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特開2016-152660保護チューブおよびこれを用いた装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-152660(P2016-152660A)
(43)【公開日】2016年8月22日
(54)【発明の名称】保護チューブおよびこれを用いた装置
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20160725BHJP
【FI】
   H02G3/04 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-28006(P2015-28006)
(22)【出願日】2015年2月16日
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】312014236
【氏名又は名称】興和化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】五井 広一
(72)【発明者】
【氏名】葉狩 聖
【テーマコード(参考)】
5G357
【Fターム(参考)】
5G357DA10
5G357DB01
5G357DD01
5G357DD06
5G357DD10
5G357DD12
5G357DE08
5G357DE10
5G357DG04
(57)【要約】
【課題】コスト増を抑制しつつ曲げ変形規制性能の向上を図ることができる保護チューブおよびこれを用いた装置の提供。
【解決手段】長さ方向の両端が開放された管状に形成されて内側に電線が配置される可撓性のチューブ本体11と、帯状をなし幅方向が厚さ方向よりも曲げ変形が困難であってチューブ本体11に沿って設けられる、チューブ本体11とは別部材の曲げ変形方向規制板12と、を有する。帯状をなしチューブ本体11に沿って設けられる曲げ変形方向規制板12が、その幅方向におけるチューブ本体11の曲げ変形を規制する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向の両端が開放された管状に形成されて内側に電線が配置される可撓性のチューブ本体と、
帯状をなし幅方向が厚さ方向よりも曲げ変形が困難であって前記チューブ本体に沿って設けられる該チューブ本体とは別部材の曲げ変形方向規制板と、を有する保護チューブ。
【請求項2】
前記曲げ変形方向規制板は、前記チューブ本体の内側に配置されることを特徴とする請求項1記載の保護チューブ。
【請求項3】
前記チューブ本体には、電線挿入用の切込部が長さ方向に延在形成されており、
前記曲げ変形方向規制板は、前記電線と前記切込部との間に配置されることを特徴とする請求項2記載の保護チューブ。
【請求項4】
前記曲げ変形方向規制板は、前記チューブ本体の外側に固定されることを特徴とする請求項1記載の保護チューブ。
【請求項5】
前記チューブ本体には、電線挿入用の切込部が長さ方向に延在形成されており、
前記曲げ変形方向規制板は、前記チューブ本体における前記切込部とは反対側に配置されることを特徴とする請求項4記載の保護チューブ。
【請求項6】
前記曲げ変形方向規制板は、厚さ方向の一側に幅方向に延在する溝部が長さ方向に並んで複数形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項記載の保護チューブ。
【請求項7】
第一の装置構成体と、
該第一の装置構成体に対し相対移動する第二の装置構成体と、を有し、
前記第一の装置構成体と前記第二の装置構成体とを結ぶ電線が請求項1乃至6のいずれか一項記載の保護チューブで保護されていることを特徴とする装置。
【請求項8】
第一の装置構成体と、
該第一の装置構成体に対し相対移動する第二の装置構成体と、を有し、
前記第一の装置構成体と前記第二の装置構成体とを結ぶ電線が請求項3または5記載の保護チューブで保護されており、
前記チューブ本体は、前記第一の装置構成体と前記第二の装置構成体との相対移動時の最大曲げ変形部の曲げ変形方向外側に前記切込部が配置されていることを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線を保護する保護チューブおよびこれを用いた装置に関する。
【背景技術】
【0002】
互いに相対移動する第一の装置構成体と第二の装置構成体とを有し、これら第一の装置構成体と第二の装置構成体とを電線で電気的に接続する装置の場合、第一の装置構成体と第二の装置構成体との相対移動時に電線に破損を生じることがないように電線を保護部材で覆って保護することが行われている。この種の保護部材として、例えば、同一平面内でのみ電線が曲がるように曲げ変形の方向を規制するケーブルチェーン(例えば、特許文献1参照)や、形状的に曲げ変形の方向を規制する保護チュープ(例えば、特許文献2参照)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−73339号公報
【特許文献2】特開2014−147273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ケーブルチェーンは、同一平面内でのみ電線が曲がるように他方向への曲げ変形を規制することができるが、高価である。これに対して、形状的に曲げ変形の方向を規制する保護チュープは、安価であるものの、曲げ変形の方向を確実に規制することが難しい。
【0005】
したがって、本発明は、コスト増を抑制しつつ曲げ変形規制性能の向上を図ることができる保護チューブおよびこれを用いた装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、長さ方向の両端が開放された管状に形成されて内側に電線が配置される可撓性のチューブ本体と、帯状をなし幅方向が厚さ方向よりも曲げ変形が困難であって前記チューブ本体に沿って設けられる該チューブ本体とは別部材の曲げ変形方向規制板と、を有する。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記曲げ変形方向規制板は、前記チューブ本体の内側に配置されることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、前記チューブ本体には、電線挿入用の切込部が長さ方向に延在形成されており、前記曲げ変形方向規制板は、前記電線と前記切込部との間に配置されることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記曲げ変形方向規制板は、前記チューブ本体の外側に固定されることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明において、前記チューブ本体には、電線挿入用の切込部が長さ方向に延在形成されており、前記曲げ変形方向規制板は、前記チューブ本体における前記切込部とは反対側に配置されることを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれか一項に係る発明において、前記曲げ変形方向規制板は、厚さ方向の一側に幅方向に延在する溝部が長さ方向に並んで複数形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明は、第一の装置構成体と、該第一の装置構成体に対し相対移動する第二の装置構成体と、を有し、前記第一の装置構成体と前記第二の装置構成体とを結ぶ電線が請求項1乃至6のいずれか一項記載の保護チューブで保護されていることを特徴とする。
【0013】
請求項8に係る発明は、第一の装置構成体と、該第一の装置構成体に対し相対移動する第二の装置構成体と、を有し、前記第一の装置構成体と前記第二の装置構成体とを結ぶ電線が請求項3または5記載の保護チューブで保護されており、前記チューブ本体は、前記第一の装置構成体と前記第二の装置構成体との相対移動時の最大曲げ変形部の曲げ変形方向外側に前記切込部が配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、長さ方向の両端が開放された管状に形成されている可撓性のチューブ本体の内側に電線を配置することで、チューブ本体が電線を保護することになる。また、帯状をなしチューブ本体に沿って設けられる、チューブ本体とは別部材の曲げ変形方向規制板が、幅方向が厚さ方向よりも曲げ変形が困難となっているため、その幅方向におけるチューブ本体の曲げ変形を規制する。このようにチューブ本体に曲げ変形方向規制板を設ける構造であるため、コスト増を抑制しつつ曲げ変形規制性能の向上を図ることができる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、曲げ変形方向規制板は、チューブ本体の内側に配置されるため、曲げ変形方向規制板をチューブ本体に固定せずに済む。よって、コストをより一層低減できる。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、チューブ本体に、電線挿入用の切込部が長さ方向に延在形成されているため、この切込部を介してチューブ本体内に電線を挿入でき、電線の配置作業が容易となる。また、曲げ変形方向規制板が、電線と切込部との間に配置されるため、電線の切込部を介してのチューブ本体からの突出を曲げ変形方向規制板によって規制することができる。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、曲げ変形方向規制板は、チューブ本体の外側に固定されるため、チューブ本体の内側の容積を確保でき、チューブ本体の内側に、より多く、あるいはより太い電線を収容できる。
【0018】
請求項5に係る発明によれば、チューブ本体に、電線挿入用の切込部が長さ方向に延在形成されているため、この切込部を介してチューブ本体内に電線を挿入でき、電線の配置作業が容易となる。また、曲げ変形方向規制板が、チューブ本体における切込部とは反対側に配置されるため、チューブ本体内への切込部を介しての電線の挿入時に、曲げ変形方向規制板が邪魔になることを防止できる。
【0019】
請求項6に係る発明によれば、曲げ変形方向規制板は、厚さ方向の一側に幅方向に延在する溝部が長さ方向に並んで複数形成される形状をなすため、成形が容易な上、厚さ方向の曲がり易さを向上できる。
【0020】
請求項7に係る発明によれば、相対移動する第一の装置構成体と第二の装置構成体とを結ぶ電線が上記保護チューブで保護されているため、保護チューブのコスト増を抑制しつつ曲げ変形規制性能の向上を図ることができる。よって、相対移動する第一の装置構成体と第二の装置構成体との間に保護チューブが挟まれて破損したり、繰り返し擦れて摩耗したりすることを抑制することができる。
【0021】
請求項8に係る発明によれば、相対移動する第一の装置構成体と第二の装置構成体とを結ぶ電線が、電線挿入用の切込部が長さ方向に延在形成されたチューブ本体内に配置されているため、この切込部を介してチューブ本体内に電線を挿入でき、電線の配置作業が容易となる。また、チューブ本体は、第一の装置構成体と第二の装置構成体との相対移動時の最大曲げ変形部の曲げ変形方向外側に切込部が配置されているため、曲げ変形により切込部の近傍部分が内側に入り込むように変形することになる。これにより、電線の支持が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1実施形態に係る保護チューブおよび電線を示す斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る保護チューブおよび電線を示す正断面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る保護チューブおよび電線を示す側断面図であって、(a)は直線状の状態を、(b)は曲げ状態を、それぞれ示すものである。
図4】本発明の第1実施形態に係る保護チューブが適用された装置を示す斜視図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る保護チューブおよび電線を示す正断面図であって、(a),(b)は、それぞれ曲げ方向を変えた際の変形状態を示すものである。
図6】本発明の第2実施形態に係る保護チューブおよび電線を示す斜視図である。
図7】本発明の第3実施形態に係る保護チューブおよび電線を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の第1実施形態に係る保護チューブを図1図5を参照して以下に説明する。
【0024】
図1に示すように、第1実施形態に係る保護チューブ10は、長さ方向の両端が開放された管状(言い換えれば中空形状)に形成されて内側に電線Cが配置されるチューブ本体11と、チューブ本体11とは別部材である帯状の曲げ変形方向規制板12とを有している。
【0025】
チューブ本体11は、断面長方形の筒状をなす大筒部21と、大筒部21よりも小さく大筒部21と略相似の断面長方形の筒状をなす小筒部22とが長さ方向に交互に配置され、すべての隣り合う大筒部21と小筒部22とが長さ方向に略直交する長方形枠状の連結板部23で連結された形状をなしている。よって、チューブ本体11は、角筒蛇腹形状をなしている。図2に示すように、大筒部21、小筒部22および連結板部23の長辺の延在方向(図2における左右方向)がチューブ本体11の幅方向となり、大筒部21、小筒部22および連結板部23の短辺の延在方向(図2に示す上下方向)がチューブ本体11の厚さ方向となる。
【0026】
チューブ本体11は、幅方向の両側に配置された一対の側壁部25,25と、厚さ方向におけるこれら側壁部25,25の一端側同士を連結する閉壁部26と、厚さ方向におけるこれら側壁部25,25の他端側同士を連結する開壁部27とを有している。この開壁部27には、幅方向の中央位置に、チューブ本体11の内側と外側とを連通させる切込部28が形成されている。図1に示すように、切込部28はチューブ本体11の長さ方向に延在しており、チューブ本体11の全長にわたって形成されている。切込部28は所定の幅を有しており、いわゆるスリットとなっている。ただし、切込部28は幅(隙間)がなくても良い。切込部28は、電線Cの外からチューブ本体11内への挿入用の開口となっている。
【0027】
チューブ本体11は、合成樹脂製の一体成形品であり、全体が薄肉に形成されており可撓性がある。チューブ本体11は、樹脂材に難燃化物質を配合した組成物にて形成することができる。具体的には、例えば熱可塑性のオレフィン系樹脂(ポリプロピレン等のプロピレン系樹脂、ポリエチレン等のエチレン系樹脂)、ポリアミド樹脂、エラストマー等の組成物からなる。チューブ本体11は、その長さ方向の一端側を基準として、長さ方向に直交する全方向に可撓性を有している。また、チューブ本体11は、その長さ方向に伸縮性をも有している。大筒部21、小筒部22および連結板部23が長方形状をなしていることから、チューブ本体11は、直線状に配置した状態から、長さ方向に沿い且つ厚さ方向に沿う平面内で最も撓みやすく曲がりやすい。次に長さ方向に沿い且つ幅方向に沿う平面内で撓みやすく曲がりやすい。これらの平面に比べて他の長さ方向に沿う平面内では撓みにくく曲がりにくい。チューブ本体11は、長尺状をなしており、適宜の長さに切断されて使用される。
【0028】
曲げ変形方向規制板12は、長さ方向の全長にわたって一定幅の帯状をなしている。曲げ変形方向規制板12は、長尺状をなしており、チューブ本体11と同等の長さに切断されて使用される。曲げ変形方向規制板12は、チューブ本体11の内側に、長さ方向、幅方向および厚さ方向をそれぞれチューブ本体11に合わせた状態で配置される。その際に、曲げ変形方向規制板12は、チューブ本体11内において電線Cと開壁部27との間、つまり電線Cと切込部28との間に配置される。図2に示すように、曲げ変形方向規制板12の幅は、小筒部22の幅方向の内寸と同等であり、曲げ変形方向規制板12の最大厚さは、電線Cを収容する分、小筒部22の厚さ方向の内寸よりも小くなっている。曲げ変形方向規制板12は、チューブ本体11の内側に配置された状態で、チューブ本体11の長さ方向に沿って延在する。
【0029】
曲げ変形方向規制板12は、図1に示すように厚さ方向の一側に幅方向全体に延在する同形状の溝部31が、図3に示すように長さ方向に等ピッチで並んで複数形成されている。これにより、曲げ変形方向規制板12は、溝部31の位置の薄肉板部32と、薄肉板部32よりも厚さが厚い一定厚さの厚肉板部33とが長さ方向に交互に形成された形状をなしている。曲げ変形方向規制板12の長さ方向における寸法は、厚肉板部33の方が薄肉板部32よりも長くなっている。曲げ変形方向規制板12は、チューブ本体11内において電線Cと開壁部27との間に配置される際に、複数の溝部31が電線Cとは反対側(つまり開壁部27側)に向くように配置される。
【0030】
曲げ変形方向規制板12は、押出成形や射出成形が可能な熱可塑性樹脂等の合成樹脂製の一体成形品であり、可撓性を有しており、幅方向が厚さ方向よりも曲げ変形が困難になっている。熱可塑性樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂(ポリプロピレン等のプロピレン系樹脂、ポリエチレン等のエチレン系樹脂)、ポリアミド樹脂、エラストマー、ポリ塩化ビニル樹脂等が挙げられる。曲げ変形方向規制板12は、図3(a)に示すように、直線状に配置した状態から、図3(b)に示すように長さ方向に沿い且つ厚さ方向に沿う平面内での撓みつまり曲げが容易で、この平面内での曲げと比べて、長さ方向に沿い且つ幅方向に沿う平面内で撓みにくく曲がりにくい。しかも、上記のように複数の溝部31が形成されることにより、長さ方向に沿い且つ厚さ方向に沿う平面内での撓みつまり曲げがより容易となっている。曲げ変形方向規制板12は、図3(b)に示すように、長さ方向に沿い且つ厚さ方向に沿う平面内での撓み時に、薄肉板部32が厚肉板部33よりも撓みやすく、主に薄肉板部32の位置で撓む。
【0031】
そして、第1実施形態に係る保護チューブ10を用いる場合、チューブ本体11内に、保護対象の一本または複数本の電線Cを配置する。このとき、電線Cをチューブ本体11内に切込部28を介して挿入する。あるいは、電線Cをチューブ本体11内に長さ方向一端の開口部から挿入する。その後、チューブ本体11内に上記した曲げ変形方向規制板12を、長さ方向、幅方向および厚さ方向をそれぞれチューブ本体11に合わせた状態で配置する。このとき、曲げ変形方向規制板12をチューブ本体11内に切込部28を介して挿入する。あるいは、曲げ変形方向規制板12をチューブ本体11内に長さ方向一端の開口部から挿入する。曲げ変形方向規制板12と電線Cとを一緒にしてチューブ本体11内に長さ方向一端の開口部から挿入しても良い。ここで、チューブ本体11内に挿入された曲げ変形方向規制板12を、チューブ本体11に対して固定することはない。
【0032】
保護チューブ10は、チューブ本体11の内側に電線Cおよび曲げ変形方向規制板12が設けられた状態では、幅方向の曲げ変形が曲げ変形方向規制板12により規制されることになり、厚さ方向の曲げ変形は許容される状態になる。
【0033】
次に、上記した保護チューブ10が適用される装置の一例としての図4に示す貨幣処理装置50を説明する。
【0034】
貨幣処理装置50は、装置本体52(第一の装置構成体)と、装置本体52に水平方向にスライド可能に支持された複数の貨幣処理ユニット53および貨幣処理ユニット54(第二の装置構成体)とを有している。貨幣処理ユニット53は、貨幣処理ユニット54の上側に重なるように配置されている。これら貨幣処理ユニット53および貨幣処理ユニット54は、いずれも装置本体52に対し前方に引き出し可能であり、後方に押し込み可能となっている。つまり、これら貨幣処理ユニット53および貨幣処理ユニット54は、いずれも装置本体52に対し相対移動する。
【0035】
装置本体52の上部は、貨幣に関する処理を行う部分であり、詳しくは硬貨の入出金処理を行う硬貨処理装置部58となっている。貨幣処理ユニット53および貨幣処理ユニット54は、貨幣に関する処理を行う部分であり、詳しくは紙幣の入出金処理を行う紙幣処理ユニットとなっている。
【0036】
下側の貨幣処理ユニット54は、両外側にスライドレール61が連結されており、これらスライドレール61は装置本体52にも連結されている。スライドレール61は、相対的にスライド自在に連結されたレール部材62,63からなっており、内外二重構造で伸縮自在となっている。スライドレール61は、レール部材62が貨幣処理ユニット54に固定され、レール部材63が装置本体52にスライド可能に連結されている。これにより、装置本体52に対し、貨幣処理ユニット54がスライドレール61を介してスライド可能に支持されている。図示は略すが、上側の貨幣処理ユニット53も同様にスライドレールを介して装置本体52にスライド可能に支持されている。
【0037】
そして、装置本体52と下側の貨幣処理ユニット54との間を電気的に結ぶ電線C(図4では図示略)を被覆するように上記した保護チューブ10が用いられている。装置本体52に対する下側の貨幣処理ユニット54の水平移動方向を装置前後方向とし、これに直交する水平方向を装置左右方向とすると、保護チューブ10は、電線Cを覆って装置本体52と下側の貨幣処理ユニット54との装置左右方向の隙間に配置されることになり、挟まれ防止等の観点から左右方向の曲げ変形が規制されるように、幅方向を装置左右方向に一致させた状態で装置本体52と貨幣処理ユニット54との間に配索される。
【0038】
保護チューブ10は、図4に示すように装置本体52から下側の貨幣処理ユニット54が引き出された状態では、破線および実線で示すように装置本体52から後方に延出した後、下側で折り返し前方に延出して貨幣処理ユニット54に繋がる。このとき、保護チューブ10は、破線で示す長さ方向の一端が前方に向いて装置本体52に繋がり、実線で示す他端も前方に向いて貨幣処理ユニット54に繋がる。
【0039】
この状態から装置本体52に貨幣処理ユニット54が押し込まれると、保護チューブ10は、二点鎖線で示すように、上記と同様の折り返し状態を維持したまま、上辺の長さを長くするように折り返し位置を変化させる。この折り返し部分が、保護チューブ10において最も曲げ変形がきつくなり、最も曲率が大きくなる最大曲げ変形部40となる。保護チューブ10は、この最大曲げ変形部40の曲げ変形方向外側(曲率の中心とは反対側)に上記した切込部28が配置されている。
【0040】
以上に述べた第1実施形態に係る保護チューブ10によれば、長さ方向の両端が開放された管状に形成されている可撓性のチューブ本体11の内側に電線Cを配置することで、チューブ本体11が電線Cを保護することになる。また、帯状をなしチューブ本体11に沿って設けられる、チューブ本体11とは別部材の曲げ変形方向規制板12が、幅方向が厚さ方向よりも曲げ変形が困難となっており、その幅方向におけるチューブ本体11の曲げ変形を規制する。つまり、曲げ変形方向規制板12は、電線Cを被覆した状態の保護チューブ10の幅方向の変形を規制する。このようにチューブ本体11に曲げ変形方向規制板12を設ける構造であるため、コスト増を抑制しつつ曲げ変形規制性能の向上を図ることができる。
【0041】
また、曲げ変形方向規制板12は、チューブ本体11の内側に配置されるため、曲げ変形方向規制板12をチューブ本体11に固定せずに済む。よって、コストをより一層低減できる。
【0042】
また、チューブ本体11に、電線Cの挿入用の切込部28が長さ方向に延在形成されているため、この切込部28を介してチューブ本体11内に電線Cを挿入でき、電線Cの配置作業が容易となる。また、曲げ変形方向規制板12が、電線Cと切込部28との間に配置されるため、切込部28を介しての電線Cのチューブ本体11からの突出を、曲げ変形方向規制板12によって規制することができる。
【0043】
また、曲げ変形方向規制板12は、厚さ方向の一側に幅方向全体に延在する溝部31が長さ方向に並んで複数形成される形状をなすため、成形が容易な上、厚さ方向の曲がり易さを向上できる。
【0044】
曲げ変形方向規制板12の溝部31が電線Cとは反対側に配置されているため、曲げ変形方向規制板12と電線Cとが擦れることにより生じる電線Cの摩耗等を抑制することができる。
【0045】
第1実施形態に係る保護チューブ10を用いた貨幣処理装置50によれば、相対移動する装置本体52と貨幣処理ユニット54とを結ぶ電線Cが保護チューブ10で保護されているため、保護チューブ10のコスト増を抑制しつつ曲げ変形規制性能の向上を図ることができる。よって、相対移動する装置本体52と貨幣処理ユニット54との間に保護チューブ10が挟まれて破損したり、繰り返し擦れて摩耗したりすることを抑制することができる。
【0046】
また、相対移動する装置本体52と貨幣処理ユニット54とを結ぶ電線Cが、電線Cの挿入用の切込部28が長さ方向に延在形成されたチューブ本体11内に配置されているため、この切込部28を介してチューブ本体11内に電線Cを挿入でき、電線Cの配置作業が容易となる。また、チューブ本体11は、装置本体52と貨幣処理ユニット54との相対移動時の最大曲げ変形部40の曲げ変形方向外側に切込部28が配置されているため、最大曲げ変形部40に最も生じ易い、曲げによる切込部28側の開きを抑制することができる。したがって、チューブ本体11による電線Cの保護性能が向上する。
【0047】
つまり、最大曲げ変形部40の曲げ変形方向外側に切込部28が配置されると、図5(a)に示すように、チューブ本体11は曲げ変形により開壁部27における切込部28の近傍部分が内側に入り込むように変形することになる。これにより、曲げ変形方向規制板12を介して電線Cを押さえることができ、電線Cの支持が安定する。これに対して、逆に、最大曲げ変形部40の曲げ変形方向内側に切込部28が配置されると、図5(b)に示すように、チューブ本体11は曲げ変形により開壁部27における切込部28の近傍部分が開くように変形することになり、曲げ変形方向規制板12および電線Cの支持が不安定になる可能性がある。
【0048】
本発明の第2実施形態に係る保護チューブを主に図6を参照して第1実施形態との相違部分を中心に説明する。
【0049】
第2実施形態に係る保護チューブ10Aは、第1実施形態と同様のチューブ本体11と、第1実施形態の変形方向規制板12よりも幅が広い点が異なる曲げ変形方向規制板12Aとを有しており、曲げ変形方向規制板12Aが、チューブ本体11の外側に固定されている。その際に、曲げ変形方向規制板12Aは、チューブ本体11の長さ方向に沿って延在するように設けられる。しかも、曲げ変形方向規制板12Aは、チューブ本体11における切込部28とは反対側に配置されており、溝部31がチューブ本体11とは反対方向に向くようにしてチューブ本体11の閉壁部26に接着により固定されている。曲げ変形方向規制板12Aとチューブ本体11との接着は、接着剤あるいは両面テープで行われる。曲げ変形方向規制板12Aとチューブ本体11との接着は、溶着させたり、一体成形で行っても良い。
【0050】
第2実施形態に係る保護チューブ10Aを用いる場合、チューブ本体11内に、保護対象の一本または複数本の電線Cを配置する。このとき、電線Cをチューブ本体11内に切込部28を介して挿入する。あるいは、電線Cをチューブ本体11内に長さ方向一端の開口部から挿入する。保護チューブ10Aは、幅方向の曲げ変形が曲げ変形方向規制板12Aにより規制されることになり、厚さ方向の曲げ変形は許容される状態になる。
【0051】
このような第2実施形態に係る保護チューブ10Aを第1実施形態の貨幣処理装置50に適用する場合も、最大曲げ変形部40の曲げ変形方向外側(曲率の中心とは反対側)に切込部28が配置されるように設けることになる。
【0052】
以上に述べた第2実施形態に係る保護チューブ10Aによれば、曲げ変形方向規制板12Aが、チューブ本体11の外側に固定されるため、チューブ本体11の内側の容積を確保でき、チューブ本体11の内側に、より多く、あるいはより太い電線Cを収容できる。
【0053】
また、曲げ変形方向規制板12Aが、チューブ本体11における切込部28とは反対側に配置されるため、チューブ本体11内への切込部28を介しての電線Cの挿入時に曲げ変形方向規制板12が邪魔になることを防止できる。
【0054】
本発明の第3実施形態に係る保護チューブを主に図7を参照して第1実施形態との相違部分を中心に説明する。
【0055】
第3実施形態に係る保護チューブ10Bは、第1実施形態と同様のチューブ本体11と、第1実施形態の変形方向規制板12とは一部異なる曲げ変形方向規制板12Bとを有している。この曲げ変形方向規制板12Bは、第1実施形態の変形方向規制板12に対し溝部31が形成されていない点が異なっている。つまり、この曲げ変形方向規制板12Bは長さ方向の全長にわたって一定厚さの平坦な平板帯状をなしている。
【0056】
このような曲げ変形方向規制板12Bを用いた第3実施形態に係る保護チューブ10Bは、幅方向の曲げ変形規制性能が第1実施形態よりも高くなる一方で、厚さ方向の曲げ変形許容性能が第1実施形態よりも低くなる。また、第1実施形態よりも曲げ変形方向規制板12Bひいては保護チューブ10Bを安価に形成できる。
【0057】
また、曲げ変形方向規制板12Bは平板状をなしているため、厚さ方向の変形時に湾曲することになるため、耐久性に優れる。
【0058】
第1実施形態において、一本のチューブ本体11内に曲げ変形方向規制板12を複数枚配置しても良く、第3実施形態において、一本のチューブ本体11内に曲げ変形方向規制板12Bを複数枚配置しても良い。このようにチューブ本体11内に曲げ変形方向規制板12,12Bを複数枚設けることで、幅方向の曲げ変形規制性能を高めることができる。また、チューブ本体11内のスペースを埋める効果もある。その場合には、曲げ変形方向規制板12,12Bを複数枚重ねた状態でチューブ本体11内に設けても良く、チューブ本体11内で電線Cを挟んで両側に分けて配置しても良い。
【符号の説明】
【0059】
10,10A,10B 保護チューブ
C 電線
11 チューブ本体
12,12A,12B 曲げ変形方向規制板
28 切込部
31 溝部
40 最大曲げ変形部
50 貨幣処理装置(装置)
52 装置本体(第一の装置構成体)
54 貨幣処理ユニット(第二の装置構成体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7