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特開2016-146336電気スイッチングデバイスのための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-146336(P2016-146336A)
(43)【公開日】2016年8月12日
(54)【発明の名称】電気スイッチングデバイスのための装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/24 20060101AFI20160715BHJP
   H01H 50/58 20060101ALI20160715BHJP
【FI】
   H01H50/24 E
   H01H50/58 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-13443(P2016-13443)
(22)【出願日】2016年1月27日
(31)【優先権主張番号】10 2015 201 700.1
(32)【優先日】2015年1月30日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】10 2015 208 134.6
(32)【優先日】2015年4月30日
(33)【優先権主張国】DE
(71)【出願人】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(71)【出願人】
【識別番号】516028495
【氏名又は名称】タイコ エレクトロニクス コンポーネンテス エレクトロメカニコス エリデーアー
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】カトリン シェートラー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ヘンドラー
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴエ クラーマー
(72)【発明者】
【氏名】ティトゥス ツィーグラー
(72)【発明者】
【氏名】ハリー コッホ
(72)【発明者】
【氏名】ベルント ラーン
(72)【発明者】
【氏名】ルイス サンドヴァル
(72)【発明者】
【氏名】ペドロ シルヴァ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】静かなスイッチングが可能な電気スイッチングデバイスのための装置を提供する。
【解決手段】第1のスイッチング位置から第2のスイッチング位置200へ移動可能な少なくとも1つのスイッチングユニット3を備える、電気スイッチングデバイスのための、特にリレーのための装置1であって、少なくとも前記第2のスイッチング位置200において、前記第1のスイッチング位置に向かい且つ前記スイッチングユニット3に作用する復帰力60を発揮する復帰要素6を有し、且つ前記スイッチングユニット3に作用する反力70を発揮する戻しばね7を有し、前記反力70および復帰力60は、前記第1のスイッチング位置において互いに打ち消し合い、前記戻しばね7の締結箇所8は、前記スイッチングユニット3とともに移動可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のスイッチング位置(100)から第2のスイッチング位置(200)へ移動可能な少なくとも1つのスイッチングユニット(3)を備える、電気スイッチングデバイスのための、特にリレーのための装置(1)であって、
少なくとも前記第2のスイッチング位置(200)において、前記第1のスイッチング位置(100)に向かい且つ前記スイッチングユニット(3)に作用する復帰力(60)を発揮する復帰要素(6)を有し、且つ
前記スイッチングユニット(3)に作用する反力(70)を発揮する戻しばね(7)を有し、
前記反力(70)および復帰力(60)は、前記第1のスイッチング位置(100)において互いに打ち消し合い、
前記戻しばね(7)の前記締結箇所(8)は、前記スイッチングユニット(3)とともに移動可能である装置(1)。
【請求項2】
前記戻しばね(7)は、前記スイッチングユニット(3)に締結される、
請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記スイッチングユニット(3)は、アーマチュア(9)および/又はコンタクトばねを含む、
請求項1又は2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記戻しばね(7)は、前記コンタクトばね(5)と同じ側で突出する、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記コンタクトばね(5)および/又は前記戻しばね(7)および/又は前記復帰要素(6)は、ばね要素(10)の一部である、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記コンタクトばね(5)および戻しばね(7)は、平行な突出部(52又は72)を有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記戻しばね(7)は、前記コンタクトばね(5)よりも小さなばね定数を有する、
請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記第1のスイッチング位置(100)における前記装置(1)から離れている、
請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記戻しばね(7)は、予め張力が掛けられている、
請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記戻しばね(7)は、前記コンタクトばね(5)上に配置される、
請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気スイッチングデバイスのための装置、特にリレーのための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかるスイッチングデバイスは、先行技術から知られており、通常、第1のスイッチング位置から第2のスイッチング位置へと移動可能な少なくとも1つのスイッチングユニットを有する。さらに、これらのスイッチングデバイスは、復帰要素を有する場合が多い。復帰要素は、少なくとも第2のスイッチング位置において、第1のスイッチング位置に向かい且つスイッチングユニットに作用する復帰力を発揮する。かかる復帰要素は、例えば、復帰ばねであってもよい。復帰要素は、第1のスイッチング位置にスイッチングユニットを移動させようとする。この移動は、通常、停止部によって停止される。しかしながら、硬い停止部に当たる衝撃によって大きなノイズが生じるため、かかるスイッチングデバイスは、これまで、かかるノイズが例えば自動車の車内等のユーザに迷惑となる又は当該ユーザの集中を乱す可能性のある環境では使用されてはこなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、前記装置のより静かなスイッチングが可能な課題解決方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、これは、装置が、前記スイッチングユニットに作用する反力を発揮する戻しばねを含み、反力および復帰力が、第1のスイッチング位置において互いに打ち消し合い、戻しばねの締結箇所が、スイッチングユニットと共に移動可能であることによって達成される。
【0005】
前記スイッチングユニットは、スイッチングノイズが回避されるように、又は少なくとも最小に抑えられるように、前記戻しばねによって緩やかにブレーキが掛けられる。
【0006】
本発明に係る課題解決法は、以下の構成およびさらなる発展形態によってさらに改良されることができ、以下の構成およびさらなる発展形態は、何れの場合も、それ自体で有利であり、所望であれば、互いに組み合わされることができる。
【0007】
前記スイッチング位置の少なくとも一方は、開スイッチング位置、即ち、例えば、接続された負荷回路が開放しているスイッチング位置であってもよい。特に、前記第1のスイッチング位置は、開スイッチング位置であってもよい。前記スイッチング位置の一方は、閉スイッチング位置、即ち、例えば、接続された負荷回路が閉じているスイッチング位置であってもよい。特に、前記第2のスイッチング位置は、閉スイッチング位置であってもよい。1つ以上のスイッチング位置、例えば、2つのスイッチング位置、特に全てのスイッチング位置が閉スイッチング位置であってもよい。かかる構成の場合、例えば、様々な負荷回路が、1つのスイッチング位置によって閉じられることができる。
【0008】
有利な一構成では、前記戻しばねは、前記スイッチングユニットに締結される。これにより、単純且つコンパクトな構造が可能になる。
【0009】
さらに有利な一構成では、前記スイッチングユニットは、アーマチュアおよび/又はコンタクトばねを含む。アーマチュアは、スイッチング力が掛かる要素であってもよい。例えば、アーマチュアは、電流が印加されると電磁石によって引き付けられる磁気要素であってもよい。コンタクトばねは、例えば、負荷回路をしっかりと閉じるため、および/又は規定の領域に前記スイッチングユニットの位置を固定するために、製造的な理由で生じる寸法に関する小さなずれがあっても、十分な接触力を印加するように機能することができる。
【0010】
前記戻しばねは、前記コンタクトばねと同じ側で突出することができる。前記戻しばねは、前記コンタクトばねと同じ側で支持されることができる。これにより、力の分布が良好な単純且つコンパクトな構造が可能になる。
【0011】
前記戻しばねは、前記コンタクトばね上に配置されることができる。前記戻しばねは、I字形、C字形、U字形、L字形又は蛇行形状にて前記コンタクトばねに連結されることができる。かかる構成は、前記戻しばねが、前記第1のスイッチング状態、例えばスイッチオフ即ち係合解除中において、前記コンタクトばねを減衰し、前記コンタクトばねの高周波数のウィーンというノイズを抑制するという利点を有する。従って、前記コンタクトばねとの前記戻しばねの一体化により、前記戻しばねは、前記コンタクトばねのための減衰要素として追加の機能を得る。これは、前記連結が前記コンタクトの近くに位置する場合に特に効果的である。
【0012】
前記スイッチングユニットは、折り畳み機構を備えることができる。かかる折り畳み機構は、片側にベアリング又はジョイントを含むことができる。前記少なくとも2つのスイッチング位置には、傾斜又は折り畳みによって到達することができる。
【0013】
前記コンタクトばねおよび/又は前記戻しばねおよび/又は前記復帰要素は、何れの場合も板ばねとして構成されることができる。かかる構成は、コンパクトであり製造が容易である。
【0014】
前記コンタクトばねおよび/又は前記戻しばねおよび/又は前記復帰要素は、何れの場合も、対になることができ、又は3つが全て互いに一つになることができる。前記コンタクトばねおよび/又は前記戻しばねおよび/又は前記復帰要素は、ばね要素の一部であってもよい。かかる構造は、特にコンパクト且つ単純である。特に、幾つかの機能が一つの要素にまとめられることができる。ここでは任意の所望の組み合わせが可能である。全ての3つの要素、即ち、コンパクトばねおよび戻しばねおよび復帰要素は、単一のばね要素の一部であると有利である。ばね要素は、例えば、金属板からのパンチング、スタンピング、および/又はベンディングによって形成されることができる。前記コンタクトばねは、および/又は戻しばねおよび/又は前記復帰要素は、板ばねの形を取ることができる。
【0015】
特に、前記復帰要素は、効果的な復帰機構を備える単純な構造を可能にするために、ばね隆起部即ちばねコイルを備えて構成されることができる。良好な力の伝達を可能にする特に単純且つ省スペースな一構造では、前記コンタクトばねおよび前記戻しばねは、平行な突出部を有する。
【0016】
確実な接触を可能にするために、前記戻しばねは、前記コンタクトばねよりも低いばね定数を有することができる。例えば、特に、板ばねとしての構成の場合、前記戻しばねは、より小さな幅又は厚みを有することができ、又はより長い突出部ひいてはより長いレバーアームを有することができる。前記戻しばねは、前記弾性作用の長さを増大するために、L字形、S字形にすることもでき、又は蛇行形状を有するようにすることもできる。前記戻しばねは、異なる材料から製造されることができ、又は特定の加工ステップによってより高い可撓性を持たせることができる。
【0017】
前記戻しばねおよびコンタクトばねは、特にコンパクトで且つ製造が容易な構成を可能にするために、共通の平面内に延在することができる。
【0018】
前記戻しばねは、さらなる屈曲の結果として、例えばZ字形のオフセットの結果として、前記コンタクトばねが存在する平面の外側に突出することもできる。特に、前記戻しばねの一部は、単純な構造を可能にするために、前記平面と平行に存在することができる。
【0019】
前記電気スイッチングデバイスはリレーとすることができる。リレーは、特に、例えばコイル状の電磁石を含むことができる。前記電磁石は、例えば、電流が印加されると前記スイッチングユニットを前記第1又は第2のスイッチング状態に移動させるために前記スイッチングユニットを起動するように構成されることができる。前記電磁石において電流が存在しない場合、前記スイッチングユニットは、特に前記復帰要素によって、他方のスイッチング状態に自動的に引っ張られることができる。当該装置は、前記スイッチングユニットを制御する負荷回路を含むことができる。当該装置は、前記スイッチングユニットによって切り替えられる、例えば、開放および閉鎖される、又は異なるスイッチング状態に移動される負荷回路をさらに含むことができる。
【0020】
前記第1のスイッチング状態では、当該装置は、停止部から離れていることができる。従って、前記スイッチングユニットは、停止部に当接せず、むしろ、弾性平衡状態で保持される。その結果、前記第1のスイッチング状態への移動の際に、ノイズの発生が防止又は最小化されることができる。従って、反力と復帰力との間の力の均衡が整う。さらに、スイッチング力等の外力、特に磁力は、第1のスイッチング状態において存在することができない。
【0021】
前記第2のスイッチング状態でも、当該装置は、前記第2のスイッチング状態への移動際にもノイズの発生が低減されるように、停止部から離れていることができる。しかしながら、前記スイッチング状態において、例えば、負荷回路がしっかりと閉じられることを意図する場合、高い接触力による明確な接触が望ましいため、移動を完全には吸収しないが、前記発生ノイズが大きくないように少なくともブレーキを掛ける減衰要素が存在することができる。前記第2のスイッチング状態では、特にスイッチ力等の外力、特に電磁石の磁力は、前記復帰要素の作用と反対に前記第2のスイッチング位置に前記スイッチングデバイスを保持するために前記スイッチングデバイスに作用することができる。
【0022】
前記戻しばねは、前記スイッチングユニットの移動の際にノイズの発生を回避するために予め張力を掛けられていることができる。特に、少なくとも前記第2のスイッチング位置では、前記戻しばねは、支持面即ち停止部に既に当接し、少なくとも小さな反力を生じることができる。その結果、前記戻しばねが、撓みの過程で前記支持面に衝突するだけで発生するノイズが防止される。
【0023】
前記戻しばねおよび/又は前記コンタクトばねおよび/又は前記復帰要素は、何れの場合も、少なくとも前記スイッチングユニットの移動の際に関連する撓み領域において、線形の弾性特性を有することができる。例えば、損傷を回避するために、および/又は前記スイッチングユニットの撓みを小さく抑えるために、漸進的な弾性特性又は異なる弾性特性(低下、累進等)も存在することができる。
【0024】
コンタクトばねは、規定のコンタクト箇所を生じるためにコンタクト要素を含むことができる。
【0025】
本発明を、図面を参照して、有利な構成に基づき、より詳細に、一例として以下に説明する。図示の有利な構成は、独立していてもよく、且つ互いに自由に組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係る装置の概略的な斜視図を示す。
図2】異なる視点における図1の装置の概略的な斜視図を示す。
図3A図1および図2の装置の移動力特性曲線を示す。
図3B図1および図2の装置の移動力特性曲線を示す。
図3C】先行技術の装置の移動力特性曲線との比較における図1および図2の装置の移動力特性曲線、および対応するエネルギーを示す。
図3D】本発明に係るばね要素および磁石駆動システムの特性曲線を示す。
図3E】先行技術のばね要素および磁石駆動システムの特性曲線を示す。
図4】ばね要素のさらなる実施形態の概略的な斜視図を示す。
図5】ばね要素のさらなる実施形態の概略的な斜視図を示す。
図6図4のばね要素の実施形態のさらなる概略的な斜視図を示す。
図7】ばね要素のさらなる実施形態の概略的な斜視図を示す。
図8】ばね要素のさらなる実施形態の概略的な斜視図を示す。
図9】アーマチュアとばね要素のさらなる実施形態の概略的な斜視図を示す。
図10】ばね要素のさらなる実施形態の概略的な斜視図を示す。
図11】ばね要素のさらなる実施形態の概略的な斜視図を示す。
図12】ばね要素のさらなる実施形態の概略的な斜視図を示す。
図13】ばね要素のさらなる実施形態の概略的な斜視図を示す。
図14図10〜13の実施形態によるさらなるノイズ低減を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
電気スイッチングデバイス用の装置1が、図1および図2に示されている。これは、特にリレーを含むことができる。図1および図2における図では、本発明に関係する要素を見ることができるように、一部の要素は示されていない。特に、例えば、電磁石として機能するコイルのコイル本体2は1つしか示されていない。磁界を発生する巻線は示されていない。
【0028】
装置1は、制御回路を用いて負荷回路を制御するように機能する。制御回路は、特にコイルを含む。電流が印加されると、コイルは磁界を生じ、次にスイッチングユニット3を引き付け、その結果、スイッチングユニット3を図1及び図2に示す第2のスイッチング位置200へ移動する。第2のスイッチング位置200では、受容開口4内に嵌合する図示しないコンタクト要素が、負荷回路の同様に図示しない要素と接触する。突出したコンタクトばね5は、十分に高い力で且つ既定の位置で当接するようにコンタクト要素に押し付けられる。
【0029】
復帰要素6は、スイッチングユニット3に対して復帰力60を発揮する。復帰力60は、図1及び図2には示されない第1のスイッチング位置100にスイッチングデバイス3を移動させようとする。
【0030】
装置1は、さらに、スイッチングユニット3に作用する反力70を発揮する戻しばね7を有する。コイルによって生じる磁力が、電流を断つことによって低下すると、復帰要素6は、スイッチングユニット3を第2のスイッチング位置200から第1のスイッチング位置100へ押し出そうとする。スイッチングユニットがその移動の最後に停止部に衝突する場合にノイズを生じることを回避するために、戻しばね7は、スイッチングユニット3の撓みと共に変化し且つ復帰力60に対抗する反力70を生じる。その結果、スイッチングユニット3の移動にブレーキが掛けられる。第1のスイッチング位置100では、復帰力60と反力70は互いに釣り合っているため、力の均衡が整い、スイッチングユニット3は、この力の均衡状態では、停止部から離れて保持される。
【0031】
戻しばね7の締結箇所8は、スイッチングユニット3と共に移動可能である。戻しばね7は、スイッチングユニット3に締結される。戻しばね7は、リベット80を介して保持されて締結される。
【0032】
スイッチングユニット3は、コンタクトばね5およびアーマチュア9を含む。起動したコイルの場合、アーマチュア9はコイルに引き付けられ、その結果、コイルコア20、ヨーク25、およびアーマチュア9を含む磁気回路を閉じる。
【0033】
戻しばね7、コンタクトばね5、および復帰要素6は、ばね要素10の一部である。ばね要素10は、金属板から製造された。この目的のために、金属板は、打ち抜きおよび曲げを施された。ばね要素10は、リベット80およびさらなるリベット81を介してアーマチュア9に締結される。アーマチュア9は、ヨーク25に対して折り畳み可能に締結される。アーマチュア9ひいてはスイッチングユニット3は、折り畳みによって第1のスイッチング位置100から第2のスイッチング位置200へ移動されることができる。
【0034】
復帰要素6は、嵌合状態ではアーマチュア9から離間しているばねコイル65即ちばね隆起部を含む。
【0035】
戻しばね7は、コンタクトばね5よりも低いばね定数を有する。これは、本事例では、幅方向Bに測定されるコンタクトばね5の幅51よりも、幅方向Bに測定される戻しばね7の幅71が小さいために得られる。レバー長さ、即ち、リベット80又は81と、戻しばね7又はコンタクトばね5が支持されるコンタクト箇所との間の間隔は、何れの場合も、略等しい。他の実施形態では、より長いレバーアームによって、即ち、コンタクトばねの場合、レバーアームが戻しばね7の場合よりも短いことによって、より低いばね定数が得られてもよい。弾性長さを増すために、戻しばね7は、図4および図5のように、L字形又は蛇行状とすることもできる。ばねの厚みは異なっていてもよい。さらに、ばねは、異なるように加工されることができ、例えば、より柔らかく又は硬くすることができる。
【0036】
戻しばね7およびコンタクトばね5は、図6のように、共通の平面E内に延在することができるが、戻しばねは、さらなる屈曲の結果として、例えば、図7に示すように、Z字形オフセットの結果、この平面から突出することもできる。
【0037】
コンタクトばね5および戻しばね7は、突出部52又は72を含む。突出部52,72は、単純な構造を可能にするため、および力の流れを単純に保つために、互いに平行に延出する。例えば、結果として、ねじれの発生を低く抑えることができる。コンタクトばね5および戻しばね7は、スイッチングユニットの先端35にて突出する。先端35は、アーマチュア9がヨーク25に連結式に嵌合される基端36の反対側である。戻しばね7およびコンタクトばね5は、同じ側に支持される。コンタクトばね5は、図示しないコンタクト要素を介して負荷回路上に支持される。戻しばね7は、支持面27即ち停止部上に支持される。当該装置は、この同じ側での支持の結果、コンパクトに保たれることができる。
【0038】
戻しばね7は、予め張力を掛けられている。戻しばね7は、支持面27に対して永久的に当接している。特に、ここに示す第2のスイッチング位置200において、戻しばね7は支持面27に当接している。これは、スイッチ移動の際に戻しばね7が支持面27に仮に衝突した場合に発生するノイズを回避するためである。従って、ここに示す第2のスイッチング位置200では、反力70は、僅かな力ではあるが、スイッチングユニット3に既に作用している。
【0039】
スイッチングユニット3が第1のスイッチング位置100の方向に第2のスイッチング位置200から移動される場合、反力70は増大する。この場合、復帰力60は、撓みの増加と同時に減少する。第1のスイッチング位置100では、反力70と復帰力60は、互いに相殺し、スイッチングデバイス3は、力の均衡状態にある。同時に、磁力等のスイッチング力は、第1のスイッチング位置100では作用しない。従って、スイッチングデバイス3は、緩やかに支持され、先行技術のように激しく停止部に衝突しない。従って、ノイズの発生が回避される。
【0040】
特に単純な構成を得るために、支持面27は、コイル本体2上に設置される。コイル本体2は、例えば、射出成形要素であってもよい。複雑な取付処理は、支持面27にコイル本体2が取り付けられていることによって回避される。他の構成では、支持面27は、他の要素上、例えば、外部要素上に配置されてもよい。
【0041】
3Aおよび3Bには、スイッチングユニット3の撓みの場合の移動力特性曲線が示されている。個々の力が図3Aに示され、結果的に生じる合計の力が図3Bに示されている。復帰力60は、第2のスイッチング位置200から第1のスイッチング位置100に向かって減少する。第2のスイッチング位置200の領域では、接触力50とは反対に作用するコンタクトばね5の弾力501も、復帰力60に加えられる。コンタクトばね5は、復帰ばね6よりも高いばね剛性を有するため、移動力特性曲線は、この領域では非常に高い勾配で延びている。この曲線は、ばねによって生じる力がコイルの磁力と等しくなる箇所における縦座標で終わっている。
【0042】
戻しばね7の反力70は、復帰力60に抵抗し、従って、マイナスである。反力70は、第2のスイッチング位置200から第1のスイッチング位置100へ向けて撓みが増加するのと共に大きさが増大する。同時に復帰力60は大きさが減少するため、ある時点で、力の大きさが同じになる点に達するが、先行記号(preceding signs)が異なる。そこでは、反力70と復帰力60の間の力の均衡が整う。第1のスイッチング位置100は、この箇所に位置する。しかしながら、先行技術とは対照的に、ここには停止部が存在しない。従って、当該装置は、第1のスイッチング位置100において停止部から離れている。スイッチングユニット3は、第1のスイッチング位置100にて弾性的に支持されることができる。
【0043】
図3Cでは、一例として、本発明に係るばね要素10の弾性特性曲線300が、先行技術にかかるメークコンタクトリレーの典型的な弾性特性曲線301と比較されている。上部右側には、必要なエネルギーが挿入として示されている。
【0044】
停止部から離れている特性の結果、曲線の下に位置する表面によって示されることができる本発明に係るばね要素10のばねエネルギーE1は、先行技術のばねエネルギーE2と比較して減少する。その結果、本発明の装置とともに使用される磁石駆動システムの特性曲線400は、先行技術の磁石駆動システムの特性曲線401よりも低い応答力を有することが可能である。特性曲線400に係る磁石駆動システムは、このより小さい応答力の結果、例えば、巻線及び鉄の断面に関して、より小さく且つより材料を節約するように構成されることができる。図3Dおよび図3Eでは、ばね力300又は301は、何れの場合も、例えばコイル等の関連する磁石駆動システムの潜在的な特性曲線と共に対になって示されている。
【0045】
図3Dは、本発明に係るばね要素10の弾性特性曲線300の輪郭が、先行技術の弾性特性曲線301および磁石駆動システムの特性曲線401を備える図3Eとは対照的に、磁石駆動システムの典型的な特性曲線400により適応されていることを示す。本発明に係る弾性特性曲線300と図3Dにおける磁石駆動システム特性曲線400との間の過剰なエネルギーE3は、図3Eに係る先行技術の場合における過剰なエネルギーE4よりも低い。その結果、コア20上でのアーマチュア9の停止時のノイズも、先行技術と比較して低減させることができる。
【0046】
ばね要素10のさらなる実施形態が図4に示されている。図1の実施形態と比較して、ここでは、戻しばね7により柔軟な特性を付与するために、およびスイッチング過程をさらに緩やかなものに構成するために、戻しばねは、S字形又はL字形に曲げられている。ここでは、戻しばね7は、スイッチング移動の際の単純なばね特性を可能にするために、2つの曲線76および直線区間77を有する。
【0047】
ばね要素10のさらなる実施形態が図5に示されている。戻しばね7は、特に可撓性のあるスイッチング特性が可能になるように蛇行するように構成されている。ここで、戻しばねは、4つの曲線76を有する。図4の実施形態と同様に、戻しばね7の端区間78は、単純且つ確実な接触を可能にするために、コンタクトばね5と平行に延在している。
【0048】
図4の実施形態が再度図6に示されている。戻しばね7およびコンタクトばね5が一平面内に存在することを示すために、平面Eがさらに示されている。曲線76および直線区間77は、この平面内に存在している。かかる構成の場合、特にコンパクトな構造が可能である。
【0049】
図7に係る構成の場合、戻しばね7の一部が平面Eの外側に存在する。端区間78および開始区間75に対して90°の2つの段部74を介して接続される中心区間79は、平面Eから垂直に突出している。戻しばね7は、ほぼZ字形の輪郭を有する。端区間78は、単純なスイッチングを達成するために、平面Eと平行であり、且つコンタクトばね5と平行である。段部74を備える図示の構成の代わりに、戻しばね7は、曲線によって平面Eから延出することもできる。
【0050】
図8は、戻しばね7がコンタクトばね5上に配置されたばね要素10の構成を示す。これにより、製造が容易なコンパクトな構造が可能になる。戻しばね7は、コンタクトばね5の側面に位置する。戻しばね7は、コンタクトばね5と同一平面内に存在する。別の実施形態では、戻しばね7は、コンタクトばね5によって形成される平面から突出することもでき、或いは、コンタクトばね5に対して斜めに延出することもできる。
【0051】
有利に構成されたアーマチュア9と共にばね要素10のさらなる有利な構成が図9に示されている。アーマチュア9は、コンタクトばね5又は戻しばね7がアーマチュア9に当接する領域において、2つの斜めに延在する縁90を有する。斜めの縁90は、ここでは、コンタクトばね5および戻しばね7の延在方向37に対して約45°で延在している。その結果、スイッチング過程を、さらに静かなものとすることができる。特に、アーマチュア9が、図1における第2のスイッチング位置200として示されるような、コンタクトばね5がアーマチュア9の接触力の結果として支持される閉状態から、コンタクトばね5とともに移動される場合、この斜めの構成によって、コンタクトばね5がアーマチュア9を大きな音で打ち着けられることが防止される。代わりに、コンタクトばね5は、緩やかに且つほとんどノイズを伴わずに離間される(rolled off)。コンタクトばね5とアーマチュアの間の接触点は、この開放の際に、斜めの縁90に沿って移動する。同じことがアーマチュア9と戻しばね7の間の接続にも当てはまる。さらに緩やかな離間する動作ひいてはより静かなスイッチングを可能にするために、斜めの縁90は、さらに、コンタクトばね5に向かって又は戻しばねに向かって丸みを付けられる。
【0052】
スイッチングユニットのスイッチングノイズは、戻しばね7を備える装置によって、真っ直ぐな縁を備えるスイッチングユニットと比較して、3dB(A)だけ低減することができた。ノイズを測定するために、当該スイッチング装置は、弾性的に懸架される表面上に設置された自動車のプラグベースにおけるノイズ吸収壁および反射ベースを備える低反射の密閉容器内に差し込まれた。スイッチングユニットは、13.5Vで印加され、コイルを抑制することなく再びスイッチが入れられた。スイッチングノイズは、容器内でスイッチングユニットから1m離れた位置からマイクで測定され、Aフィルタによって評価された。
【0053】
図10には、戻しばね7がコンタクトばね5上に配置される一実施形態が示されている。戻しばね7は、L字形に構成され、コンタクトばね5に対して略中心に連結されている。戻しばねの第1の突出部は、コンタクトばね5から垂直に離れるように延出し、コンタクトばね5と平行に延在する第2の突出部に向かって90°の曲線によって移行部を形成する。コンタクトばね5とともに、U字形又はC字形の構成が製造される。戻しばね7をコンタクトばね5に連結する結果、開放時に生じる可能性のあるコンタクトばね5の振動が効果的に減衰され、スイッチノイズは結果的にさらに低減する。
【0054】
図11には、戻しばね7が同様にコンタクトばね5上に配置されているさらなる実施形態が示されている。ここでは、コンタクトばね5の端部で連結されている。特に、コンタクト要素を受容するように機能するコンタクト開口4の近傍で連結している。その結果、減衰は特に効果的である。図10の実施形態の場合と同様に、第1の突出部は、コンタクトばね5から垂直に離れるように延出し、コンタクトばね5と平行に延在する第2の突出部に向かって曲線によって移行部を形成する。従って、全体的に、戻しばね7及びコンタクトばね5は、この場合も同様に、合わせてC字形又はU字形になっている。しかしながら、図10の実施形態とは対照的に、戻しばね7の自由端は、内側に向かって、即ち、ばね要素10の他の部分に向かって突出している。ばねの長さは、L字形の構成の結果として増加し、その結果、減衰特性およびばね特性が変化する。特に、かかる戻しばね7は、短い戻しばね7よりも可撓性が大きい。
【0055】
さらなる実施形態が図12に示されている。図10および図11に既に示されているように、戻しばね7は、この場合も同様に、コンタクトばね5を介して連結されている。ここでは、この場合も同様に、コンタクトばね5の端部に、特にコンタクト要素のためのレセプタクル開口4の近傍に連結されている。戻しばね7は、全体的にL字形の構成が生成されるようにコンタクトばね5から垂直に離れるように延出する第1の突出部を有する。かかる実施形態は、図10および図11に示す実施形態よりも製造を容易にすることができる。
【0056】
さらなる実施形態が図13に示されている。戻しばね7は、ここでは、長いばね長さを得るために、S字形又は蛇行形状に延在している。戻しばね7の連結は、この場合も同様に、コンタクトばね5の端部にて行われている。この場合も同様に、第1の突出部が、コンタクトばね5から垂直に離れるように延出し、第2の突出部に向かって曲線によって移行部を形成し、次に、第3の突出部に向かって曲線によって移行部を形成している。第3の突出部は、次に、コンタクトばね5と平行に延在する第4の突出部に向かってさらなる曲線によって移行部を形成している。
【0057】
戻しばね7がコンタクトばね5上に配置されていない一実施形態(左、a)と、戻しばね7がコンタクトばね5上に配置される一実施形態(右、b)との比較が図14に示されている。コンタクトばね5を介した戻しばね7の連結によって、3.3dBのスイッチングノイズのさらなる低減が達成される。
【符号の説明】
【0058】
1 装置
2 コイル本体
3 スイッチングユニット
4 レセプタクル開口
5 コンタクトばね
6 復帰要素
7 戻しばね
8 締結箇所
9 アーマチュア
10 ばね要素
20 コイルコア
25 ヨーク
27 支持面
35 先端
36 基端
37 延在方向
50 接触力
51 幅
52 突出部
60 復帰力
65 ばねコイル
70 反力
71 幅
72 突出部
74 段部
75 開始区間
76 曲線
77 直線区間
78 端区間
79 中間区間
80 リベット
81 リベット
100 第1のスイッチング位置
200 第2のスイッチング位置
300 弾性特性曲線
301 弾性特性曲線 先行技術
400 特性曲線 磁石駆動システム
401 特性曲線 磁石駆動システム 先行技術
501 弾力
B 幅方向
E 平面
E1 エネルギー
E2 エネルギー 先行技術
E3 過剰なエネルギー
E4 過剰なエネルギー 先行技術
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【外国語明細書】
2016146336000001.pdf