(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-143598(P2016-143598A)
(43)【公開日】2016年8月8日
(54)【発明の名称】芳香器機能付きキャンドルライト
(51)【国際特許分類】
F21V 33/00 20060101AFI20160711BHJP
F21V 3/02 20060101ALI20160711BHJP
F21S 9/02 20060101ALI20160711BHJP
F21V 23/04 20060101ALI20160711BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20160711BHJP
【FI】
F21V33/00 450
F21V3/02 400
F21V3/02 600
F21S9/02 420
F21V23/04 100
F21Y101:02
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-19739(P2015-19739)
(22)【出願日】2015年2月3日
(71)【出願人】
【識別番号】515029569
【氏名又は名称】株式会社K−プランニング
(74)【代理人】
【識別番号】100062225
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 輝雄
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】河村 尚二
【テーマコード(参考)】
3K014
3K243
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K014GA03
3K014RB04
3K243GA06
3K243GB01
3K243HB01
(57)【要約】
【課題】シェードの内側の状態がシェードの外方からは把握し難くしながらも、発光部が放つ光が明確になるようにシェードに透明性を持たせ、シェードに宝石である多面体カットダイヤモンドを配したごとくの美観が発光部消灯時にも想起できるようにして、美観の向上した芳香器機能付きキャンドルライトを得る。
【解決手段】シェード3に複数のカットダイヤモンド状多面プリズム体15を並べ設け、そのカットダイヤモンド状多面プリズム体15を正面から見たときに、パビリオン状プリズム部18の内プリズム面とクラウン状プリズム部23の平頭プリズム面または外プリズム面とが重なった状態で複数のプリズム面重なり部が目視されるようにして、その複数のプリズム面重なり部の内の何れかのプリズム面重なり部に、正面から見たカットダイヤモンド状多面プリズム体15の背景の部分像が目視できるようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座と、光透過する無色透明樹脂材より成形されて前記台座の上面に着脱可能にして載置される略円筒状のシェードとを備え、
前記台座の上面には、光透過する樹脂材より成形されて台座の上面中央から上方に向けて突出している炎形状を模った発光部が設けられているとともに、前記発光部の近傍位置にして芳香剤が浸透する多孔質プレートを配置してなる芳香放散部が設けられていて、
前記発光部の内部にはLEDからなる光源が位置し、前記芳香放散部の下部にはヒーターが位置しており、
前記台座の内部には、蓄電池を備えてこの蓄電池の放電を制御する電力供給制御部が組み込まれていて、
前記電力供給制御部には、前記光源と、前記ヒーターと、前記台座の側面に操作可能に配置された点消灯スイッチと、前記台座の側面に操作可能に配置されたヒーターオンオフスイッチと、前記台座の上面に開口された息吹きかけ孔に対応位置する音センサーとが接続されていて、
前記点消灯スイッチの操作と前記音センサーによる息吹きかけ音の感知とのいずれか一方に基づいて前記電力供給制御部が、該電力供給制御部から電力供給を受ける光源の点消灯動作を制御し、前記ヒーターオンオフスイッチの操作に基づいて前記電力供給制御部が、該電力供給制御部から電力供給を受ける前記ヒーターの発熱動作を制御する芳香器機能付きキャンドルライトであって、
前記シェードは、シェード胴回り方向とシェード高さ方向とに亘ってそれぞれが多面体カットダイヤモンドの宝石形状を模った複数のカットダイヤモンド状多面プリズム体が連続して配置されており、
前記カットダイヤモンド状多面プリズム体それぞれのシェード径方向に沿うプリズム体中心線が、前記発光部の位置を通るシェード中心線と交差し、
前記カットダイヤモンド状多面プリズム体それぞれのシェードの内側には、多面体カットダイヤモンドにおけるパビリオン部位の形状を模っていて、前記プリズム体中心線が通る尖頭部を前記シェード中心線に向けて突出させたパビリオン状プリズム部が設けられ、
前記カットダイヤモンド状多面プリズム体それぞれのシェードの外側には、多面体カットダイヤモンドにおけるテーブルがあるクラウン部位の形状を模っていて、前記プリズム体中心線と直交する平頭プリズム面からなる平頭部をシェード外方に向けて突出させたクラウン状プリズム部が設けられており、
前記パビリオン状プリズム部は、複数の平坦なカット面である内プリズム面を備えて、パビリオン状プリズム部の表面は、前記複数の内プリズム面を直線状稜線を介して並設して形成され、
前記クラウン状プリズム部は、前記平頭部である平頭プリズム面とこの平頭プリズム面を囲む複数の平坦なカット面である外プリズム面とを備えて、クラウン状プリズム部の表面は、前記平頭プリズム面と外プリズム面とを直線状稜線を介して並設し、平頭プリズム面の周りの前記複数の外プリズム面同士を直線状稜線を介して並設して形成され、
前記カットダイヤモンド状多面プリズム体を正面から見たときに、パビリオン状プリズム部の内プリズム面とクラウン状プリズム部の平頭プリズム面または外プリズム面とが重なった状態で複数のプリズム面重なり部が目視され、
前記複数のプリズム面重なり部の内の何れかのプリズム面重なり部に、正面から見た前記カットダイヤモンド状多面プリズム体の背景の部分像が目視可能とされていることを特徴とする芳香器機能付きキャンドルライト。
【請求項2】
点灯した上記発光部を上記シェードを通して見るときの視線上にある上記カットダイヤモンド状多面プリズム体において、このカットダイヤモンド状多面プリズム体でのパビリオン状プリズム部の内プリズム面とクラウン状プリズム部の平頭プリズム面または外プリズム面とが重なった状態で複数のプリズム面重なり部が目視され、
前記複数のプリズム面重なり部の内の何れかのプリズム面重なり部に、前記点灯した発光部の部分像が目視可能とされている請求項1に記載の芳香器機能付きキャンドルライト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は芳香器機能付きキャンドルライトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から光を放つとともに芳香を放って室内の雰囲気を和らげることを目的とする卓上タイプなどの小型の照明器具が提案されている。例えば、特許文献1において、台座の上面の略中央に電球を配置するとともにその電球の上に香油皿を配置し、電球と香油皿との周囲を囲むランプシェードを台座の上に乗せ置き、電球を点灯させて照明光を得るとともに、点灯している電球が発する熱によって香油皿に入れた香油を温めて、芳香が放たれるようにしたランプが示されている。
【0003】
また、特許文献2においては、コンセント取付タイプのものであって、プラグを備えた台座の部分にファンを配するとともにその台座の上に造型カバーを乗せ、前記ファンからの送風を造型カバーの内部に配したアロマ体に当ててアロマ体からの香気を造型カバーの上方へと放出させるようにするとともに、造型カバー内に配した光源である発光素子が点灯することで照明を行なうようにしたランプが示されている。
【0004】
また、特許文献3においては、ろうそくの炎を模倣する明滅光を表現できるようにLED光源を制御する制御回路を備えるとともに、香気を噴霧する機構を備えているランプが示されている。
【0005】
また、特許文献4においては、香りを放つ仕組みは備えているものではないが、音センサーに対する息の吹きかけで信号が発せられて、ろうそくの炎を模倣するように発光する光源の消灯動作が行なわれるようにしたキャンドルライトが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3086670号公報
【特許文献2】実用新案登録第3147049号公報
【特許文献3】特表2007−520870号公報
【特許文献4】米国特許出願公開第2012/0126724号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年のアロマランプと称されている芳香器機能付きキャンドルライトでは、上述した特許文献3、4に示されているように、光源の発光素子が直接目に付かないようにその発光素子を内部に配した発光部の形状をろうそくの炎の形状を模ったものとし、発光部が炎のような形状で光るように図られている。
【0008】
しかしながら、発光部を囲むシェードは着色して光透過の度合を低くした合成樹脂材などから成形して、発光部周辺の機構や香りを放つ部分の構造がそのシェードを通して外部から見えないようにしている。そのため、発光部が点灯しているキャンドルライトではぼんやりとした光がシェードを通して放たれているだけにとどまってしまい、シェードの内部に炎が存在するような見え方は得られないという欠点がある。
【0009】
また、芳香器機能付きキャンドルライトは昼間などの発光部を点灯させていない時にも芳香器として使用されるが、キャンドルライトの外観上でシェードが占める部分が大きくなっていて、単に不透明な筒体として見えてしまうシェードによってキャンドルライト全体の美観が左右されてしまい、キャンドルライトの置物としての豪華さを向上させ難いという欠点がある。
【0010】
そこで本発明は上記事情に鑑み、シェードの内側の状態がシェードの外方からは把握し難くしながらも、発光部が放つ光が明確になるようにシェードに透明性を持たせ、その透明性によりシェードに宝石である多面体カットダイヤモンドを配したごとくの美観が発光部消灯時にも想起できるようにすることを課題とし、美観の向上した芳香器機能付きキャンドルライトを得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(請求項1の発明)
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、台座と、光透過する無色透明樹脂材より成形されて前記台座の上面に着脱可能にして載置される略円筒状のシェードとを備え、
前記台座の上面には、光透過する樹脂材より成形されて台座の上面中央から上方に向けて突出している炎形状を模った発光部が設けられているとともに、前記発光部の近傍位置にして芳香剤が浸透する多孔質プレートを配置してなる芳香放散部が設けられていて、
前記発光部の内部にはLEDからなる光源が位置し、前記芳香放散部の下部にはヒーターが位置しており、
前記台座の内部には、蓄電池を備えてこの蓄電池の放電を制御する電力供給制御部が組み込まれていて、
前記電力供給制御部には、前記光源と、前記ヒーターと、前記台座の側面に操作可能に配置された点消灯スイッチと、前記台座の側面に操作可能に配置されたヒーターオンオフスイッチと、前記台座の上面に開口された息吹きかけ孔に対応位置する音センサーとが接続されていて、
前記点消灯スイッチの操作と前記音センサーによる息吹きかけ音の感知とのいずれか一方に基づいて前記電力供給制御部が、該電力供給制御部から電力供給を受ける光源の点消灯動作を制御し、前記ヒーターオンオフスイッチの操作に基づいて前記電力供給制御部が、該電力供給制御部から電力供給を受ける前記ヒーターの発熱動作を制御する芳香器機能付きキャンドルライトであって、
前記シェードは、シェード胴回り方向とシェード高さ方向とに亘ってそれぞれが多面体カットダイヤモンドの宝石形状を模った複数のカットダイヤモンド状多面プリズム体が連続して配置されており、
前記カットダイヤモンド状多面プリズム体それぞれのシェード径方向に沿うプリズム体中心線が、前記発光部の位置を通るシェード中心線と交差し、
前記カットダイヤモンド状多面プリズム体それぞれのシェードの内側には、多面体カットダイヤモンドにおけるパビリオン部位の形状を模っていて、前記プリズム体中心線が通る尖頭部を前記シェード中心線に向けて突出させたパビリオン状プリズム部が設けられ、
前記カットダイヤモンド状多面プリズム体それぞれのシェードの外側には、多面体カットダイヤモンドにおけるテーブルがあるクラウン部位の形状を模っていて、前記プリズム体中心線と直交する平頭プリズム面からなる平頭部をシェード外方に向けて突出させたクラウン状プリズム部が設けられており、
前記パビリオン状プリズム部は、複数の平坦なカット面である内プリズム面を備えて、パビリオン状プリズム部の表面は、前記複数の内プリズム面を直線状稜線を介して並設して形成され、
前記クラウン状プリズム部は、前記平頭部である平頭プリズム面とこの平頭プリズム面を囲む複数の平坦なカット面である外プリズム面とを備えて、クラウン状プリズム部の表面は、前記平頭プリズム面と外プリズム面とを直線状稜線を介して並設し、平頭プリズム面の周りの前記複数の外プリズム面同士を直線状稜線を介して並設して形成され、
前記カットダイヤモンド状多面プリズム体を正面から見たときに、パビリオン状プリズム部の内プリズム面とクラウン状プリズム部の平頭プリズム面または外プリズム面とが重なった状態で複数のプリズム面重なり部が目視され、
前記複数のプリズム面重なり部の内の何れかのプリズム面重なり部に、正面から見た前記カットダイヤモンド状多面プリズム体の背景の部分像が目視可能とされていることを特徴とする芳香器機能付きキャンドルライトを提供して、上記課題を解消するものである。
【0012】
(請求項2の発明)
そして、本発明は、点灯した上記発光部を上記シェードを通して見るときの視線上にある上記カットダイヤモンド状多面プリズム体において、このカットダイヤモンド状多面プリズム体でのパビリオン状プリズム部の内プリズム面とクラウン状プリズム部の平頭プリズム面または外プリズム面とが重なった状態で複数のプリズム面重なり部が目視され、
前記複数のプリズム面重なり部の内の何れかのプリズム面重なり部に、前記点灯した発光部の部分像が目視可能とされているものとすることが良好である。
【発明の効果】
【0013】
(請求項1の発明の効果)
請求項1の発明によれば、シェードのカットダイヤモンド状多面プリズム体の後方(シェード内側)からカットダイヤモンド状多面プリズム体に入射される光は、このカットダイヤモンド状多面プリズム体を透過するときにその光の進行方向を入射側のプリズム面(パビリオン状プリズム部の内プリズム面)ごとに変化し、また、クラウン状プリズム部のプリズム面(平頭プリズム面、外プリズム面)を経てシェードの外方に出射されるときにも、その光が透過する位置でのクラウン状プリズム部の前記各プリズム面ごとに変化するようになる。
【0014】
そして、上記カットダイヤモンド状多面プリズム体は正面から見たときに、パビリオン状プリズム部の内プリズム面とクラウン状プリズム部の平頭プリズム面または外プリズム面とが重なった状態で複数のプリズム面重なり部が目視され、複数のプリズム面重なり部の内の何れかのプリズム面重なり部に、正面から見た前記カットダイヤモンド状多面プリズム体の背景の部分像が目視可能とされているので、目視される前記部分像を見る視線の延長線上には、実際の背景での前記部分像が対応する部分は存在しない状態となり、カットダイヤモンド状多面プリズム体を正面から見たときの像はモザイク状になり、シェードの内部の状態を把握し難くなり、シェード内が見えることでの美観の低下を抑えるようになる。
【0015】
さらに、カットダイヤモンド状多面プリズム体それぞれは透明であって、カットダイヤモンド状多面プリズム体を見たときの像が上述のようにモザイク状に見えるため、このカットダイヤモンド状多面プリズム体はこれが模倣する宝石の多面体カットダイヤモンドのように目視されることとなり、シェード全体に宝石のカットダイヤモンドを配したごとくのように見えてシェードの美観が向上し、高級感がかもし出される。
【0016】
(請求項2の発明の効果)
発光部から出射された光が凸レンズや凹レンズ、シボ加工透明板を経た場合、拡散光や収束光、散乱光などとなって、その凸レンズや凹レンズ、シボ加工透明板を通して発光部を見るときには、実際の発光部とは異なる不明確な像を見ることとなる。一方、請求項2の発明によれば、複数のプリズム面重なり部の内の何れかのプリズム面重なり部に、点灯した発光部の部分像が目視されることとなるので、その前記プリズム面重なり部を通して見える像(部分像)は、発光部における対応箇所の形状に対応する像となり、部分像であってもシャープな像が表現されることとなる。そして、発光部側を見る視線上の近くでシャープな部分像がモザイク状の配置で表現されることとなって、光を放つシャープな部分像のモザイク状の配置によりシェードに豪華さが付与されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る芳香器機能付きキャンドルランプの一例を示すもので、台座とシェードとを分離した状態で示す説明図である。
【
図2】台座にシェードをセットした一例を斜視の状態で示す説明図である。
【
図3】一例を正面から見た状態で示す説明図である。
【
図4】同じく一例を側方から見た状態で示す説明図である。
【
図5】同じく一例を上方から見た状態で示す説明図である。
【
図6】一例におけるプリズム面重なり部を概略的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
つぎに本発明を
図1から
図6に示す実施の例に基づいて詳細に説明する。図中1は芳香器機能付きキャンドルライトで、該キャンドルライト1は
図1に示すように台座2と光透過する透明樹脂材より成形されて前記台座2の上面に着脱可能にして載置される略円筒状のシェード3とからなるものである。
【0019】
(台座)
台座2にはシェード3の下部を入れることができる溝部4が上面の周辺に沿う環状にして設けられている。また、この台座2の上面中央には、光透過する樹脂材より成形されて台座の上面中央から上方に向けて突出している炎形状を模った発光部5が設けられている。さらに、前記発光部5の近傍位置には凹部が形成されて、その凹部に芳香剤が浸透する多孔質プレート6を配置してなる芳香放散部7が設けられている。
【0020】
なお、発光部5と前記多孔質プレート6を配する凹所とを含めて溝部4に囲まれた領域は、台座2の内部に後述の制御体を収容する空所を覆うカバーとして成形されている。前記カバーは着色材料を含有した薄い白色の樹脂板としたり表面に表面にシボ加工を施した樹脂板であって、カバーを通して台座2の内部がはっきりと透けて見えることが無いようにしているとともに、カバーの一部である発光部5がその内部に配された発光素子からの出射光が発光部5から散乱光として放たれて、その光を放つ発光部5が全体的にろうそくの炎を模倣した状態となるように図られている。
【0021】
上記発光部5はその内部に発光素子としてLEDを用いた光源が位置されている。また上記芳香放散部7にあってはその下部である上記凹所の底板の下面にヒーターが取り付けられていて、アロマオイルなどの液体香料を浸透させた多孔質プレート6を温めることで液体香料を気化させてシェード3を通して香料が放散するようにしている。
【0022】
(電力供給制御部)
上記台座2の内部には電力供給制御部8が収容されている。前記電力供給制御部8は外部からの電力の供給を受けて蓄電する図示しない蓄電池を備えているとともに、上記発光部5の光源であるLEDからなる発光素子が接続され、上記芳香放散部7のヒーター(図示せず)も接続されている。また、台座2の側面には、
図1に示すように押しボタン形式で操作可能な点消灯スイッチ10が配置され、同じく台座の側面に押しボタン形式で操作可能とされたヒーターオンオフスイッチ11が配置されていて、前記点消灯スイッチ10とヒーターオンオフスイッチ11とが電力供給制御部8に接続されている。さらに台座2の上面であって上記溝部4より内側の領域に息吹きかけ孔12が開口していて、この息吹きかけ孔12に対応するようにして配置されている音センサー13も電力供給制御部8に接続されている。
【0023】
そして、電力供給制御部8は、点消灯スイッチ10の操作と音センサー13による息吹きかけ音の感知とのいずれか一方に基づいてこの電力供給制御部8から電力供給を受ける光源の点消灯動作を制御する。例えば、点消灯スイッチ10の押し操作を行なうごとに、発光部5が点灯状態と光量が変化する揺らぎ点灯状態と消灯状態とが順に切り換わるようにしており、また、音センサー13が息吹きかけ音を感知するごとでも、前記点灯状態と揺らぎ点灯状態と消灯状態とが順に切り換わるように制御する。
【0024】
また、電力供給制御部8は、ヒーターオンオフスイッチ11の操作に基づいてこの電力供給制御部8から電力供給を受けるヒーターの発熱動作を制御するものであり、前記ヒーターオンオフスイッチ11の押し操作を行なうごとにヒーターへの通電と通電遮断とが切り換えられて、ヒーターへの通電による発熱にて香料を放散させる状態とヒーターの発熱を停止させて香料を放散を止める状態とを切り換えることができるようにしている。
【0025】
(シェード)
シェード3は光透過性が良好な無色透明樹脂材により無色透明に成形されている。なお図示の例のシェードにあっては四体の部材をシェード胴回り方向に並べて略円筒状に形成されているものであり、上部に連結環14を被せ付けるとともに下部にも連結環14を被せ付けして前記四体の部材を連結している。
【0026】
図示されているようにシェード3は、それぞれが多面体カットダイヤモンドの宝石形状を模った複数のカットダイヤモンド状多面プリズム体15が連続して配置されていて、複数のカットダイヤモンド状多面プリズム体15がシェード胴回り方向とシェード高さ方向とに亘って並び設けられている。
【0027】
(カットダイヤモンド状多面プリズム体)
上記シェード3において、カットダイヤモンド状多面プリズム体15それぞれのシェード径方向に沿うプリズム体中心線16が、上記発光部5の位置を通るシェード中心線17と直交している。
【0028】
(パビリオン状プリズム部)
また、カットダイヤモンド状多面プリズム体15それぞれのシェード3の内面側には、前記プリズム体中心線16が通る尖頭部をシェード中心線17に向けて突出させたパビリオン状プリズム部18が設けられている。このパビリオン状プリズム部18は多面体カットダイヤモンドにおけるパビリオン部位の形状を模っていて、多面体カットダイヤモンド(宝石)の複数のカット面のみで表面形状が構成されているパビリオンと同様に複数の平面(後述の内プリズム面)で覆われた形状とされている。
【0029】
上述したように上記パビリオン状プリズム部18は複数の平坦なカット面である内プリズム面19を備えていて、このパビリオン状プリズム部18の表面は、前記複数の内プリズム面19を直線状稜線20を介して並設して形成されている。
【0030】
(クラウン状プリズム部)
他方、カットダイヤモンド状多面プリズム体15それぞれのシェードの外側は、多面体カットダイヤモンドにおけるテーブルがあるクラウン部位の形状を模っており、このカットダイヤモンド状多面プリズム体15のシェードの外側には、プリズム体中心線16と直交する平頭プリズム面21からなる平頭部22をシェードの外方に向けて突出させたクラウン状プリズム部23が設けられている。このクラウン状プリズム部23も多面体カットダイヤモンド(宝石)の複数のカット面のみで表面形状が構成されているクラウンと同様に複数の平面(平頭プリズム面、後述の外プリズム面)で覆われた形状とされている。
【0031】
上記クラウン状プリズム部23は、平頭部22である平頭プリズム面21とこの平頭プリズム面21を囲む複数の平坦なカット面である外プリズム面24とを備えている。そして上述したようにこのクラウン状プリズム部23の表面は、前記平頭プリズム面21と外プリズム面24とを直線状稜線20を介して並設しているとともに、平頭プリズム面21の周りの前記複数の外プリズム面24同士も直線状稜線20を介して並設して形成されている。
【0032】
本実施の例のシェード3では上述したように無色透明の合成樹脂材により成形され、パビリオン状プリズム部18の上記内プリズム面19、クラウン状プリズム部23の平頭プリズム面21、同じくクラウン状プリズム部23の外プリズム面24はいずれも平坦な面であり曲面ではない。なお、カットダイヤモンド状多面プリズム体15のラウンド部(多面体カットダイヤモンド宝石のラウンドに相当する部分)の形状によっては、斜め方向に並ぶカットダイヤモンド状多面プリズム体同志の間でこのカットダイヤモンド状多面プリズム体の構成以外の部分が生じることもあるが、その場合でもカットダイヤモンド状多面プリズム体の構成以外の部分のシェードの内側の表面及び外側の表面も平坦な面として形成される(カット面であってプリズム面としての役割を果たすことができる)。即ち、本発明におけるシェード3の内側の表面及び外側の表面のいずれにも曲面は非存在とされているものである。
【0033】
(プリズム面重なり部)
上述したようにカットダイヤモンド状多面プリズム体15ではシェード3の内側には内プリズム面19があり、シェード3の外側には平頭プリズム面21と外プリズム面24があることから、前記カットダイヤモンド状多面プリズム体15を正面から見たときに、パビリオン状プリズム部18の内プリズム面19に対して、クラウン状プリズム部23の平頭プリズム面21や外プリズム面24が重なった状態で複数のプリズム面重なり部25が目視されるようになる。
【0034】
図6は上記プリズム面重なり部25の説明を容易にするために、一つのカットカットダイヤモンド状多面プリズム体15を正面から見た状態を概略的に示しているものである。このように複数のプリズム面重なり部25は、内プリズム面19に対して平頭プリズム面21や外プリズム面24が重なって、パビリオン状プリズム部18側の直線状稜線20とクラウン状プリズム部23側の直線状稜線20とで囲まれた状態で目視できる部分であり、カットカットダイヤモンド状多面プリズム体15を正面から見たときにそのカットダイヤモンド状多面プリズム体15において多数のプリズム面重なり部25を見ることができるように設けられている。
【0035】
そして、カットカットダイヤモンド状多面プリズム体15それぞれにおいて、パビリオン状プリズム部18の表面のカット面形状(プリズム面の組み合わせによりなる表面形状)は、シェード3の外側から光が、全反射とならずに反射と出射時の屈折とを行なってシェード3の内側へと出射する形状とされている。また、クラウン状プリズム部23の表面のカット面形状(プリズム面の組み合わせによりなる表面形状)も、シェード3の内側から光が、全反射とならずに反射と出射時の屈折とを行なってシェード3の外側へと出射する形状とされている。
【0036】
そのため、カットダイヤモンド状多面プリズム体15を正面から見た際には、複数のプリズム面重なり部25の内の何れかのプリズム面重なり部25に、前記カットダイヤモンド状多面プリズム体15の背景の部分像が目視でき、カットダイヤモンド状多面プリズム体15の正面では複数の部分像がモザイク状の配置となって見ることができる。
【0037】
即ち、発光動作をしていない上記発光部5や発光部周辺、そして、上記芳香放散部7がシェード3に囲まれた状態となってはいるが、各カットダイヤモンド状多面プリズム体15ではその背景の部分像が、その部分像の実際の位置とは異なる位置であってその目視できる部分像がモザイク状の配置となっており、シェード3の内部の前記発光動作をしていない発光部5や発光部周辺の構造、芳香放散部7を目立たせることがない。加えて発光部を消灯している昼間時にあっては、シェード3を目視している側とは反対側(シェード径方向での反対側)に位置する複数のカットダイヤモンド状多面プリズム体15が、シェード3の目視している側のカットダイヤモンド状多面プリズム体15に映り込んで見えるため、透明感のある部分像がモザイク状の配置の配置で見えるようになり、シェード3に高級感が醸し出されるようになる。なお、シェード3のカットカットダイヤモンド状多面プリズム体15それぞれは、同一の形状の前記プリズム体15がシェード径方向のプリズム体中心線16(シェード中心線17に直交)を同一にして対向配置されている。
【0038】
また、発光部5を点灯させた場合には、この点灯した発光部5をシェード3を通して見るときの視線上にあるカットダイヤモンド状多面プリズム体15においても、パビリオン状プリズム部18の内プリズム面19に対してクラウン状プリズム部23の平頭プリズム面21や外プリズム面24とが重なった状態である複数の上記プリズム面重なり部25が目視されることには変わりがない。そして、その複数のプリズム面重なり部25の内の何れかのプリズム面重なり部25に、点灯した発光部5の部分像が、その部分像の実際の位置とは異なる位置にあるがごとくの状態で目視されるとともに、複数の部分像がモザイク状に配置された状態で目視される。
【0039】
加えて、プリズム面重なり部25で目視できる点灯した発光部5の部分像それぞれは、拡散光や収束光、散乱光で構成されるものではなくシャープな光の部分像として明確に目視されることから、ろうそくの炎がシェード3の内部に存在するがことくの感覚を想起させることができて、夜間の室内使用時などでの室内雰囲気を和らげることができる。
【符号の説明】
【0040】
1…芳香器機能付きキャンドルライト
2…台座
3…シェード
5…発光部
7…芳香放散部
8…電力供給制御部
12…息吹きかけ孔
15…カットダイヤモンド状多面プリズム体
16…プリズム体中心線
17…シェード中心線
18…パビリオン状プリズム部
19…内プリズム面
20…直線状稜線
21…平頭プリズム面
22…平頭部
23…クラウン状プリズム部
24…外プリズム面
25…プリズム面重なり部