特開2016-148181(P2016-148181A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-148181(P2016-148181A)
(43)【公開日】2016年8月18日
(54)【発明の名称】杭打機
(51)【国際特許分類】
   E02D 7/00 20060101AFI20160722BHJP
【FI】
   E02D7/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-25056(P2015-25056)
(22)【出願日】2015年2月12日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 光雄
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 隆明
【テーマコード(参考)】
2D050
【Fターム(参考)】
2D050EE01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】施工作業時に補助吊り用ロープのフックが邪魔にならずに、補助吊りロープの巻き上げの誤操作やリーダの上下動に対応できるフック固定手段を備えた杭打機を提供する。
【解決手段】ベースマシンの前部に起伏可能に設けられたリーダと、前部左右に設けられたフロントジャッキ23と、先端にフック29が取り付けられた補助吊り用ロープ26と、フック29を固定するフック固定手段30とを備えた杭打機において、フック固定手段30は、フロントジャッキ23に固定され、上下方向に延在するレール部材32と、該レール部材32にスライド可能に支持され、フック29を係合するスライダ部材33とを備えている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースマシンの前部に起伏可能に設けられたリーダと、前部左右に設けられたフロントジャッキと、先端にフックが取り付けられた補助吊り用ロープと、該フックを固定するフック固定手段とを備えた杭打機において、
前記フック固定手段は、
前記フロントジャッキに固定され、上下方向に延在するレール部材と、
該レール部材にスライド可能に支持され、前記フックを係合するスライダ部材と
を備えていることを特徴とする杭打機。
【請求項2】
前記リーダは、サブリーダを介して前記ベースマシンに装着されることを特徴とする請求項1記載の杭打機。
【請求項3】
前記レール部材の上端に、前記スライダ部材が接触すると前記補助吊り用ロープを巻き上げるウインチを停止させるリミットセンサスイッチが設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の杭打機。
【請求項4】
前記レール部材の上端にバネ式の開閉部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の杭打機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭打機に関し、詳しくは、補助吊り用ロープの先端のフックを固定するためのフック固定手段を備えた杭打機に関する。
【背景技術】
【0002】
杭打機には、杭打・掘削といった施工作業時にオーガ等の作業装置に継足用のロッドを吊り込んだり、施工作業前後に作業装置等の重量物を吊ったりする等の補助作業(付帯作業)用のための補助吊り用ロープが備えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
補助作業をしない場合には、補助吊り用ロープの先端に取り付けられたフックが施工作業の邪魔にならないように、特許文献1の図8等に示されるようにリーダの上端付近まで補助吊り用ロープを巻き上げておくことが行われる。または、フロントジャッキにフックをナイロンロープやゴムチューブ等で括りつけることが作業現場では行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−155689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のように、リーダの上端付近までフックを巻き上げたとしても、施工作業中の掘削反力等により杭打機やリーダが振れると、フックも揺動してしまい、オーガ等の作業装置と接触したり、周囲の油圧ホース等を引っかけたりする虞があった。
【0006】
また、フックをフロントジャッキに括り付けた状態で、誤操作で補助吊り用ロープを巻き上げてしまうとナイロンロープ等が引きちぎられてしまう虞があった。さらに、リーダが施工作業時に上下にスライドするタイプの場合には、リーダの上下動により補助吊り用ロープ自体が破損する虞があった。
【0007】
そこで本発明は、施工作業時に補助吊り用ロープのフックが邪魔にならずに、補助吊りロープの巻き上げの誤操作やリーダの上下動に対応できるフック固定手段を備えた杭打機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の杭打機は、ベースマシンの前部に起伏可能に設けられたリーダと、前部左右に設けられたフロントジャッキと、先端にフックが取り付けられた補助吊り用ロープと、該フックを固定するフック固定手段とを備えた杭打機において、
前記フック固定手段は、前記フロントジャッキに固定され、上下方向に延在するレール部材と、該レール部材にスライド可能に支持され、前記フックを係合するスライダ部材とを備えていることを特徴としている。また、前記リーダは、サブリーダを介して前記ベースマシンに装着されることを特徴としている。
【0009】
また、前記レール部材の上端に、前記スライダ部材が接触すると前記補助吊り用ロープを巻き上げるウインチを停止させるリミットセンサスイッチが設けられていることを特徴としている。若しくは、前記レール部材の上端にバネ式の開閉部が設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の杭打機によれば、上下方向に延在するレール部材にスライド可能に支持されたスライダ部材にフックを固定しているので、杭打機が振動したり、補助吊りロープの巻き上げの誤操作やリーダの上下動があったりしても、フックが周囲の装置に接触して破損させたりすることを確実に防止することができる。
【0011】
また、レール部材の上端にリミットセンサスイッチによって、補助吊り用ロープを巻き上げるウインチを停止させることで、巻き上げの誤操作を確実に防止することができる。さらに、レール部材の上端にバネ式の開閉部を設けることで、補助吊り用ロープにテンションがかかるのを防ぐことができ、補助吊り用ロープ自体の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1形態例を示す杭打機の側面図である。
図2】同じく杭打機の正面図である。
図3】同じく杭打機の平面図である。
図4】同じく杭打機のフック固定手段の説明図である。
図5】本発明の第2形態例を示す杭打機のフック固定手段の説明図である。
図6】同じくフック固定手段の開閉部の動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1乃至図4は、本発明の杭打機の第1形態例を示すものである。杭打機1は、下部走行体2と該下部走行体2の上部に旋回可能に設けられた上部旋回体3とからなるベースマシン4と、上部旋回体3の前部に設けたリーダサポート5を介して起伏可能に装着されたサブリーダ6及び該サブリーダ6の前面にスライド可能に設けられたメインリーダ7を組合せたリーダ8と、前記サブリーダ6を後方から支持するバックステー9とを備えている。
【0014】
メインリーダ7には、各種作業装置、例えば本形態例ではオーガ10が、メインリーダ7の長手方向に沿って設けられた左右一対のガイドパイプ7aに、ガイドギブ10aを介して連結されるとともに、メインリーダ7の長手方向に掛け渡したチェーン7bによって昇降可能に設けられている。
【0015】
オーガ10に把持されて回転するロッド11は、内部軸方向に地盤改良剤の注入孔を有するパイプ状のものであり、断面円形の丸軸部11aと、オーガ10等に把持させるための断面多角形状の角形軸部11bとを有するものである。また、ロッド11の下端に掘削具12と撹拌具13とが設けられている。また、メインリーダ7の下端部には、回転駆動時のロッド11の振れを防止して鉛直性を確保するための下部ガイド14が設けられている。
【0016】
また、ロッド11の上端には、注入ホース15からロッド11内の注入孔に地盤改良剤を導入するスイベルジョイント16が設けられ、該スイベルジョイント16のつれ回りを防止する回り止めロッド17の一端がオーガ10に固設され、他端がロッド11の上端に設けられた取付部材18に取り付けられている。
【0017】
サブリーダ6及びメインリーダ7の後部には、ホースガイド19,20がそれぞれ設けられており、サブリーダ6に対してメインリーダ7をスライドさせるためのリーダスライドシリンダ21やオーガ10等に接続される油圧ホースが掛け回されている。
【0018】
上部旋回体3の幅方向中心に対して左側に運転席22が配置され、リーダ8はやや右側に配置される。上部旋回体3の前部左右側には、フロントジャッキ23がジャッキアーム24を介して、それぞれ設けられている。また、上部旋回体3の後部左右側にはリアジャッキ25が、それぞれ設けられている。
【0019】
上部旋回体3に設けられたウインチ(図示しない)から繰り出される補助吊り用ロープ26は、メインリーダ7の上端に設けられたトップシーブ27に巻回され、メインリーダ7の前部に垂下される。補助吊り用ロープ26の先端には、連結金具28を介して、フック29が取り付けられている。
【0020】
補助吊り用ロープ26は、地盤改良等の施工作業時にオーガ10に継足用のロッド11を吊り込んだりする補助作業用に使用されるものであるが、使用しない際には、フック29を運転席22側のフロントジャッキ23に設けられたフック固定手段30に係合することで固定する。
【0021】
フック固定手段30は、図4に示されるように、フロントジャッキ23にブラケット31によって固定されるレール部材32と、レール部材32にスライド可能に支持され、フック29を係合するスライダ部材33とで構成されている。
【0022】
ブラケット31は、平面視L字状のアングルで、フロントジャッキ23にボルトで固定されている。レール部材32はコ字状に折り曲げられた管状の部材で、長手方向が杭打機の上下方向となるようにブラケット31に固設されている。
【0023】
スライダ部材33は、レール部材32と係合するU字状のシャックル部材33aと、フック29を係合するU字状のシャックル部材33bとを組合せて構成されている。
【0024】
フック29が、図4の想像線で示されたレール部材32の下端の位置から、実線で示されるレール部材32の上端の位置まで移動可能であることから、メインリーダ7がサブリーダ6に対して上下方向にスライドしても、補助吊り用ロープ26にテンションがかからず、補助吊り用ロープ26やフック固定手段30自体の破損を防止することができる。
【0025】
また、レール部材32の上端には、スライダ部材33が接触すると補助吊り用ロープ26を巻き上げるウインチを停止させるリミットセンサスイッチ34が設けられている。リミットセンサスイッチ34によって、補助吊り用ロープ26の巻き上げの誤操作を確実に防止することができる。
【0026】
図5及び図6は、本発明の第2形態例を示し、第1形態例と同様の構成要素を示すものには、同一の符号をそれぞれ付して、その詳細な説明は省略する。本形態例のフック固定手段40のレール部材41は、フロントジャッキ23にボルトで固定される板状の基部41aと該基部41aと直交するレール部41bとからなる平面視T状に形成されている。
【0027】
スライダ部材42は、レール部41bを挟持するスライド金具42aと、フック29を係合するU字状のシャックル部材42bとを組合せて構成されている。
【0028】
第1形態例と同様に、フック29が、図5の想像線で示されたレール部材41の下端の位置から、実線で示されるレール部材41の上端の位置まで移動可能であることから、
メインリーダ7がサブリーダ6に対して上下方向にスライドしても、補助吊り用ロープ26にテンションがかからず、補助吊り用ロープ26やフック固定手段30自体の破損を防止することができる。
【0029】
また、レール部材41の上端には、バネ式の開閉部43が設けられている。開閉部43は、蓋部材43aと、スプリングヒンジ43bとで構成されている。補助吊り用ロープ26を誤操作等により巻き上げた場合には、図6の想像線に示されるように、開閉部43が開き、スライダ部材42がレール部材41から外れるようになり、補助吊り用ロープ26にテンションがかかるのを防ぐことができ、補助吊り用ロープ26フック固定手段30自体の破損を防止することができる。第2形態例のような構成とすれば、第1形態例と比べて、電気的な配線を設ける必要がない。
【符号の説明】
【0030】
1…杭打機、2…下部走行体、3…上部旋回体、4…ベースマシン、5…リーダサポート、6…サブリーダ、7…メインリーダ、7a…ガイドパイプ、7b…チェーン、8…リーダ、9…バックステー、10…オーガ、10a…ガイドギブ、11…ロッド、11a…丸軸部、11b…角形軸部、12…掘削具、13…撹拌具、14…下部ガイド、15…注入ホース、16…スイベルジョイント、17…回り止めロッド、18…取付部材、19,20…ホースガイド、21…リーダスライドシリンダ、22…運転席、23…フロントジャッキ、24…ジャッキアーム、25…リアジャッキ、26…補助吊り用ロープ、27…トップシーブ、28…連結金具、29…フック、30…フック固定手段、31…ブラケット、32…レール部材、33…スライダ部材、33a,33b…シャックル部材、40…フック固定手段、41…レール部材、41a…基部、41b…レール部、42…スライダ部材、42a…スライダ金具、42b…シャックル部材、43…開閉部、43a…蓋部材、43b…スプリングヒンジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6