(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-148119(P2016-148119A)
(43)【公開日】2016年8月18日
(54)【発明の名称】サポーター
(51)【国際特許分類】
A41D 13/08 20060101AFI20160722BHJP
A41D 13/05 20060101ALI20160722BHJP
A41D 13/06 20060101ALI20160722BHJP
A63B 71/08 20060101ALI20160722BHJP
【FI】
A41D13/08
A41D13/05 143
A41D13/06
A41D13/08 108
A41D13/08 107
A41D13/05 162
A63B71/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-24324(P2015-24324)
(22)【出願日】2015年2月10日
(71)【出願人】
【識別番号】513082812
【氏名又は名称】笠井 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100077780
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 泰甫
(74)【代理人】
【識別番号】100106024
【弁理士】
【氏名又は名称】稗苗 秀三
(74)【代理人】
【識別番号】100167841
【弁理士】
【氏名又は名称】小羽根 孝康
(74)【代理人】
【識別番号】100168376
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 清隆
(72)【発明者】
【氏名】笠井 浩一
【テーマコード(参考)】
3B011
【Fターム(参考)】
3B011AA10
3B011AA11
3B011AA13
3B011AA14
3B011AB18
3B011AC04
3B011AC17
3B011AC22
(57)【要約】
【課題】関節や筋肉部分を均一に締め付けて保護することのできるサポーターの提供。
【解決手段】伸縮性を有する布状のサポーター本体4を設ける。サポーター本体4に加圧袋5を止着する。加圧袋5の袋内部に流体を収容する。サポーター1を人体の関節や筋肉部分に装着する。サポーター本体4による締め付け力で、加圧袋5を介して、関節や筋肉部分を締め付ける。パスカルの原理により、加圧袋5が関節や筋肉部分を均一に加圧して締め付け保護する。均一に加圧することにより、関節における潤滑性の再生を図る。腱や筋肉、関節包などの軟部組織の可動性を改善する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の関節や筋肉部分に装着して締め付け保護可能なサポーターであって、伸縮性を有する布状のサポーター本体に、前記関節や筋肉部分を加圧可能な加圧袋が止着され、該加圧袋は、その袋内部に流体が収容されたことを特徴とするサポーター。
【請求項2】
前記サポーター本体の締め付け力を受けて加圧袋を関節や筋肉部分に向けて押圧する押圧板が設けられたことを特徴とする請求項1に記載のサポーター。
【請求項3】
前記押圧板は、可撓性を有する可撓板とされたことを特徴とする請求項2に記載のサポーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の関節や筋肉部分に装着して締め付け保護可能なサポーターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、人体の関節や筋肉部分を保護するサポーターは、例えばゴムを織り込んだ伸縮性を有する布製とされ、関節や筋肉部分に装着して締め付けることにより、関節や筋肉部分を適切な範囲で動くようにすると共に、関節部分や筋肉部分の骨格を安定させ、外力に対して関節や筋肉部分を保護するようになっている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−104139号公報(段落番号0011、0029)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、伸縮性を有する布製のサポーターを関節や筋肉部分に装着した際、サポーターの各部位の伸び量にバラつきが生じやすく、サポーターによる締め付け力が不均一になって、関節や筋肉部分を適切に保護しにくくなるおそれがある。
【0005】
本発明は、関節や筋肉部分を均一に締め付けて保護することのできるサポーターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るサポーターは、人体の関節や筋肉部分に装着して締め付け保護可能なものであり、伸縮性を有する布状のサポーター本体に、関節や筋肉部分を加圧可能な加圧袋を止着し、その加圧袋の袋内部に流体を収容したものである。
【0007】
上記構成によれば、サポーター本体に、関節や筋肉部分を加圧可能な加圧袋を止着するので、この加圧袋を介して、サポーター本体による締め付け力で関節や筋肉部分を締め付けて保護することができる。さらに、加圧袋の袋内部に流体を収容するので、パスカルの原理により、加圧袋の内部から外面に向けて均一な圧力を作用させることができ、加圧袋で関節や筋肉部分を均一に加圧して締め付けることができる。
【0008】
しかも、加圧袋で均一に加圧することにより、関節の内圧を高めて滑液の分泌を促進し、関節における潤滑性の再生を図ることができ、また、腱や筋肉、関節包などの軟部組織の可動性を改善することができる。これにより、例えば日常生活において、本発明のサポーターを装着しておくだけで、外力などから関節や筋肉部分を保護することができることに加えて、関節や筋肉部分の整復効果をも得ることができる。
【0009】
ここで、加圧袋に収容する流体としては、気体や液体、粉体など、全体として流動性を有するものであればどのようなものであってもよいが、特に、水などの非圧縮性の流体が好ましい。また、加圧袋に適度の粘性を有する流体を収容することにより、サポーター本体を締め付けるときの加圧袋の形状変化を緩やかにすることができ、その分、サポーターの装着を容易にすることができる。
【0010】
非圧縮性の流体を収容した加圧袋は、サポーター本体から過度の力を受けた部位が凹んだ場合に、その分だけ他の部位が膨らんでサポーター本体から大きな力を受けるので、加圧袋の一部だけが大きく凹むのを阻止することができる。これにより、加圧袋の一部が内部の流体を排除する程度まで大きく凹むのを阻止して、サポーター本体が加圧袋の流体を介することなく関節や筋肉部分を直接に締め付けるのを防止することができる。
【0011】
また、サポーター本体の締め付け力を受けて加圧袋を関節や筋肉部分に向けて押圧する押圧板を設けるようにしてもよい。
【0012】
この構成によれば、加圧袋を押圧する押圧板を設けるので、伸縮性を有するサポーター本体が加圧袋を直接に締め付ける場合のように、締め付け力の強い部位だけが大きく変形するのを防止することができ、加圧袋の全体を効率よく関節や筋肉部分に向けて押圧することができる。なお、サポーター本体とは別体の押圧板を設ける代わりに、サポーター本体とは別体の布を付加したり、サポーター本体のうちの加圧袋を押圧する部位の剛性を高めたりしてもよく、さらに、加圧袋を押圧する部位の剛性を高めることなく、伸縮性を有するサポーター本体で、そのまま加圧袋を押圧するようにしてもよい。
【0013】
また、押圧板を、可撓性を有する可撓板としてもよい。
【0014】
この構成によれば、可撓性の押圧板で加圧袋を押圧するので、サポーター本体による締め付け力が強い部位だけを大きく変形させることなく、押圧板を加圧袋の変形に追従させることができ、加圧袋を滑らかに変形させることができる。なお、押圧板を複数に分割することによって、押圧板の可撓性を抑えつつ、複数の押圧板を全体として自由に変形させるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
以上のとおり、本発明によると、サポーター本体に、流体を収容した加圧袋を止着し、この加圧袋を介して関節や筋肉部分を加圧できるようにするので、パスカルの原理により、均一な圧力で関節や筋肉部分を締め付けることができ、外力などから関節や筋肉部分を適切に保護することができる。しかも、関節や筋肉部分を均一に加圧することにより、関節の内圧を高めて滑液の分泌を促進し、関節における潤滑性の再生を図ると共に、腱や筋肉、関節包などの軟部組織の可動性を改善するなど、関節や筋肉部分の整復効果をも得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るサポーターを実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【0018】
図1〜
図3に示すように、サポーター1は、特に、人間の手2に装着して親指3の付け根の関節を締め付け保護するためのものであり、伸縮性を有する布状のサポーター本体4に、関節を加圧する加圧袋5が止着されると共に、サポーター本体4と加圧袋5との間に、サポーター本体4の締め付け力を受けて加圧袋5を関節に向けて押圧する押圧板6が設けられ、その加圧袋5の袋内部に非圧縮性の流体が収容されている。
【0019】
サポーター本体4は、例えばゴムを織り込んだ伸縮性を有する布製のベルト状とされ、その一端付近の内面側に、サポーター本体4と同素材で同幅かつ横長の長方形の布をその3辺で縫合することにより、他端側が開口するポケット7が形成されている。ポケット7の表面には、面ファスナー8を介して加圧袋5が止着され、ポケット7に押圧板6を収容することにより、サポーター本体4と加圧袋5との間に押圧板6が配置される。
【0020】
サポーター本体4の一端は、内面側に折り返されてポケット7の内部に位置した状態で縫合され、この折り返し部に通すようにして、サポーター本体4の一端に、略長方形の環状金具9が取り付けられている。
【0021】
サポーター本体4の他端には、外側に向けて面ファスナー10が取り付けられ、ポケット7を形成した部位の外面側には、親指3を通して係止する係止部11が取り付けられている。係止部11は、サポーター本体4のうちの加圧袋5を止着する部位の外面側に、帯状の布を2回捻って両端を取り付けた構造とされ、その中央に、親指3を通す環状部がされている。
【0022】
係止部11に親指3を通し、加圧袋5を親指3の付け根の関節に当てた状態で、サポーター本体4の他端側を環状金具9に通して掛止しつつ折り返し、適度に力を加えて引っ張ることにより関節を締め付け、その上からサポーター本体4の他端側を手首に巻き付けて面ファスナー8で固定することにより、手2にサポーター1が装着される。
【0023】
加圧袋5は、例えば、食品保存用のポリエチレン製の袋を略長方形に切断し、市販の超音波用(エコー用)ジェルを封入しつつ、市販の熱溶着式のシーラーを用いて周縁部を溶着して形成される。なお、加圧袋5は、ポリエチレン製のものに限らず、十分な可撓性があり、かつ、袋内部の流体を漏らすことなく収容可能なものであれば、どのような素材から形成されたものであってもよい。また、加圧袋5に収容する非圧縮性の流体は、超音波用ジェルに限らず、水であってもよいが、サポーター1を装着する際の袋内部での流れが緩やかな分、適度の粘性を有する流体の方がより好ましい。さらに、加圧袋5に収容する流体としては、非圧縮性の流体に限らず、気体などの圧縮性の流体であってもよく、全体として流動性を示すものであれば、粉体などであってもよい。
【0024】
押圧板6は、例えば、可撓性を有すると共に、ある程度の剛性を有するポリプロピレン製で略長方形の可撓板とされる。なお、押圧板6は、ポリプロピレン製のものに限らず、ある程度の剛性を有するものであれば、どのような素材から形成されたものであってもよい。
【0025】
上記構成によれば、サポーター1を装着して締め付けるだけで、親指3の付け根の関節を加圧袋5で均一に加圧することができる。これにより、関節を適切な範囲で動くようにすると共に、関節部分の骨格を安定させて、外力に対して関節を保護することができ、さらに、関節の内圧を高めて滑液の分泌を促進し、関節における潤滑性の再生を図ると共に、腱や筋肉、関節包などの軟部組織の可動性を改善するなど、良好な整復の効果を得ることができる。
【0026】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、適宜変更を加えることができる。例えば、手2の親指3の付け根の関節を締め付け保護する代わりに、手首や肘、足首の関節、あるいは、ふくらはぎなどの筋肉部分を締め付け保護する場合には、サポーター1から係止部11を省略したものを採用することができる。
【0027】
また、
図4に示すように、親指3の付け根の関節を締め付け保護するサポーター1に代えて、人間の膝関節を締め付け保護するサポーター12とすることもできる。
【0028】
サポーター12は、伸縮性を有する布製で膝関節部分よりも小径の筒状のサポーター本体13の内側に、例えば、略円形の押圧板14を介して略円形の加圧袋15を止着した構造とされる。なお、押圧板14には、膝の形状に合わせて変形しやすくするための渦巻状の切れ目16が形成されている。また、サポーター本体13、押圧板14及び加圧袋15は、例えば面ファスナー17を用いて互いに止着される。
【0029】
また、
図5に示すように、人間の股関節を締め付け保護する骨盤ベルトとしてのサポーター18とすることもできる。
【0030】
サポーター18は、伸縮性を有する布製の幅広ベルト状のサポーター本体19の2箇所に、例えば、略円形の押圧板20を介して略円形の加圧袋21を止着した構造とされる。なお、押圧板20には、脚の付け根の外側部分の形状に合わせて変形しやすくするための渦巻状の切れ目22が形成されている。また、サポーター本体19、押圧板20及び加圧袋21は、例えば面ファスナー23を用いて互いに止着される。
【符号の説明】
【0031】
1 サポーター
2 手
3 親指
4 サポーター本体
5 加圧袋
6 押圧板
7 ポケット
8 面ファスナー
9 環状金具
10 面ファスナー
11 係止部
12 サポーター
13 サポーター本体
14 押圧板
15 加圧袋
16 切れ目
17 面ファスナー
18 サポーター
19 サポーター本体
20 押圧板
21 加圧袋
22 切れ目
23 面ファスナー