特開2016-150199(P2016-150199A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-150199(P2016-150199A)
(43)【公開日】2016年8月22日
(54)【発明の名称】自動消火装置
(51)【国際特許分類】
   A62C 35/10 20060101AFI20160725BHJP
【FI】
   A62C35/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-30690(P2015-30690)
(22)【出願日】2015年2月19日
(71)【出願人】
【識別番号】512093217
【氏名又は名称】株式会社 セーフティー1
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】権田 芳彰
【テーマコード(参考)】
2E189
【Fターム(参考)】
2E189BA03
2E189BB05
2E189BC02
(57)【要約】
【課題】自動消火装置の復旧までに要する時間を短縮することができる。
【解決手段】自動消火装置10は、充填されている消火剤を噴射口を通じて噴射可能なエアゾール噴射器20と、エアゾール噴射器20の噴射口が連通される配管30と、配管30の下流端32に設けられ、自ら熱を感知して変形することにより配管30内に充満している当該消火剤を放出する放出部40と、を備える。エアゾール噴射器20は配管30の上流端31に対して着脱可能に取り付けられ、同上流端31に取り付けられることにより当該消火剤が同配管30内に噴射される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填されている消火剤を噴射口を通じて噴射可能なエアゾール噴射器と、
前記エアゾール噴射器の前記噴射口が連通される配管と、
前記配管の下流端に設けられ、自ら熱を感知して変形することにより前記配管内に充満している当該消火剤を放出する放出部と、
を備え、
前記エアゾール噴射器は前記配管の上流端に対して着脱可能に取り付けられ、同上流端に取り付けられることにより当該消火剤が同配管内に噴射される、
自動消火装置。
【請求項2】
前記放出部は、異常温度以上になると溶けることで当該消火剤を放出する可溶栓を含み、前記配管の下流端に対して着脱可能に取り付けられている、
請求項1に記載の自動消火装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の自動消火装置において、
前記エアゾール噴射器を収容するボックスを更に備え、
前記ボックスの内部には、前記配管の上流端に取り付けられている前記エアゾール噴射器の他に予備のエアゾール噴射器を収容するスペースが設けられている、
自動消火装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば産業機械や調理器などに適用される自動消火装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばNC旋盤やNCフライス盤などの工作機械には、一台につき一つの自動消火装置が設けられている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に記載の自動消火装置は、工作機械の加工室に設置される排気装置と、加工室内に設置される火炎検出装置と、加工室内に設置され、エアロゾルを生成させる消火装置と、火炎検出装置による加工室内で発生した火炎の検出に基づいて排気装置に排気停止を行なわせるとともに消火装置に作動指令を出力する制御装置とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010―273925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の装置も含む従来の一般の自動消火装置は、制御装置により消火装置の作動が制御されるものであるため、電気的な配線が必要になるなど装置全体の構成が複雑なものとなっている。
【0005】
また、従来の自動消火装置においては、消火剤が一度放出された場合に、自動消火装置メーカの技術者などの専門の技術者でなければ消火剤を再充填して使用可能な状態に復旧させることが難しい。そのため、復旧までに多くの時間を要するといった問題が生じる。
【0006】
本発明の目的は、復旧までに要する時間を短縮することができる自動消火装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための自動消火装置は、充填されている消火剤を噴射口を通じて噴射可能なエアゾール噴射器と、前記エアゾール噴射器の前記噴射口が連通される配管と、前記配管の下流端に設けられ、自ら熱を感知して変形することにより前記配管内に充満している当該消火剤を放出する放出部と、を備え、前記エアゾール噴射器は前記配管の上流端に対して着脱可能に取り付けられ、同上流端に取り付けられることにより当該消火剤が同配管内に噴射される。
【0008】
同構成によれば、エアゾール噴射器を配管の上流端に対して取り付けると、エアゾール噴射器に充填されている消火剤が噴射口を通じて噴射されることで配管内に充満する。そして、産業機械や調理器などの消火対象において火炎が発生した際には、放出部が自ら熱を感知して変形することにより配管内に充満している消火剤を放出する。このようにして、電気的な制御によることなく消火対象の消火が自動的に行なわれる。また、エアゾール噴射器は小型かつ軽量であり、配管の上流端に対して着脱可能に取り付けられるものであることから、ユーザー自身が使用済みのエアゾール噴射器を新しいエアゾール噴射器に容易に交換することができる。したがって、自動消火装置の復旧までに要する時間を短縮することができる。
【0009】
この場合、前記放出部は、異常温度以上になると溶けることで当該消火剤を放出する可溶栓を含み、前記配管の下流端に対して着脱可能に取り付けられている、といった構成が好ましい。
【0010】
上記構成によれば、放出部の可溶栓の温度が異常温度以上になると同可溶栓が溶けることで配管内に充満している消火剤が放出される。この場合、可溶栓が溶けた放出部を再利用することができないが、上記構成によれば、放出部が配管の下流端に対して着脱可能に取り付けられるものであることから、ユーザー自身が使用済みの放出部を新しい放出部に容易に交換することができる。したがって、自動消火装置の復旧までに要する時間を短縮することができる。
【0011】
また、前記エアゾール噴射器を収容するボックスを更に備え、前記ボックスの内部には、前記配管の上流端に取り付けられている前記エアゾール噴射器の他に予備のエアゾール噴射器を収容するスペースが設けられている、といった構成が好ましい。
【0012】
同構成によれば、ボックスの内部に、配管の上流端に取り付けられているエアゾール噴射器に加え、予備のエアゾール噴射器を収容することができるため、ユーザー自身が使用済みのエアゾール噴射器を新しい噴射器に交換する際に要する時間を一層短縮することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、自動消火装置の復旧までに要する時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】自動消火装置の一実施形態の概略構成を示す略図。
図2】同実施形態におけるエアゾール噴射器の正面図。
図3】同実施形態における配管の上流端の断面図。
図4】同実施形態における配管の下流端の端面図。
図5】(a)は同実施形態における放出部の断面図、(b)は(a)の5b−5b線に沿った断面図。
図6】同実施形態における配管の上流端にエアゾール噴射器が取り付けられた状態の断面図。
図7図1の7−7線に沿った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1図7を参照して、一実施形態について説明する。
図1に示すように、自動消火装置10は、NCフライス盤などの工作機械50の火炎を自動的に消火するものであり、ボックス11内に収容されるエアゾール噴射器20と、エアゾール噴射器20の噴射口22に連通される上流端31を有する配管30と、配管30の下流端32に設けられた放出部40とを備えている。なお、配管30の延びる方向においてエアゾール噴射器20側を上流側と称し、放出部40側を下流側と称する。図7に示すように、ボックス11の内部には、2本の予備のエアゾール噴射器20を収容するスペースが設けられている。なお、ボックス11は、工場内の柱や内壁、工作機械50の側面などに固定されることが好ましい。
【0016】
図2に示すように、エアゾール噴射器20は、消火剤が充填されている容器21と、容器21の頂部に突出して設けられ、当該消火剤を噴射可能な細管状の噴射口22とを有している。また、噴射口22の基端部には、固定部23が容器21と一体に設けられており、同固定部23の外周面には雄ねじ231が形成されている。こうしたエアゾール噴射器20においては、噴射口22が容器21内に向けて(同図の下方に向けて)押圧されることにより、図示しない容器21内のバルブが開弁される。このことにより、容器21内において噴射口22に向かう消火剤の移動が許容されるようになっている。
【0017】
図1に示すように、配管30は上流端31から上方に向けて延びるとともに工作機械50に向けて屈曲している。また、配管30は工作機械50の上方において下方に向けて屈曲しており、下流端32は工作機械50を指向している。
【0018】
図3に示すように、配管30の上流端31の内周面には、上流側から順に、雌ねじ311、同雌ねじ311よりも縮径された内径を有する第1縮径部313、及び第1縮径部313よりも縮径された内径を有する第2縮径部314が形成されている。ここで、図5に示すように、第1縮径部313の内径は、エアゾール噴射器20の噴射口22の外径よりも大きくされている。また、第2縮径部314の内径は、上記噴射口22の外径よりも小さくされている。
【0019】
図3に示すように、雌ねじ311と第1縮径部313とによって形成される段差部には、シリコン樹脂により形成された円板状のシール部材312が取り付けられている。
図4に示すように、配管30の下流端32の内周面には、雌ねじ321が形成されている。
【0020】
図5(a)に示すように、放出部40は筒状の固定部41を有している。固定部41の外周面には雄ねじ411が形成されている。
図5(a)、(b)に示すように、固定部41内には、複数の放出孔413を有する底部412が設けられている。底部412は、固定部41の下流端よりも上流側に位置している。固定部41における底部412の下流側の面(同図の下面)には、異常温度以上になると溶融する可溶栓42が固設されており、同可溶栓42によって全ての放出孔413が閉塞されている。可溶栓42はメタルヒューズにより形成されている。固定部41の下端外周面には、下方に向けて拡径されたノズル部43が外嵌されている。
【0021】
配管30の下流端32の雌ねじ321には、放出部40の固定部41の雄ねじ411が螺入される。したがって、放出部40は、配管30の下流端32に対して着脱可能に取り付けられる。
【0022】
図6に示すように、配管30の上流端31の雌ねじ311には、エアゾール噴射器20の固定部23の雄ねじ231が螺入される。したがって、エアゾール噴射器20は、配管30の上流端31に対して着脱可能に取り付けられる。このとき、エアゾール噴射器20の噴射口22の先端によってシール部材312が突き破られる。また、噴射口22の先端は第1縮径部313と第2縮径部314との段差部によって同図の下方に向けて押圧される。そして、雄ねじ231が雌ねじ311に螺入されることにより、噴射口22の先端が容器21内に向けて押圧された状態が保持される。
【0023】
次に、本実施形態の作用について説明する。
配管30の下流端32に対して放出部40が取り付けられた状態において、図6に示すように、エアゾール噴射器20を配管30の上流端31に対して取り付けると、エアゾール噴射器20に充填されている消火剤が噴射口22を通じて噴射されることで配管30内に充満する。そして、工作機械50において火炎が発生し、放出部40の可溶栓42の温度が異常温度以上になると同可溶栓42が溶けることで配管30内に充満している消火剤が放出される。
【0024】
以上説明した本実施形態に係る自動消火装置によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)自動消火装置10は、充填されている消火剤を噴射口22を通じて噴射可能なエアゾール噴射器20と、エアゾール噴射器20の噴射口22が連通される配管30と、配管30の下流端32に設けられ、自ら熱を感知して変形することにより配管30内に充満している当該消火剤を放出する放出部40と、を備える。エアゾール噴射器20は配管30の上流端31に対して着脱可能に取り付けられ、同上流端31に取り付けられることにより当該消火剤が同配管30内に噴射される。
【0025】
こうした構成によれば、電気的な制御によることなく工作機械50の消火が自動的に行なわれる。また、エアゾール噴射器20は小型かつ軽量であり、配管30の上流端31に対して着脱可能に取り付けられるものであることから、ユーザー自身が使用済みのエアゾール噴射器20を新しいエアゾール噴射器20に容易に交換することができる。したがって、自動消火装置10の復旧までに要する時間を短縮することができる。
【0026】
(2)放出部40は、異常温度以上になると溶けることで当該消火剤を放出する可溶栓42を含み、配管30の下流端32に対して着脱可能に取り付けられている。
この場合、可溶栓42が溶けた放出部40を再利用することができないが、上記構成によれば、放出部40が配管30の下流端32に対して着脱可能に取り付けられるものであることから、ユーザー自身が使用済みの放出部40を新しい放出部40に容易に交換することができる。したがって、自動消火装置10の復旧までに要する時間を更に短縮することができる。
【0027】
(3)ボックス11の内部には、配管30の上流端31に取り付けられているエアゾール噴射器20の他に予備のエアゾール噴射器20を収容するスペースが設けられている。
こうした構成によれば、ボックス11の内部に、配管30の上流端31に取り付けられているエアゾール噴射器20に加え、予備のエアゾール噴射器20を収容することができるため、ユーザー自身が使用済みのエアゾール噴射器20を新しいエアゾール噴射器20に交換する際に要する時間を一層短縮することができる。
【0028】
<変形例>
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・ボックス11の内部のスペースを適宜変更することができる。
【0029】
・ボックス11の内部に予備のエアゾール噴射器20を収容するスペースがないものであってもよい。
・ボックス11を省略することもできる。
【0030】
・ノズル部43を省略することもできる。
・配管30を直線状などの他の形状にすることもできる。
・異常温度以上になると開弁する感温式の弁によって放出部を構成することもできる。
【0031】
・プラグとソケットとによって構成されるカプラなど他の流体継手によって、配管の上流端に対してエアゾール噴射器を着脱可能に取り付けたり、配管の下流端に対して放出部を着脱可能に取り付けたりすることもできる。
【0032】
・本発明を調理器に対して適用することもできる。
【符号の説明】
【0033】
10…自動消火装置、11…ボックス、20…エアゾール噴射器、21…容器、22…噴射口、23…固定部、231…雄ねじ、30…配管、31…上流端、311…雌ねじ、312…シール部材、313…第1縮径部、314…第2縮径部、32…下流端、321…雌ねじ、40…放出部、41…固定部、411…雄ねじ、412…底部、413…放出孔、42…可溶栓、43…ノズル部、50…工作機械。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7