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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-149549(P2016-149549A)
(43)【公開日】2016年8月18日
(54)【発明の名称】再生半導体ウエハの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20160722BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20160722BHJP
【FI】
   H01L21/304 601Z
   H01L21/304 631
   B24B27/06 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-21714(P2016-21714)
(22)【出願日】2016年2月8日
(31)【優先権主張番号】特願2015-23525(P2015-23525)
(32)【優先日】2015年2月9日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】515036280
【氏名又は名称】株式会社松崎製作所
(71)【出願人】
【識別番号】515036693
【氏名又は名称】株式会社松崎商事
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】酒井 利典
(72)【発明者】
【氏名】田中 虎勝
(72)【発明者】
【氏名】袖川 禎宏
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA05
3C158AB03
3C158AB04
3C158AB08
3C158CA04
3C158CB05
3C158CB10
3C158DA17
5F057AA43
5F057BA11
5F057BB03
5F057CA29
5F057DA11
5F057DA15
(57)【要約】
【課題】 薄くなって再利用しなくなった半導体ウエハを再生する製造方法を提供する。
【解決手段】 ノッチ11を有する半導体ウエハ1から、ノッチ13を有する新たな半導体ウエハ12を切り出して生成する再生半導体ウエハの製造方法は、半導体ウエハ1を積層する積層工程と、積層された半導体ウエハ1を切断して新たな半導体ウエハ12を切り出す切断工程とを備えている。半導体ウエハは、小さいものになると薄くても使用可能であるため、半導体ウエハ1が薄くなって再利用できないものであっても、新たな半導体ウエハ12は使用可能であるため、再利用できない半導体ウエハ1を再利用可能な新たな半導体ウエハ12に再生可能である。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円盤状の半導体ウエハを、新たな半導体ウエハに再生する再生半導体ウエハの製造方法であって、
前記半導体ウエハを積層して固定する積層工程と、
積層された前記半導体ウエハを積層方向に対して略垂直に切断して新たな半導体ウエハを切り出す切断工程と、
を備えたことを特徴とする再生半導体ウエハの製造方法。
【請求項2】
前記切断工程後の積層された前記新たな半導体ウエハを略円柱状に研削する研削工程を備えた、
ことを特徴とする請求項1に記載の再生半導体ウエハの製造方法。
【請求項3】
前記積層工程は、前記半導体ウエハの表面、または前記半導体ウエハに対して洗浄、ウエットエッチング、もしくは研磨処理を行った表面に接着剤を塗布して積層する、
ことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の再生半導体ウエハの製造方法。
【請求項4】
前記接着剤は、常温において液体または固体のワックスである、
ことを特徴とする請求項3に記載の再生半導体ウエハの製造方法。
【請求項5】
前記積層工程では、前記半導体ウエハを加温した状態で前記ワックスを塗布する、
ことを特徴とする請求項4に記載の再生半導体ウエハの製造方法。
【請求項6】
前記半導体ウエハは、円周上に切り欠きであるノッチを有し、
前記新たな半導体ウエハは、結晶方位を指定するための切り欠きであるノッチが形成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の再生半導体ウエハの製造方法。
【請求項7】
前記切断工程では、前記半導体ウエハの前記ノッチを残して前記新たな半導体ウエハを切り出す、
ことを特徴とする請求項6に記載の再生半導体ウエハの製造方法。
【請求項8】
前記半導体ウエハは、略直径300mmの半導体ウエハであり、
前記新たな半導体ウエハは、略円盤状で略直径200mmの半導体ウエハである、
ことを特徴とする請求項6または7のいずれか1項に記載の再生半導体ウエハの製造方法。
【請求項9】
前記新たな半導体ウエハは、1枚の前記半導体ウエハから複数生成される、
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の再生半導体ウエハの製造方法。
【請求項10】
複数の前記新たな半導体ウエハは、それぞれ異なる大きさに形成されている、
ことを特徴とする請求項9に記載の再生半導体ウエハの製造方法。
【請求項11】
前記半導体ウエハは、円周上に切り欠きであるノッチを有し、
前記新たな半導体ウエハは、結晶方位を指定するための直線部であるオリエンテーションフラットを有している、
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の再生半導体ウエハの製造方法。
【請求項12】
前記新たな半導体ウエハは、1枚の前記半導体ウエハから、前記オリエンテーションフラットを接するように対向して2枚生成される、
ことを特徴とする請求項11に記載の再生半導体ウエハの製造方法。
【請求項13】
前記半導体ウエハは、略直径300mmの半導体ウエハであり、
前記新たな半導体ウエハは、略円盤状で略直径150mmの半導体ウエハである、
ことを特徴とする請求項11または12のいずれか1項に記載の再生半導体ウエハの製造方法。
【請求項14】
前記積層工程では、突起が設けられた治具が使用され、前記突起が前記半導体ウエハを積層した側面を支持することにより前記半導体ウエハを固定する、
ことを特徴とする請求項1ないし13のいずれか1項に記載の再生半導体ウエハの製造方法。
【請求項15】
前記切断工程では、バンドソーを使用して前記新たな半導体ウエハを切り出す、
ことを特徴とする請求項1ないし14のいずれか1項に記載の再生半導体ウエハの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、再生半導体ウエハの製造方法に関し、特に、半導体ウエハの製品テスト等に用いられるダミーウエハ等を使用した後、またはそのままの直径では使用しなくなった半導体ウエハを再生する再生半導体ウエハの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハは、単結晶シリコン等により形成された円柱状のインゴットを薄く切断して円盤状に切り出したものである。このような半導体ウエハは、半導体素子を製造するための材料として用いられるものである。
【0003】
図10は、このような半導体ウエハの形状及び大きさの例を示す平面図であり、図10(a)に示す半導体ウエハ5は、オリエンテーションフラットと呼ばれる直線部51を有するものであり、図10(b)に示す半導体ウエハ6は、ノッチと呼ばれる切り欠き61を有するものである。これらのオリエンテーションフラット51及びノッチ61は、半導体ウエハの結晶方位を指定するためのものである。一般に、半導体ウエハは、図10(a)に示すようなオリエンテーションフラット51を有するものと、図10(b)に示すようなノッチ61を有するものと、に分類される。
【0004】
オリエンテーションフラット51を有する半導体ウエハ5は、JEITA(Japan Electronics and Information Technology Industries Association)規格により、円周部の直径が50mm〜200mmまで規定されている。ノッチ31を有する半導体ウエハ6は、JEITA規格により、円周部の直径が200mm〜300mmの場合に使用されるように規定されている。このJEITA規格では、直径150mmの半導体ウエハは厚さが625μmで許容差±20μm、直径200mmの半導体ウエハは厚さが725μmで許容差±20μm、直径300mmの半導体ウエハは厚さが775μmで許容差±25μmとなるように規定されている。また、SEMI(Semiconductor Equipment and Meterials International)規格により、円周部の直径が50mm〜150mmの場合に使用されるように規定されている。ノッチ61を有する半導体ウエハ6は、SEMI規格により、円周部の直径が200mm〜300mmの場合に使用されるように規定されている。このSEMI規格では、直径150mmの半導体ウエハは厚さが675μmで許容差±20μm、直径200mmの半導体ウエハは厚さが725μmで許容差±20μm、直径300mmの半導体ウエハは厚さが775μmで許容差±20μmとなるように規定されている。すなわち、直径が大きな半導体ウエハは、厚さも厚くする必要がある
【0005】
半導体ウエハを製造する際に、所定の抵抗値や平坦度を満たさない半導体ウエハが製造される場合がある。このような半導体ウエハは、ダミーウエハと呼ばれ、特定の集積回路が形成されて半導体チップ生産の支援ツールや製品評価試験等に用いられたり、製造途中の工程における試験に使用されたりするものである。ダミーウエハは、表面に形成された集積回路を研削等することにより除去し、新たな集積回路を形成することで再生されるが、従来のダミーウエハの再生方法はグラインディング等の機械的研削によるものであったため、1回の再生で数十μm薄くなり、JEITA規格等に規定された厚さを満たさなくなるものであった。
【0006】
そこで、例えば、使用済み半導体ウエハの表面をウエットエッチングにより除去した後、化学的機械研磨を行うことにより、必要最小限の研削により使用済み半導体ウエハを再生する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−283134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような使用済み半導体ウエハを再生する方法であっても、使用済み半導体ウエハの表面を除去して新たな集積回路を形成する方法であるため、何度か再生すると使用済み半導体ウエハが薄くなってしまい、JEITA規格等に規定された厚さを満たさなくなる。したがって、使用済み半導体ウエハは、JEITA規格等に規定された厚さより薄くなると再生して使用することができなくなっていた。このような再生できない半導体ウエハは、表面の薄膜を除去してから処分しなければならず、処分する場合においても費用がかかっていた。
【0009】
そこでこの発明は、使用後、またはそのままの直径では使用しなくなった半導体ウエハから複数の新たな半導体ウエハを生成することにより、より小さい新たな半導体ウエハを製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、略円盤状の半導体ウエハを、新たな半導体ウエハに再生する再生半導体ウエハの製造方法であって、前記半導体ウエハを積層して固定する積層工程と、積層された前記半導体ウエハを積層方向に対して略垂直に切断して新たな半導体ウエハを切り出す切断工程と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、積層工程によって半導体ウエハが積層され、切断工程によって半導体ウエハからより小さい新たな半導体ウエハが切り出される。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1に記載の再生半導体ウエハの製造方法において、前記切断工程後の積層された前記新たな半導体ウエハを略円柱状に研削する研削工程を備えた、ことを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1または2のいずれか1項に記載の再生半導体ウエハの製造方法において、前記積層工程は、前記半導体ウエハの表面、または前記半導体ウエハに対して洗浄、ウエットエッチング、もしくは研磨処理を行った表面に接着剤を塗布して積層する、ことを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、請求項3に記載の再生半導体ウエハの製造方法において、前記接着剤は、常温において液体または固体のワックスである、ことを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明は、請求項4に記載の再生半導体ウエハの製造方法において、前記積層工程では、前記半導体ウエハを加温した状態で前記ワックスを塗布する、ことを特徴とする。
【0016】
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の再生半導体ウエハの製造方法において、前記半導体ウエハは、円周上に切り欠きであるノッチを有し、前記新たな半導体ウエハは、結晶方位を指定するための切り欠きであるノッチが形成されている、ことを特徴とする。
【0017】
請求項7の発明は、請求項6に記載の再生半導体ウエハの製造方法において、前記切断工程では、前記半導体ウエハの前記ノッチを残して前記新たな半導体ウエハを切り出す、ことを特徴とする。
【0018】
請求項8の発明は、請求項6または7のいずれか1項に記載の再生半導体ウエハの製造方法において、前記半導体ウエハは、略直径300mmの半導体ウエハであり、前記新たな半導体ウエハは、略円盤状で略直径200mmの半導体ウエハである、ことを特徴とする。
【0019】
請求項9の発明は、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の再生半導体ウエハの製造方法において、前記新たな半導体ウエハは、1枚の前記半導体ウエハから複数生成される、ことを特徴とする。
【0020】
請求項10の発明は、請求項9に記載の再生半導体ウエハの製造方法において、複数の前記新たな半導体ウエハは、それぞれ異なる大きさに形成されている、ことを特徴とする。
【0021】
請求項11の発明は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の再生半導体ウエハの製造方法において、前記半導体ウエハは、円周上に切り欠きであるノッチを有し、前記新たな半導体ウエハは、結晶方位を指定するための直線部であるオリエンテーションフラットを有している、ことを特徴とする。
【0022】
請求項12の発明は、請求項11に記載の再生半導体ウエハの製造方法において、前記新たな半導体ウエハは、1枚の前記半導体ウエハから、前記オリエンテーションフラットを接するように対向して2枚生成される、ことを特徴とする。
【0023】
請求項13の発明は、請求項11または12のいずれか1項に記載の再生半導体ウエハの製造方法において、前記半導体ウエハは、略直径300mmの半導体ウエハであり、前記新たな半導体ウエハは、略円盤状で略直径150mmの半導体ウエハである、ことを特徴とする。
【0024】
請求項14の発明は、請求項1ないし13のいずれか1項に記載の再生半導体ウエハの製造方法において、前記積層工程では、突起が設けられた治具が使用され、前記突起が前記半導体ウエハを積層した側面を支持することにより前記半導体ウエハを固定する、ことを特徴とする。
【0025】
請求項15の発明は、請求項1ないし14のいずれか1項に記載の再生半導体ウエハの製造方法において、前記切断工程では、バンドソーを使用して前記新たな半導体ウエハを切り出す、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
請求項1の発明によれば、切断工程により半導体ウエハからより小さい新たな半導体ウエハが切り出されるので、切断される前の半導体ウエハがJEITA規格等に規定された厚さを満たさずに使用できないものであっても、新たな半導体ウエハは小さいものになり、JEITA規格等により要求される厚さが薄くなるので、再利用が可能となる。また、積層工程にて複数の半導体ウエハを積層して切断工程を行うため、複数の半導体ウエハをまとめて処理することが可能となる。
【0027】
請求項2の発明によれば、研削工程により新たな半導体ウエハを略円柱状に研削するので、新たな半導体ウエハを所定の形状、例えばJEITA規格等に規定された形状に加工することが可能になる。
【0028】
請求項3の発明によれば、半導体ウエハの表面に接着剤を塗布して積層することにより、半導体ウエハをしっかり固定でき、その後の切断工程や研削工程途中における半導体ウエハのずれを防止することができる。
【0029】
請求項4の発明によれば、接着剤に液体または固体のワックスを使用するので、半導体ウエハを容易に固着させることができる。
【0030】
請求項5の発明によれば、半導体ウエハを加温した状態で積層するので、ワックスを半導体ウエハに塗布しやすくすることが出来る。
【0031】
請求項6の発明によれば、ノッチを有する半導体ウエハから、ノッチが形成されている新たな半導体ウエハが切り出されるので、元の半導体ウエハより小さい新たな半導体ウエハをできるだけ大きなものとして切り出すことを可能にし、結晶方位を指定することを可能にする。
【0032】
請求項7の発明によれば、半導体ウエハのノッチを残して新たな半導体ウエハを切り出すので、再度ノッチを形成する必要がなくなるため加工の手間を省略させ、元の半導体ウエハに形成されているノッチを有効活用することができる。
【0033】
請求項8の発明によれば、略直径300mmの半導体ウエハから、より小さい略直径200mmの新たな半導体ウエハを生成することを可能にする。
【0034】
請求項9の発明によれば、1枚の前記半導体ウエハから複数の新たな半導体ウエハが生成されるので、小さい新たな半導体ウエハへの再生を可能にする。
【0035】
請求項10の発明によれば、それぞれ異なる大きさの新たな半導体ウエハが生成されるので、元の半導体ウエハを有効活用することが出来る。
【0036】
請求項11の発明によれば、ノッチを有する半導体ウエハから、オリエンテーションフラットを有する新たな半導体ウエハが切り出されるので、半導体ウエハからより小さいオリエンテーションフラットを有する新たな半導体ウエハをできるだけ大きなものとして切り出すことを可能にし、結晶方位を指定することを可能にする。
【0037】
請求項12の発明によれば、1枚の半導体ウエハから、2枚のオリエンテーションフラットを有する新たな半導体ウエハが切り出されるので、元の半導体ウエハを有効活用することができる。
【0038】
請求項13の発明によれば、略直径300mmの半導体ウエハから、より小さい2枚の略直径150mmの2枚のオリエンテーションフラットを有する新たな半導体ウエハを生成することを可能にする。
【0039】
請求項14の発明によれば、突起が設けられた治具を使用して、突起によりノッチと半導体ウエハの側面とを支持して固定するため、積層された半導体ウエハがずれることを防止する。
【0040】
請求項15の発明によれば、バンドソーを使用して新たな半導体ウエハを切り出すので、新たな半導体ウエハを容易に切り出すことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】この発明の実施の形態に係る半導体ウエハ1及び新たな半導体ウエハ12を示す斜視図である。
図2図1の半導体ウエハ1のノッチ11を使用した新たな半導体ウエハ12を示す斜視図である。
図3図1の半導体ウエハ1及び新たな半導体ウエハ15,16を示す斜視図である。
図4図1の半導体ウエハから新たな半導体ウエハ12を製造する方法を示す斜視図であり、積層工程を示す斜視図(a)、切断工程を示す斜視図(b)、及び切り出された新たな半導体ウエハ12を示す斜視図(c)である。
図5図1の半導体ウエハから新たな半導体ウエハ15を製造する方法を示す斜視図であり、積層工程を示す斜視図(a)、切断工程を示す斜視図(b)、及び研削工程を示す斜視図(c)である。
図6図4(a)、(b)、図5(a)、(b)の積層工程及び切断工程に使用されるテーブル装置3を示す図であり、テーブル装置3の全体を示す斜視図(a)、及び駆動装置33の内部を示す断面図(b)である。
図7図4(a)、図5(a)の積層工程で半導体ウエハ1を積層する治具4の例を示す斜視図である。
図8図7の治具4を積層工程で使用している状態の例を示す斜視図である。
図9図7の治具4における係止具43を示す拡大斜視図である。
図10】半導体ウエハの形状及び大きさの例を示す平面図であり、オリエンテーションフラット51を有する半導体ウエハ5を示す平面図(a)、及びノッチ61を有する半導体ウエハ6を示す平面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0043】
図1ないし図9は、本発明の実施の形態を示し、図1は、この実施の形態に係る半導体ウエハ1及び新たな半導体ウエハ12を示す斜視図であり、図2は、図1の半導体ウエハ1のノッチ11を使用した新たな半導体ウエハ12を示す斜視図であり、図3は、図1の半導体ウエハ1及び新たな半導体ウエハ15,16を示す斜視図である。本発明は、この半導体ウエハ1から、新たな半導体ウエハ12,または新たな半導体ウエハ15,16を製造する方法に関するものである。
【0044】
半導体ウエハ1は、例えば、直径300mmの半導体ウエハであり、ダミーウエハと呼ばれるような表面に半導体回路が形成されているか又は途中工程の試験に使用されたものであり、円周上に切り欠きであるノッチ11を有している。ノッチ11は、半導体ウエハ1の結晶方位を指定するためのものである。この場合、JEITA規格等によれば、半導体ウエハ1の厚さは775μmで許容差±20μmである必要がある。ここで、半導体ウエハ1は、すでに何度か再利用されて再生不可能となったものであり、厚さが795μm未満であるものとする。
【0045】
ここで、このような半導体ウエハの製造工程について説明する。単結晶シリコン等により形成されたインゴットは、切断及び研削されて円柱状のブロックが形成される。このブロックに対してX線方位測定を行って結晶方位を測定し、その結晶方位を指定できるようにするために、ノッチ又はオリエンテーションフラットが形成される。その後、このブロックからワイヤーソー等によりスライシングされてウエハが切り出される。
【0046】
スライシングされた半導体ウエハは、べべリングを行って面取りされる。べべリングとは、シリコンは硬くてもろく、ウエハ端面がスライシング時の鋭利なままでは後工程の搬送や位置合わせ等において容易に割れたり欠けたりするので、その断片がウエハ表面を傷つけたり汚染したりするため、あらかじめ面取りを行うものである。べべリング後の半導体ウエハには、アルミナ等の砥粒を含んだラップ液を流し込みながら擦り合わせるラッピングが行われ、表面の微細な凹凸を化学研磨によって平滑化するエッチングが行われ、さらに、熱処理が施される。ラッピングは、スライシングにおける凹凸を除去しながら厚さを揃えるために行われるものである。その後、最終的なプロセス加工面を形成するために化学的機械研磨を行って平滑化するポリッシングが行われ、仕上洗浄、検査等を経て製品化される。
【0047】
図1に示す新たな半導体ウエハ12は、例えば、直径200mmの半導体ウエハであり、円周上に切り欠きであるノッチ13を有している。この新たな半導体ウエハ12は、結晶方位を保持するため、ノッチ13はノッチ11と同一方向に形成するようにしている。なお、この新たな半導体ウエハ12は、図1に示すように、中央部分から新たな半導体ウエハ12を切り出すようにしても良く、また、図2に示すように、半導体ウエハ1のノッチ11をそのまま使用しても良い。この場合、JEITA規格によれば、厚さが725μmで許容差±20μmである必要があるが、半導体ウエハ1は厚さが795μm未満であるので、切り出された後にラッピングを行うことにより所定の厚さまで研磨される。
【0048】
図3に示す新たな半導体ウエハ15,16は、例えば、直径150mmの半導体ウエハであり、円周上に直線部であるオリエンテーションフラット17を有し、このオリエンテーションフラット17を接するように対向して配置されている。このような配置にしたのは、新たな半導体ウエハ15,16をできるだけ大きく切り出せるようにすることと、結晶方位を保持するためである。この場合、JEITA規格によれば、厚さが625μmで許容差±20μmである必要があるが、半導体ウエハ1は厚さが795μm未満であるので、切り出された後にラッピングを行うことにより所定の厚さまで研磨される。
【0049】
図1及び図2に示す新たな半導体ウエハ12の製造方法を、図4(a)〜(c)に示す。半導体ウエハ1は、表面に接着剤が塗布され、ノッチ11が同じ方向を向くように積層される積層工程が行われ、図4(a)に示す状態になる。半導体ウエハ1の積層枚数は、例えば、50枚である。ここで、半導体ウエハ1の表面に接着剤が塗布されるのは、半導体ウエハ1をしっかり固定でき、その後の切断工程途中における半導体ウエハ1のずれを防止するためである。
【0050】
半導体ウエハ1は、積層される前に、例えばフッ酸洗浄を行う。これは、表面自然酸化膜を除去する目的であるが、他の溶剤を使用しても良く、また、半導体ウエハ1の表面状態によっては行わなくても良い。その後、例えばドライヤー等により温風が当てられて加温される。これは、後述するワックスを塗布しやすくするためである。また、このときに使用される接着剤は、例えば、ロジン系樹脂により精製されたワックスである。このワックスは、常温のときに液体のものでも固体のものでも良い。例えば液体の場合、1枚の半導体ウエハ1に、例えば0.5cc〜1cc程度滴下すると、ワックスは半導体ウエハ1の表面上で薄く広がる。この状態でさらに半導体ウエハ1を積層すると、2枚の半導体ウエハ1の間でワックスが広げられて半導体ウエハ1同士を固着させる。これにより、その後の切断工程途中における半導体ウエハ1のずれを防止できる。
【0051】
積層された半導体ウエハ1は、例えば、図4(b)に示すバンドソー2が用いられて切断される切断工程が行われる。この切断工程により、新たな半導体ウエハ12が切り出された状態を図4(c)に示す。この新たな半導体ウエハ12には、ノッチ11がそのままノッチ13として残される。この状態で、新たな半導体ウエハ12は、積層された状態から1枚ずつ剥離され、表面に塗布されたワックスが洗浄される。洗浄後の新たな半導体ウエハ12は、前記べべリングが行われ、ラッピングされて所定の厚さ、例えば、約750μmまで削られる。その後、エッチング、ポリッシングの各工程を経て製品化される。なお、新たな半導体ウエハ12が切り出された残りの切断片は、例えば、直径100mm未満の半導体ウエハを再生するために利用することも可能である。
【0052】
また、新たな半導体ウエハ15,16の製造方法を、図5(a)〜(c)に示す。半導体ウエハ1は、図4(a)に示す状態と同様に、表面にワックスが塗布され、ノッチ14が同じ方向を向くように積層される積層工程が行われ、図5(a)に示す状態になる。積層された半導体ウエハ1は、例えば、バンドソーを用いて切断され、切断片1A,1B,1C,1Dに分割される切断工程が行われる。この切断工程により切断片1A,1B,1C,1Dに分割された状態を、図5(b)に示す。
【0053】
切断片1A,1Dは、半導体ウエハ1の積層方向に対して垂直に、円弧の略1/6程度を直線に切り出されたものである。切断片1B,1Cは、切断片1A,1Dを切り出した残りの部分を縦方向に半分に切り出した部分であり、この部分が、新たな半導体ウエハ15,16として使用されるものである。なお、切断片1A,1Dは、直径50mm以下の半導体ウエハを再生するために利用することも可能である。
【0054】
切り出された切断片1B,1Cは、例えばバンドソーを用いて略円筒形に切り出されて直径150mmの略円柱状に研削される研削工程が行われ、新たな半導体ウエハ15,16として生成される。この研削工程により生成された新たな半導体ウエハ15を、図5(c)に示す。新たな半導体ウエハ15には、結晶方位を測定されて円周上にオリエンテーションフラットが形成される。研削された新たな半導体ウエハ15,16は、積層された状態から1枚ずつ剥離され、表面に塗布されたワックスが洗浄される。洗浄後の半導体ウエハ15,16は、前記べべリングが行われ、ラッピングされて所定の厚さ、例えば、約700μmまで削られる。その後、エッチング、ポリッシングの各工程を経て製品化される。
【0055】
図4(a)、(b)、図5(a)、(b)のように半導体ウエハ1の積層工程及び切断工程を行うために、例えば、図6(a)、(b)に示すようなテーブル装置3が用いられる。テーブル装置3は、半導体ウエハ1が積層された状態で回転させるための装置であり、図6(a)に示すように、主として載置台31と、回転軸32と、駆動装置33と、固定台34と、ケーブル35と、制御台36とを備え、例えば載置台31は所定の時間に1回転するように設定され、この回転速度は制御台36により調整可能になっている。
【0056】
載置台31は、半導体ウエハ1を載置して積層させるための台であり、例えば直径100mmまたは150mmの円盤状に形成され、回転可能に設けられている。回転軸32は、載置台31を回転させるための軸であり、例えば金属製の細円柱状に形成されている。駆動装置33は、回転軸32を介して載置台31を回転させるための装置である。固定台34は、テーブル装置3が半導体ウエハ1を載置して稼働中に動かないようにするための台である。ケーブル35は、制御台36の制御信号を駆動装置33へ伝達させるためのケーブルである。制御台36は、載置台31の回転を制御するための装置であり、速度調整ダイヤル36aと、電源ONボタン36bと、電源OFFボタン36cとを備えている。
【0057】
駆動装置33は、図6(b)の断面図に示すように、主としてギアボックス37と、駆動軸38と、モータ39とを備えている。ギアボックス37は、速度調整ダイヤル36aの調整値に基づいて載置台31を回転させるための装置である。駆動軸38は、モータ39の回転をギアボックス37に伝達するための軸であり、例えば金属製の細円柱状に形成されている。モータ39は、図示しない電源により回転駆動して載置台31を回転させるための装置である。
【0058】
また、半導体ウエハ1を積層するために、例えば、図7ないし図9に示すような治具4が用いられる。治具4は、全体が平板状で上下方向に円形の空洞を有する形状であり、金属製等の部材41及び部材42により構成されている。部材41及び部材42により形成される円形の空洞には、図8に示すように、積層された半導体ウエハ1が挟持される。これは、積層された半導体ウエハ1を傾斜させて部材41に嵌め込んで動かないようにし、部材42を嵌め込むことにより行われる。
【0059】
部材41には、半導体ウエハ1に接するように、係止具43,44,45が円形の空洞側に設けられている。図9に示す係止具43は、半導体ウエハ1のノッチ11を支持するために設けられた、断面略逆台形の棒状部材である。係止具43には、半導体ウエハ1に接する方向に突起43aが設けられている。この突起43aは、ノッチ11を係止して半導体ウエハ1がずれることを防止するためのものである。係止具44,45は、半導体ウエハ1を固定するためのものであり、係止具43と同様の形状を有する部材である。
【0060】
部材42には、半導体ウエハ1に接するように、係止具46が円形の空洞側に設けられている。係止具46は、半導体ウエハ1を固定するためのものであり、係止具43と同様の形状を有する部材である。係止具44,45,46における突起は、積層された半導体ウエハ1の側面を支持するためのものである。これは、半導体ウエハ1の側面を点で支持することにより、半導体ウエハ1への負荷を軽減するためである。係止具43,44,45,46は、例えば、ポリプロピレン等により形成されている。
【0061】
以上のように、この新たな半導体ウエハ12及び新たな半導体ウエハ15,16の製造方法によれば、半導体ウエハ1が直径300mmのダミーウエハとして再生不可能であっても、直径200mmの新たな半導体ウエハ12、または直径150mmの新たな半導体ウエハ15,16として再利用することが可能となる。また、積層工程にて、半導体ウエハ1の表面にワックスを塗布し、50枚積層して切断工程を行うことにより、50枚の半導体ウエハ1をまとめて処理することが可能となる。さらに、研削工程にて、新たな半導体ウエハ15,16を略円柱状に研削するので、オリエンテーションフラット17を有する形状に加工することが可能になる。
【0062】
また、積層工程にて、半導体ウエハ1の表面にワックスを塗布して積層することにより、半導体ウエハ1をしっかり固定でき、その後の切断工程や研削工程途中における半導体ウエハ1のずれを防止することができる。
【0063】
さらに、半導体ウエハ1から、ノッチ13を有する新たな半導体ウエハ12が切り出されて生成されることにより、半導体ウエハ1より小さい新たな半導体ウエハ12をできるだけ大きなものにすることを可能にし、結晶方位を指定することを可能にする。また、半導体ウエハ1のノッチ11をそのままノッチ13とすることにより、再度ノッチを形成する必要がなくなるので加工の手間を省略させ、ノッチ11を有効活用することができる。
【0064】
さらに、1枚の半導体ウエハ1から、2枚の新たな半導体ウエハ15,16が、オリエンテーションフラット17を接するように対向して切り出されて生成されることにより、新たな半導体ウエハ15,16をできるだけ大きなものにすることを可能にし、結晶方位を指定することを可能にする。
【0065】
また、半導体ウエハ1を、治具4が備える係止具43の突起43aに係止して固定することにより、半導体ウエハ1がずれて積層されるのを防止することができる。
【0066】
さらに、新たな半導体ウエハ15,16をオリエンテーションフラット17にて対向させて切り出すことにより、直径300mmの半導体ウエハ1から2枚の直径150mmの2枚の半導体ウエハを切り出すことを可能にする。
【0067】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、半導体ウエハ1は、直径300mmの半導体ウエハとしたが、他の大きさであっても良く、オリエンテーションフラットを有するものであっても良い。また、積層工程で使用される治具4は、上記の実施の形態に限らず、ノッチ11を係止して積層した半導体ウエハ1を同方向に固定できるものであれば、このような治具であってもよい。また、切断工程における切断片1A,1B,1C,1Dの形状は、上記の実施の形態に限らず、切断工程及び研削工程を経て新たな半導体ウエハ15,16を切り出せるものであれば、どのような工程であってもよい。例えば、バンドソー2により直接新たな半導体ウエハ15,16を切り出すようにしてもよい。さらに、切断工程で使用したバンドソー2は、レーザ装置等の他の切断装置を使用しても良い。
【符号の説明】
【0068】
1 半導体ウエハ
2 バンドソー
3 テーブル装置
4 治具
11,13,14 ノッチ
12,15,16 新たな半導体ウエハ
17 オリエンテーションフラット
1A,1B,1C,1D 切断片
31 載置台
32 回転軸
33 駆動装置
34 固定台
35 ケーブル
36 制御台
41,42 部材
43,44,45,46 係止具
43a 突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10