(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-152083(P2016-152083A)
(43)【公開日】2016年8月22日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/71 20110101AFI20160725BHJP
【FI】
H01R12/71
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-27763(P2015-27763)
(22)【出願日】2015年2月16日
(71)【出願人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094330
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 正紀
(74)【代理人】
【識別番号】100109689
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 結
(72)【発明者】
【氏名】古平 善彦
【テーマコード(参考)】
5E123
【Fターム(参考)】
5E123AB02
5E123AB08
5E123AB16
5E123AB76
5E123AC37
5E123AC42
5E123BA01
5E123BA07
5E123BB01
5E123BB12
5E123CB22
5E123CB31
5E123CD01
5E123DA05
5E123DB08
5E123DB11
5E123DB25
5E123EA03
(57)【要約】
【課題】小型化を維持しつつ多極化に対応したコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ10は、配列された複数のコンタクト30を有する。これら複数のコンタクト30には、第1コンタクト31と第2コンタクト32との2種類のコンタクトが存在する。第1コンタクト31は、第1半田接続部31aを有する。この第1半田接続部31aは、ハウジング20の略長方形状の長辺からハウジング20の外側に突き出ている。また、第2コンタクト32は、第2半田接続部32aを有する。この第2半田接続部32は、ハウジングの、その長辺よりも内側に設けられている。これら第1コンタクト31と第2コンタクト32は、交互に配列されている。そして、ハウジング20には、第2半田接続部32を視認させる、第2コンタクト32に個別に対応づけられた複数の窓21が形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視で略長方形状を有するハウジングと、該ハウジングの、略長方形状の長辺に沿って配列された複数のコンタクトとを備えた、基板に実装されるコネクタであって、
前記複数のコンタクトが、交互に配列された、前記長辺から前記ハウジングの外側に突き出た第1半田接続部を有する第1コンタクトと、前記ハウジングの、前記長辺よりも内側に設けられた第2半田接続部を有する第2コンタクトとからなり、
前記ハウジングが、基板上に配置されたときの前記第2半田接続部の半田付け状態を視認させる、前記第2コンタクトに個別に対応づけられた複数の窓を有することを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記複数のコンタクトが、前記ハウジングの略長方形状の2つの長辺それぞれに沿って配列された第1コンタクト列と第2コンタクト列を形成し、該長辺に交わる幅方向に、該第1コンタクト列を構成する該第1コンタクトと該第2コンタクト列を構成する該第2コンタクトとが並ぶとともに該第1コンタクト列を構成する該第2コンタクトと該第2コンタクト列を構成する該第1コンタクトとが並ぶ配列を有し、
前記複数の窓が、前記第1コンタクト列を構成する前記第2コンタクトの前記第2半田接続部に対応する第1窓と、前記第2コンタクト列を構成する前記第2コンタクトの前記第2半田接続部に対応する第2窓とが交互に千鳥配列された複数の窓であることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板表面に実装されるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、基板(フレキシブル基板を含む)に表面実装されるタイプのコネクタが多用されている。このタイプのコネクタには、小型化、低背化が求められている。
【0003】
近年ではさらに、小型化等を維持したまま、多極化が求められている。これを実現するために、コンタクトどうしの間隔を狭める狭ピッチ化が検討されている。
【0004】
ここで、特許文献1には、コンタクトの基板接続部を、平面視でのハウジングの外側だけでなく内側にも配列することで、多極化を実現したコネクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2000−516028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されているコネクタの場合、平面視でのハウジングの内側に、コンタクトの基板接続部の配列部分が存在する。そして、ハウジングには、その配列部分に、大きく広がる開口が形成されている。これにより、コンタクトの基板接続部の、基板への半田付けの状態を視認することができ、信頼性の高い半田付けを可能としている。
【0007】
しかしながら、この特許文献1に開示されているコネクタの場合、大きく広がる開口が形成されていることから、小型化には不向きの構造となっている。すなわち、この特許文献1に開示されるコネクタを小型化しようとすると、大きな開口のためハウジングの強度の低下を避けることができない。
【0008】
本発明は、上記事情を鑑み、小型化を維持しつつ多極化に対応したコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明のコネクタは、平面視で略長方形状を有するハウジングと、そのハウジングの、略長方形状の長辺に沿って配列された複数のコンタクトとを備えた、基板に実装されるコネクタであって、
上記複数のコンタクトが、交互に配列された、上記長辺からハウジングの外側に突き出た第1半田接続部を有する第1コンタクトと、ハウジングの、上記長辺よりも内側に設けられた第2半田接続部を有する第2コンタクトとからなり、
上記ハウジングが、基板上に配置されたときの第2半田接続部の半田付け状態を視認させる、第2コンタクトに個別に対応づけられた複数の窓を有することを特徴とする。
【0010】
本発明のコネクタは、そのハウジングに、第2半田接続部の半田付け状態を視認させる、第2コンタクトに個別に対応づけられた複数の窓が形成されている。これらの窓1つ1つは、第2半田接続部1つ1つを視認させるだけの極く小さな窓で済む。したがって、ハウジングの強度を十分に保持することができ、小型化を維持しつつ狭ピッチ化に対応するコネクタが実現する。
【0011】
ここで、本発明のコネクタにおいて、上記複数のコンタクトが、ハウジングの略長方形状の2つの長辺それぞれに沿って配列された第1コンタクト列と第2コンタクト列を形成し、長辺に交わる幅方向に、第1コンタクト列を構成する第1コンタクトと第2コンタクト列を構成する第2コンタクトとが並ぶとともに第1コンタクト列を構成する第2コンタクトと第2コンタクト列を構成する第1コンタクトとが並ぶ配列を有し、上記複数の窓が、第1コンタクト列を構成する第2コンタクトの第2半田接続部に対応する第1窓と、第2コンタクト列を構成する第2コンタクトの第2半田接続部に対応する第2窓とが交互に千鳥配列された複数の窓からなることが好ましい。
【0012】
このような千鳥配列にすることにより、狭ピッチ化されたコネクタであっても第2半田接続部どうしを十分に離間させることができ、電気的特性が良好に維持される。また、窓どうしが十分に離間することから、ハウジングの強度も維持されると共に、ハウジングの成形時に樹脂の流れを阻害しない。
【発明の効果】
【0013】
以上の本発明によれば、小型化を維持しつつ多極化に対応したコネクタが実現する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態のコネクタの斜視図である。
【
図2】
図1に斜視図を示すコネクタの平面図(A)と底面図(B)である。
【
図3】
図1に示す本実施形態のコネクタと相手コネクタの、嵌合時の姿勢を示した斜視図である。
【
図4】
図3に示す姿勢におけるコネクタの平面図である。
【
図5】
図4に示す矢印A−Aに沿う断面図(A)と矢印B−Bに沿う断面図(B)である。
【
図6】基板上の半田接続パッドの配列を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態のコネクタの斜視図である。
【0017】
また、
図2は、
図1に斜視図を示すコネクタの平面図(A)と底面図(B)である。
【0018】
コネクタ10は、ハウジング20と、複数のコンタクト30と、補強金具40とを備えている。
【0019】
ハウジング20は、平面視で略長方形状を有する。複数のコンタクト30は、その略長方形状の長辺に沿って配列されている。コンタクト30は、例えば0.25mmピッチという、極めて狭ピッチで配列されたコンタクトである。また、補強金具40は、ハウジング20の略長方形状の長手方向両端部に取り付けられ、不図示の基板への実装強度を補強する金具である。
【0020】
ここで、複数のコンタクト30は、交互に配列された第1コンタクト31と第2コンタクト32とを有する。第1コンタクト31と第2コンタクト32とでは、半田接続部30aの形状が異なる。すなわち、第1コンタクト31は、上記の長辺からハウジング20の外側に突き出た形状の第1半田接続部31aを有する。一方、第2コンタクト32は、ハウジング20の、その長辺よりも内側に設けられた第2半田接続部32aを有する。
【0021】
これらの第1半田接続部31aおよび第2半田接続部32aは、このコネクタ10が搭載される基板(例えばフレキシブル基板)に半田付けされる。また、両端部の補強金具40も、その基板上に半田付け固定される。
【0022】
ハウジング30には、第2コンタクト32に個別に対応付けられた小さな窓21が形成されている。これらの窓21は、このコネクタ10が基板に搭載されたときに、第2半田接続部32aの半田付け状態を確認するための窓である。この窓21から半田付け状態を確認することで、半田付けの高い信頼性が確保される。
【0023】
また、窓21は、第2コンタクト32に個別に対応する小さな窓であり、この窓21が形成されていても、ハウジング20は、十分な強度に維持される。
【0024】
また、複数のコンタクト30は、ハウジング20の略長方形状の2つの長辺それぞれに沿って配列された第1コンタクト列30Aと第2コンタクト列30Bとを形成している。第1コンタクト列30Aと第2コンタクト列30Bは、それらのいずれにおいても、第1コンタクト31と第2コンタクト32が交互に配列されている。ただし、長辺に交わる幅方向に関しては、第1コンタクト列30Aを構成する第1コンタクト31と、第2コンタクト列30Bを構成する第2コンタクト32とが並んでいる。また、これと同様に、幅方向に関し、第1コンタクト列30Aを構成する第2コンタクト32と、第2コンタクト列30Bを構成する第1コンタクト31とが並んでいる。
【0025】
したがって、この配列に伴い、複数の窓21についても、第1コンタクト列30Aに対応する第1窓21Aと、第2コンタクト列30Bに対応する第2窓21Bが交互に千鳥形状に配列されている。ここで、第1窓21Aは、第1コンタクト列30Aを構成する第2コンタクト32の第2半田接続部32aの半田付け状態を視認させる窓である。また、第2窓21Bは、第2コンタクト列30Bを構成する第2コンタクト32の第2半田接続部32aの半田付け状態を視認させる窓である。上述の通り、第1コンタクト列30Aと第2コンタクト列30Bのいずれにおいても、第1コンタクト31と第2コンタクト32が交互に配列されている。このため、第1窓21Aおよび第2窓21Bのいずれについても、長辺方向の配列ピッチは、コンタクト30の倍の間隔に広がっている。また、第1コンタクト列30Aと第2コンタクト列30Bとでは、第2コンタクト32の配列が1ピッチ分ずれている。このため、第2半田接続部32aどうし、および窓21どうしが千鳥配列となっている。これにより、第2半田接続部32aどうしの間隔、および窓21どうしの間隔が広がり、良好な電気特性が確保され、また、ハウジング20の強度が確保されている。
【0026】
図3は、
図1に示す本実施形態のコネクタと相手コネクタの、嵌合時の姿勢を示した斜視図である。
【0027】
また、
図4は、
図3に示す姿勢におけるコネクタの平面図である。
【0028】
この
図4には、コネクタ10の、
図2(B)に示す底面が示されている。そして、その周囲に、相手コネクタ50の上面の輪郭部分が示されている。
【0029】
本実施形態のコネクタ10は、
図3に示すように、
図1や
図2(A)に示す上面を相手コネクタ50に向けた姿勢で、相手コネクタ50と嵌合する。
【0030】
この相手コネクタ50も、ハウジング60と、複数のコンタクト70と、補強金具80とを備えている。本実施形態のコネクタ10のコンタクト30が2列に配列されていることに対応して、相手コンタクト50のコンタクト70も、2列に配列されている。
【0031】
この相手コネクタ50も、不図示の基板(例えばリジッドな基板)上に表面実装される。
【0032】
また、これらのコンタクト70には、半田接続部71の違いにより、2種類が存在する。すなわち、これらのコンタクト70には、第1半田接続部71aを有するコンタクトと、第2半田接続部71bを有するコンタクトとが存在する。第1半田接続部71aは、ハウジング60の長辺から大きく突き出ている。一方、第2半田接続部71bは、ハウジング60の長辺から僅かに食み出た位置にある。これら第1半田接続部71aを有するコンタクト70と第2半田接続部71bを有するコンタクト70は、長辺に沿って交互に配列されている。但し、この相手コネクタ50の場合、本実施形態のコネクタ10とは異なり、長辺に交わる幅方向には、第1半田接続部71aを有する2つのコンタクトが並んでいる。また、これと同様に、この相手コネクタ50の場合、第2半田接続部71bを有する2つのコンタクト70が幅方向に並んでいる。
【0033】
図5は、
図4に示す矢印A−Aに沿う断面図(A)と矢印B−Bに沿う断面図(B)である。
【0034】
図5(A)には、本実施形態のコネクタ10に関しては、第1コンタクト列30Aに並ぶ第1コンタクト31と第2コンタクト列30Bに並ぶ第2コンタクト32が示されている。第1コンタクト列30Aに並ぶ第1コンタクト31は、ハウジング20から突き出た第1半田接続部31aを有する。また、第2コンタクト列30Bに並ぶ第2コンタクト32は、ハウジング20の窓21(第2窓21B)から視認される位置に配置された第2半田接続部32aを有する。一方、この
図5(A)には、相手コネクタ50に関しては、ハウジング60から大きく突き出た第1半田接続部71aを有する2つのコンタクト70が示されている。
【0035】
また、
図5(B)には、本実施形態のコネクタ10に関しては、第1コンタクト列30Aに並ぶ第2コンタクト32と第2コンタクト列30Bに並ぶ第1コンタクト31が示されている。第1コンタクト列30Aに並ぶ第2コンタクト32は、ハウジング20の窓21(第1窓21A)から視認される位置に配置された第2半田接続部32aを有する。また、第2コンタクト列30Bに並ぶ第1コンタクト31は、ハウジング20から突き出た第1半田接続部31aを有する。一方、相手コネクタ50に関しては、この
図5(B)には、ハウジング60から僅かに覗く位置に配置された第2半田接続部71bを有する2つのコンタクト70が示されている。
【0036】
図6は、基板上の半田接続パッドの配列を示した図である。
【0037】
図6(A)には、本実施形態のコネクタ10のコンタクト30が半田接続されるパッドの配列が示されている。また、
図6(B)には、相手コネクタ50のコンタクト70が半田接続されるパッドの配列が示されている。
【0038】
また、
図6(A−2),(B−2)は、それぞれ、
図6(A),(B)に示す円Rの部分の拡大図である。
【0039】
これらの図に示すように、パッド29,79は、千鳥に配列されている。互いに近接したパッド29,79については、角が削られた形状に形成されている。また、コンタクト30,70の半田接続部30a,70aの、パッド29,79に接する部分も、この
図6にハッチングを付して示すように、パッド29,79と相似形を成している。
【0040】
これにより、パッド29どうしの間隔およびパッド79どうしの間隔が確保され、半田付け時のブリッジの発生が防止される。
【0041】
なお、ここでは、複数のコンタクト30が第1コンタクト列30Aと第2コンタクト列30Bとの2列に配列されたコネクタ10を例に挙げて説明した。ただし、複数のコンタクトが1列に並んだコネクタであっても、本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
10 コネクタ
20 ハウジング
21 窓
21A 第1窓
21B 第2窓
30 複数のコンタクト
30a 半田接続部
31 第1コンタクト
31a 第1半田接続部
32 第2コンタクト
32a 第2半田接続部
40 補強金具
50 相手コネクタ
60 ハウジング
70 コンタクト
70a 半田接続部
71a 第1半田接続部
71b 第2半田接続部