【解決手段】アンテナに電気的に連結された第1導電端子と、第1導電端子と第1キャパシタを介在して電気的に連結された第2導電端子と、第1及び第2導電端子の間に電気的に連結される第1コイルと、RFシステムの出力部に電気的に連結された第3導電端子と、第3導電端子と第2キャパシタを介在して電気的に連結された第4導電端子と、第3及び第4導電端子の間に電気的に連結される第2コイルと、第2及び第3導電端子と第1及び第4導電端子との間に介在される第3及び第4キャパシタと、を含み、第2キャパシタと第4キャパシタはそれぞれ第2コイルに並列及び直列接続されて第1周波数帯域共振回路を構成し、第1キャパシタと第3キャパシタは第1コイルに並列及び直列接続されて第2周波数帯域共振回路を構成し、第1及び第2コイルは互いに反対方向に巻かれて磁気結合する、アンテナ帯域幅拡張装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような状況の中、アンテナの大きさが小さいながらも多重帯域、そして広帯域を具現し得るアンテナの開発に関する研究が設計技法と製造工法の多様な側面で行われているが、アンテナの大きさの制約による限界を克服できないでいる。特に、LTE(Long Term Evolution)通信端末機の場合、広帯域アンテナ特性の具現の難しさを克服するためにチューナブルアンテナモジュールまたはRFスイッチを利用した周波数バンドスイッチングに対する適用が行われているが、コストの問題と回路設計の複雑性に関する問題を抱えている。
【0004】
例えば、
図1aはアンテナ方向への進行波とアンテナからの反射波をそれぞれ電源検出(Power Detection)を介して把握し、相対的な反射量を一定基準値以下に維持するように(VSWR基準管理)デジタル的にDAC値を調節することで、TAM内部のLC値を制御してアンテナのマッチングをリアルタイムでチューニングする方式である。
【0005】
図1bは、アンテナ接地フィーディングの位置を制御して望みの周波数にスイッチングする構造を示す図である。SW1とSW2はスイッチを意味し、M1とM2はマッチング回路を意味する。
【0006】
SW1が連結される際とSW2が連結される際のアンテナの共振長さが異なることによる共振周波数シフト(shift)を利用する。
【0007】
図1aの従来技術によると、性能最適化のためのソフトウェアアルゴリズムが複雑であり、高価のTAMを適用するため製造原価が上昇し、それを制御するために複雑な制御回路が必要であってPCBの実装領域が不足になる短所がある。また、チューニング範囲を広げるために損失の大きいL値とC値が適用されて集中素子による損失が大きくなる。そして。外部DC電源の印加のためアンテナにノイズ問題を引き起こす恐れがある。
【0008】
図1bの従来技術によると、接地フィーディングの適正な離隔距離dに応じて周波数がシフトされる程度が異なるが、フィーディング端子から一定距離以上逸脱すると特定周波数帯域のアンテナの整合特性が悪くなる問題がある。よって、周波数のシフト量が多く必要であればスイッチのオン/オフに応じて選択されていない周波数帯域の特性が劣化する問題がある。また、アンテナのパターンとDC電源が電気的に連結されており、電源によるアンテナノイズの影響のため感度の低下を誘発する。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、小型アンテナが有する悪質な狭大域特性の限界を改善し、次第に周波数帯域が広がっている広帯域通信システムに適用して通信端末機の送受信性能を向上するアンテナ帯域幅拡張装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、RFシステムとアンテナとの間にこれらと電気的に連結されるように回路基板に実装されるアンテナ帯域幅拡張装置であって、前記アンテナに電気的に連結された第1導電端子と、前記第1導電端子と第1キャパシタを介在して電気的に連結された第2導電端子と、前記第1及び第2導電端子の間に電気的に連結される第1コイルと、前記RFシステムの出力部に電気的に連結された第3導電端子と、前記第3導電端子と第2キャパシタを介在して電気的に連結された第4導電端子と、前記第3及び第4導電端子の間に電気的に連結される第2コイルと、前記第2及び第3導電端子と前記第1及び第4導電端子との間に介在される第3及び第4キャパシタと、を含み、前記第2キャパシタと前記第4キャパシタはそれぞれ前記第2コイルに並列及び直列接続されて低い周波数帯域である第1周波数帯域共振回路を構成し、前記第1キャパシタと前記第3キャパシタは前記第1コイルに並列及び直列接続されて高い周波数帯域である第2周波数帯域共振回路を構成し、前記第1及び第2コイルは互いに反対方向に巻かれて磁気結合することを特徴とするアンテナ帯域幅拡張装置が提供される。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、RFシステムとアンテナとの間にこれらと電気的に連結されるように回路基板に実装されるアンテナ帯域幅拡張装置であって、下面に第1乃至第4導電端子が離隔形成され、内部に前記第1及び第2導電端子の間に電気的に連結される第1コイルと前記第3及び第4導電端子との間に電気的に連結される第2コイルを具備するセラミック本体と、前記回路基板に前記第1乃至第4導電端子に対応して形成された第1乃至第4導電パッドの間に開示されて連結された第1乃至第4キャパシタと、を含み、前記第1導電端子は前記アンテナに電気的に連結され、前記第3導電端子は前記RFシステムの出力部に電気的に連結されて前記第2及び第4キャパシタはそれぞれ前記第2コイルに並列及び直列接続されて低い周波数帯域である第1周波数帯域共振回路を構成し、前記第1及び第3キャパシタはそれぞれ前記第1コイルに並列及び直列接続されて高い周波数帯域である第2周波数帯域共振回路を構成し、前記第1及び第2コイルは互いに反対方向に巻かれて磁気結合することを特徴とするアンテナ帯域幅拡張装置が提供される。
【0012】
前記第1コイルは前記第2コイルの内部に位置してもよい。
【0013】
前記第1コイル及び第2コイルの水平断面の形状は円形や多角形であってもよい。
【0014】
前記第2及び第4導電端子は外部インダクタを介在して接地に電気的に連結されてもよい。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、下面の4つの角にそれぞれ導電端子が形成されて中央に接地端子が形成された第1セラミックシートと、第1キャパシタパターンが形成される第2セラミックシートと、前記第1キャパシタパターンまたは第2キャパシタパターンと第1及び第2コイルパターンが形成される多数の第3セラミックシートと、前記第1キャパシタパターンが形成される第4セラミックシートと、を含み、前記各セラミックシートが順次積層されることで、前記第1及び第2コイルパターンはそれぞれビアホールを介して連結されてコイルを構成して互いに磁気結合され、第1及び第2キャパシタパターンはそれぞれ積層された状態で互いに重畳されてキャパシタを構成し、前記コイルとキャパシタはビアホールを介して前記導電端子に電気的に連結されることを特徴とするアンテナ帯域幅拡張装置が提供される。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、下面の4つの角にそれぞれ導電端子が形成されて中央に接地端子が形成された第1セラミックシートと、一つの連結パターンが形成される第2セラミックシートと、第1及び第2コイルパターンが形成される多数の第3セラミックシートと、他の連結パターンが形成される第4セラミックシートと、を含み、前記各セラミックシートが順次積層されることで、前記第1及び第2コイルパターンはそれぞれビアホールを介して連結されてコイルを構成して互いに磁気結合され、前記コイルは連結パターンとビアホールを介して前記導電端子に電気的に連結されることを特徴とするアンテナ帯域幅拡張装置が提供される。
【0017】
前記第1及び第2コイルパターンは互いに異なるセラミックシートに形成されてもよい。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明によれば、小型アンテナが有する悪質な狭大域特性の限界を改善し、次第に周波数帯域が広がっている広帯域通信システムに適用して通信端末機の送受信性能を向上するアンテナ帯域幅拡張装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
図2の(a)は本発明の一実施例による帯域幅拡張装置を示し、
図2の(b)は層別構造を示し、
図3は本発明の一実施例による帯域幅拡張装置の内部連結構造を示すが、
図3aは低い周波数帯域と高い周波数帯域に影響を及ぼすコイルパターンの間に結合された構造を示し、
図3bは低い周波数帯域と高い周波数帯域に影響を及ぼすコイルパターンの分離された構造を示し、
図3cはコイルパターンの他の例を示し、
図4は本発明の一実施例による帯域幅拡張装置の内部平面図である。
図3bにおいて、同じ導電パターンについては図面符号を省略する。
【0022】
アンテナ帯域幅拡張装置は六面体状のセラミック本体10を具備するが、セラミック本体10はそれぞれ導電パターンが形成されたセラミックシート11、12、13、14、15、16が積層されて構成され、セラミック本体10の下面に導電端子21、22、23、24と接地端子25が露出される。ここで、接地端子25ははんだ付け強度を増加するためのダミー(dummy)端子であってもよく、省略されても特性に大きい影響を及ぼさない。接地端子25を省略する場合、下面に露出された導電端子21、22、23、24はセラミック本体の側面まで延長される構造を有する。
【0023】
アンテナ帯域幅拡張装置は真空ピックアップによる表面実装が可能で、例えば携帯電話の内部に装着された回路基板に実装されるが、独立した部品として例えばRFシステムの出力部(feed port)とアンテナと連結された給電ポートとの間でこれらと電気的に連結される。
【0024】
セラミック本体10の各セラミックシート(またはグリーンシート)11、12、13、14、15、16にプリントされて形成された導電パターンはビアホールを介して3次元形状に電気的または磁気的に連結されて回路を構成する。
【0025】
言い換えると、
図2の(b)のように各層、この実施例では6つの層を成すセラミックシート11〜16で導電パターン(即ち、コイルパターン、キャパシタパターン、連結パターンなど)として例えば銀(Ag)ペーストがプリントされて形成され、各セラミックシート11〜16を積層しLTCC工法を利用して焼成することでセラミック本体10を形成する。
【0026】
上述したように、セラミックシート11の下面の4つの角に導電端子21、22、23、24が形成されて中央に接地端子25が形成され、各導電端子21、22、23、24の所定位置でセラミックシート11にビアホール101、104、201、204が形成される。
【0027】
ここで、各セラミックシートで同じ位置に形成されるビアホールには同じ符号が付与される。
【0028】
セラミックシート12の上面にはキャパシタパターン112、121、212、221と連結パターン241、242、243、244が形成され、これらをセラミックシート11の導電端子21、22、23、24に電気的に連結するためにセラミックシート11に形成されたビアホール101、104、201、204と同じ位置にビアホールが形成される。
【0029】
セラミックシート13にはキャパシタパターン111、122、211、222とコイルパターン131、231が形成され、セラミックシート14にはキャパシタパターン112、121、212、221とコイルパターン132、232が形成され、セラミックシート15にはキャパシタパターン111、122、211、212とコイルパターン133、233が形成され、セラミックシート16にはキャパシタパターン112、121、212、221と連結パターン245、246が形成される。
【0030】
各セラミックシート13、14、15、16には上下間の電気的連結のためのビアホールが形成されるが、
図2の(b)のように導電端子21、22、23、24と直接的な電気的連結のためのビアホール101、104、201、204、コイルパターン131、132、133・231、232、233を相互電気的に連結するためのビアホール(符号なし)、そして各キャパシタパターン111、112・121、122・211、212・221、222と導電端子21・22・23・24との電気的連結のためのビアホール102、103・105、106・202、203・205、206が各セラミックシート13、14、15、16の適切な位置に形成される。説明されていないビアホールを含み、
図2の(b)においてビアホールは黒い四角の点で示される。
【0031】
これを
図3bのように立体的に示すと、導電端子21、22、23、24はビアホール101、104、201、204に詰められた伝導性プラグ101’、104’、201’、204’とビアホール102、103・105、106・202、203・205、206に詰められた伝導性プラグ102’、103’・105’、106’・202’、203’・205’、206’を介してそれぞれキャパシタパターン111、112・121、122・211、212・221、222に連結され、ビアホール103、106、203、206に詰められた伝導性プラグ103’、106’、203’、206’を介してそれぞれ第1及び第2コイル130、230に連結される。
【0032】
よって、全体的に各キャパシタパターン111、112・121、122・211、212・221、222はキャパシタを構成し、コイルパターン131、132、133・231、232、233は磁界結合された第1コイル130と第2コイル230を形成するが、これに関する回路の説明は後述する。
【0033】
この実施例では第1コイル130を成すコイルパターン131、132、133がそれぞれ第2コイル230を成すコイルパターン231、232、233の内部に含まれる大きさで全て同じセラミックシート13、14、15に形成されることを例に挙げているが、必要に応じてそれぞれ異なる層を構成するセラミックシートに形成されてもよいことはもちろんである。
【0034】
例えば、
図3cは図示の便宜上、他の構成部分は除去しコイルの結合関係のみを示すが、第1コイル130と第2コイル230は同じ大きさで互いに異なる層を構成するセラミックシートに形成されてそれぞれターン数が異なってもよい。
【0035】
以下、本発明の一実施例による帯域幅拡張装置の構成と動作について具体的に説明する。
【0036】
図5は、本発明の一実施例による帯域幅拡張装置の等価回路図である。
【0037】
アンテナ帯域幅拡張装置はアンテナと内部RFシステムとの間に介在されて設置されるが、
図3において、導電端子21はアンテナに連結された給電ポートと電気的に連結され、導電端子23はRFシステムの出力部と電気的に連結される。
【0038】
よって、RFシステムから導電端子23を介して伝達された信号エネルギーは第2コイル230に伝達され、第2コイル230で生成された磁界フィールドの磁束成分によって第1コイル130に誘導電流が結合され、導電端子21に伝達されてアンテナの給電ポートに伝達される。
【0039】
図5に示したように、第2コイル230が巻かれた方向の反対方向に第1コイル130を巻いて互いに磁界結合を誘導する。その結果、第1コイル130と第2コイル230が巻かれた方向によって低い周波数帯域(第1共振周波数帯域)は第1コイル130と第2コイル230との間の領域で強い磁界結合を誘導し、高い周波数帯域(第2共振周波数帯域)は第1コイル130と第2コイル230の中心部領域で強い磁界結合を介して信号エネルギーが伝達されるようにする。
【0040】
第1コイル130が第2コイル230の内部に形成されたこの実施例では第1コイル130と第2コイル230の巻かれた方向が互いに反対方向になるようにコイルを形成しているが、第1コイル130と第2コイル230の巻かれた方向を同じく具現してコイルの中心部に磁界結合を形成する構造も含む。
【0041】
キャパシタパターン111、221・112、122・121、211・212、222はそれぞれ積層構造を具備して
図4のキャパシタC
14,C
12,C
32及びC
34を構成し、各セラミックシート13、14、15に形成されたコイルパターン131、132、133・231、232、233は積層されて第1コイル130と第2コイル230を構成する。
【0042】
よって、各キャパシタC
12とC
14,C
32とC
34はそれぞれ第1及び第2コイル130、230に並列接続され、各導電端子21、22、23、24の間のキャパシタンス値をローディングする。
【0043】
ここで、各第1及び第2コイル130、230は電気的に連結されていないが、第2コイル230で生成された磁界フィールドの磁束成分(magnetic flux)によって第1コイル130に誘導電流が結合され、RFシステムの出力部における信号エネルギーがアンテナの給電ポートまで伝達される。
【0044】
上述したように、この実施例では各セラミックシート13、14、15で第1及び第2コイル130、120の一部分であるコイルパターン131、132、133・231、232、233が同時に形成されるが、これに限ることはない。また、上述したように、第1及び第2コイル130、230は互いに異なる大きさに形成されて一つのコイルが他の一つのコイルの内部に位置する構造を有するが、この実施例では第1コイル130が第2コイル230に完全に含まれる構造であってコイル間の結合を最大化して信号エネルギーの損失を最小化する構造である。
【0045】
第2コイル230に直列接続されたキャパシタC
14、並列接続されたC
12は第2コイル230と結合して一つのLC共振回路を形成し、第1コイル130に直列接続されたキャパシタC
12、並列接続されたC32は第1コイル130と結合して他のLC共振回路を形成する。
【0046】
図5を参照すると、帯域幅拡張装置は、低周波帯域に影響を及ぼす第1共振周波数ブロック100と高周波帯域に影響を及ぼす第2共振周波数ブロック200に区分される。
【0047】
よって、第1共振周波数に主な影響を及ぼす要素は第2コイル230とキャパシタC
14,C
34及び外部インダクタL
4であり、第2共振周波数に主な影響を及ぼす要素は第1コイル130とキャパシタC
12、C
32及び外部インダクタL
3である。第1及び第2コイル130、230によって形成される相互インダクタンスL
Mは第1共振周波数と第2共振周波数に同時に影響を及ぼす。
【0048】
まとめると、第2コイル230とキャパシタC
14、C
34及び外部インダクタL
4は低周波帯域に影響を及ぼす第1共振周波数ブロック100を形成し、第1コイル130とキャパシタC
12、C
32及び外部インダクタL
3は高周波帯域に影響を及ぼす第2共振周波数ブロック200を形成する。
【0049】
ここで、導電端子22、24はそれぞれインダクタL
3とL
4を介在して接地に電気的に連結される。
【0050】
RFシステムの出力部に連結された導電端子23において、アンテナの給電ポートに連結された導電端子21に信号エネルギーを効率的に伝達するために第1及び第2コイル130、230の磁気結合を強く形成すべきである。
【0051】
コイルの間のカップリングを説明するために一般に結合係数(Coupling coefficient, k)を使用するが、kは0から1の間の値を有し、0はコイルの間が互いに分離(decoupling)されという意味で、1はコイルの間が理想的に結合(coupling)されていることを意味する。一般にコイルの形状、間隔、方向などに応じてk値に影響を及ぼす。
【0052】
本発明のアンテナ帯域幅拡張装置は第2コイル230が第1コイル130を完全に含み、互いに反対方向に巻かれて磁界結合された構造であって、第1周波数帯域はコイル間の離隔距離を最小化して信号エネルギーの損失を最小化しており、第2共振周波数帯域はコイルの中心部に磁界結合を強くして損失を最小化しながらも広帯域にわたって信号エネルギーの伝達を可能にした構造である。
【0053】
図6aと
図6bは第1共振周波数(925MHz)と第2共振周波数(1990MHz)における磁界フィールドの分布を示す図である。第1共振周波数において第1及び第2コイル130、230の間の領域で磁界フィールドが強く形成され、第2共振周波数において第1コイル130の内側領域で磁界フィールドが強く形成される。
【0054】
図7aは、第1コイル130の大きさに対する反射損失の影響を示すグラフである。第1コイルの大きさが大きくなるほど第1共振周波数には大きな変化がない一方、第2共振周波数が低い方に移動することが分かる。
【0055】
図7bは、第2コイル230の大きさに対する反射損失の影響を示すグラフである。第2コイルの大きさが大きくなるほど第1共振周波数が低い方に移動し、第2共振周波数には大きい変化がないことが分かる。
【0056】
図8aは外部インダクタL
3に対する反射損失の影響を示すグラフであって、L
3のインダクタンス値が低くなるほど第2共振周波数は高い方に移動し、適切な値を介した第2共振周波数でのインピーダンスマッチングを最適化する。
【0057】
図8bは外部インダクタL
4に対する反射損失の影響を示すグラフであって、L
3のインダクタンス値が低くなるほど第1共振周波数は高い方に移動し、適切な値を介した第1共振周波数でのインピーダンスマッチングを最適化する。
【0058】
図9は、第1及び第2コイルの水平断面の形状がそれぞれ四角形状であって0.5mm×0.5mmと1.0mm×1.0mmの大きさを有する際に各コイルに直列及び並列連結されたキャパシタC
14、C
12、C
32及びC
34のキャパシタンス値に対する影響を実測し、適切な外部インダクタL
3とL
4のインダクタンス値を介して測定した反射損失特性である。
【0059】
下記[表1]と[表2]は
図9の測定結果に適用されたサンプルSのコイルの大きさと外部インダクタL
3とL
4のインダクタンス値であり、[表3]は
図9の測定結果に適用されたそれぞれのキャパシタンス値をまとめたものである。
【0063】
図10aはコイルの大きさを最適化して測定した反射損失値であって、特定製品に合わせて第1共振周波数と第2共振周波数を最適化したものを示し、
図10bは第1共振周波数帯域と第2共振周波数帯域における挿入損失に対する周波数特性を示す。
【0064】
図11は、PCBの大きさが130mm×65mm×0.8mmであるFR4 Bare PCB基準において、特定製品でLCマッチングを行ったアンテナの反射損失と本発明のアンテナ帯域幅拡張装置が適用されたアンテナの反射本質を比較して測定したグラフであり、[表4]はLCマッチング回路のみ備えたアンテナと帯域幅拡張装置が追加された際のアンテナの帯域幅の改善効果をまとめたものである。
【0066】
[表4]を参照すると、帯域幅拡張装置が含まれたアンテナの帯域幅はLCマッチング回路のみで設計されたアンテナの帯域幅に比べVSWRが4.0基準で第1共振周波数帯域で100%の帯域幅の改善があり、第2共振周波数帯域では65%の帯域幅の改善がある。
【0067】
図12aは第1共振周波数帯域における放射効率を示すグラフであって、本発明で制限した帯域幅拡張装置を備えた場合とLCマッチング回路のみがある場合における放射効率を比較測定したグラフである。
【0068】
グラフから見られるように、帯域幅拡張装置が含まれた場合(実線で表示)がLCマッチング回路のみ適用された場合に比べ共振周波数におけるピーク放射効率が落ちるが、両端側の境界付近の周波数では帯域幅の拡張効果による不整合(mismatching)損失を減らして放射効率を増加し、全体的に均一な(Flat)放射効率が得られることが分かる。
【0069】
図12bは第2共振周波数帯域における放射効率を示すグラフであって、帯域幅拡張装置を備えた場合とLCマッチング回路のみがある場合における放射効率を比較測定したグラフである。
図12aのように、帯域幅拡張装置が含まれた場合(実線で表示)がLCマッチング回路のみ適用された場合に比べ両端側の境界付近の周波数では帯域幅の拡張効果による不整合損失を減らして放射効率を増加し、全体的に均一な放射効率が得られることが分かる。
【0070】
上述したように、本発明による帯域幅拡張装置は内部RFシステムと任意のインピーダンス特性を有するアンテナとの間に介在されて適用されるが、マッチング回路の前端や後端に適用されてアンテナの帯域幅を拡張するか、マッチング回路なしにアンテナの後端にすぐに適用されてアンテナインピーダンスのマッチングと共に帯域幅を拡張することもできる。
【0071】
前記実施例では第1及び第2コイルの水平断面の形状が四角形であるものを例に挙げて説明したがこれに限ることはなく、円形や他の多角形であってもよい。
【0072】
図13は本発明の他の実施例による帯域幅拡張装置を示し、
図14は本発明の他の実施例による帯域幅拡張装置の結線図であり、
図15は本発明の他の実施例による帯域幅拡張装置の内部平面図である。
【0073】
この実施例のアンテナ帯域幅拡張装置は前記位置実施例のアンテナ帯域幅拡張装置に比べ内部にキャパシタパターンを備えずに 第1及び第2コイル130、230と連結パターン241、243、245、246を備える。
【0074】
詳しくは、
図13を見るとセラミック本体10の下面の4つの角に導電端子21、22、23、24が形成されるが、はんだ付け強度を向上するためにセラミック本体10の側壁に沿って各導電端子21、22、23、24を延長する。
【0075】
下面中央には
図15のように接地端子25を形成するかはんだ付け強度を向上するためのダミー端子を形成するか、または何も形成しなくてもよい。
【0076】
セラミック本体10は、
図15のようにセラミックシート11乃至16を積層しLTCC工法を利用して焼成することで形成する。
【0077】
セラミックシート11の下面には4つの角に導電端子21、22、23、24が形成されて中央に接地端子25が形成されるが、各導電端子21、22、23、24の所定位置でセラミックシート11にはビアホール101、104、201、204が形成される。
セラミックシート12の上面には連結パターン241、243が形成されるが、これらをセラミックシート11の導電端子21、22、23、24に電気的に連結するビアホール104、204が形成される。
【0078】
また、セラミックシート13、14、15にはコイルパターン131、132、133・231、232、233が形成され、ビアホール104、204が形成されるが、セラミックシート16には連結パターン245、246とビアホール104、204が形成される。
【0079】
よって、全体的にコイルパターン131、132、133・231、232、233は磁界結合された第1コイル130と第2コイル230を形成する。
【0080】
前記実施例のように、この実施例のアンテナ帯域幅拡張装置はアンテナと内部RFシステムとの間に介在されて設置され、導電端子21はアンテナと連結された給電ポートと電気的に連結され、導電端子23はRFシステムの出力部と電気的に連結される。
【0081】
よって、RFシステムから導電端子23を介して伝達された信号エネルギーは第2コイル230に伝達され、第2コイル230から生成された磁界フィールドの磁束成分によって第1コイル130に誘導電流が結合され、導電端子21に伝達されてアンテナの給電ポートに伝達される。
【0082】
図14を見ると、セラミック本体10は回路基板の上に装着されるが、回路基板には導電端子21、22、23、24に対応する導電パッドが形成され、これらの導電パッドの間にはキャパシタC
14,C
12,C
32及びC
34が装着される。
【0083】
よって、アンテナ帯域幅拡張装置のセラミック本体10が回路基板に実装されながら各キャパシタC
14,C
12,C
32及びC
34は第1及び第2コイルと並列接続され、各導電端子21、22、23、24の間のキャパシタンス値をローディングする。
【0084】
前記一実施例のように、第2コイル230に直列接続されたキャパシタC
14、並列接続されたC
12は第2コイル230と結合して一つのLC共振回路を形成し、第1コイル130に直列連結されたキャパシタC
12、並列接続されたC
32は第1コイル130と結合して他のLC共振回路を形成する。
【0085】
同じく、各第1及び第2コイル130、230は電気的に連結されていないが、第2コイル230で生成された磁界フィールドの磁束成分によって第1コイル130に誘導電流が結合され、RFシステムの出力部における信号エネルギーがアンテナの給電ポートまで伝達される。
【0086】
この実施例によると、アンテナ帯域幅拡張装置のセラミック本体内部でキャパシタを具現する必要がないため構造が簡単であり、キャパシタC
14,C
12,C
32及びC
34の容量を変更することが容易であるため特性を容易に調節することができる。
【0087】
そして、アンテナのインピーダンス特性と端末機の構造に応じて導電端子21がRFシステムの出力部に、そして導電端子23がアンテナに連結される構造に変更されてもよい。
【0088】
以上のような構成により、小型アンテナが有する悪質な狭大域特性の限界を改善し、次第に周波数帯域が広がっている広帯域通信システムに適用して通信端末機の送受信性能を向上するアンテナ帯域幅拡張装置を提供することが可能となる。また、以上のような構成により、構造が簡単で製造原価が安価な上、電子機器内で実装領域を多く取らないアンテナ帯域幅拡張装置を提供することが可能となる。また、以上のような構成により、アンテナ帯域幅拡張装置を利用して高費用と複雑な設計を要するスイッチ基盤の回路設計を代替し、Low−Low LTE CA(Carrier Aggregation)を適用するための技術を確保することが可能となる。
【0089】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。