【解決手段】青色のLED素子からの光に対して、単純な領域分割では、蛍光体層81’で示すように、緑色の領域81Cの両側に、遠赤色の領域81Bおよび赤色の領域81Dを配置し、その外側に黄色の領域81A,81Eを配置する必要があり、各色のフィルム片の貼付けなどで作成する必要がある。蛍光体層81では、赤と遠赤の蛍光体を混合した領域81aをドット状とし、緑の蛍光体の領域81bは、ダイサーで形成した格子状の溝にディスペンサー&スキジー法によって埋め込んで形成する。ドットと格子で、赤と緑の境界が長くなり、相互作用で黄色が発生して、事実上2種類の蛍光体で、任意の色温度を、高い演色性で実現できるとともに、量産も容易である。
半導体発光素子と、該半導体発光素子の光取出し面上に配置され、該半導体発光素子の光で励起されて、固有の光を発する蛍光体層とを備えて構成される発光装置において、
前記蛍光体層は、相互に異なる色の蛍光体で、前記光取出し面上に領域分割されて形成され、かつ少なくとも1つの色の領域はドット状に形成されて、他の色の領域は前記ドットを区画する格子状に形成されることを特徴とする発光装置。
前記格子状はダイシングブレードで削成された溝によって形成され、前記他の色の蛍光体は、ディスペンサーやスキジーによって前記溝に埋込まれることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、たとえば遠赤、赤、緑、黄の4色の蛍光体を領域分離するためには、その4色の蛍光体フィルム片を貼り合わせる必要があり、工程が非常に煩雑で、特に量産には不利である。工数を削減するには、色数を減らすことが有効であるが、そうなると、演色性が低下する。
【0007】
一方、その工程の煩雑さを回避するために、たとえばベースとする或る色の蛍光体フィルムから、ダイシングブレードなどで蛍光体を削り落し、その削り落とした領域に、ディスペンサーやスキジーによって、他の色の蛍光体を埋込んでゆく方法が考えられる。ところが、この方法では、4色の場合、削り落されないベースの色の蛍光体の上には、3色の他の色の蛍光体が重ね塗りされることになり、スペクトルが所望値から大きくずれて、せっかく色毎に領域分離した効果に乏しく、高い演色性能を得ることができないという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、高い演色性能を簡単に得ることができる発光装置およびそれに用いられる蛍光体層の作成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の発光装置は、半導体発光素子と、該半導体発光素子の光取出し面上に配置され、該半導体発光素子の光で励起されて、固有の光を発する蛍光体層とを備えて構成される発光装置において、前記蛍光体層は、相互に異なる色の蛍光体で、前記光取出し面上に領域分割されて形成され、かつ少なくとも1つの色の領域はドット状に形成されて、他の色の領域は前記ドットを区画する格子状に形成されることを特徴とする。
【0010】
上記の構成によれば、半導体発光素子と、該半導体発光素子の光取出し面上に配置され、該半導体発光素子の光で励起されて、固有の光を発する蛍光体層とを備えて構成される発光装置で、複数色の蛍光体を用いるにあたって、前記蛍光体層が、その複数色を混ぜ合わせた単一の蛍光体層で形成されるのではなく、単色ずつ領域分割されて光取出し面上に形成されることで、各色間の再変換などの相互作用を抑え、高演色が可能な発光装置において、その領域分割にあたって、少なくとも1つの色の領域をドット状とし、他の色の領域は前記ドットを区画する格子状に形成する。
【0011】
したがって、たとえば4色の場合、十字や4本並列線で並べる場合などに比べて、ドットと格子では、各色の面積比が同じであっても、格子の幅やピッチ、すなわち本数の調整によって、ドット部分の1の色と、格子部分の他の色との境界の長さを、任意に設定することができる。なお、格子は、縦横で色を変えるなどして、2つ以上の色で形成されてもよい。
【0012】
これによって、前記境界で生じる相互作用をコントロールすることができ、たとえば赤色系の蛍光体と緑色系の蛍光体とによって黄色成分を増加させることができ、結果的に蛍光体の色数を削減し、容易に作成することができる。また、高い演色性能を実現することができるとともに、格子の幅やピッチ、すなわち本数の調整によって、演色性能も細かく調整することができる。
【0013】
そして、本発明の発光装置では、前記格子状はダイシングブレードで削成された溝によって形成され、前記他の色の蛍光体は、ディスペンサーやスキジーによって前記溝に埋込まれることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の蛍光体層の作成方法は、半導体発光素子の光取出し面上に配置され、該半導体発光素子の光で励起されて、固有の光を発する蛍光体層を作成するための方法において、1の色の蛍光体を均一に含有する層を作成する工程と、前記層に、ダイシングブレードで格子状の溝を削成する工程と、前記溝に、ディスペンサーやスキジーによって、他の色の蛍光体を埋込む工程とを含むことを特徴とする。
【0015】
上記の構成によれば、たとえばディスペンサーやスキジーによって均一に作成された蛍光体層(フィルム)を1の色とし、その蛍光体層の一部をダイシングブレードで格子状に削成し、削成した溝にディスペンサーやスキジーによって他の色の蛍光体を埋込むことで、前記ドットと格子とを作成する。なお、ディスペンサーとスキジーとは、併用されたり、何れか一方のみが使用されたりする。
【0016】
したがって、溝の削成によって1の色の蛍光体に無駄を生じるものの、フィルム片の貼合わせなどに比べて、格段に容易に作成することができ、コストを大幅に削減することができる。また、上述のように、コントロールされた相互作用を利用して、色数を削減できるので、蛍光体の重ね塗りによる影響も少なくすることができる。さらに、ダイシングブレードの幅を変えることで溝の幅を、溝間のピッチを変えることで溝の本数を変えることができ、色温度や演色性の微調整を容易に行うことができ、また超高演色まで実現することができる。
【0017】
さらにまた、本発明の発光装置および蛍光体層の作成方法では、前記半導体発光素子は、青色または紫色〜紫外の光を発生し、前記蛍光体層における1つの色はピーク波長の異なる赤色蛍光体を混合したものから成り、前記他の色は緑色の蛍光体から成ることを特徴とする。
【0018】
上記の構成によれば、境界の長さが長くなると相互作用は強くなる傾向を示し、青色または紫色〜紫外の励起光で、ピーク波長の異なる赤色蛍光体を混合したものと緑色の蛍光体とを組合わせた場合、それらの相互作用で黄色成分が出現する。
【0019】
したがって、2種類の蛍光体を使用するだけで、単に領域分割した場合における4色の蛍光体の機能を実現することができ、さらに、溝の幅やピッチを変えることで、全ての種類(太陽光仕様、美術館仕様、光彩色、美肌色、肉用等)の発光装置を、前記のピーク波長の異なる赤色蛍光体を混合したものと緑色の蛍光体とで再現することができるとともに、前記色温度や演色性の調整(コントロール)を、容易かつ低コストに実現することができる。
【0020】
ここで、半導体発光素子が青色の光を発する場合は、最終的に該発光装置から出力される光における青色系成分は、蛍光体層を通過した(蛍光体層で波長変換されなかった)前記半導体発光素子に固有の光を充当できる。しかしながら、半導体発光素子が紫色〜紫外の光を発する場合、同じ構成の蛍光体層であると、緑色〜赤色の他の色成分はほぼ同様に得ることができる(殆ど影響を与えない)が、蛍光体層を通過してくる光は、半導体発光素子に固有の紫色〜紫外光で、青色成分が欠乏することになる。そこで、蛍光体層の最上層に、青色系蛍光体の層を形成していれば、下層の蛍光体層を通過してくる紫色〜紫外光の大部分を青色成分の光に変換することができ、青色光を発する半導体発光素子の場合と同等以上の演色性を達成することができる。
【0021】
また、本発明の発光装置では、前記ダイシングブレードの幅は、30〜400μmであることを特徴とする。
【0022】
上記の構成によれば、ダイシングブレードの幅が、30μm未満であれば、2.4mm角の蛍光体層において、溝数が40本以上も必要になって、ブレードの摩耗も多くなるので、30μm以上が好ましい。また、5000〜5500Kの太陽光の場合で、ブレードの幅が前記200μmで溝が5〜6本、300μmで4本、400μm3本となり、その3本の400μm以下の狭い幅であれば、格子の領域の蛍光体を、狭角の拡大レンズを通して見ても、色ムラの発生を抑えることができる。
【0023】
さらにまた、本発明の発光装置では、前記半導体発光素子は、青色または紫色〜紫外の光を発生し、前記蛍光体層における1つの色はピーク波長の異なる赤色蛍光体を混合したものから成り、前記他の色は緑色の蛍光体から成り、該蛍光体層は2.4mm角に形成され、前記緑色の蛍光体を埋め込む溝は、200μmの幅で格子状に形成され、かつ色温度が、5000〜5500Kの太陽光を実現する場合は縦横5〜6本ずつ、3000Kのタングステンランプを実現する場合は縦横4本ずつ、それぞれ形成されることを特徴とする。
【0024】
上記の構成によれば、青色または紫色〜紫外の光を発生する半導体発光素子に、格子状の溝に緑色の蛍光体を、その溝で区画されたドットにピーク波長の異なる赤色蛍光体を混合したものが嵌め込まれて成る2種類の蛍光体を用いた蛍光体層を積層して構成される発光装置において、蛍光体層が2.4mm角に形成され、ダイシングブレードの幅が200μmである場合、前記溝を縦横5〜6本ずつ形成することで色温度が前記5500Kの太陽光(昼白色)を実現することができ、4本ずつ形成することで色温度が前記3000K(電球色)のタングステンランプを実現することができる。
【0025】
こうして、同じ半導体発光素子および蛍光体を用いても、ダイシングによる溝の本数を変えるだけで、代表的な2種類の光源を実現することができる。
【0026】
また、本発明の発光装置では、前記蛍光体層上には、拡大レンズを備えることを特徴とする。
【0027】
上記の構成によれば、所望とする波長の光を得るために、蛍光体層を各色に所定の面積比で形成するにあたって、前記のドットと格子との組合わせでは、該拡大レンズによる色ムラ(色分離)を目立ち難くすることができ、好適である。
【0028】
さらにまた、本発明の発光装置では、前記拡大レンズは、拡がり角が40°以下であることを特徴とする。
【0029】
上記の構成によれば、拡大レンズが、たとえば80°の広角レンズでは、蛍光体層の各分割領域は目立たないが、40°の中角からそれ以下の狭角になると、たとえば2色や3色などで、各色が1つの領域の大きな塊でしか形成されていない場合は、各色の分割領域が拡大レンズの放射面側から見えて(認識可能になって)しまう。そのため、拡がり角が40°の中角からそれ以下の狭角になる場合に、ドットと格子とで複数の色の分割領域を形成することで、そのようなムラを見え難くすることができ、好適である。
【0030】
また、本発明の発光装置では、医療用の照明器具に用いられることを特徴とする。
上記の構成によれば、医療用の照明器具は、たとえばRa=98と言うような非常に高い演色性を要求されるので、色温度および演色性を容易かつ高精度に調整(コントロール)できる本発明を、特に好適に実施することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の発光装置は、以上のように、半導体発光素子上に、複数の色毎に領域分割された蛍光体層を備えて成る発光装置において、その領域分割を、1つの色の領域をドット状とし、他の色の領域は前記ドットを区画する格子状に形成することで行う。
【0032】
それゆえ、各色の面積比が同じであっても、格子の幅やピッチ、すなわち本数の調整によって、ドット部分の1の色と、格子部分の他の色との境界の長さを、任意に設定することができ、該境界で生じる相互作用をコントロールし、結果的に蛍光体の色数を削減し、容易に作成することができる。また、高い演色性能を実現することができるとともに、格子の幅やピッチ、すなわち本数の調整によって、演色性能も細かく調整することができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(本発明の開発途上の構成)
先ず、
図1〜
図6を参照して、本件発明者が本発明に係る発光装置およびそれに用いられる蛍光体層の作成方法の開発に至った経過を詳しく説明する。
図1は、本発明の開発途上における発光装置1を模式的に示す図である。
図1(a)は、発光装置1の断面図である。この発光装置1は、半導体発光素子2の光取出し面21上に蛍光体層3が配置されて成る積層体4と、拡大レンズ5とを備えて構成される。半導体発光素子2は、青色の光を発生し、蛍光体層3は、その発生された光を、固有の波長の光に変換して出力する。本件発明者は、先ず、蛍光体層3上に、拡大レンズ5を設けるにあたって、好適な構成を検討した。
【0035】
図1(b)は、積層体4の正面図である。積層体4は、前記半導体発光素子2の光取出し面21上に、該光取出し面21よりも面積の広い蛍光体層3が積層され、また半導体発光素子2の背面22は基板23に実装され、それらの基板23の背面24および蛍光体層3の表面31を除く部分が、反射材25で被覆されて構成される。そのため、蛍光体層3の外周部32は、反射材25の壁で覆われ、該外周部32からの漏光が蛍光体層3内に戻され、結果的に光取出し効率が向上されている。また、半導体発光素子2は台形状で、光取出し面21よりも背面22の面積が大きく、その台形チップと反射材25との間は、透明樹脂26が充填されている。この積層体4の外形寸法は、たとえば2.6mm角、蛍光体層3の外形寸法は、たとえば2.4mm角である。
【0036】
拡大レンズ5は、コーン(円錐台)状や、さらにその側面がカーブした逆砲弾状に形成される(
図1(a)は、逆砲弾状で示している)。拡大レンズ5の頂部51に相当する部分からは、円筒状の凹部52が形成され、その凹部52の底部には、凸レンズ53が形成されている。そのため、この拡大レンズ5は、拡がり角が、たとえば25°の狭角レンズである。なお、
図1(a)では、その狭角レンズによる光線の拡がりの様子を模式的に線で示しているが、その線は、後述する蛍光体層3で分離される色の区分に対応しているものではない。
【0037】
また、拡大レンズ5の底部54に相当する部分には、小さなレンズが六角形状で一面を覆うように形成されて、光を拡散させるための拡散レンズ55が形成されている。前記拡散レンズ55は、粗面処理が施されて(梨地に形成されて)、作成されてもよい。これらの凸レンズ53および拡散レンズ55は、前記コーン状や逆砲弾状の外周部56によって連結される。この拡大レンズ5は、蛍光体層3からの放射光に対して、透明で劣化の少ない樹脂によって、一体成型によって作成される。
図1(a)の例は、LedLink社製の汎用レンズを示しており、光の拡がり(配光)角は、前記の狭角の25°である。この配光に収めるために、中央の凸レンズ53の倍率と、底面の拡散レンズ55の倍率(分散程度)とが定められている。
【0038】
上述のように構成される発光装置1において、本件発明者は、
図1(b)に示すように、蛍光体層3に複数色の蛍光体を用いるにあたって、色ムラを抑えるために、各色を複数の領域に分割し、各領域間に、他の色の領域が入り込むように形成した。
図1(b)の例では、参照符号33で示す領域は緑色の蛍光体の領域であり、参照符号34で示す領域はピーク波長の異なる赤色蛍光体を混合したもの(以下、混合赤色蛍光体と言う)の領域である。
【0039】
ここで、ピーク波長の異なる赤色蛍光体としては、たとえば赤色蛍光体と遠赤色成分を多く含む蛍光体とであり、遠赤色とは、700nm〜800nmの波長である。具体例では、赤色蛍光体は、ピーク波長が640nm近傍で、半値幅が約110nmであり、遠赤色成分を多く含む蛍光体は、ピーク波長が660nm近傍で、半値幅が約90nmで、共に赤色に属する蛍光体である。
【0040】
図2は、その領域を細かく分割する前の、標準密度の蛍光体層3aを例示する正面図である。この
図2の例では、参照符号33aで示す緑色の蛍光体の領域を中央に、その両側に、参照符号34aで示す混合赤色蛍光体の領域が配置されることで、色形成位置のばらつきによる影響を抑えている。これに対して、前記
図1(b)の蛍光体層3では、混合赤色蛍光体および緑色の蛍光体を、それぞれ5分割した5倍密度を示している。
【0041】
ここで、
図3〜
図5には、本件発明者が実験した、蛍光体の領域分割数(密度)の違いによる光の拡散度合い(色ムラ)を模式的に示す。拡大レンズ5は、前記のLedLink社製の狭角25°のレンズを使用している。
図3の蛍光体層3bは3分割、すなわち3倍密度、
図4の蛍光体層3cは4分割、すなわち4倍密度、
図5の蛍光体層3は前記の
図1と同様の5分割、すなわち5倍密度である。各蛍光体層3b,3c,3は、前記の2.4mm角である。これらの条件で、半導体発光素子2を光らせた場合に、距離L=1mのスクリーン6上に投影される蛍光体層3b,3c,3のパターンを模式的に示す。
【0042】
図3の3倍密度の例では、参照符号61で示すように、2つの蛍光体(領域33b,34b)からの光が充分に混ざらない(単色だけの)領域が生じ、色ムラの生じていることが理解される。これに対して、
図4の4倍密度の例では、前記
図3における参照符号61で示すような単色だけの領域は生じず、2つの蛍光体(領域33c,34c)からの光が混合され、色ムラの生じていないことが理解される。さらに
図5の5倍密度の例では、2つの蛍光体(領域33,34)からの光が充分に混合し、より色ムラの抑えられていることが理解される。
【0043】
したがって、前記の蛍光体層3,3a,3b,3cの2.4mm角、拡大レンズ5の拡がり角が25°と言う条件においては、蛍光体は3cの4分割、すなわち4倍密度以上とすることで、領域33c,34cに分割された該蛍光体層3cに狭角の拡大レンズ5を用いても、該蛍光体層3cによる色ムラを抑えることができる。ここで、
図3と
図5に示した結果は、実際の目視実験でも確認された結果である。
【0044】
図6は、蛍光体層が標準密度、3倍密度、5倍密度のときの発光スペクトルデータを比較したものである。比較し易いように、波長が620nm付近のピークで規格化している。破線は
図2で示す標準密度の蛍光体層3aのグラフであり、一点鎖線は
図3で示す3倍密度の蛍光体層3bのグラフであり、実線は
図1(b)および
図5で示す5倍密度の蛍光体層3のグラフである。
図6の横軸は波長であり、縦軸は光エネルギーである。半導体発光素子2には、青色のLED素子を用いている。
【0045】
図6を参照して、標準密度から3倍密度に上がると、緑から黄色の成分が改善されることが理解される。また、5倍密度に上がると、緑から黄色の成分は一層改善されていることが理解される。これは、混合赤色蛍光体の領域34b,34と緑色の蛍光体の領域33b,33との隣接部分が多くなると、それらの相互作用による黄色成分の出現が多くなるためである。本件発明者は、この点に着目し、後述するような実施形態を開発した。
【0046】
ここで、拡大レンズの別の例を
図7の拡大レンズ7aに示す。この拡大レンズ7aは、前記積層体4を4個縦横に配置して、50mmφのランプを実現するものであり、拡大レンズ5に類似の4個の拡大レンズ7の集合体である。そのため、各拡大レンズ7は、放射面(底部74)側で、連結部材77によって相互に連結されており、また外周側で、各拡大レンズ7間には、図示しない外部基板に当接する脚78が立設されている。各拡大レンズ7の放射面(底部74)は梨地の分散面で、その中央には、光を拡散させずに通過させるための円筒状の凹所79が形成されている。
【0047】
前記の拡大レンズ5,7としては、たとえば80°の広角レンズでは、たとえば2色や3色などの蛍光体を、単純に、1つの領域の大きな塊で形成しても、前記色ムラは目立たない。すなわち、たとえば
図2で示す標準密度の蛍光体層3aを使用しても、色ムラは目立たず、作成コスト的にも有利である。しかしながら、40°の中角からそれ以下の狭角になると、各色の領域が拡大レンズ5の放射面側から見えて(認識可能になって)しまう。したがって、拡がり角が前記40°の中角からそれ以下の狭角になる場合に、各色を複数の領域に分割形成することで、そのようなムラを見え難くすることができ、好適である。
【0048】
図8は、蛍光体層3の作成方法の一例を簡略化して示す図である。この
図8の例は、
図4で示す4倍密度の蛍光体層3cの例を示している。
図8(a)〜(d)において、上段に平面図を、下段に断面図を示している。断面図において、半導体発光素子2等、積層体4で、
図1(a)に対応する部分には、同一の参照符号を付して示し、説明を省略する。また、この
図8(a)〜(d)は、上述のように、蛍光体層3の作成方法を示すものであり、その前工程である積層体4の作成方法については、後の実施形態の説明で詳述する。
【0049】
先ず、
図8(a)に示すように、半導体発光素子2上に、蛍光体フィルム30を貼付ける。蛍光体フィルム30の作成は、
図9で示すように、平滑平板のベース301上に、蛍光体フィルム30の厚みに対応し、外周部32を区画する矩形枠状のスペーサ302を貼付け、そのスペーサ302の枠内に、蛍光体材料304を、スキジー303を用いて、均一な厚さに塗布する。
図9(a)は作成途中の蛍光体フィルム30の平面図であり、
図9(b)は縦断面図である。なお、拡大して示すために、前記矩形の隅角の一部分を示している。
【0050】
この蛍光体フィルム30として作成されるのは、混合赤色と緑色との何れの蛍光体フィルムでも良いが、蛍光体のコストや、濃度調整のし易さ、歩留り等が考慮されて、本例では、混合赤色蛍光体の領域34cに対応した混合赤色蛍光体のフィルムである。そして、塗布される蛍光体材料304としては、たとえば、ピーク波長が640nm近傍の赤色系蛍光体粉末に、ピーク波長が660nm近傍の遠赤成分を多く含む蛍光体粉末を混ぜたものに、透明樹脂を一定の割合加えて混ぜ合わせてペースト状にしたものである。所望とする波長や演色性によっては、赤色系蛍光体粉末は、1種類のみが用いられてもよい。このような蛍光体材料304を、ディスペンサー&スキジー法でフィルム状に成型し硬化させた後、前記ベース301およびスペーサ302から剥離し、蛍光体フィルム30とする。なお、作成すべき蛍光体フィルム30の精度などによっては、ディスペンサーとスキジーとの何れか一方のみが用いられてもよい。以下の工程も同様である。
【0051】
次に、
図8(b)で示すように、ダイサー309を用いて、緑色の蛍光体の領域33cに対応した溝306を削成する。その溝306の深さは、蛍光体間の相互干渉を無くすために、極力、混合赤色蛍光体のフィルム30を残らず削り落すことができる深さであり、半導体発光素子2では、前記光取出し面21は発光層から遠い基板側であり、該基板に割れが生じない程度に彫り込まれてもよい。
【0052】
続いて、
図9と同様に、
図8(c)で示すように、溝306に、緑色の蛍光体材料307を、ディスペンサー&スキジー法で塗布し、硬化させて緑色の蛍光体の領域33cを作成する。その後、ダイサーで各積層体4のチップを切り分けると、
図8(d)および
図4で示すようになる。ここで、
図8(d)は、反射材25の枠を一部切り込み、緑色蛍光体の部分領域33cの一部となっているのに対し、
図3は反射材は切り込まれていないが、その違いは反射材25の形成工程が、上記蛍光体層形成工程の前か後かでの違いである。
【0053】
このようにダイサー309による混合赤色蛍光体のフィルム30の削り取りと、スキジー303による緑色の蛍光体材料307の塗布とによって、緑色の蛍光体の領域33cを作成することで、混合赤色蛍光体のフィルム片および緑色蛍光体のフィルム片の貼り付けで2つの領域33c,34cを作成する場合に比べて、極めて簡単かつ低コストに、2つの領域33c,34cを作成することができる。また、2つの領域33c,34cの面積比を高精度に調整することができるとともに、溝306の本数や幅の調整によって、混合赤色蛍光体と緑色の蛍光体との相互作用による黄色の成分量を調整することもでき、演色性を高精度に調整することができる。
【0054】
なお、
図8(b)(c)において、ダイサー309で混合赤色蛍光体を除去して溝306を形成し、緑色の蛍光体の領域33cを形成する工程で、溝306の深さを浅くして、一部に混合赤色蛍光体を残すようにしてもよい。また、
図8(c)において、緑色の蛍光体材料307のペーストは、混合赤色蛍光体の領域33cの上にも薄く塗布されることになる。そのため、所望とする相互作用(黄色成分の発生)の割合に応じて、その残った緑色の蛍光体材料307のペーストを利用してもよく、利用しない場合には、溝306と交差(好ましくは直交)して走査するスキジーなどで除去してもよい。
(実施形態)
図10および
図11は、上述のような経過を経て、本件発明者が導き出した本発明の実施の一形態に係る発光装置における蛍光体層81,82を説明するための正面図である。
図10(b)および
図11(b)は、本実施形態の蛍光体層81,82を示し、
図10(a)および
図11(a)は、前記特許文献1の発想を進めた、本実施形態の基礎となる蛍光体層81’,82’を示す。
図10はタングステンランプの3000Kを実現する蛍光体の例であり、
図11は太陽光の5000Kを実現する蛍光体の例である。
【0055】
蛍光体層81’,82’で注目すべきは、短冊状の蛍光体フィルム片を貼り合わせて成る、5つの領域81A〜E,82A〜Eを備えていることである。周縁の領域81A,81E;82A,82Eは黄色の蛍光体フィルム片から成り、領域81B,82Bは遠赤色成分を多く含む蛍光体フィルム片から成り、領域81C,82Cは緑色の蛍光体フィルム片から成り、領域81D,82Dは赤色の蛍光体フィルム片から成る。したがって、4種類5枚の蛍光体フィルム片それぞれを、
図10(a)と
図11(a)との差で示すように、所望の適正な大きさにカットし、隙間無く、透明接着剤で接着する必要がある。
図10(a)と
図11(a)とを比較すると、色温度の高い
図11(a)の蛍光体82’では、緑色の領域82Cが広くなり、黄色の領域82A;82Eおよび遠赤色の領域82Dが狭くなっている。
【0056】
これに対して、本実施形態の蛍光体層81,82で注目すべきは、少なくとも1つの色の領域81a,82aはドット状に形成されて、他の色の領域81b,82bは前記領域81a,82aを区画する格子状に形成されることである。これは、前述の
図6からも明らかなように、蛍光体の密度が上がると、隣接部分が多くなり(境界が長くなり)、相互作用によって黄色成分が出現することを利用するためである。
【0057】
図10(b)および
図11(b)では、ドットの領域81a,82aは前記混合赤色蛍光体から成り、格子の領域81b,82bは緑色の蛍光体から成る。これは、前記のように、たとえば蛍光体のコストや歩留りなどを考慮して選択されたものであり、反対に、ドットの領域81a,82aが緑色の蛍光体から成り、格子の領域81b,82bが混合赤色蛍光体から成るようにしてもよい。
【0058】
そして、本件発明者が見出したように、
図10(a)および
図11(a)は4種類の蛍光体を使用しているのに対して、
図10(b)および
図11(b)では前記の2種類の蛍光体しか使用していない。これは、前記相互作用を利用して、その2種類の蛍光体で等価の演色性を得られるためである。詳しくは、ドットと格子との組合わせでは、それらの境界を比較的長く形成することができ、それらの界面での相互作用によって黄色の成分を多く発生させることができ、
図10(a)および
図11(a)では必要であった黄色の領域81A,81E;82A,82Eを不要にできることである。また、ドットと格子との組合わせでは、それらの界面での相互作用の度合い、すなわち本実施形態では前記黄色の成分量を調整することができる。こうして、緑色の蛍光体と混合赤色蛍光体との2種類の蛍光体を使用するだけで、
図10(a)および
図11(a)のように単に領域分割した場合における4色の蛍光体の機能を実現することができ、さらに、溝の幅やピッチを変えることで、全ての種類(太陽光仕様、美術館仕様、光彩色、美肌色、肉用等)の発光装置を再現することができるとともに、前記色温度や演色性の調整(コントロール)を、容易かつ低コスト(極めて量産に優れた手法)に実現することができる。なお、さらに高演色にするために、ドットの領域81a,82aおよび格子の領域81b,82bが複数色で形成されてもよい。
【0059】
さらにまた、
図10(b)と
図11(b)とを比較して、領域81a,82a;81b,82bのように、ドットと格子との組合わせでは、全ての品種で格子のピッチが違うだけで、見た目は似たようなデザインとなり、設計が容易であるとともに、格子を形成する溝の幅と本数(ピッチ)とを調整することで、前記面積比は同じであっても、前記境界の長さを容易に変化させることができ、また所望とする色温度や演色性への微調整を容易に行え、超高演色まで実現することができる。
【0060】
図10(b)および
図11(b)では、前記2.4mm角の蛍光体層81,82において、格子の領域81b,82bの縦横の溝を削成するダイサーの幅は、200μmで共通であり、
図10(b)のタングステン光では溝が縦横に4本ずつ形成され、
図11(b)の太陽光では縦横に5〜6本(
図11(b)の例では5本)ずつ形成されている。こうして、同じ半導体発光素子2および蛍光体を用いても、ダイシングによる溝の本数を変えるだけで、代表的な2種類の光源を実現できている。
【0061】
さらにまた、所望とする波長の光を得るために、蛍光体層を各色に所定の面積比で形成するにあたって、先ず、
図10(a)および
図11(a)のように短冊状の領域81A〜E,82A〜Eで形成すると、前記の拡大レンズ5による色ムラ(色分離)が目立つのに対して、
図10(b)および
図11(b)の領域81a,82a;81b,82bのように、ドットと格子との組合わせでは、拡大レンズ5による色ムラ(色分離)を目立ち難くすることができる。なお、格子は、直交する線で形成されるだけでなく、直角以外で交差する、すなわちドットとして菱形を形成するようなものでもよい。
【0062】
ところで、拡大レンズによっては、前記の拡がり角以外にも、光の分散効果の違いで、色ムラ(色分離)の目立ち方が異なる。たとえば、同じ25°の狭角レンズであっても、
図1で示す拡大レンズ5のように、底面54に小さなレンズが六角形状で一面を覆うように形成されている場合には、前述のように、4倍密度程度で、色ムラ(色分離)を目立ち難くすることができる。しかしながら、
図7の拡大レンズ7aでは、底面74は梨地に形成され、光の分散効果は分散レンズ54より小さく、短冊状であれば、
図17(a)に示す9倍密度の蛍光体層83’でも、色ムラ(色分離)の生じることがある。しかしながら、同じ9倍密度でも、
図17(b)に示す格子状の蛍光体層83にすることで、前記色ムラ(色分離)を目立ち難くすることができる。こうして、同じ密度でも、ドットと格子の組合わせでは、色ムラ(色分離)を目立ち難くすることができる。
【0063】
ここで、格子の領域81b,82bの溝を形成するダイシングブレードの幅は、30μm未満であれば、前記2.4mm角で、溝数が40本以上も必要になって、ブレードの摩耗も多くなるので、30μm以上が好ましい。また、5000〜5500Kの太陽光の場合で、ブレードの幅が前記200μmで溝が5〜6本、300μmで4本、400μm3本となり、その3本の400μm以下の狭い幅であれば、格子の領域81b,82bにおける本実施形態では緑色の蛍光体を、狭角の拡大レンズ5を通して見ても、前記色ムラの発生を抑えることができる。さらにまた、その幅のダイシングブレードを使用して、前記の緑色の蛍光体と混合赤色蛍光体との2種類の蛍光体を使用することで、たとえば5000〜5500Kの太陽光(昼白色)から、3000Kのタングステンランプ(電球色)まで、同じダイシングブレードを使用して、溝のピッチ(本数)を変えるだけで対応することができ、生産性を向上することができる。
【0064】
なお、5000〜5500Kの太陽光を実現するにあたり、2種類のピーク波長の赤色系蛍光体の混合率および緑色の蛍光体の濃度によって、前記溝数が変化する。たとえば、赤色蛍光体と遠赤色成分を多く含む蛍光体との混合比が9:1で、緑色蛍光体が第1の濃度である場合は、溝数は5本になり、赤色蛍光体と遠赤色成分を多く含む蛍光体との混合比が6:1で、緑色蛍光体が第2の濃度である場合は、溝数は6本になる。
【0065】
図12〜
図15は、
図10で示す蛍光体層81を備えた積層体40の作成方法を示す図である。
図12〜
図15において、上段に平面図を、下段に断面図を示している。断面図において、半導体発光素子2等、積層体40で、
図1(a)に対応する部分には、同一の参照符号を付して示し、説明を省略する。また、平面図では積層体40側のみを示し、断面図では周辺部分も含めて示している。
【0066】
先ず、
図12(a)に示すような基板23の集合体230を準備する。
図12〜
図15では、積層体40を、3×4=12個纏めて作成する例を示しており、集合体230には12個分の基板23が形成されている。基板23は、基材231に形成された銅板232によって、実装面側の電極233と外表面側の電極234とが接続されて構成される。電極233,234は、それぞれ相対的に大面積のカソード電極と、小面積のアノード電極とに分割されている。
【0067】
この集合体230に、
図12(b)で示すように、青色または紫色〜紫外の光を放射する前記台形状のLEDチップから成る半導体発光素子2が実装されるとともに、補助光であるシアンの光を放射する半導体発光素子20が実装される。
図12(b)では、集合体230上に、半導体発光素子2,20共に、9個が実装済みの例を示している。
【0068】
次に、
図9で示すようにして作成された蛍光体フィルム30の上に、
図13(a)で示すように、
図12(b)で半導体発光素子2,20を実装した集合体230を上下反転させて、アライメントしつつ重ね合わせる。その重ね合わせる前または後には、前記半導体発光素子2,20を実装した集合体230の厚みに等しい厚みを有し、集合体230よりも僅かに大きな枠体305をスペーサとしてベース301(スペーサ302)上に搭載する。これによって、枠体305の開口部分に、集合体230が収納される。その後、その開口部を覆うように、平滑平板のカバー308が気密に被せられることで、ベース301、スペーサ302、枠体305およびカバー308によって空間が規定される。
【0069】
前記枠体305には、面方向に対向する位置などで、図示しない一対の吸出部および注入部が形成されており、吸出部から前記空間内を真空引きした状態で、注入部から、透明樹脂26が充填される。前記透明樹脂26が硬化した後、カバー308を剥がし、比較的幅広のダイサーによって、
図13(b)で示すように溝310が形成されることで、個別のチップに分離される。
【0070】
さらにその後、
図14(a)で示すように、再びカバー308が被せられて、上述と同様にして真空引きされて、ダイサーの切り溝310に、反射材25となる白色樹脂が充填される。白色樹脂としては、たとえば酸化チタン粉末を透明樹脂に混合したものが用いられる。
【0071】
この白色樹脂が硬化すると、
図14(b)で示すように、別のベース301’上に貼り換えられて、集合体230が上下反転される。続いて、
図8(b)から
図8(c)で示すようにして、蛍光体フィルム30上に、ダイサー309を用いて、緑色の蛍光体を充填するための格子の領域81bに対応した溝308が削成される。その溝308には、
図15(a)で示すように、前記緑色の蛍光体の材料が、ディスペンサー&スキジー法で塗布され、硬化される。
【0072】
その後、比較的狭幅、たとえば35μmのダイサーによって分離されると、
図15(b)で示すように、積層体40の個別のチップに分離されるとともに、周縁の不要部分が除去される。個別のチップに分離した状態を、
図16に示す。
図16(a)は光取出し面側から見た正(上)面図であり、
図16(b)は縦断面図であり、
図16(c)は電極234側から見た背(底)面図である。
【0073】
上述の実施形態では、
図12(b)から
図13(a)において、半導体発光素子2,20を実装した集合体230に、蛍光体フィルム30を貼付けた後、透明樹脂26や反射材25の充填を行っているけれども、蛍光体フィルム30を貼付けずにそれらの工程を行い、別途作成した
図10のような蛍光体層81のフィルムを貼付け、個別のチップに分離するようにしてもよい。このようにして、ドットと格子との組合わせによる蛍光体層81を有する積層体40を作成することができる。
【0074】
本発明の発光装置1は、特に医療用の照明器具に用いることが好適である。それは、、医療用の照明器具は、たとえばRa=98と言うような非常に高い演色性を要求されるためであり、色温度および演色性を容易かつ高精度に調整(コントロール)できる本発明は、特に有効である。たとえば、本件発明者の実験による光彩色3500Kの場合の比較では、
図10(a)で示す分離構造では、4色の蛍光体を用いてもRa=94であったが、
図10(b)で示す4倍密の格子構造では、Ra=98を実現できている。美肌4000Kでも同様な結果が得られている。
【0075】
ここで、半導体発光素子2が青色の光を発する場合は、最終的に該発光装置1から出力される光における青色系成分は、蛍光体層81〜83を通過した(蛍光体層81〜83で波長変換されなかった)前記半導体発光素子2に固有の光を充当できる。しかしながら、半導体発光素子2が紫色〜紫外の光を発する場合、同じ構成の蛍光体層81〜83であると、緑色〜赤色の他の色成分はほぼ同様に得ることができる(殆ど影響を与えない)が、蛍光体層81〜83を通過してくる光は、半導体発光素子2に固有の紫色〜紫外光で、青色成分が欠乏することになる。そこで、蛍光体層81〜83の最上層に、前記ディスペンサー&スキジー法などによって青色系蛍光体の層を形成しておくことで、下層の蛍光体層81〜83を通過した、その紫色〜紫外光の大部分を青色成分の光に変換することができる。
【0076】
これは、青色光を発する半導体発光素子としての青色LEDは、その発光波長が狭く、前記紫色〜紫外光を、変換波長がコントロールされた前記青色系蛍光体で変換した方が、ブロードな青色成分が得られることに着目している。したがって、前記紫色〜紫外光を発する半導体発光素子のパワーが向上し、それを用いることで、青色の半導体発光素子を用いる場合と同等以上の演色性を達成できるようになる。