(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-148118(P2016-148118A)
(43)【公開日】2016年8月18日
(54)【発明の名称】ドクター装置
(51)【国際特許分類】
D21G 3/00 20060101AFI20160722BHJP
【FI】
D21G3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2015-24110(P2015-24110)
(22)【出願日】2015年2月10日
(71)【出願人】
【識別番号】314016281
【氏名又は名称】株式会社J−SONIC
(74)【代理人】
【識別番号】100098936
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100098888
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 明子
(72)【発明者】
【氏名】武田 剛
【テーマコード(参考)】
4L055
【Fターム(参考)】
4L055CG23
4L055FA22
(57)【要約】
【課題】ドクターブレードの交換時期を目視に頼らず正確に判断することができるドクター装置を提供する。
【解決手段】ドクターブレード15が摩耗するに従って、ドクターブレード15がフィンガープレート9と共に加圧方向(反時計回りの方向)へ旋回する。そして、ドクターブレード15の刃先が一定以上摩耗すると、作用杆27がリミットスイッチ31のスイッチ部33を押圧する。リミットスイッチ31のスイッチ部33が押圧されると、検知信号が発信される。そして、この検知信号は操作盤35を介して総括制御盤37へ伝達されて、監視モニタ39にNo.2のドクター装置1のドクターブレード15の刃先が一定以上摩耗したことが表示される。このように、ドクターブレード15の交換時期を目視に頼らず正確に判断することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドクターブレードと、前記ドクターブレードを保持するブレード保持体と、前記ブレード保持体を回動自在に支持する回動支持手段と、前記回動支持手段を挟んで前側に備えられたブレード開放用チューブと、後側に備えられたブレード加圧用チューブとを有し、前記ドクターブレードの刃先を抄紙機ロール等のロール表面に圧接して、前記ロール表面に付着した紙滓等の異物を掻き取るドクター装置において、前記ドクターブレードの刃先が一定以上摩耗したことを検知して検知信号を発信する前記検知手段を備えたことを特徴とするドクター装置。
【請求項2】
請求項1に記載したドクター装置において、検知手段はブレード保持体に設けられて下方へ突出する作用部と、ドクターブレードが一定以上摩耗してブレード保持体がブレード開放用チューブを圧縮する方向へ一定以上傾くと前記作用部によって押されるスイッチ部を有するリミットスイッチによって構成されていることを特徴とするドクター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドクター装置に係り、特にドクターブレードの刃先を抄紙機ロール等のロール表面に圧接して、ロール表面に付着した紙滓等の異物を掻き取るドクター装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のドクター装置には特許文献1に示すものがあり、ドクター装置は抄紙機ロール毎に配置され、一つの工場で数十機のドクター装置が備えられていることも珍しくはない。ドクター装置のドクターブレードは摩耗すると掻き取り性能が低下するため交換する必要がある。
従来、ドクターブレードを交換するか否かは目視によって判断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−207062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ドクターブレードの交換時期を目視によって正確に判断するのは殆ど不可能であり、何十機というドクター装置のドクターブレードの交換時期を管理するのは困難である。特に抄紙機の作動中において作業員が出入りするのが難しい場所もあり、ドクターブレードを目視できない場合もある。
本発明は上記従来の問題点に着目して為されたものであり、ドクターブレードの交換時期を目視に頼らず正確に判断することができるドクター装置の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、請求項1の発明は、ドクターブレードと、前記ドクターブレードを保持するブレード保持体と、前記ブレード保持体を回動自在に支持する回動支持手段と、前記回動支持手段を挟んで前側に備えられたブレード開放用チューブと、後側に備えられたブレード加圧用チューブとを有し、前記ドクターブレードの刃先を抄紙機ロール等のロール表面に圧接して、前記ロール表面に付着した紙滓等の異物を掻き取るドクター装置において、前記ドクターブレードの刃先が一定以上摩耗したことを検知して検知信号を発信する前記検知手段を備えたことを特徴とするドクター装置である。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載したドクター装置において、検知手段はブレード保持体に設けられて下方へ突出する作用部と、ドクターブレードが一定以上摩耗してブレード保持体がブレード開放用チューブを圧縮する方向へ一定以上傾くと前記作用部によって押されるスイッチ部を有するリミットスイッチによって構成されていることを特徴とするドクター装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明のドクター装置では、ドクターブレードの交換時期を目視に頼らず正確に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態に係るドクター装置の部分斜視図である。
【
図2】
図1のドクター装置の動作を説明するための図である。
【
図3】
図1のドクター装置の検知動作を説明するための図である。
【
図4】
図1のドクター装置をコントロールするシステムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態に係るドクター装置1を図面にしたがって説明する。このドクター装置1は製紙工場の製造ラインに備えられるものである。
符号3は天板部を示し、この天板部3上にはボトムプレート5が備えられている。ボトムプレート5の両端部には連結ロッド7が架け渡されており、この連結ロッド7はフィンガープレート9の支持穴10に通されている。従って、フィンガープレート9は連結ロッド7に回動可能に支持されている。連結ロッド7と支持穴10によって回動支持手段が構成されている。
【0010】
フィンガープレート9の前端には前端顎部11が形成されている。また、フィンガープレート9の上面にはトッププレート13が固定されており、フィンガープレート9とトッププレート13と前端部分には差し込み溝17が形成されている。
符号15はドクターブレードを示し、このドクターブレード15の後端部分は差し込み溝17に差し込まれて、トッププレート13の前端縁と前側顎部11の間に挟まれている。
フィンガープレート9とトッププレート13によってブレード保持体が構成されている。
【0011】
また、フィンガープレート9とボトムプレート5との間には、ブレード開放用チューブ19とブレード加圧用チューブ21が備えられている。連結ロッド7と支持穴10を挟んで、ブレード開放用チューブ19は前側に備えられ、ブレード加圧用チューブ21は後側に備えられている。これらのチューブ19、21は可撓性材料によって構成されている。
そして、ブレード開放用チューブ19側を膨張させると、ドクターブレード15が連結ロッド7を中心として製紙装置のロール23の表面25から離れる方向、すなわち開放方向に旋回する。また、ブレード加圧用チューブ21を膨張させると、ドクターブレード15は、連結ロッド7を中心としてロール23の表面25に押し付けられる方向、すなわち加圧方向に旋回する。
【0012】
フィンガープレート9には下方へ突出する作用部としての作用杆27が設けられており、作用杆27は天板部3に形成された穴29を通り、その下端部が天板部3の下面から突出している。
天板部3の下面にはリミットスイッチ31が取り付けられており、このリミットスイッチ31のスイッチ部33は作用杆27の下端部に対向している。
作用杆27とリミットスイッチ31によって検知手段が構成されている。
【0013】
図4に示すように、リミットスイッチ31はドクター装置1の操作盤35を介して、統括制御盤37に接続されている。
ドクター装置1の統括制御盤37は工場の運転室に設けられた操作タッチパネル41に接続されている。なお、運転室には各ドクター装置1の動作状況を監視するための監視モニタ39や操作タッチパネル41が備えられている。また、統括制御盤37はドクター装置1が備えられる製造ラインを構成する装置の動作をコントロールするラインコントローラ43に接続されている。
上記構成と同じドクター装置1がNo.1〜No.7の7台、工場内に配置されている。
【0014】
ドクター装置1の動作について説明する。
図2に示すようにドクターブレード15がロール23に摺接して、ロール23の表面25に付着する紙滓等の異物を掻き取る。
図3に示すようにドクターブレード15が摩耗するに従って、ドクターブレード15がフィンガープレート9と共に加圧方向(反時計回りの方向)へ旋回する。そして、ドクターブレード15の刃先が一定以上摩耗すると、作用杆27がリミットスイッチ31のスイッチ部33を押圧する。
【0015】
リミットスイッチ31のスイッチ部33が押圧されると、検知信号が発信される。そして、この検知信号は操作盤35を介して総括制御盤37へ伝達されて、監視モニタ39に例えばNo.2のドクター装置1のドクターブレード15の刃先が一定以上摩耗したことが表示される。これを、図示しないランプやブザー等によって報知する。
このように、ドクターブレード15の交換時期を目視に頼らず正確に判断することができる。
【0016】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
例えば、上記実施の形態では作用杆とリミットスイッチによって検知手段を構成したが、本発明はこれに限定されず、メカニカルバルブ、光センサ等によって検知手段を構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明のドクター装置は機械製造業において利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0018】
1…ドクター装置 3…天板部
5…ボトムプレート 7…連結ロッド
9…フィンガープレート 10…支持穴
11…前端顎部 13…トップレート
15…ドクターブレード
17…差し込み溝 19…ブレード開放用チューブ
21…ブレード加圧用チューブ
23…ロール 25…ロールの表面 27…作用杆
29…天板部の穴 31…リミットスイッチ
33…スイッチ部 35…ドクター装置の操作盤
37…統括制御盤 39…監視モニタ
41…操作タッチパネル