【課題】生検針技術および組織取扱技術において、必要な空間分解能、組織収集の効率、およびポスト生検組織取扱の妥当性をもたらすことができる最適化された組織学的検討のための装置および方法を提供する。
【解決手段】組織収集装置20は、基部22と、基部22に取り付けられた針床24と、レバー26とを備える。針床24は、実質的に所定の位置で生物組織30を運ぶシャフト28を支持するように構成される。試料ホルダー32は、レバー26に取り付けられ、実質的に針床24に面する。使用する場合、シャフト28は所定の位置で針床24によって支持され、したがって実質的に特有の位置と、針床24および基部22に対する方向とを有する。さらに、シャフト28は、シャフト28上の組織30が試料ホルダー32に面するように針床24によって支持される。
前記基部が、前記カセットの外側表面に配置された少なくとも1種の柔軟材料を更に備え、且つ前記柔軟材料は、前記カセットが組織ハンドリング装置内に備えられる場合、生物組織が前記試料シート上に収集されるときに、前記カセットを柔軟に支えるように構成される、請求項2に記載のカセット。
前記カセットが、前記カセット基部と前記カセットカバーとの間に配置され、且つ、柔軟層及び前記カセットカバーとの間における前記組立カセットにおいて前記試料シートを支持するように構成される柔軟層を更に備える、請求項1に記載のカセット。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書での教示の原理、用途および実施は、添付の説明および図面を参照してよりよく理解されることができる。本明細書に存在している説明および図面を熟読すると、当業者は、過度の努力または実験なしに本発明を実施することができる。図において、同じ参照番号は、全体にわたり同じ部分を参照する。
【0028】
少なくとも一実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、本明細書に記載の構成の詳細および構成要素の配置への適用に必ずしも限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態の能力があり、または種々の方法で実施または実行されることができる。本明細書で使用する語法および用語は、記述目的のためであり、限定するとみなすべきではない。
【0029】
本明細書に記述の組織取集装置20の一実施形態を
図2Aに模式的に示す。組織収集装置20は、基部22と、基部22に取り付けられた針床24と、レバー26とを備える。針床24は、実質的に所定の位置で生物組織30を運ぶシャフト28を支持するように構成される。試料ホルダー32は、レバー26に取り付けられ、実質的に針床24に面する。使用する場合、シャフト28は所定の位置で針床24によって支持され、したがって実質的に特有の位置と、針床24および基部22に対する方向とを有する。さらに、シャフト28は、シャフト28上の組織30が試料ホルダー32に面するように針床24によって支持される。
【0030】
トラック34は、基部22にしっかりと取り付けられており、各トラックは1対のレールと、該レール間に溝とを含む。レバー26は、移動可能であり、いくつかの設定間で、トラック34に沿って実質的に上下に移動する。
図2Aに模式的に示す第1の設定では、レバー26は針床24から離れている。試料ホルダー32が針床24に対して所定の配置を有して、針床24の近位になるように、レバー26を第2の設定(図示せず)まで下げることができる。トラック34がレバー26の動きを制限するので、レバー26は実質的に上下のみに移動することができ(例えば第1の設定と第2の設定の間を)、一方試料ホルダー32は実質的に針床24と平行に維持される。その上で生物組織30を運ぶシャフト28が針床24上で適切に支持されているとき、試料ホルダー32もシャフト28と実質的に平行であり、およびレバー26が第2の設定にあるとき、試料ホルダー32は生物組織30と接触することができる。一部の実施形態によれば、試料ホルダー32は、接触することによって生物組織30に付着することができる。一部の実施形態によれば、試料ホルダー32は、押圧することによって、生物組織30に付着することができる。一部の実施形態によれば、試料ホルダー32は、レバー26が第2の設定にあるとき、生物組織30を付着させることができ、さらに第1の設定まで移動すると、生物組織30をシャフト28から取り外すことができる。レバー26は、さらに基部22から取り外し可能であり、レバー26がトラック34によって制限されない限り、第1の設定を越えて、開口部39を通ってレバー26を上に移動させることによって基部22から取り外すことができる。
【0031】
本明細書に記載の組織収集装置40のさらなる実施形態は、
図2Bに模式的に示す。組織収集装置40は、組織収集装置20と同様の機能を有し、設定間で基部22に対して、トラック34に沿って実質的に上下に移動できるレバー26を備えている。組織収集装置40は、針床24が基部22に取り付けられるのではなくてレバー26に取り付けられ、一方基部22はそれに取り付けられる試料ホルダー32を支持するように構成される点で、組織収集装置20と異なっている。シャフト28は所定位置に位置決めすることが可能であり、試料ホルダー32に面する所定位置で針床24によって支持され、それによって試料ホルダー32に対してレバー26と共に移動することができる。
図2Bに模式的に示した第1の設定において、レバー26は基部22から離れており、それによって針床24は試料ホルダー32から離れている。針床24が試料ホルダー32に対して所定の配置を有して、試料ホルダー32の近位になるように、レバー26を第2の設定(図示せず)まで下げることができる。トラック34がレバー26の動きを制限するので、レバー26は実質的に上下のみ動くことができ(例えば第1の設定と第2の設定の間を)、一方試料ホルダー32は実質的に針床24と平行に維持される。その上で生物組織30を運ぶシャフト28が針床24によって適切に支持されると、シャフト28も試料ホルダー32と実質的に平行であり、およびレバー26が第2の設定にあるとき、生物組織30は試料ホルダー32と接触することができる。
【0032】
本明細書に記述の組織ハンドリング装置50の一実施形態は、
図3A〜3Fに模式的に示す。一部の実施形態によれば、組織ハンドリング装置50は、生検針から、カッセットで保持されている試料シート上に生検試料を収集するように構成されている。次いで、生検試料の簡単な取扱(例えば、試料をあちらこちら動かす、試料を容器に入れる、または試料を容器から取り出す等)は、コア生検試料を運ぶ試料シートを動かすことによって、またはカセットを動かすことによって可能になる、または少なくとも促進される。
【0033】
組織ハンドリング装置50は、基部52と、銃ハウジング54と、針床58と、レバー60とを備える。基部52は、前方ストッパー62と、スライド用溝64と、前端部68(
図3B)、後端部70および後端部70に近位の後方ストッパー72を有するスライド台66とを備える。
図3C〜3Eに模式的に示すように、銃ハウジング54は、所定の位置に生検銃78を固定するように構成され、銃ハンドル80と生検針10を有する。銃ハウジングは、前方ストッパー62と後方ストッパー72との間に実質的に形成される。スライド台は、基部のスライド用溝内で前後に摺動するように構成されている。前方ストッパーと後方ストッパーとの間の距離を広げるようにスライド台を引いて後退させると、
図3Dおよび3Eに模式的に示すように、銃ハウジング54はその中に銃ハンドル80を格納するように開く。銃ハウジングは、後方ストッパー72が生検銃78のハンドル80の上を押圧するまで前方ストッパーと後方ストッパーとの間の距離を狭めるために、スライド台を前方に押すことによって生検銃を所定の位置に固定するように構成される。
【0034】
ここで、組織ハンドリング装置50の側面を断面図で模写的に示している
図3C〜3Eを参照すると、銃ハウジング54は開いていて中は空であり(
図3C)、銃ハウジングは開いていて、その中に銃ハンドル80が含まれている(
図3D)、および銃ハウジングは閉じられ、銃ハンドル80と生検銃78とが固定されている(
図3E)。スライド台66は、該スライド台の前端部68に固定されたスライド台用マグネット84をさらに含む。基部52は、ロックマグネット88を含むロック部材86をさらに備える。ロック部材は、基部52のスライド用溝64の近位にまたは実質的に該溝内に位置するように調節できる。スライド台66を前方に押し、それによって銃ハウジング54内に生検銃を固定させると、スライド台用マグネット84はロックマグネット88の近位に到達する。ロックマグネット88とスライド台用マグネット84との間の磁気引力は、スライド台66上に前進方向の力を生じさせ、スライド台66が生検銃上を静かに押して銃ハウジング内に生検銃を固定させる。生検銃が銃ハウジング54内に固定されると、前方ストッパー62と後方ストッパー72は生検銃が横に、前後に実質的に移動しないようにし、一方それによって生検針10は、所定位置に位置決めされることができ、針床58に支持される。
【0035】
針床58を
図3Fに模式的に示す。針床58は、支持体表面92の上部に2個の位置合わせショルダー部90を備える。針床58は、支持体表面92の上部に水平方向に位置合わせした位置決めスリーブ94をさらに備える。針床58は、生検針と接触するため実質的に体液に曝される。したがって生検セッション時に最後の試料組織を生体器官から採取した後に針床を交換する必要がある。針床58は、基部52上のピン96と、針床58内のスリット98とによって基部52に取り付けられており、手動で迅速に基部から脱着することができる。
【0036】
生検銃を銃ハウジング内に固定することが好ましい場合、
図3Dに模式的に示すように、生検銃が前方ストッパー62と後方ストッパー72との間に入り、銃ハンドルと前方ストッパーとの間にスペースを設けるようにするために、スライド台66を十分に引いて後退させる。生検銃をスライド台の上に設置して後方ストッパーに取り付け、それによって前方ストッパーから後方に移動させる。生検針10は、生検針が位置決めスリーブ94の対称軸に沿って水平方向に位置合わせして、生検針の遠位先端部が位置決めスリーブの外側になるように針床58のショルダー部90の間に位置合わせする。
【0037】
図3Eに模式的に示すように、所定位置に生検銃を固定するために、スライド台を前方に押し、それによって生検銃を押して、生検針10を位置決めスリーブに入れる。生検銃のハンドルが前方ストッパーに接触すると、それ以上前方に移動できず、このようにして生検針10はその所定の位置に固定される。ロックマグネット88とスライド台用マグネット84との間の磁気引力は、スライド台66に前進方向の力を生じさせ、それによって生検銃が所定位置に固定される。
【0038】
レバー60は基部52に枢動可能に接続し、それによって該基部に対して実質的に上下に移動できる。ユーザーがレバー60を手動で動かすように、レバー60は該レバーに物理的に固定されたハンドル112を含む。レバー60は、カセットホルダー114をさらに含む。
図4Aはカセットホルダー114なしのレバー60の下面図、すなわち基部に面するレバー60の側面図を模式的に示す。
図4Bおよび4Cは、カセットホルダー114と共にレバー60を模式的に示す。カセットホルダー114は、レバー60に対して、したがって基部52に対して生検針10の長さに対して垂直をなす方向に移動できる。生検針10から2つの組織、すなわち正確に規定された各位置で1つの組織を収集するために、例えば、正確に規定された位置の間を指で押すことによってカセットホルダー114を手動で動かすように構成される。圧縮バネ(図示せず)によって支持される突起キャップ116は、カセットホルダー114がレバー60の上に組み立てられると、カセットホルダー114に圧力を加えるように構成され、およびカッセトホルダー114のレバーに面する側の各凹部に圧入されると、正確に規定された位置にカセットホルダーを保持するように構成される。カセットホルダー114のレバーに面する側の2つの丸い凹部は、それぞれ2つの組織を受け取るための2つの位置を規定している。
【0039】
カセット(
図5では140)上に取り付けるために、圧縮バネ122によって支持されたカセットホルダー114は、長方形の突出部118と曲線状の歯120とを備える。それによってカセットホルダー114は、以下にさらに詳述するように、カセットに取り付けて、カセットをしっかりと保持するように構成される。カセットがカセットホルダー114に取り付けられると、ポインタ124は、試料組織がカセット上のどこに付着されるかをユーザーに特定する。
【0040】
カセット140を
図5に模式的に表す。カセット140は、カセット基部142とカセットカバー144とを備え、押圧することによって一緒に取り付けられると、間にはさまれた試料シート146をしっかりと保持するように構成される。カセット基部142は、その上に試料シート146を受け取るためにその上面に浅い凹部148を含む、堅いプラスチック材料製の実質的に長方形の厚板である。カセット基部は、該厚板の一端に長方形の貫通孔150と、該厚板の他端に円形貫通孔152とをさらに備え、両孔は共に左右の方向を特定し、カセット上に採取した第1の試料と最後の試料との識別を可能にする。円形貫通孔152および長方形貫通孔150のために、カセット140は非対称の外形輪郭を有し、自明の360度回転対称を除いて、該カセットの回転対称を実質的に妨げる。カセットホルダー114に取り付けられると、長方形の突出部118は長方形貫通孔150に挿入され、曲線状の歯150は円形貫通孔152に挿入され、それによってカセットをカセットホルダーに取り付ける。このように、
【0041】
カセット基部142には、浅い凹部148のエッジに4つの試料用のエッジ凹部154がある。以下にさらに説明するように、試料用のエッジ凹部154は、生検針10からの長くて細い生物組織をその全長に付着させることが可能になり、試料の両端部が損失するリスクを最小限度にする。カセット基部142は、カセットカバー144の内面上の関連した凹部158に取り付けるために、カセット基部142の両側に4つの突出部156をさらに備え、それによってカセット基部142とカセットカバー144は一緒に取り付けられる。
【0042】
カセットカバー144は、堅いプラスチック材料製の実質的に長方形の厚板であり、U字形外形になるように湾曲している。U字形状の脚部の内面上の凹部158は、カセット基部142の突出部156に付着するように構成され、それによってカセット基部142とカセットカバー144を一緒に取り付けることが可能になる。四隅の凹部160により、例えば、その上に試料組織を載せた試料シートを取り出す場合、カセットカバーからカセット基部の取り外しが容易になる。
【0043】
カセットカバー144は、そのU字形状の平坦部上に2つの長方形のウィンドウを備える。長方形のウィンドウ170は、カセットカバー144上の貫通開口部であり、カセット基部142とカセットカバー144との間の所定位置に保持された試料シート146をカセット140に取り付けると、ウィンドウ170によりカセットカバー側から試料シート146の一部分を見て、アクセスすることが可能になる。該U字形状の平坦部分は、カセット基部142とカセットカバー144との間で試料シート146を維持して、該試料シートが折り畳まれたり、または曲げられたりするのを防ぐ。
【0044】
試料シート146は実質的に長方形のフィルムであり、カセット基部142とカセットカバー144との間にフィットするように二つ折りになっている。
図6Cに模式的に示すように、カセット140と試料シートとを組み立てると、折り畳まれた試料シートのへりは、カセット基部142とカセットカバー144との間でしっかりと押圧され、それによって試料シートが自然発生的に折り畳まれたり、または曲げられたりするのを防ぐ。
【0045】
試料シート146は、手動で押圧する、すなわち生物組織と試料シートとの間に接触を形成すると、その生物組織に付着することができる。試料シート146はそのような粘着性をさらに維持することができ、上述のように生物組織は、ホルムアルデヒドなどの水溶液に浸漬した後でも、および検査に備えて試料組織が通る化学プロセス時でも試料シートに付着した状態を維持する。試料シート146は任意選択で、液体に対して透過性であり、その結果液体は試料シート146全体に浸透することができる。試料シート146は、さらに生体適合性を有していてもよい。同じ針を繰り返し使用して、同じ器官からいくつかの試料を採取する場合、試料シートと共にカセットを試料組織に対して押圧する間、生検針は試料シートに接触し、次いで次の試料を採取するように生体器官に再度挿入されることもあるので、試料シート146をさらに無菌状態にする。一部の実施形態において、試料シート146は、損傷を受けることなく、滅菌プロセスを経ることができる。一部の実施形態において、試料シート146は、Millipore(商標)によるImmobilon-NC Transfer Membraneトランスファーメンブレンなどのセルロースエステル製メッシュフィルムでできている。一部の実施形態において、試料シート146は、Whatman Ltd.社製の混合セルロースエステルメンブレンME 25またはWMEなどのフィルムでできている。一部の実施形態において、試料シート146は、Pall Corporation社製のSupor(登録商標)200PESメンブレンディスクフィルターでできている。一部の実施形態において、試料シート146は、Whatman Ltd.社製セルロースフィルター、例えばグレード1もしくはグレード42もしくはグレード542などのフィルムでできている。一部の実施形態において、試料シート146は、試料組織が該シートに付着するように接着剤または別の粘着性物質で覆われたセルロースエステル製のメッシュフィルムである。このように、試料シート146は、上述のように生物組織に付着することができる付着面を、生物組織を収集する前に試料組織に面する試料シートの少なくとも表面に実質的に備える。
【0046】
試料組織を試料シートに付着させるために、試料シートを内蔵するカセットを有するレバーを
図6Aに模式的に示すように生検針ノッチの上まで下げる。試料組織を試料シートに確実に付着させるには、ある程度の圧力または十分な接触を加える必要がある。加えられた圧力は、調整ピン126で調節される。ピン126は、レバーを十分に下げると、基部52の上のレバー60の高さを制御するように調整でき、それによって試料組織上に試料シートによって加えられる圧力を規定する。
図6Bは、ノッチ18の上でマンドレル12に接触するカセット140の内部の試料シートを模式的に示す。
図6Cに模式的に示すように、カセットがマンドレルに押圧されると、試料用のエッジ凹部154は試料シートがたわむようにし、それによって試料組織が試料シートの全長に良好に付着でき、試料の両端部が損失するリスクを最小限に抑える。
【0047】
一部の実施形態において、試料シート146には、試料シートの一つの隅を特定する、例えば穿孔、面取りエッジ等のマーク166が含まれており、このようにして、試料シートの回転対称(自明の360度回転対称を除く)を妨げる。カセットに新しい試料シートを配置するとき、マークがカセットの特定の端部に隣接するように、例えば、長方形の貫通孔150に隣接するように試料シートを配置する。マーク166は、検査前の準備プロセス全般にわたり、試料組織方向の維持を容易にし、したがって
図19A〜19Dを参照して以下にさらに詳述し説明するように、検査時に試料組織のどの端部がノッチの遠位端部(遠位先端に最も近い)からのものか、どの試料組織の端部がノッチの近端(生検銃のハンドルに最も近い)からのものかがわかる。
【0048】
本発明の一部の実施形態の態様によれば、生検針で採取した生物組織を扱う方法が提供される。
a.レバー60を持ち上げて、試料シート146を含む組立カセット140をレバー60上のカセットホルダー114に取り付ける。試料シート上の試料組織を採取するために、カセットホルダーの第1の正確に規定された位置を選択する。
b.上で説明したように、生検針が針床58の位置合わせショルダー90の間になるように、生検針の(カニューレを引いて後退させる)露出したノッチ内で試料組織を運ぶ生検銃78を組織ハンドリング装置50の銃ハウジング54に挿入する。
c.生検銃が前方ストッパー62に接触するまで、スライド台66を前方に押しながら、生検針を位置決めスリーブ94に入れ、それによって銃ハウジング内に生検銃を固定させる。
d.レベリングピン126で止まるまでレバー60を手動で下げ、それによってカセット140内の試料シート146を生検針上の試料組織に押圧して、試料組織を試料シートに付着させる。
e.同じ試料シート上の第2の試料組織を採取するために、レバー60を持ち上げて、カセットホルダーを任意選択で第2の正確に規定された位置に動かす。
f.カセットホルダーからカセット140を取り外して開け、試料組織を運ぶ試料シートをカセットから取り外す。
g.
図19Aに示すように、試料組織を運ぶ試料シートを試料ボックス500内に設置する。試料ボックスカバー502を用いて試料ボックスを閉じ、閉じた試料ボックス内の試料シート上の試料組織を上記導入部で説明したように、検査の前に標準的な化学的処理プロセスに通す。
h.化学的処理プロセスの後、
図19Bに示すように、試料シート上の乾燥した試料組織を試料ボックスから取り出し、試料組織が金属モールド510の床に直接、接触するように下向きにして金属モールドの床の上に配置する。試料組織を少し押圧して、任意選択で滴下させたパラフィンを用いて金属モールドの床に付着させる。
i.
図19Cに示すように、試料ボックス500を金属モールド510の上部に固定し、その間隙、すなわち金属モールドと試料ボックスとの間をパラフィンで充填する。
j.パラフィンが凝固したら、
図19Dに模式的に示すように、金属モールドを取り出して、パラフィンブロック514を満たし、上部に試料組織がまだ付着している試料シートを含む(試料組織を特定するストリング512を記した)試料ボックスを残す。
k.上で説明したように、試料組織を含む試料ボックスをスライシングのために取り出す。
l.選択したスライスを第1のガラス板上に配置して、加熱し、次いで指定された洗剤で洗浄してパラフィンを取り除く。次いで、試料組織が第1のガラス板と第2のガラス板の間になるように、第2のガラス板を試料組織の上に取り付け、2枚のガラス板に挟まれた試料組織を例えば顕微鏡下の検査などの検査で使用する。
【0049】
試料シート上のマーク166(
図19A〜19Dに示す切り取られた隅)により、上述の方法で(j)を含むそれまでのステップ、すなわち試料組織が試料シートに付着している限り、およびスライシングステップの前では、試料組織の方向が維持されることに留意されたい。
【0050】
一部の実施形態によれば、試料組織の方向は、試料組織の方向を維持するためにステップ(k)でスライスに適切にマークを付け、およびステップ(l)でガラス板に適切にマークを付けることによってスライシングステップ(k)およびパラフィン融解ステップ(l)で維持される。
【0051】
一部の実施形態によれば、マーク166に最も近い各試料組織の端部は、ステップ(j)で染色され、それによってスライシングおよびパラフィン融解の後も方向が特定される。
【0052】
一部の実施形態によれば、生検針のノッチ上の試料組織の写真をカメラなどの撮影装置を用いて撮る。カメラは、例えば、マンドレルから生検針の軸に対して垂直に移動させて、マンドレルと視線を有する位置に設置する。上記方法のステップ(c)において生検銃を組織ハンドリング装置50に固定したときに、写真を撮る。
【0053】
一部の実施形態において、試料シート上の試料組織の写真を撮り、それによってスライシング後の試料シートと比べて試料シートの位置に関する情報を保存する。
【0054】
試料組織を採取する間に、生体器官内の生検針の遠位先端部の位置を例えば、上記導入部で説明したような技術を用いて記録することによって、該試料組織を採取している時点の生検針の遠位先端部の位置がわかる。写真の上で、試料組織の端部と針の遠位先端部との間の距離を測定することによって、該遠位先端部に対する試料組織上の任意点の位置がわかる。上で説明したように検査ステップ(l)までの組織方向を保存することによって、検査中に検出されるどのような疾患または腫瘍でも、試料組織の特定された端部と関連付けられる。上述のいくつかの情報を考慮することによって、検査で検出された腫瘍または疾患は、試料組織が採取された生体器官内の特定された位置と関連付けることができる。
【0055】
一部の実施形態によれば、試料シート146上の正確に規定された位置で試料シートにダミー試料が付着される。その結果、上記のスライシングステップ(k)では、スライスは試料組織(または試料組織)のスライスとダミー試料のスライスを含み、このようにして、上記の方法でのステップ(k)および(l)において方向と位置情報が保存される。一部の実施形態において、遠位先端部に近い側を特定するため、および試料シートの左右の方向を特定するために、ダミー試料を着色するまたは異なる形にする。一部の実施形態において、組織ハンドリング装置のカセットホルダーは、試料シートの平面に対して垂直をなす軸上で回転可能である。回転可能なカセットホルダーと共にそのような組織ハンドリング装置を用いて、生検針から試料組織を試料シートに移す際に、2つの組織試料をある角度で試料シートに付着させる。一部の実施形態において、ある角度でそのように付着した試料組織は、上記のスッテプ(l)までのプロセス全般を通して、試料方向を維持する。
【0056】
一部の実施形態において、組織ハンドリング装置のカセットホルダーは、上記のカセットホルダー114として、正確に規定された位置間を直線的に移動し、また試料シートの平面に対して垂直をなす軸上で回転する。直線的に変位可能でかつ回転可能なカセットホルダーと共にそのような組織ハンドリング装置を用いて、生検針から試料組織を試料シートに移す際に、3つの組織試料を一定のパターンで試料シートに付着させることが可能である。一部の実施形態において、一定のパターンでそのように付着した試料組織は、試料の平面方向(試料パターンの平面での試料パターンの回転)の維持を容易にし、および上記のステップ(l)までのプロセスを通して、上下回転の維持を容易にする。
【0057】
本明細書に記述の組織ハンドリング装置200の一実施形態は、
図7A〜7Dに模式的に示す。組織ハンドリング装置200は、基部202と、銃ハウジング204と、銃床208と、レバー210とを備える。
【0058】
図7Bに模式的に示すように、銃ハウジングは、その中に生検銃78が格納され、銃ハンドル80と生検浸10とを有するように構成された銃フレーム206を備える。銃フレーム206は、銃ハンドル80の形状および外形寸法にフィットする形状および内形寸法を有し、銃ハンドル80が銃フレーム206内に適切に配置されると、生検銃78が銃ハウジング204内に固定される。生検銃78が銃ハウジング204内に固定されると、銃フレーム206は生検順78の前後左右へのかなり大きな動きを防止する。生検銃78が銃ハウジング204内に適切に配置されて固定されると、生検針は実質的に所定の位置で、針床208上で支持される。
【0059】
銃ハウジング204内に適切に固定されることになる生検銃78は、通常、特定のモデルであり、銃フレーム206にフィトする特定寸法の銃ハンドル80を備える。組織ハンドリング装置200などの組織ハンドリング装置と、生検銃78と異なる形状と外形寸法の銃ハンドルを有するモデルの生検銃とを使用することを所望する場合、銃フレーム206と異なる銃フレームを適切に使用する必要がある。
図7Cに模式的に示すように、銃ハウジング204は基部202に固定した2つのナット212によって基部202に物理的に固定されている。それによって、必要に応じて、銃ハウス204は、生検銃78と異なる生検銃にフィットする銃フレームを有する別の銃ハウジングと置換することができる。
【0060】
レバー210は台座220に枢動可能に接続され、台座220は基部202にしっかりと取り付けられる。台座220は基部202に対して高い位置で針床208を支持し、したがって生検銃78が銃ハウジング204内に固定されると、生検針10は針床208のちょうど上に配置されその上で支持されることになる。
レバー210は、
図7Bに示す開位置と、
図7Dに示す閉位置との間で、基部202に対して上下に枢動するように構成される。
【0061】
図8A〜8Cは、台座220を模式的に示す。台座220の上部で針床ホルダー222は、支持されることになる4個のゴム製ピン224を備える。ゴム製ピン224はその上部に、針床ホルダー222の底面で4個の止まり穴(図示せず)で針床ホルダー222に取り付けられる。ゴム製ピン224の下部は、針床ホルダー222の底面から下方に延びて、台座220内で固定される。以下に詳述し、さらに説明するように、レバー210が閉位置まで下方に枢動可能に移動すると、ゴム製ピン224を強く押すことによって、針床ホルダー222はレバー210と平行に配置されることが可能になる。
【0062】
針床ホルダー222は、実質的に長方形の厚板であり、上面に2つの燕尾形溝226と、円形凹部228とを有し、針床ホルダー222がそれに取り付けられた針床208を保持できるように構成される。
図8Bは、2つのゴム製ピン224を通る平面での台座220の横断面を模式的に示す。
図8Bでは、針床222の上面は図示せずに、ゴム製ピン224の上の部分と、針床ホルダー222の内部構成を表している。
【0063】
図8Cは、針床ホルダー222の中心を通る垂直面での台座220の断面を模式的に示す。針床ホルダー222は、中空の内部コンパートメント内に上部マグネット230を含み、台座220はその中空の内部コンパートメント内に下部マグネット232を含む。針床ホルダー222が所定の位置に配置され、ゴム製ピン224によって支持されると、上部マグネット230と下部マグネット232は磁気相互引力を発生させ、台座220上に針床ホルダー222を引き付け、それによってゴム製ピン224上に針床ホルダー222が安定する補助をする。
【0064】
針床ホルダー222は、針床ホルダー222の内部に固定され、その下部が針床ホルダー222から下方に突き出た剛性ピン234をさらに備える。台座220は、剛性ピン234にフィットするように配置された2つの貫通孔236を備える。貫通孔236は、剛性ピン234の直径よりも大きい直径を有し、したがって剛性ピン234は針床ホルダー222がゴム製ピン224の上部で傾くのを実質的に制限しない。剛性ピン234は針床ホルダー222が実質的に水平方向に動くのを制限し、それによってゴム製ピン224上で針床ホルダー222が水平方向の移動に対して安定する補助をする。一部の実施形態において、貫通孔236の直径は、剛性ピン234の直径よりも約0.1mm〜1mm、例えば、約0.3mm、約0.5mm、さらに約0.8mmも大きいこともある。一部の実施形態において、剛性ピン234は互いに異なる直径を有することもあり、貫通孔236は、それぞれ互いに異なる直径を有することもあり、それによって台座220上で針床ホルダー222を一方向で取り付けることになる。
【0065】
台座220は、レバー210に向かって上方に延びるストッパーピラー238をさらに備える。レバー210がストッパーピラー238で止まるまでレバー210を閉位置に向かって下げることができ、それによってストッパーピラー238は閉位置で台座220の上でレバー210の位置を設定する。台座220の一部の実施形態ではストッパーピラー238が含まれず、レバー210を閉位置まで押し下げことで、ゴム製ピン224に圧を加えることができるが、しかし以下にさらに説明するように、試料組織に圧を加えるまたは試料組織を平らにすることはできない。
【0066】
図9Aは、針床208の上からの斜視図を模式的に示す。針床208は、2つの位置合わせショルダー部240と、上面242上で針床208の中心線に沿って位置合わせした支持プラットフォーム244とを含む。支持プラットフォーム244の近端部(すなわち銃ハウジングに近い端部)上の下降ステップ246は、支持プラットフォーム244に対して下降しており、それによって生検針10のカニューレ14を支持するように構成され、一方、支持プラットフォーム244は、カニューレよりも直径が小さいマンドレル12を支える。
図9Bは、針床208の下面図を模式的に示す。針床208は、その底面の2つのヘリに沿って針床スライド248を備え、針床スライド248上に膨出部250をさらに備える。針床208は柔軟なリーフを含み、該リーフの自由端には円形の突出部254がある。
【0067】
使用中、針床208は、生検針と接触するために体液に曝される可能性があり、したがって、生検セッション時に最後の試料組織を生体器官から採取してから針床を交換する必要がある。したがって、針床208は、手動で迅速に針床ホルダーの脱着ができるように構成される。針床スライド248を燕尾溝226に挿入し、および針床208の底面上のストッパー256が燕尾溝226のそれぞれの部分に接触して針床208のさらなる移動が止まるまで針床208を水平方向に摺動することによって、針床208は針床ホルダー222に取り付けられる。針床ホルダー222上に針床208を摺動する間、上述のように剛性ピン234は針床ホルダー222の水平方向の移動を制限し、それによって取り付けが容易になる。針床208をそのように針床ホルダー222に取り付けると、膨出部250は針床ホルダー222の燕尾溝226に対してこするように構成されており、それによって針床208が所定位置に安定する補助をする。さらに、針床208を針床ホルダー222上に最後まで摺動させて取り付け、ストッパー256が針床208のさらなる移動を止めると、リーフ252上の円形の突起部254は針床ホルダー222上の円形凹部228に入り、それによって針床ホルダー222上に針床208が固定される補助をする。
【0068】
図9Cは、生検針10を通る垂直面での針床208の断面図を模式的に示す。針床208が組織ハンドリング装置200に取り付けられ、生検銃78が銃ハウジング204内に配置されると、生検針10は支持プラットフォーム244の上部に配置されて、支持プラットフォーム244は銃ハウジング204および位置合わせショルダー部240によって所定の位置で生検針10を支える。
【0069】
レバー210を閉位置に向かって下方に動かす際に基部202が面する側面を表す、レバー210の斜視図を
図10A〜10Dに模式的に示す。
図10Aは、台座220枢動可能に接続され、それによって基部202に対して実質的に上下に動くことができるレバー210を模式的に示す。レバー210は、ユーザーがレバー210を手動で動かすために、レバー210に物理的に連結されたハンドル258を備える。レバー210はさらにカセット260に取り付けるように構成され、生検針10から試料組織を受け取り、そのような試料組織のハンドリングを容易するために使用される。
【0070】
図10B〜10Dは、カセット260なしでのレバー210を模式的に示す。レバー210は、以下に説明するように、カセット260に取り付けるように構成されたカセットハウジング262を備える。カセットハウジング262は、5Dの断面図に示す第1の隆起したリム266と第2の隆起したリム268との間で一段低くなったカセット表面264を備える。第1の突出部270および第2の突出部272は、それぞれ第1の隆起したリムおよび第2の隆起したリムからカセット表面264に向かって突き出ていて、それによって、以下にさらに説明するように、カセットを取り付けるように構成された第1の溝274および第2の溝276を形成する。第1の突出部270は、第2の突出部272よりも幅が広い、すなわちそれぞれ、第1の突出部270は第2の突出部272よりもさらに突出しており、それによって
図2の溝276と比べて台1の溝274はより深いために、左右非対称のカセットハウジング262が形成される。以下にさらに詳述するように、カセット260のそれぞれの非対称性と共にカセットハウジング262の非対称性により、カセットハウジング262でカセット262を一方向で取り付けことになり、それによって検査用に採取し、カセット260に付着させる試料組織の方向を保持する。
【0071】
レバー210は、カセット後方ストッパー280をさらに備え、圧縮バネ284および後方ストッパーピン286に物理的に連結された押圧可能なピン282を備える。
図10Cは、カセット後方ストッパー280からのレバー10の断面図を模式的に示す。カッセットハウジング内に取り付けるためにカセット260をカセットハウジング262に挿入させる場合、押圧可能なピン282を例えば指で押圧し、それによって後方ストッパーピン286を第2の溝276および第2の溝274に押し戻し、カセット260を第2の溝276に摺動することが可能になる。そのようにして、カセット260は前方ストッパー288で止まるまで、カセットハウジング267内に摺動することができる。押圧可能なピン282を解除すると、圧縮バネ284は後方ストッパーピン286(および押圧可能なピン282)を以前の突出位置に戻し、それによってカセットハウジング262内にカセット260を固定する。カセットハウジング262内でカセット260をレバー210に取り付けると、カセット260は前方ストッパー288と、カセットハウジング262内で後方ストッパーピン286との間で前後に摺動することができ、それによって以下にさらに説明するように、2つ以上の試料組織をカセット260の上に収集することができる。
【0072】
図11Aは、カセット260の分解立体図を模式的に示す。
図11Bは、カセット260の上面図を模式的に示し、
図11Cはカセット260の下面図を模式的に示す。カセット260は、カセット基部290と、スポンジ292と、カセットカバー294とを備える。カセット260は、試料シート300をさらに含んで保持するように構成される。カセット基部290は、その中にスポンジ292を含むように、カセットカバー294に面する表面に中空コンパートメント302を含む、例えばプラスチック材料製の実質的に長方形の厚板である。コンパートメント302は、切り取られた隅304を有する実質的に長方形の外周部を有する。スポンジ292は、隅を切り取られた長方形であるコンパートメント302の隅と実質的に同じような外周部を有する。以下にさらに説明するように、スポンジ292は、試料シート300上に試料組織を付着させると、適切にたわみ、試料シートを支持するように、柔らかくて柔軟な材料でできている。本明細書では、たわむとは、圧力に応えて柔軟に後退し、それによって、そのような圧力が止まると、以前の位置に戻ることができることを意味する。カセットカバー294は、例えば堅いプラスチック材料製の実質的に長方形の厚板であり、U字形外形になるように湾曲している。カセットカバー294は、U字形部の脚の内部に凹部306を含み、カセット基部290上の突出部308に取り付けられるように構成され、それによって基部290およびカセットカバー294を押圧することによって取り付けを可能にする。カセット260に試料シート300が取り付けられると、試料シート300はカセットカバー294とスポンジ292との間で押された状態を保持し、それによって自然発生的に移動したり、折り畳まれたり、または曲げられたりするのを防ぐ。
【0073】
カセット基部290は、カセットカバー294に面するカセット基部290の表面から上に延びる突出ピン314をさらに備える。カセットカバー294は、突出ピン314にフィットするように配置された、位置合わせ孔316を含む。カセット260の取り付けるためには、突出ピン314を位置合わせ孔316に挿入する必要がある。このように、突出ピン314と位置合わせ孔により、カセット基部290上へのカセットカバー294の取り付けは一方向でなされることになる。
【0074】
カセットカバー294は、カセットハウジング262内にカセット260を取り付けるためにカセット260を摺動することができるように、U字形部の1つ脚の外側に第1のスライド310と、U字形部の他方の脚上に第2のスライド312をさらに備える。第1のスライド310は第2のスライド312よりも広く、それによって第1の溝274と第2の溝276にそれぞれフィットして、上述の左右非対称のカセットハウジング262への左右非対称カセット260の取り付けを形成する。
【0075】
カセット基部290は、4個の柔軟なリーフ318を含み、各リーフにはその自由端上で外側に突出した膨出部320がある。カセット260をカセットハウジング262に挿入すると、膨出部320がカセット表面264をこすり、それによってカセットハウジング262内でカセット260が自由に移動することを防いで、ハウジング内でカセット260が安定する補助をする。さらに、柔軟なリーフ318により、カセット260は、それぞれスライド310と312との間、および溝274と276との間の間隙によって決定される程度までカセットハウジング内で傾くことができるようになり、それによって、カセット260が生検針の方に押圧される場合、支持プラットフォーム244上で支持された生検針と平行にカセット260が安定する補助をする。
【0076】
カセットカバー294は、カセット260内の試料シート300の一部分を見て、アクセスすることを可能にするウィンドウ322を備える。使用中、試料組織は、ウィンドウ322のエリア上の試料シート300に付着することがある。ウィンドウ322には、側縁部324がある。
【0077】
以下にさらに説明するように、カセットカバー294の第1のスライド310は、それに続く処理ステップでは、第1のスライト310を第2のスライド312から識別するために用いられる間隙326によって分割される。
【0078】
例えば、試料シート300は、フィルムであってもよく、隅を切り取られたシート328で実質的に長方形であり、カセット基部290内のコンパートメント302に形状、寸法でフィットする。カセット260に試料シートを取り付ける場合、
図11Bに模式的に示すように、スポンジ292をカセット基部290のコンパートメント302に挿入し、試料シート300をスポンジ292の上部に配置し、カセットカバー294をカセット基部290上に押圧して、カセット組立体260を形成する。組み立てると、カセット260は、スポンジ292とカセットカバー294との間に押圧された試料シート300を保持する。コンパートメント302の切り取られた隅304および突出ピン314により、試料シート300の切り取られた隅328がコンパートメント302の切り取られた隅304に隣接するように、試料シート300は一方向で取り付けられることになる。
【0079】
このように、試料シート300は、切り取られた隅328のために、自明の360度回転対称を除いて、回転対称が妨げられる。さらに、カセット260は、試料シート260の非対称構造と適合する内部構造を備えており、したがって、一方向でカセット260内での試料シートを取り付けて、カセット内で試料シート300を保持することになる。試料シート300の切り取られた隅328がコンパートメント302の切り取られた隅304にフィットする必要があるために、カセット基部290に対する試料シート300の方向は唯一であり、突出ピン314と位置合わせ孔316のために、カセットカバー294に対するカセット基部290の方向は唯一であり、ならびにレバー210に対し、それによって生検ハンドル10(
図7Bに示す)に対するカセット260の方向は、それぞれ、カセットカバー294上の第1のスライド310と第2のスライド312、およびレバー210上の第1の溝274と第2の溝276のために唯一である。したがって、針床208に対するカセット260の配置は、レバー210の閉位置に予め規定されており唯一である。したがって、試料組織を試料シート300に付着させる際に、生検針10のノッチに対する試料シート300の方向は唯一であり、試料シート300上の切り取られた隅328に近い試料組織の端部は、生検銃のハンドルに近く、生検針の遠位先端部から離れた端部である。したがって、試料組織が試料シート300に付着されている限り、試料組織の方向がわかり、維持される。
【0080】
試料シート300は、手動で押圧されると、または生物組織と、該試料シートとの間に接触が形成されると、生物組織に付着することができる。試料シート300はそのような粘着性をさらに維持することができ、上述のように生物組織は、ホルムアルデヒドなどの水溶液に浸漬した後でも、および検査に備えて試料組織が通る化学プロセス時でも試料シートに付着した状態を維持する。試料シート300は、生物組織への粘着性を含むすべての特性において、およびさらに試料組織への影響に対応する特性において、上述の試料シート146に実質的に類似する。具体的には、試料シート300は、上述のように、試料組織を試料シート上に収集する前に、試料組織に面する試料シートの少なくとも表面に生物組織を付着させることができる付着面を含む。
【0081】
組織ハンドリング装置200を使用する際、および試料組織を試料シート300に付着させるために、上述のようにカセット260に試料シート300を取り付けてレバー210でカセットハウジング262に挿入する。ユーザーは、後方ストッパーピン286と前方ストッパー288との間でレバー210に対するカセット260の位置を選択することで、試料組織が付着することになる試料シート300上の位置を選択することができる。一部の実施形態において、カセット260の少なくとも2つのそのような位置が使用可能であり、同じ試料シート300上に少なくとも2つの試料組織を付着させることができる。一部の実施形態において、カセット260のいくつかのそのような位置が使用可能であり、同じ試料シート300上にいくつかの試料組織を付着させることができる。
【0082】
生検針10のノッチ内に試料組織を含む生検銃78は、生検針10のノッチがレバー210の方へ上向きになるように、銃ハウジング204内に配置される。
図7Bに示すように、生検針10を位置合わせショルダー部240間に配置して、針床208の支持プラットフォーム244上で支持する。針床ホルダー222内の上部マグネット230(
図8C)は、生検針10上に磁力を加え、生検針10を支持プラットフォーム244の方へ下向きに引き付けて、その上で生検針10が安定する補助をする。ユーザーは、ナット212(
図7C)を緩めて、銃ハウジング204の位置と方向を調節して、ナット212を再び締めることによって支持プラットフォーム244上の生検針10の遠位先端部の位置(例えば生検針10の長さに沿って)を調節することができる。
【0083】
図7Dに模式的に示すように、レバー210を例えば手で閉位置まで下げる。試料シート300を生検針10のノッチ内で試料組織と接触させると、試料組織は試料シート300に付着する。次いで、レバー210を開位置まで持ち上げて、レバー210上の新しい位置を選択してカセット260を移動させ、次の試料組織をその上に採取する、またはレバー210からカセット260を取り外す、カセット260から試料シート300を取り外して、さらなる処理のためにその上の試料組織と共に試料シート300を取り出す。
【0084】
図12は、閉位置にある組織ハンドリング装置200の生検針10に沿った垂直面での断面図を模式的に示し、レバー210と台座220を示す。レバー210を閉位置の方に下げると、生検針10のノッチ18はカセット260のウィンドウ322に面し、カセット基部290、ウィンドウエッジ324近くの生検針10、好ましくはノッチの両側に接触する。レバー210がストッパーピラー238で止まるまで、レバー210をさらに下げることができる。カセット基部290が生検針10に接触するポイントを越えてレバー210下げると、生検針10上、針床208上、および生検針10を支持する生検針床ホルダー222に下向きの力が加えられる。このようにして、ゴム製ピン224(この図に図示せず)は、強く押されることでたわむことができ、ストッパーピラー238で止まるまでレバー210をさらに下げることが可能になる。
【0085】
上述のように、カセット基部290上のゴム製ピン224および膨出部320がたわむと、カセット260と生検針10との間の平行度のずれの可能性を補正する補助をする。そのような平行度のずれは、例えば、カセット260とレバー210との間、レバー210と台座220との間、台座220と針床ホルダー222との間、および針床ホルダー222と針床208との間の機械的誤差の蓄積が原因で起こることがある。さらに、組織ハンドリング装置200およびカセット260と針床208との間の遠隔平行性の理想的な機械的構成の仮想症例でも、生検針10が曲がることがあり(特に垂直面で)、カセット260と生検針10との間の平行度のずれが生じることがある。上述のように、レバー210で下向きの力を生検針10に加えることにより生検針10を下方に押圧することによって、およびそのような下向きの力に柔軟にたわむゴム製ピン224によって、針床208と、したがって生検針は傾いてカセット260と平行に位置合わせすることができ、それによってノッチ上の試料組織と、カセット260内の試料シート300との間で適切な接触が可能になる。一部の実施形態において、上述のように0〜5mmの範囲内の距離にわたり強く押されることによってゴム製ピン224はたわむことができる。一部の実施形態において、そのような距離は、0mm、1mmおよび5mmでもあり得る。一部の実施形態において、カセット260と平行に位置合わせするために、針床208、したがって生検針10が傾くこと、および場合によりたわむことを可能にするゴム製ピン224以外の機構、例えば、単一のバネ、多数のバネ、スポンジのような柔らかくて柔軟な材料でできた単一バルク、またはボールジョイント、または当業者に周知のいずれの他の好適な機構を含む機構が考えられる。
【0086】
生検針によって採取され、および生検針のノッチ上に配置された一般的な生検試料組織は、不均等な厚さであり、すなわちノッチに沿って試料組織の外形は、直線から著しく逸脱して、一般的に「丘」および「谷」を有することがある。試料組織の長さに沿って試料シート300に試料組織が持続的に確実に付着するには、連続的な接触を形成する必要があり、試料組織の薄い部分、すなわち外形が低い部分に達するように、試料組織の突出部分を押し下げることが恐らく必要となる。しかし、試料シートの厚い部分を押し下げると、試料組織を平らにすることになり、通常は望ましくない。試料シート上の試料組織が平らで薄いと、例えば顕微鏡下検査などの後の検査用のスライスまたは切片が少なくなる恐れがあるからである。
【0087】
試料シートの薄い部分との接触を可能にし、試料の厚い部分を押し下げる量を軽減するために、カセット260内のスポンジ282は試料シート300を柔軟に支持する。カセット260のウィンドウエッジ324近くのカセット基部290が生検針10に接触すると、スポンジ292で支持された試料シート300は、試料組織収集の効率を上げるためにノッチに進入するように構成されている。一部の実施形態において、スポンジ292で支持される試料シート300は、0〜1mmの範囲内の距離でノッチに進入する、例えば約0.2mmでノッチに進入するように構成される。一部の実施形態においてスポンジ292で支持される試料シート300は、ノッチに進入して、ノッチフロアから0〜1mm上の距離に達する、例えばノッチフロアから約0.3mm上の距離に達するように構成される。ノッチフロアの上にそのように短い距離で達する試料シート300は、0.3mmより厚い試料組織の部分の付着を確実にし、それによってノッチ上に残される試料組織の量を最小限にして、試料組織収集の効率を大幅に上げる。スポンジ292で試料シート300を柔軟に支持することで、試料組織の厚い部分が試料シート300に接触する領域で試料シート300がたわむことが可能になり、それによって、押されて平らになる試料組織のそのような厚い部分の量が減少する。さらに、スポンジ292で試料シート300を柔軟に支持することにより、試料シート300はノッチの端部でたわむことが可能になり、それによって試料シート300はノッチ端部の近くに進入することができ、それによってノッチ端部の領域からの試料組織の収集が可能になる。このように、スポンジ292で試料シート300を柔軟に支持することによって、ノッチ端部近くの試料組織に達することによって、および試料組織の薄い部分に達することによってノッチからの試料組織の収集の効率を最大限にすることが可能になり、一方、平らにされる試料組織の厚い部分は限定され、それによってそれに続く検査ステップ用の試料組織の厚い部分の厚さが維持される。
【0088】
一部の実施形態において、基部202に対する生検銃の方向は
図7〜12で上述した方向と異なることがあり、例えば、ノッチが上向きではなく横向きになるように生検銃を方向づけることが可能であることを留意されたい。試料シート300に対して試料組織を支持するノッチ18の3つの異なる相互方向を含む3つの実施形態を
図13A、13Bおよび18Cにそれぞれ模式的に示す。レバー210を閉位置まで下げると、試料シート300はノッチフロアに対して実質的に垂直をなし、したがって試料組織は試料シート300とノッチフロアとの間で押圧されることはない。
【0089】
図14Aおよび14Bは、組織ハンドリング装置200で用いるように構成されたカセット360の一実施形態を部分分解図(A)と閉状態図(B)で模式的に示す。組織ハンドリング装置200と組み合わせて使用可能であることに加えて、例えば、上述の説明及び方法によれば、カセット360は、さらに、試料組織の薄片作成の前の準備プロセス中、プロセス時に、例えば試料を保存液で洗浄するステップ、該試料を乾燥するステップ、およびそれに続くステップで試料組織を維持するための試料ボックスとして使用することができる。
【0090】
カセット360は、ボックスカバー362を有する点でカセット260と異なり、カセット内に維持される試料組織を覆うように構成され、それによって上述のようにカセット360を試料準備ステップで用いるように構成された密閉試料ボックスになる。ボックスカバー362は、カセットカバー364内のウィンドウ322にフィットする寸法と形状を有する。さらに、ボックスカバー362は、ボックスカバー362をカセットカバー364に取り付けるために2つのカバーピン366を備える。カセットカバー64は、ウィンドウ322のエッジに2つの孔370を含み、ピン366を覆う寸法に実質的に適合する。このように、ボックスカバー362のカセットカバー364への取り付けは、カバーピン366を孔368に挿入して、ボックスカバー362に押圧することによって達成される。
【0091】
ボックスカバー362およびカセットカバー364は、保存液などの洗浄液がカセットに容易に浸透することができるように洗浄孔372を備える。したがって、カセット360は、ボックスカバー362で閉じられているときでも、液体の浸透性が高い。
【0092】
カセット360のカセット基部374は、当技術分野で周知であり、日常的に行われているように、カセットに保持されている試料組織を特定するためのストリングを含むラベルを付着するように構成されるラベル貼付面378を含む。
【0093】
図15Aおよび15Bは、組織ハンドリング装置200と共に用いられるように構成されるカセット400のさらに別の実施形態を模式的に示す。組織ハンドリング装置200のレバー210に取り付けられたときのカセット400を
図15Aに示す。例えば、上述のように、組織ハンドリング装置200と組み合わせて用いて、例えば生検針から試料組織を収集することができ、およびさらに試料組織の薄片作成の前の準備プロセスで、それに続くステップで試料ボックスとして用いることができる。
【0094】
カセット400は、基部壁406内に限られたコンパートメント404を含むカセット基部402を備える。フレーム410を含むカセットカバー408は、コンパートメント404内部のカセット基部402に取り付けられるように構成され、それによって、フレームとカセット基部402との間で試料シートおよびスポンジを押圧することによって、スポンジ414の上部で試料シート412をしっかりと保持する。フレーム410は、試料シート412を見て、アクセスすることを可能にする開放ウィンドウ416を含む。
【0095】
生検針10の軸に対して垂直をなすカセット基部402の2つの対向した基部壁406の各々は、凹部418を含む。凹部418は、レバー210を閉位置まで移動させると、組織ハンドリング装置200内の所定位置に固定された生検針がカセット400に実質的に接触する所および試料シートに隣接して位置している。
【0096】
カセット400は、カセット基部402に枢動可能に連結されたボックスカバー420をさらに備える。
図15Aに模式的に示すように、ボックスカバーを開けることができ、それによって例えば生検試料をその上に付着させるために試料シート412にアクセスすることが可能になる。
図15Bに示すように、ピボットの周りでボックスカバー420を動かして、ボックスカバー420をカセット基部402に取り付けることによって、ボックスカバー420を閉じることができる。ボックスカバー420を舌片422によってカセット基部402に取り付け、一方延長部424を壁凹部418にはめ込んで、凹部を閉じる。
【0097】
ボックスカバー420およびカセット基部402は、洗浄孔をさらに含み、保存液などの洗浄液がカセットに容易に浸透して、試料組織を洗浄することを可能にする。このように、カセット400は、ボックスカバー420で閉じられているときでも、液体の浸透性が高い。
【0098】
試料シートに付着した試料組織が上述のように薄片作成の準備ステップで、特に洗浄を含む処理ステップ中に処理されると、試料組織は自然に試料シートから離れる。さらに、そのような処理ステップ中、試料組織が自然に裂け、次いで該試料の部分は試料シートから離れることができる。したがって、ボックスカバー420を閉じると(同様に、カセット360内のボックスカバー362を閉じる)、試料組織がカセットから外部に漏れるのを実質的に防ぐ。さらにボックスカバー420を閉じると(同様に、カセット360内のボックスカバー362を閉じる)、試料シート上に生物組織を付着させるために、カセット内部の試料シートへのアクセスが妨げられる。
【0099】
カセット400のカセット基部402は、当技術分野で周知であり、日常的に行われているように、カセットに保持されている試料組織を特定するためのストリングを含むラベルを付着するように構成されるラベル貼付面378をさらに備える。
【0100】
図16A〜16Cは、例えば、顕微鏡下の検査を含むそれに続く処理ステップ中に試料組織の方向を維持するために、試料シートに付着した組織を染色するための染色装置450を模式的に示す。染色装置450は、カセット260を収納するように構成された染色カセットハウジング452を備える。染色カセットハウジング452は、第1の高い壁456と第2の高い壁458との間で一段低くなったカセットハウジングフロア454を含む。第1の高い壁456は、カセットカバー294のスライド310内の間隙326にフィットするように位置合わせされた、突出した歯460を備え、それによって第1のスライド310が第1の高い壁456に隣接し、第2のスライド312が第2の高い壁458に隣接するように、一方向でカセットハウジング452にカセット260を挿入することができる。
【0101】
カセットハウジングフロア454は、カセット260内の試料シート300に付着し、該シート上にあると思われる試料組織を染色するために、カセットハウジングフロア454から上方に部分的に突出する3つの染色スポンジ(462a〜462c)をさらに備える。
図16Bは、染色スポンジ462a〜462cを含む染色装置450を垂直面での断面図で模式的に示す。染色スポンジ462a〜462cは、例えば毛細現象によってその底部から上部に液体を自然に吸い上げ、このようにして複数の染色セッションの間に染料をスポンジに維持することができる透過性があって柔軟な材料を含むことができる。染色装置450は、3つの別々のチェンバー464a〜464cを備え、各チャンバーはそれぞれ液状の染料と、染色スポンジ462a〜462cとを含むように構成される。チェンバー464a〜464cは、実質的に長方形であり、カセットハウジング454内の垂直線に対してある角度で斜めに傾斜している。したがって、チェンバー464a〜464cに挿入される長方形の染色スポンジ462a〜462cは、結果的に傾き、染色されることになる試料シートおよび試料組織に向かって上向きに、エッジ466が染色先端部を形成する。一部の実施形態において、スポンジ462a〜462cは、普通のスポンジでできている。例えば、上から各々の上に染料を注ぐ、または滴下することで、染料をスポンジにしたたらせることによって、染料をスポンジに塗布することができる。一部の実施形態において、スポンジ462a〜462cは、複数の染色セッションの間に使用することができる。一部の実施形態において、スポンジ462a〜462cは、単一の染色イベントで使用することができる。一部の実施形態において、染色装置450を体液、例えばマークを付けた試料組織に曝す。一部の実施形態において、スポンジは使い捨てである。一部の実施形態において、カセットハウジングフロア454は使い捨てである。一部の実施形態において、染色装置450は使い捨てある。
【0102】
使用するには、各染色スポンジ462a〜462cを特定の染料に浸す、例えば染色スポンジ462aは赤色染料に浸漬させてもよく、染料スポンジ462bは黄色染料に浸漬させてもよく、および染料スポンジ462は青色染料に浸漬させてもよい。カセットハウジングフロア454に隣接して染色スポンジ462a〜462c上に配置された3つのドット468a〜468cそれぞれは、各染色スポンジがどの色で試料組織にマークを付けることができるかをユーザーに知らせるために、各々の染色スポンジで使用した染料で着色されている。スポンジ462a〜462cを浸漬するため、したがって試料組織にマークを付けるために用いる染料材料は、Triangle Biomedical Sciences社製のTMD(商標)組織マーキング色素もしくはCancer Diagnostics, Inc.社製のTissue Marking Dyes(登録商標)(例えばモデル番号0778−x)もしくは当技術分野で既知のいかなる好適な染料などの、試料組織のその後の処理ステップに耐え、かつ試料組織に付着した状態で残存するものである。
【0103】
使用中、カセット260は、上述のように位置合わせされた染色カセットハウジング452内に、カセットハウジングフロア454に向かって下向きに少なくとも1つの試料組織を含む試料シート300と共に適切に配置される。試料シート300に付着した試料組織は、通常、3つのすべての染色スポンジを越えるその長さを有して位置合わせされることに留意されたい。
図16Cは、
図16Bに示すように、染色カセットハウジング452内に適切に取り付けられたカセット260を有する染色装置450の垂直面に沿った断面図を模式的に示す。
図116Cでは試料シート300に付着した試料組織は通常、図の平面に対して平行にその長軸を有して位置合わせされることに留意されたい。エッジ466は実質的に、カセットハウジングフロア454を超える高さであり、それによりエッジ466が試料シート300と、したがって該シートに付着した試料組織と確実に接触する。試料シート300に付着する試料組織は、一般に、染色スポンジ462a〜462cに向かって下方に試料シートから突出し、それによって、スポンジに向かって押圧されると、わずかにスポンジに沈み込む。このように、スポンジ462a〜462cは試料組織の圧によってたわみ、それによって試料組織の横断面の周囲長のかなりの部分に沿って試料組織にマークを付ける。試料組織の周囲長のまわりの試料組織および少なくともそのかなりの部分のまわりの試料組織にマークを付けることによって、試料組織の最初のスイラスだけでなくその連続するスライス上に着色したマーキングが可能になる。
【0104】
一部の実施形態の一態様によれば、染色装置450のカセットハウジングフロア454などのカセットハウジングフロアを含む染色装置は、組織ハンドリング装置200の基部などの基部に永久的にまたは一時的に取り付けられるように構成されることができる。そのような一部の実施形態によれば、カセットハウジングフロア454などのカセットハウジングフロアは、その底面から下方に延びて、台座220内の貫通孔236にフィットするように位置合わせされた2つのピンを含むことがある。そのような一部の実施形態によれば、針床208および針床ホルダー222は、例えば手動で上方に持ち上げることによって台座220から取り外すことができる。次いで、上述のように下方に延びる2つのピンを含み、かつカセットハウジングフロア454内のようにその上面に染色スポンジをさらに含むカセットハウジングフロアは、
図17に模式的に示すように、針床ホルダー222の代わりに台座220上に取り付けることができる。上述の試料組織を染色するために、針床ホルダー222のカセットホルダーフロアとの置換は手動で容易にかつ迅速に成し遂げることができることに留意されたい。
【0105】
一部の実施形態の一態様によれば、その上に1または複数の試料組織を運ぶと思われる、組織ハンドリング装置200などの組織ハンドリング装置を使用する試料シートを染色する方法がこのように提供される。試料シート300を含むカセット260がレバー210に取り付けられ、そのノッチ内に生検試料組織を含む生検銃が銃ハウジング204内に配置される。生検針は針床208上に適切に位置合わせされ、試料組織は上述し、説明したように、レバー210を閉位置まで下げることによってカセット260に収集される。カセット260内の試料シート300上に試料組織を収集してから、レバー210を開位置まで持ち上げ、生検銃を銃ハウジング204から取り出す。その上の針床208と共に針床ホルダー222を台座220から取り外し、および台座220に取り付けて、その中の貫通孔236にフィットするピンを備えるカセットハウジングフロアを上で説明したように台座220に取り付ける。付着した試料組織480と共にカセット260を含むレバー210を再び閉位置まで下げて、試料シート300およびその上の試料組織を台座220上のカセットハウジングフロア上のスポンジに実質的に接触させる。次いで、レバー210を持ち上げ、カセット260内の試料シート300および試料組織にマークを付ける。
【0106】
試料組織を試料シート上に収集して、試料シートにマークを付ける2つのステップが単一の装置を用いるので、上述の方法は特に有利である。したがって、2つのステップの間に第1の装置からカセットを取り外し、次いで第2の装置にカセットを取り付けることを避けることができ、カセットとその上の試料に対するリスクが実質的に低減することになる。さらに、この方法を実施する際に実質的に蓄積される機械的誤差が少ないので、試料シートのマークの位置に伴う正確性が実質的に高く達成される。
【0107】
図18は、例えば、上述のような染色装置450を用いて着色した後の長い試料組織480aと短い試料組織480bを含む代表的な試料シート300を模式的に示す。試料シートの切り取られた隅は、上述のように、生検針および遠位先端部に対する試料組織の方向を特定する。したがって、染色装置450での3つの染料の順番についての上述の例を用いて、切り取られた隅に近い試料組織の端部を赤色に着色し、他端部を青色に、中央部分を黄色に着色する。
【0108】
上述のようにマークの付いた試料組織、およびおそらくは上述のように2以上の試料組織を着色することによって、試料組織の最初の方向および位置についての情報が以下に詳述するように保存される。
−組織ハンドリング装置200を使用して試料組織を試料シート300に付着させると、試料シート300に対する生検針のノッチの位置、およびノッチ端部の位置は、組織ハンドリング装置200によって決定されて、上述のようにわかる。
−検染色装置450によって試料シート300上の印されたマークの位置は、染色装置450によって決定されて、上述のようにわかる。
−したがって、マークは、試料組織上の位置を特定し、たどることができる、すなわち、生検針上のノッチ(または任意の他の特定のポイント)に相関させることができる。
−検査前の試料組織の処理時に、試料組織またはその部分を試料シートから取り出すと(例えば、試料組織のスライスを顕微鏡下の検査のために取り出す)、試料部分のマークにより、生検針ノッチに対してその部分の方向および位置の両方が依然として特定される。
−上述のように、並んでいるいくつかのマークを用いる、好ましくは異なる色の付いたいくつかのマークを用いることによって、そのような方向と位置の情報が、短い試料組織170bなどの短いもしくは部分的な試料組織上でも維持されることに留意されたい。短い試料組織にわずか2つのマーク(異なる色のマーク)を付けた場合、方向と位置の全情報がその試料組織上で維持され、極めて短い試料組織に単一のマークだけを付けた場合、極めて短い試料組織の最初の位置は依然としてわかる(方向情報が消失する可能性はあるが)。
【0109】
本発明の一部の実施形態の一態様によれば、コア生検針によって採取された生物組織を扱う方法が提供される。
1.レバー210を持ち上げると(すなわち開位置にある)、試料シート300を含む組立カセット260がレバー210に取り付けられる。試料シート上の試料組織を付着させるためにカセットの第1の位置を選択する。
2.生検針10の(カニューレを引いて後退させ)露出したノッチ18内で試料組織を運ぶ生検銃78は、生検針が位置合わせショルダー240の間になり、針床208の支持プラットフォーム244によって支持されるように、組織ハンドリング装置200の銃ハウジング204内に配置して固定する。
3.ストッパーピラー238で止まるまで、レバー210を下げ、それによってカセット260内の試料シート300を生検針上の試料組織上に押圧して、試料組織を試料シートに付着させる。
4.ステップ1〜3によって、レバー210を持ち上げ、同じ試料シート上の次の試料組織に付着させるために、カセット260を任意選択で次の位置に移動させる。
5.カセット260をレバー210から取り外して、試料組織にマークを付けるために染色装置450に挿入する。
6.カセット260を取り外して、マークが付いた試料組織を運ぶ試料シートをカセットから取り出す。
7.
図19Aに示すように、試料組織480を運ぶ試料シート300を試料ボックス内に配置する。試料ボックスを試料ボックスカバー502で閉じて、上記導入部で説明したように、試料シート上の試料組織を内部に有する閉じた試料ボックスを検査前に適切な化学的処理プロセスを通す。一部の実施形態において、カセット260を上記のステップ6で取り外さずに、ホルムアルデヒドを含む溶液などの保存液に入れて、取り付けてもよい。その後、それに続く化学的処理のステップについて上述したように、カセット260を取り外して、試料シートを試料ボックス内に配置する。
8.化学的処理プロセスに続いて、その上に試料組織が付着し乾燥した試料シートを試料ボックスから取り出して、
図19Bに示すように、試料組織が金属モールド510の床に直接接触するように、金属モールドの床の上に下向きに配置する。試料組織を少し押圧して、および任意選択で、滴下させたパラフィンを用いて金属モールド510の床に付着させてもよい。
9.
図19Cに示すように、試料ボックス500を金属モールド510の上部に固定し、その間隙、すなわち金属モールドと試料ボックスとの間をパラフィンで充填する。
10.パラフィンが凝固したら、
図19Dに模式的に示すように、金属モールドを取り出して、パラフィンブロック514で満たされ、かつ上部に試料組織がまだ付着している試料シートを含む試料ボックス(試料組織を特定するストリング512を記した)を残す。
11.上で説明したように、試料組織を含む試料ボックスをスライシングのために取り出す。
12.選択したスライスを第1のガラス板上に配置して、加熱し、次いで指定された洗剤で洗浄してパラフィンを取り除く。次いで、試料組織が第1と第2のガラス板の間になるように、第2のガラス板を試料組織の上に取り付け、2枚のガラス板に挟まれた試料組織を、例えば顕微鏡下の検査などの検査で使用する。
13.検査した試料組織(例えば腫瘍または罹患部)上の関心領域を試料組織上のマークに関連して局在化させることができ、したがって生検針ノッチに関連して、所望であれば、それが採取された器官内の部位に関連して局在化させることができる。
【0110】
カセット260ではなくてカセット360またはカセット400を用いる場合、
図19Aに示すように、カセットを取り外すステップ(上でのステップ6)、カセットから試料シートを取り出すステップ、および試料ボックス内に試料シートを配置するスッテプは、不必要になることに留意されたい。このように、カセット360またはカセット400などのカセットを使用する場合、上記ステップ5における試料組織の染色に続いて、以下のステップを用いてもよい。
6a.カセット360でのボックスカバー362またはカセット400でのボックスカバー420などのボックスカバーをカセットに取り付け、それによって該カセットのウィンドウを閉じる。
7a.内部に試料シート上の試料組織を有する閉じたカセットは、上のステップ7に記述するように、検査の前に適切な化学的処理プロセスを通す。
【0111】
次のステップは、上記ステップ8〜13に実質的に類似している。例えば、ステップ7aに続いて、上のステップ8に記述し、
図19Bに示すように、ボックスカバーを取り、カセット(360または400など)を取り外し、試料シートを取り出して、金属モールド内に下向きに配置する。その後、試料ボックスではなくて、カセットを金属モールドの上部に配置して、カセット360内のラベル貼着面378などのラベル貼着面を用いて、その中に試料組織を含む前述のパラフィンボックスにラベルを付ける。このように、カセット360またはカセット400などのカセットを用いることによって、その上に試料組織が付着した試料シートを直接扱うことを最小限に抑え、それによって試料組織への損傷または試料組織の損失のリスクを低減し、プロセスの複雑性を低減し、したがってプロセスの時間を縮小する。
【0112】
一部の実施形態によれば、試料シート上の試料組織の画像は、カメラなどの画像モダリティを用いて、ノッチから試料組織を収集した直後に撮る。
図20に模式的示す組織ハンドリング装置600は、組織ハンドリング装置200を含み、基部202にしっかりと取り付けられ、
図20に示すようにレバーが開位置にあるとき、カセット260内の試料シートの画像を撮るように構成されたカメラ610をさらに含む。
【0113】
カメラ610を用いて、試料シートに対する、特に切り取られた隅328などの試料シート上のマークに対するまたは試料シートのエッジに対する試料組織の位置の画像を撮る。
【0114】
試料方向の認識を維持するために、試料それ自体にマークを付ける必要があり、例えば着色したドットを試料組織上に付ける。カメラ610を用いて画像を撮る前にマーク付けを行う場合、試料組織は、試料上のいずれの任意の位置でマークを付けることができる。あるいは、試料は、生検針の遠位先端部に最も近い試料の端部などの既知のポイントでマークを付けるべきである。試料のスライシングの後に、および顕微鏡の下の検査時に、病理学者は、例えば、試料組織上のマークを付けたドットから少し離れた腫瘍を示すことがある。試料上のマークを付けたドットの位置は、カメラ610で撮った画像からわかる(ドットは画像に現れる、またはドットの位置は試料の端部の位置であり、常に画像中に現れる)。したがって、腫瘍の正確な位置は、生検試料が採取された時点の生検針に沿って特定の位置まで遡ることができる。
【0115】
試料組織を例えば、上記導入部で説明したような技術を用いて採取する間に、生体器官内の生検針の遠位先端部の位置を記録することによって、該試料組織を採取している時点の生検針の遠位先端部の位置がわかる。試料組織のマークを用いて、試料組織の端部と、生検針の遠位先端部との間の距離、または試料シートの端部との間、または試料組織の端部と、試料シートの端部との間の距離を測定することによって、遠位先端部に対する試料組織上のいかなる点の位置がわかる。検査まで組織の方向を保存することによって、検査で検出されたいずれの疾患または腫瘍は、試料組織の特定された端部と関連付けられる。上述した情報を考慮することによって、検査で検出された腫瘍または疾患は、試料組織を採取した生体器官内の特定された部位と関連付けることができる。
【0116】
一部の態様において、生検針で採取される生物組織を扱うための技術を向上させる装置および方法を本明細書で提供する。具体的には、一部の実施形態において試料組織の方向を維持しおよび/または1ミリメートル未満のZ軸正確度が可能な、および1ミリメートルよりも良好なZ軸正確度さえ可能な装置および方法を本明細書で提供する。
【0117】
一部の実施形態において疾患検出の確率の増加を可能にする装置および方法を提供する。試料シート上の直線状の試料組織は、疾患検出の確率の増加を可能にする。
【0118】
このように、一部の実施形態の一態様によれば、シャフト上で運ばれる生物組織を試料ホルダー上に収集する装置が提供される。該装置は、基部と、レバーと、針床とを備える。針床は基部およびレバーのうちの1つに取り付けられて、生物組織を運ぶシャフトを実質的に所定の位置で支持するように構成される。基部およびレバーのうちの他は、それに取り付けられた試料ホルダーを支持するように構成される。レバーは、基部に対する設定間で移動でき、それによって、装置に適切に取り付けられた試料ホルダーが、針床に対して移動でき、したがって
−第1の設定において試料ホルダーおよび針床は互いに離れており、および
−第2の設定において試料ホルダーおよび針床は互いに対して所定の配置を有して互いに近位に位置する。
【0119】
一部の実施形態によれば、針床は基部に取り付けられ、およびレバーは試料ホルダーに取り付けられるように構成される。一部の実施形態によれば、針床はレバーに取り付けられ、および基部は試料ホルダーに取り付けられるように構成される。
【0120】
一部の実施形態によれば、レバーは基部から取り外し可能である。一部の実施形態によれば、レバーは基部から取り外せない。
【0121】
一部の実施形態によれば、レバーは基部に枢動可能に連結され、それによって基部に対する設定間で実質的に曲線に沿って移動できる。一部の実施形態によれば、レバーはトラックによって基部に機械的に連結されており、それによって基部に対する設定間で実質的にトラックに沿って移動できる。一部の実施形態によれば、トラックは1または複数のレールを備える。一部の実施形態によれば、トラックは1または複数の溝を備える。
【0122】
一部の実施形態によれば、針床は装置から取り外し可能である。
【0123】
一部の実施形態によれば、針床は使い捨て部品である。
【0124】
一部の実施形態によれば、試料ホルダーおよび針床は第2の設定で向かい合う。
【0125】
一部の実施形態によれば、試料ホルダーは、レバーが第2の設定にあるとき、針床で支持されたシャフトによって運ばれる生物組織に接触することができる。
【0126】
一部の実施形態によれば、シャフトはコア生検針である。一部の実施形態によれば、シャフトはノッチを有するコア生検針である。一部の実施形態によれば、コア生検針のノッチは、生物組織を運ぶように構成されたノッチフロアを備える。
【0127】
一部の実施形態によれば、レバーが第2の設定にあるとき、ノッチフロアが実質的に試料ホルダーと平行になるように、針床はコア生検針を支持するように構成される。一部の実施形態によれば、レバーが第2の設定にあるとき、ノッチ上で運ばれる生物組織は試料ホルダーとノッチフロアとの間で押圧される。
【0128】
一部の実施形態によれば、レバーが第2の設定にあるとき、ノッチフロアが試料ホルダーと平行にならないように、針床はコア生検針を支持するように構成される。一部の実施形態によれば、レバーが第2の設定にあるとき、ノッチフロアが試料ホルダーに対して垂直をなすように、針床はコア生検針を支持するように構成される。一部の実施形態によれば、レバーが第2の設定にあるとき、ノッチ上で運ばれる生物組織は、試料ホルダーとノッチフロアとの間で押圧されない。
【0129】
一部の実施形態によれば、生検針が所定位置で針床によって支持されるように、組織収集装置は生検針を有する生検銃を該装置に固定するように構成された銃ハウジングをさらに含む。
【0130】
一部の実施形態によれば、銃ハウジングは、調節可能な寸法および/または形状を有する。一部の実施形態によれば、銃ハウジングは、一定寸法および形状を有する。
【0131】
一部の実施形態によれば、試料ホルダーは、生物組織に接触することによって生物組織に付着することができる。一部の実施形態によれば、試料ホルダーは第2の設定において、シャフト上で運ばれる生物組織に接触するように構成され、それによって生物組織に付着し、レバーが第1の設定に移動すると、シャフトから生物組織を取り外す。
【0132】
一部の実施形態によれば、試料ホルダーは、生物組織に接触することによってその生物組織に付着することができる試料シートを保持するように構成される。一部の実施形態によれば、試料ホルダーは、生物組織に接触することによってその生物組織に付着することができる試料シートを含む。
【0133】
一部の実施形態によれば、試料ホルダーは、装置によってシャフトから収集された生物組織を維持するように構成されたカセットを含む。一部の実施形態によれば、カセットは手動で装置から取り外し可能である。一部の実施形態によれば、カセットは、生物組織に接触することによってその生物組織に付着することができる試料シートを保持するように構成される。一部の実施形態によれば、試料シートは第2の設定で、シャフト上で運ばれた生物組織に接触し、それによって生物組織に付着し、レバーが第1の設定に移動されるとシャフトから生物組織を取り外すように構成される。一部の実施形態によれば、カセットは、自明の360度回転対称を除いて、カセットの回転対称を妨げる非対称性の外形輪郭を有する。一部の実施形態によれば、カセットは装置の基部に対してカセットの一方向だけに装置に取り付けることができる。一部の実施形態によれば、生物試料は、ノッチ上の生物組織の方向が実質的に試料ホルダー上で維持されるように、試料ホルダーに取り付けられる。
【0134】
一部の実施形態によれば、試料ホルダーは、装置に取り付けられると、装置に対して制御下で変位できる。一部の実施形態によれば、試料ホルダーはいくつかの正確に規定された位置間で、制御下で変位でき、それによって試料ホルダー上のいくつかの位置上にいくつかの生物組織をそれぞれ連続して収集することができる。
【0135】
一部の実施形態によれば、針床は装置に柔軟に取り付けられ、それによって、レバーが第2の設定にあるとき、装置に対して傾いて、試料ホルダーに実質的に平行に位置合わせができる。一部の実施形態によれば、針床は装置に柔軟に取り付けられ、それによって、レバーが第2の設定にあるとき、装置に対してたわむことができる。
【0136】
一部の実施形態によれば、基組織収集装置は、基部にしっかりと取り付けられた画像モダリティをさらに備え、レバーが第1の設定にあるとき、試料ホルダーの画像を撮ることを目的として構成される。一部の実施形態によれば、画像モダリティはCCDカメラである。
【0137】
一部の実施形態の一態様によれば、試料ホルダー上で生物組織を収集して保持するカセットを提供し、該カセットは、基部厚板を含むカセット基部と、ウィンドウを含み、カセット基部上に取り付けられたカセット内に設置されるカセットカバーとを含む。カセットは、生物組織に付着するように構成された付着面を有する試料ホルダーと組み立てられるように構成され、試料ホルダーは、カセット基部とカセトカバーの間で実質的に保持されが、一方、付着面の少なくとも一部は該ウィンドウからアクセス可能である。
【0138】
一部の実施形態によれば、試料ホルダーは試料シートを含む。一部の実施形態によれば、カセットは、カセット基部とカセットカバーとの間に実質的に配置された試料ホルダーをさらに備える。一部の実施形態によれば、試料ホルダーは、付着面で生物組織に接触することによって生物組織に付着することができる。
【0139】
一部の実施形態によれば、カセットは、自明の360度の回転対称を除いて、カセットの回転対称を妨げている非対称性の外形輪郭を有する。一部の実施形態によれば、試料ホルダーは、カセット基部とカセットカバーとの間でその部分に沿って押圧されることによって保持される。一部の実施形態によれば、試料ホルダーはマークを含み、マークは自明の360度回転対称を除いて、試料ホルダーの回転対称を妨げる。一部の実施形態によれば、マークは視覚マークである。一部の実施形態によれば、マークは構造的なものである。一部の実施形態によれば、マークは試料ホルダー内の孔である。一部の実施形態によれば、孔は貫通孔である。一部の実施形態によれば、付着面は実質的に長方形の形状を有し、マークは長方形の切り取られた隅である。
【0140】
一部の実施形態によれば、カセットは、試料ホルダーの構造的マークと適合する内部構造を備えることによって一方向に試料ホルダーを保持するように構成される。一部の実施形態によれば、内部構造はピラーを備える。一部の実施形態によれば、内部構造は突出部を含む。一部の実施形態によれば、内部構造は非対称コンパートメントを備える。一部の実施形態によれば、コンパートメントは切り取られた隅で実質的に長方形の形状を有する。
【0141】
一部の実施形態によれば、カセットは、カセット基部とカセットカバーとの間に配置された柔軟な層をさらに含み、したがって試料シートが柔軟な層とカセットカバーとの間の組立カセット内に保持される。一部の実施形態によれば、柔軟な層は、スポンジを含む。
【0142】
一部の実施形態によれば、カセットは、ウィンドウを覆うように構成されたボックスカバーをさらに含む。一部の実施形態によれば、ボックスカバーは、カセット基部またはカセットカバーに取り付けることによってウィンドウを覆う。一部の実施形態によれば、ボックスカバーは、カセットを液体に対して透過性にするための貫通孔を含む。一部の実施形態によれば、カセットは、特定ストリングを含むラベルをその上に付着するように構成されたラベル貼着面をさらに含む。
【0143】
一部の実施形態の一態様によれば、所定の外形輪郭を有する試料ホルダーに付着された生物組織を染色するように構成された染色装置が提供される。染色装置は、試料ホルダーの所定の外形輪郭に適合する形状を有し、それによって試料ホルダーを収容するように構成されている試料ホルダーハウジングと、試料ホルダーハウジング内に配置され、生物組織に接触すると生物組織を染色するように構成された突出する染色先端部とを備える。突出した染色先端部は、試料ホルダーハウジング内に適切に配置された試料ホルダーの上で運ばれる生物組織に接触するように構成され、それによって生物組織を染色する。
【0144】
一部の実施形態によれば、試料ホルダーは、上述のカセットを備える。
【0145】
一部の実施形態によれば、染色装置は、少なくとも2つの染色先端部を備え、各染色先端部は、それぞれ異なる色で生物組織を染色するように構成される。
【0146】
一部の実施形態によれば、上述の組織ハンドリング装置は、生物組織の一部を染色先端部に接触させることによってその部分を選択的に着色するように構成された染色先端部を含む染色モジュールをさらに備える。一部の実施形態によれば、試料ホルダーはレバーに取り付けられ、基部に対するレバーの設定において、試料ホルダーに付着した生物組織がその一部で選択的に着色されるように、試料ホルダーは染色モジュールに接触することができる。
【0147】
一部の実施形態の一態様によれば、試料ホルダー上で運ばれた生物組織を染色する装置が提供される。装置は、基部と、レバーと、染色先端部を含む染色モジュールとを備える。染色モジュールは、基部およびレバーのうちの1つに取り付けられる。基部およびレバーの他方は、それに取り付けられた試料ホルダーを支持するように構成される。レバーは基部に対する設定間で移動でき、それによって装置に取り付けられた試料ホルダーは染色モジュールに対して移動でき、その結果第1の設定では試料ホルダーおよび染色モジュ−ルは互いに離れている。第2の設定では、試料ホルダーおよび染色モジュールは、互いに対して所定の配置を有して互いに近位に位置する。
【0148】
一部の実施形態によれば、染色モジュールは基部に取り付けられ、レバーは試料ホルダーに取り付けられるように構成される。一部の実施形態によれば、染色モジュールはレバーに取り付けられ、基部は試料ホルダーに取り付けられるように構成される。一部の実施形態によれば、レバーが第2の設定にあるとき、染色先端部は試料ホルダーに接触する。一部の実施形態によれば、レバーが第2の設定にあるとき、染色先端部は試料ホルダーに付着した生物試料に接触する。
【0149】
本明細書に記述した方法は、試料組織を扱う間の順番の維持を容易にし、したがって患者生検の置き違いに関するミスを最小限に抑える。試料組織は、収集からモールドまで、検査プロセスの準備でのほとんどのステップを通して試料シートで扱われるので、試料組織の置き違いおよび間違いの可能性が減少する。
【0150】
本明細書に記述の方法は、試料組織を扱う手間を大幅に低減する。さらに、本明細書に記述の方法は、試料組織への損傷および試料組織の部分損失を最小限に抑える。試料組織が試料シートに付着している間に扱われるからである。
【0151】
本発明のいくつかの特徴は、明確さのために別々の実施形態という文脈で記述されているが、組み合わせて単一の実施形態で提供されることもできる。反対に、本発明の種々の特徴は、簡潔さのために単一の実施形態という文脈で記述されているが、別々に、もしくは任意の適切なサブコンビネーションで、もしくは本発明の記述された任意の他の実施形態において適切であるとして提供されることもできる。種々の実施形態という文脈での記述のいくつかの特徴は、その実施形態がそれらの構成要素なしで実施不能でない限り、それらの実施形態の本質的な特徴とみなされないものとする。
【0152】
本発明はその特定の実施形態と合わせて記述されているが、多くの選択肢、修正および変更が当業者にとって明らかであることは明白である。したがって、添付の請求項の範囲内に含まれるすべてのそのような選択肢、修正および変更を包含することを目的とする。
【0153】
本出願においていかなる参照の引用または特定は、そのような参照が本発明に対する従来技術として利用可能であるとの容認として解釈されないものとする。
【0154】
本明細書で用いる見出しは、明細書の理解を容易にするためであり、必ずしも限定的であると解釈されてはならない。