【解決手段】 冠状静脈洞内にカテーテルを導入し、カテーテルの2次元画像の第1の群を取得し、その後、カテーテルの2次元画像の第2の群を取得し、第1の群と第2の群とが同期されたフレーム内で、カテーテルのそれぞれの2次元モデルを生成することによって、心臓カテーテル法を行う。2次元モデルは、カテーテルのそれぞれのトラッキングされた2次元経路が含む。第1の群と第2の群とは、心呼吸周期のそれぞれの位相にあるフレームを識別することによって同期される。カテーテルの第1の3次元モデル及び第2の3次元モデルは、同期されたフレームから構築され、2つのモデル間の距離関数を最小化するように、幾何学的に変換される。
前記X線透視画像装置が、前記第1の一次角度及び前記第2の一次角度で同時に前記第1の群及び前記第2の群を取得するために動作可能である、請求項2に記載の装置。
前記同期されたフレームのうちの一方でそれぞれの2次元モデルを確立するステップが、前記同期されたフレームのうちのもう一方のカテーテル経路の周囲のコリドーをサンプリングすることと、前記コリドーについて前記一方の同期されたフレーム内で最適経路を決定することと、を含む、請求項1に記載の装置。
前記それぞれの2次元モデルを確立するステップが、前記同期されたフレームのヘッセの行列式にモノジェニックフィルタを適用することを含む、請求項1に記載の装置。
前記それぞれの2次元モデルを確立するステップが、前記同期されたフレーム内で前記カテーテルの先端部をトラッキングするステップを含み、前記第1の3次元モデル及び前記第2の3次元モデルを構築するステップが、前記先端部の3次元座標を初期化するステップを含む、請求項9に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の説明では、本発明の様々な原理が充分に理解されるように、多くの具体的な詳細について記載する。しかしながら、これらのすべての詳細が本発明を実施するうえで必ずしも必要であるとは限らない点は当業者には理解されよう。この場合、一般的な概念を不要に分かりにくくすることのないよう、周知の回路、制御論理、並びに従来のアルゴリズム及び処理に対するコンピュータプログラム命令の詳細については、詳しく示していない。
【0026】
本発明の態様は、一般的にはコンピュータ可読媒体などの永久記憶装置内に維持されるソフトウェアプログラミングコードとして具体化することができる。クライアント/サーバー環境では、かかるソフトウェアプログラミングコードは、クライアント又はサーバーに格納することができる。ソフトウェアプログラミングコードは、USBメモリ、ハードドライブ、電子メディア又はCD−ROMなど、データ処理システムとともに使用するための各種の周知の非一時的媒体のいずれで実施することもできる。コードは、かかる媒体上で配布するか、又はユーザに1つのコンピュータシステムのメモリ若しくは記憶装置から、なんらかのネットワークを介して他のコンピュータシステム上の記憶装置に配布することで、かかる他のシステムのユーザが使用することができる。
【0027】
システムの概要
ここで図面を参照し、開示される本発明の一実施形態に基づいて構築され動作可能である、生きた対象の心臓12に対してアブレーション手術を行うためのシステム10の描図である
図1を最初に参照する。このシステムは、患者の血管系を通して心臓12の心房・心室又は血管構造内に操作者16によって経皮的に挿入されるカテーテル14を備えている。通常、医師である操作者16は、カテーテルの遠位先端部18を、心臓壁のアブレーション標的部位と接触させる。次いで、電気的活動マップ、解剖学的な位置情報(すなわち、カテーテルの遠位部分の)、及び他の機能的な画像は、その開示内容を本明細書において参照によって援用するところの米国特許第6,226,542号、及び同第6,301,496号、並びに本願と同一譲受人に譲渡された米国特許第6,892,091号に開示される方法に従い、コンソール24内に配置されたプロセッサ23を用いて作成することができる。システム10の各要素を含んだ市販製品の1つが、91765カリフォルニア州ダイアモンドバー、ダイヤモンドキャニオンロード3333所在のバイオセンス・ウェブスター社(Biosense Webster Inc.)より販売されるCARTO(登録商標)3 Systemとして入手可能であり、これは、アブレーションにおいて必要とされる心臓の電気解剖学的マップを生成することが可能である。このシステムは、本明細書に記載される本発明の原理を実施するために当業者が改変することができる。
【0028】
例えば電気的活動マップの評価によって異常と判定された領域を、例えば心筋に高周波エネルギーを印加する遠位先端部18の1つ又は2つ以上の電極にカテーテル内のワイヤを通じて高周波電流を流すことなどにより熱エネルギーを印加することによって、アブレーションすることができる。エネルギーは組織に吸収され、組織を電気的興奮性が永久に失われる点(一般的には約50℃)にまで加熱(又は冷却)する。支障なく行われた場合、この処置によって心臓組織に非伝導性の損傷部が形成され、この損傷部が不整脈を引き起こす異常な電気経路を遮断する。本発明の原理を異なる心腔に適用することによって、多くの異なる心不整脈を治療することができる。
【0029】
カテーテル14は、通常、アブレーションを行うために必要に応じて操作者16がカテーテルの遠位端の方向転換、位置決め、及び方向付けを行うことを可能にする、適当な制御部を有するハンドル20を備えている。操作者16を支援するため、カテーテル14の遠位部分には、コンソール24内に配置された位置決めプロセッサ22に信号を提供する位置センサ(図示せず)が収容されている。
【0030】
アブレーションエネルギー及び電気信号は、カテーテル先端部、かつ/又は遠位先端部18若しくはその付近に配置された1つ若しくは2つ以上のアブレーション電極32を通じて、コンソール24に至るケーブル34経由で心臓12へ、また心臓12から、搬送することができる。ペーシング信号及び他の制御信号は、コンソール24から、ケーブル34及び電極32を通じて、心臓12へと搬送することができる。検知電極33は、コンソール24にも接続されており、アブレーション電極32の間に配置されて、ケーブル34への接続を有する。
【0031】
コンソール24は、ワイヤ接続35によって体表面電極30、及び位置決めサブシステムの他の構成要素と接続されている。参照によって本明細書に援用するところの(ゴバリ(Govari)ら)に付与された米国特許第7,536,218号に教示されるように、電極32及び体表面電極30を使用して、アブレーション部位における組織のインピーダンスを測定することができる。温度センサ(図示せず)、一般的には、熱電対又はサーミスタを、電極32の各々又はその付近に取り付けることができる。
【0032】
コンソール24には通常、1つ又は2つ以上のアブレーション電力発生装置25が収容されている。カテーテル14は、任意の公知のアブレーション技術、例えば、高周波エネルギー、超音波エネルギー、凍結法、及びレーザーにより生成された光エネルギーを使用して、心臓にアブレーションエネルギーを伝導するように構成することができる。このような方法は、参照によって本明細書に援用するところの、本願と同一譲受人に譲渡された米国特許第6,814,733号、同第6,997,924号、及び同第7,156,816号に開示されている。
【0033】
位置決めプロセッサ22は、カテーテル14の位置及び向きの座標を測定するシステム10における位置決めサブシステムの要素である。
【0034】
一実施形態では、この位置決めサブシステムは、磁場発生コイル28を使用して、所定の作用体積内に磁場を発生し、カテーテルにおけるこれらの磁場を検知することによって、カテーテル14の位置及び向きを測定する磁気位置トラッキング構成を含む。位置決めサブシステムでは、例えば、参照により本明細書に援用するところの米国特許第7,756,576号、及び上記の米国特許第7,536,218号に教示されるインピーダンス測定を用いることができる。
【0035】
X線透視画像装置37は、Cアーム39、X線源41、イメージインテンシファイアモジュール43、及び調節可能なコリメータ45を有している。コンソール24内に配置することができる制御プロセッサ(図示せず)によって、操作者は、例えば、イメージングパラメータを設定し、コリメータ45を制御して、視野の大きさ及び位置を調節することによって、X線透視画像装置37の動作を制御することが可能である。かかる制御プロセッサは、ケーブル51を介してX線透視画像装置37と通信することによってX線源41を起動及び停止するか、又はコリメータ45を制御することによってその放射を所望の対象領域に限定し、イメージインテンシファイアモジュール43から画像データを取得することができる。場合により用いられる、制御プロセッサと接続されたディスプレイモニタ49により、操作者は、X線透視画像装置37によって生成された画像を見ることができる。ディスプレイモニタ49が設けられない場合には、X線透視画像は、モニタ29上で、分割画面により、又はX線透視画像以外の画像と交互に見ることができる。
【0036】
上述したように、カテーテル14はコンソール24に結合されており、これにより操作者16はカテーテル14を観察し、その機能を調節することができる。プロセッサ23は通常、適切な信号処理回路を備えたコンピュータである。プロセッサ23は、モニタ29を駆動するように結合されている。かかる信号処理回路は、通常、カテーテル14の遠位側に配置される上述したセンサ及び複数の位置検知電極(図示せず)によって生成される信号を含むカテーテル14からの信号を、受信、増幅、フィルタリング、及びデジタル化する。かかるデジタル化信号は、コンソール24及び位置決めシステムによって受信され、カテーテル14の位置及び向きを計算し、電極からの電気信号を分析して所望の電気解剖学的マップを生成するために利用される。
【0037】
簡略化のため図には示されていないが、通常、システム10には、他の要素も含まれる。例えば、システム10は、ECG同期信号をコンソール24に提供するために、1つ又は2つ以上の体表面電極から信号を受信するように結合された心電図(ECG)モニタを含むことができる。また、上述したように、システム10は、通常、患者の身体の外側に取り付けられた体外貼付型基準パッチ上、又は心臓12に挿入され、心臓12に対して固定位置に維持された体内配置型カテーテル上に配置される基準位置センサも有している。アブレーション部位を冷却するための液体をカテーテル14を通じて循環させるための従来のポンプ及びラインが設けられている。
【0038】
動作
ここで、本発明の一実施形態に基づく、心臓カテーテル法の間の心臓の運動を補償する方法のフローチャートである
図2を参照する。かかるプロセスの各ステップは、説明を分かりやすくするために、特定の直線的な順序で示されている。しかしながら、かかるステップの多くは、並行して、非同期的に、又は異なる順序で行いうる点は明らかであろう。当業者であれば、プロセスはまた、例えば状態図において、多数の相互に関連した状態又は事象として表現することができる点も認識されるであろう。更に、例示されるプロセスの各ステップのすべてが、かかる方法の実施に必要とされるわけではない。
【0039】
最初のステップ53では、カテーテルを従来のようにして冠状静脈洞(CS)内に導入する。
【0040】
次に、ステップ55において、冠状静脈洞及びカテーテルを含む、心臓の一連の映画的なX線透視画像の第1の群を、標準的な左前斜位及び右前斜位と似た2つの角度で取得する。この方法により、下記に述べるようなカテーテルの3次元的立体的再構築が可能となる。患者の身体の矢状面に対して30°及び−30°の一次角度が推奨される。しかしながら、ばらつきに対する許容度は高く、かかる方法は、一次角度間の差が最大で60°まで変化しても有効である。理論上は90°の差が最適である。90°を越えると性能が低下し、差が120°を越えると本方法は効果がなくなる。
【0041】
X線透視装置の構成要素の幾何形状は既知であるものと仮定する。これは、心臓内の対象とする領域の正確な3次元的再構築を得るうえで必要である。更に、2つの視点を取得する場合に動かす必要のある、磁場を撹乱するX線透視装置の構成要素の位置の変化によって生じるカテーテルの磁気センサのトラッキング誤差を、本明細書に参照によって援用するところの、本願と同一譲受人に譲渡された同時係属中の米国特許出願第14/140,112号(表題、Adaptive Fluoroscope Location for the Application of Field Compensation)の教示を利用して補償することができる。
【0042】
ある点の3次元画像座標とカメラ位置が与えられれば、標準的な立体視的方法を用いることで、空間内におけるその点の位置を、2本の投射光線の交点として(例えば三角測量法により)求めることができる。
【0043】
次に、ステップ57において、手技が継続される間、患者の動き又は心臓の動きが生じる。
【0044】
次に、ステップ59において、ステップ55と同じ方法を用いて、映画的なX線透視画像の第2の群を取得する。2つの画像群のすべての画像は、同じ一次角度で取得される必要がある。下記で説明するように、2つの群からの選択されたフレームを、同じ呼吸の位相、及び心周期の同じ位相で比較する。すなわち、心呼吸周期の1つの位相において、第1の一次角度における第1の群及び第2の群からの第1のペアのフレームと、第2の一次角度における第1の群及び第2の群からの第2のペアのフレームの4つのフレームの評価を行う。これが可能でない場合には、各ペアの最小の要素が心呼吸周期の同じ位相にそれぞれなければならない。一次角度間の差は、X線透視画像の第1の群及び第2の群で同じである必要はない。例えば、第1の群を矢状面に対して−30°及び30°の角度で取得し、第2の群を矢状面に対して0°及び60°の角度で取得することができる。
【0045】
ステップ61は、ステップ55、57において取得したX線透視画像の第1の群のフレーム及び第2の群のフレームで冠状静脈洞カテーテルの経路をトラッキングするプロセスである。
【0046】
ステップ63では、2つの群間で、概ね同じ心呼吸位相で撮影されたフレームの検索を行う。かかる検索は、各フレーム間でカテーテルの2次元座標をトラッキングすることを含みうる。ステップ63では、心呼吸周期のそれぞれの位相における2つの群の各フレームが識別される。
【0047】
第1の群の画像及び第2の群の画像の各視点間の心呼吸位相の同期は静止場面を再現したものであり、立体画像処理を用いた再構築を可能とするものである。この種の同期によって、カテーテルの3次元形状及び位置は、2つの一次角度でX線透視装置により撮像される場合にほぼ一定となる。各フレームの同期はステップ65で行われる。実際には、各群の画像間での完全な同期は現実的ではない。したがって、場面が完全に静止していると仮定することはできない。再構築に利用可能なデータは、カテーテルの2つの2次元経路である。各群の画像間の対応する点を決定することは、「対応点問題」と呼ばれ、コンピュータビジョンでは普遍的な問題である。下記に詳細に述べる再構築アルゴリズムは、数値的な最適化方法を用いてこの問題に対処する。
【0048】
次に、ステップ67において、カテーテルの3次元モデルが、同期された群の画像から再構築される。
【0049】
次いで、最後のステップ69において、各群の画像間のカテーテルの運動が求められ、冠状静脈洞カテーテルと関連して表示されるデータと整合するように補償される。ステップ65、63、67、69の詳細について下記に述べる。
【0050】
2次元トラッキング
ここで、ステップ61(
図2)の詳細なフローチャートである
図3を参照する。このフローチャートは、本発明の一実施形態に基づく冠状静脈洞カテーテルの2次元経路をトラッキングするためのコマ送り方法である。本方法は、ステップ55、59(
図2)において生成された第1の群及び第2の群のフレームに適用される。
【0051】
最初のステップ71では、ステップ61で述べた検索が実行されたものと仮定される。一次角度の1つで撮影された画像の群が更なる再構築を行うために選択される。上記に述べたように、その群の要素は心呼吸周期で同期される。
【0052】
次に、ステップ73において、最初のステップ71で選択された画像からフレームが選択される。
【0053】
次に、ステップ75において、冠状静脈洞カテーテルの2次元経路が現時点のフレーム内でトラッキングされる。ステップ75の最初の繰り返しにおいて、操作者は、画像内の他のカテーテル並びにECGのリード線に属するワイヤ及び体表面位置センサと区別する必要がある冠状静脈洞カテーテルの位置を示すために、最初のフレーム内の点をマークする。かかるマーキングを使用して、冠状静脈洞カテーテルの2次元の輪郭(本明細書において「経路」と呼ぶ)を画像内で識別する。かかる2次元の形態を後続のフレームに適用することで、カテーテルを探して位置を特定する。可能であれば、かかる画像のシーケンスは、少なくとも1回の心呼吸周期をカバーするだけの充分に長い時間にわたって取得される必要がある。ステップ75は、フレーム内のカテーテルを強調する手順を含む。
【0054】
ブロック77において、画像のヘッセの行列式(DetHes)に対して高速放射変換(fast radial transform)が行われる。この変換は、カテーテル電極などの画像の放射状領域の検出を促進するものである。かかる高速放射変換は、Loy及びZelinskyによる文献、Fast Radial Symmetry for Detecting Points of Interest,IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence,August 2003より知られる。
【0055】
ブロック79において、DetHesにモノジェニックフィルタを適用することによって、画像の位相対称性が特徴付けられる。これにより、バイラテラルな位相対称性を有する領域、カテーテル、及びカテーテル電極の検出が促進される(
図4、画像95を参照)。モノジェニックフィルタは、Michael Felsberg及びGerald Sommerによる文献、The Monogenic Signal,IEEE,Transactions on Signal Processing,49(12):3136〜3144,December 2001より知られる。
【0056】
ブロック81において、マッチドフィルタを、すべての向きで管状構造に適用する。マッチドフィルタの幅は、推定されたカテーテルの直径を画像のピクセルで表したものである。この手順は、特定の直径を有する管状領域を検出するものである(
図4、画像97を参照)。
【0057】
ブロック83において、前のフレームに対してステップ75が実行されることで得られたカテーテルの経路又は輪郭の位置の周囲のフィルタリングされた画像から、コリドー(corridor)をサンプリングする(
図4、画像99)。ステップ75の1回目の繰り返しにおいて、操作者のマーキングが使用される(
図5、画像101、コリドー103、画像109を参照)。
【0058】
ブロック85において、当該技術分野では周知のダイナミックプログラミング法を用いて、サンプリングされたコリドーの最適経路が見つけられる(
図5、画像111を参照)。この経路(
図5、画像113の点線)は、画像の座標に変換しなおされる。
【0059】
ここで、制御は決定ステップ87に進み、処理されるべき更なるフレームが残っているか否かが判定される。決定ステップ87における判定が肯定である場合には、制御はステップ73に戻り、次のフレームで処理を繰り返す。
【0060】
決定ステップ87における判定が否定である場合には、制御は最後のステップ89に進み、手順は終了する。
【0061】
ここで、本発明の一実施形態に基づくステップ75(
図3)をグラフィックで示した一連のフレーム画像である
図4を参照する。画像91は、フィルタリング手順に先立った心臓カテーテルをインサイチュで示したものである。画像93は、高速放射変換後の画像91の一形態である。画像95は、モノジェニックフィルタリング後の画像91の一形態である。画像97は、マッチドフィルタリング操作後の画像91の一形態である。画像99は、画像93、95、97を生成したフィルタリング操作を相加的に合成した後の画像91の一形態である。画像99は、冠状静脈洞カテーテルの経路の位置を暫定的に識別するためにサンプリングされる。
【0062】
ここで、トラッキング手順、すなわちブロック85(
図3)に関して述べたダイナミックプログラミング操作を示す、本発明の一実施形態に基づく一連の画像である
図5を参照する。
図5の画像は、画像99(
図4)を生成したフィルタリング処理によって生成されたものである。画像101では、カテーテル経路105(破線により示される)の周囲のコリドー103が示され、サンプリングされている。経路105は、前のフレームにおいて(又は上述したように操作者によって)注釈が付けられている。経路105は、冠状静脈洞カテーテル107から逸れている点に注意されたい。心呼吸周期としての前のフレームが進んでいるため、カテーテル107の運動が生じている。画像109は、サンプリングされたコリドーを示している。画像111は、ダイナミックプログラミングにより決定された画像109内のサンプリングされたコリドーのカテーテル経路を示している。画像113は、ダイナミックプログラミングにより生成されたカテーテル経路を示しており、これに沿って一連の推定された電極位置115が見つけられる。
【0063】
同期
映画的な画像群におけるカテーテルの2次元経路について考慮する場合、カテーテルが患者の心拍及び呼吸のために常に動いていることが分かる。ステップ65(
図2)において支障なくカテーテルを再構築するには、概ね同じ位相で撮影された2つのフレーム(各クリップから1つずつ)を見つける。これらのフレームを見つけるには、心呼吸周期の他の位相と比較してカテーテルの動きが比較的小さい心室拡張期と呼息終了の一致点を探す。LAO及びRAOに近い一次角度と、この一致点における無視できる二次角度を用いることで、カテーテルの先端部の位置は、従来どおりに表示されるX線透視画像の下端及び右端のすぐ近くに通常は観察される。この目的では、二次角度とは、Cアーム39(
図1)の運動軸(例えば頭尾軸)を中心とした軌道角度のことを指す。
【0064】
ここで、本発明の一実施形態に基づいた冠状静脈洞カテーテルの再構築に用いられるフレームの選択を示した図である
図6を参照する。LAO投射で撮影された映画的画像の群117は、それぞれ患者の運動の前後に撮影された2つの一連のフレーム119、121を含む。RAO投射で撮影された映画的画像の群123は、それぞれ患者の運動の前後に撮影された2つの一連のフレーム125、127を含む。
図6のフレームのそれぞれの心呼吸周期の位相が、数値により示されている。これらの値は説明の目的で意図的に単純化されたものであり、心呼吸周期は実際には、心周期と呼吸周期とのより複雑な組み合わせであることは理解されるであろう。
【0065】
群117のフレーム間で検索を行う際、一連のフレーム119と121とは位相が30°ずれていることが認識されるであろう。しかしながら、フレーム129と131とは互いに同位相であり、以下に述べる再構築アルゴリズムでの使用に適している。同様に、群123では、一連のフレーム125と127とは位相が90°ずれている。しかしながら、フレーム133と135とは互いに同位相であり、再構築アルゴリズムでの使用に適している。
【0066】
再構築
冠状静脈洞カテーテルが概ね同じ位相にある2つのフレームを同期させ、見つけた後、3次元の一点を投射光線の交点であるものと仮定することができる(三角測量法)。しかしながら、対応する2次元の点の代わりに2次元の経路が存在している。連続したフレーム上でのカテーテルの2次元の点の一致については知られていない。カテーテルの最良あてはめ3次元モデルを、同期させた3次元のフレームのペアについて構築する。再構築はステップ67で行われる(
図2)。本明細書では3つの再構築アルゴリズムを説明する。
【0067】
I.直線状セグメントによる繰り返し再構築
3次元モデルを構築する1つの方法では、接合点によって連結された一定の長さを有する直線状の3次元セグメントのチェーンからなるカテーテルモデルを用いる。かかるモデルを特定するパラメータとしては以下のものがある。
1.先端部の3次元での位置(tipPos)。
2.セグメントの長さ(一定の値L)。
3.前のセグメントに対する各セグメントの向き(球座標α,βの2つの角度)。
【0068】
接合点の3次元座標を計算するには、各接合点について2つの方向角(α,β)を用いる回転行列を生成する必要がある。接合点nに連結されたセグメントの向きを定めるこのような回転行列は、以下のように定められる。
【数1】
【0069】
すべての接合点について回転行列を構築した後、以下のようにして各接合点の3次元座標を生成することができる。
【数2】
【0070】
カテーテルの特定の形状及び位置を見つけるプロセスは、繰り返して行われる。最初に、既知のカメラ位置及び先端部(カテーテルの第1の電極)の画像座標を用いて、カテーテルの3次元での位置を投射光線の交点として初期化する(三角測量法)。この後、繰り返しプロセスにおいて、その投射がトラッキングされた2次元経路に最も近くなるような各直線状セグメントの向きを見つける(熱力学系の外部エネルギーに相当)。この3次元モデルを現実のカテーテルに似たものとするため、更にカテーテルの3次元の曲率を最小化する(内部エネルギーに相当)。「外部エネルギー」及び「内部エネルギー」なる用語は、以下の説明において直線状セグメントを説明するうえで便宜上用いるものである。
【0071】
別の言い方をすれば、画像上への投射がトラッキングされた2次元経路に可能な限り近くなり、3次元の曲率が最小となるような3次元のカテーテルモデルを探すということである。
【0072】
ここで、本発明の一実施形態に基づく、直線状セグメント法の構築によって生成された冠状静脈洞カテーテルのグラフィック表現である
図7を参照する。
【0073】
以下では、内部及び外部エネルギー、最適化標的、並びに最適化のスケジュールについて説明する。
【0074】
外部エネルギー
3次元カテーテルモデルの外部エネルギーは、2つの2次元のX線透視画像の平面と、2つの2次元のトラッキングされたカテーテル経路上に投射された直線状セグメントの接合点間の距離を反映している。
【0075】
最初に、3次元のカテーテルモデルのパラメータベクトルθ(先端部の位置、及び各接合点につき2つの角度)を取り、3次元のカテーテルの接合点に対応したm個の3次元の点を返す関数を定める。
【数3】
【0076】
次いで、3次元のカテーテルのm個の接合点の3次元の位置を2つのX線透視画像平面に投射する関数を定める。
【数4】
【0077】
次に、X線透視画像平面のそれぞれにおけるカテーテル経路に沿ってn個の2次元の点に投射された接合点のそれぞれのソフト最小距離(soft-minimum distance)を推定する関数を定める(点1、点2)。
【数5】
【0078】
導関数が最適化プロセスの全体を通じて連続的であるようにソフト最小値(及び以下のソフト最大値)を用いる。ソフト最小値(又は最大関数)は以下のように定められる。
【数6】
k→+∞の場合には、この関数はハード最大値を近似し、k→−∞の場合には、ハード最小値を近似する。ソフト最小値では、k=−1を用い、ソフト最大値ではk=1を用いる。
【0079】
最後に、外部エネルギーを定める。
【数7】
【0080】
内部エネルギー
次に、内部エネルギーを定める。内部エネルギーの目的は、カテーテルの3次元モデルが3次元で滑らかな形状を有し、過剰に「曲がる」ことがないように、発展するカテーテルの3次元モデルとすることにある。
【0081】
最初に、2つの単位方向ベクトル間の角度の正接関数を定める。かかる単位方向ベクトルは、1つの接合点から次の接合点に向かうように定める。
【数8】
ただし、c1は、ゼロ除算を防ぐ小定数である。tanはπ/2において不連続である。この条件を緩和するため、以下の連続関数を定める。
【数9】
ただし、wは、シグモイド関数であり、c2は、大きな角度で正接の値に代わる大定数である。関数wは以下のように定められる。
【数10】
ただし、a及びbは、シグモイド曲線がπ/3で0から離れ、π/2で1に近づくように選択される。
【0082】
最後に、内部エネルギーは以下のように定められる。
【数11】
【0083】
繰り返し最適化
カテーテルを繰り返して再構築するには以下を行う。すなわち、
(1)両方のX線透視画像のトラッキングされた2次元の位置から三角測量法を用いて3次元の先端部の位置を見つける。
(2)3次元モデルの延びつつある端部にセグメントを追加する。セグメントは、その方向ベクトルが前のセグメント(α=0,β=0)と同じ方向を向くようにして追加される。次いで、外部エネルギー及び内部エネルギーを最小化するようにこれらの角度を最適化する。
(3)最後の接合点を最適化した後、それまでにモデルに追加されたすべての接合点(先端部を含む)を最適化する。
(4)3次元モデルの投射が少なくとも一方のX線透視画像のカテーテルの2次元経路の全体をカバーするまで、ステップ2を繰り返す。
【0084】
最適化標的(段階2及び3の両方で)は以下である。
【数12】
ただし、異なるλは、誤差の重みを表す。
【0085】
II.X線透視画像に基づいた、直線状セグメントによる繰り返し再構築
このアルゴリズムは、直線状セグメントの3次元カテーテルモデル及び繰り返し再構築に頼っている点で、上記のアルゴリズム(直線状セグメントによる繰り返し再構築)と似ている。しかしながら、このアルゴリズムは、カテーテルの2次元経路を描くうえでトラッキングに頼る代わりにX線透視画像そのものに頼っている。これにより、カテーテル全体をトラッキングする必要がなくなり、誤差の確率が低下し、時間が節約される。そのため、同期の目的、及びモデルの3次元の先端部の位置を初期化するうえで、映画的フレームの全体を通じてカテーテルの先端部をトラッキングするのみでよい。次に、直線状セグメントの投射が最もカテーテルらしく見える画像内の位置となるように、直線状セグメントの繰り返しの追加を行う。上記に述べたマッチドフィルタ(
図3のブロック81)を用いることで、最もカテーテルらしく見える領域を検出し、それにより最適化プロセスを促進することができる。この繰り返し最適化は、外部のコスト関数を除けば上記の実施形態と同じである。この実施形態では、距離は、カテーテルの位置の候補である(フィルタで強い反応を有する)画像内の点に対して測定される。
【0086】
III.エピポーラ幾何学を用いたグローバル再構築
このアルゴリズムは、マッチングされた点の三角測量法を行うことにより3次元のカテーテル経路の包括的初期推測値(global initial guess)を見つける(3次元空間で投射光線の交点の点を見つける)ことで開始し、次いで最適化処理を用いて最終的なカテーテルモデルを得る。マッチングプロセスは、当該技術分野では周知のエピポーラ幾何学に基づいたものである。
【0087】
ここで、本発明の一実施形態に基づく、エピポーラ幾何学の応用を説明する図である
図8を参照する。かかるマッチングプロセスは、第1の画像139からの画像点137及びカメラ(図示せず)の正確な幾何形状が与えられたものと仮定すると、第2の画像143上の対応する点141は画像143内の特定の2次元の線145上にあるという事実に頼ったものである。
【0088】
ここで、本発明の一実施形態に基づく、エピポーラ幾何学を利用した再構築の一段階を概略的に示す2つの図を示した
図9を参照する。上述の同期処理は正確ではないため、対応する2次元のフレームのペアの一方のフレーム149の2次元経路147を、既知の2次元の点(すなわちカテーテルの先端部)に基づいて垂直にシフトさせることによって、ペアの他方のフレーム151をエピポーラ理論と強制的に一致させる。かかる垂直方向の変位が、フレーム151の矢印153によって示されている。別の言い方をすれば、先端部がフレーム149内でカテーテルの先端部によって誘導されるエピポーラ線155上に位置するように、2次元経路を矢印153の方向に垂直にシフトさせる。エピポーラ線155は、フレーム149内の点157から計算される。
【0089】
対応したフレームのペアのそれぞれについて、投射光線の交点として3次元の点を見つけ、これらの点に滑らかな3次元のスプライン(θによってパラメータ化される)をあてはめる。次いで、3次元のスプラインを2つの2次元画像平面に投射する。次いで、2次元の投射と2次元経路との間の距離が最小となるように、3次元のスプラインを改変する。以下は、この最小化手順の説明である。
【0090】
最初に、3次元のスプラインのパラメータベクトルθを取り、スプラインに沿ってサンプリングされたm個の3次元の点の集合を返す関数を定める。
【数13】
【0091】
次に、3次元の点を2つのX線透視画像の平面に投射する2つの関数を定める。
【数14】
【0092】
トラッキングの結果から、X線透視画像の平面のそれぞれにおいてカテーテル経路に沿った2次元の点の集合を得る。
【数15】
【0093】
ここで、1つの2次元の点群と別の2次元の点群との間の最小距離(非対称)を見つける関数を定める。
【数16】
【0094】
この逆に、2つの2次元の点群間の平均の二方向(対称的)距離は以下である。
【数17】
【0096】
運動の推定
カテーテルの2つの3次元モデルを再構築した後、それらの間の変換を計算することができる。かかる変換は、回転及び並進(R,T)のみで構成されるものと仮定する。同じ3次元形状/曲線を想定し、2つのカテーテルを強制的に同じ長さのものとする(それらの曲率を用い、長い方のカテーテルの余分なテールの領域を切る)。最適化処理を用いて、カテーテル間の距離を最小化する回転及び並進を見つける。運動の推定は、最後のステップ69で行われる(
図2)。
【0097】
P1及びP2は、2つの再構築されたカテーテルに沿って3次元の点を描く。上記と同様、1つの3次元の点群と別の3次元の点群との間の最小距離を見つける非対称な距離関数を定める。
【数19】
【0098】
更に、2つの3次元点群(2つのカテーテルに属する)間の平均の二方向(対称的)距離を以下のように定める。
【数20】
【0099】
2つのカテーテル間の適正な変換を見つけるため、以下を最小化する。
【数21】
【0100】
この変換こそが、患者の心臓の位置の変化を導出することを可能とするものである。ここで、本発明の一実施形態に基づいた冠状静脈洞カテーテルの運動推定の処理を示した図である
図10を参照する。3つのカテーテルの画像159、161、163が示されている。画像159は、映画的な一連のフレームのうちの第1のフレーム内のカテーテルを表している。画像161は、一連のフレームのうちの第2のフレーム内のカテーテルを表している。並進及び回転による変位が生じている。画像163は、上述のアルゴリズムを用いて画像159を変換した結果を表している。この表示では、画像163は画像161にできるだけ近く近似されている(すなわち画像161とほぼ重なり合わされている)。並進及び回転に加えて、画像163では、画像161のテールセグメント165が切り詰められている。変換された画像を操作者に対して表示することで運動が補償され、心臓及び呼吸運動によって引き起こされる妨害的な運動の影響に対処する必要なくして操作者がカテーテルに関連したデータを見ることが可能となる。
【0101】
代替的実施形態
ここで、本発明の代替的な一実施形態に基づいて構築され動作可能な、生きた対象の心臓にアブレーション手術を行うためのシステム167の描図である
図11を参照する。システム167は、この場合では一次角度のそれぞれについて1つずつ、心臓12に向けられた2つのX線透視画像装置37、169がある点以外は、システム10(
図1)と同様である。X線透視画像装置37、169は、心臓を左前斜位及び右前斜位の視点で同時にイメージングすることができる。この実施形態の利点の1つは、X線透視画像を取得する際の遅延が最小化されることである。各画像が同期して取得されることから、同期ステップ65(
図2)を省略することができる。
【0102】
当業者であれば、本発明は、以上で具体的に示し、説明したものに限定されない点は、理解されるところであろう。むしろ、本発明の範囲は、上述した様々な特徴の組み合わせ及び一部の組み合わせ、並びに上記の説明を読むことで当業者が想到するであろう、先行技術にはない特徴の変形及び改変をも含むものである。
【0103】
〔実施の態様〕
(1) 方法であって、
生きた対象の心臓の冠状静脈洞内にカテーテルを導入するステップと、
前記カテーテルが前記冠状静脈洞内にある間に、前記カテーテルの2次元画像を含む第1の群のフレームを取得するステップと、
その後、前記カテーテルの2次元画像を含む第2の群のフレームを取得するステップと、
前記第1の群と前記第2の群とが同期されたフレーム内で、前記カテーテルのそれぞれの2次元モデルを確立するステップであって、前記2次元モデルが、前記カテーテルのそれぞれのトラッキングされた2次元経路を含む、ステップと、
心呼吸周期(cardiorespiratory cycle)のそれぞれの位相にある前記第1の群のフレーム及び前記第2の群のフレームを識別することによって、前記第1の群を前記第2の群と同期させるステップと、
前記同期されたフレームから前記カテーテルの第1の3次元モデル及び第2の3次元モデルを構築するステップと、
前記第1の3次元モデルと前記第2の3次元モデルとの間の距離関数を最小化するように、前記第1の3次元モデル及び前記第2の3次元モデルを幾何学的に変換するステップと、
前記変換された3次元モデルを表示するステップと、を含む、方法。
(2) 前記幾何学的に変換するステップが、回転行列及び並進ベクトルを、前記第1の3次元モデル及び前記第2の3次元モデルのうちの一方に適用することを含み、前記表示するステップが、前記変換された3次元モデルを重ね合わせることを含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記対象が矢状面を有し、前記第1の群を取得するステップと、前記第2の群を取得するステップとがそれぞれ、前記矢状面に対して第1の一次角度及び第2の一次角度でフレームを取得することを含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記第1の一次角度が前記矢状面に対して30°であり、前記第2の一次角度が前記矢状面に対して−30°である、実施態様3に記載の方法。
(5) 前記第1の一次角度及び前記第2の一次角度で同時にフレームを取得することを更に含む、実施態様3に記載の方法。
【0104】
(6) 前記それぞれの2次元モデルを確立するステップが、
前記第1の群のフレーム及び前記第2の群のフレームをフィルタリングするステップと、
前記フィルタリングされたフレーム内のカテーテル経路の周囲のコリドーをサンプリングするステップと、
その後、前記フィルタリングされたフレーム内の前記カテーテルの最適経路を決定するステップと、を含む、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記フィルタリングするステップが、前記同期されたフレームのヘッセの行列式(determinant of a hessian)に高速放射変換(fast radial transform)を行うことを含む、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記フィルタリングするステップが、前記同期されたフレームのヘッセの行列式にモノジェニックフィルタを適用することを含む、実施態様6に記載の方法。
(9) 前記フィルタリングするステップが、前記同期されたフレーム内の管状構造にマッチドフィルタを適用することを含む、実施態様6に記載の方法。
(10) 前記第1の3次元モデル及び前記第2の3次元モデルを構築するステップが、
接合点によって連結された直線状の3次元セグメントのチェーンを構築するステップと、
前記それぞれのトラッキングされた2次元経路上への前記3次元セグメントの投射のずれを最小化するように、前記接合点の3次元座標を計算するステップと、を含む、実施態様1に記載の方法。
【0105】
(11) 前記チェーンを構築するステップ及び前記3次元座標を計算するステップが、繰り返して行われる、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記それぞれの2次元モデルを確立するステップが、前記同期されたフレーム内で前記カテーテルの先端部をトラッキングするステップを含み、前記第1の3次元モデル及び前記第2の3次元モデルを構築するステップが、前記先端部の3次元座標を初期化するステップを含む、実施態様10に記載の方法。
(13) 前記第1の3次元モデル及び前記第2の3次元モデルを構築するステップが、
それぞれの投射光線の交点として複数の3次元の点を定めるステップと、
前記3次元の点に3次元スプラインをあてはめて、3次元経路を定めるステップと、
前記3次元経路を前記2次元モデルのうちの一方の上に投射するステップと、
前記投射された3次元経路と前記一方の2次元モデルとの間の距離関数を最小化するように、前記3次元経路を改変するステップと、を含む、実施態様1に記載の方法。
(14) 装置であって、
生きた対象の心臓の冠状静脈洞内に導入されるように適合された心臓カテーテルと、
ディスプレイと、
プロセッサであって、
前記カテーテルが前記冠状静脈洞内にある間に、X線透視画像装置を作動させて、前記カテーテルの2次元画像を含む第1の群のフレームを取得し、その後、前記カテーテルの2次元画像を含む第2の群のフレームを取得するステップと、
前記第1の群と前記第2の群とが同期されたフレーム内で、前記カテーテルのそれぞれの2次元モデルを確立するステップであって、前記2次元モデルが、前記カテーテルのそれぞれのトラッキングされた2次元経路を含む、ステップと、
心呼吸周期のそれぞれの位相にある前記第1の群のフレーム及び前記第2の群のフレームを識別することによって、前記第1の群を前記第2の群と同期させるステップと、
前記同期されたフレームから前記カテーテルの第1の3次元モデル及び第2の3次元モデルを構築するステップと、
前記第1の3次元モデルと前記第2の3次元モデルとの間の距離関数を最小化するように、前記第1の3次元モデル及び前記第2の3次元モデルを幾何学的に変換するステップと、
前記変換された3次元モデルを前記ディスプレイに表示するステップと、を実行するために前記X線透視画像装置と協働する、プロセッサと、を備える、装置。
(15) 前記X線透視画像装置が、第1の一次角度及び第2の一次角度で前記第1の群及び前記第2の群を取得する、実施態様14に記載の装置。
【0106】
(16) 前記対象が矢状面を有し、前記第1の一次角度が前記矢状面に対して30°であり、前記第2の一次角度が前記矢状面に対して−30°である、実施態様15に記載の装置。
(17) 前記X線透視画像装置が、前記第1の一次角度及び前記第2の一次角度で同時に前記第1の群及び前記第2の群を取得するために動作可能である、実施態様15に記載の装置。
(18) 前記同期されたフレームのうちの一方でそれぞれの2次元モデルを確立するステップが、前記同期されたフレームのうちのもう一方のカテーテル経路の周囲のコリドーをサンプリングすることと、前記コリドーについて前記一方の同期されたフレーム内で最適経路を決定することと、を含む、実施態様14に記載の装置。
(19) 前記それぞれの2次元モデルを確立するステップが、前記同期されたフレームのヘッセの行列式に高速放射変換を行うことを含む、実施態様14に記載の装置。
(20) 前記それぞれの2次元モデルを確立するステップが、前記同期されたフレームのヘッセの行列式にモノジェニックフィルタを適用することを含む、実施態様14に記載の装置。
【0107】
(21) 前記それぞれの2次元モデルを確立するステップが、前記同期されたフレーム内の管状構造にマッチドフィルタを適用することを含む、実施態様14に記載の装置。
(22) 前記第1の3次元モデル及び前記第2の3次元モデルを構築するステップが、
接合点によって連結された直線状の3次元セグメントのチェーンを構築するステップと、
前記それぞれのトラッキングされた2次元経路上への前記3次元セグメントの投射のずれを最小化するように、前記接合点の3次元座標を計算するステップと、を含む、実施態様14に記載の装置。
(23) 前記チェーンを構築するステップ及び前記3次元座標を計算するステップが、繰り返して行われる、実施態様22に記載の装置。
(24) 前記それぞれの2次元モデルを確立するステップが、前記同期されたフレーム内で前記カテーテルの先端部をトラッキングするステップを含み、前記第1の3次元モデル及び前記第2の3次元モデルを構築するステップが、前記先端部の3次元座標を初期化するステップを含む、実施態様22に記載の装置。
(25) 前記第1の3次元モデル及び前記第2の3次元モデルを構築するステップが、
それぞれの投射光線の交点として複数の3次元の点を定めるステップと、
前記3次元の点に3次元スプラインをあてはめて、3次元経路を定めるステップと、
前記3次元経路を前記2次元モデルのうちの一方の上に投射するステップと、
前記投射された3次元経路と前記一方の2次元モデルとの間の距離関数を最小化するように、前記3次元経路を改変するステップと、を含む、実施態様14に記載の装置。