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特開2016-152415フリップチップ発光ダイオードおよびその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-152415(P2016-152415A)
(43)【公開日】2016年8月22日
(54)【発明の名称】フリップチップ発光ダイオードおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/54 20100101AFI20160725BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20160725BHJP
   H01L 33/64 20100101ALI20160725BHJP
【FI】
   H01L33/00 422
   H01L33/00 440
   H01L33/00 450
【審査請求】未請求
【請求項の数】35
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-21625(P2016-21625)
(22)【出願日】2016年2月8日
(31)【優先権主張番号】104105474
(32)【優先日】2015年2月17日
(33)【優先権主張国】TW
(31)【優先権主張番号】104129927
(32)【優先日】2015年9月10日
(33)【優先権主張国】TW
(71)【出願人】
【識別番号】516040796
【氏名又は名称】黄 秀璋
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】黄 秀璋
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA42
5F142AA56
5F142BA02
5F142CB22
5F142CF12
5F142CF27
5F142CF42
5F142CG01
5F142CG27
5F142CG32
5F142DB24
5F142FA18
5F142FA30
5F142FA42
5F142FA46
5F142FA48
(57)【要約】      (修正有)
【課題】製造コストを低減し、放熱効率を向上させることができるフリップチップ発光ダイオードおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】フリップチップ発光ダイオードは、包装体30および導体層を備える。少なくとも1つの発光ダイオードチップ35が包装体内に封止される。発光ダイオードチップは、包装体の側面上に露出された正極351および負極352を有する。導体層は、包装体の側面上に配置され、発光ダイオードチップの正極および負極と直接接触する。導体層は、発光ダイオードチップの正極および負極を互いに絶縁する絶縁部33および回路パターンを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装体の側面上に露出する正極および負極を有する少なくとも1つの発光ダイオードチップを含む包装体を提供するステップと、
前記発光ダイオードチップの前記正極および前記負極が互いに絶縁されるように、前記包装体の側面上に導体を形成するステップと、
を含むフリップチップ発光ダイオードの製造方法。
【請求項2】
前記導体を形成するステップが、
前記包装体の側面上に導体層を形成するステップと、
前記導体層の外面上にパターン状開口部を有するマスキング部を形成するステップと、
前記マスキング部のパターン状開口部を通して前記導体層をエッチングして前記発光ダイオードチップの前記正極と前記負極との間に絶縁部を形成するステップと、
を含む、請求項1に記載のフリップチップ発光ダイオードの製造方法。
【請求項3】
前記マスキング部が、スクリーン印刷法またはフォトリソグラフィ法によって形成された前記導体層の外面上の感光性接着剤であり、
前記導体を形成するステップが、前記絶縁部が形成された後に、前記感光性接着剤の層を除去するステップをさらに含む、請求項2に記載のフリップチップ発光ダイオードの製造方法。
【請求項4】
前記導体を形成するステップが、前記感光性接着剤の層が除去された後に、前記絶縁部内および前記導体層の外面上に伝熱絶縁接着剤を塗布するステップをさらに含む、請求項3に記載のフリップチップ発光ダイオードの製造方法。
【請求項5】
前記マスキング部が、スクリーン印刷法によって前記導体層の外面上に形成された伝熱絶縁接着剤の層である、請求項2に記載のフリップチップ発光ダイオードの製造方法。
【請求項6】
前記導体を形成するステップが、前記絶縁部内に追加の伝熱絶縁接着剤を塗布するステップをさらに含む、請求項5に記載のフリップチップ発光ダイオードの製造方法。
【請求項7】
前記導体層が、前記包装体の側面上に形成された第1金属層と前記第1金属層の外面上に形成された第2金属層とを備え、前記第2金属層の外面が前記導体層の外面である、請求項2に記載のフリップチップ発光ダイオードの製造方法。
【請求項8】
前記第1金属層の厚さが前記第2金属層の厚さよりも薄い、請求項7に記載のフリップチップ発光ダイオードの製造方法。
【請求項9】
前記第1金属層が、堆積法、スパッタ法、および化学めっき法から選択された方法によって作製され、前記第2金属層が、電気めっき法によって作製される、請求項8に記載のフリップチップ発光ダイオードの製造方法。
【請求項10】
前記マスキング部が、スクリーン印刷法またはフォトリソグラフィ法によって形成された前記第2金属層の外面上の感光性接着剤の層であり、前記導体を形成するステップが、前記絶縁部が形成された後に、前記感光性接着剤の層を除去するステップをさらに含む、請求項7に記載のフリップチップ発光ダイオードの製造方法。
【請求項11】
前記導体を形成するステップが、前記感光性接着剤の層が除去された後に、前記絶縁部内および前記第2金属層の外面上に伝熱絶縁接着剤を塗布するステップをさらに含む、請求項10に記載のフリップチップ発光ダイオードの製造方法。
【請求項12】
前記マスキング部が、スクリーン印刷法によって形成された前記第2金属層の外面上の伝熱絶縁接着剤の層である、請求項7に記載のフリップチップ発光ダイオードの製造方法。
【請求項13】
前記導体を形成するステップが、前記絶縁部内に追加の伝熱絶縁接着剤を塗布するステップをさらに含む、請求項12に記載のフリップチップ発光ダイオードの製造方法。
【請求項14】
前記導体を形成するステップが、
前記包装体の側面上に導体層をスクリーン印刷して回路パターンを形成するステップと、
前記導体層を硬化するステップと、
を含む、請求項1に記載のフリップチップ発光ダイオードの製造方法。
【請求項15】
前記包装体に伝熱絶縁接着剤を塗布して前記回路パターンを被覆するステップをさらに含む、請求項14に記載のフリップチップ発光ダイオードの製造方法。
【請求項16】
前記導体層が導電銀ペーストであり、前記導電銀ペーストが焼結法によって硬化される、請求項14に記載のフリップチップ発光ダイオードの製造方法。
【請求項17】
前記導体層が、高分子材料および導電性材料を含む導電性接着剤であり、前記導電性接着剤が熱硬化法によって硬化される、請求項14に記載のフリップチップ発光ダイオードの製造方法。
【請求項18】
前記導体を形成するステップが、
前記包装体の側面上に仕切部を形成するステップであって、前記仕切部が前記発光ダイオードチップの前記正極と前記負極との間に少なくとも位置するステップと、
前記仕切部が形成された以外の位置の前記包装体の側面上に導体層を形成するステップと、
を含む、請求項1に記載のフリップチップ発光ダイオードの製造方法。
【請求項19】
前記仕切部が、スクリーン印刷法またはフォトリソグラフィ法によって形成された感光性接着剤の層であり、
前記導体を形成するステップが、前記導体層中に絶縁部が形成されるように、前記導体層を形成した後に前記感光性接着剤の層を除去するするステップをさらに含む、請求項18に記載のフリップチップ発光ダイオードの製造方法。
【請求項20】
前記導体を形成するステップが、前記感光性接着剤の層を除去した後に、前記絶縁部内および前記導体層の外面上に伝熱絶縁接着剤を塗布するステップをさらに含む、請求項19に記載のフリップチップ発光ダイオードの製造方法。
【請求項21】
前記仕切部が、スクリーン印刷法によって形成された伝熱絶縁接着剤の層である、請求項18に記載のフリップチップ発光ダイオードの製造方法。
【請求項22】
前記導体を形成するステップが、前記導体層の外面上に追加の伝熱絶縁接着剤を塗布するステップをさらに含む、請求項21に記載のフリップチップ発光ダイオードの製造方法。
【請求項23】
前記導体層が、前記仕切部が形成された以外の位置の前記包装体の外面上に形成された第1金属層と、前記第1金属層の外面上に形成された第2金属層とを含む、請求項18に記載のフリップチップ発光ダイオードの製造方法。
【請求項24】
前記第1金属層の厚さが前記第2金属層の厚さよりも薄い、請求項23に記載のフリップチップ発光ダイオードの製造方法。
【請求項25】
前記第1金属層が、堆積法、スパッタ法、および化学めっき法から選択された方法によって作製され、前記第2金属層が、電気めっき法によって作製される、請求項24に記載のフリップチップ発光ダイオードの製造方法。
【請求項26】
前記仕切部が、スクリーン印刷法またはフォトリソグラフィ法によって形成された感光性接着剤の層であり、
前記導体を形成するステップが、前記第1金属層および前記第2金属層中に絶縁部が形成されるように、前記第1金属層および前記第2金属層を形成した後に前記感光性接着剤の層を除去するステップをさらに含む、請求項23に記載のフリップチップ発光ダイオードの製造方法。
【請求項27】
前記導体を形成するステップが、前記感光性接着剤の層を除去した後に、前記絶縁部内および前記第2金属層の外面上に伝熱絶縁接着剤を塗布するステップをさらに含む、請求項26に記載のフリップチップ発光ダイオードの製造方法。
【請求項28】
前記仕切部が、スクリーン印刷法によって形成された伝熱絶縁接着剤の層である、請求項23に記載のフリップチップ発光ダイオードの製造方法。
【請求項29】
前記導体を形成するステップが、前記第2金属層の外面上に追加の伝熱絶縁接着剤を塗布するステップをさらに含む、請求項28に記載のフリップチップ発光ダイオードの製造方法。
【請求項30】
少なくとも1つの発光ダイオードチップが封止された包装体であって、前記発光ダイオードチップが正極および負極を有し、前記正極および前記負極が前記包装体の側面上に露出されている、包装体と、
前記包装体の側面上に配置され、前記発光ダイオードチップの前記正極および前記負極と直接接触している導体層であって、回路パターンと、前記発光ダイオードチップの前記正極および前記負極を互いに絶縁する絶縁部とを有する導体層と、
を備えるフリップチップ発光ダイオード。
【請求項31】
前記導体層の外面を被覆し、かつ前記絶縁部内に延在する伝熱絶縁層をさらに備える請求項30に記載のフリップチップ発光ダイオード。
【請求項32】
前記導体層が、前記包装体の側面上に形成された第1金属層と、前記第1金属層の外面上に形成された第2金属層とを含む請求項30に記載のフリップチップ発光ダイオード。
【請求項33】
前記第1金属層が、堆積法、スパッタ法、および化学めっき法から選択された方法によって作製され、前記第2金属層が電気めっき法によって作製された請求項32に記載のフリップチップ発光ダイオード。
【請求項34】
前記フリップチップ発光ダイオードが柔軟性を有する請求項33に記載のフリップチップ発光ダイオード。
【請求項35】
前記導体層の外面を被覆し、かつ前記絶縁部内に延在する伝熱絶縁層をさらに備える請求項32に記載のフリップチップ発光ダイオード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フリップチップ発光ダイオードおよびその製造方法に関し、特に、製造コストを低減し、放熱効率を向上させることができるフリップチップ発光ダイオードおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光源と比較すると、発光ダイオード(LED)は、その高い発光効率および低い電力消費のために、光源として広く使用されている。実際の応用では、発光ダイオード装置は、発光効果を達成するために複数の発光ダイオードチップを同一基板に並列または直列に組み立てることによって形成される。しかしながら、特に複数の発光ダイオードチップが高密度で同一基板に組み立てられている場合、複数の発光ダイオードチップが光を生成すると多くの熱が生成されるため、熱が効率的な方法で外部に放散されずに基板上に集められると、発光ダイオード装置に望ましくない影響を及ぼし得る。
【0003】
近年、フリップチップ発光ダイオードと呼ばれる発光ダイオードが知られている。そのようなフリップチップ発光ダイオードは、発光ダイオードチップの正極および負極を回路基板に面するその側面上に配置し、発光ダイオードチップの正極および負極を回路基板に直接溶接することによって主に形成される。このとき、発光するときに発光ダイオードチップから生成される熱は、はんだ、導電銅箔、絶縁インク、および金属またはセラミック製の基板本体によって形成される熱伝導経路を通って正極および負極から放熱構造体へと伝達され、外部に放熱される。しかしながら、そのような熱伝導経路の熱抵抗は高いため、フリップチップ発光ダイオードにとって最適な放熱効果を達成するのは困難である。さらに、上述の構造には多くの要素が含まれるため、製造プロセスが複雑であり、製造コストを低減するのが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の課題を解決するため、本発明の目的は、製造コストを低減し、放熱効率を向上させることができるフリップチップ発光ダイオードおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によると、包装体の側面上に露出する正極および負極を有する少なくとも1つの発光ダイオードチップを含む包装体を提供するステップと、前記発光ダイオードチップの前記正極および前記負極が互いに絶縁されるように、前記包装体の側面上に導体を形成するステップと、を含むフリップチップ発光ダイオードの製造方法が提供される。
【0006】
本発明の第2の態様によると、包装体および導体層を備えたフリップチップ発光ダイオードが提供される。少なくとも1つの発光ダイオードチップが包装体内に封止される。発光ダイオードチップは、包装体の側面上に露出された正極および負極を有する。導体層は、包装体の側面上に配置され、発光ダイオードチップの正極および負極と直接接触しており、導体層は、回路パターンと、正極および負極を互いに絶縁する絶縁部とを有する。
【0007】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の詳細な説明および図面を参照することで理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施形態によるフリップチップ発光ダイオードの概略的透視図である。
図2図1の線A−Aに沿った概略的断面図である。
図3】本発明による包装体の概略的透視図である。
図4A】本発明の第1の実施形態によるフリップチップ発光ダイオードの第1製造方法を示す概略図である。
図4B】本発明の第1の実施形態によるフリップチップ発光ダイオードの第1製造方法を示す概略図である。
図4C】本発明の第1の実施形態によるフリップチップ発光ダイオードの第1製造方法を示す概略図である。
図4D】本発明の第1の実施形態によるフリップチップ発光ダイオードの第1製造方法を示す概略図である。
図4E】本発明の第1の実施形態によるフリップチップ発光ダイオードの第1製造方法を示す概略図である。
図4F】本発明の第1の実施形態によるフリップチップ発光ダイオードの第1製造方法を示す概略図である。
図4G】本発明の第1の実施形態によるフリップチップ発光ダイオードの第1製造方法を示す概略図である。
図5】切断経路を示す概略図である。
図6A】本発明の第1の実施形態によるフリップチップ発光ダイオードの第2製造方法を示す概略図である。
図6B】本発明の第1の実施形態によるフリップチップ発光ダイオードの第2製造方法を示す概略図である。
図6C】本発明の第1の実施形態によるフリップチップ発光ダイオードの第2製造方法を示す概略図である。
図6D】本発明の第1の実施形態によるフリップチップ発光ダイオードの第2製造方法を示す概略図である。
図6E】本発明の第1の実施形態によるフリップチップ発光ダイオードの第2製造方法を示す概略図である。
図6F】本発明の第1の実施形態によるフリップチップ発光ダイオードの第2製造方法を示す概略図である。
図7図6Cの概略的透視図である。
図8】本発明の第2の実施形態によるフリップチップ発光ダイオードの概略的透視図である。
図9図8の線C−Cに沿った概略的断面図である。
図10A】本発明の第2の実施形態によるフリップチップ発光ダイオードの第1製造方法を示す概略図である。
図10B】本発明の第2の実施形態によるフリップチップ発光ダイオードの第1製造方法を示す概略図である。
図11A】本発明の第2の実施形態によるフリップチップ発光ダイオードの第2製造方法を示す概略図である。
図11B】本発明の第2の実施形態によるフリップチップ発光ダイオードの第2製造方法を示す概略図である。
図11C】本発明の第2の実施形態によるフリップチップ発光ダイオードの第2製造方法を示す概略図である。
図11D】本発明の第2の実施形態によるフリップチップ発光ダイオードの第2製造方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
図1および2は、本発明の第1の実施形態によるフリップチップ発光ダイオードを示す。図1は、本発明の第1の実施形態によるフリップチップ発光ダイオードの概略的透視図であり、図2は、図1の線A−Aに沿った概略的断面図である。
【0010】
図1および2を参照すると、本発明の第1の実施形態によるフリップチップ発光ダイオード3は、包装体30、第1金属層31、第2金属層32、および絶縁部33を備える。包装体30は、封止材料39によって封止された発光ダイオードチップ35を備える。各発光ダイオードチップ35は、包装体30の側面上に露出する正極351および負極352を有する。第1金属層31は、包装体30の側面上に形成され、それぞれ発光第オードチップ35の各々の正極351および負極352と接触している。第2金属層32は、第1金属層31上に形成される。絶縁部33は、発光ダイオードチップ35の各々の正極351および負極352を互いに絶縁するために第1金属層31および第2金属層32に形成された間隙であり得る。
【0011】
本実施形態のフリップチップ発光ダイオード3は2つの金属層(つまり、第1金属層351および第2金属層352)を備えるが、当業者であればこのような2つの金属層を単一の金属層またはより多くの金属層に置き替えることができ、包装体の側面上に形成される単一または複数の金属層が回路パターンを有し得ることを認識できる。さらに、本実施形態では、包装体30が、封止材料39内に封止された発光ダイオードチップ35を備えることを単に示しているが、発光ダイオードチップ35とともに作動し得る、電流制限抵抗、過電流保護素子、静電保護素子、および類似のもの等のその他の電気素子もまた封止材料39内に封止され得る。
【0012】
次に、本発明の第1の実施形態によるフリップチップ発光ダイオードの2つの異なる製造方法について説明する。
【0013】
図3、4A〜4G、および5を参照して、本発明の第1の実施形態によるフリップチップ発光ダイオードの第1の製造方法について説明する。図3は、包装体300の概略的透視図である。図4Aから4Gは、本発明の第1の実施形態によるフリップチップ発光ダイオードの第1の製造方法のステップを示す概略図である。
【0014】
まず、図3および4Aに示されているように、包装体300が提供される。包装体300は、マトリクス方式に配列された複数の発光ダイオードチップ35を備え、発光ダイオードチップ35の各々は、包装体300の側面301上に露出された正極351および負極352を有する。好ましくは、発光ダイオードチップ35は、正極および負極が包装体の側面上に露出され得る限り、フリップチップ発光ダイオードチップまたは表面実装デバイス(SMD)発光ダイオードチップであってよい。
【0015】
続いて、図4Bおよび4Cに示されているように、導電層として使用される第1金属層31(すなわち導電性の薄い層)および第2金属層32(すなわち導電性の厚い層)が包装体300の側面301上にこの順で形成される。特に、第1金属層31は、堆積、スパッタ、イオンビームスパッタ、化学めっき、または類似の方法によって包装体300の側面301上に直接形成され、発光ダイオードチップ35の各々の正極351および負極352と直接接触する。第2金属層32は、電気めっき法によって第1金属層31上に形成される。したがって、本発明において使用される第1金属層および第2金属層は、はんだを使用せずに前述の製造方法によって包装体の側面上に直接形成され、発光ダイオードチップの正極および負極と直接接触しているため、発光ダイオードチップの正極および負極がはんだを介して回路基板と接続されている従来の構造と比較して、本発明は、優れた接続特性、薄さ等の利点を有する。したがって、以下のステップで形成されたフリップチップ発光ダイオードは、柔軟性および低い熱抵抗を有し得る。
【0016】
本発明では、2つの金属層(すなわち第1金属層31および第2金属層32)からなる導電層の例が示されているが、本発明はそれに限定されないことに留意すべきである。例えば、包装体の側面上に形成された単一の金属層を導電層として使用することができる。
【0017】
図4Dから4Gを参照すると、導電層として使用される第1金属層31および第2金属層32に絶縁部33および回路パターン(図示せず)を形成する方法が記載されている。図4Dに示されているように、初めに第2金属層32の外面上に感光性接着剤の層330が形成され、次いで、図4Eに示されているように、フォトリソグラフィ法によって、マスク331を介して感光性接着剤の層330にパターン状の開口部332が形成される。次に、図4Fに示されているように、第1金属層31および第2金属層32は、第1金属層31および第2金属層32に絶縁部33および回路パターン(図示せず)を形成するように、感光性接着剤の層330におけるパターン状開口部332を通してエッチングされる。発光ダイオードチップ35の各々の正極351および負極352は、絶縁部33によって互いに絶縁される。言い換えると、このステップにおいて、パターン状開口部332を有する感光性接着剤の層330は、エッチング用のマスク部として使用される。最後に、図4Gに示されているように、感光性接着剤の層330が、第2金属層32の外面から除去される。こうして、包装体300の側面301上に絶縁部および回路パターンを有する導体が形成される。
【0018】
本実施形態では、フォトリソグラフィ法によってパターン状開口部を有して形成された感光性接着剤の層がエッチング用のマスク部として使用されているが、本発明はそれに限定されないことに留意すべきである。例えば、後のエッチングプロセスにおいて使用するためのマスク部を形成するために、パターン状開口部を有する感光性接着剤の層を、スクリーン印刷法によって第2金属層の外面上に直接印刷し、次いでパターン状開口部を通して第1金属層および第2金属層をエッチングすることもできる。したがって、同一の効果が得られる。
【0019】
さらに、後の製造プロセスに便利なように、感光性接着剤の層のパターン状開口部を通して第1および第2金属層をエッチングするステップにおいて、第1および第2金属層に形成される絶縁部および回路パターンに加えて、第1および第2金属層に、図5における矢印CおよびDによって示される切断経路もまた形成される。そして、フリップチップ発光ダイオード3(図1および2参照)が得られるように、包装体は、この切断経路に沿って切断される。この点に関して、しかしながら、切断経路は本発明には必ずしも必要ではない。実際には、金属層に切断経路を形成するステップは、単にのちの切断プロセスを容易にするためのものである。特に、切断経路が金属層に形成されていれば、包装体のみを切断すればよい。逆に、金属層に切断経路が形成されていなければ、包装体および金属層は、フリップチップ発光ダイオード3を形成するために、他の適当な方法(例えば、レーザー切断、ワイヤ切断等)によって切断することもできる。
【0020】
図1および2に示されているような1つのフリップチップ発光ダイオード3を形成する場合以外にも必要に応じて、複数のフリップチップ発光ダイオード3を含む1次元アレイのフリップチップ発光ダイオード(図示せず)を形成するために、上述の切断ステップを使用することもできる。
【0021】
一方で、マスク部を通して金属層をエッチングすることによって導体を包装体の側面上に形成する上述の方法を利用する以外にも、回路パターンを有する導体が形成されるように、導電材料(例えば銀ペースト)、導電性接着剤(例えば銀粉末、銀コート青銅粉末、グラフェン、カーボンナノチューブ等などの導電材料とポリマー材料で形成された接着剤)等を、スクリーン印刷法によって包装体の側面上に直接印刷し、高温または低温焼結法、熱硬化法等の適当な方法によって硬化することもできる。
【0022】
次に、図3、5、6Aから6F、および7を参照して、本発明の第1の実施形態によるフリップチップ発光ダイオードの第2の製造方法について記載する。図6Aから6Fは、本発明の第1の実施形態のフリップチップ発光ダイオードの第2の製造方法のステップを示す概略図であり、図7は、図6Cの概略的透視図である。
【0023】
図3および6Aに示されているように、まず包装体300が提供され、包装体300は、マトリクス方式に配列された複数の発光ダイオードチップ35を備え、発光ダイオードチップ35の各々は、包装体300の側面301上に露出した正極351および負極352を有する。
【0024】
次に、図6Bに示されているように、包装体300の側面301上に感光性接着剤の層340が形成され、図6Cに示されているように、フォトリソグラフィ法によって、包装体300の側面301上に感光性接着剤の層340から仕切部341が形成される。特に、仕切部341は、発光ダイオードチップ35の各々の正極351と負極352との間の位置に少なくとも形成される。好ましくは、仕切部341はまた、包装体300がそれに沿って切断される切断経路の位置に形成される。包装体300の側面上301上の仕切部341の例は、図7に示される。
【0025】
図6Dおよび6Eに示されているように、包装体300の側面301上の仕切部341が形成されている位置以外の位置には、導電層として使用される第1金属層31(すなわち導電性の薄い層)および第2金属層32(すなわち導電性の厚い層)が順に形成されている。第1金属層31および第2金属層32は、本発明の第1の実施形態によるフリップチップ発光ダイオードの第1の製造方法において使用されるものと同一の方法によって形成されるが、簡略化のために省略される。さらに、本発明の第1の実施形態によるフリップチップ発光ダイオードの第1の製造方法において先に記載したように、第1および第2金属層を形成する必要はなく、導電層として単一の金属層を使用することも可能である。
【0026】
図6Fに示されているように、発光ダイオードチップ35の各々の正極351および負極352を互いに絶縁する絶縁部33を第1金属層31および第2金属層32に形成するために、包装体300から仕切部341が除去される。この点において、本発明の第1の実施形態によるフリップチップ発光ダイオードの第2の製造方法は、図4Gに示される第1の製造方法の構造と同一の構造を製造した。最後に、フリップチップ発光ダイオード3(図1および2参照)を形成するために、第1の製造方法と同様に、第2の製造方法は、図5に示す切断経路に沿って(矢印CおよびDで示されるように)包装体を切断するステップをさらに含み得る。
【0027】
この方法において説明されているように、フォトリソグラフィ法で感光性接着剤の層340を処理することによって包装体300の側面301上に仕切部341が形成されているが、仕切部341を形成する方法はそのような方法に限定されないことに留意すべきである。例えば、仕切部341は、包装体300の側面301上に感光性接着剤または伝熱絶縁接着剤を直接スクリーン印刷することによって形成してよい。しかしながら、伝熱絶縁接着剤を包装体300の側面301上に直接スクリーン印刷して仕切部341を形成する場合、金属層を形成するステップの後に、伝熱絶縁接着剤の存在が発光ダイオードチップ35から生じる熱の放散を容易にすることができるため、図6Fに示されるように仕切部を除去するステップを実施する必要がない。
【0028】
(第2の実施形態)
図8および9は、本発明の第2の実施形態によるフリップチップ発光ダイオードを示す。図8は、本発明の第2の実施形態によるフリップチップ発光ダイオードの概略的透視図であり、図9は、図8の線C−Cに沿った概略的断面図である。
【0029】
図8および9を参照すると、本発明の第2の実施形態によるフリップチップ発光ダイオード4は、包装体40、第1金属層41、第2金属層42、絶縁部43、および伝熱絶縁接着剤の層47を備える。包装体40は、封止材料49内に封止された発光ダイオードチップ45を備える。発光ダイオードチップ45の各々は、包装体40の側面上に露出された正極451および負極452を有する。第1金属層41は、包装体40の側面上に形成され、発光ダイオードチップ45の各々の正極451および負極452とそれぞれ接触している。第2金属層42は、第1金属層41上に形成される。絶縁部43は、発光ダイオードチップ45の各々の正極451および452を互いに絶縁するために第1金属層41および第2金属層42に形成された間隙であり得る。伝熱絶縁接着剤の層47は、第2金属層42の外面を被覆し、かつ絶縁部43内に延在する。
【0030】
第1の実施形態と同様に、第2の実施形態では、フリップチップ発光ダイオード4は2つの金属層(第1金属層41および第2金属層42)を備えるが、当業者であればこのような2つの金属層を単一の金属層またはより多くの金属層に置き替えることができ、包装体40の側面上に形成される単一または複数の金属層が回路パターンを有し得ることを認識できる。さらに、第2の実施形態では、包装体40が、封止材料49内に封止された発光ダイオードチップ45を備えることを単に示しているが、発光ダイオードチップ45とともに作動する、電流制限抵抗、過電流保護素子、静電保護素子、および類似のもの等のその他の電気素子もまた封止材料49内に封止され得る。
【0031】
次に、本発明の第2の実施形態によるフリップチップ発光ダイオードの2つの異なる製造方法について説明する。
【0032】
まず初めに、本発明の第2の実施形態のフリップチップ発光ダイオード4と本発明の第1の実施形態のフリップチップ発光ダイオード3との相違点は、単に第2の実施形態のフリップチップ発光ダイオード4が伝熱絶縁接着剤の層47を有することのみであるため、第2の実施形態のフリップチップ発光ダイオード4の第1の製造方法は、図4Aまたは図6Fに示される構造と同一である図10Aに示されているような構造を形成するために、図4Aから4Gおよび図6Aから6Fに示されるような第1の実施形態のフリップチップ発光ダイオードの第1および第2の製造方法のステップと同一のステップを含む。
【0033】
特に、図10Aに示される構造は、包装体400、包装体400内の複数の発光ダイオードチップ45、包装体400の側面401上に形成された第1金属層41、第1金属層41上に形成された第2金属層42、第1金属層41および第2金属層42に形成された絶縁部43を備える。
【0034】
次に、図10Bに示されるように、伝熱絶縁接着剤の層47を形成するように第2金属層42の外面および絶縁部43内に伝熱絶縁接着剤が塗布される。
【0035】
最後に、図10Bに示される構造を形成した後、図8および9に示されるフリップチップ発光ダイオード4が得られるように、図5に示されるような方法で切断ステップが実施され得る。
【0036】
続いて、図11Aから11Dは、本発明の第2の実施形態によるフリップチップ発光ダイオードの第2の製造方法を示す。
【0037】
初めに、図11Aに示されているように、図4Cと同一の構造を製造するために、図4Aから4Cに示される第1の実施形態のフリップチップ発光ダイオードの第1の製造方法のステップと同一のステップが使用される。図11Aに示される構造は、包装体400、包装体400内の複数の発光ダイオードチップ45、包装体400の側面401上に形成された第1金属層41と、第1金属層41上に形成された第2金属層42を備える。
【0038】
次いで、図11Bに示されているように、パターン状開口部470を有する伝熱絶縁接着剤の層47Aを形成するように、第2金属層42の外面上に伝熱絶縁接着剤がスクリーン印刷される。そして、図11Cに示されているように、発光ダイオードチップ45の各々の正極451および負極452を互いに絶縁する絶縁部43および回路パターン(図示せず)を形成するように、第1金属層41および第2金属層42は、伝熱絶縁接着剤の層47Aにおけるパターン状開口部470を通してエッチングされる。
【0039】
続いて、図11Dに示されているように、絶縁部43および伝熱絶縁接着剤の層47Aのパターン状開口部470の中に追加の伝熱絶縁接着剤47Bが塗布される。好ましくは、伝熱絶縁接着剤の層47Aの材料は、追加の伝熱絶縁接着剤47Bと同一のものであるが、本発明はそれに限定されない。
【0040】
最後に、図11Dに示されるステップを完了した後、図8および9に示されるフリップチップ発光ダイオード4が得られるように、図5に示されるような方法で切断ステップが実施され得る。
【0041】
上述の実施形態によると、本発明において提案されるフリップチップ発光ダイオードは、はんだを使用することなく発光ダイオードチップの正極および負極と直接接触する導体(例えば、金属シート、金属層等)を備えることのみを必要とし、はんだを介して発光ダイオードチップの正極および負極と接続される従来のフリップチップ発光ダイオードに含まれる基板またはその他の素子を備える必要がないことが理解される。したがって、本発明のフリップチップ発光ダイオードは、フリップチップ発光ダイオードの全熱抵抗を効率的に低下させることができ、より優れた放熱効果を実現する。さらに、本発明において提案されるフリップチップ発光ダイオードおよびフリップチップ発光ダイオードの製造方法は、従来のフリップチップ発光ダイオードおよび従来のフリップチップ発光ダイオードの製造方法よりもずっと容易であるため、本発明において提案されるフリップチップ発光ダイオードおよびフリップチップ発光ダイオードの製造方法はさらに、発光ダイオードの製造コストを著しく低減する利点を有する。
【0042】
上述の点において、特定の実施形態について説明したが、そのような実施形態は単に例として示されたものにすぎず、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。実際には、本明細書に記載された実施形態は、多様な形態またはその他の異なる組み合わせによって実装することができる。添付の特許請求の範囲およびその等価物において、本発明の精神および範囲内にある多様な形態、組み合わせ、および修正を包含することが意図される。
【符号の説明】
【0043】
3 フリップチップ発光ダイオード
30、300 包装体
301 側面
31 第1金属層
32 第2金属層
33 絶縁部
330 感光性接着剤の層
331 マスク
332 開口部
340 感光性接着剤の層
341 仕切部
35 発光ダイオードチップ
351 正極
352 負極
39 封止材料
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図11D
【外国語明細書】
2016152415000001.pdf