【背景技術】
【0002】
従来の球面レンズを、干渉計で検査する場合、干渉計と被検査レンズである球面レンズとの間に、平面リファレンスミラーを設け、被検査レンズを透過した光を反射する球面ミラーを設ける。球面ミラーは、どの方向に向けても、その光軸は同じであるので、検査時に、球面ミラーの光軸を合わせる必要がない。
【0003】
一方、非球面レンズを干渉計で検査する場合、干渉計と被検査レンズである非球面レンズとの間に、平面リファレンスミラーを設け、被検査レンズを透過した光を反射する非球面ミラーを設ける。非球面ミラーは、方向性があり、向けた方向によって、その光軸が異なるので、非球面レンズを検査する場合に、非球面ミラーの光軸を合わせる必要がある。
【0004】
また、非球面レンズを干渉計で検査する場合、被検査レンズである非球面レンズの光軸も合わせる必要がある。
【0005】
さらに、従来のクラシカル・カセグレン望遠鏡は、主鏡の光軸上前方に、双曲面の凸面鏡である副鏡を対向させ、主鏡の中央開口から鏡面裏側に光束を取り出して接眼レンズに導く望遠鏡である(たとえば、特許文献1参照)。
【0006】
つまり、従来のクラシカル・カセグレン望遠鏡において、主鏡は放物面鏡であり、副鏡は双曲面鏡である。主鏡がその焦点面に作る像の位置を、双曲面の1つの焦点と一致させると、双曲面はもう一つの焦点に像を結ぶ。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施例1である非球面ミラー10を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施例2である非球面レンズ20を示す斜視図である。
【
図3】実施例3である非球面ミラーの光軸合わせ装置100の断面図である。
【
図4】実施例4である非球面レンズの光軸合わせ装置200の断面図である。
【
図5】本発明の実施例5である非球面レンズの検査装置を示す図である。
【
図6】本発明の実施例6であるカセグレン望遠鏡400を示す図である。
【
図7】カセグレン望遠鏡400に使用されている主鏡60を示す正面図である。
【
図8】カセグレン望遠鏡400に使用されている副鏡70を示す正面図である。
【
図9】カセグレン望遠鏡400に使用されている副鏡70の拡大側面図である。
【
図10】主鏡10の変形例である主鏡60aを示す正面図である。
【
図11】本発明の実施例7である非球面ミラーの光軸合わせ装置100aを示す図である。
【
図12】非球面ミラーの光軸合わせ装置100aにおける平行光発生装置及び波面測定装置50を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明を実施するための形態は、以下の実施例である。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の実施例1である非球面ミラー10を示す斜視図である。
【0016】
非球面ミラー10は、非球面ミラー部11と平面鏡12とを有する。
【0017】
平面鏡12は、非球面ミラー部11の周縁に設けられ、リング状を有する。また、平面鏡12の法線は、非球面ミラー部11の光軸と平行である。なお、平面鏡12は、非球面ミラー部11と一体成型されているが、一体成型以外の方法で、非球面ミラー部11の周縁に平面鏡12を設けるようにしてもよい。
【0018】
なお、平面鏡12は、リング状であるが、リング状にする代わりに、リングの半分、1/4等、リングの一部の形状でもよい。また、平面鏡12は、非球面ミラー部11の周縁に設けられている円形、四角形、三角形等、種々の形状の平面鏡であってもよい。
【実施例2】
【0019】
図2は、本発明の実施例2である非球面レンズ20を示す斜視図である。
【0020】
非球面レンズ20は、非球面レンズ部21と平面鏡22とを有する。
【0021】
平面鏡22は、非球面レンズ部21の周縁に設けられ、リング状を有する。また、平面鏡22の法線は、非球面レンズ部21の光軸と平行である。なお、平面鏡22は、非球面レンズ部21と一体成型されているが、一体成型以外の方法で、非球面レンズ部21の周縁に平面鏡22を設けるようにしてもよい。
【0022】
なお、平面鏡22は、リング状であるが、リング状にする代わりに、リングの半分、1/4等、リングの一部の形状でもよい。また、平面鏡22は、非球面レンズ部21の周縁に設けられている円形、四角形、三角形等、種々の形状の平面鏡であってもよい。
【実施例3】
【0023】
図3は、本発明の実施例3である非球面ミラーの光軸合わせ装置100を示す断面図である。
【0024】
非球面ミラーの光軸合わせ装置100は、非球面ミラー10と、干渉計30と、平面リファレンスミラー40とを有する。
【0025】
非球面ミラーの光軸合わせ装置100は、干渉計30からの平行光の一部が平面リファレンスミラー40で反射した参照光と、干渉計30からの平行光のうちで平面リファレンスミラー40を透過した光が非球面ミラー10の平面鏡12で反射し平面リファレンスミラー40を透過したテスト光とを干渉させた干渉縞に応じて、非球面ミラー10の軸合わせをする。
【0026】
非球面ミラーの光軸合わせ装置100では、干渉計30からの平行光の一部が平面リファレンスミラー40で反射した参照光と、干渉計30からの平行光のうちで平面リファレンスミラー40を透過した光が非球面レンズの平面鏡12で反射し平面リファレンスミラー40を透過したテスト光とを干渉させる。そして、この干渉による干渉縞に応じて、非球面ミラー10の軸合わせをする。
【0027】
つまり、干渉縞が揃っていれば、平行光と平面鏡12の法線とが平行であり、非球面ミラー10の光軸は平行光と平行である。干渉縞が揃っていなければ、干渉縞が揃うまで、非球面ミラー10の方向を調整する。
【0028】
したがって、非球面ミラーの光軸合わせ装置100では、平面鏡12の法線が非球面ミラー10の光軸と平行であるので、干渉計30から出た平行光の方向に、非球面ミラー10の光軸を合わせることが容易であり、しかも、非球面ミラー10の光軸を正確に軸合わせすることができる。
【実施例4】
【0029】
図4は、本発明の実施例4である非球面レンズの光軸合わせ装置200を示す断面図である。
【0030】
非球面レンズの光軸合わせ装置200は、非球面レンズ20と、干渉計30と、平面リファレンスミラー40とを有する。
【0031】
非球面レンズの光軸合わせ装置200では、干渉計30からの平行光の一部が平面リファレンスミラー40で反射した参照光と、干渉計30からの平行光のうちで平面リファレンスミラー40を透過した光が非球面レンズの平面鏡12で反射し平面リファレンスミラー40を透過したテスト光とを干渉させる。そして、この干渉による干渉縞に応じて、非球面レンズ20の軸合わせをする。
【0032】
つまり、この場合、干渉縞が揃っていれば、平行光と平面鏡22の法線とが平行であり、非球面レンズ20の光軸は平行光と平行である。干渉縞が揃っていなければ、干渉縞が揃うまで、非球面レンズ20の方向を調整する。
【0033】
したがって、非球面レンズの光軸合わせ装置200では、平面鏡22の法線が非球面レンズ20の光軸と平行であるので、干渉計30から出た平行光の方向に、非球面レンズ20の光軸を合わせることが容易であり、しかも、非球面レンズ20の光軸を正確に軸合わせすることができる。
【実施例5】
【0034】
図5は、本発明の実施例5である非球面レンズの検査装置300を示す図である。
【0035】
非球面レンズの検査装置300は、干渉計30の隣に、平面リファレンスミラー40、被検査対象である非球面レンズ20、非球面ミラー10の順で配置する。
【0036】
非球面レンズ20を検査する準備段階として、まず、
図3で説明したように、非球面ミラー10の光軸を合わせる。非球面ミラー10の光軸合わせが終了すると、平面リファレンスミラー40と非球面ミラー10と間に、非球面レンズ20を設置し、
図4で説明したように、非球面レンズ20の光軸を合わせる。非球面レンズ20の光軸合わせが終了すると、干渉計30からの平行光の一部が平面リファレンスミラー40で反射した参照光であって、非球面レンズ20の非球面レンズ部21の位置に対応する参照光と、干渉計30からの平行光のうちで平面リファレンスミラー40を透過した光が非球面レンズ20を透過し、非球面ミラー10の非球面ミラー部11で反射し平面リファレンスミラー40を透過したテスト光とを干渉させる。そして、この干渉による干渉縞に応じて、非球面レンズ20の良否を判断する。つまり、上記干渉縞が揃っていれば、非球面レンズ20は正常であり、上記干渉縞が揃っていなければ、非球面レンズ20が異常であると判断する。
【0037】
この場合、非球面ミラー10の光軸、非球面レンズ20の光軸がともに、干渉計30からの平行光と平行であるので、非球面レンズ20の検査結果の信頼性が高い。
【実施例6】
【0038】
図6は、本発明の実施例6であるカセグレン望遠鏡400を示す図である。
【0039】
カセグレン望遠鏡400は、主鏡60と、副鏡70と、レンズ群81と、結像面82とを有する。
【0040】
図7は、カセグレン望遠鏡400に使用されている主鏡60を示す正面図である。
【0041】
主鏡60は、凹面鏡61と、透孔62と、平面鏡63とを有する。凹面鏡61は、反射面が放物面を形成している。透孔62は、副鏡70で反射した光が通過する領域である。
【0042】
平面鏡63は、凹面鏡61の周縁に、凹面鏡61と一体成型された平面鏡であり、リング状を形成している。また、平面鏡63の法線が、主鏡60の光軸と平行である。
【0043】
図8は、カセグレン望遠鏡400に使用されている副鏡70を示す正面図である。
【0044】
図9は、カセグレン望遠鏡400に使用されている副鏡70の拡大側面図である。
【0045】
副鏡70は、凹面鏡71と平面鏡73とを有する。凹面鏡71は、反射面が双曲面を形成している。平面鏡73は、その法線が、副鏡71の光軸と平行である。また、平面鏡73は、副鏡71の中心部に設けられ、副鏡71を形成するときに、副鏡71と一体成型される。なお、副鏡71を形成するときに、平面鏡73と一体成型されなくてもよい。
【0046】
レンズ群81は、収差を補正する補正光学系である。
【0047】
結像面82は、副鏡70で反射し、レンズ群81を通過した光を結像する面である。
【0048】
次に、カセグレン望遠鏡40において、主鏡60の光軸と副鏡70の光軸とを互いに合わせる動作について説明する。
【0049】
まず、主鏡60の光軸を、所定の方向に設定する。この場合、合わせるべき光軸から、凹面鏡61の半径だけ離れた位置に、レーザー等の光源を設置する。そして、このレーザーからのレーザー光が平面鏡63で反射した後に、上記レーザーに戻るようになるまで、主鏡60の方向を調整する。上記レーザーからのレーザー光が平面鏡63で反射した後に、上記レーザーに戻ったことを確認できれば、主鏡60の光軸が上記所定の方向に設定されたことになる。
【0050】
また、主鏡60の光軸を所定の方向に調整する場合、干渉計を使ってもよい。
【0051】
次に、副鏡70の光軸を、主鏡60の光軸に合わせる作業を実行する。まず、主鏡60の光軸上に、副鏡70の凹面鏡71の中心を合わせる。つまり、主鏡60の光軸上をレーザー光が進むように、第2のレーザーを設置し、このレーザー光が、副鏡70の凹面鏡71の中心を照射するように凹面鏡71を配置する。そして、第2のレーザーからのレーザー光が副鏡70の平面鏡73で反射したレーザー光が、上記第2のレーザーに戻るまで、副鏡70の方向を調整する。上記第2のレーザーからのレーザー光が平面鏡73で反射したレーザー光が、上記第2のレーザーに戻れば、副鏡70の光軸が主鏡60の光軸と合ったことになる。
【0052】
上記実施例において、主鏡60を成型するときに、平面鏡63も同時に一体成型することができ、このようにすることによって、平面鏡63の製造が容易である。また、副鏡70を成型するときに、平面鏡73も同時に一体成型することができ、このようにすることによって、平面鏡73の製造が容易である。
【0053】
なお、平面鏡73の代わりに、上記レーザー光の反射を確認できる程度の面、つまりほぼ平面を有する鏡を使用するようにしてもよい。
【0054】
図10は、主鏡60の変形例である主鏡60aを示す正面図である。
【0055】
主鏡60aは、主鏡60において、リング状の平面鏡63の代わりに、その一部分である平面鏡63aを設けた実施例である。
【0056】
主鏡60aのように、主鏡60の周縁の一部に平面鏡63aを設けるようにしてもよい。この場合、平面鏡63aを主鏡60と一体成型する。また、光軸を合わせるために設けるレーザーは、主鏡60aの光軸から、平面鏡63aに対応する位置に設けられる。つまり、光軸から平面鏡63aが設けられている方向と同じ方向に、凹面鏡61の半径だけ離れた位置に、レーザーを設ける。
【0057】
また、主鏡60aにおいて、主鏡の周縁に1つだけ平面鏡を設けているが、複数個設けるようにしてもよく、また、平面鏡12は四角形ではなく、円弧状等、他の形状であってもよい。
【実施例7】
【0058】
図11は、本発明の実施例7である非球面ミラーの光軸合わせ装置100aを示す図である。
【0059】
非球面ミラーの光軸合わせ装置100aは、
図3に示す非球面ミラーの光軸合わせ装置100において、干渉計30、平面リファレンスミラー40の代わりに、平行光発生装置及び波面測定装置50を設けた装置である。
【0060】
図12は、非球面ミラーの光軸合わせ装置100aにおける平行光発生装置及び波面測定装置50を示す図である。
【0061】
平行光発生装置及び波面測定装置50は、平行光発生装置51と、シロックハルトマン波面測定装置52と、ビームリデューサ53とを有する。
【0062】
平行光発生装置51は、レーザー511と、レンズ512、513と、ハーフミラー514とを有する。シロックハルトマン波面測定装置52は、レンズアレー521と、CCD/CMOS522とを有する。ビームリデューサ53は、凸レンズと、凹レンズとを有する。
【0063】
次に、非球面ミラーの光軸合わせ装置100aの動作について説明する。
【0064】
平行光発生装置51で発生した平行光の一部が非球面ミラー10の平面鏡12で反射し、この反射光を波面測定装置52で測定し、この測定した波面の傾きに応じて、非球面ミラー10の軸合わせをする。
【0065】
また、
図4に示す非球面レンズの光軸合せ装置200において、干渉計30、平面リファレンスミラー40の代わりに、平行光発生装置及び波面測定装置50を設けるようにしてもよい。
【0066】
この場合、平行光発生装置51が発生した平行光の一部が非球面レンズ20の平面鏡22で反射し、この反射光を波面測定装置52で測定した波面の傾きに応じて、非球面レンズ20の軸合わせをする。
【0067】
上記各実施例を、カメラレンズ、望遠レンズにも適用することができる。つまり、カメラレンズを構成するレンズのうちの非球面レンズを検査するに際して、その非球面レンズの光軸を調整する場合、上記各実施例のうちで非球面レンズ、非球面レンズの光軸合わせ装置を適用するようにしてもよい。