第2コンタクト]
次に、第2コンタクト12について更に詳しく説明する。
図8は、第2コンタクト12の斜視図である。
図9は、第2コンタクト12を
図8とは異なる方向から見た状態を示す斜視図である。
図10は、第2コンタクト12の平面図である。
図11は、第2コンタクト12の正面図である。
【0050】
図1乃至
図4、
図8乃至
図11に示す第2コンタクト12は、基板101に接続されるコンタクトとして設けられている。そして、第2コンタクト12は、導電性を有する金属材料で形成されたコンタクトとして設けられている。第2コンタクト12は、基板101に実装されるときに、基板101の表面101aの導電回路パターンにおける所定の導電部に対してはんだ付けされる。これにより、第2コンタクト12は、基板101に対して電気的に接続されるとともに固定される。
【0051】
第2コンタクト12には、前述した係合機構13の一部である第2係合部15に加え、第3係合部20、リード部21、接点部27、等が設けられている。第2係合部15、第3係合部20及び接点部27は、本体部12aに設けられている。リード部21は、本体部12aに一体に設けられている。
【0052】
リード部21は、本体部12aと基板101とを接続する部分として設けられている。リード部21は、第2コンタクト12において、一対で設けられている。そして、一対のリード部(21、21)のそれぞれは、本体部12aから外側に向かって、板状の形状で突出するように設けられている。各リード部21は、基板101の表面101aの導電回路パターンにおける所定の導電部に対してはんだ付けされる。これにより、第2コンタクト12の本体部12aが、基板101に対して固定されるとともに電気的に接続される。
【0053】
第2係合部15は、第2コンタクト12の本体部12aにおいて、一対で設けられている。一対の第2係合部(15、15)のそれぞれは、本体部12aにおいて対向する一対の壁部(22、22)のそれぞれに設けられている。そして、一対の第2係合部(15、15)のそれぞれは、第1コンタクト11における一対の第1係合部(14、14)のそれぞれが係合する部分として設けられている。
【0054】
また、各第2係合部15は、第2コンタクト12(即ち、他方のコンタクト12)の各壁部22の一部であって第1係合部14が係合する貫通孔26が設けられた第1壁部23に設けられている。第1コンタクト11が第2コンタクト12に嵌まり込んで嵌合したときには、第1コンタクト11の本体部11aにおいて片持ち状に延びる各第1係合部14の先端側の部分が、各第1壁部23に設けられた各貫通孔26の縁部分に対して係合する。尚、第1コンタクト11の本体部11aは、第2コンタクト12の本体部12aの内側に嵌め込まれ、各第1係合部14は、各第2係合部15における貫通孔26の縁部分に対して、本体部12aの内側から係合する。
【0055】
第3係合部20は、本体部12aにおいて、一対で設けられている。一対の第3係合部(20、20)のそれぞれは、一対の壁部(22、22)のそれぞれに設けられている。そして、一対の第3係合部(20、20)のそれぞれは、第1コンタクト11における一対の係合凹部(18、18)のそれぞれに対して係合する部分として設けられている。
【0056】
また、各第3係合部20は、第2コンタクト12の各壁部22の一部である第2壁部24に設けられている。即ち、第2コンタクト12(他方のコンタクト12)の各壁部22には、第2係合部15が設けられた第1壁部23に加え、第1コンタクト11(一方のコンタクト11)に対して係合する第3係合部20が設けられた第2壁部24が含まれている。第2壁部24は、第2コンタクト12(他方のコンタクト12)の各壁部22において、第1壁部23とは異なる部分として設けられている。
【0057】
各第3係合部20は、各第2壁部24において、第2コンタクト12(他方のコンタクト12)の内側に向かって凸状に出っ張るように設けられている。電線延長方向(
図1乃至
図4にて矢印Aで示す方向)に対して垂直な方向と平行な方向に沿って、第1コンタクト11(一方のコンタクト11)が第2コンタクト12(他方のコンタクト12)に対して嵌まり込んで嵌合することで、各壁部24から内側に凸状に出っ張って設けられた各第3係合部20が、各係合凹部18において第1コンタクト11(一方のコンタクト11)に係合する。これにより、第1係合部14と第2係合部15との係合に加え、係合凹部18と第3係合部20との係合によっても、第1コンタクト11と第2コンタクト12とが結合される。
【0058】
尚、第2コンタクト12(他方のコンタクト12)の各壁部22には、各第1壁部23と各第2壁部24との間において、溝25が設けられている。即ち、本体部12aにおいて、第1壁部23と第2壁部24とを区画する溝25は、一対で設けられている。各溝25は、各壁部22において、幅広のスリット状の溝として設けられている。また、各溝25は、各壁部22において、一端側が外側に開放された切込み状に形成されている。これにより、第1壁部23の端部側の部分と第2壁部24の端部側の部分とが、独立して撓むように設けられている。
【0059】
接点部27は、一対で設けられている。そして、一対の接点部(27、27)のそれぞれは、第2コンタクト12の一対の第2壁部(24、24)のそれぞれに設けられている。各接点部27は、第1コンタクト11(一方のコンタクト11)に接触し、第1コンタクト11(一方のコンタクト11)と第2コンタクト12(他方のコンタクト12)とを電気的に接続する部分として設けられている。
【0060】
また、接点部27は、各第2壁部24において、第2コンタクト12(他方のコンタクト12)の本体部12aの外側から内側に向かって凹むように形成されている。また、これにより、接点部27は、各第2壁部24において、第2コンタクト12(他方のコンタクト12)の本体部12aの内側に向かって出っ張るように形成されている。
【0061】
上記のように構成されていることで、コネクタ1は、第1コンタクト11の本体部11aが第2コンタクト12の本体部12aの内側に嵌め込まれた状態では、一対の接点部(27、27)が、本体部11aにおける一対の壁部(19、19)に対して押し付けられて接触するように構成されている。即ち、コネクタ1は、本体部11aが本体部12aに嵌合し、第1コンタクト11と第2コンタクト12とが結合した状態では、一対の接点部(27、27)のそれぞれが、一対の壁部(19、19)のそれぞれに対して押し付けられ、一対の壁部(19、19)のそれぞれに対して確実に接触するように構成されている。
【0062】
尚、第2コンタクト12の各壁部22においては、前述のように、第2係合部15が設けられた第1壁部23と、第3係合部20及び接点部27が設けられた第2壁部24との間において、溝25が設けられている。しかし、各第2壁部24における第3係合部20が設けられている部分と接点部27が設けられている部分との間には、溝25のような溝は設けられていない。即ち、各第2壁部24においては、第3係合部20が設けられている部分と接点部27が設けられている部分との間においては、切込み状の部分は設けられていない。そして、各第2壁部24は、第3係合部20が設けられている部分が撓む際に、接点部27が設けられている部分も一体に撓むように、設けられている。
【0063】
[第1コンタクトと第2コンタクトとの結合]
次に、上述した第1コンタクト11と第2コンタクト12とが結合した状態について、
図12乃至
図16も参照しつつ更に詳しく説明する。
【0064】
図12は、コネクタ1の斜視図であって、コンタクト同士が接続された状態、即ち、第1コンタクト11と第2コンタクト12とが接続された状態、を示す斜視図である。
図13は、コネクタ1の平面図であって、コンタクト同士が接続された状態を示す図である。
図14は、コネクタ1の断面図であって、
図13のC−C線矢視位置から見た断面を示す図である。
図15は、コネクタ1の断面図であって、
図13のD−D線矢視位置から見た断面を示す図である。
図16は、コネクタ1の断面図であって、
図13のE−E線矢視位置から見た断面を示す図である。
図12乃至
図16においては、コンタクト同士が接続された状態、即ち、第1コンタクト11と第2コンタクト12とが結合された状態が図示されている。尚、
図12及び
図13では、第1コンタクト11に接続された電線100の一部は図示されているが、第2コンタクト12が接続される基板101の図示は省略されている。
【0065】
前述したように、第1コンタクト11の本体部11aが第2コンタクト12の本体部12aに嵌まり込んで嵌合することで、第1係合部14と第2係合部15とを有する係合機構13により、第1コンタクト11と第2コンタクト12とが結合される。そして、係合機構13によって第1コンタクト11と第2コンタクト12とが結合した状態では、
図3、
図4、
図12乃至
図14に示すように、第1コンタクト11(一方のコンタクト11)に設けられた第1係合部14が、第2コンタクト12(他方のコンタクト12)に設けられた第2係合部15に係合している。
【0066】
また、第1コンタクト11が第2コンタクト12に嵌合する際には、第1コンタクト11の壁部19から外側に出っ張って片持ち状に延びるように設けられた第1係合部14は、第2コンタクト12の第1壁部23の内側に当接する。これにより、第2係合部15が設けられた第1壁部23の先端側の部分が、一旦、第2コンタクト12の外側に向かって撓む。そして、第1コンタクト11の第2コンタクト12への嵌合が完了した状態では、一旦外側に向かって撓んだ第1壁部23は、弾性回復する。これにより、第1係合部14は、その先端側の部分が、第2コンタクト12の第1壁部23における貫通孔26の縁部分に対して係合するように、構成されている。
【0067】
更に、第1係合部14は、第2係合部15に対して、電線延長方向(
図12及び
図13にて矢印Aで示す方向)に平行な方向と、電線延長方向に対して垂直な方向に平行な方向と、の両方において、係合する。より具体的には、第1係合部14は、第2コンタクト12の第1壁部23における貫通孔26の縁部分に対して、電線延長方向に平行な方向と、電線延長方向に対して垂直な方向に平行な方向であって基板101の表面101aに対して垂直な方向と、の両方において、係合する。
【0068】
また、前述したように、第1コンタクト11が第2コンタクト12に嵌合することで、第3係合部20及び係合凹部18によっても、第1コンタクト11と第2コンタクト12とが結合される。即ち、第1コンタクト11と第2コンタクト12とが結合した状態では、
図3、
図4、
図12、
図13、
図15に示すように、第2コンタクト12(他方のコンタクト12)に設けられた第3係合部20が、第1コンタクト11(一方のコンタクト11)に設けられた係合凹部18に係合している。
【0069】
また、第1コンタクト11が第2コンタクト12に嵌合する際には、第2コンタクト12の壁部24において内側に向かって凸状に出っ張って設けられた第3係合部20は、第1コンタクト11の壁部19の外側に当接することで、一旦、第2コンタクト12の外側に向かって撓む。そして、第1コンタクト11の第2コンタクト12への嵌合が完了した状態では、一旦外側に向かって撓んだ第3係合部20は、弾性回復する。これにより、第3係合部20は、第1コンタクト11の壁部19における係合凹部18の縁部分に対して係合するように、構成されている。
【0070】
また、前述したように、第1コンタクト11と第2コンタクト12とが結合した状態では、第1コンタクト11と第2コンタクト12とが電気的に接続されている。即ち、
図16において明瞭に示されているように、第2コンタクト12の壁部22において内側に出っ張るように形成された接点部27は、第1コンタクト11の壁部19の外表面に対して、押し付けられた状態で接触している。これにより、第1コンタクト11及び第2コンタクト12は、結合した状態において確実に電気的に接続されるように構成されている。
【0071】
[本実施形態の作用及び効果]
本実施形態によると、電線延長方向に対して垂直な方向と平行な方向に沿って、一方のコンタクト11(第1コンタクト11)が他方のコンタクト12(第2コンタクト12)に対して嵌まり込むことで、両コンタクト(11、12)が互いに係合して結合される。このため、電線延長方向と、一方のコンタクト11が他方のコンタクト12に対して嵌合する方向に平行な方向とが、互いに垂直に設定されることになる。これにより、作業者が、一方のコンタクト11を他方のコンタクト12に嵌合する嵌合作業を行う際、電線100を一旦大きく湾曲させる必要がなく、一方のコンタクト11を他方のコンタクト12に対して容易に嵌合させることができる。よって、本実施形態によると、コネクタ1が用いられる電線100或いは基板101の条件によって金属製のコンタクト(11、12)同士の嵌合作業が難しくなってしまうことを抑制することができる。そして、電線100に接続された第1コンタクト11と基板101に接続された第2コンタクト12とを接続する接続作業の作業性が低下してしまうことを抑制することができる。
【0072】
従って、本実施形態によると、コネクタ1が用いられる電線100或いは基板101の条件によって金属製のコンタクト(11、12)同士の嵌合作業が難しくなってしまうことを抑制でき、接続作業の作業性が低下してしまうことを抑制することができるコネクタ1を提供することができる。
【0073】
また、本実施形態によると、作業者が、一方のコンタクト11を他方のコンタクト12に嵌合する嵌合作業を行う際、一方のコンタクト11を他方のコンタクト12に対して、電線延長方向に垂直で且つ基板101の表面に垂直な方向に沿って、嵌合させることができる。このため、嵌合作業の際、電線100を一旦大きく湾曲させる必要が生じないことに加え、基板101が嵌合動作の妨げとなり得る状態もほとんど生じないことになる。よって、コンタクト(11、12)同士の嵌合作業を更に容易に行うことができ、接続作業の作業性を更に向上させることができる。
【0074】
また、本実施形態によると、係合機構13が、一方のコンタクト11の壁部19から外側に向かって出っ張る第1係合部14と、第1係合部14に係合する他方のコンタクト12の第2係合部15とによって構成される。このため、嵌合の際に両コンタクト(11、12)を互いに係合させて確実に結合させる係合機構13を、簡素な構造で構成することができる。
【0075】
また、本実施形態によると、一方のコンタクト11の第1係合部14が、他方のコンタクト12の第2係合部15に対して、電線延長方向に平行な方向及び電線延長方向に垂直な方向に平行な方向の両方向において係合する。このため、一方のコンタクト11に対して他方のコンタクト12をより強固に結合させることができる。そして、電線100に対して種々の方向の外力が作用した場合であっても、コンタクト(11、12)同士の結合状態をより強固に維持することができる。
【0076】
また、本実施形態によると、嵌合の際、片持ち状に延びて外側に向かって広がった第1係合部14の先端側の部分が第1壁部23の貫通孔26の縁部分に係合し、両コンタクト(11、12)が結合される。このため、一方のコンタクト11が他方のコンタクト12に嵌合した状態のコネクタ1において、一方のコンタクト11を他方のコンタクト12から離間させる方向の力が作用した場合であっても、第1係合部14がより強固に第2係合部15に係合した状態が維持されることになる。これにより、一方のコンタクト11が他方のコンタクト12から外れてしまうことがより確実に防止され、両コンタクト(11、12)をより強固に結合させることができる。
【0077】
また、本実施形態によると、一方のコンタクト11が他方のコンタクト12に嵌合した際に、一方のコンタクト11の第1係合部14が他方のコンタクト12の第2係合部15に係合するとともに、他方のコンタクト12の第3係合部20が一方のコンタクト11に係合する。このため、両コンタクト(11、12)を更に強固に結合させることができる。
【0078】
また、本実施形態によると、第1壁部23と第2壁部24との間に溝25が設けられているため、第1壁部23が弾性変形する際の第2壁部24への影響を抑制することができる。このため、第1壁部23が外側に向かって開くように大きく弾性変形した場合であっても、第2壁部24が第1壁部23とともに大きく外側に向かって開くように弾性変形してしまうことを抑制することができる。これにより、第1係合部14及び第2係合部15による係合状態と、第3係合部20による係合状態とを、より独立した状態で維持することができる。よって、両コンタクト(11、12)が結合した状態を維持することの信頼性を更に向上させることができる。
【0079】
また、本実施形態によると、第3係合部20が一方のコンタクト11に係合する際に第2壁部24が弾性変形して撓むと、第2壁部24における接点部27が設けられている部分も撓むことになる。そして、第2壁部24の弾性変形が回復して第3係合部20が一方のコンタクト11に係合した状態では、他方のコンタクト12の内側に出っ張った接点部27が、一方のコンタクト11に接触することになる。このため、一方のコンタクト11に他方のコンタクト12を電気的に接続する動作と、第3係合部20の係合動作とを、連動させることができる。更に、第3係合部20の係合動作は、第2壁部24の弾性変形の回復に伴って行われる。このため、第3係合部20の係合動作の際には、一方のコンタクト11と他方のコンタクト12との間で瞬間的な振動が生じ、クリック音(カチッという音)が生じることになる。これにより、一方のコンタクト11を他方のコンタクト12に接続する作業者は、上記の瞬間的な振動或いはクリック音を確認して第3係合部20の係合動作を確認することで、一方のコンタクト11が他方のコンタクト12に電気的に接続されて一方のコンタクト11の他方のコンタクト12への嵌合が完了したことを容易に確認することができる。
【0080】
また、本実施形態によると、第3係合部20が設けられている部分が撓む際に接点部27が設けられている部分も一体に撓むように、第2壁部24が設けられているため、一方のコンタクト11を他方のコンタクト12に嵌合させる際に必要となる挿入力を低減することができる。即ち、本実施形態によると、作業者が嵌合作業を行う際に一方のコンタクト11を他方のコンタクト12の内側に挿入するために必要となる挿入力を低減することができる。この点について、
図17を参照しつつ更に説明する。
【0081】
図17は、コネクタ1の断面図であって、
図15に示す断面と
図16に示す断面とを対比して示す図である。
図17(a)が
図15に対応し、
図17(b)が
図16に対応している。
図17(a)においては、他方のコンタクト12の本体部12aの底部から第3係合部20までの距離寸法L1が、両端矢印L1で図示されている。一方、
図17(b)においては、他方のコンタクト12の本体部12aの底部から接点部27までの距離寸法L2が、両端矢印L2で図示されている。
【0082】
図17(a)及び
図17(b)において示されているように、他方のコンタクト12は、本体部12aの底部から第3係合部20までの距離寸法L1の方が、本体部12aの底部から接点部27までの距離寸法L2よりも長くなるように、構成されている。即ち、他方のコンタクト12の第2壁部24は、本体部12aの底部から第3係合部20までのモーメントアーム長さ(距離寸法L1)の方が、本体部12aの底部から接点部27までのモーメントアーム長さ(距離寸法L2)よりも長くなるように、構成されている。更に、第2壁部24は、第3係合部20が設けられている部分が撓む際に接点部27が設けられている部分も一体に撓むように、設けられている。このため、本実施形態によると、一方のコンタクト11を他方のコンタクト12の内側に挿入する際に第2壁部24を変形させるために必要となる力を、第3係合部20が設けられていないコネクタの形態の場合と比較して、低減することができる。よって、本実施形態によると、作業者が嵌合作業を行う際に一方のコンタクト11を他方のコンタクト12の内側に挿入するために必要となる挿入力を低減することができる。
【0083】
[変形例]
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、次のように変更して実施してもよい。
【0084】
(1)前述の実施形態では、電線延長方向に対して垂直な方向と平行な方向であって基板の表面に対して垂直な方向に沿って、一方のコンタクトが他方のコンタクトに対して嵌まり込んで嵌合するコネクタの形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。電線延長方向に対して垂直な方向と平行な方向に沿って、一方のコンタクトが他方のコンタクトに対して嵌まり込んで嵌合するコネクタの形態であればよい。例えば、
図18乃至
図21に示す変形例に係るコネクタ2が実施されてもよい。尚、
図18乃至
図21に示す変形例に係るコネクタ2の説明においては、前述の実施形態のコネクタ1と機能的に対応して構成される要素については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、詳細な説明を省略する。そして、
図18乃至
図21に示すコネクタ2については、コネクタ1と異なる構成について説明する。
【0085】
図18は、変形例に係るコネクタ2の斜視図であって、コンタクト同士が接続されていない状態を示す図である。
図19は、コネクタ2を
図18とは異なる方向から見た状態を示す斜視図である。
図20は、コネクタ2の斜視図であって、コンタクト同士が接続された状態を示す斜視図である。
図21は、コネクタ2を
図20とは異なる方向から見た状態を示す斜視図である。
【0086】
図18乃至
図21に示すコネクタ2は、前述の実施形態のコネクタ1と同様に、電線100と基板101とを電気的に接続するコネクタとして構成されている。尚、
図18乃至
図21においては、電線100及び基板101は、それらの一部のみが切欠き状態で模式的に示されている。より具体的には、
図18乃至
図21では、電線100及び基板101については、コネクタ2に接続されている部分とその近傍の部分とが図示されている。
【0087】
コネクタ2は、コネクタ1と同様に、金属製の第1コンタクト11と、金属製の第2コンタクト12と、を備えて構成されている。第1コンタクト11は、電線100に接続される。第2コンタクト12は、基板101の表面101aに実装されて基板101に接続されるとともに、第1コンタクト11に接続される。
【0088】
尚、
図18及び
図19では、コンタクト同士が接続されていない状態、即ち、第1コンタクト11と第2コンタクト12とが接続されていない状態が図示されている。一方、
図20及び
図21では、コンタクト同士が接続された状態、即ち、第1コンタクト11と第2コンタクト12とが接続された状態が図示されている。
【0089】
コネクタ2には、コネクタ1と同様に、係合機構13が設けられている。そして、コネクタ2の第1コンタクト11には、コネクタ1の第1コンタクト11と同様に、第1係合部14、電線固定部16、導体かしめ部17、係合凹部18、壁部19、等が設けられている。また、コネクタ2の第2コンタクト12には、コネクタ1の第2コンタクト12と同様に、第2係合部15、第3係合部20、リード部21、壁部22、溝25、貫通孔26、接点部27、等が設けられている。
【0090】
しかし、コネクタ2は、一方のコンタクト11である第1コンタクト11が、他方のコンタクト12である第2コンタクト12に対して嵌まり込んで嵌合する形態において、コネクタ1とは異なる構成を有している。
【0091】
コネクタ2は、コネクタ1と同様に、一方のコンタクト11の本体部11aが、他方のコンタクト12の本体部12aの内側に嵌まり込んで嵌合するように構成されている。また、コネクタ2は、コネクタ1と同様に、第1コンタクト11に接続された状態の電線100が第1コンタクト11から延びる方向である電線延長方向に対して垂直な方向と平行な方向に沿って、一方のコンタクト11(第1コンタクト11)が他方のコンタクト12(第2コンタクト12)に嵌まり込んで嵌合するように構成されている。しかしながら、コネクタ2は、コネクタ1とは異なり、上記の電線延長方向に対して垂直な方向と平行な方向であって基板101の表面101aと平行な方向に沿って、一方のコンタクト11が他方のコンタクト12に対して嵌まり込んで嵌合するように構成されている。尚、上記の電線延長方向については、
図18乃至
図21において、矢印Aで示されている。また、電線延長方向に対して垂直な方向であって基板101の表面101aと平行な方向については、
図18及び
図19において、矢印Fで示されている。
【0092】
尚、コネクタ2は、コネクタ1と同様に、一方のコンタクト11が他方のコンタクト12に対して嵌まり込んで嵌合することで、第1係合部14が第2係合部15に係合し、第1コンタクト11と第2コンタクト12とが結合されるように構成されている。即ち、コネクタ2は、一方のコンタクト11が他方のコンタクト12に対して嵌まり込んで嵌合することで、係合機構13により、第1コンタクト11と第2コンタクト12とが結合されるように構成されている。また、コネクタ2は、一方のコンタクト11が他方のコンタクト12に対して嵌まり込んで嵌合することで、第3係合部20が係合凹部18に係合し、第1コンタクト11と第2コンタクト12とが結合されるようにも構成されている。
【0093】
上述した変形例に係るコネクタ2によっても、コネクタ1と同様の効果を奏することができる。即ち、コネクタ2が用いられる電線100或いは基板101の条件によって金属製のコンタクト(11、12)同士の嵌合作業が難しくなってしまうことを抑制でき、接続作業の作業性が低下してしまうことを抑制することができるコネクタ2を提供することができる。
【0094】
(2)前述の実施形態では、電線に接続される第1コンタクトが、基板に接続される第2コンタクトに対して嵌まり込んで嵌合するコネクタの形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。基板に接続される第2コンタクトが、電線に接続される第1コンタクトに対して嵌まり込んで嵌合するコネクタが実施されてもよい。例えば、
図22乃至
図24に示す他の変形例に係るコネクタ3が実施されてもよい。尚、
図22乃至
図24に示す他の変形例に係るコネクタ3の説明においては、前述の実施形態のコネクタ1と機能的に対応して構成される要素については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、詳細な説明を省略する。そして、
図22乃至
図24に示すコネクタ3については、コネクタ1と異なる構成について説明する。
【0095】
図22は、他の変形例に係るコネクタ3の断面図である。
図23は、コネクタ3の断面図であって、
図22とは異なる断面を示す図である。
図24は、コネクタ3の断面図であって、
図22及び
図23とは異なる断面を示す図である。
【0096】
図22乃至
図24に示すコネクタ3は、前述の実施形態のコネクタ1と同様に、電線100と基板101とを電気的に接続するコネクタとして構成されている。尚、
図22乃至
図24においては、電線100及び基板101の図示は省略されている。
【0097】
コネクタ3は、金属製の第1コンタクト31と、金属製の第2コンタクト32と、を備えて構成されている。第1コンタクト31は、電線100に接続される。第2コンタクト32は、基板101の表面101aに実装されて基板101に接続されるとともに、第1コンタクト31に接続される。
【0098】
電線100に接続された第1コンタクト31と、基板101に接続された第2コンタクト32とが、互いに接続されることで、電線100と基板101とが電気的に接続される。また、コネクタ3は、第1コンタクト31及び第2コンタクト32のうちの一方のコンタクトである第2コンタクト32が、第1コンタクト31及び第2コンタクト32のうちの他方のコンタクトである第1コンタクト31に嵌まり込んで嵌合することで、第1コンタクト31と第2コンタクト32とが電気的に接続される。尚、以下の説明においては、第2コンタクト32を一方のコンタクト32とも称し、第1コンタクト31を他方のコンタクト31とも称する。
【0099】
コネクタ3は、一方のコンタクト32の本体部32aが、他方のコンタクト31の本体部31aの内側に嵌まり込んで嵌合するように構成されている。また、コネクタ3は、第1コンタクト31に接続された状態の電線100が第1コンタクト31から延びる方向である電線延長方向に対して垂直な方向と平行な方向に沿って、一方のコンタクト32(第2コンタクト32)が他方のコンタクト31(第1コンタクト31)に嵌まり込んで嵌合するように構成されている。更に、コネクタ3は、上記の電線延長方向に対して垂直な方向と平行な方向であって基板101の表面101aに対して垂直な方向に沿って、一方のコンタクト32が他方のコンタクト31に対して嵌まり込んで嵌合するように構成されている。
【0100】
コネクタ3には、コネクタ1の係合機構13と同様に構成される係合機構13が設けられている。そして、コネクタ3の第1コンタクト31には、コネクタ1の第2コンタクト12と同様に構成される第2係合部15、第3係合部20、貫通孔26、接点部27、等が設けられている。また、コネクタ3の第2コンタクト32には、コネクタ1の第1コンタクト11と同様に構成される第1係合部14、係合凹部18、等が設けられている。
【0101】
尚、
図22は、第1係合部14及び第2係合部15を備える係合機構13が表れたコネクタ3の断面を示している。また、
図23は、第3係合部20及び係合凹部18が表れたコネクタ3の断面を示している。また、
図24は、接点部27が表れたコネクタ3の断面を示している。尚、
図22乃至
図24においては、第1コンタクト31の本体部31a及び第2コンタクト32の本体部32aの内側に表れる要素の図示は省略されている。
【0102】
コネクタ3は、一方のコンタクト11が他方のコンタクト12に対して嵌まり込んで嵌合することで、第1係合部14が第2係合部15に係合し、第1コンタクト11と第2コンタクト12とが結合されるように構成されている。即ち、コネクタ3は、一方のコンタクト32が他方のコンタクト31に対して嵌まり込んで嵌合することで、係合機構13により、第1コンタクト31と第2コンタクト32とが結合されるように構成されている。また、コネクタ3は、一方のコンタクト31が他方のコンタクト32に対して嵌まり込んで嵌合することで、第3係合部20が係合凹部18に係合し、第1コンタクト31と第2コンタクト32とが結合されるようにも構成されている。
【0103】
上述した変形例に係るコネクタ3によっても、コネクタ1と同様の効果を奏することができる。即ち、コネクタ3が用いられる電線100或いは基板101の条件によって金属製のコンタクト(31、32)同士の嵌合作業が難しくなってしまうことを抑制でき、接続作業の作業性が低下してしまうことを抑制することができるコネクタ3を提供することができる。
【0104】
(3)前述の実施形態では、一方のコンタクトに設けられて一方のコンタクトの壁部から外側に向かって出っ張るように設けられた第1係合部と、他方のコンタクトに設けられて第1係合部が係合する第2係合部と、を備える係合機構を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。即ち、係合機構については、前述の実施形態で例示した形態に限らず、種々変更されて実施されてもよい。例えば、
図25に示す係合機構を備える更に他の変形例に係るコネクタ4が実施されてもよい。尚、
図25に示す更に他の変形例に係るコネクタ4の説明においては、前述の実施形態と同様に構成される要素については、同一の符号を引用することで、詳細な説明を省略する。
【0105】
図25は、更に他の変形例に係るコネクタ4の断面図である。
図25に示すコネクタ4は、前述の実施形態と同様に構成される電線100と基板101とを接続するコネクタとして構成されている。尚、
図25においては、電線100及び基板101の図示は省略されている。
【0106】
コネクタ4は、金属製の第1コンタクト41と、金属製の第2コンタクト42と、を備えて構成されている。第1コンタクト41は、電線100に接続される。第2コンタクト42は、基板101の表面101aに実装されて基板101に接続されるとともに、第1コンタクト41に接続される。
【0107】
電線100に接続された第1コンタクト41と、基板101に接続された第2コンタクト42とが、互いに接続されることで、電線100と基板101とが電気的に接続される。また、コネクタ4は、第1コンタクト41及び第2コンタクト42のうちの一方のコンタクトである第1コンタクト41が、第1コンタクト41及び第2コンタクト42のうちの他方のコンタクトである第2コンタクト42に嵌まり込んで嵌合することで、第1コンタクト41と第2コンタクト42とが電気的に接続される。尚、以下の説明においては、第1コンタクト41を一方のコンタクト41とも称し、第2コンタクト42を他方のコンタクト42とも称する。
【0108】
コネクタ4の第1コンタクト41及び第2コンタクト42には、係合機構43が設けられている。係合機構43は、一方のコンタクト41が他方のコンタクト42に嵌まり込んで嵌合した際に、第1コンタクト41と第2コンタクト42とを互いに係合させる機構として設けられている。
【0109】
係合機構43は、第4係合部44と第5係合部45とを備えて構成されている。第4係合部44は、他方のコンタクト42(第2コンタクト42)に設けられている。尚、第4係合部44は、他方のコンタクト42の本体部42aに設けられている。本体部42aは、他方のコンタクト42において、一方のコンタクト41が嵌め込まれる部分として設けられている。本体部42aは、2面が開口した状態の略箱状の構造を有する部分として設けられている。
【0110】
また、第4係合部44は、他方のコンタクト42の壁部から内側に向かって出っ張るように設けられている。より具体的には、第4係合部44は、他方のコンタクト42の壁部において、片持ち状に延びるように設けられ、片持ち状に延びる先端側の部分が、他方のコンタクト42に対して、徐々に内側に向かって延びるように、設けられている。
【0111】
第5係合部45は、一方のコンタクト41(第1コンタクト41)に設けられ、一方のコンタクト41において第4係合部44が係合する部分として設けられている。尚、第5係合部45は、一方のコンタクト41の本体部41aに設けられている。本体部41aは、一方のコンタクト41において、他方のコンタクト42に嵌め込まれる部分として設けられている。本体部41aは、略筒状の構造を有する部分として設けられている。尚、
図25においては、第1コンタクト41の本体部41aの内側に表れる要素の図示は省略されている。
【0112】
また、第5係合部45は、一方のコンタクト41の壁部の一部であって第4係合部44が係合する貫通孔46が形成された部分として設けられている。一方のコンタクト41が他方のコンタクト42に嵌まり込んで嵌合したときには、一方のコンタクト41の本体部41aにおいて片持ち状に延びる第4係合部44の先端側の部分が、他方のコンタクト42の本体部42aの壁部に設けられた貫通孔46の縁部分に対して係合する。尚、一方のコンタクト41の本体部41aは、他方のコンタクト42の本体部42aの内側に嵌め込まれ、第4係合部44は、第5係合部45における貫通孔46の縁部分に対して、本体部41aの外側から係合する。
【0113】
コネクタ4は、上述のように、一方のコンタクト41の本体部41aが、他方のコンタクト42の本体部42aの内側に嵌まり込んで嵌合するように構成されている。また、コネクタ4は、第1コンタクト41に接続された状態の電線100が第1コンタクト41から延びる方向である電線延長方向に対して垂直な方向と平行な方向に沿って、一方のコンタクト41(第1コンタクト41)が他方のコンタクト42(第2コンタクト42)に嵌まり込んで嵌合するように構成されている。更に、コネクタ4は、上記の電線延長方向に対して垂直な方向と平行な方向であって基板101の表面101aに対して垂直な方向に沿って、一方のコンタクト41が他方のコンタクト42に対して嵌まり込んで嵌合するように構成されている。
【0114】
また、コネクタ4は、上述のように、一方のコンタクト41が他方のコンタクト42に対して嵌まり込んで嵌合することで、第4係合部44が第5係合部45に係合し、第1コンタクト41と第2コンタクト42とが結合されるように構成されている。即ち、コネクタ4は、一方のコンタクト41が他方のコンタクト42に対して嵌まり込んで嵌合することで、係合機構43により、第1コンタクト41と第2コンタクト42とが結合されるように構成されている。
【0115】
上述した変形例に係るコネクタ4によっても、コネクタ1と同様の効果を奏することができる。即ち、コネクタ4が用いられる電線100或いは基板101の条件によって金属製のコンタクト(41、42)同士の嵌合作業が難しくなってしまうことを抑制でき、接続作業の作業性が低下してしまうことを抑制することができるコネクタ4を提供することができる。