特開2016-144311(P2016-144311A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本車輌製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2016144311-発電機の冷却構造 図000003
  • 特開2016144311-発電機の冷却構造 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-144311(P2016-144311A)
(43)【公開日】2016年8月8日
(54)【発明の名称】発電機の冷却構造
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/20 20060101AFI20160711BHJP
   H02K 9/06 20060101ALI20160711BHJP
【FI】
   H02K5/20
   H02K9/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-18701(P2015-18701)
(22)【出願日】2015年2月2日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 英樹
(72)【発明者】
【氏名】櫻木 勇人
【テーマコード(参考)】
5H605
5H609
【Fターム(参考)】
5H605AA01
5H605BB01
5H605BB10
5H605CC01
5H605CC02
5H605DD07
5H605DD11
5H605DD31
5H609BB01
5H609BB18
5H609PP02
5H609PP06
5H609PP09
5H609QQ02
5H609QQ11
5H609RR02
(57)【要約】
【課題】冷却風の逆流を防止して通風量の増加を図るとともに、アーマチャコイルを十分に冷却できる発電機の冷却構造を提供する。
【解決手段】ケーシング11の内部に、シャフト12と一体に回転する冷却ファン18、ロータコア16及びエキサイタロータコア17と、ケーシングに固定されてロータコアの外周に配置されるステータコア22及びエキサイタロータコアの外周に配置されるエキサイタステータコア23とを収納するとともに、ケーシングの一端にケーシング内に冷却風を導入する吸気口27,28を、ケーシングの他端外周に冷却風を導出する排気口26をそれぞれ設けた発電機の冷却構造において、ケーシングの内周に、冷却ファンとロータコアとの間に向けて突出するリング状の整風部材31を設けるとともに、整風部材の内径Aを、ロータコアの外径Bより大きく、かつ、冷却ファンの外径Cより小さく設定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形のケーシングの内部に、該ケーシングの一端に取り付けられたエンドブラケットに回転可能に設けられたシャフトと、該シャフトと一体に回転する冷却ファン、ロータコア及びエキサイタロータコアと、前記ケーシングに固定されて前記ロータコアの外周に配置されるステータコア及び前記エキサイタロータコアの外周に配置されるエキサイタステータコアとを収納するとともに、前記ケーシングの一端にケーシング内に冷却風を導入する吸気口を、前記ケーシングの他端外周に冷却風を導出する排気口をそれぞれ設けた発電機の冷却構造において、前記ケーシングの内周に、前記冷却ファンと前記ロータコアとの間に向けて突出するリング状の整風部材を設けるとともに、該整風部材の内径を、前記ロータコアの外径より大きく、かつ、前記冷却ファンの外径より小さく設定したことを特徴とする発電機の冷却構造。
【請求項2】
前記整風部材の内径を、前記ステータコアのアーマチャコイルの外径より小さく設定したことを特徴とする請求項1記載の発電機の冷却構造。
【請求項3】
前記整風部材は、前記冷却ファン側の面が半径方向線と平行な平面に形成され、前記ロータコア側の面は、外周側に対して内周側が前記冷却ファン側に向かって傾斜した傾斜面で形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の発電機の冷却構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電機の冷却構造に関し、詳しくは、ブラシレス同期発電機の冷却ファン側の冷却効果の向上を図れる発電機の冷却構造に関する。
【背景技術】
【0002】
同期発電機は、ケーシングの内部に、シャフトと一体に回転するロータと、該ロータの外周に配置されるステータとを設け、ロータのフィールドコイルに直流の界磁電流を供給しながらロータを回転させることにより、ステータのアーマチャコイルに交流電圧を発生させる。また、前記シャフトには、フィールドコイルやアーマチャコイルの温度上昇を抑制するための冷却風をケーシングの内部に流通させるための冷却ファンが設けられており、ケーシングの両端部には、冷却風の吸気口及び排気口がそれぞれ設けられている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−143366号公報(第6頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の同期発電機におけるケーシング内の流体解析を行ったところ、吸気口から吸い込まれて冷却ファンに吸引される冷却風の一部が排気口から排気されずにケーシング内に逆流し、吸気の抵抗となって通風量を減少させるとともに、アーマチャコイルの冷却ファン側コイルエンドの冷却を十分に行えないことが判明した。
【0005】
そこで本発明は、冷却ファンで吸引した冷却風の逆流を防止し、通風量の増加を図るとともに、アーマチャコイルの冷却ファン側コイルエンドを十分に冷却することができる発電機の冷却構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の発電機の冷却構造は、円筒形のケーシングの内部に、該ケーシングの一端に取り付けられたエンドブラケットに回転可能に設けられたシャフトと、該シャフトと一体に回転する冷却ファン、ロータコア及びエキサイタロータコアと、前記ケーシングに固定されて前記ロータコアの外周に配置されるステータコア及び前記エキサイタロータコアの外周に配置されるエキサイタステータコアとを収納するとともに、前記ケーシングの一端にケーシング内に冷却風を導入する吸気口を、前記ケーシングの他端外周に冷却風を導出する排気口をそれぞれ設けた発電機の冷却構造において、前記ケーシングの内周に、前記冷却ファンと前記ロータコアとの間に向けて突出するリング状の整風部材を設けるとともに、該整風部材の内径を、前記ロータコアの外径より大きく、かつ、前記冷却ファンの外径より小さく設定したことを特徴としている。
【0007】
さらに、本発明の発電機の冷却構造は、前記整風部材の内径を、前記ステータコアのアーマチャコイルの外径より小さく設定したこと、また、前記整風部材は、前記冷却ファン側の面が半径方向線と平行な平面に形成され、前記ロータコア側の面は、外周側に対して内周側が前記冷却ファン側に向かって傾斜した傾斜面で形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の発電機の冷却構造によれば、吸気口から吸い込まれてステータコアの外周を流れてきた冷却風を、整風部材によって内周側にガイドすることができるとともに、冷却ファンから外周の排気口に向かう冷却風がケーシング内部に逆流することを防止できる。これにより、通風量の増加を図れるとともに、アーマチャコイルの冷却ファン側コイルエンドを効果的に冷却することができる。
【0009】
特に、整風部材の内径をステータコアの外径より小さくすることにより、アーマチャコイルの冷却ファン側コイルエンドの冷却効果をより向上させることができる。また、整風部材の冷却ファン側を平面とし、ロータコア側を傾斜面とすることにより、ケーシングを鋳物で形成するときの抜き勾配を確保できるとともに、冷却ファン側の流路幅を一定にして冷却ファンによる排気効率を向上でき、ロータコア側の冷却風の流れをスムーズにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の発電機の冷却構造の一形態例を示す断面図である。
図2図1のII−II断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本形態例に示す発電機は、一般にブラシレス同期発電機と呼ばれるもので、円筒形のケーシング11の内部でシャフト12と一体に回転するロータ13と、該ロータ13の外周でケーシング11の内部に固定されたステータ14とを備えている。前記シャフト12の一端は、ケーシング11の一端に取り付けられたエンドブラケット15の中心に回転可能に保持されており、シャフト12の他端は、ケーシング11から突出してエンジンのフライホイール(図示せず)に連結されている。
【0012】
前記ロータ13としては、シャフト12の軸線方向中央部に設けられるロータコア16と、シャフト12の一端側であるエンドブラケット15側に設けられるエキサイタロータコア17とが設けられており、さらに、シャフト12の他端側には、ケーシング11内の空気を吸引して排気するための冷却ファン18が設けられている。ロータコア16にはフィールドコイル19が組み付けられており、エキサイタロータコア17にはエキサイタアーマチャコイル20及び整流器21が組み付けられている。
【0013】
前記ステータ14としては、前記ロータコア16の外周に配置されるステータコア22と、前記エキサイタロータコア17の外周に配置されるエキサイタステータコア23とが設けられており、ステータコア22にはアーマチャコイル24が組み付けられ、エキサイタステータコア23にはエキサイタフィールドコイル25が組み付けられている。
【0014】
ケーシング11の他端部で前記冷却ファン18の外周部には、冷却ファン18からの排気を外部に排出する複数の排気口26が周方向の複数箇所に設けられている。また、ケーシング11の一端側には、ケーシング11内に冷却風を導入する吸気口として、エンドブラケット15に設けられた第1吸気口27と、ケーシング11の周壁のエキサイタステータコア23の外周側に設けられた第2吸気口28とが設けられている。排気口26や第2吸気口28の外側には、ケーシング11内への異物の侵入を防止するためのガードネット29がそれぞれ設けられている。
【0015】
そして、ケーシング11の内周には、前記冷却ファン18と前記ロータコア16及びステータコア22との間に向けて突出するリング状の整風部材31が設けられている。この整風部材31は、内径Aが前記ロータコア16の外径Bより大きく、かつ、前記冷却ファン18の外径(ファンブレードの外端を通る円の径)Cより小さく、好ましくは、前記アーマチャコイル24の外径Dより小さく設定されている。
【0016】
このような整風部材31を設けることにより、ケーシング一端側の各吸気口27,28からケーシング11内に流入した冷却風Wは、整風部材31によってケーシング11の内周側にガイドされて冷却ファン18に吸い込まれる状態になるとともに、冷却ファン18の外周部からケーシング11の内部に逆流することを防止でき、冷却風Wの全量を排気口26から排出することができる。
【0017】
これにより、冷却風Wの通風量の増加を図れるとともに、アーマチャコイル24の冷却ファン側コイルエンドを効果的に冷却することができる。特に、整風部材31の内径Aをアーマチャコイル24の外径Dより小さく設定することにより、アーマチャコイル24の冷却ファン側コイルエンドをより確実に冷却することができ、コイル導線の焼き切れや絶縁破壊の発生を防止できる。
【0018】
また、ロータコア16の外側を整風部材31が通過できるように、整風部材31の内径Aをロータコア16の外径Bより大きく設定しているので、ロータ13をエンジンに結合した後に、ステータ14を組み込んだケーシング11を組み付けることができ、発電機とエンジンとの組付作業を従来と同様にして行うことが可能となる。
【0019】
さらに、前記整風部材31における冷却ファン側の面31aを半径方向線と平行な平面で形成し、ロータコア側の面31bは、外周側に対して内周側が冷却ファン側に向かって傾斜した傾斜面で形成され、冷却ファン側の面31aに対してロータコア側の面31bが角度Eを有しており、先端内周側に向かって薄肉になるように形成されている。
【0020】
このように整風部材31の先端側を薄肉にすることにより、ケーシング11を鋳造にて形成する際の抜き勾配を確保できるとともに、冷却ファン側の流路幅を一定にして冷却ファン18による排気効率を向上でき、ロータコア側の冷却風Wの流れをスムーズにして整風作用を向上させることができる。
【符号の説明】
【0021】
11…ケーシング、12…シャフト、13…ロータ、14…ステータ、15…エンドブラケット、16…ロータコア、17…エキサイタロータコア、18…冷却ファン、19…フィールドコイル、20…エキサイタアーマチャコイル、21…整流器、22…ステータコア、23…エキサイタステータコア、24…アーマチャコイル、25…エキサイタフィールドコイル、26…排気口、27…第1吸気口、28…第2吸気口、29…ガードネット、31…整風部材、31a…冷却ファン側の面、31b…ロータコア側の面、W…冷却風
図1
図2