【解決手段】振り分け部は上段搬送部先端にあり、その先に下り傾斜部があり、その先に上段搬送部より一段低い下段搬送部がある。上段搬送部の振り分け部手前に計測判別部があり、下り傾斜部の先の下段搬送部の上方に果菜取り出し機があり、その先の下段搬送部上方に引き継ぎ搬送体がある。振り分け部は果菜を載せて一列に整列移動する果菜受体を二以上の振り分け進行路に振り分け、下り傾斜部は二以上の振り分け進行路の果菜受体を上段搬送部から下段搬送部に移動し、果菜取り出し機は下り傾斜部で搬送される果菜受体上の果菜を一個ずつ取り出し、引き継ぎ搬送体は果菜取り出し機で取り出した果菜を搬送する。下段搬送部は下り傾斜部の果菜受体を、下段搬送部の二以上の振り分け進行路に振り分け、果菜受体から果菜を一個ずつ取り出す果菜取り出し機と、搬送する引き継ぎ搬送体を備える。
果菜搬送体を備え、果菜搬送体は間隔をあけて対向配置された二以上の無端状のドライブチェーン間に細長の支持バーが架設され、それら支持バーに果菜受体が取り付けられ、果菜受体は果菜を載せることができるものであり、支持バーの軸方向横スライド可能に取り付けられ、一列に整列移動する前記果菜受体の上に作業者が手作業で果菜を一個ずつ載せて搬送し、搬送中に計測判別部において計測して等階級判別し、判別データに基づいて果菜受体を支持バーに沿って横スライドさせて、支持バーの軸方向二以上の箇所に設定されている振り分け進行路のいずれかに振り分けて果菜を搬送して、果菜を等級別に選別する果菜自動選別装置において、
振り分け部は上段搬送部の先端にあり、振り分け部の先に下り傾斜部があり、下り傾斜部の先に上段搬送部よりも一段低い下段搬送部があり、上段搬送部であって振り分け部の手前に果菜を計測して等階級を判別する計測判別部があり、下り傾斜部の先であって下段搬送部の上方に果菜取り出し機があり、果菜取り出し機の先であって下段搬送部の上方に引き継ぎ搬送体があり、
振り分け部は果菜を載せて一列に整列移動する果菜受体を前記二以上の振り分け進行路に振り分けるものであり、
下り傾斜部は二以上の振り分け進行路に振り分けられた果菜受体を上段搬送部から下段搬送部に移動するものであり、
果菜取り出し機は下り傾斜部で搬送されてくる果菜受体の上の果菜を一個ずつ取り出すものであり、
引き継ぎ搬送体は果菜取り出し機で取り出した果菜を引き継いで搬送するものであり、
下段搬送部は下り傾斜部から送られてくる果菜受体を、下段搬送部に設定されている二以上の振り分け進行路に振り分け、振り分け進行路を搬送されてくる果菜受体から果菜を一個ずつ取り出す果菜取り出し機と、果菜取り出し機から果菜を引き継いで果菜を搬送する引き継ぎ搬送体を備えた、
ことを特徴とする果菜自動選別装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1記載の果菜自動選別装置は、作業効率のよい装置として広く採用されている。特許文献1記載の果菜自動選別装置は格別な難点はないものの、作業性の向上や選別スピードの向上、メンテナンス性の向上といった点で改善の余地が残されていた。
【0005】
本発明の解決課題は、従来の果菜自動選別装置のメリットを維持しつつ、従来の果菜自動選別装置よりも構造が簡潔でメンテナンスし易く、作業性に優れる果菜自動選別装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の果菜自動選別装置は、果菜搬送ライン(果菜搬送体)を備え、果菜搬送体は少なくとも間隔をあけて対向配置された二以上の無端状のドライブチェーン(以下「チェーン」という)と、それらチェーンの間に配置されてチェーンの走行と共に移動する細長の支持バーと、果菜を載せることができる果菜受体を備え、多数の果菜受体は前記支持バーに一個ずつ支持バーの軸方向にスライド(横スライド)可能に取り付けられている。これら多くの果菜受体を一列に整列させて移動させ、その一列の果菜受体の上に作業者が手作業で果菜を一個ずつ載せて搬送し、計測判別部において果菜の形状、大きさ等を計測して等階級別に判別し、判別データに基づいて果菜受体を横スライドさせて、支持バーの軸方向二以上の箇所の振り分け進行路のいずれかに振り分け可能な振り分け部を備えた果菜自動選別装置である。
【0007】
果菜搬送体のチェーンは駆動スプロケットと従動スプロケットの外周に巻回されて一方のスプロケットの外周を上方から下方へ回転し、他方のスプロケットの外周を下方から上方へ回転する無端回転体である。
【0008】
前記支持バーはパイプ状又は棒状の細長材であり、多数本の支持バーが、対向配置されたチェーン間に架設されて、チェーンと共に移動するようにしてある。果菜受体は二本以上を一組とした支持バーに、その軸方向にスライド可能に取付けられている。
【0009】
果菜搬送体は上段搬送部とそれよりも一段低い下段搬送部を備える。上段搬送部と下段搬送部は上下に二段以上とすることもできる。
【0010】
上段搬送部は、果菜受体を水平(略水平を含む:以下同じ)に搬送する手前水平搬送部の先に振り分け部があり、振り分け部の先に果菜受体を斜め下向き搬送する下り傾斜部が連続し、下り傾斜部の先であって手前水平搬送部よりも一段低い位置に先方水平搬送部が連続している。振り分け部は果菜受体を二列以上の振り分け進行路のいずれかの進行路に振り分ける。
【0011】
上段搬送部には二列以上の振り分け進行路が設定されている。これら進行路のうち最も作業者側(手前側)一列の進行路は果菜を載せて搬送する果菜載せ進行路とし、手前側二列目から奥側(作業者側と反対側)の数列の進行路は果菜を等階級別に振り分けて搬送する振り分け進行路としてある。
【0012】
手前水平搬送部の上には計測判別部があり、計測判別部は果菜受体の上に載せられて搬送されてくる果菜の形状、大きさ等を計測し、その計測データに基づいて等階級(例えば、A級、B級・・・)に判別するものである。
【0013】
振り分け部は果菜載せ進行路を一列に並んで搬送されてくる果菜受体を、計測判別部での判別データに基づいて、支持バーの軸方向に横スライドさせて、予め設定されている二列以上の振り分け進行路のいずれかに振り分けるものである。果菜受体の横スライドは果菜受体の下方に突出しているガイドピンを果菜搬送体の下方に配置されているガイドレールで案内して行うことができる。
【0014】
下り傾斜部は上段搬送部の振り分け進行路で搬送されてくる果菜受体を斜めに下げて下段搬送部に移送させるものである。下り傾斜部の傾斜角度は任意に設定できるが、搬送中の果菜が果菜受体の上から滑落しない程度の緩やかな角度が望ましい。
【0015】
下り傾斜部のうち、いずれかの列の振り分け進行路の先には、振り分け進行路で搬送されて下り傾斜部に差し掛かる果菜受体の上の果菜を取り出す果菜取出し機が配置されている。
【0016】
前記果菜取出し機の先には、その果菜取り出し機から果菜を引き継いで搬送する引き継ぎ搬送体が配置されている。
【0017】
下段搬送部は下り傾斜部の先にあり、いずれかの列の振り分け進行路を搬送されてきた果菜受体を、前記計測判別部での判別データに基づいて支持バーの軸方向に横スライドさせて、予め設定されているいずれかの振り分け進行路に振り分ける振り分け部と、振り分け部の先方に配置されて果菜受体の上の果菜を取り出す果菜取り出し機と、果菜取り出し機から果菜を引き継いで搬送する引き継ぎ搬送体を備えている。
【0018】
必要であれば、下段搬送部にも下り傾斜部を設けて、下段搬送部で搬送される果菜受体を更に一段下の搬送部に移動することもできる。下り搬送部への移動は、下り傾斜部を多段に設けることにより必要段数行うことができる。段数を多くすることにより振り分け回数が多くなり細かな等階級判別を行うことができる。
【0019】
下段搬送部での振り分けは上段搬送部に設けた計測判別部での判別データに基づいて行うことができるが、必要であれば下段搬送部にも計測判別部(下段計測判別部)を設けて、その計測判別部により下段搬送部で搬送される果菜の等階級を計測判別することもできる。
【0020】
果菜が取り出されて空になった果菜受体は、チェーンの回転走行により、果菜を載せる前の元の箇所(果菜載せ列)に戻る前に支持バーの軸方向に戻りスライドして、果菜載せ列に一列に整列させるようにしてある。果菜受体の戻りスライドは果菜受体の下方に突出しているガイドピンを、果菜搬送体の下に配置されている戻りガイドレールで案内して行う。
【0021】
前記果菜取り出し機は、果菜受体の空間部に差し込み可能な横幅のベルトコンベアとすることができる。引き継ぎ搬送体も果菜を載せて搬送できるベルトコンベアとすることができる。引き継ぎ搬送体で搬送される果菜は作業者が手作業で取り上げて箱詰、袋詰め等の包装をすることができる。
【0022】
果菜搬送体の幅方向に二列以上設けられた振り分け進行路は、それらの先端位置を果菜載せ進行路側のものを奥側のものよりも搬送方向手前までにして搬送方向に段階状にし、振り分け進行路の先端部の先方に作業スペースを確保することもできる。
【0023】
前記引き継ぎ搬送体の搬送速度(走行速度)は、果菜取り出し機の搬送速度(走行速度)よりも遅くして、果菜取り出し機で間隔をあけて取り出される果菜が引き継ぎ搬送体で間隔をつめて搬送されるようにすることができる。引き継ぎ搬送体の搬送速度(走行速度)を果菜取り出し機の搬送速度(走行速度)よりも遅くして、果菜取り出し機で間隔をあけて取り出される果菜が、引き継ぎ搬送体で間隔をつめて搬送されるようにすることもできる。
【0024】
前記果菜受体は果菜取り出し機のベルトが通過することのできる横幅と深さであり、果菜搬送方向に開通されている空間部を備えている。
【0025】
前記計測判別部は少なくとも果菜撮影用のカメラを備え、必要に応じて、果菜の重量を計測する重量計、糖度を計測する糖度計等を付加することができる。計測判別部は計測精度を高めるためには果菜の真上から撮影できるように果菜搬送体の真上に設置するのがよい。可能であれば果菜の上方斜め側方から計測することもできる。糖度は果菜の真下から計測することもできる。計測判別部にはカメラで撮影された画像を処理する画像処理部、演算処理部を設けて計測データに基づいて果菜を等階級別に判別する判別機能を備える。
計測判別部は計測部と判別部を別々にすることもできる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の果菜自動選別装置は次の効果を奏する。
(1)作業員が、果菜載せ進行路の果菜受体に果菜を一個ずつ手作業で載せるだけで果菜が一列に整列して搬送され、搬送中に自動的に計測されて等階級が判別され、その判別データ(情報)に基づいて、上段又は下段の振り分け部により二以上の振り分け進行路に振り分けられるので、二つとして同じ形状、大きさのものがない果菜を等階級別に自動選別できる。
(2)果菜を上段搬送部と下段搬送部上の上下二段にして搬送するため、一人の作業者が両搬送部で搬送される果菜を取り出して箱詰めや袋詰め(包装)することができ、一段の高さで搬送する果菜を包装する場合よりも多くの果菜を一人で効率よく包装することができる。
(3)果菜を上方に引き上げるのではなく、下り傾斜部で一段低く下げるので、作業者が果菜を載せる位置で、上下の果菜を取り出して包装することができ、踏み台が必要ない。
(4)上段搬送部と下段搬送部を複数段設ければ、幅(奥行)が狭い小型の果菜自動選別機で多くの等階級に選別して細かな等階級判別が可能となる。この場合、搬送部を次第に下げるので、段数を多くしても最上段の搬送部は格別高くならず、最上段の搬送部で搬送される果菜も、最下段の搬送部で搬送される果菜も同じ高さの位置で包装作業をすることができる。
(5)下り傾斜部の傾斜開始箇所に果菜取り出し機が配置されているので、果菜受体からの果菜の取り出しが円滑に行われる。
(6)果菜載せ進行路を一列に搬送されてくる果菜受体を、作業者の手が届く範囲内の二列以上の振り分け進行路に振り分けるので、振り分け進行路の数が多くなっても、一人の作業者で包装作業をすることができる。
(7)搬送されてくる果菜を上方に引き上げるのではなく、下り傾斜部で引き下げるため果菜が下り傾斜部で滑落しにくくなり、下り傾斜部の上に落下防止具を設ける必要もない。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(果菜自動選別装置)
本発明の果菜自動選別装置は各種形状の果菜の自動選別に使用可能であるが、実施形態として果菜が胡瓜の場合を一例として説明する。
【0029】
(果菜搬送体)
本発明の果菜自動選別装置は果菜搬送ライン(果菜搬送体)1(
図1)を備える。果菜搬送体1は少なくとも、間隔をあけて対向配置された二本のチェーン2(
図1、
図2)と、それらチェーン2の間に架設された細長の支持バー3(
図1、
図2)と、支持バー3に取り付けられた果菜受体4(
図1、
図2)を備える。
【0030】
果菜受体4は
図3に示すように、一組の二本の支持バー3に一個ずつ取り付けられて、支持バー3の軸方向(横方向:
図3のa−b方向)にスライド可能としてある。また、チェーン2が
図3のX方向に走行すると支持バー3が同方向に移動し、その移動により果菜受体4が同方向に移動して、果菜受体4の上に横向きに載せてある果菜A(
図4)が同方向に搬送されるようにしてある。
【0031】
(チェーン)
二本のチェーン2は
図5のように対向配置された二枚のフレーム5の内側に取り付けられた駆動回転体(例えば駆動スプロケットギア)6と従動回転体(例えば従動スプロケット)7の外周に巻回して無端状にしてあり、
図6のように駆動回転体6の回転により駆動回転体6の外周を下から上に回転し、従動回転体7の外周を上から下に回転して周回できるようにしてある。
【0032】
(支持バー)
支持バー3(
図3)はパイプ状又は棒状の細長材であり、二本一組として一つの果菜受体4に貫通して、果菜受体4が支持バー3にその軸方向にスライド可能に取付けられている。支持バー3の軸方向両端部はチェーン2のコマ同士を連結する連結ピンと同軸でチェーン2に取り付けてチェーン2に架設され、チェーン2の走行に伴ってチェーン2と同方向に移動すると共にチェーン2が駆動回転体6(
図6)の外周を下から上に回転する場合も、従動回転体7(
図6)の外周を上から下に回転する場合も、隣接する支持バー3の間隔が水平移動する場合と変わらないようにしてある。図示は省略してあるが、支持バー3の近傍(例えば、支持バー3の下方)には、支持バー3の撓みを防止するための支持具(テンション付与具)を設けることもできる。対向配置された両チェーン2の間隔が広い場合は、支持バー3が長くなって撓みが生じ易くなるが、支持具を設けることで支持バー3の撓みを防止して、果菜受体4が支持バー3の軸方向へスムーズに横スライドできるようにすることができる。
【0033】
(果菜搬送体)
果菜搬送体1は
図1、
図6に示すように、上段搬送部8と、その先の下り傾斜部9と、その先の下段搬送部10を備える。下段搬送部10は上段搬送部8よりも一段低くなっている。ここで、一段とは、上段搬送部8を移動する果菜受体4の底面が接触しない程度である。
【0034】
(上段搬送部)
上段搬送部8は
図1、
図6に示すように手前水平搬送部11の先に振り分け部12を備える。
【0035】
手前水平搬送部11は作業者が果菜受体4に果菜Aを手作業で一本ずつ載せる領域であり、果菜Aを載せた果菜受体4を水平(略水平を含む:以下同じ)に搬送する領域である。手前水平搬送部11には多数列の進行路13(
図1)が設定されている。それら進行路13のうち果菜載せ台14側の列の進行路13aを作業者が手作業で果菜を一個ずつ載せる果菜載せ進行路とし、それよりも奥側の進行路13b、13c、・・・を振り分け進行路としてある。
図1のように果菜載せ進行路13aの個々の果菜受体4に載せた果菜Aは一列に整列して搬送され、搬送中に計測判別部15(
図1)において形状、大きさ等が計測され、等階級が判別される。
【0036】
振り分け部12は計測判別部15(
図1)で形状、大きさ等が計測判別された果菜Aが載っている果菜受体4を、判別データに基づいて果菜載せ進行路13aから振り分け進行路13b、13c、・・・のいずれかに振り分ける領域である。
【0037】
果菜載せ進行路13aの上には計測判別部15が配置され、振り分け進行路13b、13c、・・・の夫々の先の下り傾斜部9の上には果菜取り出し機16(
図1)が配置され、果菜取り出し機16の先であって下段搬送部10の上には果菜引き継ぎ体17(
図1)が配置されている。果菜取り出し機16、果菜引き継ぎ体17は水平に配置されている。
【0038】
果菜取り出し機16は下り傾斜部9において、
図8のように、果菜受台4の上の果菜Aを一本ずつ取り出す機器である。引き継ぎ搬送体17は果菜取り出し機16で取り出した果菜Aを引き継いで水平に搬送するものである。
【0039】
(果菜受体)
果菜受体4は
図4(a)(b)に示すように横長の果菜Aを載せることができるように横長にしてあり、下部に支持バー3に取り付ける取付け部20が、上部に果菜Aを支持可能な搭載部21が形成されている。取付け部20にはその長さ方向に平行に貫通された二つ貫通孔22が開口されている。果菜受体4の取付け部20の下面にはガイドピン23が下方に向けて突設されている。
【0040】
図4(a)の果菜受体4の搭載部21は、中央部材24の両外側に空間部25をあけてサイド部材26を設けてある。空間部25の横幅は
図8のように、果菜取り出し機16(
図8)の幅の細いコンベアベルト27を差し込み可能となっている。
図4に示すように、中央部材24及びサイド部材26の上面は果菜Aを横に寝かせて載せることができる幅と奥行きがあり、中央部材24の上面には果菜Aが転がらないようにするための二つの転がり防止突起28が前後に対向して突設されている。果菜受体4は樹脂製が適し、転がり防止突起28は果菜Aが傷付かないようにゴム製やウレタン製とするとか、角を丸めておくのが好ましい。
【0041】
図4(a)(b)の果菜受体4の中央部材24、サイド部材26は周壁が垂直であるが、周壁は
図9(a)(b)のように下方から上方に向けて細く(肉薄に)なる傾斜面とすることもできる。
図4(a)(b)のように周壁が垂直の場合は、
図4(b)に示すように、果菜受体4が下り傾斜部9を移動する際に、前後の果菜受体4の上部が接触して移動が阻害されることがある。接触しないようにするためには果菜受体4の取り付け間隔を広くする必要がある。広くすると支持バー3に取り付ける果菜受体4の数が少なくなって選別作業の効率が低下する。
図9(a)(b)のように周壁を斜面にすると果菜受体4の上部間隔が下部間隔よりも広くなるため、支持バー3への果菜受体4の取り付け間隔を狭くしても
図9(b)に示すように果菜受体4が下り傾斜部9を移動する際に、果菜受体4の上部同士が接触することがなく円滑に移動できる。
【0042】
果菜受体4の中央部材24の両側壁面29(
図4(a))と、両側壁面29と対向するサイド部材26の内側壁面30(
図4(a))は上方に向けて僅かに外広がりになるように傾斜させて、果菜受体4にその上方から垂直に照射される計測判別器15(
図1)から照射される計測光が、それら傾斜面で反射されて計測判別部15に適度に戻るようにすることもできる。そのようにすると計測判別部15で得られる画像に空間部25による影ができにくくなって、精度の高い等階級判別を行うことができる。
【0043】
果菜受体4は
図9(a)(b)に示すように中央部材24とサイド部材26の上面に上方に突出する転がり防止突起28を設けて果菜Aが不用意に落下しないようにすることもできる。中央部材24及びサイド部材26の上面には、当該上面よりも一段低い横長凹陥状の果菜受け部を横長に設けて、その果菜受け部に果菜Aを載せて果菜が安定するようにすることもできる。
【0044】
(計測判別部)
計測判別部15(
図1)は搬送中の果菜Aの形状、大きさ等を計測し、その計測データに基づいて果菜Aの等階級を判別するものであり、果菜受体4に載せた果菜Aに計測光を投射する光源と、果菜Aを撮影する電子カメラ(CCDカメラ)と、電子カメラの画像データを電算処理して果菜Aの形状(例えば、曲がり)、長さ、太さ等から果菜Aの等階級を判別する処理回路等を備えている。それらはケース内に収容されている。計測判別部15には必要に応じて、果菜Aの重量を計測する重量計、糖度を計測する糖度計等を付加することができる。計測判別部15は計測精度を高めるためには果菜Aの真上から撮影できるように果菜搬送体1(
図1)の真上に設置するのが望ましい。果菜Aの糖度は果菜Aの真下から計測することもできる。計測判別部15は果菜受体4に果菜Aが載っていない場合は、載っていないことを検出できるようにしてある。電子カメラは二台以上設けて二以上の角度から撮影して、精度の高い等級判別ができるようにすることもできる。
【0045】
前記処理回路は果菜AをAM、AL、2S、B、C、・・・といったいくつかの等階級に判別し、得られた等階級データが電気信号(制御信号)を出力して、振り分け部12を制御して、果菜Aを等階級別に二以上の振り分け進行路13b、13c、・・・に振り分けることができるようにしてある。
【0046】
(振り分け部)
図1の振り分け部12は支持バー3の移動によって搬送される果菜受体4の進路を、計測判別部15からの判別情報(制御信号)に基づいて、等階級別に振り分け進行路13b、13c、・・・に振り分ける領域である。判別結果に基づいて果菜受体4を横スライドさせて、予め定めてある二以上の振り分け進行路13b、13c、・・・のいずれかに振り分ける。振り分け部12は果菜受体4を横スライドさせるために、果菜搬送体1の下にガイドレール31(
図2)を二本以上(振り分け進行路13b、13c、・・・と同じ数)配置してある。夫々のガイドレール31は果菜載せ進行路13a(
図1)から振り分け進行路13b、13c、・・・に向けて斜めに配置されている。この構成とすることにより、最も手前の果菜載せ進行路13a(
図2の右側の進行路)を移動してくる果菜受体4の下方に突出しているガイドピン23(
図4)が、計測判別部15での判別データに基づいていずれかのガイドレール31に案内されて横移動し、それに伴って果菜受体4が判別データに対応したいずれかの振り分け進行路13b、13c、・・・に振り分けられるようにしてある。
【0047】
振り分け部12では主レール32(
図3)の斜め先方にガイドレール31が配置され、ガイドレール31の手前に切り替え片33(
図3)が配置されている。切り替え片33は計測判別部15(
図1)の判別データに基づいて首振りして、主レール32とガイドレール31を切り替える。振り分ける果菜受体4が到来したときのみ、ガイドピン23(
図4)がガイドレール31に案内され、振り分ける必要のない他の果菜受体4が到来したときは、その果菜受体4はガイドレール31を通過(素通り)して直進するようにしてある。詳細には次のようにしてある。
【0048】
主レール32とガイドレール31との分岐部に切り替え片33をピン34(
図3)により首振り自在に設け、その切り替え片33を電磁石(図示しない)により横方向に首振りさせて、主レール32側とガイドレール31側とに切り替え可能としてある。切り替え片33は通常は
図3のA部の仮想線で示す方向に待機していてガイドレール31の入口を閉じ、主レール32の入口を開いている。この状態では、搬送されてくる果菜受体4のガイドピン23が主レール32を直進して果菜受体4が直進する。切り替え片33を電磁石により
図3のA部の実線で示す方向に首振りさせると、主レール32の入口が閉じ、ガイドレール31の入口が開いて、移動してくる果菜受体4のガイドピン23がガイドレール31に進入し果菜受体4が同方向に横移動して振り分け進行路13b、13c、・・・に振り分けられるようにしてある。電磁石は果菜搬送体1の下方に設置されており、電磁石への電流供給が計測判別部15から出力される制御信号により行われて、前記のように首振りするようにしてある。
【0049】
主レール32及びガイドレール31は上向きコ字状であり、移動してくる果菜受体4のガイドピン23(
図4)が自動的に進入できるようにしてある。
【0050】
(下り傾斜部)
下り傾斜部9(
図1、
図6)は振り分け部12の先方に設けられており、ガイドレール31(
図2、
図3)により所定の振り分け進行路13b、13c、・・・に振り分けられた果菜受体4が果菜Aを載せたまま斜め下方に移動するようにしてある。
【0051】
下り傾斜部9は、チェーン2を下り傾斜させることにより下り傾斜にしてある。具体的には
図6、
図7に示すようにチェーン2の内側に支持ギヤ35を配置してチェーン2を下から支持し、チェーン2の上に配置した押しギヤ36でチェーン2を押し下げて斜め下向き(下り傾斜)にしてある。
【0052】
下り傾斜部9の上方には、布などの脱落防止具(押さえ具)37を配置しておき、下り傾斜部9を移動する果菜受体4の上の果菜Aが果菜受体4から滑落しないようにするのが好ましい。押さえ具37として布を用いる場合、
図7に示すように、中央部が垂れ下がるような状態で両端を固定し、当該垂れ下がった部分を果菜Aに接触させて果菜Aが落下しないようにすることができる。押さえ具37は果菜Aの転がりを防止できるものであれば布以外の材質であってもよく、薄板やベルトコンベア等で押し当ててもよい。
【0053】
(果菜取り出し機)
多数の振り分け進行路13b、13c、・・・(
図1)の先の下り傾斜部9の傾斜開始部の先には、果菜取り出し機16が傾斜開始部と同じ(略同じ)高さで水平に配置されている。この果菜取り出し機16は下り傾斜部9を斜め下方に移動する果菜受体4の上の果菜Aを一本ずつ取り出すものである。一例として
図8に示す果菜取り出し機16は幅の狭いベルト27を数本(5本)配置し、内側二本のベルト27を他の3本のべルト27よりも手前に突出させて、その突出部が、斜め下方に移動してくる果菜受体4の空間部25内に進入し、果菜受体4の斜め下方への移動が進行すると、果菜受体4の上の果菜Aが内側二本のベルト27で掬われて5本のベルト27に載り移るようにしてある。
【0054】
(引き継ぎ搬送体)
果菜取り出し機16の先に水平に配置されている引き継ぎ搬送体17(
図1、
図6)は、
図8のように果菜取り出し機16で取り出された果菜Aを引き継いで水平に搬送するものである。引き継ぎ搬送体17にはベルトコンベア(
図8)を使用することができる。引き継ぎ搬送体17で搬送される果菜Aは、包装作業者が果菜Aを一本ずつ取り出して作業台H(
図1)の上の包装箱に箱詰めしたり、図示しない包装袋に袋詰めしたり、或いは図示しない自動包装機により包装したりすることができる。
【0055】
(下段搬送部)
下段搬送部10は、上段搬送部8の果菜載せ進行路13aを移動し、その先の振り分け進行路13b、13c、・・・に振り分けられることなく直進して、その先の下り傾斜部9を移動してくる果菜受体4を先方に移動し、その移動中に、果菜受体4を前記計測判別部15の判別データに基づいて、等階級別に振り分ける領域である。そのため、
図1の最も手前側に直進進行路41a(
図1)があり、その奥側に振り分け進行路41b、・・・があり、移動中の果菜受体4を前記計測判別部15の判別データに基づいて前記それら振り分け進行路41b、・・・に等階級別に振り分けるようにしてある。この場合、振り分け進行路41b、・・・の先には果菜受体4の上の果菜Aを取り出す果菜取り出し機16が水平に配置され、その先に、果菜取り出し機16から果菜Aを引き継いで搬送する引き継ぎ搬送体17が水平に配置されている。
【0056】
下段搬送部10の前記直進進行路41a、振り分け進行路41b、・・・、振り分け部、果菜取り出し機16、引き継ぎ搬送体17等の構成、動作は上段搬送部8のそれらと同じにしてある。下段搬送部10には、必要であれば上段搬送部8と同様に下り傾斜部を設けて、更に、一段下り傾斜させて、その先に下段搬送部10よりもさらに一段低い下段搬送部を設けることもできる。下り傾斜部の段数は所望数とすることができる。下り傾斜部の段数多くすれば、振り分け数を多くすることができるので、細かな等階級を振り分け(選別)が可能となる。しかも、段数が下方に増加するため、果菜搬送体1の奥行幅が格別広くなることもない。必要であれば、いずれの下段搬送部10にも、計測判別部を設けて、それら計測判別部からの判別データに基づいて、果菜受体4を振り分けることもできる。
【0057】
(果菜受体の戻り)
果菜Aが取り出されて空になった果菜受体4は、チェーン2の移動により移動が継続されて、チェーン2の折り返し部で下方に回り込み、チェーン2の下側を搬送されてチェーン2の上方に戻る。果菜受体4が振り分け部12で横移動されて振り分け進行路13b、13c、・・・に振り分けられている場合は、その果菜受体4は前記の戻る間に、戻りガイドレール(図示せず)に沿って移動して(戻されて)、振り分け前の元の位置(果菜載せ進行路13a:
図1)に戻されて一列に整列するようにしてある。戻りガイドレールは果菜搬送体1の下に配置されており、ガイドレール31と逆向き斜めに配置してある。
【0058】
(作業スペース)
図1のように多数列の引き継ぎ搬送体17は手前側のものより奥のものを長くして、多数列の引き継ぎ搬送体17の先端が階段状にして、奥の列の引き継ぎ搬送体17の手前側に作業スペース40(
図1)が確保されるようにしてある。
【0059】
(移動速度)
引き継ぎ搬送体17は、その回転速度を、果菜取り出し機16の回転速度よりも遅くして、果菜取り出し機16で間隔をあけて取出された果菜Aが果菜取り出し機16の上に間隔を詰めて送り込まれるようにすることもできる。これにより、引き継ぎ搬送体17に無駄な間隔が発生しにくくなり、引き継ぎ搬送体17を効率よく使用することができる。
【0060】
果菜取り出し機16、引き継ぎ搬送体17はベルトコンベアではなく、フリーフローの搬送機構(図示せず)とすることもできる。それは、前方に果菜Aがつまっているときその果菜Aの後ろに続き、前の果菜Aが先方に移動するとそれに続いて後の果菜Aも移動するものである。
【0061】
引き継ぎ搬送体17の先方には自動包装装置を配置して、搬送されてくる果菜Aが自動包装装置により自動的に包装されるようにすることもできる。