特開2016-14969(P2016-14969A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-14969(P2016-14969A)
(43)【公開日】2016年1月28日
(54)【発明の名称】車載装置、及び、情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/00 20060101AFI20151228BHJP
【FI】
   G06F13/00 605Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-135987(P2014-135987)
(22)【出願日】2014年7月1日
(71)【出願人】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】クラリオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嶋 和明
(72)【発明者】
【氏名】大淵 康成
(72)【発明者】
【氏名】古賀 昌史
(72)【発明者】
【氏名】赤地 雅史
(72)【発明者】
【氏名】古郡 弘滋
【テーマコード(参考)】
5B084
【Fターム(参考)】
5B084AA03
5B084AB02
5B084BB01
5B084CC07
5B084CF02
5B084CF03
5B084CF13
(57)【要約】
【課題】ユーザにとって利便性の高い車載装置、情報処理システム、及び、情報処理方法を提供する。
【解決手段】車載装置1は、音声出力する音声出力部26と、運転負荷を判定し、音声出力部26による音声出力が可能な情報であるメールの重要度を判定し、運転負荷及び重要度に基づいて、メールを音声出力の対象とするか否かを判別する制御部20と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された車載装置において、
音声出力する音声出力部と、
運転負荷を判定し、前記音声出力部による音声出力が可能な情報である音声情報の重要度を判定し、前記運転負荷及び前記重要度に基づいて、前記音声情報を音声出力の対象とするか否かを判別する制御部と、
を備えることを特徴とする車載装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記運転負荷を多段階のレベルとして判定し、前記重要度を多段階のレベルとして判定し、前記運転負荷のレベル及び前記重要度のレベルに基づいて、前記音声情報を音声出力の対象とするか否かを判別することを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記運転負荷のレベル及び前記重要度のレベルの組み合わせと、前記音声情報を音声出力するか否かを示す情報とを対応付けた対応データを記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、
前記運転負荷のレベル、前記重要度のレベル、及び、前記対応データに基づいて、前記音声情報を音声出力の対象とするか否かを判別することを特徴とする請求項2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記制御部は、
音声出力の対象とすると判別した前記音声情報が複数ある場合、前記重要度の高い順番に前記音声出力部に音声出力させることを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項5】
前記制御部は、
1の前記音声情報を音声出力させている間、前記運転負荷の変動によって当該1の前記音声情報が音声出力の対象ではなくなったか否かを判別し、当該1の前記音声情報が音声出力の対象ではなくなった場合、音声出力を中断し、その後、前記運転負荷の変動によって当該1の音声情報が音声出力の対象となった場合、音声出力を再開することを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項6】
前記制御部は、
1の前記音声情報を音声出力させている間、前記運転負荷の変動によって当該1の前記音声情報が音声出力の対象ではなくなったか否かを判別し、当該1の前記音声情報が音声出力の対象ではなくなった場合、当該1の前記音声情報の音声出力を中断させた後、変化後の前記運転負荷及び前記重要度に基づいて音声出力の対象と判別される他の前記音声情報を前記音声出力部に音声出力させ、
前記運転負荷の変動によって当該1の前記音声情報が音声出力の対象となった場合、当該1の前記音声情報を最初から音声出力させることを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記運転負荷を、前記車両の状態、及び、前記車両の周囲の環境を反映して判定することを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項8】
前記車両の状態には、前記車両の走行に関する状態が含まれ、
前記車両の周囲の環境には、前記車両の周囲に位置する他の車両の状況に関する環境、又は、前記車両が走行する道路の状況に関する環境が含まれることを特徴とする請求項7に記載の車載装置。
【請求項9】
車両に搭載された車載装置と、前記車載装置と通信する情報処理装置とを備え、
前記車載装置は、
音声出力する音声出力部を備え、
前記情報処理装置は、
前記車両における運転負荷を判定し、前記音声出力部による音声出力が可能な情報である音声情報の重要度を判定し、前記運転負荷及び前記重要度に基づいて、前記音声情報を音声出力の対象とするか否かを判別する
ことを特徴とする情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置、及び、情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特開2002-120656号公報(特許文献1)がある。この公報には、「車両に設けられた受信機器1が通信回線を介してメール情報を受信し、その受信内容が処理装置2により音声情報に変換されて、マイク3を通じて車内に読み上げられるが、ドライバの運転負荷が大きいことを運転負荷センサ5が検出したときには、制御装置11からの指示に基づき音声情報の上記読上げが中断され、ドライバの運転負荷が小さくなったことを運転負荷センサ5が検出したとき、制御装置11からの指示に基づき上記音声情報が最初から再度読み上げられる。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−120656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によると、例えば、停車中であるなど、ドライバの運転負荷が低いときでしかメールの読み上げが行われないため、ユーザにとって使い勝手があまり良いとは言えない。
そこで、本発明は、ユーザにとって利便性の高い車載装置、及び、情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、車両に搭載された車載装置において、音声出力する音声出力部と、運転負荷を判定し、前記音声出力部による音声出力が可能な情報である音声情報の重要度を判定し、前記運転負荷及び前記重要度に基づいて、前記音声情報を音声出力の対象とするか否かを判別する制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ユーザの利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る車載装置、及び、携帯端末の機能的構成を示すブロック図。
図2】車載装置の動作を示すフローチャート。
図3】運転負荷レベルテーブルを示す図。
図4】車載装置の動作を示すフローチャート。
図5】重要度レベルテーブルを示す図。
図6】読上げ対象リストを示す図。
図7】車載装置の動作を示すフローチャート。
図8】車載装置の動作を示すフローチャート。
図9】車載装置の動作を示すフローチャート。
図10】読上げ可否判断テーブルを示す図。
図11】第2実施形態に係る車載装置の動作を示すフローチャート。
図12】(A)は第1変形例に係る情報処理システムを示す図、(B)は第2、3変形例に係る情報処理システムを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る車載装置1、及び、車載装置1と通信する携帯端末10の機能的構成を示すブロック図である。
【0009】
車載装置1は、車両に搭載される装置であり、後述するように、地図を表示して地図上に車両の現在地を表示する機能、及び、地図を表示して地図上に目的地までの経路を表示して目的地までの経路を案内する機能を有する。携帯端末10は、車両に搭乗するユーザが所持する携帯電話である。本実施形態では、前面にタッチパネルが設けられたタブレット型の携帯電話(いわゆるスマートフォン)である。携帯端末10は、携帯電話に限らず、車両に持ち込み可能であり、後述する処理を実行可能なものであれば、どのような装置であってもよい。
【0010】
以下の説明では、車載装置1が搭載された車両を「自車両」と表現する。
【0011】
図1に示すように、車載装置1は、制御部20と、タッチパネル21と、記憶部22と、GPSユニット23と、相対方位検出ユニット24と、近距離無線通信部25と、音声出力部26と、車載カメラ27と、車速センサ28と、ギアセンサ29と、パーキングブレーキセンサ30と、を備える。
【0012】
制御部20は、CPUや、ROM、RAM、その他の周辺回路等を備え、車載装置1の各部を制御する。後述するように、制御部20は、テキストを音声に変換する機能(TTS機能)を有する。
【0013】
タッチパネル21は、表示パネル21aと、タッチセンサー21bとを備える。表示パネル21aは、液晶表示パネルや、有機ELパネル等の表示装置を備え、制御部20の制御に従って、各種画像を表示する。タッチセンサー21bは、表示パネル21aに重ねて配置され、ユーザのタッチ操作を検出して、制御部20に出力する。
【0014】
記憶部22は、不揮発性メモリーを備え、各種データを記憶する。記憶部22は、地図データ22aを記憶する。地図データ22aは、地図に関する情報や、地図上に存在する施設に関する情報、地図上の道路を示すリンクの情報、リンクの接続部を示すノードの情報等の、タッチパネル21に地図を表示するために必要な情報や、後述する経路案内を行うために必要な情報等を含むデータである。また、記憶部22は、運転負荷レベルテーブルTB1と、重要度レベルテーブルTB2と、読上げ可否判断テーブルTB3と、読上げ対象リストLSとを記憶する。これらデータについては後述する。
【0015】
GPSユニット23は、図示せぬGPSアンテナを介してGPS衛星からのGPS電波を受信し、GPS電波に重畳されたGPS信号から、自車両の現在位置と進行方向とを演算により取得する。GPSユニット23は、取得結果を制御部20に出力する。
【0016】
相対方位検出ユニット24は、ジャイロセンサと、加速度センサとを備える。ジャイロセンサは、例えば振動ジャイロにより構成され、自車両の相対的な方位(例えば、ヨー軸方向の旋回量)を検出する。加速度センサは、自車両に作用する加速度(例えば、進行方向に対する自車両の傾き)を検出する。相対方位検出ユニット24は、検出結果を制御部20に出力する。
【0017】
制御部20は、地図上に自車両の現在位置を表示することを指示された場合、GPSユニット23と相対方位検出ユニット24とからの入力、及び、地図データ22aに基づいて自車両の現在位置を推定し、推定した現在位置を、タッチパネル21に表示した地図上に表示する。また、制御部20は、目的地までの経路案内を指示された場合、GPSユニット23と相対方位検出ユニット24とからの入力、及び、地図データ22aに基づいて現在位置を推定すると共に、地図データ22aに基づいて目的地までの経路を算出し、地図上に自車両の現在位置を表示しつつ、目的地までの経路を表示して、経路を案内する。
【0018】
近距離無線通信部25は、ブルートゥース(登録商標)等の近距離無線通信の通信規格に従って、自車両に搭乗するユーザが所有する携帯端末10と無線通信リンクを確立し、携帯端末10と無線通信する。
【0019】
音声出力部26は、アンプを含む音声信号処理回路を備えると共に、スピーカに接続される。音声出力部26は、制御部20から入力された音声データに必要な信号処理を施すと共に、アンプで増幅してスピーカに出力し、スピーカから音声出力する。
【0020】
車載カメラ27は、自車両の前方を撮影する2台のステレオカメラを有する。2台のステレオカメラは、自車両のフロントガラスの内側で、自車両の前後方向に直交する方向である左右方向に離間して配置されている。2台のステレオカメラのそれぞれは、所定の周期で同期をとって、撮影結果に基づいて撮影画像データを生成し、生成した撮影画像データを制御部20に出力する。制御部20は、2台のステレオカメラから入力された撮影画像データに基づいて、自車両の前方を、他の車両が走行しているか否かを判別する。当該判別は、例えばパターンマッチングを利用した技術等、既存の技術を用いて行われる。さらに、制御部20は、車両の前方を他の車両が走行していると判別した場合、自車両と当該他の車両との離間距離を算出する。当該算出は、例えば、2台のステレオカメラから入力された撮影画像データにおける他の車両の画像の位置の差(視差)を利用した画像処理により行われる。
【0021】
なお、本実施形態では、制御部20は、上記の方法で、自車両の前方を走行する他の車両と、自車両との離間距離を算出するが、当該離間距離の算出方法は、例示した方法に限らない。例えば、ミリ波レーダ、レーザーレーダ等の電波や、超音波レーダ等の音波を自車両前方の所定範囲に照射し、自車両の前方に位置する対象物(前方を走行する車両等)により反射された反射波を受信するレーダ装置を設け、レーダ装置の検出結果を少なくとも一部に用いて、離間距離を算出する構成であってもよい。また、自車両の周辺に位置する他の車両と、無線通信して、車両情報(車両の位置を示す情報や、車両の速度を示す情報、車両の進行方向を示す情報等)を取得する車車間通信装置を設け、車車間通信装置が取得した車両情報を少なくとも一部に用いて、離間距離を算出する構成であってもよい。すなわち、自車両と、自車両の前方を走行する他の車両のとの離間距離の算出には、既存の全ての技術を利用可能である。
【0022】
車速センサ28は、入力される車速パルスに基づいて自車両の速度を検出し、制御部20に出力する。
【0023】
ギアセンサ29は、自車両のギアの状態を検出し、制御部20に出力する。本実施形態では、ギアの状態として、パーキング(P)、リバース(R)、ニュートラル(N)、及び、ドライブ(D)がある。
【0024】
パーキングブレーキセンサ30は、パーキングブレーキによるブレーキのオン/オフの状態を検出し、制御部20に出力する。
【0025】
携帯端末10は、車両に搭乗するユーザが所有する携帯電話であり、SMSに係るメールや、Webメール等のメールを所定のサーバから受信する機能を有する。図1に示すように、携帯端末10は、端末制御部40と、端末タッチパネル41と、端末記憶部42と、端末近距離無線通信部43と、ネットワーク通信部44と、を備える。
【0026】
端末制御部40は、CPUや、ROM、RAM、その他の周辺回路等を備え、携帯端末10の各部を制御する。
【0027】
端末タッチパネル41は、タッチパネルであり、端末制御部40の制御に従って、各種画像を表示すると共に、ユーザによるタッチ操作を検出し、端末制御部40に出力する。
【0028】
端末記憶部42は、不揮発性メモリーを備え、各種データを記憶する。
【0029】
端末近距離無線通信部43は、所定の近距離無線通信の通信規格に従って、車載装置1と無線通信リンクを確立し、車載装置1と無線通信する。
【0030】
ネットワーク通信部44は、端末制御部40の制御に従って、電話網や、構内通信網等を介してインターネットにアクセスし、インターネットに接続された機器(サーバ装置等)と通信する。
【0031】
以上の構成の下、車載装置1は、携帯端末10が受信したメールを音声出力する。特に、車載装置1は、車両に搭載されているという特性を反映した適切なタイミングでメールを音声出力し、また、メールの音声出力を中断し、ユーザの利便性を向上する。以下、車載装置1の動作について詳述する。
【0032】
図2は、運転負荷推定処理の実行時の車載装置1の動作を示すフローチャートである。運転負荷推定処理は、運転手たるユーザの運転負荷を推定する処理である。運転負荷とは、運転に際してユーザに加わっている負荷のことであり、後述するように、本実施形態では、運転に注意すべき状況であるほど、運転負荷が高く推定される。車載装置1は、図2のフローチャートが示す運転負荷推定処理を、所定の周期(例えば、1msごと)で実行する。
【0033】
図2に示すように、車載装置1の制御部20は、車速センサ28、ギアセンサ29、及び、パーキングブレーキセンサ30からの入力に基づいて、車両の状態を取得する(ステップSA1)。具体的には、ステップSA1で、制御部20は、車速センサ28からの入力に基づいて、自車両の速度を取得する。また、ステップSA1で、制御部20は、ギアセンサ29からの入力に基づいて自車両のギアの状態を取得する。また、ステップSA1で、制御部20は、パーキングブレーキセンサ30からの入力に基づいて、パーキングブレーキによるブレーキのオン/オフの状態を取得する。
【0034】
次いで、制御部20は、車載カメラ27からの入力、及び、地図データ22aに基づいて、自車両の周囲の環境を取得する(ステップSA2)。具体的には、ステップSA2で、制御部20は、車載カメラ27からの入力に基づいて、自車両の前方を他の車両が走行しているか否かを取得する。走行している場合、制御部20は、自車両と他の車両との離間距離を算出して取得する。自車両の前方を走行している他の車両が複数ある場合、制御部20は、自車両との距離が最も近い車両と自車両との離間距離を算出して取得する。また、ステップSA2で、制御部20は、GPSユニット23等からの入力、及び、地図データ22aに基づいて、自車両の進行方向に、車両が経由する交差点等があるか否かを判別する。交差点等がある場合、制御部20は、自車両と交差点等との離間距離を取得する。交差点等とは、交差点や、高速道路、その他の道路における合流地点等、複数の道路が交わる地点のことをいう。
【0035】
次いで、制御部20は、記憶部22が記憶する運転負荷レベルテーブルTB1を参照し、当該テーブルに基づいて、運転負荷レベルを特定(判定)する(ステップSA3)。
【0036】
運転負荷レベルとは、ユーザ(運転手)の運転負荷の度合いを、運転負荷レベルLA0〜LA5の6段階で表すものである。運転負荷レベルLA0がユーザの運転負荷の度合いが最も低いレベルであり、運転負荷レベルLA5がユーザの運転負荷の度合いが最も高いレベルであり、運転負荷レベルLA0から運転負荷レベルLA5へ向かって、運転負荷の度合いが段階的に高くなる。
【0037】
図3は、運転負荷レベルテーブルTB1を示す図である。
【0038】
図3に示すように、運転負荷レベルテーブルTB1は、運転負荷レベルフィールドFA1と、運転負荷条件フィールドFA2と、を備える。
【0039】
運転負荷レベルフィールドFA1には、運転負荷レベルを示す情報が格納される。本実施形態では、運転負荷レベルテーブルTB1は6件のレコードを有し、それぞれレコードの運転負荷レベルフィールドFA1に、各段階の運転負荷レベルを示す情報が格納される。
【0040】
運転負荷条件フィールドFA2には、ユーザの運転負荷の度合いが、対応する運転負荷レベルであるとみなすための条件が格納される。例えば、図3の運転負荷レベルテーブルTB1において、1件目のレコードRA1の運転負荷条件フィールドFA2に格納された条件JA5は、ユーザの運転負荷の度合いが運転負荷レベルLA5であるとみなすための条件である。本実施形態では、図3に示すように、条件JA0〜条件JA5のそれぞれが、運転負荷レベルLA0〜LA5のそれぞれと対応関係にある。以下、条件JA0〜条件JA5のそれぞれを区別せずに表現する場合、「条件JA」と表現する。条件JAは、1つの条件からなるものであってもよく、異なる複数の条件からなるものであってもよい。条件JAが、異なる複数の条件からなるものである場合、複数の条件のうちのいずれか1つの条件が成立した場合に条件JAが成立したとしてもよく、また、複数の条件が成立した場合に、条件JAが成立したとしてもよい。
【0041】
条件JAのそれぞれは、ステップSA1で取得した自車両の状態、及び、ステップSA2で取得した自車両の周囲の環境に基づいて、成立したか否かが判別可能な条件とされる。
【0042】
図3に示すように、条件JA0は、運転負荷レベルLA0に対応する条件である。条件JA0の一例は、「自車両の速度=時速0km、かつ、ギアがパーキング、かつ、パーキングブレーキがオン」である。このような条件が成立する場合、ユーザは、車両を完全に停車させており、ユーザの運転負荷は非常に小さい。なお、後述するように、運転負荷レベルLA0の場合、メールの重要度レベル(後述)にかかわらず、全てのメールが音声出力の対象となる。
【0043】
また、条件JA1は、運転負荷レベルLA1に対応する条件である。条件JA1に含まれる条件の一例は、「自車両の速度=時速0kmの状態が、所定時間(例えば、30秒)以上、継続している」である。このような条件が成立する場合、ユーザは、車両を一時停車させている状態であり、上記で例示した条件JA0が成立する場合と比較して、ユーザの運転負荷は大きい。なお、後述するように、運転負荷レベルLA1の場合、重要度レベルLB2〜LB5(後述)のメールが音声出力の対象となる。
【0044】
また、条件JA2は、運転負荷レベルLA2に対応する条件である。条件JA2に含まれる条件の一例は、「前方に他の車両が存在しない、かつ、自車両と交差点等との離間距離が所定の閾値を上回っている、かつ、車両が時速30km未満で走行中」である。なお、車載カメラ27からの入力に基づいて検出される車両が全くない場合に加え、自車両の最も近くに位置する他の車両と自車両との離間距離が所定の距離以上ある場合も「前方に他の車両が存在しない」とする構成であってもよい。このような条件が成立する場合、ユーザは、前方の車両や、経由する交差点等に注意することなく、低速で自車両を走行させている状態であり、上記で例示した条件JA1が成立する場合と比較して、ユーザの運転負荷は大きい。なお、後述するように、運転負荷レベルLA2の場合、重要度レベルLB3〜LB5(後述)のメールが音声出力の対象となる。
【0045】
また、条件JA3は、運転負荷レベルLA3に対応する条件である。条件JA3に含まれる条件の一例は、「前方に他の車両が存在しない、かつ、自車両と交差点等との離間距離が所定の閾値を上回っている、かつ、車両が時速30km以上時速60km未満で走行中」である。このような条件が成立する場合、ユーザは、前方の車両や、経由する交差点等に注意することなく、中速で自車両を走行させている状態であり、上記で例示した条件JA2が成立する場合と比較して、ユーザの運転負荷は大きい。なお、後述するように、運転負荷レベルLA3の場合、重要度レベルLB4〜LB5(後述)のメールが音声出力の対象となる。
【0046】
また、条件JA4は、運転負荷レベルLA4に対応する条件である。条件JA4に含まれる条件の一例は、「前方に他の車両が存在しない、かつ、自車両と交差点等との離間距離が所定の閾値を上回っている、かつ、車両が時速60km以上で走行中」である。このような条件が成立する場合、ユーザは、前方の車両や、経由する交差点等に注意することなく、高速で自車両を走行させている状態であり、上記で例示した条件JA3が成立する場合と比較して、ユーザの運転負荷は大きい。なお、後述するように、運転負荷レベルLA4の場合、重要度レベルLB5(後述)のメールが音声出力の対象となる。
【0047】
また、条件JA5は、運転負荷レベルLA5に対応する条件である。条件JA5に含まれる条件の一例は、「自車両と交差点等との離間距離が所定の閾値を下回っている」である。このような条件が成立する場合、ユーザは、経由する交差点等に注意を払いつつ車両を走行させており、上記で例示した条件JA4が成立する場合と比較して、ユーザの運転負荷は大きい。なお、後述するように、運転負荷レベルLA5の場合、メールの重要度レベルにかかわらず、全てのメールが音声出力の対象とならない。
【0048】
ステップSA3において、制御部20は、記憶部22が記憶する運転負荷レベルテーブルTB1を参照し、ステップSA1で取得した自車両の状態、及び、ステップSA2で取得した自車両の周囲の環境に基づいて、各レコードの運転負荷条件フィールドFA2に格納された条件JA0〜条件JA0のうち、成立する条件JAを特定する。次いで、制御部20は、成立した条件JAと対応付けられた運転負荷レベルを、ユーザの運転負荷の度合いに対応する運転負荷レベルとして、特定(判定)する。ステップSA3の処理後、制御部20は、運転負荷推定処理を終了する。
【0049】
なお、条件JAのそれぞれは、条件JA0〜条件JA5のうちのいずれか1つの条件のみが成立するように、他の条件JAとの関係を踏まえてその内容が設定される。
【0050】
次に、メール登録処理について説明する。メール登録処理とは、携帯端末10が受信したメールを、音声出力の対象としてリストに登録する処理である。
【0051】
図4は、メール登録処理の実行時の車載装置1の動作を示すフローチャートである。車載装置1は、図4のフローチャートが示すメール登録処理を、所定の周期で実行する。
【0052】
図4のフローチャートが示すメール登録処理の開始時点では、車載装置1が以下の状態であることを前提とする。すなわち、携帯端末10には事前に専用のアプリケーション(以下、「専用アプリ」という。)がインストールされる。この専用アプリは、携帯端末10のメーラと連携し、メーラがメールを受信した場合、車載装置1との間で確立したコネクションを介して送信する機能を有する。また、車載装置1には専用アプリに対応するアプリケーション(以下、「対応アプリ」という。)がインストールされる。この対応アプリは、携帯端末10との間で確立したコネクションを介して、携帯端末10の専用アプリからメールを受信し、受信したメールを所定の記憶領域に一時記憶する機能を有する。そして、図4のフローチャートの開始時点では、携帯端末10の専用アプリが立ち上げられると共に、車載装置1の対応アプリが立ち上げられ、これらアプリケーション間で所定のプロトコルに従ったコネクションが確立され、これらアプリケーション間で非同期でデータの送受信が行える状態であるものとする。
【0053】
図4に示すように、車載装置1の制御部20は、携帯端末10が新たなメールを受信したか否かを判別する(ステップSB1)。上述したように、携帯端末10が新たにメールを受信した場合、携帯端末10の専用アプリの機能により、携帯端末10から車載装置1にメールが送信される。車載装置1は、対応アプリの機能により、携帯端末10から受信したメールを、所定の記憶領域に一時記憶する。これを踏まえ、ステップSB1で、制御部20は、所定の記憶領域に新たに記憶されたメールがある場合、携帯端末10が新たにメールを受信したと判別する。
【0054】
新たなメールを受信していない場合(ステップSB1:NO)、制御部20は、メール登録処理を終了する。
【0055】
新たなメールを受信した場合(ステップSB1:YES)、制御部20は、記憶部22が記憶する重要度レベルテーブルTB2を参照し、当該テーブルに基づいて、新たに受信したメールの重要度レベルを特定(判定)する(ステップSB2)。新たに受信したメールが複数ある場合は、複数のメールのそれぞれについて、重要度レベルを特定する。
【0056】
重要度レベルとは、メールの重要性の度合いを、重要度レベルLB1〜LB5の5段階で表すものである。重要度レベルB1がメールの重要度の度合いが最も低いレベルであり、重要度レベルLB5がメールの重要度の度合いが最も高いレベルである。重要度レベルLB1から重要度レベルLB5へ向かって、メールの重要度の度合いが段階的に高くなる。
【0057】
図5は、重要度レベルテーブルTB2を示す図である。
【0058】
図5に示すように、重要度レベルテーブルTB2は、重要度レベルフィールドFB1と、送信先フィールドFB2と、送信元フィールドFB3と、題名フィールドFB4と、本文フィールドFB5と、を備える。
【0059】
重要度レベルフィールドFB1には、重要度レベルを示す情報が格納される。本実施形態では、重要度レベルテーブルTB2は4件のレコードを有し、それぞれレコードの重要度レベルフィールドFB1に、重要度レベルLB1〜重要度レベルLB4の各段階の重要度レベルを示す情報が格納される。なお、重要度レベルLB5に対応するレコードがない理由については後述する。
【0060】
送信先フィールドFB2には、携帯端末10が受信したメールの送信先のメールアドレスを示す情報が格納される。なお、本実施形態では、携帯端末10は、複数のメールアドレスを管理しており、複数のメールアドレスのそれぞれを送信先とするメールを受信可能である。送信先フィールドFB2には、送信先を特定しないことを示す情報(図5の例では「(any)」と表示。)が格納可能である。
【0061】
送信元フィールドFB3には、携帯端末10が受信したメールの送信元のメールアドレス、又は、ドメインを示す情報が格納される。送信元フィールドFB3には、送信元を特定しないことを示す情報(図5の例では「(any)」と表示。)が格納可能である。
【0062】
題名フィールドFB4には、メールの題名に含まれ得るテキスト(文字列)を示す情報が格納される。題名フィールドFB4には、テキストを特定しないことを示す情報(図5の例では「(any)」と表示。)が格納可能である。
【0063】
本文フィールドFB5には、メールの本文に含まれ得るテキストを示す情報が格納される。本文フィールドFB5には、テキストを特定しないことを示す情報(図5の例では「(any)」と表示。)が格納可能である。
【0064】
重要度レベルテーブルTB2の1件のレコードは、以下のことを示す。すなわち、重要度レベルテーブルTB2の1件のレコードは、送信先フィールドFB2に格納された情報が示すメールアドレスを送信先とし、かつ、送信元フィールドFB3に格納された情報が示すメールアドレスを送信元とし、かつ、題名フィールドFB4に格納された情報が示すテキストが題名に含まれ、かつ、本文フィールドFB5に格納された情報が示すテキストが本文に含まれたメールについて、当該メールの重要度レベルは、重要度レベルフィールドFB1に格納された情報が示す重要度レベルであることを示す。
【0065】
図5の例において、1件目のレコードは、重要度レベルLB1に対応するレコードである。当該1件目のレコードは、受信したメールについて、送信先がメールアドレス「abc@aaa.co.jp」であり、送信元がメールアドレス「xyz@aaa.co.jp」である場合は、題名、及び、本文の内容にかかわらず、重要度レベルが重要度レベルLB1であることを示す。
【0066】
また、図5の例において、2件目のレコードは、重要度レベルLB2に対応するレコードである。当該2件目のレコードは、受信したメールについて、送信先がメールアドレス「abc@aaa.co.jp」であり、送信元がドメイン「@bbb.co.jp」である場合は、題名、及び、本文の内容にかかわらず、重要度レベルが重要度レベルLB2であることを示す。
【0067】
また、図5の例において、3件目のレコードは、重要度レベルLB3に対応するレコードである。当該3件目のレコードは、受信したメールについて、送信元がドメイン「@bbb.co.jp」である場合は、送信先、題名の内容、及び、本文の内容にかかわらず、重要度レベルが重要度レベルLB3であることを示す。なお、送信元がドメイン「@bbb.co.jp」である場合であっても、送信先がメールアドレス「abc@aaa.co.jp」の場合は、上述した2件目のレコードに基づいて、重要度レベルは、重要度レベルLB2とされる。
【0068】
また、図5の例において、4件目のレコードは、重要度レベルLB4に対応するレコードである。当該4件目のレコードは、受信したメールについて、題名にテキスト「緊急」、又は、テキスト「急ぎ」が含まれている場合は、送信先、送信元、題名の内容、及び、本文の内容にかかわらず、重要度レベルが重要度レベルLB4であることを示す。
【0069】
このように、各レコードの送信先フィールドFB2、送信元フィールドFB3、題名フィールドFB4、及び、本文フィールドFB5に格納された情報は、メールの重要度レベルを設定する際の条件を示しており、1の条件が成立する場合、メールの重要度レベルは、当該1の条件と対応付けられた重要度レベルに設定される。
【0070】
ステップSB2において、制御部20は、新たに受信したメールの送信先のメールアドレス、送信元のメールアドレス、題名、及び、本文を取得する。次いで、制御部20は、重要度レベルテーブルTB2を参照し、各レコードの送信先フィールドFB2、送信元フィールドFB3、題名フィールドFB4、及び、本文フィールドFB5に格納された情報に基づいて、受信したメールに対応するレコードが存在するか否かを判別する。受信したメールに対応するレコードが存在する場合、制御部20は、対応するレコードの重要度レベルフィールドFB1に格納された重要度レベルを、メールの重要度の度合いを表す重要度レベルとして特定する。一方、対応するレコードが存在しない場合、制御部20は、メールの重要度レベルLB5とする。すなわち、制御部20は、受信したメールについて、予め設定した条件が成立しない場合、重要なメールである可能性があるメールとして、重要度レベルを、最も高い重要度であることを表す重要度レベルLB5とする。
【0071】
なお、ユーザは、車載装置1により提供される所定のユーザインターフェイスを利用して、重要度レベルテーブルTB2の内容を書き換えることができる。
【0072】
続くステップSB3で、制御部20は、受信したメールを「未読」として読上げ対象リストLSに登録する。
【0073】
図6は、読上げ対象リストLSを示す図である。なお、以下の説明で、「メールの読上げ」とは、メールを音声出力部26により音声出力することを意味する。
【0074】
図6に示すように、読上げ対象リストLSの1件のレコードは、送信元のメールアドレスを示す情報を格納する送信元フィールドFC1、メールの題名のテキストを格納する題名フィールドFC2、メールの本文を格納する本文フィールドFC3、メールの重要度レベルを示す情報を格納する重要度レベルフィールドFC4を備える。
【0075】
さらに、読上げ対象リストLSの1件のレコードは、メール状態フィールドFC5を備える。メール状態フィールドFC5には、対応するメールが読上げ待ち状態であることを示す情報(図6では、「読上げ待ち状態」と表示。)、又は、メールが未読状態であることを示す情報(図6では、「未読状態」と表示。)が格納される。読上げ待ち状態については、後述する。未読状態とは、読上げ待ち状態に至る前の状態である。後述するように、所定の条件が成立した場合、対応するメールの状態が、未読状態から読上げ待ち状態へと変更する。
【0076】
以下の説明では、メール状態フィールドFC5に読上げ待ち状態を示す情報が格納されたレコードに対応するメールを、「読上げ待ち状態のメール」と表現する場合があり、また、当該フィールドに未読状態を示す情報が格納されたレコードに対応するメールを「未読状態のメール」と表現する場合がある。
【0077】
ステップSB3において、制御部20は、新たに受信したメールの送信元のメールアドレス、題名のテキスト、本文のテキストを取得する。次いで、制御部20は、読上げ対象リストLSに1件のレコードを生成し、送信元のメールアドレスを示す情報を送信元フィールドFC1に格納し、メールの題名のテキストを題名フィールドFC2に格納し、メールの本文のテキストを本文フィールドFC3に格納し、ステップSB2で特定したメールの重要度レベルを示す情報を重要度レベルフィールドFC4に格納し、未読状態を示す情報をメール状態フィールドFC5に格納する。このように、読上げ対象リストLSに1件のレコードを生成する際、換言すれば、受信したメールを読上げ対象リストLSに登録する際は、メール状態フィールドFC5には、未読状態を示す情報が格納される。
【0078】
なお、受信したメールに基づいて読上げ対象リストLSに1件のレコードを生成する処理が、「メールを読上げ対象リストLSに登録する処理」に相当する。
【0079】
次に、読上げメール選択処理について説明する。読上げメール選択処理とは、読上げ対象リストLSに登録されたメールについて、所定の条件が成立する場合に、メール状態を未読状態から読上げ待ち状態へと変更する処理である。
【0080】
図7は、読上げメール選択処理の実行時の車載装置1の動作を示すフローチャートである。車載装置1は、図7のフローチャートが示す読上げメール選択処理を、所定の周期で実行する。
【0081】
図7に示すように、制御部20は、読上げ待ち状態のメールがあるか否かを判別する(ステップSC1)。具体的には、制御部20は、読上げ対象リストLSを参照し、メール状態フィールドFC5に読上げ待ち状態を示す情報が格納されたレコードがあるか否かを判別する。
【0082】
読上げ待ち状態のメールがある場合(ステップSC1:YES)、制御部20は、読上げメール選択処理を終了する。
【0083】
読上げ待ち状態のメールがない場合(ステップSC1:NO)、制御部20は、未読状態のメールがあるか否かを判別する(ステップSC2)。具体的には、制御部20は、読上げ対象リストLSを参照し、メール状態フィールドFC5に未読状態を示す情報が格納されたレコードがあるか否かを判別する。
【0084】
未読状態のメールがない場合(ステップSC2:NO)、制御部20は、読上げメール選択処理を終了する。
【0085】
未読状態のメールがある場合(ステップSC2:YES)、制御部20は、未読状態のメールが複数あるか否かを判別する(ステップSC3)。具体的には、制御部20は、読上げ対象リストLSを参照し、メール状態フィールドFC5に未読状態を示す情報が格納されたレコードが複数あるか否かを判別する。
【0086】
未読状態のメールが複数ない場合(ステップSC3:NO)、制御部20は、処理手順をステップSC5へ移行する。
【0087】
未読状態のメールが複数ある場合(ステップSC3:YES)、制御部20は、複数のメールのうち重要度レベルが最も高いメールを選択する(ステップSC4)。具体的には、制御部20は、対応する複数のレコードの重要度レベルフィールドFC4を参照し、当該フィールドに最も高い重要度レベルを示す情報が格納されたレコードを特定する。なお、最も高い重要度レベルを示す情報が重要度レベルフィールドFC4に格納されたレコードが複数ある場合、制御部20は、最も時間的に早く受信したメールに対応するレコードを特定する。ステップSC4の処理後、制御部20は、処理手順をステップSC5へ移行する。
【0088】
ステップSC5において、制御部20は、未読状態のメールが複数ない場合(=未読状態のメールが1つの場合)は未読状態のメールについて、また、未読状態のメールが複数ある場合はステップSC4で選択したメールについて、その状態を未読状態から読上げ待ち状態に変更する。具体的には、制御部20は、対応するレコードのメール状態フィールドFC5の情報を、未読状態を示す情報から、読上げ待ち状態を示す情報へと書き換える。その後、制御部20は、読上げメール選択処理を終了する。
【0089】
以上のように、読上げメール選択処理において、制御部20は、読上げ待ち状態のメールがない場合であって、未読状態のメールがある場合は、未読状態のメールの状態を、読上げ待ち状態へと変更する。その際、未読状態のメールが複数ある場合は、複数のメールのうち、最も重要度レベルが高いメールを、読上げ待ち状態へと変更する。
【0090】
次に、メール読上げ処理について説明する。メール読上げ処理とは、読上げ待ち状態のメールを所定の方法で音声出力する処理である。
【0091】
図8は、メール読み上げ処理の実行時の車載装置1の動作を示すフローチャートである。
【0092】
図8に示すように、制御部20は、読上げ待ち状態のメールがあるか否かを判別する(ステップSD1)。具体的には、制御部20は、読上げ対象リストLSを参照し、メール状態フィールドFC5に読上げ待ち状態を示す情報が格納されたレコードがあるか否かを判別する。
【0093】
読上げ待ち状態のメールがない場合(ステップSD1:NO)、制御部20は、処理手順をステップSD1へ戻し、再び、読上げ待ち状態のメールの有無を判別する。すなわち、ステップSD1で、制御部20は、受信したメールについて、上述した読上げメール選択処理によりメールの状態が未読状態から読上げ待ち状態へと変更されたものがあるか否かを監視する。
【0094】
読上げ待ち状態のメールがある場合(ステップSD1:YES)、制御部20は、読上げ中断フラグがオンか否かを判別する(ステップSD2)。読上げ中断フラグとは、後の読上げ中断チェック処理の説明によって明らかとなるとおり、読上げ待ち状態のメールについて、当該メールの重要度レベルと、直近で行われた運転負荷推定処理により特定された運転負荷レベルとの関係から、音声出力の対象とすべきか否かを示すフラグであり、音声出力の対象とすべきではない場合「オン」され、音声出力の対象とすべき場合「オフ」される。なお、メールを音声出力するときの方法については後述する。
【0095】
読上げ中断フラグがオンの場合(ステップSD2:YES)、制御部20は、読上げ待ち状態のメールの音声出力を中断し、処理手順をステップSD2に戻して、再び、中断フラグがオンか否かを判別する。このステップSD2の処理により、読上げ待ち状態のメールについて、音声出力の開始時に当該メールを音声出力の対象とすべきではない状況の場合、運転負荷レベルの変動によって当該メールを音声出力の対象とすべき状況へと変わるまでの間、音声出力が行われない。また、読上げ待ち状態のメールについて、音声出力の開始後に運転負荷レベルの変動によって当該メールを音声出力の対象とすべきではない状況となった場合、その後の運転負荷レベルの変動により当該メールを音声出力の対象とすべき状況へと変わるまでの間、音声出力が中断される。
【0096】
読上げ中断フラグがオフの場合(ステップSD2:NO)、制御部20は、読上げ中断フラグの状態の監視を実行しつつ(ステップSD2)、かつ、読上げ待ち状態のメールの音声出力が完了したか否かを監視しつつ(ステップSD4)、読上げ待ち状態のメールの音声出力を実行させる(ステップSD3)。ステップSD2、ステップSD3、及び、ステップSD4の処理により、読上げ待ち状態のメールの音声出力の開始後、音声出力が完了するまでの間に、読上げ中断フラグがオフからオンへと変更された場合、制御部20は、音声出力を中断する。その後、読上げ中断フラグがオンからオフへと変更された場合、制御部20は、音声出力を再開する。
【0097】
ステップSD2、ステップSD3、及び、ステップSD4の処理について詳述する。制御部20は、読上げ待ち状態のメールを音声出力させる場合、送信元のメールアドレス、メールの題名、メールの本文の順番で音声出力させる。音声出力に際し、制御部20は、読上げ対象リストLSのレコードのうち、読上げ待ち状態のメールに対応するレコードの送信元フィールドFC1、題名フィールドFC2、及び、本文フィールドFC3を参照し、送信元のメールアドレスを示すテキスト(以下、「送信元テキスト」という。)、メールの題名のテキスト(以下、「題名テキスト」という。)、及び、メールの本文のテキスト(以下、「本文テキスト」という。)を取得する。次いで、制御部20は、送信元テキスト、題名テキスト、及び、本文テキストの順番に記述した音声テキストを生成する。その際、制御部20は、送信元テキストについて、「差出人は、((送信元テキスト))です。」というテキストに変換し、題名テキストについて、「タイトルは、((題名テキスト))です。」というテキストに変換し、本文テキストについて、「本文は、((本文テキスト))です。」というテキストに変換する。
【0098】
なお、メールアドレスと、登録名(名前等)とを対応付けて記憶し、送信元テキスト(送信元のメールアドレスを示すテキスト)を、登録名を示すテキストに変換する構成であってもよい。
【0099】
次いで、制御部20は、音声テキストに含まれるテキストを、順次、音声データへと変換して音声出力部26に出力することによって、送信元のメールアドレス、メールの題名、及び、メールの本文の順番で、音声出力させる。テキストから音声データへの変換は、既存の技術によって行われる。生成した音声テキストに基づく音声出力の実行中、制御部20は、読上げ中断フラグがオフからオンへと変更されたか否かを監視し、オンへと変更された場合(ステップSD2:YES)、音声テキストの音声データへの変換及び音声出力部26への出力を中断する。その後、読上げ中断フラグがオンからオフへと変更された場合(ステップSD2:NO)、制御部20は、音声テキストについて、音声データへの変換を中断した箇所から、音声データの変換及び音声出力部26への出力を再開する。この結果、読上げ中断フラグがオフからオンへと変更された場合は、メールの音声出力が中断され、その後オンからオフへと変更された場合は、メールの音声出力が途中から再開される。制御部20は、以上の処理を、生成した音声テキストに含まれる全てのテキストに基づく音声出力が完了するまでの間、実行する。
【0100】
読上げ待ち状態のメールの音声出力が完了した場合(ステップSD4:YES)、換言すれば、生成した音声テキストに含まれる全てのテキストに基づく音声出力が完了した場合、制御部20は、読上げ対象リストLSから、音声出力が完了したメールに対応するレコードを削除する。その後、制御部20は、処理手順をステップSD1へ戻す。このステップSD5の処理の結果、読上げ対象リストLSから、メール状態フィールドFC5に読上げ対象待ち状態を示す情報が格納されたレコードが無くなる。そして、メール状態フィールドFC5に未読状態を示す情報が格納されたレコードがある場合、上述した読上げメール選択処理により、未読状態のメールが、読上げ待ち状態となる。
【0101】
次に、読上げ中断チェック処理について説明する。読上げ中断チェック処理とは、読上げ待ち状態のメールについて、メールの重要度レベル、及び、運転負荷レベルに基づいて、読上げ中断フラグのオン、オフを設定する処理である。
【0102】
図9は、読上げ中断チェック処理の実行時の車載装置1の動作を示すフローチャートである。車載装置1は、図9のフローチャートが示す読上げ中断チェック処理を、所定の周期で実行する。
【0103】
図9に示すように、車載装置1の制御部20は、読上げ可否判断テーブルTB3(対応データ)に基づいて、読上げ待ち状態のメールの読上げ可否を判断する(ステップSE1)。
【0104】
図10は、読上げ可否判断テーブルTB3を示す図である。
【0105】
読上げ可否判断テーブルTB3は、運転負荷レベルと、重要度レベルとの組み合わせごとに、音声出力が可能か否か(音声出力の対象とするか否か)を示す情報を対応付けるテーブルである。図10の読上げ可否判断テーブルTB3において、「〇」は音声出力が可能である(音声出力の対象とする)ことを示し、「×」は音声出力が不可能である(音声出力の対象としない)ことを示す。
【0106】
図10の読上げ可否判断テーブルTB3に示すように、運転負荷レベルLA0の場合、重要度レベルにかかわらず、メールの音声出力が可能とされる。これは以下の理由による。すなわち、上述したように、運転負荷レベルLA0の場合、ユーザの運転負荷は非常に小さく、このような状況では、メールが音声出力されることによるユーザへの影響が非常に小さい。このため、運転負荷レベルLA0の場合は、重要度レベルにかかわらず、メールを音声出力することによって、ユーザは、受信したメールの内容を迅速に認識することができ、ユーザの利便性を効果的に向上できるからである。
【0107】
また、図10の読上げ可否判断テーブルTB3に示すように、運転負荷レベルLA1〜運転負荷レベルLA4について、運転負荷が高いレベルほど、音声出力が可能とされるメールの重要度レベルが高くなる。すなわち、運転負荷レベルLA1の場合は、重要度レベルLB5〜重要度レベルLB2のメールが音声出力可能とされる。また、運転負荷レベルLA2の場合は、重要度レベルLB5〜重要度レベルLB3のメールが音声出力可能とされる。また、運転負荷レベルLA3の場合は、重要度レベルLB5〜重要度レベルLB4のメールが音声出力可能とされる。また、運転負荷レベルLA4の場合は、重要度レベルLB5のメールが音声出力可能とされる。これらの運転負荷レベルと、重要度レベルとの関係は、運転負荷レベルが高いほど、重要度の高いメールを音声出力可能とする、という観点に基づいて設定されている。これにより、メールを音声出力することに伴うユーザの運転への影響を抑制しつつ、ユーザにとって重要なメールは、運転負荷を反映した上で、音声出力可能とし、ユーザがメールの内容をできるだけ早く認識できるようにすることができる。
【0108】
また、図10の読上げ可否判断テーブルTB3に示すように、運転負荷レベルLA5の場合、重要度レベルにかかわらず、メールの音声出力が不可能とされる。これは以下の理由による。すなわち、上述したように、運転負荷レベルLA5の場合、ユーザの運転負荷は非常に大きく、このような状況では、メールが音声出力されることによるユーザの運転への影響が大きい。このため、運転負荷レベルLA5の場合は、重要度レベルにかかわらず、メールを音声出力不可能とすることによって、ユーザは、運転に集中することができる。
【0109】
ステップSE1において、制御部20は、直近で実行された運転負荷推定処理により特定された運転負荷レベル、及び、読上げ待ち状態のメールの重要度レベルを取得する。次いで、制御部20は、読上げ可否判断テーブルTB3を参照して、取得した運転負荷レベルと重要度レベルとの組み合わせに対応付けられた情報を取得し、取得した情報が音声出力が可能であることを示すものであれば、音声出力が可能と判断する。一方、制御部20は、取得した情報が音声出力が不可能であることを示すものであれば、音声出力が不可能であると判断する。この結果、ユーザの運転負荷と、メールの重要度との関係を踏まえて、読上げ待ち状態のメールを音声出力することが可能か否かが判別される。
【0110】
続くステップSE2で、制御部20は、ステップSE1の判別結果に基づいて、読上げ待ち状態のメールについて、音声出力が可能か否かを判別する(ステップSE2)。
【0111】
音声出力が可能な場合(ステップSE2:YES)、制御部20は、読上げ中断フラグがオンか否かを判別する(ステップSE3)。
【0112】
読上げ中断フラグがオンではない場合(ステップSE3:NO)、制御部20は、読上げ中断チェック処理を終了する。
【0113】
読上げ中断フラグがオンの場合(ステップSE3:YES)、制御部20は、読上げ中断フラグをクリアして、当該フラグをオフとする(ステップSE4)。このステップSE4の処理の結果、上述したメール読上げ処理において、メールの音声出力が中断している場合、メールの音声出力が再開される。ステップSE4の処理後、制御部20は、読上げ中断チェック処理を終了する。
【0114】
ステップSE2において、読上げ待ち状態のメールの音声出力が不可能な場合、制御部20は、読上げ中断フラグをオンする(ステップSE5)。このステップSE5の処理の結果、上述したメール読上げ処理において、メールの音声出力が中断される。ステップSE5の処理後、制御部20は、読上げ中断処理を終了する。
【0115】
以上説明したように、本実施形態に係る車載装置1は、音声出力する音声出力部26と、運転負荷を判定し、音声出力部26による音声出力が可能な情報であるメール(音声情報)の重要度を判定し、運転負荷及び重要度に基づいて、メールを音声出力の対象とするか否かを判別する制御部20と、を備える。
この構成によれば、車載装置1は、ユーザの運転負荷、及び、メールの重要度の関係を反映して、メールを音声出力の対象とするか否かを判別でき、ユーザの利便性を向上できる。これにより、例えば、ユーザの運転負荷が全くない訳ではないが、さほど高くないときには、ユーザにとって緊急度の高いメールを音声出力の対象とすることができる。
【0116】
また、本実施形態では、制御部20は、運転負荷を多段階のレベルとして判定し、メールの重要度を多段階のレベルとして判定し、運転負荷のレベル及びメールの重要度のレベルに基づいて、メールを音声出力の対象とするか否かを判別する。
この構成によれば、車載装置1は、運転負荷のレベル(運転負荷レベル)と、メールの重要度のレベル(重要度レベル)との組み合わせに基づいて、ユーザの運転負荷、及び、メールの重要度を反映して、メールを音声出力の対象とするか否かを判別できる。
【0117】
また、本実施形態に係る車載装置1は、運転負荷レベル及び重要度レベルの組み合わせと、メールの音声出力が可能か否かを示す情報とを対応付けた読上げ可否判断テーブルTB3(対応データ)を記憶する記憶部22を備える。制御部20は、運転負荷レベル、重要度レベル、及び、読上げ可否判断テーブルTB3に基づいて、メールを音声出力の対象とするか否かを判別する。
この構成によれば、車載装置1は、読上げ可否判断テーブルTB3に基づいて、判定した運転負荷レベル、及び、重要度レベルを用いて効率的にメールを音声出力の対象とするか否かを判別できる。
【0118】
また、本実施形態では、制御部20は、音声出力の対象とすると判別したメールが複数ある場合、重要度の高い順番に音声出力部26に音声出力させる。
この構成によれば、重要度の高いメールほど、より早くユーザに通知することができ、ユーザの利便性が向上する。
【0119】
また、本実施形態では、制御部20は、1のメールを音声出力させている間、運転負荷の変化によって当該1のメールが音声出力の対象ではなくなったか否かを判別し、当該1のメールが音声出力の対象ではなくなった場合、音声出力を中断し、その後、運転負荷の変化によって当該1のメールが音声出力の対象となった場合、音声出力を再開する。
この構成によれば、運転負荷との関係で、メールを音声出力することが適切でない場合に、当該メールが音声出力されることを防止できる。
【0120】
また、本実施形態では、制御部20は、運転負荷レベルを、車両の状態、及び、車両の周囲の環境を反映して判定する。また、車両の状態には、車両の走行に関する状態が含まれ、車両の周囲の環境には、車両の周囲に位置する他の車両の状況に関する環境、又は、車両が走行する道路の状況に関する環境が含まれる。
この構成によれば、制御部20は、車両の走行に関する状態や、車両の周囲に位置する他の車両の状況、車両が走行する道路の状況を反映して、運転負荷レベルを判定することができる。
【0121】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。
【0122】
以下の第2実施形態の説明では、上述した第1実施形態と同様の構成要素については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0123】
第2実施形態では、第1実施形態と、読上げメール選択処理の手順が異なっている。
【0124】
図11は、読上げメール選択処理の実行時の車載装置1の動作を示すフローチャートである。なお、図11のフローチャートでは、図7のフローチャートのステップと同様の処理が行われるステップについては、図7のフローチャートで付された符号と、同一の符号を付している。
【0125】
図11と、図7との比較で明らかなとおり、本実施形態に係る読上げメール選択処理では、図7のステップSC1において読上げ待ち状態のメールがある(ステップSC1:YES)と判別された場合の処理が異なっている。
【0126】
図11に示すように、読上げ待ち状態のメールがあると判別された場合(ステップSC1:YES)、制御部20は、読上げ中断フラグはオンか否かを判別する(ステップSF1)。
【0127】
読上げ中断フラグがオンではない場合(ステップSF1:NO)、制御部20は、読上げメール選択処理を終了する。
【0128】
読上げ中断フラグがオンの場合(ステップSF1:NO)、制御部20は、未読状態のメールがあるか否かを判別する(ステップSF2)。具体的には、制御部20は、読上げ対象リストLSを参照し、メール状態フィールドFC5に未読状態を示す情報が格納されたレコードがあるか否かを判別する。
【0129】
未読状態のメールがない場合(ステップSF2:NO)、制御部20は、読上げメール選択処理を終了する。
【0130】
未読状態のメールがある場合(ステップSF2:YES)、制御部20は、読上げ待ち状態のメールよりも重要度レベルが高い未読状態のメールがあるか否かを判別する(ステップSF3)。具体的には、制御部20は、読上げ対象リストLSを参照して、読上げ待ち状態のメールの重要度レベル、及び、未読状態のメール(未読状態のメールが複数ある場合は複数のメール)の重要度レベルを取得し、ステップSF3の判別を行う。
【0131】
読上げ待ち状態のメールよりも重要度レベルが高い未読状態のメールがない場合(ステップSF3:NO)、制御部20は、読上げメール選択処理を終了する。
【0132】
読上げ待ち状態のメールよりも重要度レベルが高い未読状態のメールがある場合(ステップSF3:YES)、制御部20は、以下の処理を行う(ステップSF4)。以下、読上げ待ち状態のメールよりも重要度レベルが高い未読状態のメールを、「高重要度メール」という。読上げ待ち状態のメールよりも重要度レベルが高い未読状態のメールが複数ある場合は、最も重要度レベルが高いメールが、「高重要度メール」である。また、最も重要度レベルが高いメールが複数ある場合、最も早く受信したメールが、「高重要度メール」である。
【0133】
ステップSF4で、制御部20は、高重要度メールについて、その状態を、未読状態から読上げ待ち状態へと変更する。具体的には、制御部20は、読上げ対象リストLSの高重要度メールに対応するレコードのメール状態フィールドFC5に格納された情報を、未読状態から読上げ待ち状態を示す情報へと変更する。
【0134】
さらに、ステップSF4で、制御部20は、読上げ待ち状態のメール(ステップSF3の処理の時点で読上げ待ち状態であったメール)について、その状態を、読上げ待ち状態から未読状態へと変更する。具体的には、制御部20は、読上げ対象リストLSの読上げ待ち状態のメールに対応するレコードのメール状態フィールドFC5に格納された情報を、読上げ待ち状態から未読状態を示す情報へと変更する。ステップSF4の処理後、制御部20は、読上げメール選択処理を終了する。
【0135】
これらステップSF1〜ステップSF4の処理の結果、メール読み上げ処理によって1のメールを音声出力しているときに、運転負荷の変動に起因して、読上げ中断チェック処理によって読上げ中断フラグがオンされ、当該1のメールの音声出力が中断された場合、音声出力中の当該1のメールの状態が未読状態へと変更される。さらに、未読状態のメールのうち、重要度レベルが最も高いメールであって、運転負荷との関係で音声出力が可能なメールが音声出力される。このため、運転負荷の変動に起因してメールの音声出力が中断された場合、重要度の高いメールであって、かつ、運転負荷との関係で音声出力が可能なメールが優先的に音声出力されることとなる。従って、運転負荷に応じた重要度のメールを、音声によって迅速にユーザに認識させることができ、ユーザの利便性を向上できる。
【0136】
ここで、本実施形態では、制御部20は、音声出力が中断されたメールが未読状態となった後、未読状態から読上げ待ち状態へと状態が変更され、改めて、当該メールを音声出力させる場合、当該メールを、中断した箇所から音声出力するのではなく、最初から音声出力する。これは、メールの音声出力の中断中に、他のメールの音声出力が行われているため、メールを改めて音声出力する際に、中断した箇所から音声出力するのは適切ではないからである。
【0137】
以上説明したように、本実施形態では、制御部20は、1のメールを音声出力させている間、運転負荷の変動によって当該1のメールが音声出力の対象ではなくなったか否かを判別し、当該1のメールが音声出力の対象ではなくなった場合、当該1のメールの音声出力を中断させた後、変化後の運転負荷及び重要度に基づいて音声出力の対象と判別される他のメールを音声出力部26に音声出力させ、運転負荷の変動によって当該1のメールが音声出力の対象となった場合、当該1のメールを最初から音声出力させる。
この構成によれば、運転負荷に応じた重要度のメールを、音声によって迅速にユーザに認識させることができ、ユーザの利便性を向上できる。
【0138】
<第1変形例>
次に、第1変形例について説明する。
【0139】
上述した第1実施形態では、メールを受信する機能を携帯端末10が備えている構成であったが、第1変形例では、車載装置1が備えている。
【0140】
図12(A)は、第1変形例に係る車載装置1を示す図である。第1変形例に係る車載装置1は、インターネットにアクセスする機能を有し、インターネット上の外部機器と通信する機能を有する。また、第1変形例に係る車載装置1は、メーラがインストールされており、メーラの機能により、インターネット上の所定のサーバからメールを受信する機能を有する。また、第1変形例に係る車載装置1の制御部20は、上述した運転負荷推定処理、メール登録処理、読上げメール選択処理、メール読み上げ処理、読上げ中断チェック処理の各処理を実行する機能を有する。
【0141】
第1変形例に係る車載装置1の制御部20は、受信したメールについて、上述した方法により、メールの重要度レベル、及び、運転負荷レベルに基づいて音声出力が可能か否かを判別し、判別結果に基づいて、メールの重要度、及び、運転負荷を反映した適切なタイミングでメールを音声出力し、また、適切なタイミングでメールの音声出力を中断する。このように、車載装置1自体がメールを受信する機能を有する場合であっても、上述した第1実施形態で説明した効果と同様の効果を奏することができる。
【0142】
<第2変形例>
次に、第2変形例について説明する。
【0143】
第2変形例では、インターネットに接続されたサーバSVが、車載装置1の処理の一部を実行する。
【0144】
図12(B)は、第2変形例に係る情報処理システム2の構成を示す図である。
【0145】
図12(B)に示すように、第2変形例に係る情報処理システム2は、インターネットに接続されたサーバSVを有し、携帯端末10とサーバSVとが通信可能に接続される。上述した第1実施形態では、メールに係るテキストの音声データへの変換を車載装置1が行っていた。一方、第2変形例では、メールに係るテキストの音声データへの変換をサーバSVが実行する。
【0146】
詳述すると、携帯端末10の端末制御部40は、受信したメールを車載装置1に送信する場合、メールの送信前に、メールをサーバSVに送信すると共に、サーバSVにメールの音声データへの変換を要求する。サーバSVは、受信したメールに基づいて、メールの音声データを生成し、携帯端末10に送信する。そして、携帯端末10の端末制御部40は、メールと共に、サーバSVから受信した音声データを、車載装置1に送信する。車載装置1は、受信したメールについて、上述した方法により、メールの重要度レベル、及び、運転負荷レベルに基づいて音声出力が可能か否かを判別し、判別結果に基づいて、メールの重要度、及び、運転負荷を反映した適切なタイミングでメールを音声出力させ、また、適切なタイミングでメールの音声出力を中断する。メールの音声出力に際して、制御部20は、携帯端末10から受信した音声データを音声出力部26に出力することにより、メールの音声出力を実行させる。このように、メールに係るテキストの音声データへの変換をサーバSVが実行する構成であっても、上述した第1実施形態で説明した効果と同様の効果を奏することができる。
【0147】
<第3変形例>
次に、第3変形例について説明する。
【0148】
第3変形例では、第2変形例と同様、情報処理システム2がサーバSVを有し、サーバSVが、運転負荷推定処理、メール登録処理、読上げメール選択処理、メール読み上げ処理、読上げ中断チェック処理の各処理を実行する機能を有する。以下、図12(B)を援用して、第3変形例に係る情報処理システム2の各装置の動作について説明する。
【0149】
第3変形例では、携帯端末10は、メールを受信した場合、受信したメールをサーバSVに送信する。サーバSVは、受信したメールについて、運転負荷推定処理、メール登録処理、読上げメール選択処理、メール読み上げ処理、読上げ中断チェック処理の各処理を実行し、メールの重要度レベル、及び、運転負荷レベルに基づいて音声出力が可能か否かを判別し、判別結果に基づいて、メールの重要度、及び、運転負荷を反映した適切なタイミングで車載装置1にメールを音声出力させ、また、適切なタイミングで車載装置1にメールの音声出力を中断させる。ここで、サーバSVは、運転負荷推定処理について、携帯端末10を介して車載装置1と通信し、車載装置1から所定の周期で各種センサの検出値を取得し、取得した検出値を利用して、運転負荷推定処理を実行する。また、サーバSVは、メール読み上げ処理の実行時において、車載装置1にメールを音声出力させる際、メールに係る音声データと共に、音声データに基づく音声出力を実行させる制御データを送信する。車載装置1の制御部20は、受信した音声データ、及び、制御データに基づいて、メールを音声出力する。このように、運転負荷推定処理、メール登録処理、読上げメール選択処理、メール読み上げ処理、読上げ中断チェック処理の各処理をサーバSVが実行する構成であってもよい。
【0150】
なお、変形例2、3において、第2実施形態と同様、車載装置1が、メールを受信する機能、及び、インターネットに接続された外部機器と通信する機能を有する構成であってもよい。この場合、サーバSVが、メールを音声データに変換する機能を有する構成であってもよく、また、サーバSVが運転負荷推定処理、メール登録処理、読上げメール選択処理、メール読み上げ処理、読上げ中断チェック処理の各処理を実行する機能を有する構成であってもよい。
【0151】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
【0152】
例えば、上述した実施形態では、音声出力される対象はメールであった。しかしながら、音声出力される対象はメールに限らず、RSSに係る企画に準拠したニュースや、チャット形式でやり取りされるメッセージ等、音声出力可能な情報であれば、何であってもよい。この場合、上述した方法と同様の方法により、音声出力の対象となる情報の重要度レベルが特定される。
【0153】
また例えば、図1は、本願発明を理解容易にするために、車載装置1の機能構成を主な処理内容に応じて分類して示した概略図であり、各装置の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。また、各構成要素の処理は、1つのプログラムで実現されてもよいし。複数のプログラムで実現されてもよい。
【0154】
また、フローチャートの処理単位は、車載装置1の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。車載装置1の処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。また、処理の順番も、図示した例に限られるものではない。
【符号の説明】
【0155】
1 車載装置
20制御部
22 記憶部
26 音声出力部
TB3 読上げ可否判断テーブル(対応データ)
SV サーバ(情報処理装置)
図1
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図12