【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明は、前記化合物及びこの化合物を使用した有機EL装置を研究しようとする。以下、本発明を十分に理解させるために、生産、構造及び要素の詳細を提供する。もちろん、本発明の適用は、当業者の熟知する特定な細部に限定されない。一方、一般的に周知される常用元素や過程は、本発明で詳しく説明されず、特に必要しない限り、本発明を制限するものでもない。以下、本発明のある好適な実施例をより詳しく説明する。しかし、認識すべきなのは、本発明は、明確に述べられた実施例以外に、様々な他の実施例に広く実践されることができる。つまり、本発明は、他の実施例にも広く適用される。特許請求の範囲で特に指定されない以外、本発明の範囲が明確に制限されない。
【0041】
本発明の第1の実施例において、有機EL装置とする燐光発光ホスト、正孔遮断層又は正孔遮断電子輸送層の化合物を開示する。前記材料は、下記の式(I)又は式(II)で示される。
【0043】
ただし、Aが置換又は非置換のフェニル基、又は置換又は非置換のナフチル基を表す。X
1〜X
4が独立してO、S、C(R
5)(R
6)、N(Ar)及びSi(R
7)(R
8)からなる群から選ばれた原子又は基の2価の架橋を表す。pが0〜10の整数を表す。qが0〜4の整数を表す。R1〜R
8、及びArがそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜30の置換又は非置換のアルキル基、炭素数6〜50の置換又は非置換のアリール基、炭素数6〜50の置換又は非置換のアラルキル基、及び炭素数3〜50の置換又は非置換のヘテロアリール基からなる群から選ばれたものを表す。
【0044】
本発明によると、好適な実施例において、この化合物は、下記の式(I-1)〜式(I-4)又は式(II-1)〜式(II-4)で示してもよい。
【0047】
ただし、R
9〜R
48がR1と同様に定義され、p、qが上記の式(I)及び式(II)について述べられたものと同様に定義され、Ar
1〜Ar
12が下記の式(III)で表す。
【0049】
ただし、Lが単結合を表し、環構成炭素数6〜30の置換又は非置換のアリーレン基(arylene group)、或いは環構成炭素数3〜30の置換又は非置換のヘテロアリーレン基(heterarylene group)である。Yが置換又は非置換のフェニル基、置換又は非置換のナフチル基、置換又は非置換のビフェニル基(biphenyl group)、置換又は非置換のカルバゾール基(carbazolyl group)、置換又は非置換のビスカルバゾール基(biscarbazolyl group)、置換又は非置換のジベンゾフラン基(dibenzofuranyl group)、置換又は非置換のビスベンゾチアゾール基(dibenzothiophenyl group)、置換又は非置換のトリアジン基(triazinyl group)、置換又は非置換のジアジン基(diazinyl group)、置換又は非置換のフェナントロリン基(phenanthroline group)、置換又は非置換のジヒドロアクリジン基(dihydroacridine group)、置換又は非置換のフェノチアジン基(phenothiazine group)、置換又は非置換のフェノキサジン基(phenoxazine group)、置換又は非置換のジヒドロフェナジン基(dihydrophenazine group)を表す。
【0050】
好適な実施例において、上記の式(III)化合物によると、Lは、下記のように示す基からなってもよい。
【0052】
好適な実施例において、上記の式(III)化合物によると、Yは、下記のように示す基からなってもよい。
【0056】
一実施例において、本発明の材料が下記のように示される。
【0069】
本発明に係る化合物の詳細な調製については、例示的な実施例によって説明することができるが、本発明はこれらに制限されない。実施例1〜5に本発明の化合物のある実施例の調製形態が示される。実施例6〜7に有機EL装置の製造や有機EL装置のテスト報告のI-V-B、半減期時間が示される。
【0070】
実施例1
2-(ビフェニル-2-イル)-7-ブロモ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン(2-(biphenyl-2-yl)-7-bromo-9,9-dimethyl-9H-fluorene)の合成
【0072】
35.2g(100mmol)の2,7-ジブロモ-9,9-ジメチル-9H-フルオレン(2,7-dibromo-9,9-dimethyl-9H-fluorene)、21.8g(110mmol)のビフェニル-2-イルボロン酸(biphenyl-2-yl boronicacid)、2.31g(2mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(tetrakis(triphenylphosphine)palladium;Pd(PPh
3)
4)、75mlの2M炭酸ナトリウム(Na
2CO
3)、150mlのエタノール(EtOH)及び300mlのトルエン(toluene)の混合物に対して脱気処理を行って窒素ガスに置き、その後で、100℃で12時間加熱した。反応が終了すると、混合物を室温まで冷却させた。有機層を酢酸エチル(ethylacetate)及び水で抽出し、無水硫酸マグネシウム(anhydrous magnesium sulfate)で乾燥させ、溶剤を除去し、シリカゲルを充填したカラムクロマトグラフィーで残物を精製させて、白い固体の生産物(26.8g、63.0mmol、収率63%)を得た。
【0073】
12-ブロモ-10,10-ジメチル-10H-インデノ[2,1-b]トリフェニレン(12-bromo-10,10-dimethyl-10H-indeno[2,1-b]triphenylene)の合成
【0075】
脱気処理され且つ窒素ガスの充填された3000mlの三つ口フラスコにおいて、26.8g(60mmol)の2-(ビフェニル-2-イル)-7-ブロモ-9,9-ジメチル-9H-フルオレンを無水ジクロロメタン(anhydrous dichloromethane)(1500ml)に溶解させ、その後で97.5g(600mmol)の塩化鉄(III)(Iron(III)chloride)を加え、混合物を1時間攪拌した。混合物に500mlのメタノールを加え、有機層を分離させて、真空中で溶剤を除去した。シリカゲルを充填したカラムクロマトグラフィー(へキサン-ジクロロメタン)で残物を精製させ、白い固体(10.7g、25.3mmol、収率40%)を得た。
1HNMR(CDCl
3,400MHz):化学シフト(ppm)8.95(s,1H),8.79〜8.74(m,2H),8.69〜8.68(m,3H),7.84(d,J=8.0Hz,1H),7.72〜7.65(m,5H),7.57(d,J=8.0Hz,1H),1.66(s,6H)。
【0076】
2-(10,10-ジメチル-10H-インデノ[2,1-b]トリフェニレン-12-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(2-(10,10-dimethyl-10H-indeno[2,1-b]triphenylen-12-yl)-4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolane)の合成
【0078】
10.7g(25.3mmol)の12-ブロモ-10,10-ジメチル-10H-インデノ[2,1-b]トリフェニレン、7.7g(30.3mmol)のビス(ピナコラト)ジボロン(bis(pinacolato)diboron)、0.3g(0.26mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、7.4g(75.4mmol)の酢酸カリウム(potassiumacetate)及び300mlの1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)の混合物に対して脱気処理を行って窒素ガスに置き、その後で90℃で16時間加熱した。反応が終了すると、混合物を室温まで冷却させた。有機相を分離させ、酢酸エチル及び水によって洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥した後で、真空中で溶剤を除去した。シリカゲルを充填したカラムクロマトグラフィー(へキサン-ジクロロメタン)で残物を精製させ、薄い黄色い固体の生産物(9.5g、20.2mmol、収率80%)を得た。
1HNMR(CDCl
3,400MHz):化学シフト(ppm)9.03(s,1H),8.81(d,J=7.84Hz,1H),8.77(d,J=7.88Hz,1H),8.70〜8.67(m,3H),8.02〜7.93(m,3H),7.71〜7.67(m,4H),1.69(s,6H),1.42(s,12H)。
【0079】
10,10-ジメチル-12-(2-ニトロフェニルスルフェニル)-10H-インデノ[2,1-b]トリフェニレン(10,10-dimethyl-12-(2-nitrophenyl)-10H-indeno[2,1-b]triphenylene)の合成
【0081】
9.5g(20.2mmol)の2-(10,10-ジメチル-10H-インデノ[2,1-b]トリフェニレン-12-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(2-(10,10-dimethyl-10H-indeno[2,1-b]triphenylen-12-yl)-4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolane)、4.3g(21mmol)の1-ブロモ-2-ニトロベンゾール(1-bromo-2-nitrobenzene)、0.44g(0.4mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、30mlの2M炭酸カルシウム、40mlのエタノール及び80mlのトルエンの混合物に対して脱気処理を行って窒素ガスに置き、その後で90℃で一夜加熱した。反応が終了すると、混合物を室温まで冷却させた。溶液を250mlの酢酸エチル及び1000mlの水で抽出した。無水硫酸マグネシウムで有機層を乾燥させ、減圧で溶剤を蒸発させた。シリカゲルを充填したカラムクロマトグラフィー(Hx-EA)で残物を精製させることで、5.5g(収率58%)の生産物を得た。
【0084】
5.5g(11.8mmol)の10,10-ジメチル-12-(2-ニトロフェニルスルフェニル)-10H-インデノ[2,1-b]トリフェニレン、30mlの亜りん酸トリエチル(triethylphosphite)、15mlの1,2-ジクロロベンゼン(1,2-dichloro-benzene)の混合物を窒素ガスに置き、その後で160℃で一夜加熱した。反応が終了すると、混合物を室温まで冷却させた。その後で200mlのメタノール(MeOH)を加えると共に、攪拌し沈殿物を吸引濾過した。シリカゲルを充填したカラムクロマトグラフィー(Hx-CH
2Cl
2)で精製させて、1.9g(収率37%)の黄色い生産物を得た。
【0087】
窒素ガスの条件で、1.9g(4.4mmol)の中間物I及び50mlのジメチルホルムアミド(N,N-Dimethylmethanamide;DMF)を混合させ、混合物に0.85g(35.2mmol)の水素添加ナトリウム(NaH)を緩やかに加えた。室温で混合物を30分間攪拌した。その後で混合物に3.5g(13.2mmol)の2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(2-chloro-4,6-diphenyl-1,3,5-triazine)を緩やかに加えた。室温で混合物を24時間攪拌した。反応が終了すると、200mlの冷水を加えると共に、攪拌し沈殿物を吸引濾過した。酢酸エチルで再結晶を行って、1.4g(収率48%)の黄色い生産物を得た。MS(m/z,FAB
+):664.5;
1HNMR(CDCl
3,400MHz):化学シフト(ppm)9.02(s,1H),8.83〜8.75(m,5H),8.54〜8.48(m,4H),8.42〜8.23(m,2H),8.07〜7.98(m,6H),7.87〜7.81(m,2H),7.76〜7.51(m,5H),7.38〜7.28(d,J=8.0Hz,1H),1.83(s,6H)。
【0090】
15.7g(36.2mmol)の中間物I、10.2g(36.2mmol)の1-ブロモ-3-ヨードベンゼン(1-bromo-3-iodobenzene)、17.1g(90mmol)のヨウ化銅(I)(copper(I)iodide)、19.1g(90mmol)のリン酸カリウム(potassium phosphate)、10.3g(90mmol)のトランス-1,2-シクロヘキサンジアミン(trans-1,2-cyclohexanediamine)及び700mlの1,4-ジオキサンの混合物を窒素ガス下で約一夜回流させた。その後で110℃で溶液を濾過して濾過液を得、減圧で濾過液から1,4-ジオキサンを除去した。500mlのジクロロメタン及び2000mlの水で濾過液を抽出し、無水硫酸マグネシウムで有機層を乾燥させ、溶剤を除去し、シリカゲルを充填したカラムクロマトグラフィー(へキサン-酢酸エチル)で残物を精製させ、12.1g(収率57%)の生産物を得た。
【0093】
12.1g(20.6mmol)の中間物II、7.8g(31mmol)のビス(ピナコラト)ジボロン、0.48g(0.4mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、4.1g(41.2mmol)の酢酸カリウム及び200mlの1,4-ジオキサンの混合物に対して脱気処理を行って窒素ガスに置き、その後で90℃で24時間加熱した。反応が終了すると、混合物を室温まで冷却させた。酢酸エチル及び水で有機層を抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶剤を除去し、フラッシング液としてへキサンと酢酸エチルとの混合溶液を選用し、カラムクロマトグラフィーによって生産物を精製させ、8.2gの薄い黄色い生産物(収率63%)を得た。
【0096】
6.4g(10.1mmol)の中間物III、5.4g(20mmol)の2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、0.22g(0.2mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、15mlの2M炭酸ナトリウム、20mlのエタノール及び40mlのトルエンの混合物に対して脱気処理を行って窒素ガスに置き、その後で90℃で一夜加熱した。反応が終了すると、混合物を室温まで冷却させた。その後で100mlのメタノールを加えると共に、攪拌し沈殿物を吸引濾過した。トルエンによって再結晶を行って、4g(収率53%)の黄色い生産物を得た。MS(m/z,FAB
+):740.4
1HNMR(CDCl
3,400MHz):化学シフト(ppm)9.02(s,1H),8.81〜8.72(m,6H),8.52〜8.43(m,8H),8.42〜8.23(m,2H),8.07〜7.98(m,6H),7.87〜7.83(m,2H),7.66〜7.51(m,5H),1.79(s,6H)。
【0097】
実施例3
3-(ビフェニル-2-イル)-6-ブロモ-9-フェニル-9H-カルバゾール(3-(biphenyl-2-yl)-6-bromo-9-phenyl-9H-carbazole)の合成
【0099】
40.1g(100mmol)の3,6-ジブロモ-9-フェニル-9H-カルバゾール(3,6-dibromo-9-phenyl-9H-carbazole)、21.8g(110mmol)のビフェニル-2-イルボロン酸、2.31g(2mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、75mlの2M炭酸ナトリウム、150mlのエタノール及び300mlのトルエンの混合物に対して脱気処理を行って窒素ガスに置き、その後で100℃で12時間加熱した。反応が終了すると、混合物を室温まで冷却させた。酢酸エチル及び水で有機層を抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶剤を除去し、シリカゲルを充填したカラムクロマトグラフィーで残物を精製させて、白い固体の生産物(19.9g、42.0mmol、収率42%)を得た。
【0100】
13-ブロモ-10-フェニル-10H-フェナントロ[9,10-b]カルバゾール(13-bromo-10-phenyl-10H-phenanthro[9,10-b]carbazole)の合成
【0102】
脱気処理され且つ窒素ガスの充填された3000mlの三つ口フラスコにおいて、19.9g(42mmol)の3-(ビフェニル-2-イル)-6-ブロモ-9-フェニル-9H-カルバゾール(3-(biphenyl-2-yl)-6-bromo-9-phenyl-9H-carbazole)を無水ジクロロメタン(1000ml)に溶解させ、その後で68.2g(420mmol)の塩化鉄(III)を加え、混合物を10分間攪拌した。混合物に300mlのメタノールを加え、有機層を分離させ、真空中で溶剤を除去した。シリカゲルを充填したカラムクロマトグラフィー(へキサン-ジクロロメタン)で残物を精製させ、白い固体(14.5g、30.7mmol、収率73%)を得た。
【0103】
10-フェニル-13-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-10H-フェナントロ[9,10-b]カルバゾール(10-phenyl-13-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)-10H-phenanthro[9,10-b]carbazole)の合成
【0105】
14.5g(30.7mmol)の13-ブロモ-10-フェニル-10H-フェナントロ[9,10-b]カルバゾール、11.8g(46mmol)のビス(ピナコラト)ジボロン、0.46g(0.4mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、11.3g(115.4mmol)の酢酸カリウム及び300mlの1,4-ジオキサンに対して脱気処理を行い窒素ガスに置き、その後で120℃で16時間加熱した。反応が終了すると、混合物を室温まで冷却させた。有機相を分離させ、酢酸エチル及び水によって洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥した後で、真空中で溶剤を除去した。シリカゲルを充填したカラムクロマトグラフィー(へキサン-酢酸エチル)で残物を精製させ、薄い黄色い固体の生産物(11.5g、22.1mmol、収率72%)を得た。
【0106】
13-(2-ニトロフェニルスルフェニル)-10-フェニル-10H-フェナントロ[9,10-b]カルバゾール(13-(2-nitro-phenyl)-10-phenyl-10H-phenanthro[9,10-b]carbazole)の合成
【0108】
11.5g(22.1mmol)の10-フェニル-13-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-10H-フェナントロ[9,10-b]カルバゾール、5.4g(26.5mmol)の1-ブロモ-2-ニトロベンゾール、0.44g(0.4mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、30mlの2M炭酸ナトリウム、40mlのエタノール及び80mlのトルエンの混合物に対して脱気処理を行って窒素ガスに置き、その後で90℃で一夜加熱した。反応が終了すると、混合物を室温まで冷却させた。溶液を250mlの酢酸エチル及び500mlの水で抽出した。無水硫酸マグネシウムで有機層を乾燥させ、減圧で溶剤を蒸発させた。シリカゲルを充填したカラムクロマトグラフィー(Hx-EA)で残物を精製させ、7.8g(収率69%)の生産物を得た。
【0111】
7.8g(15.2mmol)の12-(2-ニトロフェニルスルフェニル)-10-フェニル-10H-フェナントロ[9,10-b]カルバゾール(12-(2-nitrophenyl)-10-phenyl-10H-phenanthro[9,10-b]carbazole)、50mlの亜りん酸トリエチル、20mlの1,2-ジクロロベンゼンの混合物を窒素ガスに置きその後で160℃で一夜加熱した。反応が終了すると、混合物を室温まで冷却させた。その後で200mlのメタノールを加えると共に、攪拌し沈殿物を吸引濾過した。シリカゲルを充填したカラムクロマトグラフィー(Hx-CH
2Cl
2)で精製させて、4.3g(収率59%)の黄色い生産物を得た。
【0114】
窒素ガスの条件で、4.3g(8.9mmol)の中間物Aと50mlのジメチルホルムアミドとを混合させ、混合物に0.86g(35.6mmol)の水素添加ナトリウムを緩やかに加えた。室温で混合物を30分間攪拌した。その後で混合物に3.5g(13.2mmol)の2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジンを緩やかに加えた。室温で混合物を24時間攪拌した。反応が終了すると、200mlの冷水を加えると共に、攪拌し沈殿物を吸引濾過した。酢酸エチルで再結晶を行って、2.7g(収率43%)の黄色い生産物を得た。MS(m/z,FAB
+):713.6;
1HNMR(CDCl
3,400MHz):化学シフト(ppm)9.12(s,1H),8.89〜8.83(m,2H),8.76(d,J=8.00Hz,2H),8.61〜8.56(m,4H),8.45(d,J=9.20Hz,2H),8.03〜7.92(m,6H),7.89〜7.83(m,2H),7.78〜7.64(m,6H),7.50〜7.44(m,4H),7.36〜7.29(m,2H)。
【0115】
実施例4
3,8-ジブロモ-11,12-ジヒドロインドロ[2,3-a]カルバゾール(3,8-dibromo-11,12-dihydro-indolo[2,3-a]carbazole)の合成
【0117】
脱気処理され且つ窒素ガスの充填された1000mlの三つ口フラスコにおいて、44.7g(200mmol)の4-ブロモフェニルヒドラジン塩酸塩(4-Bromophenylhydrazinehydrochloride)、11.2g(100mmol)のシクロへキサン-1,2-ジオン(cyclohexane-1,2-dione)を500mlのエタノールに溶解させ、室温で溶液に5mlの硫酸(sulfuricacid;H
2SO
4)を一滴ずつ加え、その後で80℃で4時間加熱した。反応が終了すると、混合物を室温まで冷却させた。得られた固体を濾過し、エタノールで洗浄して38gの赤い粉末を得た。38gの赤い粉末を380mlの氷酢酸に溶解させ、その後で38gのトリフルオロ酢酸(trifluoroacetic acid;TFA)を加え、その後で100℃で24時間加熱した。反応が終了すると、混合物を室温まで冷却させた。得られた固体を濾過し、へキサン(hexane)及びエタノールで洗浄し、15.3g(収率37%)の生産物を得た。
【0118】
3,8-ジ(ビフェニル-2-イル)-11,12-ジヒドロインドロ[2,3-a]カルバゾール(3,8-di(biphenyl-2-yl)-11,12-dihydroindolo[2,3-a]carbazole)の合成
【0120】
15.3g(37mmol)の3,8-ジブロモ-11,12-ジヒドロインドロ[2,3-a]カルバゾール(3,8-dibromo-11,12-dihydroindolo[2,3-a]carbazole)、18.3g(92.4mmol)のビフェニル-2-イルボロン酸、0.86g(0.8mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、55mlの2M炭酸ナトリウム、100mlのエタノール及び200mlのトルエンの混合物に対して脱気処理を行って窒素ガスに置き、その後で100℃で24時間加熱した。反応が終了すると、混合物を室温まで冷却させた。酢酸エチル及び水で有機層を抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶剤を除去し、シリカゲルを充填したカラムクロマトグラフィーで残物を精製させて、生産物(12.2g、21.8mmol、収率59%)を得た。
【0123】
脱気処理され且つ窒素ガスの充填された2000mlの三つ口フラスコにおいて、12.2g(21.8mmol)の3,8-ジ(ビフェニル-2-イル)-11,12-ジヒドロインドロ[2,3-a]カルバゾールを無水ジクロロメタン(500ml)に溶解させ、その後で34.1g(210mmol)の塩化鉄(III)を加え、混合物を10分間攪拌した。混合物に100mlのメタノールを加え、有機層を分離させ、真空中で溶剤を除去した。シリカゲルを充填したカラムクロマトグラフィー(へキサン-ジクロロメタン)で残物を精製させ、黄色固体(4.3g、収率36%)を得た。
【0126】
窒素ガスで、4.3g(7.7mmol)の中間物Bと1.73g(8.5mmol)ヨードベンゼン(iodobenzene)、8.5g(62mmol)の炭酸カリウム(potassium carbonate)、3.9g(62mmol)の銅及び50mlのジメチルホルムアミドを共にフラスコに加えた。反応物を160℃に加熱し48時間続けた。混合物を室温まで冷却させ、300mlのジクロロメタン(dichloromethane;CH
2Cl
2)で希釈し、混合物に300mlの水を加えた。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮した後で得られた粗生産物を、更にクロマトグラフィーで精製させて、1.8gの生産物(収率37%)を得た。
【0129】
窒素ガスの条件で、1.8g(2.9mmol)の中間物C及び30mlのジメチルホルムアミドを混合させ、混合物に0.56g(23.2mmol)の水素添加ナトリウムを緩やかに加えた。室温で混合物を30分間攪拌した。その後で混合物に2.4g(8.7mmol)の2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジンを緩やかに加えた。室温で混合物を24時間攪拌した。反応が終了すると、200mlの冷水を加えると共に、攪拌し沈殿物を吸引濾過した。酢酸エチルで再結晶を行って、1.3g(収率51%)の黄色い生産物を得た。MS(m/z,FAB
+):864.2;
1HNMR(CDCl
3,400MHz):化学シフト(ppm)9.09(s,2H),8.97〜8.93(m,4H),8.57〜8.41(m,7H),8.23(d,J=8.0Hz,2H),8.13〜7.92(m,8H),7.89〜7.83(m,2H),7.78〜7.64(m,6H),7.45〜7.39(m,4H),7.36〜7.29(m,2H)。
【0132】
4.3g(10mmol)の中間物I、4.8g(15mmol)の3-ブロモ-9-フェニル-9H-カルバゾール(3-bromo-9-phenyl-9H-carbazole)、0.05g(0.2mmol)の酢酸パラジウム(II)(palladium(II)acetate)、0.15g(0.4mmol)の2-(ジシクロヘキシルホスフィン)ビフェニル(2-(dicyclohexylphosphino)-biphenyl)、2g(20mmol)のナトリウムt-ブトキシド(sodiumtert-butoxide)及び100mlのo-キシレン(o-xylene)を窒素ガスで一夜回流させた。反応が終了すると、100℃で溶液を濾過し、濾過液を得、濾過液を1Lのメタノールに加えるすると共に、攪拌し沈殿物を吸引濾過した。トルエンによって再結晶を行って、3.2g(収率48%)の黄色い生産物を得た。MS(m/z,FAB
+):674.5;
1HNMR(CDCl
3,400MHz):化学シフト(ppm)9.11(s,1H),8.76〜8.71(m,6H),8.51〜8.46(m,8H),8.21〜8.14(m,6H),7.87〜7.83(m,2H),7.64〜7.54(m,5H),1.73(s,6H)。
【0133】
有機EL装置を製造する一般的な方法
本発明によると、インジウムスズ酸化物(indiumtinoxide;ITO)により塗布されたガラス(以下、ITO基材)を提供し、電気抵抗が9Ω/sq(ohm/square)〜12Ω/sqで厚さが120nm〜160nmであり、超音波バスにおいて複数の洗浄工程(例えば、洗浄剤、脱イオン水)によって洗浄する。有機層の気相堆積過程を行う前に、UV及びオゾンによって、洗浄されたITO基材を更に処理する。ITO基材に用いられるすべての前処理の過程は、何れもクリーンルーム(100クラス)の雰囲気で行う。
【0134】
気相堆積によって高真空ユニット(10
-7torr)(例えば、電気抵抗加熱用石英ボート(resistively heated quartz boats))において、これらの有機層を順次にITO基材に塗布する。石英結晶モニタ(quartz-crystal monitor)によって対応する層の厚さ及び気相堆積速度(0.1nm/sec〜0.3nm/sec)を正確に監視又は設定する。上記のように、1種以上の化合物からなる層もあり、つまり、一般的にはドープ剤材料のホスト材料がドープされる。このような材料は、2つ以上の来源による共気化(co-vaporization)で達成される。
【0135】
ジピラジノ[2,3-f:2,3-]キノキサリン-2,3,6,7,10,11-ヘキサカルボニトリル(Dipyrazino[2,3-f:2,3-]quinoxaline-2,3,6,7,10,11-hexacarbonitrile,HAT-CN)は、この有機EL装置において、正孔注入層として用いられる。N,N-ビス(ナフタリン-1-イル)-N,N-ビス(フェニル)-ベンジジン(N,N-Bis(naphthalene-1-yl)-N,N-bis(phenyl)-benzidine;NPB)は、よく正孔輸送層として用いられる。10,10-ジメチル-12-(4-(ピレン-1-イル)フェニル)-10H-インデノ[1,2-b]トリフェニレン(10,10-Dimethyl-12-(4-(pyren-1-yl)phenyl)-10H-indeno[1,2-b]triphenylene、モデルPT-312、米国第20140175384号特許出願参照)は青色光発光ホスト(blue emitting host)として用いられ、N1,N1,N6,N6-テトラ-m-トリルピレン-1,6-ジアミン(N1,N1,N6,N6-tetram-tolylpyrene-1,6-diamine)(D1)は青色光客体(blue guest)として用いられる。有機EL装置において、2-(10,10-ジメチル-10H-インデノ[2,1-b]トリフェニレン-13-イル)-9-フェニル-1,10-フェナントロリン(2-(10,10-dimethyl-10H-indeno[2,1-b]triphenylen-13-yl)-9-phenyl-1,10-phenanthroline)は電子輸送材料(ET1)として5%のリチウム金属(Li)と共に共堆積(codeposition)を行い、2-(10,10-ジメチル-10H-インデノ[2,1-b]トリフェニレン-12-イル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(2-(10,10-dimethyl-10H-indeno[2,1-b]triphenylen-12-yl)-4,6-diphenyl-1,3,5-triazine)は電子輸送材料(ET2)として8-ヒドロキシキノリナト-リチウム(8-hydroxyquinolato-lithium;LiQ)と共に共堆積を行う。ビス(2-メチル-8-キノリン)-4-(フェニル基フェノラート)アルミニウム(Bis(2-methyl-8-quinolinolate)-4-(phenylphenolato)aluminium,BAlq)は正孔遮断材料(holeblockingmaterial;HBM)及び燐光系の燐光ホスト(phosphorescent host)として用いられ、ビス(2-フェニルピリジナト)(2,4-ジフェニルピリジナト)イリジウム(III)(Bis(2-phenyl-pyridinato)(2,4-diphenylpyridinato)iridium(III))(D2)は燐光ドープ剤として用いられる。4-(10,10-ジメチル-10H-インデノ[2,1-b]トリフェニレン-13-イル)ジベンゾ[b,d]チオフェン(4-(10,10-dimethyl-10H-indeno[2,1-b]triphenylen-13-yl)dibenzo[b,d]thiophene)(H1)は燐光発光ホストとして、本発明の実施例1〜4と共に共堆積を行う。基準有機EL装置制御ユニットを発生するための従来技術のOLED材料及び本発明の従来技術と比較するための材料は、化学構造が下記である。
【0141】
典型的な有機EL装置は、低仕事関数の金属(例えば、Al、Mg、Ca、Li及びK)からなり、熱蒸着によって陰極となり、低仕事関数の金属によって電子が陰極から電子輸送層に注入される。また、電子注入の障害を減少させ、有機EL装置の性能を改善するために、陰極と電子輸送層との間に薄膜電子注入層が導入される。電子注入層の普通の材料は、例えば、LiF、LiQ、MgO又はLi
2Oのような、低仕事関数を有する金属ハロゲン化物又は金属酸化物である。一方、有機EL装置の製造後、PR
650スペクト走査分光計(PR
650 spectra scan spectrometer)によってELスペクト(EL spectra)及びCIE座標(CIE coordination)を測定する。また、ケースレー2400プログラマブル電圧-電流源(Keithley 2400 programmable voltage-current source)によって電流/電圧(current/voltage)、発光/電圧(luminescence/voltage)及び歩留まり/電圧(yield/voltage)の特性を取得する。上記設備は、室温(約25℃)及び大気圧の雰囲気で操作される。
【0142】
実施例6
図1を参照する。上記方法と同様なプロセスによって、下記装置構造を有する青色蛍光発出(fluorescent blue-emitting)の有機EL装置を発生させた。ITO/HAT-CN(20nm)/NPB(130nm)/ドープ5%D1のPT-312(30nm)/HBM(正孔遮断材料(5nm)/ET1 共堆積5%Li/Al(160nm)。青色蛍光発出の有機EL装置のテスト報告におけるI-V-B(1000ニト(nit)の場合)及び半減期時間は、表1に示す。半衰期は、1000cd/m
2の初期輝度が半分の輝度に低下する場合に必要な時間と定義される。
【0144】
実施例7
図1を参照する。上記方法と同様なプロセスによって、下記装置構造を有する燐光発出(phosphorescent emitting)の有機EL装置を発生させた。ITO/HAT-CN(20nm)/NPB(130nm)/燐光ホスト(PHhost)+15%D2(30nm)/HBM(15nm)/ET2 共堆積LiQ(ET2:LiQ、比率=1:1)(40nm)/LiQ(1nm)/Al(160nm)。燐光発出の有機EL装置のテスト報告におけるI−V−B(1000ニトの場合)及び半減期時間は、表2に示す。半衰期は、3000cd/m
2の初期輝度の輝度の場合に必要な時間と定義される。
【0146】
表1及び表2に示すものを参照されたい。上記有機EL装置のテスト報告の具体的な好適な実施例において、本発明に係る式(I)及び式(II)化合物は、従来技術のOLED材料と比べると、確かに良好な性能を持つことが判明された。
【0147】
以上をまとめると、本発明は、有機EL装置に用いられる化合物を開示する。より詳しくは、本発明の化合物を燐光発光ホスト、正孔遮断層又は正孔遮断電子輸送層として使用する有機EL装置である。前記化合物は、下記の式(I)又は式(II)で示す。
【0149】
ただし、Aが置換又は非置換のフェニル基、置換又は非置換のナフチル基を表す。X
1〜X
4それぞれ独立して表示から選ばれたO、S、C(R
5)(R
6)、N(Ar)及びSi(R
7)(R
8)からなる群中の原子又は基の2価の架橋;pが0〜10の整数を表す。qが0〜4の整数を表す。R
1〜R
8及びArそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜30の置換又は非置換のアルキル基、炭素数6〜50の置換又は非置換のアリール基、炭素数6〜50の置換又は非置換のアラルキル基、及び炭素数3〜50の置換又は非置換のヘテロアリール基からなる群から選ばれたものである。