【解決手段】前記有機薄膜半導体素子のパターン形成方法は、ホームを有するモールド構造体を準備するステップと、前記ホームと基板が管を形成するように前記モールド構造体を基板の上部に位置させるステップと、有機半導体物質を前記基板の表面に供給するステップと、前記有機半導体物質を硬化させるステップとを含む。
前記有機半導体物質が前記基板の表面に投入された時、前記有機半導体物質が形成する高さが前記管の高さより大きい請求項1から3のいずれか一項に記載の有機薄膜半導体素子のパターン形成方法。
前記有機半導体物質を硬化させるステップは、アニーリング(annealing)処理を含む請求項1から4のいずれか一項に記載の有機薄膜半導体素子のパターン形成方法。
【背景技術】
【0002】
現代社会が高度に情報化されるにつれて、表示装置は大型化及び薄型化に対する市場の要求に直面しており、従来のCRT装置ではこのような要求を充分に満せないため、PDP(Plasma Display Panel)装置、PALC(Plasma Address Liquid Crystal display panel)装置、LCD(Liquid Crystal Display)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置などで代表される平板表示装置に対する需要が爆発的に増えている。
【0003】
平板表示装置には、スイッチング素子として、三端子素子である薄膜トランジスタ(thin film transistor、TFT)を使用し、この薄膜トランジスタを制御するための走査信号を伝達するゲート線(gate line)と、画素電極に印加する信号を伝達するデータ線(data line)とが平板表示装置に具備される。
【0004】
このような薄膜トランジスタのうち、ケイ素(Si)のような無機半導体の代わりに、低分子または高分子のような有機半導体(organic semiconductor)を含む有機薄膜トランジスタ(organic thin film transistor、OTFT)に対する研究が活発に行われている。例えば、従来の有機薄膜トランジスタは、特許文献1に開示されている。
【0005】
有機薄膜トランジスタは、有機物質の特性上、纎維(fiber)またはフィルム(film)のような形態で作ることができ、可撓性表示装置(flexible display device)の核心素子として注目されている。また、有機薄膜トランジスタは、インクジェット印刷のような溶液工程(solution process)で製作することができ、蒸着工程だけでは限界のある大面積平板表示装置にも容易に適用することができる。
【0006】
但し、既存の薄膜トランジスタは、製造工程過程におけるバラツキにより、駆動性能が大きく左右される。特に、フォトレジスト層を露光する過程で、露光量の差異は、薄膜トランジスタのチャンネルの幅及び形状にバラツキを発生させる。また、化学的に低分子、単結晶を形成した後、転写方式で素子に移植するトランスファープリンティング(Transfer Printing)方式は、別途の転写工程が必要であり、転写工程中に精巧な整列(align)過程が必ず必要であり、界面特性が良くないという問題点があった。また、所望のターゲットに直接プリンティングする方法であるダイレクトプリンティング(Direct Printing)方式は、有機半導体結晶の方向性の制御が難しく、結晶の大きさの制御が難しいという問題点があった。
【0007】
そこで、優れた電荷移動度を有し、優れた電流出力の特性を有する高品質の単結晶薄膜トランジスタ及びこれを容易に製造するための製造方法に対する需要があった。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、添付の図面を参照して、本発明が属する技術分野で通常の知識を持った者が容易に実施することができるように本発明の実施例を詳しく説明する。しかし、本発明は、様々な異なる形態に具現されることができ、ここで説明する実施例に限定されない。そして、図面で本発明を明確に説明するために、説明と関係ない部分は省略し、明細書全体を通じて類似した部分に対しては類似した図面符号を付けた。
【0023】
本願明細書の全体において、ある部分が他の部分と「連結」されているというと、これは、「直接的に連結」されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで「電気的に連結」されている場合も含む。
【0024】
本願明細書の全体において、ある部材が他の部材「上に」位置しているというと、これは、ある部材が他の部材に接している場合だけでなく、二つの部材間にまた他の部材が存在する場合も含む。
【0025】
本願明細書の全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というと、これは、特に反対する記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0026】
本願明細書の全体で使用される程度の用語である「約」、「実質的に」などは、言及された意味に固有の製造及び物質許容誤差が提示される時、その数値で、またはその数値に近接した意味で使用され、本発明の理解を助けるために、正確であるか絶対的な数値が言及された開示内容を非良心的な侵害者が不当に利用することを防止するために使用される。本願明細書の全体で使用される程度の用語である「〜(する)ステップ」または「〜のステップ」は、「〜のためのステップ」を意味しない。
【0027】
本明細書において、端末、装置またはデバイスが行うと記述された動作や機能のうち一部は、当該端末、装置またはデバイスと連結されたサーバーで代わりに行われてもよい。これと同様に、サーバーが行うと記述された動作や機能のうち一部も、当該サーバーと連結された端末、装置またはデバイスで行われてもよい。以下、添付の図面を参考して、本発明の一実施例を詳しく説明する。
【0028】
図1a及び
図1bは、本発明の一実施例に係る有機薄膜半導体素子のパターン形成過程を示す概念図である。
【0029】
図1a及び
図1bに示すように、基板110の上部に半導体素子の微細パターンを形成するためのモールド構造体120を位置させる。例えば、前記基板110は、シリコン基板、ガラス基板、プラスチック基板またはメタル基板のうち少なくともいずれか一つを含む。前記ガラス基板は、シリコン酸化物、シリコン窒化物などからなる。また、前記プラスチック基板は、絶縁性有機物からなるが、例えば、ポリエーテルスルホン(PES、polyethersulphone)、ポリアクリレート(PAR、polyacrylate)、ポリエーテルイミド(PEI、polyetherimide)、ポリエチレンナフタレート(PEN、polyethyelenen napthalate)、ポリエチレンテレフタラート(PET、polyethyeleneterepthalate)、ポリフェニレンスルフィド(polyphenylene sulfide:PPS)、ポリアリレート(polyallylate)、ポリイミド(polyimide)、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(cellulose acetate propinonate:CAP)からなるグループから選択される有機物からなるが、これに限定されない。また、前記金属基板は、炭素、鉄、クロム、マンガン、ニッケル、チタン、モリブデン、ステンレススチール(SUS)、Invar合金、ZInconel合金及びKovar合金からなる群から選択された一つ以上を含むが、これに限定されない。
【0030】
前記モールド構造体120は、一つ以上のホーム130を有する形状で形成される。例えば、前記モールド構造体120は、レジン(resin)物質のモールド(mold)、紫外線処理及び離型(demold)過程を含む一般的なモールド製作工程によって形成される。柔軟な材質の物質を使用してモールド構造体を形成することで、多様な形状のパターンを形成する。
【0031】
例えば、前記ホーム130の幅は、数十ナノメートル(nm)ないし数マイクロメートル(μm)の範囲の大きさを有し、前記ホーム130の高さは、数百ナノメートル(nm)の大きさを有する。また、モールド構造体120に含まれている隣接するホーム間の間隔は、数百ナノメートル(nm)の大きさを有する。
【0032】
モールド構造体120は、モールド構造体120のホーム130と基板110の上面とが管140または通路を形成するように基板110の上部に位置する。例えば、準備したモールド構造体120をホーム130の底面が基板110の上面と向かい合うように基板110の上面に接着剤を利用して接合させてもよい。前記管140の幅、高さ及び隣接する管との間隔の大きさは、上述したモールド構造体120のホーム130の幅、高さ及び隣接するホームとの間隔の大きさと同一である。
【0033】
このように、モールド構造体120が基板110の上面に位置した状態で、有機半導体物質150が基板110の表面に供給される。供給された有機半導体物質150は、モールド構造体120のホーム130と基板110が形成した管140に流入して、管140に沿って基板110の上面に流れる。さらに具体的に、有機半導体物質150が基板110の表面に投入された時、有機半導体物質150が形成する高さ160が管140の高さ170より大きい。つまり、管140の内部と外部の圧力差により、有機半導体物質150が管140の内部に流入し、管140に沿って基板110の上面で流れる。モールド構造体120のホーム130の大きさ及び形態によって有機半導体物質150が投入される管140の大きさが決められ、それにより、管140の内部と外部の圧力差が変化する。従って、有機半導体物質150が管140の内部を通過する速度が変わり、速度により、有機物分子の結晶の質、整列方向または良好度が決められ、有機薄膜半導体素子またはトランジスタの性能が決められる。
【0034】
また、基板110の表面の表面エネルギーを制御するための処理を行うことで、有機半導体物質150を管140の内部に流入させ、さらには、有機半導体物質150が管140の内部を流れる速度を制御する。例えば、基板110の表面に紫外線オゾン(UVO)処理または酸素プラズマ処理を行うことで、基板の表面エネルギーを低くして有機半導体物質150を管140の内部に流入させる。例えば、基板110の表面のうち有機半導体物質150と接触する領域に対して、選択的に前記紫外線オゾン(UVO)処理または酸素プラズマ処理を行う。
【0035】
図1bに示すように、有機半導体物質150が管140の内部に流入して流れる過程で、有機半導体物質150の内部に含まれている有機物分子が一定の方向性を有するように配列されて、単結晶の半導体素子パターンが形成される。
【0036】
また、さらに、管140に沿って流れる有機半導体物質150を硬化させる。例えば、自然乾燥を通じて有機半導体物質150を硬化させるか、アニーリング(annealing)過程を通じて有機半導体物質150を硬化させる。このようにすることで、有機半導体物質150に含まれている液(溶媒)成分が蒸発する。有機半導体物質150を硬化させることで、管140の内部に存在する有機半導体物質150が管140の形状で沿って有機薄膜半導体素子のパターンに形成される。
【0037】
有機半導体物質150の種類によって、液成分の蒸発速度が変わる。また、液成分の蒸発速度によって、有機半導体物質150が管140の内部を流れながら進行する速度が変わる。例えば、液成分の蒸発速度が速ければ、有機半導体物質150が管140の内部を流れながら進行する速度が速くなる。また、有機半導体物質150が管140の内部を流れながら進行する速度によって、有機物分子の結晶の質または良好度が決められて、有機薄膜半導体素子またはトランジスタの性能が決められる。
【0038】
また、基板110の表面の特性及び基板110の表面に供給する有機半導体物質150の種類及び特性、さらに、基板110の表面と有機半導体物質150間の表面相互作用の程度によって、有機薄膜半導体素子またはトランジスタの性能が決められる。このような特性、表面相互作用の程度などは、上述した基板110の表面の処理工程を通じて調節してもよい。
【0039】
有機半導体物質150は、溶液工程を通じて薄膜形成が可能な有機半導体物質であれば、いずれも使用可能である。例えば、ペンタセン(pentacene)前駆体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリパラフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリパラフェニレン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、ポリチオフェンビニレン及びその誘導体、ポリチオフェン−ヘテロ環芳香族共重合体及びその誘導体、金属を含有するか含有しないフタロシアニン及びその誘導体、TESADT(triethylsilylethynyl anthradithiophene)、BTBT(benzothienobenzothiophene)、TTF(tetrathiafulvalene)などが使用されてもよい。また、これらのうち2以上を使用することももちろん可能である。
【0040】
また、有機半導体物質150の結晶の大きさ及び/または方向は、有機半導体物質150の種類の特性によって決められる。例えば、本発明の一実施例に係るパターン形成方法によって、有機物分子の結晶の方向が垂直方向に配列されている高結晶性のTIPS−Pnフィルムを製造し、有機物分子の結晶の方向が水平方向に配列されている高結晶性のPCBMフィルムを製造する。また、有機半導体物質150の結晶の大きさ及び/または方向は、有機半導体物質150の種類の特性だけでなく、モールド構造体120のホーム130の大きさ、つまり、管140の大きさによって制御されることができる。
【0041】
有機半導体物質150によって形成された単結晶の半導体素子パターンの幅及び高さは、管140の幅及び高さの大きさによって決められる。例えば、単結晶の半導体素子パターンの幅は、数十ナノメートル(nm)〜数マイクロメートル(μm)の範囲の大きさを有し、単結晶の半導体素子パターンの高さは、数十ナノメートル(nm)〜数百ナノメートル(nm)の大きさを有する。
【0042】
以上で説明したように、溶液工程有機半導体物質をマイクロまたはナノサイズの微細パターンが形成されているモールド構造体に供給して、毛細管現象(Capillary phenomenon)を利用して有機薄膜半導体素子をパターニングする。本発明に係る毛細管現象リソグラフィー(lithography)によると、従来の成膜工程、フォトリソグラフィ工程、転写工程、アライン工程などが不要であり、工程を単純化させ、工程速度を向上させて収率(throughput)を向上させることができる。また、モールド構造体の大きさに適合するように、適正量の有機半導体物質を投入することで、工程に投入された有機半導体物質の大部分を工程に使用して、資源活用度を高め、工程後の廃棄物を最小化することができる。さらに、本発明に係る毛細管現象リソグラフィーによると、高い電荷移動度及び電流出力特性を有する高結晶性の有機半導体素子を容易に形成することができる。また、モールド構造体の大きさ及び形態を調節及び変形し、それによる管の内部及び外部の圧力差の大きさ及び方向を調節することで、有機分子の結晶性、整列及び結晶成長の方向などを調節することができる。
【0043】
図2は、本発明の他の一実施例に係る有機薄膜半導体素子のパターン形成過程を示す概念図である。
【0044】
図2に示すように、本発明の一実施例によると、同一の形状のホームのアレイ(array)を有するモールド構造体220が基板210の上部に位置する。モールド構造体220のホームと基板210が有機半導体物質230が流れる通路を形成するように、モールド構造体220が基板210の上部に位置する。
【0045】
例えば、
図2に示すように、モールド構造体220のホームは、有機半導体物質230が投入される投入部240及び有機半導体物質230が基板の上面に沿って流れる管を形成する進行部250を含む。また、モールド構造体220は、有機半導体物質230の溶媒成分の蒸発を誘導して促進するためのホール260を含む。
図2に示すモールド構造体220のホームの形状は一例に過ぎず、有機半導体物質230が投入されて流れる管を形成することができる他の形態を有してもよい。
【0046】
また、
図2に示すように、有機半導体物質230が投入されて接触する基板210の領域270(例えば、投入部240に対応する基板の表面)に対して、選択的に前記紫外線オゾン(UVO)処理または酸素プラズマ処理を行う。このように、有機半導体物質230が最初に投入して凝集する基板の表面270の表面エネルギーを制御することで、有機半導体物質230がモールド構造体220の外部にあふれ出すことなく、モールド構造体220のホームと基板210が形成した管250に流入して基板210の表面に沿って流れるように誘導することができる。
【0047】
本発明の他の一実施例に係る有機薄膜半導体素子のパターン形成方法によると、多量のホームを含む大面積のホームアレイが形成されたモールド構造体を準備し、モールド構造体と基板を接合させて、有機半導体物質が流れる通路を形成して有機半導体物質を前記通路に誘導することで、毛細管現象に基づいた溶液工程を利用して、多量の有機薄膜半導体素子のパターンを迅速でかつ容易に生成することができる。
【0048】
図3a及び
図3bは、本発明のまた他の一実施例に係る有機薄膜半導体素子のパターン形成過程を示す概念図である。
図3aに示すように、ホームを有するモールド構造体320をホームと基板310の上面が管を形成するように基板310の上部に位置させる。また、互いに異なる種類の有機半導体物質330、340を所定の時間差を置いて順次に基板310の表面に供給する。例えば、前記互いに異なる種類の有機半導体物質330、340は、それぞれNタイプの半導体物質及びPタイプの半導体物質を含む。
【0049】
本発明の一実施例に係るモールド構造体320は、
図3aに示すように、両端に有機半導体物質330、340が流入される開口部を有するように形成される。一種類の有機半導体物質330は、モールド構造体320の一端に隣接した基板310の表面に供給されて管の中央部に向かって流入して流れる。また、他の一種類の有機半導体物質340は、モールド構造体320の残りの他端に隣接した基板310の表面に供給して管の中央部に向かって流入して流れる。時間差を置いて供給されて、モールド構造体320と基板310が形成した管に沿って流れる有機半導体物質330、340は、管内部で重畳350される。このように、互いに異なる種類の有機半導体物質330、340の順次の毛細管現象を利用して、CMOS素子、有機発光トランジスタ素子及びその内部のパターンを容易でかつ迅速に製造することができる。
【0050】
また、本発明の他の一実施例によると、
図3bに示すように、ホームを有するモールド構造体370をホームと基板360の上面が管を形成するように基板360の上部に位置させる。また、互いに異なる種類の有機半導体物質380、390を基板360の表面に供給する。例えば、前記互いに異なる種類の有機半導体物質380、390は、それぞれNタイプの半導体物質及びPタイプの半導体物質を含む。
【0051】
本発明の他の一実施例に係るモールド構造体370には、
図3bに示すように、有機半導体物質380、390が流入される開口部の方向が交差的に形成された複数のホームが形成される。例えば、有機半導体物質380、390の種類によって、有機半導体物質380、390が流入される開口部の方向が決められる。一種類の有機半導体物質380は、モールド構造体370の一端に隣接した基板310の表面に供給して管の中央部に向かって流入して流れる。また、他の一種類の有機半導体物質390は、モールド構造体370の残りの他端に隣接した基板310の表面に供給して管の中央部に向かって流入して流れる。例えば、有機半導体物質380は左側から流入され、有機半導体物質390は右側から流入され、それにより、有機半導体物質380によって形成されたパターンと有機半導体物質390によって形成されたパターンが交差的に配置される。
【0052】
このように、互いに異なる種類の有機半導体物質380、390の毛細管現象を利用し、互いに異なる種類の有機半導体物質380、390が流入して流れる管を交差的に配置することで、異種の半導体薄膜トランジスタのような素子及びその内部のパターンを迅速に製造することができる。
【0053】
また、
図3a及び
図3bに示すように、モールド構造体320、370の大きさ及び形状を多様に形成することで、多様な形態のパターン及び素子を製造することができ、モールド構造体320、370の構造によって有機半導体物質の使用量を調節及び節約することができる。
【0054】
図4は、本発明の一実施例に係る有機薄膜トランジスタ400の断面図である。本発明の一実施例に係る有機薄膜トランジスタ400は、ゲート電極410が有機半導体層420下に形成されたボトム(bottom)ゲート構造である。
図4に示すように、基板405上にゲート電極410が形成され、基板405上にゲート電極410を覆うゲート絶縁層420が形成される。また、ゲート絶縁層420上に有機半導体物質で形成された有機半導体層430が形成される。有機半導体層430は、ゲート電極410から電界の印加を受ける。また、有機半導体層430上に互いに向かい合って位置するソース電極440及びドレイン電極450が形成される。また、図示していないが、有機半導体層430上に有機半導体層430を保護するための保護層が形成され、ゲート絶縁層420上に有機半導体層430、ソース電極440及びドレイン電極450を覆うパッシベーション層(passivation layer)が形成される。
【0055】
例えば、前記基板405は、シリコン基板、ガラス基板及びプラスチック基板のいずれか一つである。また、例えば、前記ゲート電極410は、Au、Ag、Cu、Ni、Pt、Pd、Al、Mo、またはAl:Nd,Mo:W合金などのような金属または金属の合金からなるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0056】
また、例えば、前記ゲート絶縁層420は、絶縁性の有機高分子を含む。有機絶縁体の静電容量を増加させることができ、漏洩電流を最小化することができるように、前記絶縁性有機高分子の内部には、電荷を収容することができる二重結合、三重結合、芳香族環などが含まれることが好ましい。前記絶縁性有機高分子は、フッ素系高分子として、フッ素を含む形態の高分子であればいずれも使用可能であり、例えば、サイトップ(Cytop)という物質、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、パーフルオロフェニレン、パーフルオロビフェニレン、パーフルオロナフタニレン、エチレン−テトラフルオロエチレン及びポリ(ビニリデンフルオリド)などのような高分子が使用されてもよく、フッ素系高分子と一般的な有機絶縁体高分子との混合を通じて疎水性絶縁層を形成する。
【0057】
前記有機半導体層420をなす有機半導体物質は、溶液工程を通じて薄膜形成が可能な有機半導体物質であればいずれも使用可能である。ゲート絶縁層420の上部に有機半導体層430が形成される。有機半導体層430は、前述した
図1aないし
図3bを参照して説明した本発明の有機薄膜半導体素子のパターン形成方法によって形成される。従って、有機半導体層430の形成方法に対する重複した説明は省略する。
【0058】
また、例えば、前記ソース電極440及びドレイン電極450は、Au、Pd、Pt、Ni、Rh、Ru、Ir、Osの他にも、Al、Mo、Al:Nd合金、MoW合金などのような2種以上の金属からなる合金を使用してもよく、金属の酸化物としては、ITO、IZO、NiO、Ag
2O、In
2O
3−Ag
2O、CuAlO
2、SrCu
2O
2及びZrでドーピングされたZnOなどを使用してもよいが、これに限定されない。前述したような金属または金属酸化物のうち2以上を組み合わせて使用してもよいことは勿論である。
【0059】
図5は、本発明の他の一実施例に係る有機薄膜トランジスタ500の断面図である。本発明の他の一実施例に係る有機薄膜トランジスタ500は、ゲート電極510が有機半導体層520、ソース電極530及びドレイン電極540上に形成されたトップ(top)ゲート構造である。
図5に示すように、基板550の上部にソース電極530及びドレイン電極540が互いに向かい合って形成される。また、基板550の上部には、ソース電極530及びドレイン電極540と接する有機半導体層520が形成される。また、有機半導体層520の上部には、ゲート絶縁層560が形成される。
【0060】
有機薄膜トランジスタ500の各層及び電極の特性、材料及び形成方法は、
図4を参照して説明した有機薄膜トランジスタ400の各層及び電極の特性、材料及び形成方法と同一であるので、詳しい説明は省略する。
【0061】
前記有機薄膜トランジスタ400、500は、多様な電子素子にスイッチング素子または駆動素子として適用され、前記電子素子は、例えば、液晶表示装置、有機発光表示装置、電気泳動表示装置及び有機センサーなどを含む。
【0062】
図6は、本発明の一実施例に係る有機薄膜半導体素子のパターン形成方法のフローチャートである。
図6に示した実施例に係る有機薄膜半導体素子のパターン形成方法は、前述の
図1aないし
図5を通じて説明した有機薄膜半導体素子のパターン形成過程で時系列的に処理する段階を含む。従って、以下で省略した内容であるとしても、
図1aないし
図5を参照して記述した内容は、
図6に示した実施例に係る有機薄膜半導体素子のパターン形成方法にも適用される。
【0063】
図6を参照すると、ステップS610において、一つ以上のホームを有するモールド構造体を準備する。モールド構造体は、一般的なモールド製作工程によって形成される。また、モールド構造体に形成されているホームは、数十ナノメートル(nm)ないし数マイクロメートル(μm)の範囲の幅と高さを有する。
【0064】
ステップS620において、モールド構造体を基板の上部に位置させる。モールド構造体のホームと基板が管(通路)を形成するようにモールド構造体を基板の上面に位置させる。例えば、モールド構造体のホームの下面が基板の上面と向い合うようにモールド構造体と基板の上面を接合させる。
【0065】
ステップS630において、有機半導体物質を基板の表面に供給する。供給された有機半導体物質は、モールド構造体のホームと基板が形成した管に流入して管に沿って基板の上面で流れる。
【0066】
ステップS640において、管に沿って流れる有機半導体物質を硬化させる。例えば、自然乾燥を通じて有機半導体物質を硬化させるか、アニーリング(annealing)過程を通じて有機半導体物質を硬化させる。このようにすることで、有機半導体物質に含まれている液(溶媒)成分が蒸発する。有機半導体物質を硬化させることで、管の内部に存在する有機半導体物質が管の形状に沿って有機薄膜半導体素子のパターンに形成される。
【0067】
ステップS650において、有機半導体物質が硬化してパターンが形成された後、モールド構造体を除去する。
【0068】
上述した説明において、ステップS610ないしステップS650は、本発明の具現例によって、追加的な段階にさらに分割されるか、さらに少ない段階で組み合わせてもよい。また、一部段階は必要に応じて省略してもよく、段階間の手順が変更されてもよい。
【0069】
図7は、本発明の一実施例に係る有機薄膜トランジスタの製造方法のフローチャートである。
図7に示した実施例に係る有機薄膜トランジスタの製造方法は、前述の
図1aないし
図5を通じて説明した有機薄膜半導体素子のパターン形成過程及び有機薄膜トランジスタの製造過程で時系列的に処理する段階を含む。従って、以下で省略した内容であるとしても、
図1aないし
図5を参照して記述された内容は、
図7に示した実施例に係る有機薄膜トランジスタの製造方法にも適用される。
【0070】
図7を参照すると、ステップS710において、基板にゲート電極を形成し、ゲート電極上にゲート電極を覆うゲート絶縁層を形成する。例えば、ゲート絶縁層は、PECVD(plasma enhanced chemical vapor deposition)方法で形成する。また、ステップS710において、ゲート絶縁層の形成後、ゲート絶縁層の上面に存在する不純物を除去するための湿式洗浄を行う。前記湿式洗浄で洗浄液としては、IPA(isopropyl alcohol)と脱イオン水(deionized water)及びアセトン(aceton)のうち少なくともいずれか一つを使用する。
【0071】
ステップS720において、ゲート電極の上部に有機半導体層を形成する。有機半導体層は、
図6を参照して説明した有機薄膜半導体素子のパターン形成方法によって形成される。例えば、一つ以上のホームを有するモールド構造体を準備して、モールド構造体のホームと基板が管(通路)を形成するようにモールド構造体を基板の上面に位置させ、有機半導体物質を基板の表面に供給する。供給された有機半導体物質は、モールド構造体のホームと基板が形成した管に流入して管に沿って基板の上面で流れ、硬化過程を経て、有機薄膜トランジスタのパターンに形成される。
【0072】
ステップS730において、有機半導体層と電気的に連結するソース電極及びドレイン電極を形成する。例えば、ソース電極及びドレイン電極は、金属層を形成し、マスクを利用して湿式または乾式エッチングの方法で金属層をパターニングして形成する。
【0073】
上述した説明において、ステップS710ないしステップS730は、本発明の具現例によって、追加的な段階にさらに分割されるか、さらに少ない段階で組み合わせてもよい。また、一部段階は必要に応じて省略してもよく、段階間の手順が変更されてもよい。
【0074】
図8は、本発明の他の一実施例に係る有機薄膜トランジスタの製造方法のフローチャートである。
図8に示した実施例に係る有機薄膜トランジスタの製造方法は、前述の
図1aないし
図5を通じて説明した有機薄膜半導体素子のパターン形成過程及び有機薄膜トランジスタの製造過程で時系列的に処理する段階を含む。従って、以下で省略した内容であるとしても、
図1aないし
図5を参照して記述された内容は、
図8に示した実施例に係る有機薄膜トランジスタの製造方法にも適用される。
【0075】
図8を参照すると、ステップS810において、基板にソース電極及びドレイン電極を形成する。例えば、ソース電極及びドレイン電極は、金属層を形成し、マスクを利用して湿式または乾式エッチングの方法で金属層をパターニングして形成する。
【0076】
また、ステップS820において、ソース電極及びドレイン電極と接する有機半導体層を形成する。有機半導体層は、
図6を参照して説明した有機薄膜半導体素子のパターン形成方法によって形成される。
【0077】
次に、ステップS830において、前記有機半導体層、前記ソース電極及び前記ドレイン電極の上部にゲート電極及びゲート絶縁層を形成する。
【0078】
上述した説明において、ステップS810ないしステップS830は、本発明の具現例によって、追加的な段階にさらに分割されるか、さらに少ない段階で組み合わせてもよい。また、一部段階は必要に応じて省略してもよく、段階間の手順が変更されてもよい。
【0079】
前述した本発明の説明は、例示のためのものであり、本発明が属する技術分野の通常の知識を持った者は、本発明の技術的思想や必須な特徴を変更せずとも他の具体的な形態に容易に変形可能であるということが理解できるであろう。従って、以上で記述した実施例は、全ての面で例示的なものであり、限定的ではないと理解しなければならない。例えば、単一型で説明されている各構成要素は、分散して実施されてもよく、同様に分散して説明されている構成要素は結合した形態で実施されてもよい。
【0080】
本発明の範囲は、上記詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって表され、特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその均等概念から導出される全ての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれると解釈されるべきである。