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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-152364(P2016-152364A)
(43)【公開日】2016年8月22日
(54)【発明の名称】誘電体材料
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/18 20060101AFI20160725BHJP
   C08L 27/16 20060101ALI20160725BHJP
   H01B 3/24 20060101ALI20160725BHJP
【FI】
   H01G4/24 321C
   H01G4/18 327Z
   C08L27/16
   H01B3/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-30009(P2015-30009)
(22)【出願日】2015年2月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】399030060
【氏名又は名称】学校法人 関西大学
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100101904
【弁理士】
【氏名又は名称】島村 直己
(74)【代理人】
【識別番号】100176197
【弁理士】
【氏名又は名称】平松 千春
(72)【発明者】
【氏名】垣花 大
(72)【発明者】
【氏名】桑野 一幸
(72)【発明者】
【氏名】長谷 康平
(72)【発明者】
【氏名】濟藤 孝博
(72)【発明者】
【氏名】浅野 英貴
(72)【発明者】
【氏名】山本 秀樹
【テーマコード(参考)】
4J002
5E082
5G305
【Fターム(参考)】
4J002BD141
4J002EA017
4J002EC027
4J002EE037
4J002EL066
4J002EL067
4J002EP016
4J002EV206
4J002HA05
5E082FG06
5E082FG34
5E082PP10
5G305AA01
5G305AB08
5G305BA07
5G305CA38
(57)【要約】
【課題】本発明は、フッ化ビニリデン系ポリマー及び溶媒の相溶性が良好であり、貯蔵安定性が向上した誘電体材料を普遍的な方法で提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、フッ化ビニリデン系ポリマーと溶媒とを含む誘電体材料であって、ハンセン溶解度パラメータにおける、溶媒のフッ化ビニリデン系ポリマーに対する相対的エネルギー差が0.8以下である誘電体材料に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ化ビニリデン系ポリマーと溶媒とを含む誘電体材料であって、ハンセン溶解度パラメータにおける、溶媒のフッ化ビニリデン系ポリマーに対する相対的エネルギー差が0.8以下である誘電体材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は誘電体材料に関する。
【背景技術】
【0002】
誘電体フィルムは、フィルムコンデンサに用いて、電子機器、電気機器、産業機器、自動車等の部品に広く利用されている。誘電体フィルムに用いられるポリマーとしては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリスチレン、フッ化ビニリデン系ポリマー等が知られているが、中でも、フッ化ビニリデン系ポリマーは、圧電性能及び焦電性能が高く、また、加工性に優れているため、誘電体フィルムに広く用いられている。
【0003】
このような誘電体フィルムとして、例えば、特許文献1には、(A)フッ化ビニリデン系ポリマー、(B)チタン酸バリウム系酸化物粒子及び/又はチタン酸ジルコン酸鉛系酸化物粒子、及び(C)カップリング剤、界面活性剤又はエポキシ基含有化合物の少なくとも1種からなる親和性向上剤を含んでなり、フッ化ビニリデン系ポリマー(A)100質量部に対して、チタン酸バリウム系酸化物粒子及び/又はチタン酸ジルコン酸鉛系酸化物粒子(B)を10〜500質量部、ならびに親和性向上剤(C)を0.01〜30質量部含む高誘電性フィルムが記載されている。
【0004】
誘電体フィルムは、ポリマー及び溶媒を含む誘電体材料から製造されるが、特許文献1のフィルムを製造するための誘電体材料は、ポリフッ化ビニリデン系ポリマーと溶媒との相溶性が良好ではない場合があり、また、長期間貯蔵するとゲル化が進行する場合もあるため、商業的に利用することが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2007/088924号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、フッ化ビニリデン系ポリマーを用いる誘電体材料では、フッ化ビニリデン系ポリマー及び溶媒の相溶性が良好であり、また、貯蔵安定性にも優れるものが望まれている。
【0007】
それ故、本発明は、フッ化ビニリデン系ポリマー及び溶媒の相溶性が良好であり、貯蔵安定性が向上した誘電体材料を普遍的な方法で提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するための手段を種々検討した結果、ハンセン溶解度パラメータにおける、溶媒のフッ化ビニリデン系ポリマーに対する相対的エネルギー差を特定の値にすることにより、誘電体材料の貯蔵安定性を向上させることができることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)フッ化ビニリデン系ポリマーと溶媒とを含む誘電体材料であって、ハンセン溶解度パラメータにおける、溶媒のフッ化ビニリデン系ポリマーに対する相対的エネルギー差が0.8以下である誘電体材料。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、貯蔵安定性が向上した誘電体材料を普遍的な方法で提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0012】
本発明は、フッ化ビニリデン系ポリマーと溶媒とを含む誘電体材料に関する。
フッ化ビニリデン系ポリマーとしては、フッ化ビニリデンのホモポリマー(ポリフッ化ビニリデン)、又はフッ化ビニリデンと共重合可能な他のモノマーとのコポリマーのいずれも用いることができるが、フッ化ビニリデンのホモポリマーが好ましい。
【0013】
フッ化ビニリデンと共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、モノフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル等の含フッ素オレフィン類、含フッ素アクリレート、官能基含有含フッ素モノマー等が挙げられる。フッ化ビニリデンと共重合可能な他のモノマーの割合は、特に限定されずに、通常、50モル%以下であり、高い誘電率及び良好な溶解性の観点から、好ましくは40モル%以下である。
【0014】
誘電体材料は、溶媒のポリマーに対する相対的エネルギー差が0.8以下である限りにおいて、フッ化ビニリデン系ポリマーに加えて、他のポリマーを含んでいてもよい。他のポリマーとしては、特に限定されずに、例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、シリコーン樹脂、ポリエーテル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(メタ)アクリレート、エポキシ樹脂、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスチレン、ポリベンゾイミダゾール等が挙げられる。誘電体材料中の他のポリマーの含有量は、ポリマーの全重量に対して、通常、20重量%以下であり、好ましくは、10重量%以下である。誘電体材料は、好ましくは、他のポリマーを含まない。
【0015】
誘電体材料中のフッ化ビニリデン系ポリマーの含有量は、特に限定されずに、例えば、10〜30重量%であり、良好な相溶性及び貯蔵安定性の観点から、好ましくは、15〜25重量%である。
【0016】
誘電体材料は、ハンセン溶解度パラメータにおける、溶媒のフッ化ビニリデン系ポリマーに対する相対的エネルギー差(Relative Energy Difference:RED)が0.8以下である。溶媒のフッ化ビニリデン系ポリマーに対するREDを0.8以下にすることによって、誘電体材料のゲル化を抑制することができ、誘電体材料の貯蔵安定性が向上する。
【0017】
ハンセン溶解度パラメータとは、ポリマー等の物質が溶媒にどのくらい溶けるのかを示す溶解性の指標であり、詳しくは、「Hansen Solubility Parameters:A User's Handbook, Second Edition」(第1−310頁、CRC Press、2007年発行)等に記載されている。この文献に記載されている通り、ハンセン溶解度パラメータは、溶媒に対する溶解性を多次元のベクトル(分散力項(δ)、双極子間力項(δ)、水素結合力項(δ))で表し、これらの3つのパラメータは、ハンセン空間と呼ばれる三次元空間中の点の座標と考えることができる。ハンセン溶解度パラメータにおいて、溶媒のポリマーに対する溶解能は、相対的エネルギー差(RED)によって判断することができる。相対的エネルギー差は、式:RED=Ra/R0(式中、Raは、ハンセン空間におけるポリマーと溶媒の間の距離を示し、R0はポリマーの相互作用半径を示す)によって求められる。RED>1の場合、ポリマーは溶媒に不溶であり、RED=1の場合、ポリマーは溶媒に部分的に溶解し、RED<1の場合、ポリマーは溶媒に溶解することが知られている。ここで、Raは、下記の式:
Ra=[4(δds−δdp+(δps−δpp+(δhs−δhp1/2
(式中、δdp=ポリマーの分散力、δpp=ポリマーの双極子間力、δhp=ポリマーの水素結合力であり、δds=溶媒の分散力であり、δps=溶媒の双極子間力であり、δhs=溶媒の水素結合力である)
に従って計算される。
【0018】
溶媒は、ハンセン溶解度パラメータにおける、溶媒のフッ化ビニリデン系ポリマーに対する相対的エネルギー差が0.8以下となるように選択される。溶媒としては、特に限定されずに、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)等のアミド系溶媒;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターベン等の炭化水素系溶媒;n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、2−ヘプタノン(MAK)等のケトン系溶媒;酢酸ブチル、乳酸エチル、安息香酸ベンジル、γ−ブチロラクトン(GBL)等のエステル系溶媒;テトラヒドロフラン(THF)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル等のエーテル系溶媒、プロピレンカーボネートやジエチレンカーボネート(DEC)等のカーボネート系溶媒;ジメチルスルホキシド(DMSO)等のスルホキシド系溶媒等を用いることができる。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。本発明において、ハンセン溶解度パラメータにおける、溶媒のフッ化ビニリデン系ポリマーに対する相対的エネルギー差を0.8以下とするために、2種以上の溶媒の混合物を用いることが好ましい。
【0019】
本発明において、ハンセン溶解度パラメータにおける、溶媒のフッ化ビニリデン系ポリマーに対する相対的エネルギー差を0.8以下とするために、好ましくは、溶媒は、アミド系溶媒、炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、カーボネート系溶媒を単独で含まない。
【0020】
溶媒の組み合わせとしては、アミド系溶媒と炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、エステル系溶媒、又はエーテル系溶媒との組み合わせ、エステル系溶媒とエーテル系溶媒との組み合わせ、スルホキシド系溶媒と炭化水素系溶媒又はケトン系溶媒との組み合わせが好ましく、DMF及びヘキサン、NMP及びn−ブタノール、DMAc及びGBL、NMP及びジプロピレングリコールメチルエーテル、GBL及びTHF、DMSO及びヘキサン、DMSO及びアセトンの組み合わせがより好ましい。
【0021】
2種以上の溶媒の混合物を用いる場合は、各溶媒の混合比は、REDが0.8以下となるように適宜選択され、例えば、アミド系溶媒と炭化水素系溶媒との組み合わせでは、アミド系溶媒:炭化水素系溶媒=80:20〜95:5の重量比であり、アミド系溶媒とアルコール系溶媒との組み合わせでは、アミド系溶媒:アルコール系溶媒=75:25〜95:5の重量比であり、アミド系溶媒とエステル系溶媒との組み合わせでは、アミド系溶媒:エステル系溶媒=60:40〜80:20の重量比であり、アミド系溶媒とエーテル系溶媒との組み合わせでは、アミド系溶媒:エーテル系溶媒=80:20〜95:5の重量比であり、エステル系溶媒とエーテル系溶媒との組み合わせでは、エステル系溶媒:エーテル系溶媒=50:50〜70:30の重量比であり、スルホキシド系溶媒と炭化水素系溶媒との組み合わせでは、スルホキシド系溶媒:炭化水素系溶媒=70:30〜90:10の重量比であり、スルホキシド系溶媒とケトン系溶媒との組み合わせでは、スルホキシド系溶媒:ケトン系溶媒=45:55〜70:30の重量比である。
【0022】
誘電体材料中の溶媒の含有量は、特に限定されずに、例えば、70〜90重量%であり、好な相溶性及び貯蔵安定性の観点から、好ましくは、75〜85重量%である。
【0023】
誘電体材料は、フッ化ビニリデン系ポリマーと溶媒との相溶性、及び貯蔵安定性に影響を及ぼさない限りにおいて、誘電性無機粒子を含んでいてもよい。誘電性無機粒子を含むことによって、本発明の誘電体材料から得られる誘電体フィルムの誘電率を高くすることができる。
【0024】
誘電性無機粒子としては、特に限定されずに、例えば、チタン酸バリウム、チタン酸亜鉛、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸鉛、酸化チタン、アンチモン酸バリウム、アンチモン酸マグネシウム、アンチモン酸ストロンチウム、アンチモン酸カルシウム、アンチモン酸鉛、スズ酸バリウム、スズ酸ストロンチウム等が挙げられる。誘電性無機粒子として、2種以上の上記の誘電性無機粒子を用いてもよい。
【0025】
誘電性無機粒子の平均粒径は、特に限定されずに、例えば、0.01μm〜5μmであり、製造安定性や分散性の観点から、好ましくは、0.05μm〜2μmである。誘電性無機粒子の平均粒径は、例えば、レーザー回折散乱法によって測定することができる。
【0026】
誘電性無機粒子の形状は、球形、楕円形、三角状、長方形状、針状等のいずれでもよく、それらを組み合わせて用いることもできる。
【0027】
誘電性無機粒子として、シラン系カップリング剤等のカップリング剤で表面処理を行ったものを用いてもよい。
【0028】
誘電体材料が誘電性無機粒子を含む場合、誘電体材料中の誘電性無機粒子の含有量は、特に限定されずに、例えば、0.1〜91重量%である。
【0029】
誘電体材料は、フッ化ビニリデン系ポリマーと溶媒との相溶性、及び貯蔵安定性に影響を及ぼさない限りにおいて、界面活性剤、消泡剤、湿潤剤、レベリング剤、流展剤等の他の成分を含んでいてもよい。
【0030】
本発明の誘電体材料は、好ましくは、フッ化ビニリデン系ポリマーと溶媒からなる。
本発明の誘電体材料は、フッ化ビニリデン系ポリマー、溶媒及び必要に応じて他の成分を混合することによって得られる。混合は、特に限定されずに、例えば、超音波振動、撹拌機、ミル、ホモジナイザー等を用いて行うことができる。
【0031】
本発明は、上記の誘電体材料を用いて得られる誘電体フィルムも含む。本発明の誘電体フィルムは、例えば、誘電体材料を基材にコーティングし、通常、25〜120℃で0.5〜240分間乾燥させることで得られる。
【実施例】
【0032】
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
【0033】
(実施例)
室温(25℃)において、ポリフッ化ビニリデンの各種溶媒に対する溶解性と溶解後の貯蔵安定性を試験した。
【0034】
具体的には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)と各種溶媒をPVDF:溶媒=7:26の重量比で混合し、室温で1昼夜撹拌し、その後の相溶性を目視にて判断した。その後、PVDF及び溶媒の混合溶液を1ヶ月間、25℃の恒温槽に保管し、定期的に目視観察して、混合溶液の貯蔵安定性を評価した。結果を表1に示す。
【0035】
表中のREDは、「Hansen Solubility Parameters:A User's Handbook, Second Edition」(第1−310頁、CRC Press、2007年発行)に従って、式:RED=Ra/R0(式中、Raは、ハンセン空間におけるポリマーと溶媒の間の距離を示し、R0はポリマーの相互作用半径を示す)によって求めた。
【0036】
ここで、Raは、下記の式:
Ra=[4(δds−δdp+(δps−δpp+(δhs−δhp1/2
(式中、δdp=ポリマーの分散力、δpp=ポリマーの双極子間力、δhp=ポリマーの水素結合力であり、δds=溶媒の分散力であり、δps=溶媒の双極子間力であり、δhs=溶媒の水素結合力である)
によって求めた。
【0037】
R0は、下記表1のδdp、δpp、δhpの値を使用して求めたところ、2.4MPa1/2であった。
【0038】
【表1】
【0039】
ポリフッ化ビニリデンと各種溶媒との相溶性及び混合溶液の貯蔵安定性の試験結果を表2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】
表2より、比較例1、4−12の溶媒は、REDが1以上であり、PVDFを溶解することができず、PVDFと溶媒との相溶性が低かったのに対し、実施例1−7の溶媒は、RED<1であり、PVDFを溶解することができ、PVDFと溶媒との相溶性が高かった。また、PVDF及び溶媒の混合溶液の貯蔵安定性ついては、比較例1−14では、PVDF及び溶媒の混合溶液は1ヶ月の間に全体的に又は一部がゲル化したことが観察されたが、実施例1−7では、PVDFに対するREDが0.8以下となる溶媒を用いることによって、ゲル化を抑制することができ、貯蔵安定性が優れていたことが示された。