【解決手段】本発明は、パワーインダクタに関するもので、本発明によるパワーインダクタは、コイル支持層を有し、上記コイル支持層の両面に形成されたコイル、上記コイルを埋め込む埋め込み部材、及び上記埋め込み部材上に形成され、且つ、複数の金属薄板を含むカバー部を含む本体と、上記本体の両端部に形成された外部電極と、を含み、上記複数の金属薄板は上記コイルの上面に対して垂直に配列される。
コイル支持層と、前記コイル支持層の両面に形成されたコイルと、前記コイルを埋め込んだ埋め込み部材と、前記埋め込み部材上に形成され、且つ、複数の金属薄板を含むカバー部とを含む本体と、
前記本体の両端部に形成された外部電極と、を含み、
前記複数の金属薄板は前記コイルの上面に対して垂直に配列される、パワーインダクタ。
前記カバー部は、前記複数の金属薄板と、前記複数の金属薄板のうち互いに隣接した金属薄板を接合させる接合部材と、を含む金属薄板接合構造体で形成される、請求項1に記載のパワーインダクタ。
前記複数の金属薄板は、前記コイル支持層、前記コイル、前記埋め込み部材、及び前記カバー部を含んで構成される前記本体の長さ方向に配列されるか、または前記本体の幅方向に配列される、請求項2に記載のパワーインダクタ。
前記複数の金属薄板は、結晶質、非晶質、及びナノ結晶質のうち選択された1種または2種以上の混合物で形成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のパワーインダクタ。
前記複数の金属薄板は、Fe−Si−Cr、Fe−Si、Fe−Si−Cr−B、及びFe−Si−B−P−Cu−Nbから選択されたいずれか一つの合金組成を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のパワーインダクタ。
前記磁性金属粉末は、Fe、Fe−Ni系合金、Fe−Si系合金、Fe−Si−Al系合金、Fe−Cr−Si系合金、Fe系アモルファス合金、Fe系ナノ結晶性合金、Co系アモルファス合金、Fe−Co系合金、Fe−N系合金、MnZn系フェライト、及びNiZn系フェライトから選択された1種以上である、請求項10に記載のパワーインダクタ。
コイル支持層と、前記コイル支持層の両面に形成されたコイルと、前記コイルを埋め込んだ埋め込み部材と、前記埋め込み部材上に形成され、且つ、一定に配列された複数の金属ブロックを含むカバー部とを含む本体と、
前記本体の両端部に形成された外部電極と、を含む、パワーインダクタ。
前記複数の金属ブロックは、結晶質物質、非晶質物質、及びナノ結晶質物質からなる群より選択された少なくとも一つを含む、請求項16または17に記載のパワーインダクタ。
前記複数の金属ブロックは、Fe−Si−Cr合金、Fe−Si合金、Fe−Si−Cr−B合金、及びFe−Si−B−P−Cu−Nb合金からなる群より選択された少なくとも一つで形成される、請求項16〜18のいずれか1項に記載のパワーインダクタ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、添付の図面を参照し、本発明の好ましい実施例について説明する。しかし、本発明の実施例は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施例に限定されない。また、本発明の実施例は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0015】
以下、
図1から
図12を参照し、本発明によるパワーインダクタについて詳細に説明する。
【0016】
図1は本発明の一実施例によるパワーインダクタの斜視図であり、
図2は
図1をI−I'線に沿って切り取った断面図の一例であり、
図3は
図2のコイルとコイル支持層の分解斜視図であり、
図4は
図2のコイル支持層の他の一例を示す斜視図であり、
図5は
図1のカバー部の一例を示す斜視図であり、
図6は
図1のカバー部の他の一例を示す斜視図であり、
図7は
図1のカバー部のさらに他の一例を示す斜視図である。
【0017】
図1及び
図2に示されているように、本実施例のパワーインダクタ100は、大きく、コイル(coil)130とカバー部150を含む本体110、及び本体110の両端部に形成された外部電極160を含んで構成される。
【0018】
具体的には、本体110は直方体形状であってよく、コイル支持層120、コイル支持層120の両面に形成されたコイル130、コイル130を埋め込む埋め込み部材140、及び本体110の最外郭層に配置されるカバー部150を含んで構成されることができる。
【0019】
本体110の構成のうち、コイル130は、電源が印加されると、電流が導通されて磁場を発生させる導体パターンで、
図3に示されているように、コイル支持層120の両面に一つのターン(turn)以上巻線されるらせん状(spiral)に形成される。
【0020】
図3に示されているように、コイル130は、コイル支持層120の一面に形成された第1コイル132、及びコイル支持層120の一面と反対となる他面に形成された第2コイル134で構成される。
【0021】
このとき、第1コイル132の一端はコイル支持層120の一端部に引き出され、第2コイル134の一端はコイル支持層120の一端部と反対となる他端部に引き出される。
【0022】
また、第1及び第2コイル132、134の他端は、互いに対応するように形成されてコイル支持層120内に備えられたビア(図示せず)を通じて互いに電気的に連結されることができる。このとき、ビアは、コイル支持層120の厚さ方向に貫通されたビアホール124に導電性物質が充填されて形成されることができる。
【0023】
したがって、上下で積層形成された第1及び第2コイル132、134は、ビアによって互いに電気的に連結される。
【0024】
これにより、第1及び第2コイル132、134は、第1コイル132と第2コイル134を電気的に連結させるビアによって電気的に相互連結されて、コイル支持層120の上面に対して垂直な方向に配列されるようになる。
【0025】
コイル130を構成する第1及び第2コイル132、134、及びビアは、電気伝導度に優れた材質、例えば、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、チタニウム(Ti)などから選択された1種の金属またはこれらの合金で形成されることができるが、通常の導電性材質であれば制限なく採用することができる。
【0026】
第1及び第2コイル132、134のそれぞれは、コイル支持層120の一面と他面のそれぞれにめっき(plating)工程によるめっき層として形成されることができる。これは電子部品の薄膜化の観点において有利である。
【0027】
ビアは、コイル支持層120の厚さ方向に沿ってビアが形成されると予定される領域をパンチング(punching)またはドリリング(drilling)してビアホール124を形成し、このビアホール124の内部に導電性物質を充填して形成されることができる。例えば、ビアは、めっき工程によって導電性物質がめっきされためっき層で形成されるか、または導電性ペーストが充填されてから焼成された導体膜などで形成されることができる。
【0028】
上記コイル支持層120は、板状のPCB(Printed Circuit Board)基板で製作されることができるが、必ずしもこれに限定されず、通常の公知の材質を採用することができる。
【0029】
図3及び
図4に示されているように、コイル支持層120は、コイル130の内側の中央部に形成された貫通孔122、第1及び第2コイル132、134の他端に対応して形成されたビアホール124に充填されたビア(図示せず)、及び角部に形成された面取り部126を含み、この貫通孔122と面取り部126によって磁路を確保することができる。
【0030】
一方、
図4には面取り部126がすべての角部に形成されるように示されているが、少なくとも一つの角部に形成されていれば問題ない。また、面取り部126は、場合に応じて、
図3のように省略されることができる。
【0031】
また、
図2に示されているように、コイル130は本体110内に備えられた埋め込み部材140によって埋め込まれる。上記埋め込み部材140は、絶縁膜142及び磁性複合材層144を含んで構成される。
【0032】
絶縁膜142は、第1及び第2コイル132、134のそれぞれにおいて導線間のショート(short)を防止し、第1及び第2コイル132、134とカバー部150を絶縁させるためのもので、第1及び第2コイル132、134の表面を覆うように形成されることができる。
【0033】
このような絶縁膜142は、絶縁特性を有する材料で形成され、例えば、ポリマーなどを用いることができるが、必ずしもこれに限定されない。
【0034】
磁性複合材層144は、上下で積層されたカバー部150の間の空き空間に充填され、少なくともコイル支持層120の貫通孔122(
図3参照)に対応する領域を含んでコイル130の全部または一部を覆うように形成されることができる。
図2にはコイル130の一部を覆うようにコイル130の高さまで最小限に形成された磁性複合材層144が示されている。
【0035】
磁性複合材層144は、磁性金属粉末144aとバインダー144bの複合材で形成されることができ、高い充填率のために、球(sphere)形の磁性金属粉末144aを含むことが好ましい。
【0036】
このような磁性金属粉末144aは、磁性材料、例えば、Fe、Fe−Ni系合金、Fe−Si系合金、Fe−Si−Al系合金、Fe−Cr−Si系合金、Fe系アモルファス合金、Fe系ナノ結晶性合金、Co系アモルファス合金、Fe−Co系合金、Fe−N系合金、MnZn系フェライト、NiZn系フェライトなどから選択された1種以上で形成されることができる。
【0037】
このように、磁性金属粉末144aを含有した磁性複合材層144は、磁心として大きい磁束密度を有するため磁気飽和が困難になり、大きいバイアス磁界を印加することができることから、DC−DCコンバータの高出力電流化に寄与することができ、その効果が顕著である。
【0038】
また、磁性複合材層144は、粗粒と微粒の平均粒度が互いに異なる2種以上の磁性金属粉末144aが混合されて構成されることが好ましい。これは磁性複合材層144内の磁性金属粉末144aの充填密度を高めて透磁率を増加させるためである。
【0039】
この場合、透磁率は、磁性金属粉末144a間のサイズの差異が大きいほどその値が高いが、磁性金属粉末144aの小さいサイズの平均粒度が1.0μm以上であることが透磁率の向上という側面においてより有利である。これは、バインダー144bによって磁性金属粉末144a同士が接合されるが、磁性金属粉末144aのサイズが小さくて表面積が過度に増加すると、バインダー144bが原因で磁性金属粉末144aの充填密度を高めることができないためである。
【0040】
一方、バインダー144bは、ポリマー、例えば、エポキシ(epoxy)樹脂などを用いることができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0041】
このような構成を有する磁性複合材層144は、平均粒度が互いに異なる2種以上の球形の磁性金属粉末144a、及びエポキシ樹脂などのバインダー144bを有機溶剤に含有した磁性ペーストを製造した後、この磁性ペーストが少なくともコイル支持層120の貫通孔122(
図3参照)に対応する領域を含んでコイル130の全部または一部を覆うように塗布し、その後、塗布された磁性ペースト膜を硬化する過程を経て製造されることができる。
【0042】
図2に示されているように、本体110の構成のうち、カバー部150はコイル130を埋め込む埋め込み部材140上に形成される。
【0043】
カバー部150は、コイル130を中心にコイル130の上下部に位置して、コイル130の電気的特性が低下することを防止する。
【0044】
本実施例において、カバー部150は、磁性材料である複数の金属薄板152、及び互いに隣接した金属薄板152を接合させる接合部材154で構成された金属薄板接合構造体で形成される。
【0045】
一般に、磁気素子のうちインダクタは、磁性金属粉末とポリマーの複合材でカバー部が形成されていた。これは、磁性金属粉末はフェライト(ferrite)に比べて飽和磁化が大きくて高い磁束密度を有するため、下記数学式1によって高電流化に対応することができるためである。
【0046】
【数1】
(ここで、Lはインダクタの容量、Bは磁束密度、Aは磁束が通過する面積、Nはコイルの巻線数、Iは電流量を意味する。)
【0047】
最近は、パワーインダクタの製品群で求められる高効率特性、高電流における高直流重畳特性(High DC−bias)、及び小型化などを満たすためには、磁性金属粉末の透磁率をさらに増加させなければならない状況である。しかし、粉末状態の磁性金属材料では限界に達した状況である。
【0048】
本出願人は多様な素材や材料組成などに対する調査を行った結果、磁性金属材料の透磁率はバルク金属(bulk metal)を適用しなければ向上しないことで結論づけた。
【0049】
したがって、本発明は、パワーインダクタ100のカバー部150を構成する磁性金属素材を従来の粉末型からバルク金属を分割した薄板型に変更した。その具体的な適用例及び効果は以下で具体的に詳述する。
【0050】
バルク金属のように金属素材のサイズが増加すると、うず電流損(eddy current loss)の増加に伴い、エネルギー効率の低下及び磁性特性の低下という問題を起こす。
【0051】
上記のような問題点を解決するために、本実施例のカバー部150は、バルク金属を薄い厚さに分割した板状の金属薄板152を適用した。本実施例において、金属薄板152の厚さとは、
図5を基準に、互いに隣接した接合部材154間の距離を意味する。
【0052】
このような金属薄板152は、結晶質、非晶質、及び熱処理を通じてナノサイズ(nano size)の結晶相で生成されたナノ結晶質などから選択された1種を単独で適用して形成されたり、これらから選択された2種以上の混合物で形成されることができる。
【0053】
このとき、金属薄板152の合金組成は、Fe−Si−Cr、Fe−Si、Fe−Si−Cr−B、Fe−Si−B−P−Cu−Nbなどの2成分系以上の合金であることができる。
【0054】
非晶質及びナノ結晶質素材は、熱処理を通じて透磁率特性及び損失特性を改善させることができることを特徴とする。熱処理する場合は、金属薄板152に接着剤を塗布する前に熱処理を行うことが好ましく、熱処理過程において金属の酸化を防止するために不活性ガス雰囲気で熱処理する必要がある。
【0055】
特に、ナノ結晶質素材の場合、熱処理を通じて結晶ピーク(peak)の生成をXRD分析で確認することができ、TEMなどの分析から20nm以下のサイズの結晶粒の生成が確認された。
【0056】
非晶質の場合は、結晶質に比べて透磁率の改善に有利であるが、非晶質化のための鉄(Fe)含量の減少及び非磁性成分の含量の増加により、飽和磁化が低くなるため、バイアス(bias)の改善においては鉄(Fe)含量が高い結晶質が優れた特性を有する。したがって、透磁率とバイアス(bias)の特性を調節するにあたり、結晶質と非晶質を混合適用して磁性素子の特性改善により柔軟に対処することが好ましい。
【0057】
バイアス(Bias)特性の改善に重点を置くと、金属薄板152を結晶質素材だけで適用することがより好ましく、この場合、Fe−6.5wt%Siの合金を用いることが好ましい。Fe−6.5wt%Siの合金は、磁歪特性に優れていることで知られており、材料の損失特性を改善させることができるという効果がある。但し、Siの含量が6.5wt%以下に減少すると、損失特性の低下が発生する可能性があるため好ましくない。
【0058】
また、金属薄板152は、うず電流損(eddy current loss)の改善を目的に、より薄い厚さで形成されることが好ましく、例えば、20μm以下に製作されることができる。
【0059】
金属薄板152は、Fe−Si−Cr、Fe−Si、Fe−Si−Cr−B、Fe−Si−B−P−Cu−Nbなどの合金組成を有する結晶質、非晶質、ナノ結晶質などから選択された1種以上の溶融物から板状(Plate shape)に加工されることができる。
【0060】
図5に示されているように、金属薄板152は長方形形状であってよい。このような長方形形状を有する複数の金属薄板152は、接合部材154によって多層で接合されて金属薄板接合構造体であるカバー部150として形成される。
【0061】
互いに隣接した金属薄板152を接合させる接合部材154は、絶縁材、例えば、単一の有機物、または無機と有機の複合物を用いることができる。このとき、有機物は、熱硬化性エポキシ樹脂やエナメル(enamel)などを挙げることができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0062】
図5の構成を有するカバー部150は、
図2に示されているように、複数の金属薄板152が本体110の長さ方向に配列される。即ち、複数の金属薄板152は、コイル130の上面に対して垂直に配列される。
【0063】
この場合、金属薄板152は、コイル130によって発生する磁場の方向と平行な方向に配列される。
【0064】
図6に示されているように、金属薄板152は、
図5に示された金属薄板152の長さ方向に、更なるうず電流損(eddy current loss)の改善及びQ特性の改善を目的に、垂直な方向に少なくとも一つ以上の切断面が形成されて金属薄板接合構造体が全体的に格子形状を成すことができる。
【0065】
この場合、金属薄板152は、コイル130によって発生する磁場の方向と平行な方向と垂直な方向とをすべて含んで配列される。
【0066】
一方、格子形状の金属薄板152の切断面の間には絶縁材である接合部材154が充填される。
【0067】
図5とは異なり、
図7に示されているように、複数の金属薄板152が本体110の幅方向に配列されることができる。この場合も、複数の金属薄板152は、コイル130の上面に対して垂直に配列される。
【0068】
また、
図7において、互いに隣接した金属薄板152は、接合部材154によって接合されて金属薄板接合構造体であるカバー部150として形成される。
【0069】
図5から
図7では、接合部材154の厚さはできる限り薄く形成されることが透磁率を増加させ、直流重畳特性(DC−bias)を改善させるのに有利であるため、5μm以下に形成されることが好ましい。但し、設計的な要因により、金属薄板接合構造体で金属薄板152の体積が減少する場合、接合部材154の厚さを5μm以上に形成することも考慮することができる。
【0070】
また、カバー部150内の金属薄板152及び接合部材154の個数や厚さなどの制御による透磁率及び直流重畳特性(DC−bias)の向上の観点において、カバー部150内の金属薄板152の充填率は80%以上、80%〜95%を維持することが好ましい。
【0071】
このとき、金属薄板152の充填率が80%未満である場合、磁性体の含量が少なすぎて高透磁率及び高直流重畳特性(high DC−bias)を実現することが困難になる可能性があり、反対に95%を超過すると、接合力の低下で形状を維持することが困難になるおそれがある。
【0072】
一般的な薄膜PIの場合、金属粉末とエポキシのような硬化用部材の複合材(composite)で構成されて、PIの実現時に金属素材の充填率が80%以上達成していることから、本発明が金属薄板を適用した場合も、従来の薄膜PI水準の金属充填率80%以上の金属体積を確保しなければ特性改善の効果が確保されないためである。
【0073】
再び、
図1及び
図2を参照すると、パワーインダクタ100の構成のうち、外部電極160は本体110の両端部に一対が形成される。
【0074】
一対の外部電極160のうち一方はコイル支持層120の一端部に引き出された第1コイル132と連結され、他方はコイル支持層120の他端部に引き出された第2コイル134と連結される。即ち、外部電極160は、コイル130と外部回路を電気的に連結する外部端子の役割を行う。
【0075】
外部電極160は、通常の導電性材質であれば制限なく採用されることができ、一例として、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)などから選択された1種の金属またはこれらの合金で形成されることができる。
【0076】
外部電極160は、ディッピング(Dipping)方式などを用いて本体110の両端部を覆うようにめっきした後、700℃〜900℃程度の温度で焼成過程を経て形成されることができる。
【0077】
一方、
図8は
図1をI−I'線に沿って切り取った断面図の他の一例であり、
図9は
図8のコイルとコイル支持層の分解斜視図であり、
図10は
図8のコイル支持層の他の一例を示す斜視図である。
【0078】
図8の実施例において、上述の
図2の実施例と同一の構成要素に対しては同一の図面符号を付与し、同一の構成要素と重複する説明を省略し、差異点だけについて説明する。
【0079】
図8に示された実施例は、コイル支持層120が中央部に貫通孔を含まないこと、及び貫通孔を含まないことによって磁性複合材層144の形成位置が異なることが
図2に示された実施例と相違するだけで、残りの構成は同一である。
【0080】
図8から
図10に示されているように、他の実施例のパワーインダクタ100'において、コイル支持層120は、第1及び第2コイル132、134の他端に対応して形成されたビアホール124に充填されたビア(図示せず)、及び角部に形成された面取り部126を含み、この面取り部126によって磁路を確保することができる。
【0081】
このとき、コイル支持層120は、バイアス(bias)の特性を改善させるためのギャップ(gap)の役割を目的に、中央部に貫通孔を含まない。
【0082】
このときも、
図10の角部に示された面取り部126は、少なくとも一つの角部に形成されていれば問題なく、場合に応じて、
図9のように省略されることができる。
【0083】
このように、コイル支持層120が中央部に貫通孔を含まない場合、磁性複合材層144はコイル支持層120を中心に上下部に配置される。
【0084】
一方、
図11は
図7のカバー部を適用したパワーインダクタの断面図の一例である。
【0085】
図11の実施例において上述の
図8の実施例と同一の構成要素に対しては同一の図面符号を付与し、同一の構成要素と重複する説明を省略し、差異点だけについて説明する。
【0086】
図11に示された実施例のパワーインダクタ100"では、
図7のカバー部150が適用されて金属薄板152が本体110の幅方向に配列されることが
図8に示された実施例と異なるだけで、残りの構成は同一である。このように、金属薄板152の長さ方向に限って切断面を有する場合も損失特性の更なる改善を期待することができる。
【0087】
また、図面に示されてはいないが、コイル支持層120は、
図2の実施例のように
図4の貫通孔122または面取り部126を含むことはもちろんである。
【0088】
図12は
図8のパワーインダクタへの電流印加時にカバー部に形成された磁場方向の模式図である。
【0089】
上記のような構成により、
図12のコイル130に電流が流れると、コイル130によって発生する磁場の方向(P)に対して金属薄板152が垂直に位置するようになり、金属薄板152内の自由電子が磁場の影響で回転する電流の流れをもたらしてうず電流損が発生する可能性がある。
【0090】
しかし、
図12では、金属薄板152を通じて金属のサイズが小さくなるため、うず電流損の減少を誘導して損失特性を改善させることができる。
【0091】
このように構成された本実施例のパワーインダクタ100、100'、100"は、飽和磁化が大きい金属磁性素材を適用することによる直流重畳特性の高電流化に対応することができ、同時に粉末形態ではない形状異方性を活用した薄板形態のバルク金属を適用して透磁率の増加を実現することにより、直流重畳特性(DC−bias)の改善、コイルのターン(coil turn)数の減少によるDC抵抗(Rdc)特性の改善、及び電子部品の小型化に対するニーズに応えることができるようになる。
【0092】
1.試片の製造
実施例
厚さ20μmのナノ結晶質系合金の金属薄板をエポキシで絶縁し巻線して製作したコアを熱硬化した。
【0093】
比較例
金属粉末とエポキシの複合構成によってドーナツ形状のコア試片を圧着モールドで成形して製作した後、熱硬化してそれぞれのコア試片に対して絶縁被覆された銅導線を10回巻線した。
【0094】
2.物性の評価
実施例及び比較例による複合体の透磁率(μ')及び損失(Q=μ'/μ")値を以下の表1に示した。このとき、実施例及び比較例の巻線された二つのコア試片はE4982A LCRメーター(meter)でインダクタンスを測定して透磁率を比較した。
【0096】
表1を参照すると、本発明の実施例による金属薄板で製作されたコアから、比較例の金属粉末で製作されたコアに比べて遥かに高い透磁率が得られることが確認できた。
【0097】
また、本発明の実施例の透磁率が比較例に比べて1MHzを基準に20倍以上高いため、同一のコイルのターン数で容量が増加する。したがって、実施例の場合、設計容量に合わせるためにコイルのターン数を減少させる必要があり、これにより、コイルのRdc減少によって損失特性も改善させることができるようになる。
【0098】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有するものには明らかである。