(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-147560(P2016-147560A)
(43)【公開日】2016年8月18日
(54)【発明の名称】車両用制御盤
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20160722BHJP
B62D 25/08 20060101ALI20160722BHJP
【FI】
B60R16/02 630Z
B62D25/08 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-24832(P2015-24832)
(22)【出願日】2015年2月11日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】特許業務法人しんめいセンチュリー
(72)【発明者】
【氏名】大島 敬大
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BB72
3D203DA51
(57)【要約】 (修正有)
【課題】内部のスペースを有効に利用できる車両用制御盤を提供すること。
【解決手段】制御盤10は筐体内部にスイッチ装置12、対向機器14を備えている。筐体は、板面部21と、その板面部21に一端が接続されて立設される壁面部22と、その壁面部22の他端により形成される開口部を塞ぐ扉24とを備えている。扉24にスイッチ装置12の本体部12aが配設され、本体部12aの板面部21側に操作子12bが設けられる。壁面部22に外側に向かって開口する孔部25が設けられ、その孔部25から挿入した指が操作子12bに届く位置にスイッチ装置12が配置される。扉24に配設されるスイッチ装置12の操作子12bを壁面部22の孔部25から操作できるので、スイッチ装置12に対向して板面部21に対向機器14を配設できる。そのため、筐体内部のスペースを有効に利用できる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板面部と、その板面部に一端が接続されて立設される壁面部と、その壁面部の他端により形成されて外側に向かって開口する開口部を塞ぐ扉とを有し、車両の運転室内に配設される筐体と、
その筐体の前記板面部または前記扉の一方に配設される本体部と、その本体部における前記板面部または前記扉の他方側に設けられる操作子とを有するスイッチ装置と、
そのスイッチ装置からみて前記板面部または前記扉の他方側に配設される対向機器とを備え、
前記壁面部に外側に向かって開口する孔部が設けられ、
前記スイッチ装置は、前記孔部から挿入した指が前記操作子に届く位置に配置されていることを特徴とする車両用制御盤。
【請求項2】
前記操作子から前記孔部に向かって開口するように前記操作子を囲むカバーを備えていることを特徴とする請求項1記載の車両用制御盤。
【請求項3】
前記スイッチ装置は、前記本体部が前記扉に配設され、
前記壁面部は、少なくとも2面が対向し、対向する2面の一方に前記扉が開閉可能に支持され、対向する2面の他方に前記孔部が設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用制御盤。
【請求項4】
前記操作子は、操作方向と交差する方向に長手方向を有する形状に形成され、前記孔部の開口する方向に対して交差して長手方向および操作方向が設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の車両用制御盤。
【請求項5】
前記運転室は、運転手が座る第1シートと、
その第1シートの車両左右方向に並設される第2シートとを備え、
前記筐体は、前記第1シートの背もたれと前記第2シートの背もたれとの間に、前記孔部を前記第1シートに向けて配置されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の車両用制御盤。
【請求項6】
前記筐体は、正面視において前記第1シートと前記第2シートとの間の中心よりも前記第2シート側に配置されることを特徴とする請求項5記載の車両用制御盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用制御盤に関し、特に内部のスペースを有効に利用できる車両用制御盤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両に付与される様々な機能を制御するための制御盤が搭載された車両がある。操作者がスイッチなどを操作し易いように制御盤は運転室内に配置されることが望ましい。スイッチを制御盤の外側に設けると体の一部などが接触して誤動作するおそれがあるため、制御盤内部にスイッチを設ける必要がある。しかし、スイッチを操作するために制御盤の扉を開ける場合、扉を開ける手間が掛かるだけでなく、制御盤の内部にごみや埃などが侵入するおそれや、運転室内の車載物に扉がぶつかるおそれがある。従来より、制御盤の扉に操作口を設け、その操作口から機器内部のスイッチを操作する技術がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−149623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、制御盤の扉に操作口が設けられ、その操作口と対面する部分にスイッチが配設されるので、スイッチと扉との間にスイッチを操作するための空間を確保する必要がある。その空間には機器を配置できないので、制御盤内部のスペースを有効に利用できないという問題点がある。
【0005】
本発明は上述した問題を解決するためになされたものであり、内部のスペースを有効に利用できる車両用制御盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために請求項1記載の車両用制御盤は、板面部と、その板面部に一端が接続されて立設される壁面部と、その壁面部の他端により形成されて外側に向かって開口する開口部を塞ぐ扉とを有し、車両の運転室内に配設される筐体と、その筐体の前記板面部または前記扉の一方に配設される本体部と、その本体部における前記板面部または前記扉の他方側に設けられる操作子とを有するスイッチ装置と、そのスイッチ装置からみて前記板面部または前記扉の他方側に配設される対向機器とを備え、前記壁面部に外側に向かって開口する孔部が設けられ、前記スイッチ装置は、前記孔部から挿入した指が前記操作子に届く位置に配置されている。
【0007】
請求項2記載の車両用制御盤は、請求項1記載のものにおいて、前記操作子から前記孔部に向かって開口するように前記操作子を囲むカバーを備えている。
【0008】
請求項3記載の車両用制御盤は、請求項1又は2に記載のものにおいて、前記スイッチ装置は、前記本体部が前記扉に配設され、前記壁面部は、少なくとも2面が対向し、対向する2面の一方に前記扉が開閉可能に支持され、対向する2面の他方に前記孔部が設けられる。
【0009】
請求項4記載の車両用制御盤は、請求項1から3のいずれかに記載のものにおいて、前記操作子は、操作方向と交差する方向に長手方向を有する形状に形成され、前記孔部の開口する方向に対して交差して長手方向および操作方向が設けられる。
【0010】
請求項5記載の車両用制御盤は、請求項1から4のいずれかに記載のものにおいて、前記運転室は、運転手が座る第1シートと、その第1シートの車両左右方向に並設される第2シートとを備え、前記筐体は、前記第1シートの背もたれと前記第2シートの背もたれとの間に、前記孔部を前記第1シートに向けて配置される。
【0011】
請求項6記載の車両用制御盤は、請求項5記載のものにおいて、前記筐体は、正面視において前記第1シートと前記第2シートとの間の中心よりも前記第2シート側に配置される。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の車両用制御盤によれば、板面部と、その板面部に一端が接続されて立設される壁面部と、その壁面部の他端により形成されて外側に向かって開口する開口部を塞ぐ扉とを有する筐体が車両の運転室内に配設される。筐体の板面部または扉の一方にスイッチ装置の本体部が配設され、スイッチ装置の本体部における板面部または扉の他方側に操作子が設けられる。スイッチ装置からみて板面部または扉の他方側に対向機器が配設され、壁面部に外側に向かって開口する孔部が設けられる。その孔部から挿入した指が操作子に届く位置にスイッチ装置が配置されるので、孔部に指を挿入して筐体内部に位置する操作子を操作できる。扉を開けることなく筐体内部の操作子を操作できるので、扉を開ける手間を省くことができると共に、筐体内部にごみや埃などが侵入することを防止できる効果がある。
【0013】
また、板面部または扉の一方に配設されるスイッチ装置の操作子を壁面部の孔部から操作できるので、スイッチ装置からみて板面部または扉の他方側に対向機器を配設できる。そのため、筐体内部のスペースを有効に利用できる効果がある。
【0014】
請求項2記載の車両用制御盤によれば、操作子から孔部に向かって開口するように操作子を囲むカバーを備えているので、孔部に指を挿入する際にスイッチ装置以外の機器に触れることを防止できる。従って、請求項1の効果に加え、安全に操作子を操作できる効果がある。
【0015】
請求項3記載の車両用制御盤によれば、スイッチ装置の本体部が扉に配設され、壁面部の少なくとも2面が対向し、壁面部の対向する2面の一方に扉が開閉可能に支持され、壁面部の対向する2面の他方に孔部が設けられる。これにより、扉が開閉可能に支持される位置から最も遠い扉の部分に操作子を配置できるので、扉を開けて操作子を操作する場合でも、扉を大きく開けることなく操作子を操作できる。即ち、請求項1又は2の効果に加え、扉を開けて操作子を操作する場合でも、筐体内部へのごみや埃などの侵入を抑制できると共に、開けた扉が運転室内の車載物にぶつかることを抑制できる効果がある。
【0016】
請求項4記載の車両用制御盤によれば、操作子は、操作方向と交差する方向に長手方向を有する形状に形成され、孔部の開口する方向に対して交差して長手方向および操作方向が設けられる。これにより、孔部から挿入する指が向く方向と、操作子の長手方向と、操作子の操作方向とが互いに交差する。その結果、請求項1から3のいずれかの効果に加え、孔部から挿入する指が向く方向と、操作子の長手方向と、操作子の操作方向とのうち少なくとも2つが略平行である場合に比べて、操作子の操作性を向上できる効果がある。
【0017】
請求項5記載の車両用制御盤によれば、運転室は、運転手が座る第1シートと、その第1シートの車両左右方向に並設される第2シートとを備え、第1シートの背もたれと第2シートの背もたれとの間に、孔部を第1シートに向けて筐体が配置される。運転手側に孔部があるので、請求項1から4のいずれかの効果に加え、運転手による操作子の操作性を向上できる効果がある。
【0018】
請求項6記載の車両用制御盤によれば、正面視において第1シートと第2シートとの間の中心よりも第2シート側に筐体が配置されるので、第1シートと筐体との間の距離を確保できる。これにより、運転手が孔部に指を挿入する際に、運転手の腕や手が第1シートに干渉し難くできるので、請求項5の効果に加え、運転手による操作子の操作性をより向上できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】(a)は本発明の実施の形態における車両の運転室の平面図であり、(b)は運転室の正面図である。
【
図2】(a)は制御盤の左側面図であり、(b)は制御盤の正面図であり、(c)は制御盤の右側面図である。
【
図3】(a)は
図2(b)のIIIa−IIIa線における制御盤の断面図であり、(b)は
図2(a)のIIIb−IIIb線における制御盤の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、
図1を参照して、車両の運転室1について説明する。
図1(a)は本発明の一実施の形態における車両の運転室1の平面図であり、
図1(b)は運転室1の正面図である。なお、本実施例では、車両進行方向である
図1(a)下側を車両の前側とし、
図1(a)上側を車両の後側とし、
図1(a)左側および右側をそれぞれ車両の右側および左側とする。
【0021】
車両は、一般家庭や工場へ液化ガスを配送して一般家庭や工場の貯蔵設備に液化ガスを充填するバルクローリである。その車両に搭載された機械や電気機器(例えば、液化ガス充填装置や、表示機器など)から得られる情報(例えば、液化ガスの残量や充填量、配送状況、車両の走行状態など)を用いて、制御盤10により車両に搭載された機械や電気機器などが制御される。車両は、キーオフ時にもバッテリから制御盤10に電力を供給するので、車両を使用しないときには制御盤10の主電源をオフにして、車両のバッテリの消費を抑える必要がある。
【0022】
図1(a)及び
図1(b)に示すように、車両の運転室1は、車両を走行させる際に操作されるハンドル2と、車両左右方向に並設されて搭乗者が着座する第1シート4及び第2シート6と、制御盤10とを備えている。第1シート4は、車両の右側に位置し、前方にハンドル2が位置し、運転手が着座する。
【0023】
制御盤10は、扉24を有する直方体状の筐体20内部に様々な装置や機器(後述するスイッチ装置12や対向機器14など)が設けられる。制御盤10(筐体20)は、第1シート4の背もたれ4aと第2シート6の背もたれ6aとの間に並設され、正面視において第1シート4と第2シート6との間の中心から第2シート6側に配置される。また、第1シート4及び第2シート6に着座する搭乗者の体が制御盤10にぶつかり難いように、平面視において第1シート4の背もたれ4a及び第2シート6の背もたれ6aの前面(背中があたる側の面)よりも後側に制御盤10の前面(扉24側の面)が位置するように制御盤10を配置する。
【0024】
次に
図2(a)、
図2(b)及び
図2(c)を参照して、制御盤10の筐体20について説明する。
図2(a)は制御盤10の左側面図であり、
図2(b)は制御盤10の正面図であり、
図2(c)は制御盤10の右側面図である。なお、
図2(a)及び
図2(b)は制御盤10(筐体20)内部に配設されるスイッチ装置12を破線で示している。
【0025】
図2(a)、
図2(b)及び
図2(c)に示すように筐体20は、板状の板面部21と、その板面部21に一端が接続されて立設される板状の壁面部22と、その壁面部22の他端により形成されて外側に向かって開口する開口部23を塞ぐ扉24とを備えている。なお、本実施の形態では、筐体20の扉24が車両前方を向いている(
図1(a)参照)。
【0026】
壁面部22は、車両右側(第1シート4側)に位置する右壁面部22aと、右壁面部22aに対向して車両左側(第2シート6側)に位置する左壁面部22bと、車両上側に位置する上壁面部22cと、上壁面部22cに対向して車両下側に位置する下壁面部22dとを備えている。右壁面部22aは、指が挿入可能な(指よりも一回り大きい)サイズの円状の孔部25が筐体20の外側に向かって開口し、その孔部25を塞ぐゴム製の蓋25aが着脱可能に取り付けられる。左壁面部22bは、上下2つの蝶番26により扉24が開閉可能に支持される。
【0027】
扉24は、ボルト(図示しない)により壁面部22に固定されて、そのボルトを外すことにより固定が解除されて開けられ、孔部25に近接してスイッチ装置12が内側に配置される。孔部25は、左側面視において(右壁面部22aから左壁面部22bの方向にみて)スイッチ装置12の操作子12bの位置を、右壁面部22aの板厚方向である車両左右方向(右壁面部22aと左壁面部22bとの対向方向)に右壁面部22aを貫通して形成される。
【0028】
次に
図3(a)及び
図3(b)を参照して、制御盤10(筐体20)内部の構造について説明する。
図3(a)は
図2(b)のIIIa−IIIa線における制御盤10の断面図であり、
図3(b)は
図2(a)のIIIb−IIIb線における制御盤10の断面図である。
【0029】
図3(a)及び
図3(b)に示すように、制御盤10は、扉24の内側に配設されるスイッチ装置12と、スイッチ装置12に対向して板面部21の内側に配設される対向機器14と、スイッチ装置12を挟んで孔部25の反対側にスイッチ装置12に隣接して扉24の内側に配設される隣接機器16と、スイッチ装置12と隣接機器16とを隔てるようにスイッチ装置12を囲んで扉24に配設されるカバー18とを備えている。カバー18は、角筒の孔部25側の面が開口したコの字状に形成され、操作子12bの扉24からの高さよりも扉24からの高さが高く形成される。また、扉24を開く際に右壁面部22aにカバー18が干渉しない位置まで右壁面部22aにカバー18が近接して配置される。
【0030】
スイッチ装置12は、トグルスイッチから構成され、制御盤10の主電源のオン・オフを切り替えるスイッチである。スイッチ装置12は、扉24に配設される部分である本体部12aと、本体部12aの板面部21側に設けられる棒状の操作子12bとを備え、孔部25から挿入した指が操作子12bに届く位置に配置される。車両前後方向(板面部21と扉24との対向方向)に長手方向を有する操作子12bを、本体部12aと操作子12bとの接続部を支点にして車両上下方向(上壁面部22cと下壁面部22dとの対向方向)に傾けることによってスイッチ装置12が操作される。即ち、操作子12bの操作方向と操作子12bの長手方向とが交差する。
【0031】
次に制御盤10の構成により得られる効果を説明する。スイッチ装置12は、孔部25から挿入した指が操作子12bに届く位置に配置されるので、孔部25に指を挿入して筐体20内部に位置する操作子12bを操作できる。これにより、扉24を開けることなく筐体20内部の操作子12bを操作できるので、ボルトを外して扉24を開ける手間を省くことができると共に、筐体20内部にごみや埃などが侵入することを防止できる。
【0032】
また、扉24に配設されるスイッチ装置12の操作子12bを右壁面部22aの孔部25から操作できるので、板面部21に孔部25が設けられる場合に比べて操作子12bを操作するための空間を小さくできる。そのため、スイッチ装置12に対向して板面部21に対向機器14を配設できるので、筐体20内部のスペースを有効に利用できる。
【0033】
また、蓋25aにより孔部25を塞ぐので、スイッチ装置12を操作する必要がない場合に、孔部25からごみや埃などが侵入することを防止できる。また、角筒の孔部25側の1面が開口したコの字状のカバー18により、スイッチ装置12と隣接機器16とを隔てるようにスイッチ装置12が囲われるので、孔部25に指を挿入する際に隣接機器16に指が触れることを防止できる。そのため、安全に操作子12bを操作できる。
【0034】
また、左壁面部22bに扉24が開閉可能に支持され、右壁面部22aに孔部25が設けられるので、扉24が開閉可能に支持される位置から最も遠い扉24の部分にスイッチ装置12を配置できる。そのため、扉24を開けて操作子12bを操作する場合でも、扉24を大きく開けることなく操作子12bを操作できる。即ち、扉24を開けて操作する場合でも、筐体20内部へのごみや埃などの侵入を抑制できると共に、開けた扉24が運転室内の車載物などにぶつかることを抑制できる。
【0035】
また、右壁面部22aの板厚方向である車両左右方向(右壁面部22aと左壁面部22bとの対向方向)に右壁面部22aを貫通して形成される孔部25に指を挿入し、車両前後方向(板面部21と扉24との対向方向)に長手方向を有する操作子12bを車両上下方向(上壁面部22cと下壁面部22dとの対向方向)に傾けることによって操作する。即ち、操作子12bの操作方向と、操作子12bの長手方向と、孔部25の貫通方向とが互いに交差するので、孔部25から挿入した指が向く方向と、操作子12bの操作方向と、操作子12bの長手方向とが互いに交差する。これにより、孔部25から挿入した指が向く方向と、操作子12bの操作方向と、操作子12bの長手方向とのうち少なくとも2つが略平行である場合に比べて、操作子12bの操作性を向上できる。さらに、スイッチ装置12を挟んで孔部25の反対側に配設される隣接機器16とスイッチ装置12とをカバー18により隔てるので、孔部25から挿入した指をカバー18に当接させてカバー18に沿わして動かすことで操作子12bの操作方向に指を動かすことができる。従って、操作子12bの操作性を向上できる。
【0036】
また、運転手が着座する第1シート4側の右壁面部22aに孔部25が設けられるので、運転手による操作子12bの操作性を向上できる。さらに、正面視において第1シート4と第2シート6との間の中心よりも第2シート6側に制御盤10(筐体20)が配置されるので、第1シート4と制御盤10との間の距離を確保できる。これにより、運転手が孔部25に指を挿入する際に運転手の腕や手が第1シート4に干渉し難くできるので、運転手による操作子12bの操作性をより向上できる。
【0037】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、車両は、一般家庭や工場へ液化ガスを配送して貯蔵設備に液化ガスを充填するバルクローリである場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、制御盤により制御される機能を有する車両であればよい。例えば、吸水ポンプまたは排水ポンプを有する車両、車体の傾斜調整装置を有する車両、クレーンを有する車両などが挙げられる。
【0038】
上記実施の形態では、スイッチ装置12の本体部12aが扉24に配設される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、スイッチ装置12の本体部12aを板面部21に配設することは当然可能である。この場合、スイッチ装置12の本体部12aの扉24側に操作子12bが設けられ、スイッチ装置12に対向して扉24に対向機器14が配設される。また、スイッチ装置12が板面部21又は扉24の一方に配設される場合、スイッチ装置12からみて板面部21又は扉24の他方側に対向機器14が位置するように壁面部22に対向機器14を配設することも可能である。
【0039】
上記実施の形態では、スイッチ装置12がトグルスイッチから構成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、プッシュスイッチやスライドスイッチなどでもよい。また、スイッチ装置12が制御盤10の主電源のスイッチである必要はなく、制御盤10内に配設されるその他の機器のスイッチでもよい。
【0040】
上記実施の形態では、孔部25を塞ぐゴム製の蓋25aが着脱可能に取り付けられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、蓋25aの材質を変更することは当然可能である。例えば、樹脂製や金属製の蓋が挙げられる。また、蓋が着脱可能である必要はなく、蓋に切れ目を入れたり、蓋に伸縮性を持たせたり、蓋を指サック状に形成したりすることで蓋を外さずに操作子12bを操作できる。これにより、操作子12bを操作する場合に孔部25からごみや埃が侵入することを防止できる。
【0041】
上記実施の形態では、コの字状のカバー18がスイッチ装置12を囲む場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、孔部25から挿入した指がスイッチ装置12以外の機器に触れなければよいので、スイッチ装置12と隣接機器16との間に板状のカバーを扉24に立設することは当然可能である。また、操作子12bを覆う袋状または箱状のカバーをスイッチ装置12の本体部12aに取り付けて、スイッチ機器12と対向機器14とを隔てることも可能である。さらに、孔部25側の面を開口する必要はなく、孔部25に挿入した指がカバー内部の操作子12bを操作できればよいので、操作子12bから孔部25に向かってカバーの一部を開口させることは当然可能である。
【0042】
上記実施の形態では、扉24がボルトにより壁面部22に固定される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、錠前やラッチハンドルなどのロック機構により扉24を壁面部22に固定することは当然可能である。
【0043】
上記実施の形態では、車両の右側に第1シート4が位置する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1シート4を車両の左側に位置させることは当然可能である。この場合、第1シート4側である左壁面部22bに孔部25を設けることで、運転手による操作子12bの操作性を向上できる。
【0044】
上記実施の形態では、板面部21に立設する壁面部22の他端により形成される開口部23を扉24で塞ぐ場合について説明したが、壁面部22の他端側を互いに向かって屈曲させて板面部21に対面する部位を形成し、その部位に形成される開口部23を扉24で塞ぐことも可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 運転室
4 第1シート
4a,6a 背もたれ
6 第2シート
10 制御盤
12 スイッチ装置
12a 本体部
12b 操作子
14 対向機器
18 カバー
20 筐体
21 板面部
22 壁面部
23 開口部
24 扉
25 孔部
25a 蓋