【解決手段】ペン形状のハウジングの軸心方向の一方の端部から突出するように配置された中心電極5と、この中心電極の近傍であってペン形状のハウジングの中心軸を囲むように配置された周辺電極6と、所定の信号を生成する信号生成回路12を備え、この信号生成回路によって生成された信号を位置検出装置が備えるセンサに送出する位置指示器100である。信号生成回路は、第1の信号レベルの信号と、この第1の信号レベルよりも低い第2の信号レベルの信号をそれぞれ生成可能である。信号生成回路によって生成される第1の信号レベルの信号と第2の信号レベルの信号を第2の電極に選択的に供給する信号供給制御回路を備える。
ペン形状のハウジングの軸心方向の一方の端部から突出するように配置された第1の電極と、前記第1の電極の近傍であって前記ペン形状のハウジングの中心軸を囲むように配置された第2の電極と、所定の信号を生成する信号生成回路を備え、前記信号生成回路によって生成された信号を位置検出装置が備えるセンサに送出する位置指示器であって、
前記信号生成回路は、第1の信号レベルの信号と、前記第1の信号レベルよりも低い第2の信号レベルの信号をそれぞれ生成可能であり、
前記信号生成回路によって生成される前記第1の信号レベルの信号と前記第2の信号レベルの信号とを前記第2の電極に選択的に供給する信号供給制御回路を備えたことを特徴とする位置指示器。
前記第1の電極に印加された圧力を検知する圧力検出回路を備え、前記圧力検出回路からの出力信号に基づいて前記信号供給制御回路が制御されることで、前記第1の信号レベルの信号及び前記第2の信号レベルの信号が選択的に前記第2の電極に供給されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
前記圧力検出回路によって所定の圧力が検出されないときには、前記第1の信号レベルの信号を少なくとも前記第2の電極に供給するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の位置指示器。
前記位置検出装置から送信された指示信号を受信する受信回路を備え、前記受信回路で受信された指示信号に基づいて前記信号供給制御回路が制御されることで、前記第1の信号レベルの信号及び前記第2の信号レベルの信号が選択的に前記第2の電極に供給されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
前記受信回路を介して前記指示信号が受信されないときには、前記信号供給制御回路を介して前記第1の信号レベルの信号が前記第2の電極に供給されるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の位置指示器。
前記信号供給制御回路は、前記第1の電極に接続された切替回路を備えており、前記切替回路を介して、前記信号生成回路によって生成された信号の供給及び前記位置検出装置の前記センサと静電結合することで前記センサから供給された信号の受信とが選択的に行われることを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
前記切替回路を介して前記第1の電極に接続されるセンサ信号受信回路を備えており、前記信号生成回路は前記センサ信号受信回路によって受信された信号に対応した所定の相関性を有する信号を生成して前記第2の電極に供給するように構成されている請求項9に記載の位置指示器。
第1の方向に配置された複数の第1の導体と前記第1の方向とは異なる第2の方向に配置された複数の第2の導体から構成されたセンサに接続されて、ペン形状のハウジングの軸心方向の一方の端部から突出するように配置された第1の電極と前記第1の電極の近傍であって前記ハウジングの中心軸を囲むように配置された第2の電極を備えた位置指示器を前記センサ上で静電的に検出する信号処理回路であって、
前記位置指示器には、第1の信号レベルの信号と、前記第1の信号レベルよりも低い第2の信号レベルの信号をそれぞれ生成可能な信号生成回路と、前記信号生成回路によって生成される前記第1の信号レベルの信号と前記第2の信号レベルの信号とを前記第2の電極に選択的に供給する信号供給制御回路と、前記信号処理回路で生成された信号を受信する受信回路が備えられており、
前記位置指示器に備えられた前記信号供給制御回路を制御する信号を前記位置指示器に設けられた前記受信回路を介して供給する送信回路を備えることで、前記位置指示器に備えられた前記信号生成回路によって生成される前記第1の信号レベルの信号と前記第2の信号レベルの信号が、前記信号供給制御回路を介して、前記第2の電極に選択的に供給されるようにしたことを特徴とする信号処理回路。
前記位置指示器に配置された前記第1の電極と前記第2の電極のそれぞれが前記センサとの間で静電結合することで前記センサを介して検出された信号に基づいて生成された、前記位置指示器に備えられた前記信号供給制御回路を制御する信号が、前記送信回路を介して前記位置指示器に送信されることを特徴とする請求項11に記載の信号処理回路。
前記位置指示器は前記第1の電極に印加された圧力を検知する圧力検出回路を備えているとともに、前記圧力検出回路で検知された圧力の情報は前記信号処理回路で検出可能とされており、前記信号処理回路によって検出された前記圧力の情報に基づいて生成された、前記位置指示器に備えられた前記信号供給制御回路を制御する信号が、前記送信回路を介して前記位置指示器に送信されることを特徴とする請求項11に記載の信号処理回路。
前記位置指示器に配置された前記第1の電極と前記第2の電極のそれぞれが前記センサとの間で静電結合することで前記センサを介して検出された信号に基づいて、前記センサのセンサ面に対する前記位置指示器の傾きを検出するようにしたことを特徴とする請求項11に記載の信号処理回路。
前記信号処理回路に設けられた前記送信回路と前記位置指示器に設けられた前記受信回路とは、無線信号によって結合されることを特徴とする請求項11に記載の信号処理回路。
ペン形状のハウジングの軸心方向の一方の端部から突出するように配置された第1の電極と、前記第1の電極の近傍であって前記ペン形状のハウジングの中心軸を囲むように配置された第2の電極と、所定の信号を生成する信号生成回路を備え、前記信号生成回路によって生成された信号を位置検出装置が備えるセンサに送出する位置指示器における、前記信号生成回路によって生成された信号を前記第1の電極及び前記第2の電極に供給する信号供給制御方法であって、
前記信号生成回路は、第1の信号レベルの信号と、前記第1の信号レベルよりも低い第2の信号レベルの信号をそれぞれ生成可能であり、
前記信号生成回路によって生成される前記第1の信号レベルの信号と前記第2の信号レベルの信号は前記第2の電極に選択的に供給され、
前記第1の信号レベルの信号と前記第2の信号レベルの信号は、前記位置検出装置が備える前記センサのセンサ面に対する前記位置指示器の高さ方向の距離の情報に基づいて前記第2の電極に選択的に供給されるようにしたことを特徴とする信号供給制御方法。
前記位置指示器は前記第1の電極に印加された圧力を検出する圧力検出センサを備えており、前記センサ面に対する前記位置指示器の高さ方向の距離の情報は、前記位置指示器が前記センサのセンサ面に当接したか否かに対応して検出される圧力情報から取得されることを特徴とする請求項17に記載の信号供給制御方法。
前記センサ面に対する前記位置指示器の高さ方向の距離の情報は、前記位置指示器に配置された前記第1の電極と前記第2の電極のそれぞれが前記センサとの間で静電結合することで前記センサを介して検出された信号から取得されることを特徴とする請求項17に記載の信号供給制御方法。
前記センサ面に対する前記位置指示器の高さ方向の距離が所定の範囲内である場合には、前記第1の信号レベルよりも低い第2の信号レベルの信号が前記第2の電極に供給されるようにしたことを特徴とする請求項17に記載の信号供給制御方法。
第1の方向に配置された複数の第1の導体と前記第1の方向とは異なる第2の方向に配置された複数の第2の導体から構成されたセンサに接続されて、ペン形状のハウジングの軸心方向の一方の端部から突出するように配置された第1の電極と前記第1の電極の近傍であって前記ハウジングの中心軸を囲むように配置された第2の電極を備えた位置指示器を前記センサ上で静電的に検出する信号処理方法であって、
前記位置指示器には、第1の信号レベルの信号と前記第1の信号レベルよりも低い第2の信号レベルの信号をそれぞれ生成可能な信号生成回路と、前記信号生成回路によって生成される前記第1の信号レベルの信号と前記第2の信号レベルの信号を前記第2の電極に選択的に供給する信号供給制御回路と、前記信号供給制御回路を制御する信号を受信する受信回路が備えられており、
前記位置指示器が備える前記第1の電極及び前記第2の電極の少なくとも一方の電極と前記センサとが静電結合することで得られた信号に基づいて、前記位置指示器に備えられた前記信号供給制御回路を制御する信号を生成して前記位置指示器が備える前記受信回路に送信するようにしたことを特徴とする信号処理方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明による位置指示器及び位置検出装置の幾つかの実施形態を、図を参照しながら説明する。
【0022】
[第1の実施形態]
図1は、この発明の実施形態の位置指示器100を用いる電子機器の例としてのタブレット型情報端末200の一例を示すものである。この例では、タブレット型情報端末200は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示装置の表示画面200Dを備え、表示画面200Dの上部(表面側)に、静電容量方式の位置検出装置201を備えている。
【0023】
使用者は、位置指示器100や指などの指示体によりタブレット型情報端末200の位置検出装置201のセンサ上において、位置を指示する。位置検出装置201は、位置指示器100や指による位置検出装置201のセンサ上での指示位置を検出すると共に、位置指示器100の当該指示位置における傾き角などの角度情報を検出する。
【0024】
[実施形態の位置指示器100の機構的構成例の説明]
図2は、位置指示器100の機構的構成例を説明するための図である。この実施形態の位置指示器100は、ペン形状(棒状のスタイラス形状)の外観を有するハウジング(筐体)1を備える。
図2(A)は、ハウジング1の一部を破断して、その内部を示したものであり、また、
図2(B)は、位置指示器100の外観の一部を示す図である。
【0025】
ハウジング1は、
図2(A)に示すように、絶縁材料例えば合成樹脂からなる中空の円筒状形状の絶縁体部1aにより構成されている。そして、この実施形態では、ハウジング1の絶縁体部1aの外表周面の少なくとも操作者が当該位置指示器100を把持する部分は、例えば金属からなる導電体部1bで覆われている。
【0026】
ハウジング1内には、
図2(A)に示すように、プリント配線基板2と、バッテリー3と、筆圧検出モジュール4とが配設されている。ハウジング1の外表周面を覆う導電体部1bは、図示は省略するが、このプリント配線基板2のアース導体に電気的に接続されている。
【0027】
プリント配線基板2上には、
図2(A)に示すように、信号送信制御回路21と、無線通信モジュール22と、押釦スイッチ23aからなるサイドスイッチ23と、導体パターン24a〜24eなどの配線パターンなどの他、この例では、電源スイッチ25およびLED(Light Emitting Diode)41などが配置されている。なお、
図2(A)では、導体パターン24a〜24eは、説明の簡略化のため模式的に一本の導体パターンとして示しているが、導体パターン24a〜24eは、必要に応じて、複数本の導体パターンからなる場合も勿論ある。
【0028】
バッテリー3は、プリント配線基板2上に構成されている電子回路及び電子部品へ電源を供給しており、ドライセルバッテリー、充電可能なバッテリー、あるいはキャパシタなどで構成される。筆圧検出モジュール4は、この実施形態では、芯体を構成する中心電極5に印加される筆圧に応じた静電容量を呈する可変容量コンデンサの構成とされている。
【0029】
無線通信モジュール22は、この実施形態では、近距離無線通信規格のブルートゥース(登録商標)規格の無線通信モジュールの構成とされている。無線通信モジュール22は、信号送信制御回路21に接続されている。なお、この無線通信モジュール22としては、ブルートゥースに限られるものではなく、例えばWi−Fi(登録商標)規格の無線通信モジュールを用いてもよいし、これに限らず、赤外線通信、光通信などを用いた無線通信を用いてもよい。
【0030】
サイドスイッチ23は、そのオンまたはオフの情報を、付加情報の一例として信号送信制御回路21に供給する。筆圧検出モジュール4により構成される可変容量コンデンサは、芯体を構成する中心電極5に印加される筆圧値に応じた静電容量変化を呈し、信号送信制御回路21は、その静電容量に基づいて、付加情報の一例としての筆圧情報を生成する。中心電極5は、第1の電極の一例である。
【0031】
なお、
図2では図示は省略したが、この実施形態では、位置指示器100は、自器の識別情報(ID)を備えており、その識別情報も付加情報として、位置検出装置に供給するようにする。
【0032】
そして、この実施形態では、バッテリー3は、ハウジング1内に、
図2(A)に示すように収納されており、プリント配線基板2上の信号送信制御回路21などの電子回路部への駆動電圧は、このバッテリー3にて生成される。
図2(A)において、端子32は、プリント配線基板2上の電源回路部に電気的に接続される。バッテリー3の正極側電極31は、この端子32に電気的に接続されている。図示は省略するが、バッテリー3の負極側電極は、プリント配線基板2のアース導体に直接に接続され、あるいはハウジング1の導電体部1bを経由してプリント配線基板2のアース導体に接続される。
【0033】
プリント配線基板2上に配置されている電源スイッチ25の操作子25aは、
図2(B)に示すように、ハウジング1に設けられた開口部を介して、外部から操作可能に設けられている。使用者が、この操作子25aをスライド移動させることにより、電源スイッチ25をオン・オフさせることができる。
【0034】
ハウジング1を構成する中空の円筒状形状の絶縁体部1aの中心線方向の一方の端部側は、
図2(A)に示すように、徐々に先細となるテーパー部1cとされている。このテーパー部1cの外周側には、例えば環状の導電金属からなる周辺電極6が取り付けられる。周辺電極6は、第2の電極の一例である。周辺電極6とハウジング1の外周表面の導電体部1bとは、両者の間に絶縁体部1a(テーパー部1cを含む)が介在することにより、電気的に絶縁されている。
【0035】
周辺電極6は、
図1に模式的に示すように、位置検出装置201のセンサと静電結合することで、この実施形態では、位置検出装置201に対し信号を送信する。そして、この周辺電極6は、絶縁体部1aを貫通するリード導体部材6aにより、プリント配線基板2の導体パターン24aに電気的に接続されている。この導体パターン24aは、この例では、信号送信制御回路21の入力端に接続されている。
【0036】
また、この実施形態では、ハウジング1のテーパー部1cの中空部から一端側が外部に突出するように、導電性を有する棒状体からなる中心電極5が配される。この中心電極5は、ペン形状の位置指示器100のペン先を構成する芯体となるものである。
【0037】
中心電極5は、この実施形態においては、位置指示用信号を送出する。中心電極5の外部に突出する側とは反対側の端部は、プリント配線基板2に形成されている導体パターン24bに電気的に接続されるように構成されている。この導体パターン24bは、信号送信制御回路21の出力端に接続されている。
【0038】
周辺電極6は、この中心電極5の周囲に設けられる。この実施形態では、周辺電極6と中心電極5との間には、互いの電気的干渉を、効果的に防止するためのシールド部材(シールド電極)7が設けられる。この実施形態のシールド部材7は、中心電極5を取り囲むように設けられ、これにより、シールド部材7が周辺電極6と中心電極5との間に介在して、周辺電極6と中心電極5との間の静電結合容量をできるだけ低減するようにしている。
【0039】
この芯体としての中心電極5は、その外部に突出する側とは反対側の端部が、ハウジング1の中空部内に配設されている筆圧検出モジュール4に嵌合されることで、位置指示器1のハウジング1の中空部内に係止される。なお、後述するように、中心電極5は、引き抜くことで、筆圧検出モジュール4との嵌合が外れるように構成されている。すなわち、芯体としての中心電極5は、位置指示器1に対して交換可能である。
【0040】
筆圧検出モジュール4は、この例では、芯体としての中心電極5に加えられる圧力(筆圧)を検出する圧力検出回路の例を構成するもので、この例では、中心電極5に加えられる圧力(筆圧)に応じた静電容量を呈する可変容量コンデンサで構成されている。この筆圧検出モジュール4で構成される可変容量コンデンサの両端の電極は、
図2(A)では、導体パターン24cにより、信号送信制御回路21に接続されている。
【0041】
信号送信制御回路21は、この実施形態では、無線通信モジュール22を通じて位置検出装置201から受信した情報に基づいて、位置指示器100のモードを、後述するホバーモードと位置指示モードとのいずれのモードにするかを決定制御すると共に、その決定制御に基づいて、周辺電極6を通じた信号の送出の制御をすると共に、送出する信号の信号レベルを制御する。
【0042】
[位置指示器100の信号処理回路の構成例]
図3は、第1の実施形態の位置指示器100の信号送信制御回路21を含む信号処理回路の構成例を示すブロック図である。すなわち、位置指示器100の信号処理回路は、
図3に示すように、コントローラ11と、駆動電源としての、充電可能な2次電池などのバッテリー3と、信号生成回路12と、スイッチ回路13、スイッチ回路14と、複数の信号レベルの電圧を生成するDC/DCコンバータ15とを備える。そして、コントローラ11には、無線通信モジュール22と、サイドスイッチ23と、識別情報を保持する識別情報メモリ26と、筆圧検出モジュール4を構成する可変容量コンデンサ4C等が接続されている。識別情報メモリ26には、この例では、位置指示器100に割り当てられた、それぞれの位置指示器を互いに識別するための識別情報が記憶されている。
【0043】
操作子25aがスライド移動されることにより電源スイッチ25がオンとされたときに、
図3に示すように、コントローラ11にバッテリー3の電圧が、電源電圧VDDとして印加される。
【0044】
コントローラ11は、例えばマイクロプロセッサで構成されており、位置指示器100の後述のような処理動作を制御する制御回路を構成するもので、駆動電源の例としてのバッテリー3からの電源電圧VDDが供給されている。コントローラ11は、信号供給制御回路の機能を備えるもので、後述するように、信号生成回路12を制御したり、スイッチ回路13,スイッチ回路14のそれぞれをオン、オフ制御したりすると共に、可変容量コンデンサ4Cの容量変化を監視することで、位置指示器100の芯体としての中心電極5を介して印加される筆圧を検出する。この実施形態では、コントローラ11は、後述するように可変容量コンデンサ4Cの放電時間から筆圧を検出する。
【0045】
信号生成回路12は、この第1の実施形態では、所定周波数f1、例えば周波数f1=1.8MHzの交流信号を発生する発振回路を備える。コントローラ11は、この信号生成回路12を構成する発振回路に制御信号CTを供給することで、当該発振回路をオン、オフ制御する。したがって、信号生成回路12を構成する発振回路は、コントローラ11からの制御信号CTに応じて、発生する交流信号を断続させ、これにより、信号生成回路12は、ASK(Amplitude Shift Keying)変調信号からなる信号Scを発生する。つまり、コントローラ11によって信号生成回路12を構成する発振回路を制御することにより、信号生成回路12はASK変調信号を生成する。ASK変調に代えて信号生成回路12で生成される信号をOOK(On Off Keying)変調信号、FSK(Frequency Shift Keying)変調信号、あるいはその他の変調信号とするようにしてもよい。
【0046】
そして、この実施形態では、コントローラ11は、信号生成回路12において、このASK変調信号により、後述するように、芯体を構成する中心電極5と周辺電極6の選択状態を識別するための識別情報(ID(Identification))を出力信号に付加する制御を行う。すなわち、信号生成回路12は、機能としてID付加部120を備える。また、信号生成回路12は、コントローラ11からの制御信号CTによる制御により、ASK変調信号として、位置指示器100が指示する位置を位置検出装置201で検出させるためのみならず、位置指示器100から送出される信号の信号送出タイミングに同期させて位置検出装置201で信号復調を可能にさせるための連続送信信号(バースト信号)及び必要な付加情報とを含めた信号Scを生成するようにする。
【0047】
信号生成回路12からの信号Scは、図示を省略したアンプで増幅された後、この実施形態では、位置指示器100の芯体を構成する中心電極5に供給されると共に、スイッチ回路13を通じて、周辺電極6に供給される。スイッチ回路13は、コントローラ11からの切替制御信号SW1によりオン、オフ制御される。これにより、信号生成回路12からの信号Scは、周辺電極6に選択的に供給される。
【0048】
また、周辺電極6は、この実施形態では、スイッチ回路14を通じてグランドに接続される。このスイッチ回路14は、コントローラ11からの切替制御信号SW2によりオン、オフ制御され、周辺電極6に信号Scが供給されていないときには、周辺電極6は、例えばグランド(例えばプリント配線基板2のアース導体)に接続されるように制御される。この場合、切替制御信号SW2は、切替制御信号SW1の逆相の信号とされる。すなわち、周辺電極6に信号Scが供給されるときには、スイッチ回路13はオン、スイッチ回路14はオフとされ、周辺電極6に信号Scが供給されないときには、スイッチ回路13はオフ、スイッチ回路14がオンとされる。
【0049】
これにより、位置検出装置201のセンサが、信号Scが供給されている中心電極5及び/または周辺電極6と静電結合し、信号Scが供給されていないときの周辺電極6による悪影響を阻害することで、中心電極5及び周辺電極6からの信号を識別し易くしている。
【0050】
なお、スイッチ回路14を設けずに、スイッチ回路13がオフとなって周辺電極6に信号Scが供給されていないときには、周辺電極6をフローティング状態としてもよい。
【0051】
DC/DCコンバータ15は、バッテリー3の電圧を昇圧することで複数の信号レベルの信号VPを生成可能である。DC/DCコンバータ15から複数の信号レベルの信号VPが信号生成回路12に供給される。この実施形態では、DC−DCコンバータ15は、コントローラ11により制御されて、例えば9Vと30Vというように、2通りの信号レベルの出力電圧VPを生成する。信号生成回路12から出力される信号の信号レベルは出力電圧VPに依存して決定される。なお、信号生成回路12から出力される信号の信号レベルを可変制御するために、コントローラ11でDC/DCコンバータ15を制御することで出力電圧VPを変化させるようにしてもよい。信号生成回路12は、このように複数の信号レベルを備える電圧VPを駆動電圧として受けることで、信号Scの信号レベルは電圧VPに応じた信号レベルとされる。
【0052】
コントローラ11は、位置指示器1と位置検出装置201との間で、無線通信モジュール22を通じて無線により通信する。コントローラ11は、この例では、サイドスイッチ23のオン・オフ情報や、識別情報メモリ26からの位置指示器100に割り当てられた識別情報を、無線通信モジュール22を通じて位置検出装置201に送信する。
【0053】
また、コントローラ11は、無線通信モジュール22を通じて位置検出装置201から送信されたホバーモード及び位置指示モードから成るモード指示信号を受信する。コントローラ11は、この位置検出装置201から送信されたモード指示信号に基づいて位置指示器100のモードをホバーモードと位置指示モードとの間で切り替え、位置指示器100からの交流信号の送出制御を行う。このコントローラ11による位置指示器100の交流信号送出制御のためのモード切替の設定動作については、以下に説明する。
【0054】
<位置指示器100の処理動作例>
この第1の実施形態の位置指示器100のコントローラ11は、電源スイッチ25がオンとされて、コントローラ11に電源が投入されている状態において、位置検出装置201との間での無線通信に基づいて、位置指示器100のモード切替設定動作を行うことで、交流信号の送出制御が行われる。
【0055】
図4は、この第1の実施形態の位置指示器100のコントローラ11による交流信号送出の切替設定動作の流れの例を説明するためのフローチャートである。また、
図5、
図6は、位置指示器100の動作説明のために用いるタイムチャートである。
【0056】
この実施形態では、位置指示器100の電源スイッチ25がオンとされると、無線通信モジュール22に電源電圧が供給されて、この無線通信モジュール22を通じて位置検出装置201との間で無線通信の動作が開始される(ステップS101)。すると、コントローラ11は、位置検出装置201との間で無線通信が可能であるか否かを判別し(ステップS102)、位置検出装置201との間で無線通信が可能ではないと判別したときには、コントローラ11は信号生成回路12を構成する発振回路の発振動作を停止させるため、信号Scは送出しない(ステップS103)。そして、コントローラ11は、処理をステップS101に戻し、このステップS101以降の処理を繰り返す。
【0057】
また、ステップS102で、位置検出装置201との間で無線通信が可能であると判別すると、コントローラ11は、位置指示器100をホバーモードでの信号送出状態に設定する(ステップS104)。
【0058】
このホバーモードにおいては、コントローラ11は、無線通信モジュール22を通じて位置指示器100の識別情報やサイドスイッチ23のオン・オフ情報を、位置検出装置201に無線送信すると共に、信号生成回路12で生成した交流信号を、中心電極5及び周辺電極6の両方から位置検出装置201のセンサに対して送出するように信号送出制御する(
図5(A)参照)。
【0059】
このホバーモードにおいては、コントローラ11は、切替制御信号SW1により、スイッチ回路13をオンとし、切替制御信号SW2により、スイッチ回路14をオフとする。そして、コントローラ11は、制御信号CTにより信号生成回路12を構成する発振回路を間欠的に駆動して、中心電極5及び周辺電極6から、
図6(A),(B)に示すように、周期THで間欠的に、信号Scをバースト状に送出するようにする。
【0060】
このホバーモードの処理は、位置指示器100が位置検出装置201のセンサ面に当接して特定の位置を指示する位置指示モードの処理とは異なり、位置検出装置201のセンサ上に位置指示器が近づいた状態(いわゆるホバー状態)を位置検出装置201で感度良く検出するようにするための処理である。このホバーモードの処理では、位置指示器100からの交流信号を、中心電極5のみからの送出に換えて、中心電極5及び周辺電極6の両方から交流信号を同時に送出することで、交流信号の送出エネルギーを大きくし、位置検出装置201のセンサでの、位置指示器100からの交流信号の検出を容易と成す。
【0061】
そして、ホバーモードにおいては、コントローラ11は、DC−DCコンバータ15を制御して電圧VPを高電圧レベル、例えば30Vとすることで、信号生成回路12から出力される信号Scの信号レベルを、第2の信号レベルGN2(
図5(E)参照)よりも大きい第1の信号レベルGN1(
図6(A),(B)参照)とする。更に、信号生成回路12からホバーモードにおいて出力される信号Scの周期THにおける信号Scの信号送出期間のデューティー比を制御して信号Scを間欠的に送出することで、この例では、時間平均したときの消費電力が、後述する位置指示モードの際における、第1の信号レベルよりも信号レベルが低い第2の信号レベルに設定された信号Scの送出時と同等となるようにする。すなわち、大きな信号レベルの信号Scを送出する際には、短い時間にて間欠的に信号を送出することで電力消費の増大を防止するようにしている。
【0062】
このように、中心電極5及び周辺電極6の両方から交流信号を送出すると共に、信号Scの信号レベルを大きくすることにより、位置指示器100が、位置検出装置201のセンサ面から離れた、センサ面の上空位置(ホバー状態)にあっても、位置指示器100から送出される信号Scを感度良く検出できるようにするとともに、信号レベルを大きく設定したことに対応して周期THにおける信号Scの信号送出期間のデューティー比を小さく設定することで電力消費を抑制するようにしている。
【0063】
なお、上述の説明では、ホバーモードにおいては、各周期THで、中心電極5及び周辺電極6の両方から信号Scを送出するようにした。しかし、中心電極5には交流信号は供給せず、周辺電極6に対してのみ、
図6(B)に示したように、交流信号を供給するようにしてもよい。更には、バッテリーなどの駆動電源の残存電力容量に制限が生じた場合などには、中心電極5のみに交流信号を供給することも考えられる。
【0064】
位置検出装置201は、このホバーモードに設定された位置指示器100からの信号Scを受信すると、後述するように、位置指示器100の芯体としての中心電極5の先端5aが、位置検出装置201のセンサ面に対して予め定められている近接距離、例えば1cm以下の近接状態になったか否かを検出する。そして、位置検出装置201は、位置指示器100が近接状態にはないと判別すると、ホバーモードの設定指示を位置指示器100に無線送信する。位置検出装置201は、位置指示器100が近接状態にあることを判別すると、位置指示モードの設定指示(位置指示モードへの変更指示)を位置指示器100に無線送信する。
【0065】
なお、後述するように、この実施形態では、位置検出装置201が位置指示器100に対してモードの設定指示を行った後には、位置指示器100が位置検出装置201のセンサから、所定時間(例えば5秒)以下の短時間、近接状態を逸脱するように遠ざかったとしても、位置指示器100に即座にホバーモードへのモード変更指示を送信しない。これは、例えば5秒以下の短時間であれば、使用者は、引き続き位置指示器100による位置指示の入力操作をする意思が存在していると考えられるためである。すなわち、ホバーモードから位置指示モードへのモード切替は即座に行われるとともに、位置指示モードからホバーモードへのモード切替は、所定時間の切替ヒステリシスを設けている。
【0066】
ステップS104で、ホバーモードでの交流信号送出状態になった位置指示器100のコントローラ11は、無線通信モジュール22で受信する位置検出装置201からの信号を監視して、位置検出装置201から位置指示モードの指示を受信したか否か判別する(ステップS105)。
【0067】
このステップS105で、位置指示モードの指示を受信しない場合には、コントローラ11は、処理をステップS102に戻して、無線通信モジュール22を通じた無線通信が可能か否かを判別し、無線通信が可能であれば、ホバーモードでの信号送出状態を維持する。
【0068】
また、ステップS105で、位置指示モードの指示を受信したときには、コントローラ11は、位置指示器100を即座に位置指示モードの信号送出状態に切り替える(ステップS106)。
【0069】
この位置指示モードにおいても、コントローラ11は、無線通信モジュール22を通じて位置指示器100の識別情報やサイドスイッチ23のオン・オフ情報を、位置検出装置201に無線送信するように制御する。そして、この位置指示モードにおいては、位置検出装置201で位置指示器100による指示位置を検出させるようにすると共に、位置検出装置201のセンサのセンサ面に対する位置指示器100の傾き角検出のために、コントローラ11は、中心電極5からは信号生成回路12で生成した交流信号を常に送出すると共に、周辺電極6にはスイッチ回路13を通じて断続的に信号Scを送出するようにする(
図5(B)〜(E)参照)。
【0070】
なお、位置指示モードにおいては、コントローラ11は、DC−DCコンバータ15を制御して、電圧VPを、信号生成回路12からの信号Scを第1の信号レベルGN1よりも信号レベルが低い第2の信号レベルGN2とするように、例えば9Vとする。信号Scの信号レベルがこのような低レベルGN2となっても、位置指示モードとなっている位置指示器100は、位置検出装置201のセンサ面に当接し、あるいは十分に近接しているので、位置検出装置201では、位置指示器100からの送出信号を感度良く、しかも効率良く受信することが可能である。
【0071】
この実施形態においては、位置指示モードでは、コントローラ11は、
図5(B)及び
図6(C)に示すように、中心電極5のみから信号を送出する期間TAと、中心電極5と周辺電極6とから信号Scを送出する期間TBとを順次に切り替える。そして、コントローラ11は、期間TAと期間TBとの総和の時間長の期間T(
図6(C)参照)を1周期として、当該期間Tを繰り返すようにスイッチ回路13及びスイッチ回路14を制御する。
【0072】
すなわち、コントローラ11は、
図6(C)に示すように、中心電極5のみから信号Scを送出するために、期間TAでは切替制御信号SW1によりスイッチ回路13はオフ(
図6(D)参照)とし、スイッチ回路14はオン(
図6(E)参照)とするように制御する。
【0073】
また、コントローラ11は、
図6(D)及び(E)に示すように、期間TBでは切替制御信号SW1及びSW2によりスイッチ回路13はオン、スイッチ回路14をオフに、それぞれ制御する。
【0074】
そして、この実施形態では、コントローラ11は、期間TA、期間TBのそれぞれにおいては、信号生成回路12において、発振回路からの交流信号に、中心電極5のみからの信号Scの送信期間と、中心電極5と周辺電極6とによる送信期間とを互いに識別するための識別情報を付加する制御を行う。さらに、この実施形態では、期間TAにおいては、筆圧検出モジュール4を構成する可変容量コンデンサ4Cの静電容量に基づいて芯体を構成する中心電極5に印加される筆圧を検出して、その検出した筆圧の情報(筆圧データ)をも付加するように制御する。したがって、この第1の実施形態においては、期間TAは他の期間TBよりも期間長が長いものとされる。
【0075】
このときの期間TA、TBにおけるコントローラ11における処理動作を、
図5及び
図6のタイミングチャートを参照しながら説明する。
【0076】
すなわち、期間TAにおいては、
図5(D)及び(E)に示すように、コントローラ11は、まずスイッチ回路13をオフにし、スイッチ回路14をオンとして、中心電極5のみを選択する状態にする。そして、この選択状態において、コントローラ11は、
図5(C)に示すように、制御信号CTを、一定期間ハイレベルを維持する状態とし、信号生成回路12を構成する発振回路からの交流信号を一定期間連続して出力するように制御する。これにより、この期間TAでは、中心電極5は、周波数f1の交流信号が一定期間連続するバースト信号が送出される状態になる(
図5(E)のバースト信号送信期間(A)参照)。
【0077】
この期間TAにおけるバースト信号送信期間(A)中に、コントローラ11は、
図3に示す可変容量コンデンサ4Cが接続されている端子Pcを制御して、筆圧検出モジュール4を構成する当該可変容量コンデンサ4Cに加えられた筆圧を求める。すなわち、コントローラ11は、端子Pcをハイレベルとすることで可変容量コンデンサ4Cを充電する。次いで、コントローラ11は、端子Pcを入力状態に切り替える。このとき、可変容量コンデンサ4Cに蓄えられた電荷はこれと並列に接続された抵抗Rによって放電され、可変容量コンデンサ4Cの電圧Ec(
図5(D)参照)は徐々に低下する。コントローラ11は、端子Pcを入力状態に切り替えてから、可変容量コンデンサ4Cの電圧Ecが、予め定めた閾値電圧以下に低下するまでの時間Tpを求める。この時間Tpは、求める筆圧に相当するものであり、コントローラ11は、この時間Tpから、筆圧を複数ビット、例えば10ビットの値として求める。
【0078】
そして、コントローラ11は、期間TAにおいては、バースト信号送信期間(A)を終了すると、制御信号CT(
図5(C)参照)を、所定の周期Tdでハイレベルまたはロウレベルとして、信号生成回路12を制御することにより、発振回路からの交流信号についてASK変調を行う。このとき、コントローラ11は、初回は制御信号CTをハイレベルとして所定の時間、信号を送出する(
図5(E)のスタート信号参照)。このスタート信号は、以降のデータ送出タイミングを位置検出装置201側で正確に判定することができるようにするための同期信号の役割を果たす。すなわち、位置検出装置201が受信した位置指示器100からのスタート信号の信号送出タイミングに位置検出装置201でのASK復調などの信号処理を同期させるために設けられている。位置検出装置201では、このスタート信号を利用して、位置指示器100から受信した信号のASK復調などの信号処理を同期させることができる。
【0079】
なお、バースト信号送信期間(A)及び後述するバースト信号送信期間(B)におけるバースト信号を、位置指示器100から送出させる信号の送出タイミング、すなわち同期信号として利用して位置検出装置201での信号処理を同期させることもできる。
【0080】
このスタート信号に続く2Tdの期間は、位置指示器100から信号Scを送出する電極を識別するための識別情報の送出区間である。すなわち、この期間TAは、中心電極5のみから信号Scを送出する送出区間であるので、コントローラ11は、この期間TAにおける識別情報の送出区間には、この例では、
図5(E)に示すように、中心電極5に対して2ビットの識別情報として、符号“00”を付与するように制御信号CTを制御する。
【0081】
中心電極5の識別情報に続いて、コントローラ11は、前述した動作により求めた例えば10ビットの筆圧データを順次送信する。即ち、コントローラ11は、送信データが“0”のときは制御信号CT(
図5(C)参照)をロウレベルとして信号生成回路12を構成する発振回路からの交流信号の発生を停止し、送信データが“1”のときは制御信号CT(
図5(C)参照)をハイレベルとして信号生成回路12の発振回路から交流信号を発生させるように制御することでASK変調を行う(
図5(E)の筆圧データ送信期間参照)。
図5(C)では、送信する筆圧が“0101110101”であることを例示している。
【0082】
10ビットの筆圧データの送信を終了すると、コントローラ11は、中心電極5のみに信号Scを送出する期間TAを終了して、中心電極5と周辺電極6の両方に信号Scを供給する期間TBに切り替えるために、スイッチ回路13をオン、スイッチ回路14をオフにするように切替制御信号SW1,SW2により切替制御する(
図6(D)、(E)参照)。
【0083】
そして、この中心電極5と周辺電極6の両方に信号Scを供給する期間TBになると、コントローラ11は、期間TAと同様にして、
図5(C)に示すように、制御信号CTを、一定期間ハイレベルを維持するように制御し、信号生成回路12の発振回路からの交流信号を一定期間連続して、信号Scとして出力するようにする。これにより、中心電極5と周辺電極6は、一定期間連続してバースト信号を送出する状態になる(
図5(E)のバースト信号送信期間(B)参照)。
【0084】
期間TBは、中心電極5のみならず、周辺電極6からも信号Scを送出する送出区間であるので、このバースト信号送信期間(B)を終了すると、コントローラ11は、制御信号CT(
図5(C)参照)をハイレベルとしてスタート信号を送出した後、中心電極5と周辺電極6とから信号Scが送出されることを示す、2ビットの識別情報を付与する。この例では“10”を付与するように、制御信号CTを制御する。前述したように、期間TBでは、筆圧検出動作は行わず、筆圧データの送信もしない。なお、中心電極5と周辺電極6の両方に信号Scを供給する期間TBにおいても、筆圧検出動作を行なって、筆圧データの送信をするようにしても勿論よい。
【0085】
期間TBにおいて、識別情報の送出を終了すると、コントローラ11は、期間TBを終了して送信区間TAに戻す切替制御を行うために、切替制御信号SW1,SW2によって
スイッチ回路13はオフ、スイッチ回路14はオンにする。
【0086】
以下同様にして、ステップS106の位置指示モードにおいては、コントローラ11は、期間TA、期間TBを順次に巡回的に切り替える制御を行う。
【0087】
このステップS106の次には、コントローラ11は、無線通信モジュール22を通じて無線通信が可能であるか否か判別し(ステップS107)、無線通信が可能であれば、無線通信モジュール22で受信する位置検出装置201からの信号を監視して、位置検出装置201からホバーモードの設定指示(ホバーモードへの変更指示)の信号を受信したか否か判別する(ステップS108)。このステップS108で、ホバーモードの指示を受信していないと判別したときには、コントローラ11は、処理をステップS106に戻して、このステップS106の処理を繰り返す。
【0088】
そして、ステップS108で、ホバーモードの指示を受信したと判別したときには、コントローラ11は、処理をステップS104に戻し、ホバーモードにおける処理を実行するようにし、その後、上述したステップS104以降の処理を繰り返す。
【0089】
そして、ステップS107で、無線通信モジュール22を通じて無線通信が可能ではないと判別したときには、コントローラ11は、処理をステップS103に進め、このステップS103以降の処理を実行する。
【0090】
<位置検出装置201の構成例>
次に、以上説明した位置指示器100と共に使用される、この第1の実施形態の位置検出装置201の構成例について説明する。
【0091】
図7は、この実施形態の位置検出装置201の概略構成例を説明するための図である。この例の位置検出装置201は、静電容量方式の位置検出装置の構成であり、いわゆるクロスポイント(相互容量)構成のセンサを備えており、指などの静電タッチ、特にマルチタッチを検出する場合は、第1の方向に配置された導体に送信信号を供給すると共に、第1の方向とは異なる第2の方向に配置された導体から信号を受信するように構成されている。また、指示体が、上述した位置指示器100のような、位置指示信号を送出のための電気回路と、この電気回路を駆動する駆動電源を備えたアクティブ静電ペンの場合には、第1の方向及び第2の方向に配置されたそれぞれの導体から信号を受信する構成となる。なお、クロスポイント型静電容量方式の位置検出装置の原理等については、この出願の出願人に係る出願の公開公報である特開2011−3035号公報、特開2011−3036号公報、特開2012−123599号公報等に詳しく説明されている。
【0092】
この実施形態の位置検出装置201は、
図7に示すように、タッチパネル(位置検出センサ)を構成するセンサ300と、制御装置部400とで構成されている。
【0093】
センサ300は、この例では、下層側から順に、Y導体群302、絶縁層、X導体群301を積層して形成されたもので、X導体群301とY導体群302とが互いに直交する方向に交差したグリッド構成を備える。Y導体群302は、
図7及び後述する
図9に示すように、例えば、横方向(X軸方向)に延在した複数のY導体302Y1、302Y2、…、302Yn(nは1以上の整数)を互いに所定間隔離して並列配置したものである。また、X導体群301は、Y導体302Y1、302Y2、…、302Ynに対して交差、この例では直交する縦方向(Y軸方向)に延在した複数のX導体301X1、301X2、…、301Xm(mは1以上の整数)を互いに所定間隔離して並列配置したものである。
【0094】
この実施形態のセンサ300では、X導体群301を構成する複数のX導体301X1、301X2、…、301Xmが第1の導体であり、Y導体群302を構成する複数のY導体302Y1、302Y2、…、302Ynが第2の導体である。このように、位置検出装置201では、X導体とY導体を交差させて形成したセンサパターンを用いて、指fgやアクティブ静電ペンを構成する位置指示器100などの指示体が指示する位置を検出する構成を備えている。
【0095】
そして、この実施形態の位置検出装置201は、例えばスマートフォンと呼ばれる携帯機器などの電子機器に搭載されて使用される。このため、センサ300は、電子機器が備える表示画面の大きさに対応したサイズを有している。画面サイズが例えば4インチ前後の大きさの指示入力面(センサ面)300Sは、光透過性を有する、X導体群301とY導体群302とによって形成されている。
【0096】
なお、X導体群301とY導体群302は、センサ基板の同一面側にそれぞれが配置される構成であってもよいし、センサ基板の一面側にX導体群301を配置し、他面側にY導体群302を配置する構成でもよい。
【0097】
制御装置部400は、センサ300との入出力インターフェースとなるマルチプレクサ401と、指タッチ/ペン検出回路402と、制御回路403とからなる。
【0098】
制御回路403は、位置検出装置201の全体の動作を制御するためのもので、この例では、MPU(microprocessor unit)で構成されている。この実施形態の位置検出装置201は、指タッチの検出と、位置指示器100などによるペンタッチの検出とを時分割で行うように制御する。すなわち、この実施形態の位置検出装置201では、
図8に示すように、ペンタッチの検出を実行するペン検出期間PPと、指タッチの検出を実行する指タッチ検出期間PFとを交互に時分割で実行するようにしている。
【0099】
制御回路403は、マルチプレクサ401及び指タッチ/ペン検出回路402を、指タッチ検出期間PFとペン検出期間PPとで切替制御する。
【0100】
制御装置部400は、指タッチ検出期間では、X導体とY導体を交差させて形成したグリッド構成のセンサ300のセンサパターンのそれぞれの交点における静電容量が、指がタッチされた位置で変化するので、その静電容量の変化を検出することにより指タッチの位置を検出するようにする。
【0101】
また、制御装置部400は、ペン検出期間PPでは、位置指示器100から送出された信号Scをセンサ300で検出する。そして、制御装置部400は、この位置指示器100からの信号Scの受信情報に基づいて、位置指示器100がセンサ300のセンサ面300Sからある程度以上離れた距離、例えば1cm以上離れた距離にあるホバー状態にあるか、センサ300のセンサ面300Sに対して1cm以内の距離に近接した状態にあるかを判定し、その判定結果に基づいて、位置指示器100に対するモード指示信号を生成して、無線通信回路を通じて、位置指示器100に送信する。
【0102】
そして、位置指示器100がセンサ300のセンサ面300Sに対して例えば1cm以内の距離に近接した状態にあるときは、位置検出装置201では、この位置指示器100からの信号Scを、センサ300のX導体群301(第1の導体:X導体)のみならず、Y導体群302(第2の導体:Y導体)でも受信する。そして、制御装置部400は、第1の導体及び第2の導体を構成するそれぞれの導体について、位置指示器100から送出された信号Scのレベルを測定して、受信信号が高レベルとなっている第1の導体及び第2の導体のそれぞれを特定することで位置指示器100によるセンサ300上での指示を検出するようにする。
【0103】
また、センサ300のセンサ面300Sに当接した状態にあるときには、位置検出装置201では、位置指示器100によるセンサ300上での指示位置を検出するとともに、位置指示器100の中心電極5に印加された筆圧に対応したデータを受信して当該筆圧を検知すると共に、センサ300のセンサ面300Sに対する位置指示器100の傾き角を検出するようにする。
【0104】
<位置検出装置201の制御装置部400の構成例>
図9は、位置検出装置201の制御装置部400の構成図の一例を示したもので、主としてペン検出回路402Pの部分を中心として抽出した構成例を示したものである。したがって、この
図9の構成例の回路は、ペン検出期間PPにおいて動作するものである。このペン検出回路402Pは、信号処理装置の第1の実施形態を構成する。
【0105】
この例のペン検出回路402Pは、
図9に示すように、センサ300に対して設けられる導体選択回路411と、増幅回路412と、バンドパスフィルタ回路413と、検波回路414と、サンプルホールド回路415と、アナログ−デジタル変換回路(以下、AD変換回路という)416とを備えると共に、前述した制御回路403を備える。
【0106】
さらに、ペン検出回路402Pには、無線通信回路を構成する無線通信モジュール417が、制御回路403に接続されている。この無線通信モジュール417は、位置指示器100の無線通信モジュール22と無線通信を行うためのもので、この実施形態では、ブルートゥース(登録商標)規格の近距離無線通信が用いられている。
【0107】
導体選択回路411は、前述したマルチプレクサ401の一部を構成する。増幅回路412と、バンドパスフィルタ回路413と、検波回路414と、サンプルホールド回路415と、AD変換回路416とは、前述した指タッチ/ペン検出回路402の内のペン検出回路の部分を構成する。
【0108】
導体選択回路411は、制御回路403からの制御信号CMに基づいて、第1の導体301X1〜301Xmおよび第2の導体302Y1〜302Ynの中からそれぞれ1本の導体を選択する。導体選択回路411により選択された導体は増幅回路412に選択的に接続され、位置指示器100からの信号が増幅回路412により増幅される。この増幅回路412の出力はバンドパスフィルタ回路413に供給されて、位置指示器100から送信される信号の周波数の成分のみが抽出される。
【0109】
バンドパスフィルタ回路413の出力信号は検波回路414によって検波される。この検波回路414の出力信号はサンプルホールド回路415に供給されて、制御回路403からのサンプリング信号により、所定のタイミングでサンプルホールドされた後、AD変換回路416によってデジタル値に変換される。AD変換回路416からのデジタルデータは制御回路403によって読み取られて、制御回路403の内部のROMに格納されたプログラムによって、処理される。
【0110】
すなわち、制御回路403は、サンプルホールド回路415、AD変換回路416、および導体選択回路411に、それぞれ制御信号を送出するように動作する。そして、制御回路403は、AD変換回路416からのデジタルデータから、位置指示器100のホバー状態の検出、位置指示器100がセンサ300上で指示する位置座標の検出、位置指示器100のセンサ300のセンサ面300Sに対する傾き角の検出のための信号処理を行う。
【0111】
次に、制御回路403における位置指示器100のホバー状態の検出処理について説明する。
【0112】
前述したように、位置指示器100は、ホバー状態においては、相対的に大きな信号レベルの信号Scを間欠的に、中心電極5及び周辺電極6の両方から送出するようにする。そして、位置検出装置201では、このホバー状態の検出処理においては、センサ300で位置指示器100から送出される信号を受信し、制御回路403が、当該センサ面300Sにおける位置指示器100の中心電極5及び周辺電極6からの信号の受信状態を判定することで、位置指示器100が、センサ面300Sに近接する所定の距離(高さ)以内のホバー位置に在るか否かを判定する。この例では、前述したように、近接する所定の距離以内とは、センサ面300Sと位置指示器100の中心電極5の先端5aとの距離が、例えば1cm以内とされる。
【0113】
制御回路403は、この実施形態では、ホバー状態の検出処理のために、ソフトウエアプログラムによるソフトウエア処理機能として、
図9に示すように、オブジェクト領域検出回路4031と、オブジェクト領域出現状態判定回路4032と、判定結果指示回路4033とを備える。
【0114】
ここで、オブジェクト領域とは、中心電極5及び周辺電極6のそれぞれから送出される信号によってセンサ300上で形成される感応領域である。以下の説明においては、説明の簡単のため、中心電極5及び周辺電極6のそれぞれから送出される信号によってセンサ300上で形成されるオブジェクト領域のそれぞれを、中心電極5のオブジェクト領域及び周辺電極6のオブジェクト領域と呼ぶことにする。
【0115】
図10は、位置指示器100の芯体を構成する中心電極5の先端5aのセンサ面300Sからの距離の違いに応じたセンサ上のオブジェクト領域の出現状態の変化を説明するための図であり、便宜上、位置指示器100がセンサ面300Sに対して直立した状態となっている場合である。この
図10の左側には、位置指示器100の中心電極5の先端5aの、センサ面300Sからの距離(高さ)を示し、中央には、その時のセンサ面300S上に形成されるオブジェクト領域の出現状態を示し、右側には、そのときに制御回路403で検出されるセンサ300の導体からの信号レベルを示している。なお、
図10では、信号レベルは、センサ面300Sの特定のY座標位置YiにおけるX座標方向の変化を示している。
【0116】
図10(A)は、位置指示器100の中心電極5の先端5aが、センサ面300Sよりも比較的遠く離れた高さh1の位置にある状態(第3のホバー状態)、例えば5cm以上離れた状態を示しており、センサ面300S上には、中心電極5及び周辺電極6のそれぞれのオブジェクト領域が互いに分離されずに全体として一塊となったようなオブジェクト領域OB1が形成される。そして、この時に制御回路403で検出されるセンサ300の導体からの信号レベルは、全体として低い状態となる。
【0117】
図10(B)は、位置指示器100の中心電極5の先端5aのセンサ面300Sからの高さが、前記高さh1よりは小さいが近接状態の高さh3(例えば2cm)よりも大きい高さh2の位置にある状態(第2のホバー状態)を示している。この時にも、センサ面300S上には、中心電極5のオブジェクト領域と周辺電極6のオブジェクト領域とが互いに明確に分離されることなく全体として一塊となっているオブジェクト領域OB2が形成される。ただし、このときには、制御回路403で検出されるセンサ300の導体からの信号レベルにより、中心電極5と周辺電極6とが互いに識別可能となるような場合もある。
【0118】
図10(C)は、位置指示器100の中心電極5の先端5aのセンサ面300Sからの高さが、前記高さh2よりは小さい近接状態の高さh3(例えば1cm)以内の位置にある状態(第1のホバー状態)場合を示している。この時には、センサ面300S上には、中心電極5のオブジェクト領域OBaと、周辺電極6のオブジェクト領域OBbとが、互いに分離されて得られる。そして、この時に制御回路403で検出されるセンサ300の導体からの信号レベルは、各オブジェクト領域OBa、OBbのそれぞれに応じたものとなる。
【0119】
なお、位置指示器100がセンサ面300Sに対して直立ではなく、所定の角度、傾いているときには、周辺電極6に対応して形成されるオブジェクト領域OBbの一部は、中心電極5のオブジェクト領域OBaと重なる場合があるが、少なくとも傾いた方向においては、周辺電極6のオブジェクト領域OBbは、中心電極5のオブジェクト領域OBaとは重ならずに、互いに分離した状態となる(
図11(D)参照)。
【0120】
この実施形態では、制御回路403は、この
図10(C)に示したように、中心電極5に対応するオブジェクト領域OBaが、周辺電極6のオブジェクト領域OBbの少なくとも一部と重ならずに、互いに分離した状態となった時に、位置指示器100がセンサ面300Sに近接した状態となったと判定するようにする。
【0121】
なお、中心電極5のオブジェクト領域OBaが、周辺電極6のオブジェクト領域OBbの少なくとも一部と重ならずに、互いに分離した状態となったことのみに基づいて、位置指示器100がセンサ面300Sに近接した状態となったと判定するのではなく、中心電極のオブジェクト領域OBaで得られる信号レベルが所定の閾値レベルLth以上となったことを併せて検出したときに、位置指示器100がセンサ面300Sに近接した状態となったと判定するようにしてもよい。その場合には、閾値レベルLthを変化させることにより、近接状態として検出する位置指示器100の中心電極5の先端5aの高さh3の設定を変えることができる。
【0122】
制御回路403では、オブジェクト領域検出回路4031で、位置指示器100から送出される信号によって形成されるオブジェクト領域の検出を行う。そして、オブジェクト領域出現状態判定回路4032において、検出されたオブジェクト領域の出現状態が、
図10(A),(B),(C)のいずれの状態にあるかをチェックし、検出されたオブジェクト領域が、
図10(C)の出現状態になっているかどうかを判定する。そして、オブジェクト領域出現状態判定回路4032は、その判定結果を、判定結果指示回路4033に渡す。判定結果指示回路4033は、オブジェクト領域出現状態判定回路4032から受け取った判定結果に応じて、ホバーモードあるいは位置指示モードのいずれかの指示情報を、無線通信モジュール417を通じて位置指示器100に送信する。
【0123】
なお、前述したように、判定結果指示回路4033では、位置指示器100に対して位置指示モードの指示をしていた状態から、位置指示器100がホバーモードの指示を送信する状態になったと判定したとしても、即座にはホバーモードの指示を位置指示器100に対して送信せず、位置指示モードの指示をしていた状態から、ホバーモードの指示を送信する状態になったと判定する状態が所定時間以上、例えば5秒以上連続したと判別したときに、位置指示器100に対してホバーモードの指示を送信するようにする。
【0124】
次に、位置検出装置201のペン検出回路402Pにおける、位置指示器100の指示位置及び傾き角を検出するときの動作について以下に説明する。
【0125】
制御回路403は、この実施形態では、ソフトウエアプログラムによるソフトウエア処理機能として、
図9に示すように、指示位置検出回路4034と、傾き角検出回路4035とを備える。指示位置検出回路4034と、傾き角検出回路4035は、位置指示器100に位置指示モードを指示した状態、つまり、位置指示器100がセンサ面300Sに対して高さh3以内に近接した第1のホバー状態が検出された場合において動作するように制御される。
【0126】
このとき、位置指示器100は、前述したように、位置検出装置201からの位置指示モードの設定指示に応じて、期間TAでは中心電極5からのみ信号Scを送出し、期間TBでは中心電極5及び周辺電極6の両方から信号Scを送出する。そして、位置検出装置201のセンサ面300Sにおいては、
図10(C)に示したように、中心電極5及び周辺電極6によって形成されるオブジェクト領域OBa及びOBbが互いに分離して検出可能な状態となっている。
【0127】
そして、位置指示モードにおいては、位置指示器100からの信号Scには、当該信号Scを供給する電極を識別する識別情報が含まれているので、ペン検出回路402Pの制御回路403では、その識別情報を検出することで、各オブジェクト領域OBa,OBbからの受信信号をそれぞれ識別して取得することができる。すなわち、位置指示器100からは、
図5に示した期間TAにおいては、中心電極5からのみ
図5(E)に示したような信号Sc(識別情報“00”)が送出されて、オブジェクト領域OBaのみがセンサ300で検出される。また、期間TBにおいては、中心電極5と周辺電極6との両方から
図5(E)に示したような信号Sc(識別情報“10”)が送出されて、センサ300では、オブジェクト領域OBaに加えて、オブジェクト領域OBbが検出される。
【0128】
制御回路403の指示位置検出回路4034では、中心電極5のオブジェクト領域OBaの重心位置を、位置指示器100によるセンサ300上の指示位置として検出する。ここで、オブジェクト領域OBaの重心位置とは、オブジェクト領域OBa内のセンサ300上の複数の導体に得られる信号レベルを用いて算出される位置である。
【0129】
すなわち、
図11(A)に示すように、位置指示器100がセンサ面300Sに垂直となっているときには、
図11(B)に示すように、オブジェクト領域OBaは真円形状となって、位置指示器100の芯体を構成する中心電極5による指示位置Ptは、オブジェクト領域OBaの中心位置に一致する。これに対して、
図11(C)に示すように、位置指示器100が傾いている場合には、センサ面300S上のオブジェクト領域OBaは、
図11(D)に示すように楕円となり、しかも、位置指示器100による指示位置Ptは、オブジェクト領域OBaの中心位置からずれた状態となる。
【0130】
しかし、オブジェクト領域OBa内に含まれるセンサ300上の導体に得られる信号のレベルは、中心電極5の先端5aの指示位置に応じた信号レベルとなっており、位置指示器100により指示された位置として、ほぼ正しく得られる。
【0131】
次に、この実施形態では、制御回路403の傾き角検出回路4035は、この例では、位置指示器100の中心電極5に対応するオブジェクトOBaと、周辺電極6に対応するオブジェクト領域OBbの形状及び両者の関係から、位置指示器100の傾き角を求める。すなわち、位置指示器100がセンサ面300Sに対して垂直となっているときには、オブジェクト領域OBaは真円であり、また、オブジェクト領域OBbはオブジェクトOBaと中心位置が一致するドーナツ形状となる。
【0132】
一方、位置指示器100が
図11(C)に示すように傾くと、
図11(D)に示すように、オブジェクト領域OBaは傾いている方向を長軸とし、その傾きに応じた長径の長さとなる楕円形状となると共に、オブジェクト領域OBbも、傾いている方向に、延伸したドーナツ形状となる。よって、これらオブジェクト領域OBa及びオブジェクト領域OBbの形状及び両者の関係から、位置指示器100の傾きを検出することができる。
【0133】
次に、以上のように構成される制御回路403における、位置指示器100の傾きを検出する処理の流れの一例を、
図12のフローチャートを参照しながら説明する。
【0134】
制御回路403は、位置指示器100からの信号Scをセンサ300の導体群を通じて受信して、オブジェクト領域検出回路4031の機能によりオブジェクト領域の検出処理を実行する(ステップS201)。
【0135】
ステップS201で、オブジェクト領域の検出処理を終了したら、制御回路403は、オブジェクト領域出現状態判定回路4032の機能により、オブジェクト領域のセンサ面300S上における出現状態をチェックし、オブジェクト領域が互いに分離して検出することできる状態であるか否かを判定する。オブジェクト領域が互いに分離して検出することができる状態であれば、それぞれのオブジェクト領域について、中心電極5、周辺電極6のいずれのオブジェクト領域であるかの領域属性を判定する(ステップS202)。
【0136】
そして、制御回路403は、オブジェクト領域出現状態判定回路4032の機能により、中心電極5のオブジェクト領域が、周辺電極6のオブジェクト領域と分離して識別可能であるか否かを判別する(ステップS203)。
【0137】
ステップS203で、中心電極5によって形成されるオブジェクト領域が、周辺電極6によって形成されるオブジェクト領域と分離して識別することできないと判別したときには、制御回路403は、オブジェクト領域出現状態判定回路4032の機能により、前に位置指示モードの指示を位置指示器100に送信していた状態から、所定時間、例えば5秒が経過したか否か判別する(ステップS204)。
【0138】
このステップS204で、前に位置指示モードの指示を送出していた状態から所定時間以上経過していると判別したときには、制御回路403は、判定結果指示回路4033の機能により、無線通信モジュール417を通じて、ホバーモードの設定指示を、無線信号により位置指示器100に送信する(ステップS205)。制御回路403は、このステップS205の次には、処理をステップS201に戻し、このステップS201以降の処理を繰り返す。
【0139】
また、ステップS203で、中心電極5によって形成されるオブジェクト領域が、周辺電極6によって形成されるオブジェクト領域と分離して識別可能であると判別したときには、制御回路403は、判定結果指示回路4033の機能により、無線通信モジュール417を通じて、位置指示モードの設定指示を、無線信号により位置指示器100に送信する(ステップS206)。ステップS204で、前に位置指示モードの指示を送出していた状態から所定時間以上経過していないと判別したときにも、制御回路403は、このステップS206に進んで、無線通信モジュール417を通じて、位置指示モードの指示を、無線信号により位置指示器100に送信する。
【0140】
ステップS206により位置指示モードの設定指示を位置指示器100に送信した後には、制御回路403は、指示位置検出回路4034の機能により、前述したようにして、位置指示器により指示されたセンサ300上の位置を検出する(ステップS207)。
【0141】
次に、制御回路403は、位置検出装置201、あるいは位置検出装置201が接続されている電子機器が位置指示器100の傾き角の検出を要求しているか否かを判別し(ステップS208)、傾き角の検出が要求されていないときには、処理をステップS201に戻し、このステップS201以降の処理を繰り返す。また、ステップS208で、位置指示器100の傾き角の検出が要求されていると判別したときには、制御回路403は、傾き角検出回路4035の機能により、位置指示器100の傾き角を検出する(ステップS209)。その後、制御回路403は、処理をステップS201に戻し、このステップS201以降の処理を繰り返す。
【0142】
なお、位置指示器100は、
図9に示す位置検出装置201のペン検出回路402Pから無線通信モジュール417を介して位置指示モード及びホバーモードの設定指示のいずれも受信しないときには、自身をホバーモードの状態に設定する。
【0143】
[第1の実施形態の効果]
上述した第1の実施形態の位置指示器100においては、ホバーモード時には、中心電極5及び周辺電極6に供給される交流信号の信号レベルは、位置指示モードの時よりも大きな信号レベルが設定されるために、位置検出装置201での位置指示器100のホバー状態を感度良く検出できる。そして、交流信号の信号レベルを大きくしても、交流信号は位置指示器100から間欠的に送出されるため、消費電力を抑えることができる。
また、中心電極5及び周辺電極6の両方から交流信号を送出することで、位置検出装置201のセンサ300に効率良く信号を送出することができ、位置検出装置201での位置指示器100のホバー状態の検出感度が向上する。
【0144】
そして、位置検出装置201では、位置指示器100から受信した信号に基づいて、位置検出装置201のセンサ300のセンサ面300S上で位置指示器100が所定のホバー状態にあるか否かを識別し、位置指示器100が位置検出装置201のセンサ300のセンサ面300Sに対して十分に近接したホバー状態にある場合、位置指示器100に位置指示モードの設定指示を送信するようにしているので、位置検出装置201では、位置指示器100がセンサ面300Sに当接していないホバー状態のときから、指示位置の検出ができるようになると共に、必要に応じて、位置指示器100の傾き角を検出することができるようになる。
【0145】
[第1の実施形態の変形例]
なお、上述の実施形態では、ホバーモードにおいては、位置指示器100は、中心電極5と周辺電極6との両方から信号Scを送出するようにしたが、周辺電極6のみから信号Scを送出するように構成してもよい。
【0146】
また、上述の第1の実施形態では、位置検出装置201のペン検出回路402Pから、無線通信モジュール417を通じてホバーモードの設定指示と、位置指示モードの設定指示の両方を位置指示器100に送信するようにしたが、ホバーモードの設定指示は送出せずに、位置指示器100がセンサ面300Sに対して所定の距離(高さ)まで近接したことが検出されたことに対応して、位置指示器100を位置指示モードに設定する信号をセンサ300を通じて位置指示器100に繰り返し指示し、位置指示器100では位置指示モードを設定する信号がセンサ300を通じて所定時間例えば5秒継続して受信できないときには位置指示器100自らが位置指示モードを解除するように構成してもよい。更には、位置指示器100がセンサ面300Sに対して所定の距離(高さ)まで近接したことが所定時間検出されなかったことに対応して、位置指示器100をホバーモードに設定する指示を、無線通信モジュール417を通じて、位置検出装置201のペン検出回路402Pから位置指示器100に送信してもよい。このように構成すれば、ホバーモードと位置指示モードにおける一方のモードのみを設定する指示を行うことで、モードの切替制御を行うことができる。
【0147】
なお、上述の実施形態では、位置指示モード時には、信号生成回路12で生成された信号Scが中心電極5に供給されるときと、中心電極5及び周辺電極6とに供給されるときとを識別するために識別情報を信号Scに含めるようにして位置指示器100から送出するようにした。しかし、両者を識別する方法としては、識別情報を信号Scに含める方法に限られるものではない。
【0148】
例えば上述の実施形態では、中心電極5にのみ供給する信号Scには、筆圧データを含め、中心電極5と周辺電極6とに供給する信号Scには、筆圧データを含めてはいない。したがって、位置検出装置201では、筆圧データが含められている信号Scを受信しているときには、位置指示器100では中心電極5のみから信号Scが送出されていることを識別することができ、その次の期間は、中心電極5と周辺電極6から信号Scが送出されることが識別可能となる。
【0149】
また、同様の考えから、中心電極5にのみ信号Scが送出される期間TAの期間長と、中心電極5と周辺電極6とから信号Scが送出される期間TBの期間長との違いから、位置指示器100で中心電極5のみが選択され、また、中心電極5と周辺電極6とが共に選択されていることを識別するようにすることもできる。
【0150】
また、例えば中心電極5のみから信号Scが送出される期間TAの後にのみ、所定長の信号休止期間を設けたり、休止期間の代わりに、他と区別可能の所定の信号を挿入したりして、中心電極5のみから信号Scが送出される期間TAと、中心電極5と周辺電極6とから信号Scが送出される期間を識別することができるようにしてもよい。
【0151】
また、複数の周波数の信号が生成できるように信号生成回路12に設けられた発振回路を構成し、ホバーモードにおいては、その一方の周波数の信号を中心電極5と周辺電極6とに供給するようにし、位置指示モードにおいては、中心電極5と周辺電極6とに互いに異なる周波数の信号を供給するようにすることで、位置検出装置で、中心電極5と周辺電極6とを識別することができるようにしてもよい。
【0152】
また、上述の実施形態におけるそれぞれのホバー状態の検出処理において、オブジェクト領域出現状態判定回路4032は、位置指示器100の中心電極5の先端5aが、位置検出装置201のセンサ面に近接する状態を、中心電極5が、周辺電極6と識別可能となったか否かにより判定するようにした。しかし、この方法に限らず、オブジェクト領域出現状態判定回路4032は、中心電極5のオブジェクト領域の大きさ及び/または周辺電極6のオブジェクト領域の大きさが、所定の大きさか否かに基づいて、位置指示器100の中心電極5の先端5aの、位置検出装置201のセンサ面への近接状態を判定するようにしてもよい。
【0153】
また、上述の実施形態では、位置指示モードにおいては、位置指示器100の傾き角を求めるために、期間TBを設けるようにしたが、傾き角を検出する必要がない場合には、期間TAのみを実行するようにしてもよい。
【0154】
更には、第1の実施形態では、位置指示器100は、ホバーモードと位置指示モードとの切り替えを位置検出装置から無線通信モジュールを通じて受信した信号に基づいて行うようにした。しかし、位置指示器におけるホバーモードと位置指示モードとのモード切り替えは、位置検出装置から無線通信モジュールを通じて受信した信号に基づいて行うのではなく、位置指示器自身のみで行うように構成することもできる。
【0155】
すなわち、上述の第1の実施形態では、位置指示器100がセンサ面300Sに対して所定の距離(高さ)まで近接したか否かの判別を、位置指示器100から送出される信号によって形成されるオブジェクト領域の出現状態の検出に基づいて行い、この検出結果に基づいてホバーモードと位置指示モードとの間のモード切替を行っている。これに対し、位置指示器100が備える圧力検出手段としての筆圧検出モジュール4での筆圧検出結果を用いることで、位置検出装置からの信号によらずに、位置指示器自身で、ホバーモードと位置指示モードとの切り替えを行うことができる。具体的には、ホバーモードに設定されている位置指示器100が、位置指示器100の芯体である中心電極5が位置検出装置201のセンサ面に接触して、所定の圧力(ゼロ以上)が中心電極5に印加されたことが筆圧検出モジュール4で検出されたことに対応して、ホバーモードから位置指示モードに切り替えて信号を送出するものである。それ以外の動作については前述した通りである。
【0156】
このように構成した場合には、筆圧検出モジュール4で検出された筆圧値に基づいて、位置指示器100の芯体としての中心電極5が位置検出装置201のセンサに当接したことを検出してホバーモードから位置指示モードに切り替えるようにするので、使用者による位置指示器100を用いた位置指示の意思を的確に反映したモードの切替制御を行うことができる。
【0157】
[第2の実施形態]
上述の第1の実施形態では、位置検出装置201のペン検出回路402Pの判定結果指示回路4033からの判定結果であるホバーモードの設定指示及び位置指示モードの設定指示は、無線通信モジュール417及び無線通信モジュール22を通じて位置指示器100に送信するようにした。しかし、位置検出装置201のペン検出回路402Pからのホバーモードの設定指示及び位置指示モードの設定指示は、位置検出装置201のセンサ300から、位置指示器100の中心電極5を通じて伝送するようにすることもできる。この第2の実施形態は、その場合の一例である。この第2の実施形態の位置指示器100Aの機構的構成は、
図2及び
図3に示した第1の実施形態の位置指示器100と同様である。
【0158】
この第2の実施形態の位置指示器100Aの信号処理回路の構成例を
図13に示す。この
図13において、
図3に示した上述した第1の実施形態の位置指示器100の信号処理回路の構成例と同一部分には、同一参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0159】
この第2の実施形態では、
図13に示すように、切替スイッチ回路16を設け、その共通接点端子を中心電極5に接続する。そして、この切替スイッチ回路16の一方の固定接点端子Tを、信号生成回路12の出力端に接続し、他方の固定接点端子Rを受信アンプ17を介してコントローラ11の信号受信端子Rvに接続する。そして、コントローラ11は、この切替スイッチ回路16に切替制御信号SW3を供給する。その他は、
図3に示した第1の実施形態の位置指示器100と同様に構成する。なお、この第2の実施形態では、コントローラ11は、無線通信モジュール22を介して、位置指示器100Aの識別情報及びサイドスイッチの情報を位置検出装置201に送信する。
【0160】
この第2の実施形態の位置指示器100Aでは、コントローラ11は、ホバーモードにおいては、切替制御信号SW3により、切替スイッチ回路16を、
図6に示した間欠的なバースト信号の送信期間では、固定接点端子Tに接続するようにすると共に、この間欠的なバースト信号の送信直後においては、センサ300からの信号を受信するのに十分な期間だけ、固定接点端子Rに接続するように切り替え制御する。
【0161】
また、コントローラ11は、位置指示モードにおいては、切替制御信号SW3により、切替スイッチ回路16を、適宜の間欠的なタイミング、例えば
図5(E)に示したバースト信号送信期間の直後において、センサ300からの信号を受信するのに十分な期間だけ、固定接点端子Rに接続するようにすると共に、他の期間は固定接点端子Tに接続するように切り替え制御する。
【0162】
一方、位置検出装置201のペン検出回路402Pは、位置指示器100Aから受信したバースト信号に基づいて、当該バースト信号の受信が途絶えた時点をスタート時点として、判定結果指示回路4033から、ホバーモードの設定指示または位置指示モードの設定指示の情報を、センサ300を通じて位置指示器100Aに送信する。
【0163】
位置指示器100Aのコントローラ11は、位置検出装置201からホバーモードの指示を受信したときと、位置検出装置201から何も信号を受信できないときには、位置指示器100Aをホバーモードの状態とする。そして、位置検出装置201から位置指示モードの指示を受信したときには、位置指示器100Aを位置指示モードに切り替えるようにする。
【0164】
なお、この第2の実施形態の場合に、位置検出装置201のペン検出回路402Pは、ホバーモードの設定指示は送出せずに、位置指示器100Aがセンサ面300Sに対して所定の距離まで近接したことが検出されたら、位置指示モードの設定をセンサ300を通じて位置指示器100Aに指示し、位置指示器100Aがセンサ面300Sに対して所定の距離まで近接したことが検出されない状態が所定時間例えば5秒以上継続したことが検出されたら、位置指示モード解除指示を位置指示器100Aに指示するようにしてもよい。
【0165】
上述の第2の実施形態においては、位置指示器100Aは、第1の実施形態と同様に、ホバーモードと位置指示モードとの切り替えを、位置検出装置201からの指示情報により行うようにしたが、前述したように、筆圧検出モジュール4の筆圧値に応じてホバーモードと位置指示モードとの間でのモード切替を行うようにしても勿論良い。
【0166】
[第3の実施形態]
上述の実施形態では、位置指示モードにおいては、信号生成回路12で生成された信号Scを中心電極5、周辺電極6を通じて送信するようにした。第3の実施形態の位置指示器100Bでは、位置指示モードでは、位置検出装置201Cからの信号を静電結合により受信し、その受信した信号を信号増強するなどして、位置検出装置201に帰還させるようにする。
【0167】
この第3の実施形態の位置指示器100Bの機構的構成は、
図2及び
図3に示した第1の実施形態の位置指示器100と同様である。第3の実施形態の位置指示器100Bは、信号処理回路の構成が、上述の第1〜第2の実施形態とは異なる。
図14に、この第3の実施形態の位置指示器100Bの信号処理回路の構成例を示す。この
図14において、
図3に示した信号処理回路の構成例と同一部分については、同一参照符号を付してある。
【0168】
この第3の実施形態では、信号生成回路12は、ホバーモードにおいては、
図6(A)(B)に示した第1の信号レベルGN1の間欠的な信号(バースト信号)を、信号Scとして送出し、中心電極5と周辺電極6の両方から送出するようにする。
【0169】
そして、この第3の実施形態では、信号生成回路12は、位置指示モードの期間TAにおいては発振器の発振を停止する。そして、この期間TAでは、周辺電極6で位置検出装置201のセンサからの信号を受信し、その受信信号に対して所定の信号処理を施した信号を、中心電極5を通じて、位置検出装置201のセンサに帰還させるようにする。ここで、所定の信号処理は、この例では、信号増強処理であり、センサから受信した信号の信号レベルを所定の信号レベルに増幅する処理の他に、センサから受信した信号の波形を変形させる処理、あるいは入力信号の位相を制御する処理も含まれる。
【0170】
なお、この第3の実施形態では、筆圧検出モジュール4で検出された筆圧値の情報は、無線通信モジュール22を通じて位置検出装置201に、サイドスイッチの情報や位置指示器100Bの識別情報と共に無線送信される。
【0171】
また、この第3の実施形態では、信号生成回路12は、位置指示モードの期間TBにおいては、第2の信号レベルGN2の信号を、信号Scとして送出し、中心電極5と周辺電極6の両方から送出するようにする。なお、この期間TBに送出される信号Scには、前述の実施形態と同様に識別情報を含む。
【0172】
以上のようにするために、この第3の実施形態では、
図14に示すように、信号処理回路においては、スイッチ回路171,172,173,174と、送信信号処理回路175とが設けられる。
【0173】
そして、スイッチ回路171の可動接点端子は中心電極5に接続され、一方の固定接点端子Hは信号生成回路12の出力端に接続され、他方の固定接点端子Dはスイッチ回路173の可動接点端子に接続される。また、スイッチ回路172の可動接点端子は周辺電極6に接続され、一方の固定接点端子Hは信号生成回路12の出力端に接続され、他方の固定接点端子Dはスイッチ回路174の可動接点端子に接続される。
【0174】
そして、スイッチ回路173及び174の一方の固定接点端子SLは、信号生成回路12の出力端に接続される。また、スイッチ回路174の他方の固定接点端子Pは送信信号処理回路175の入力端に接続され、スイッチ回路173の他方の固定接点端子Pは送信信号処理回路175の出力端に接続される。
【0175】
そして、コントローラ11からの切替制御信号SW4により、スイッチ回路171及び172が、ホバーモードのときには、一方の固定接点端子H側に、位置指示モードのときには、他方の固定接点端子Dに、それぞれ切り替えられる。また、コントローラ11からの切替制御信号SW5により、スイッチ回路173及び174が、位置指示モードの期間TAでは他方の固定接点端子P側に、期間TBでは一方の固定接点端子SL側に、それぞれ切り替えられる。
【0176】
以上のように構成されるので、この第3の実施形態の位置指示器100Bにおいては、ホバーモードのときには、コントローラ11からの切替制御信号SW4によりスイッチ回路171及び172が固定接点端子H側に接続されるので、上述の実施形態と同様に、第1の信号レベルGN1の信号が間欠的に、中心電極5及び周辺電極6の両方から送出される。
【0177】
そして、位置検出装置201からの指示情報により、位置指示モードとなると、位置指示器100Bでは、コントローラ11からの切替制御信号SW4によりスイッチ回路171及び172が固定接点端子D側に接続される。そして、この位置指示モードにおいては、コントローラ11からの切替制御信号SW5により、期間TAでは、スイッチ回路173及び174が固定接点端子Pに接続されるので、周辺電極6で受信された位置検出装置201のセンサからの信号が送信信号処理回路175に入力されて、前述した所定の信号処理がなされる。そして、送信信号処理回路175の処理結果の信号が、中心電極5を通じて位置検出装置201のセンサに送信(帰還)される。
【0178】
また、位置指示モードの期間TBでは、コントローラ11からの切替制御信号SW5により、スイッチ回路173及び174が固定接点端子SLに接続されるので、信号生成回路12からの第2の信号レベルGN2の信号が、中心電極5及び周辺電極6を通じて送出される。位置検出装置201では、この期間TBでの受信信号から、前述と同様にして、位置指示器100Bのセンサ面に対する傾き角を検出することができる。
【0179】
なお、以上の第3の実施形態の説明では、位置指示モードの期間TAにおいては、位置検出装置201のセンサからの信号を周辺電極6で受信し、当該受信信号を送信信号処理回路175で処理した後、中心電極5を通じて送出することで、センサに帰還させるようにしたが、位置検出装置201のセンサからの信号を中心電極5で受信し、当該受信信号を送信信号処理回路175で処理した後、周辺電極6を通じて送出することで、センサに帰還させるようにしてもよい。
【0180】
また、上述の第3の実施形態においては、位置指示器100Bは、第1の実施形態と同様に、ホバーモードと位置指示モードとの切り替えを、位置検出装置201からの指示情報により行うようにしたが、前述したように、筆圧検出モジュール4の筆圧値に応じてホバーモードと位置指示モードとの切り替えを行うようにしても勿論良い。
【0181】
[その他の実施形態または変形例]
上述の実施形態では、ホバーモードにおいては、中心電極と周辺電極との両方から送出するようにしたが、周辺電極のみから送出するようにしてもよい。
【0182】
また、上述の実施形態では、ホバーモードと位置指示モードとでは、同じ周波数の信号を送出するようにしたが、周波数が異なる信号を送出するように構成してもよい。また、位置指示モードの期間TAと、期間TBとでも、異なる周波数の信号を送出するように構成してもよい。その場合には、期間TAと期間TBとにおいてそれぞれ含めるようにした2ビットの識別情報は、省略するようにすることができる。