【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度独立行政法人情報通信研究機構「高度通信・放送研究開発/ソーシャル・ビッグデータ利活用・基盤技術の研究開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【解決手段】 処理装置31の記憶装置31Aには、複数日の体温データD3、感情の指標となるココロ指数MI、体調の指標となるカラダ指数PCIが蓄積される。処理装置31は、記憶装置31Aに蓄積された体温データD3等に基づいて、平均低温期日数NLm、平均高温期日数NHmを算出する。処理装置31は、平均低温期日数NLm、平均高温期日数NHmに基づいて、月経周期内での第1〜第8ステージS1〜S8の中から、予測日のステージSaに該当するものを特定する。処理装置31は、予測日のステージSaにおけるココロ指数MIおよびカラダ指数PCIと、予測日の気象情報とに基づいて、予測日における被測定者Hの健康状態を推定する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態による健康予測システムを添付図面に従って詳細に説明する。
【0021】
まず、本発明の健康予測システムの一部を構成するウエアラブルセンサ装置1(以下、センサ装置1という)について説明する。
【0022】
図1ないし
図4に示すように、センサ装置1は、後述のケーシング2、体表温度検出部3、外気温度検出部4、コントロールユニット6、表示部11等によって大略構成されている。
【0023】
ケーシング2は、センサ装置1の本体(主支持体)を構成している。
図1ないし
図3に示すように、ケーシング2は、例えば樹脂材料を用いて略楕円形(卵形)の箱形状に形成され、その内部には後述の回路基板5等が収容されている。
【0024】
体表温度検出部3は、被測定者Hの体表の温度を検出する。この体表温度検出部3は、例えばサーミスタ等からなる測温素子によって構成されている。体表温度検出部3は、ケーシング2のうち被測定者Hの体表面側に配置される。このため、被測定者Hの体表面H0にケーシング2が接触し、体表温度がケーシング2を通じて測温素子に熱伝導する。ここで、ケーシング2の体表温度検出部3が接触する部分の樹脂素材は、薄く加工されている。これにより、体表温度検出部3は、測温素子によって被測定者Hの体表温度に応じた信号を出力する。
【0025】
なお、体表温度検出部3は、被測定者Hの体表面H0に接触して体温を直接的に検出する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、体表温度検出部3は、例えば下着等を介して被測定者Hの体温を間接的に検出する構成としてもよく、例えば被測定者Hの体内の温度を検出する深部温度計を用いる構成としてもよい。
【0026】
外気温度検出部4は、外気温度を検出する。
図3に示すように、外気温度検出部4は、ケーシング2のうち被測定者Hの体表面H0とは反対側(背面側)に位置している。外気温度検出部4と体表温度検出部3との間には、後述の回路基板5が配置されている。そして、外気温度検出部4は、ケーシング2の背面側に位置しているから、ケーシング2を介して外気温度を検出し、外気温度に応じた信号を測温素子から出力する。
【0027】
回路基板5は、ケーシング2の内部に収容されている。
図4に示すように、回路基板5には、マイクロコンピュータ等からなる読込み手段としてのコントロールユニット6が搭載されている。そして、コントロールユニット6は、その入力側が体表温度検出部3および外気温度検出部4に接続されると共に、その出力側が後述の表示部11に接続されている。また、コントロールユニット6には記憶手段として例えばROM、RAM等からなる記憶部7が設けられている。
【0028】
ここで、記憶部7には、コントロールユニット6を作動させるプログラムと該プログラムで使用する開始時刻ts、終了時刻te、時間間隔Δtが予め格納されている。また、記憶部7には、コントロールユニット6の作動によって後述の体表温度検出データD1、外気温度検出データD2、体温データD3が記憶される構成となっている。
【0029】
このとき、開始時刻tsと終了時刻teは就寝中の時刻として例えば午前0時(ts=0:00am)と午前6時(te=6:00am)とにそれぞれ設定され、時間間隔Δtは例えば10分程度の値に設定される。なお、開始時刻ts、終了時刻teは、被測定者Hが例えば夜間勤務者であれば、その就寝の開始時刻および終了時刻に設定されるものである。また、時間間隔Δtも、10分に限らず、例えば1〜30分程度の間で測定条件等に応じて適宜設定されるものである。
【0030】
また、コントロールユニット6は、時刻を計時するタイマ8を有すると共に、例えば3個のボタンスイッチ9A〜9Cからなるスイッチ部9が接続されている。そして、コントロールユニット6は、ケーシング2に搭載されたコイン型リチウム電池等の電源10によって駆動し、スイッチ部9を操作することによって記憶部7からプログラムを読出して作動する。これにより、コントロールユニット6は、タイマ8による時刻が開始時刻tsに達すると、開始時刻tsから終了時刻teまでの間に亘って一定の時間間隔Δt毎に体表温度検出部3から検出温度に応じた体表温度検出データD1を読込むと共に、外気温度検出部4から検出温度に応じた外気温度検出データD2を読込む。
【0031】
そして、コントロールユニット6は、これらの体表温度検出データD1と外気温度検出データD2を記憶部7に順次記憶する。これにより、記憶部7には、開始時刻tsから終了時刻teまでの複数の体表温度検出データD1からなる時系列の体表温度データ群DG1と、複数の外気温度検出データD2からなる時系列の外気温度データ群DG2とが記憶される。
【0032】
また、記憶部7は、コントロールユニット6による温度検出データD1,D2のうち予め設定された温度の許容範囲(例えば32℃〜40℃)以内の値で、かつ温度変化の許容範囲(例えば±1℃/10分)以内の値を正常な値とし、許容範囲以外の値を異常な値としてデータ群DG1,DG2を記憶する。具体的には、正常な値は温度検出データD1,D2をそのまま記憶し、異常な値は欠損データ(例えば正常な値と識別可能なエラーフラグ)が記憶される。なお、温度の許容範囲および温度変化の許容範囲は、例示した値に限らず、測定条件等を考慮して適宜設定してもよい。
【0033】
コントロールユニット6は、基礎体温変動の指標となる代表温度T3の決定において、温度検出データD1,D2のうち、D1<D2となる場合は候補から外し、温度検出データD1のうちの最高値を当日の代表温度T3に決定する。最高値以外の体表温度検出データD1は、外部から冷やされる要因の影響を受けたと考えられるため、センサ装置1の装着時にケーシング2が一番よい条件で身体深部温度を反映していると推測できる最高値を代表温度T3として決定し、この代表温度T3に応じた体温データD3を記憶部7に記憶する。
【0034】
表示部11は、ケーシング2の背面側に設けられ、液晶画面等によって構成されている。この表示部11はコントロールユニット6に接続され、例えばコントロールユニット6の駆動状態を表示する。また、表示部11は、記憶部7に記憶した体表温度検出データD1、外気温度検出データD2および体温データD3を後述する外部の処理装置31に転送する転送手段を構成し、スイッチ部9を操作することによって、例えばQRコード(登録商標)等の2次元コードを表示する。ここで、この2次元コードは、記憶部7に記憶した1日分(1晩分)のデータD1〜D3およびURL(Uniform Resource Locator)等のようにデータの送信先アドレスの情報を含む。このため、被測定者Hは、2次元コードの読取り機能を有する携帯端末21等を使用することによって、携帯端末21内に2次元コード内の情報を読み込む。
図5に示すように、被測定者Hは、インターネット等の通信網NTを介して携帯端末21を外部の処理装置31にアクセスし、処理装置31に向けてデータD1〜D3を転送することができる。
【0035】
また、被測定者Hは、センサ装置1のスイッチ部9を操作することにより、月経開始日データを入力する構成としてもよい。この場合、被測定者Hは、センサ装置1および携帯端末21を用いて前述と同様に2次元コードの表示、読込み、送信の操作を行うことによって、月経開始日データを処理装置31に転送することができる。
【0036】
なお、転送手段は、表示部11による2次元コード表示を用いる構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、コントロールユニット6と後述の携帯端末21との間を例えばケーブル接続による有線方式または赤外線、Bluetooth(登録商標)による無線方式を用いて接続するコネクタ等の接続部を設け、この接続部によって転送手段を構成してもよい。また、例えば体温データD3および月経開始日は、処理装置31にアクセスして直接入力してもよい。
【0037】
クリップ12は、ケーシング2を被測定者Hに取付ける装着手段を構成している。このクリップ12は、ケーシング2の中央側に位置してケーシング2の表面を覆い、その先端が自由端となってケーシング2に弾性的に押付けられている。また、クリップ12のうち表示部11と対応した位置には、クリップ12を厚さ方向に貫通した開口部12Aが設けられている。これにより、表示部11は、開口部12Aを通じて目視可能になっている。そして、クリップ12とケーシング2との間には、衣服等を挟持可能になっている。このため、クリップ12は、
図1に示すように、ショーツ等の下着を挟むことによって、センサ装置1を被測定者Hの腹部に固定する。
【0038】
なお、センサ装置1は被測定者Hの腹部に限らず、例えば被測定者Hの胸部に固定する構成としてもよい。この場合、クリップ12は、就寝時に着用する下着等に取付けるものである。
【0039】
次に、健康予測システムの一部を構成する携帯端末21について説明する。
図5、
図7ないし
図14に示すように、携帯端末21は、例えば携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistant)等によって構成され、例えばインターネット等の通信網NTを通じて、後述の処理装置31にアクセス可能になっている。この携帯端末21は、マイク21A、カメラ21B、モニタ装置21Cを備え、内蔵されたプログラムを実行することによって、感情判定手段、貧血度合い判定手段として機能する。
【0040】
図7に示すように、携帯端末21は、健康予測システム用のプログラムが実行されると、モニタ装置21Cには、各種の操作や処理を選択可能なメニュー画面22が表示される。このメニュー画面22では、体温データ処理部23、感情データ処理部24、体調データ処理部25、長期グラフ処理部26のいずれかを選択することができる。
【0041】
被測定者Hがメニュー画面22中で体温データ処理部23を選択すると、体温データ処理プログラムが起動する。これにより、携帯端末21は、2次元コードの読込み処理等を実行して、センサ装置1からデータD1〜D3を取得すると共に、これらのデータD1〜D3を処理装置31に転送する。
【0042】
また、被測定者Hがメニュー画面22中で感情データ処理部24を選択すると、感情データ処理プログラムが起動する。これにより、携帯端末21は、感情判定手段として機能する。このとき、携帯端末21のモニタ装置21Cには、
図8に示すように、被測定者Hの感情を判定するための感情判定画面24Aが表示される。
【0043】
この感情判定画面24Aでは、例えば「今日は何年何月何日の何曜日ですか?」、「お天気はどうでしょう?」等の質問を表示する。これらの質問は、モニタ装置21Cへの画面出力に限らず、スピーカ(図示せず)による音声出力でもよい。
図9に示すように、この質問に対して被測定者Hが音声で回答すると、携帯端末21は、マイク21Aを通じて、この回答を録音する。携帯端末21は、録音した回答の音声に対して、例えばその周波数成分を解析することによって、「興奮」、「哀しみ」、「喜び」、「怒り」等のような被測定者Hの感情成分の大小を複数段階(例えば7段階)で判定する。そして、携帯端末21は、感情の判定結果を、
図10に示すような感情判定結果画面24Bによって表示すると共に、このように取得した感情のデータを処理装置31に転送する。なお、感情の判定には、被測定者Hの音声に加えて、被測定者Hの顔の表情を考慮してもよい。
【0044】
処理装置31は、これらの感情データに基づいて、感情の良否の指標となるココロ指数MIを算出する。例えば「喜び」の感情成分が大きいときには、感情が良好である考えられるため、処理装置31はココロ指数MIを大きくする。一方、「哀しみ」や「怒り」の感情成分が大きいときには、感情が乱れている考えられるため、処理装置31はココロ指数MIを小さくする。ココロ指数MIは、例えば最大値を100とした百分率で表示される。
【0045】
また、被測定者Hがメニュー画面22中で体調データ処理部25を選択すると、体調データ処理プログラムが起動する。これにより、携帯端末21は、体調判定手段として機能する。このとき、携帯端末21は、被測定者Hの体調として、頭痛度合い(頭痛指数)と貧血度合い(貧血指数)とを取得する。
【0046】
具体的に説明すると、
図11に示すように、携帯端末21のモニタ装置21Cには、頭痛度合いを入力するための頭痛情報入力画面25Aが表示される。このとき、被測定者Hは、現在の頭痛の大きさを、例えば「0」〜「5」までの6段階で自己判断し、頭痛の大きさに応じた数値を入力する。これにより、携帯端末21は、入力された数値を頭痛度合いとして取得する。なお、頭痛度合いは、6段階で入力するものに限らず、頭痛があるか否かの2段階で入力してもよく、3〜5段階で入力してもよく、7段階以上で入力してもよい。
【0047】
頭痛度合いの入力が終了すると、携帯端末21のモニタ装置21Cには、
図12に示すように、被測定者Hの貧血度合いを判定するための貧血判定画面25Bが表示される。この貧血判定画面25Bでは、写真の撮影画面に切り換わると共に、例えば「あっかんべーをしましょう。」等のように、被測定者Hの指先で下瞼を下方に引張り、被測定者Hに対して下瞼の裏側を露出させるように促す。このとき、写真の撮影画面には、眼球と下瞼の裏側部分を所定位置に配置するために、例えば枠形状のマーク25Cが表示される。
図12および
図13に示すように、被測定者Hは、マーク25Cに下瞼の裏側部分等を位置合わせした状態で、携帯端末21に内蔵されたカメラ21Bによって、眼球周囲の画像を撮影する。携帯端末21は、撮影した下瞼の裏側部分の赤色成分等を解析することによって、例えば血液中のヘモグロビン濃度等を推測し、貧血度合い(貧血指数)を判定する。携帯端末21は、取得した貧血度合いのデータを複数日に亘って集計し、
図14に示すような貧血指数表示画面25Dによって表示する。携帯端末21は、頭痛度合いおよび貧血度合いの取得が終了すると、これらの情報を処理装置31に転送する。
【0048】
処理装置31は、これらの頭痛度合いおよび貧血度合いに基づいて、体調の良否の指標となるカラダ指数PCIを算出する。例えば頭痛度合いまたは貧血度合いが小さいときには、体調が良好である考えられるため、処理装置31はカラダ指数PCIを大きくする。一方、頭痛度合いまたは貧血度合いが大きいときには、体調が不良である考えられるため、処理装置31はカラダ指数PCIを小さくする。カラダ指数PCIは、例えば最大値を100とした百分率で表示される。
【0049】
また、被測定者Hがメニュー画面22中で長期グラフ処理部26を選択すると、長期グラフ処理プログラムが起動する。これにより、携帯端末21は、処理装置31にアクセスして、処理装置31の記憶装置31Aに記憶された複数日の感情データ(ココロ指数MI)、体調データ(カラダ指数PCI)や排卵期、月経開始日等の解析結果を読込む。携帯端末21は、
図25に示すように、複数日間の体温データD3と一緒に、測定日毎のココロ指数MI、カラダ指数PCIを表示する。
【0050】
また、携帯端末21は、処理装置31による解析結果として、
図23に示す棒グラフの集合からなる月経周期グラフ27や、
図24に示す略円形のステージ表示盤28を表示する。
【0051】
次に、健康予測システムの一部を構成する処理装置31について説明する。処理装置31は、センサ装置1によって計測した体温データD3を用いて、現在または近未来の予測日における被測定者Hの健康状態を予測する。
図5に示すように、処理装置31は、例えば各種のサーバコンピュータによって構成され、ROM、RAM等からなる記憶装置31A(記憶手段)を有している。処理装置31は、予測日ステージ特定手段、健康状態予測手段、移行時期特定手段、ステージ決定手段、排卵期推定手段、気象情報取得手段等を備えている。
【0052】
また、処理装置31は、通信網NTを介して、気象庁のHP等のような気象データセンタ32にアクセス可能となっている。処理装置31は、気象データセンタ32から現在および将来の気象情報(気象データ)を取得する。そして、処理装置31は、記憶装置31Aに蓄積された複数日間の体温データD3と、気象情報とに基づいて、予測日における被測定者Hの健康状態を推定する。
【0053】
なお、処理装置31は、センサ装置1から転送された体温データD3を用いる場合に限らない。処理装置31は、例えばセンサ装置1のコントロールユニット6と同様の処理を行うことによって、当日の体表温度データ群DG1と外気温度データ群DG2とに基づいて体温データD3(代表温度データ)を求めてもよい。また、処理装置31の記憶装置31Aには、複数周期分の体温データD3が記憶されているのが好ましいが、予測日のステージSaを特定するためには、例えば1周期分の体温データD3等が記憶されているものでもよい。
【0054】
本実施の形態による健康予測システムは上述のような構成を有するもので、次に
図15を用いて健康予報処理について説明する。
【0055】
ここで、被測定者Hがセンサ装置1から処理装置31に毎日の体温データD3を転送することによって、処理装置31の記憶装置31Aには、
図6に示すように、予め複数周期分(n周期分の月経周期MC1〜MCn)の体温データD3が体温データ系列ST0として蓄積されているものとする。そして、処理装置31は、被測定者Hからの要請指令等を受け取ることによって、後述の健康予報処理を開始する。
【0056】
このとき、月経周期MC0は、現在進行中の月経周期を示し、月経周期MC1は、直前に終了した月経周期を示している。従って、月経周期MC2〜MCnになるに従って、過去に遡った月経周期を示している。
【0057】
まず、ステップ1では、被測定者Hは月経開始日を入力すると共に、例えば月経による出血の有無のような月経継続情報を入力する。これに加えて、ステップ1では、健康状態を予測する予測日を入力する。予測日は、例えば当日でもよく、数日後(例えば2〜3日後)でもよい。予測日の範囲は、例えば現在から次回の排卵期までの範囲、現在から次回の月経開始日までの範囲、現在から1周期分の月経周期日数後までの範囲等が考えられる。
【0058】
なお、月経開始日および月経継続情報は、センサ装置1等によって予め入力され、記憶装置31Aに格納されていてもよく、新たに入力してもよい。また、処理装置31の記憶装置31Aには、体温データD3が蓄積された期間内における複数の月経開始日Ds0〜Dsnおよび月経継続日数DX0〜DXnが記憶される。このとき、月経開始日Ds0が最新の月経開始日を表し、月経開始日Dsnが最古の月経開始日を表している。また、月経継続日数DX0が最新の月経継続日数を表し、月経継続日数DXnが最古の月経継続日数を表している。
【0059】
続くステップ2では、蓄積されたn周期分の体温データD3のうち欠損データを補充する。測定の失念、測定状態の不備等により欠損データが発生した場合には、例えばその前日および後日の体温データD3を用いて線形補間を行い、欠損データを補充する。また、該当周期の平均値±1℃の範囲から外れた体温データD3は、発熱や計測不備による不適切な値であると考えられる。このため、このような体温データD3についても、欠損データと同様に線形補間によって求めた値に置換する。これにより、体温データ系列ST0は、欠損データが補充された体温データ系列ST1に変換される。なお、欠損データ等の補充は、線形補間に限らず、各種の補間処理を用いて補充してもよい。
【0060】
次に、ステップ3では、
図16に示すように、平均月経周期日数Nmを特定する平均月経周期日数特定処理を行う。ステップ4では、
図17に示すように、低温期と高温期の判定を行う月経周期(例えば直前に終了した月経周期MC1)において、体温データD3を平均して周期平均温度Tmを演算する周期平均温度演算処理を行う。
【0061】
ステップ5では、
図18に示すように、ステップ4で算出した周期平均温度Tmを用いて月経周期における低温期と高温期を判定する。ステップ6では、
図19に示すように、排卵期および月経開始日の推定処理を実行する。ステップ7では、
図20に示すように、月経周期(例えば現在の月経周期MC0)内における予測日のステージSaを特定する。ステップ8では、
図21に示すように、予測日の健康状態を予測する。
【0062】
最後に、ステップ9では、ステップ8によって特定した健康状態の予測結果等を、携帯端末21に出力し、携帯端末21のモニタ装置21Cに表示する。
【0063】
次に、ステップ3による平均月経周期日数特定処理について、
図16を参照しつつ説明する。
【0064】
ステップ11では、自己申告周期日数N0を入力する。なお、自己申告周期日数N0は、センサ装置1等によって予め入力され、記憶装置31Aに格納されていてもよく、新たに入力してもよい。
【0065】
ステップ12では、低温期から高温期への移行時期を特定する月経周期MC1を基準として、該月経周期MC1とその前回の月経周期MC2とその前々回の月経周期MC3とからなる直近3周期分(月経周期MC1〜MC3)の月経周期日数Nmc1〜Nmc3を算出する。具体的には、直近3周期分の月経開始日Ds0〜Ds3を読み出し、月経開始日Ds0の前日から月経開始日Ds1までの日数を第1の月経周期日数Nmc1として算出する。同様に、月経開始日Ds1の前日から月経開始日Ds2までの日数を第2の月経周期日数Nmc2として算出し、月経開始日Ds2の前日から月経開始日Ds3までの日数を第3の月経周期日数Nmc3として算出する。
【0066】
ステップ13では、自己申告周期日数N0に基づいてそれぞれの月経周期日数Nmc1〜Nmc3が正常範囲内か否かを判定する。具体的には、月経周期日数Nmc1〜Nmc3が、自己申告周期日数N0を基準としてその前,後6日の範囲内(N0−6日≦Nmc1〜Nmc3≦N0+6日)にあるときには、正常であると判定し、それ以外の値になるときには非正常であると判定する。
【0067】
なお、ここでは、自己申告周期日数N0の前,後6日の範囲を正常範囲とした。しかし、正常範囲の基準はこれに限らず、例えば自己申告周期日数N0に対して前,後2日〜8日の範囲でもよく、自己申告周期日数N0に対して前,後10〜30%程度の範囲でもよく、被測定者Hの個人差、測定条件等を考慮して適宜設定できるものである。
【0068】
次に、ステップ14では、直近3周期分の月経周期日数Nmc1〜Nmc3が全て正常か否かを判定する。そして、ステップ14で「YES」と判定したときには、月経周期日数Nmc1〜Nmc3がいずれも正常範囲内にあるから、ステップ15に移行して、直近3周期分の月経周期日数Nmc1〜Nmc3を用いて平均月経周期日数Nmを算出する。具体的には、正常な月経周期日数Nmc1〜Nmc3の平均値によって平均月経周期日数Nmを算出する。
【0069】
一方、ステップ14で「NO」と判定したときには、ステップ16に移行して、直近3周期分の月経周期日数Nmc1〜Nmc3が全て非正常か否かを判定する。そして、ステップ16で「YES」と判定したときには、月経周期日数Nmc1〜Nmc3がいずれも正常範囲を外れているから、ステップ17に移行して、自己申告周期日数N0を平均月経周期日数Nmとして算出する。
【0070】
ステップ16で「NO」と判定したときには、ステップ18に移行して、月経周期日数Nmc1〜Nmc3のうち正常なものと自己申告周期日数N0とを用いて、平均月経周期日数Nmを算出する。例えば2つの月経周期日数Nmc1,Nmc2が正常で、1つの月経周期日数Nmc3が非正常の場合には、2つの月経周期日数Nmc1,Nmc2と1つの自己申告周期日数N0とを平均して平均月経周期日数Nmを算出する。また、1つの月経周期日数Nmc1が正常で、2つの月経周期日数Nmc2,Nmc3が非正常の場合には、1つの月経周期日数Nmc1と1つの自己申告周期日数N0とを平均して平均月経周期日数Nmを算出する。
【0071】
これにより、特定の月経周期日数だけが使用されることがなく、月経周期日数に基づく偏り等を低減することができる。そして、ステップ15,17,18が終了すると、リターンする。
【0072】
なお、平均月経周期日数Nmに小数点以下の値が発生する場合には、例えば切り上げ、切り捨て、四捨五入等の基準に基づいて、平均月経周期日数Nmが自然数になるようにする。
【0073】
また、以上の平均月経周期日数特定処理は、直前に終了した月経周期MC1について、低温期から高温期への移行時期を特定するために、直近3周期分の月経周期MC1〜MC3に基づいて平均月経周期日数Nmを算出した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば過去のm番目(m<n)の月経周期MCmについて移行時期を特定するときには、月経周期MCmとその前回の月経周期MCm+1とその次回の月経周期MCm-1とからなる前後3周期分の月経周期MCm-1〜MCm+1に基づいて平均月経周期日数Nmを算出してもよい。さらに、月経周期MCmとその次回の月経周期MCm-1とその次々回の月経周期MCm-2とからなる直後3周期分の月経周期MCm-2〜MCmに基づいて平均月経周期日数Nmを算出してもよい。
【0074】
次に、ステップ4による周期平均温度演算処理について、
図17を参照しつつ説明する。
【0075】
ステップ21では、今回の月経周期日数Nmc1と平均月経周期日数Nmとを比較する。具体的には、月経周期日数Nmc1が平均月経周期日数Nm以下であるか否かを判定する。
【0076】
ステップ21で「YES」と判定したときには、ステップ22に移行して、月経周期MC1について周期全体の体温データD3を平均して周期平均温度Tmを算出し、リターンする。
【0077】
一方、ステップ21で「NO」と判定したときには、ステップ23に移行して、月経周期MC1について周期最終日(月経開始日Ds0の前日)から数えて平均月経周期日数Nm分の体温データD3を平均して周期平均温度Tmを算出し、リターンする。
【0078】
例えばストレス等により被測定者Hの排卵が遅れて低温期(卵胞期)が長引き、正常時に比べて低温期が長期間となる場合がある。このように、月経周期日数Nmc1が平均月経周期日数Nmよりも長期になるのは、多くの場合は低温期が長引いたことによるものと考えられる。この場合、周期全体の体温データD3の平均値は低くなるから、低温期から高温期への移行を判定するためには、不適切な基準値になる傾向がある。
【0079】
そこで、予め被測定者Hの平均月経周期日数Nmを算出しておき、月経周期日数Nmc1が平均月経周期日数Nmを超えた場合には、周期最終日から平均月経周期日数Nmの体温データD3を平均して周期平均温度Tmを算出する。これにより、周期平均温度Tmが過剰に低下するのを防止できると共に、周期平均温度Tmを算出するときに不安定になり易い月経開始日Ns1付近の体温データD3を省くことができる。この結果、低温期の長期化に伴う周期平均温度Tmの低下を防ぐことができ、高温期か否かを判定する基準として適切な周期平均温度Tmを算出することができる。
【0080】
次に、ステップ5による低温期と高温期の判定処理について、
図18を参照しつつ説明する。
【0081】
ステップ31では、予め決められた所定の期間内で体温データD3と周期平均温度Tmとを比較する。ここで、所定の期間としては、例えば月経周期のうち低温期から高温期への移行が生じる可能性の高い期間として、月経開始日Ds1から12日以降で、かつ周期最終日である月経開始日Ds0の前日から16日以内が設定される。これは、日本産科婦人科学会が、卵胞期(低温期)日数の正常範囲を17.9日±6.2日とし、黄体期(高温期)日数の正常範囲を12.7日±1.6日と定めていることに基づいている。即ち、正常な低温期は少なくとも12日を超えると共に、正常な高温期は16日以内であると考えられるためである。
【0082】
なお、適切な移行時期を把握するための所定の期間としては、上述したものに限らない。所定の期間としては、例えば月経開始日Ds1から10日〜14日以降としてもよく、周期最終日から14日〜18日以内としてもよい。即ち、所定の期間は、被測定者Hの個人差等を考慮して、適宜設定することができる。
【0083】
次に、ステップ32では、2日以上続けて体温データD3が周期平均温度Tmを上回ったか否かを判定する。ステップ32で「YES」と判定したときには、ステップ33,34に移行して高温期と低温期の移行時期を特定し、高温期と低温期を判定する。具体的には、2日以上続けて体温データD3が周期平均温度Tmを上回ったときの初日とその前日との間に低温期から高温期に移行したものと判定する。
【0084】
このため、ステップ33では、2日以上続けて体温データD3が周期平均温度Tmを上回ったときの初日から周期最終日までの間を高温期と判定する。このとき、高温期の日数(高温期日数NH)も併せて算出する。また、ステップ34では、月経開始日Ds1から高温期の前日までを低温期と判定する。このとき、低温期の日数(低温期日数NL)も併せて算出する。そして、ステップ34が終了すると、リターンする。
【0085】
一方、ステップ32で「NO」と判定したときには、ステップ35に移行して、高温期に移行しなかったものと判定する。このとき、低温期日数NLおよび高温期日数NHは算出せず、リターンする。
【0086】
次に、ステップ6による排卵期および月経開始日の推定処理について、
図19を参照しつつ説明する。
【0087】
ステップ41では、直近3周期分の月経周期MC1〜MC3が正常か否かを判定する。具体的には、直近3周期分(月経周期MC1〜MC3)について、低温期から高温期への移行が判定できない場合には、非正常であると判定する。また、直近3周期分(月経周期MC1〜MC3)について、低温期から高温期への移行が判定できない場合には、さらに直近3周期分(月経周期MC1〜MC3)について、低温期日数NLと、高温期日数NHと、低温期平均温度TmLおよび高温期平均温度TmHの温度差ΔTとについて正常範囲内か否かを検討する。これらが正常範囲内になるときには、月経周期MC1〜MC3は正常であると判定し、正常範囲外になるときには、非正常であると判定する。なお、低温期日数NLと、高温期日数NHと、温度差ΔTの正常範囲は、被測定者Hの個人差等を考慮しつつ適宜設定される。
【0088】
続くステップ42では、月経周期MC1〜MC3が全て正常か否かを判定する。月経周期MC1〜MC3が全て正常と判定されたときには、ステップ42で「YES」と判定し、ステップ43に移行する。
【0089】
ステップ43では、直近3周期分の低温期日数NL1〜NL3を用いて平均低温期日数NLmを算出する。具体的には、低温期日数NL1〜NL3の平均値(NL1+NL2+NL3)/3によって平均低温期日数NLmを算出する。
【0090】
続くステップ44では、直近3周期分の高温期日数NH1〜NH3を用いて平均高温期日数NHmを算出する。具体的には、高温期日数NH1〜NH3の平均値(NH1+NH2+NH3)/3によって平均高温期日数NHmを算出する。
【0091】
一方、ステップ42で「NO」と判定したときには、ステップ45に移行して、月経周期MC1〜MC3が全て非正常か否かを判定する。月経周期MC1〜MC3が全て非正常と判定されたときには、ステップ45で「YES」と判定し、ステップ46に移行する。
【0092】
ステップ46では、平均低温期日数NLmを各年代の平均値に設定する。具体的には、各年代における低温期日数NLの平均値を記憶装置31Aに予め記憶しておき、記憶した各年代の低温期日数NLの平均値のうち被測定者Hの年齢が属する年代のものを選択して、平均低温期日数NLmに設定する。
【0093】
続くステップ47では、平均高温期日数NHmを各年代の平均値に設定する。具体的には、各年代における高温期日数NHの平均値を記憶装置31Aに予め記憶しておき、記憶した各年代の高温期日数NHの平均値のうち被測定者Hの年齢が属する年代のものを選択して、平均高温期日数NHmに設定する。
【0094】
なお、各年代の平均値は、例えば10代、20代等のように10歳間隔の年齢層で求めた平均値でもよく、例えば20代前半と20代後半のように5歳間隔の年齢層で求めた平均値でもよい。また、各年代に限らず、各年齢の平均値でもよい。
【0095】
ステップ45で「NO」と判定したときには、ステップ48に移行して、低温期日数NL1〜NL3のうち月経周期MC1〜MC3が正常と判定されたものを用いて平均低温期日数NLmを算出する。具体的には、月経周期MC1〜MC3のうち2つ(例えば月経周期MC1,MC2)が正常範囲であるときには、低温期日数NL1〜NL3のうちこれらに対応した2つの値(例えば低温期日数NL1,NL2)の平均値(例えば(NL1+NL2)/2)によって平均低温期日数NLmを算出する。また、月経周期MC1〜MC3のうち1つの(例えば月経周期MC1)だけが正常と判定されたときには、これに対応した値(例えば低温期日数NL1)を平均低温期日数NLmとして算出する。
【0096】
続くステップ49でも、ステップ48による平均低温期日数NLmの算出処理を同様な処理を行うことによって、高温期日数NH1〜NH3のうち月経周期MC1〜MC3が正常と判定されたものを用いて平均高温期日数NHmを算出する。
【0097】
これにより、特定の低温期日数や高温期日数だけが使用されることがなく、低温期日数や高温期日数に基づく偏り等を低減することができる。
【0098】
なお、平均低温期日数NLm、平均高温期日数NHmに小数点以下の値が発生する場合には、例えば切り上げ、切り捨て、四捨五入等の基準に基づいて、平均低温期日数NLm、平均高温期日数NHmが自然数になるようにする。
【0099】
また、以上では、直近3周期分の低温期日数NL1〜NL3に基づいて平均低温期日数NLmを算出した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば直近1周期分、直近2周期分の低温期日数に基づいて平均低温期日数NLmを算出してもよく、直近4〜6周期分の低温期日数に基づいて平均低温期日数NLmを算出してもよい。この点は、平均高温期日数NHmを算出する場合も同様である。即ち、直近1周期分、直近2周期分または直近4〜6周期分の高温期日数に基づいて、平均高温期日数NHmを算出してもよい。
【0100】
ステップ44,47,49が終了すると、ステップ50に移行して、
図20に示す次回排卵期の推定処理を実行する。続くステップ51では、今回の月経開始日Ds0と、平均低温期日数NLmと、平均高温期日数NHmとに基づいて、次回の月経開始日Dsxを推定する。具体的には、今回(最新)の月経開始日Ds0から平均低温期日数NLmと平均高温期日数NHmとを加算した日数(NLm+NHm)後の日を次回の月経開始日Dsxとして推定する。
【0101】
なお、平均低温期日数NLmと平均高温期日数NHmとを加算した日数に代えて、ステップ3の平均月経周期日数特定処理によって特定された平均月経周期日数Nmを用いてもよい。
【0102】
次に、ステップ52では今回の月経周期MC0の途中に高温期への移行があったか否かを判定する。ここで、ステップ52では、高温期への移行の有無を今回の月経周期MC0の途中で判定する。このとき、月経周期MC0全体の体温データD3が揃っておらず、周期平均温度Tmを求めることができないから、ステップ32に示した判定方法では、高温期の移行を判定することができない。
【0103】
そこで、ステップ52では、体温データD3が所定の高温期基準温度を上回ったときに低温期から高温期への移行が生じたものとして、低温期から高温期への移行時期を特定する。このとき、所定の高温期基準温度は、例えば特許第4933227号公報に開示されているように、低温期基準温度として月経周期MC0の4日目から11日目までの体温データD3の平均値に対して所定の温度差(例えば0.3℃)を加えた値に設定される。
【0104】
なお、低温期基準温度は、月経周期MC0の4日目から11日目までの体温データD3の平均値に限らず、例えば月経周期MC0の1日目から11日目までの体温データD3の平均値としてもよく、他の方法で特定してもよい。また、所定の温度差は、0.3℃に限らず、例えば被測定者Hの個人差等を考慮して0.2℃〜0.4℃の範囲で適宜設定してもよい。
【0105】
ステップ52で「YES」と判定したときには、高温期への移行が生じたから、ステップ53に移行する。ステップ53では、次回の月経開始日Dsxとして、高温期への移行日Doxから平均高温期日数NHm後の日、即ち低温期の最終日から平均高温期日数NHmだけ経過した日を推定する。これにより、ステップ51で推定した月経開始日Dsxを、高温期への移行判定に伴って更新した後、リターンする。
【0106】
一方、ステップ52で「NO」と判定したときには、高温期への移行は生じておらず、低温期を維持しているものと考えられる。このため、ステップ51で推定した月経開始日Dsxを維持して、そのままリターンする。
【0107】
ステップ50で求めた次回の排卵期の推定結果、およびステップ51,53で求めた次回の月経開始日Dsxは、例えば
図23に示す月経周期グラフ27と一緒に表示してもよく、被測定者Hの要求や操作に応じて月経周期グラフ27とは別個に表示してもよい。
【0108】
次に、
図19中のステップ50による次回排卵期の推定処理について、
図20を参照しつつ説明する。
【0109】
ステップ61では、ステップ31〜33と同様な処理を直近3周期分に対して実行し、直近3周期分の高温期日数NH1〜NH3を算出する。具体的には、直近3周期分(月経周期MC1〜MC3)について2日以上続けて体温データD3が周期平均温度Tmを上回ったか否かを判定し、2日以上続けて体温データD3が周期平均温度Tmを上回ったときの初日とその前日との間に低温期から高温期に移行したものと判定する。このため、2日以上続けて体温データD3が周期平均温度Tmを上回ったときの初日から周期最終日までの間を高温期と判定し、高温期日数NH1〜NH3を算出する。なお、低温期から高温期への移行が判定できないときには、その月経周期MC1〜MC3について、高温期日数NH1〜NH3は算出しない。また、
図19中のステップ42,45で非正常と判定された月経周期MC1〜MC3については、高温期日数NH1〜NH3は算出しない。
【0110】
続くステップ62では、高温期日数NH1〜NH3が全て算出されたか否かを判定する。そして、ステップ62で「YES」と判定したときには、高温期日数NH1〜NH3がいずれも算出されているから、ステップ63に移行して、直近3周期分の高温期日数NH1〜NH3を用いて平均高温期日数NHmを算出する。具体的には、高温期日数NH1〜NH3の平均値(NH1+NH2+NH3)/3によって平均高温期日数NHmを算出する。
【0111】
一方、ステップ62で「NO」と判定したときには、ステップ64に移行して、直近3周期分の高温期日数NH1〜NH3が全て非算出か否かを判定する。そして、ステップ64で「YES」と判定したときには、低温期から高温期への移行が判定できない、またはデータの蓄積不足によって、高温期日数NH1〜NH3がいずれも算出されていないものと考えられる。このため、ステップ65に移行して、後述するように一般的に排卵期との整合性が高い日数である13日に、平均高温期日数NHmを設定する。
【0112】
ステップ64で「NO」と判定したときには、ステップ66に移行して、高温期日数NH1〜NH3のうち算出されたものを用いて平均高温期日数NHmを算出する。具体的には、高温期日数NH1〜NH3のうち2つの値(例えば高温期日数NH1と高温期日数NH2)だけが算出されたときには、これらの平均値(例えば(NH1+NH2)/2)によって平均高温期日数NHmを算出する。また、高温期日数NH1〜NH3のうち1つの値(例えば高温期日数NH1)だけが算出されたときには、このときの値(NH1)を平均高温期日数NHmとして算出する。
【0113】
これにより、特定の高温期日数だけが使用されることがなく、高温期日数に基づく偏り等を低減することができる。
【0114】
なお、平均高温期日数NHmに小数点以下の値が発生する場合には、例えば切り上げ、切り捨て、四捨五入等の基準に基づいて、平均高温期日数NHmが自然数になるようにする。
【0115】
また、以上では、直近3周期分の高温期日数NH1〜NH3に基づいて平均高温期日数NHmを算出した。しかし、本発明はこれに限らず、直近1周期分、直近2周期分の高温期日数に基づいて平均高温期日数NHmを算出してもよく、直近4周期分以上の高温期日数に基づいて平均高温期日数NHmを算出してもよい。
【0116】
ステップ63,65,66が終了すると、ステップ67に移行して次回予定の月経開始日Dsを特定する。具体的には、今回の月経開始日Ds0からステップ3の平均月経周期日数特定処理によって特定された平均月経周期日数Nmだけ経過した日を次回予定の月経開始日Dsとして特定する。
【0117】
続くステップ68では、平均高温期日数NHmが正常範囲内か否かを判定する。具体的には、平均高温期日数NHmが11日〜16日までの範囲内であれば正常であると判定し、それ以外の値になるときは非正常であると判定する。
【0118】
なお、ここでは、11日〜16日までの範囲を平均高温期日数NHmの正常範囲とした。しかし、平均高温期日数NHmの正常範囲の基準はこれに限らず、例えば10日〜17日でもよく、12日〜15日でもよく、被測定者Hの個人差、測定条件等を考慮して適宜設定できるものである。
【0119】
ステップ68で「YES」と判定したときには、ステップ69に移行して、次回予定の月経開始日Dsから平均高温期日数NHm前の日を中心に、その前,後2日の範囲内を排卵期と推定する。例えば平均高温期日数NHmが11日であれば、月経開始日Dsよりも9日前〜13日前までの5日間を排卵期と推定する。平均高温期日数NHmが16日であれば、月経開始日Dsよりも14日前〜18日前までの5日間を排卵期と推定する。平均高温期日数NHmが12日〜15日のときも同様である。
【0120】
なお、排卵期を推定する所定範囲は、次回予定の月経開始日Dsから平均高温期日数NHm前の日を中心に、その前,後2日の範囲としたが、前,後1日の範囲でもよく、前,後3日の範囲でもよく、被測定者Hの個人差、測定条件等を考慮して適宜設定できるものである。
【0121】
一方、ステップ68で「NO」と判定したときには、ステップ70に移行して、平均高温期日数NHmが11日よりも短いときには、平均高温期日数NHmが正常範囲の最小日数となる11日であると仮定して、ステップ69と同様な処理によって排卵期を推定する。即ち、平均高温期日数NHmが11日よりも短い(NHm<11日)ときには、次回予定の月経開始日Dsから11日前の日を中心に、その前,後2日の範囲内を排卵期と推定する。
【0122】
また、平均高温期日数NHmが16日よりも長いときには、平均高温期日数NHmが正常範囲の最大日数となる16日であると仮定して、ステップ69と同様な処理によって排卵期を推定する。即ち、平均高温期日数NHmが16日よりも長い(NHm>16日)ときには、次回予定の月経開始日Dsから16日前の日を中心に、その前,後2日の範囲内を排卵期と推定する。
【0123】
ステップ69,70が終了すると、リターンする。ステップ69,70で求めた排卵期の推定結果は、例えば
図23に示す月経周期グラフ27と一緒に表示してもよく、被測定者Hの要求や操作に応じて月経周期グラフ27とは別個に表示してもよい。
【0124】
次に、ステップ7によるステージ特定処理について、
図21を参照しつつ説明する。
【0125】
ステップ71では、低温期における第1〜第4ステージS1〜S4の日数Ns1〜Ns4を決定する。具体的には、第1〜第4ステージS1〜S4の日数Ns1〜Ns4は、平均低温期日数NLmを4等分した日数(NLm/4)に設定される。なお、各ステージS1〜S4の日数Ns1〜Ns4に小数点以下の値が発生する場合には、例えば切り上げ、切り捨て、四捨五入等の基準に基づいて、日数Ns1〜Ns4が自然数になるようにする。
【0126】
ステップ72では、高温期における第5〜第8ステージS5〜S8の日数Ns5〜Ns8を決定する。具体的には、第5〜第8ステージS5〜S8の日数Ns5〜Ns8は、平均高温期日数NHmを4等分した日数(NHm/4)に設定される。なお、各ステージS5〜S8の日数Ns5〜Ns8に小数点以下の値が発生する場合には、例えば切り上げ、切り捨て、四捨五入等の基準に基づいて、日数Ns5〜Ns8が自然数になるようにする。
【0127】
ステップ73では、予測日を含む月経周期(例えば現在の月経周期MC0)の途中で高温期への移行があったか否かを判定する。具体的には、ステップ52と同様の判定処理を実行することによって、高温期への移行があったか否かを判定する。このとき、体温データD3が所定の高温期基準温度を上回ったときに低温期から高温期への移行が生じたものとして、低温期から高温期への移行時期(移行日Dox)を特定する。
【0128】
ステップ73で「YES」と判定したときには、現時点で高温期にあるものと考えられる。このため、ステップ74に移行し、高温期への移行日Doxから予測日までの経過日数Nx1を算出する。続くステップ75では、移行日Doxと経過日数Nx1とに基づいて、予測日のステージSaを決定する。
【0129】
例えば、経過日数Nx1が5日で、高温期における第5〜第8ステージS5〜S8の日数Ns5〜Ns8がいずれも3日であるときには、予測日のステージSaは第6ステージS6であると判定する。また、経過日数Nx1が15日で、低温期における第1〜第4ステージの日数Ns1〜Ns4がいずれも4日であり、高温期における第5〜第8ステージの日数Ns5〜Ns8がいずれも3日であるときには、予測日のステージSaは第1ステージS1であると判定する。そして、ステップ75が終了すると、リターンする。
【0130】
一方、ステップ73で「NO」と判定したときには、高温期への移行は生じておらず、現時点では低温期を維持しているものと考えられる。このため、ステップ76に移行し、最新の月経開始日Ds0から予測日までの経過日数Nx2を算出する。続くステップ77では、月経開始日Ds0と経過日数Nx2とに基づいて、予測日のステージSaを決定する。
【0131】
例えば、経過日数Nx2が5日で、低温期における第1〜第4ステージS1〜S4の日数Ns1〜Ns4がいずれも4日であるときには、予測日のステージSaは第2ステージS2であると判定する。また、経過日数Nx2が18日で、低温期における第1〜第4ステージS1〜S4の日数Ns1〜Ns4がいずれも4日であり、高温期における第5〜第8ステージS5〜S8の日数Ns5〜Ns8がいずれも3日であるときには、予測日のステージSaは第5ステージS5であると判定する。そして、ステップ77が終了すると、リターンする。
【0132】
次に、ステップ8による健康状態予測処理について、
図22を参照しつつ説明する。
【0133】
ステップ81では、処理装置31は、例えば気象庁のHP等のように現在および将来の気象情報(気象データ)が取得可能な気象データセンタ32にアクセスする。そして、処理装置31は、予め被測定者Hの在住地域として登録された地域に関して、例えば気圧、気温、天候等の気象情報を取得する。
【0134】
なお、予測日が現在よりも所定日数後(例えば1週間後)になると、気象情報が取得できない、または、気象情報が取得できたとしても、精度が低下する可能性がある。この場合には、気象情報を考慮せずに、以下の処理を続行する。
【0135】
ステップ82では、例えば直近3周期分の月経周期MC1〜MC3について、予測日のステージSaにおけるココロ指数MIの平均値MImを算出する。続くステップ83では、例えば直近3周期分の月経周期MC1〜MC3について、予測日のステージSaにおけるカラダ指数PCIの平均値PCImを算出する。
【0136】
なお、ココロ指数MIの平均値MImとカラダ指数PCIの平均値PCImは、直近3周期分の平均値に限らず、直近2周期分の平均値でもよく、直近4周期分以上の平均値でもよい。平均値MIm,PCImを求めるための周期数は、例えば被測定者Hの体調変化を考慮して適宜設定される。
【0137】
ステップ84では、予測日の天候情報と、予測日のステージSaにおけるココロ指数MI、カラダ指数PCIとの間の相関性を判定する。具体的には、予測日のステージSaにおいて、気圧等の天候情報とココロ指数MI、カラダ指数PCIとの間の相関係数を算出する。相関係数を算出するためのデータ(天候情報、ココロ指数MI、カラダ指数PCI)は、直近3周期分のものでもよく、直近2周期分のものでもよく、直近4周期分以上のものでもよい。
【0138】
ステップ85では、予測日の天候情報と、予測日のステージSaにおけるココロ指数MI、カラダ指数PCIとの間の相関性があるか否かを判定する。例えば相関係数が例えば0.7等のような所定値よりも大きいときには、両者に相関性があるものと考えられる。このため、ステップ85で「YES」と判定し、ステップ86に移行する。ステップ86では、天候情報の相関性を考慮して、ココロ指数MIの平均値MImとカラダ指数PCIの平均値PCImを増加または減少させ、ステップ87に移行する。なお、相関性の有無を判定する所定値は、0.7に限らず、例えば0.4程度でもよく、中程度の相関性が認められる0.4以上の範囲で適宜設定される。
【0139】
一方、予測日の天候情報と、予測日のステージSaにおけるココロ指数MI、カラダ指数PCIとの間の相関性がない場合、相関性が弱い場合、または、天候情報が存在しない場合には、ステップ85で「NO」と判定し、ステップ87に移行する。
【0140】
ステップ87では、ココロ指数MIの平均値MImとカラダ指数PCIの平均値PCImとに基づいて、予測日における被測定者Hの健康状態を予測する。例えば平均値MIm,PCImが所定の低下判定値Ct1(例えばCt1=20〜40%程度)よりも小さいときには、感情の乱れや体調の不良を予測する。これに対し、例えば平均値MIm,PCImが所定の上昇判定値Ct2(例えばCt2=60〜80%程度)よりも大きいときには、感情や体調が良好であると予測する。このとき、処理装置31は、健康状態の予測結果に併せて、予測結果に応じたアドバイス等も出力する。ステップ87が終了すると、リターンする。
【0141】
なお、予測日における被測定者Hの健康状態は、ココロ指数MIおよびカラダ指数PCIの平均値MIm,PCImは、互いに同じ基準で良否を判定してもよく、互いに異なる基準で判定してもよい。また、予測日における被測定者Hの健康状態は、ココロ指数MIおよびカラダ指数PCIの両方の平均値MIm,PCImに基づいて予測してもよく、いずれか一方に基づいて予測してもよい。さらに、予測日の健康状態として、感情に応じたココロ指数MIの平均値MImと、体調に応じたカラダ指数PCIの平均値PCImとを別個に予測してもよい。
【0142】
本実施の形態では、上述した健康予報処理を行うもので、次にこの処理を用いたときの被測定者Hの健康状態の予測結果について説明する。
【0143】
まず、処理装置31は、予め蓄積された6ヶ月分の体温データD3からなる体温データ系列ST0に対して、欠損データを補充する。次に、欠損データを補充した体温データ系列ST1を用いて月経周期MC1付近での平均月経周期日数Nmを特定すると共に、この平均月経周期日数Nmに基づいて周期平均温度Tmを演算する。そして、周期平均温度Tmを用いて低温期から高温期への移行時期を特定し、低温期日数NLおよび高温期日数NHを求める。
【0144】
また、直近3周期分の月経周期MC1〜MC3に基づいて、平均低温期日数NLmおよび平均高温期日数NHmを算出し、これらに基づいて、低温期の第1〜第4ステージS1〜S4の日数Ns1〜Ns4と高温期の第5〜第8ステージS5〜S8の日数Ns5〜Ns8とを求める。
【0145】
各ステージS1〜S8の日数Ns1〜Ns8、低温期から高温期への移行日Dox、最新の月経開始日Ds0に基づいて、予測日のステージSaを特定する。予測日の天候情報を考慮して、予測日のステージSaのココロ指数MIとカラダ指数PCIの平均値MIm,PCImを算出する。これらの平均値MIm,PCImに基づいて、予測日での被測定者Hの健康状態を推定する。最後に、健康状態の予測結果を、被測定者Hの携帯端末21のモニタ装置21C、または、被測定者Hによって処理装置31にアクセス可能な他のコンピュータ等の画面に表示する。
【0146】
このとき、処理装置31は、体温データ系列ST1を体温データD3の棒グラフの集合による画像として、携帯端末21等の出力機器に向けて出力する。具体的には、
図23および
図25に示すように、月経周期MC1分の体温データD3の系列を日々の体温データD3の棒グラフで表すと共に、この棒グラフを低温期と高温期とで互いに異なる色に分けて表示する。例えば低温期の棒グラフは寒色(例えば青、緑等)で表示し、高温期の棒グラフは暖色(赤、黄等)で表示する。
【0147】
また、
図23に示す月経周期グラフ27の一例では、被測定者Hが温度変化を把握し易いように、周期平均温度Tm、低温期平均温度TmL、高温期平均温度TmHの補助線を併せて表示している。さらに、棒グラフの周囲には、月経周期日数Nmc1、低温期日数NL、高温期日数NH、周期平均温度Tm、低温期平均温度TmL、高温期平均温度TmH、平均温度TmL,TmHの温度差ΔT、次回の排卵期、次回の月経開始日Dsxを併せて表示する。
【0148】
また、
図24に示すように、処理装置31は、予測日のステージSaを、略円形のステージ表示盤28を用いた画像として、携帯端末21等に出力する。ここで、ステージ表示盤28は、8等分の扇形部分28A〜28Hに分割され、これらの扇形部分28A〜28Hは、第1〜第8ステージS1〜S8にそれぞれ対応している。右側半分の扇形部分28A〜28Dは低温期の第1〜第4ステージS1〜S4に対応し、残余(左側半分)の扇形部分28E〜28Hは高温期の第5〜第8ステージS5〜S8に対応している。扇形部分28A〜28Hは、第1〜第8ステージS1〜S8の順番で時計回りに配置され、ステージ表示盤28の1周分が基礎体温の1周期に該当する。また、第1ステージS1の初日は、被測定者Hが申告する月経開始連絡に基づいて決定する。
【0149】
ステージ表示盤28は、予測日のステージSaに該当する扇形部分を、例えば他の部分と位置ずれさせることによって表示する。これにより、ステージ表示盤28は、被測定者Hが予測日において、第1〜第8ステージS1〜S8のいずれのステージに該当するのかを表示する。
【0150】
なお、予測日のステージSaの表示方法は、上述したものに限らず、扇形部分の内部にステージSaを示す記号を表示してもよく、点滅等によって表示してもよい。また、ステージ表示盤28内で第1〜第8ステージS1〜S8に対応した扇形部分28A〜28Hは、互いに異なる色で表示してもよい。この場合、低温期に応じた扇形部分28A〜28Dは、寒色(例えば藍、青、緑、黄緑等)で表示し、高温期に応じた扇形部分28E〜28Hは暖色(ピンク、赤、橙、黄等)で表示してもよい。
【0151】
さらに、
図26および
図27に示すように、携帯端末21のモニタ装置21Cには、処理装置31から出力される健康状態の予測結果等が表示される。具体的には、モニタ装置21Cには、ステージ表示盤28と一緒に予測日の健康状態として、ココロ指数MIの平均値MImとカラダ指数PCIの平均値PCImとが表示される。このとき、携帯端末21は、これらの平均値MIm,PCImと併せて、予測日の感情や体調の予測結果やこの予測結果に応じたアドバイス等を表示する。
【0152】
例えば、月経の前後では、頭痛や貧血が生じ易く、気分も低下する傾向がある。このため、第1ステージS1や第8ステージS8では、ココロ指数MIやカラダ指数PCIの低下が予測される。このとき、例えば
図26に示すように、予測日が第1ステージS1になると判定されたときには、第1ステージS1でのココロ指数MIの平均値MImとカラダ指数PCIの平均値PCImとを表示する。これにより、被測定者Hは、予測日に感情や体調が低下傾向であることを、予め把握することができる。
【0153】
一方、排卵期の前後では、体調が良好であり、気分も高まる傾向がある。このため、第4ステージS4や第5ステージS5では、ココロ指数MIやカラダ指数PCIの上昇が予測される。このとき、例えば
図27に示すように、予測日が第4ステージS4になると判定されたときには、第4ステージS4でのココロ指数MIの平均値MImとカラダ指数PCIの平均値PCImとを表示する。これにより、被測定者Hは、予測日に感情や体調が良好であることを、予め把握することができる。
【0154】
かくして、本実施の形態によれば、処理装置31は、体温データ系列ST0に基づいて、今日や近未来のような予測日において、被測定者Hが低温期と高温期のいずれであるか、また排卵期や月経期に近付いているか否かのような月経周期中のいずれのステージS1〜S8に該当するのかを特定する。処理装置31は、このように特定された予測日のステージSaに基づいて、感情や体調のような予測日の健康状態を予測することができる。この結果、被測定者Hは、例えば感情の起伏や体調の悪化のような健康状態を予め把握することができる。
【0155】
また、処理装置31は、月経周期MC0内で低温期から高温期への移行時期(移行日Dox)を判定したときに、移行日Doxに基づいて予測日のステージSaを特定する。このため、高温期への移行時期を考慮して予測日のステージSaを特定するから、高温期への移行時期を考慮しない場合に比べて、低温期日数NLの変動部分の影響を受けることがなく、予測日のステージSaの推定確度を高めることができる。
【0156】
処理装置31は、予測日のステージSaと、記憶装置31Aに記憶された予測日のステージSaと同じステージの健康状態とに基づいて予測日における健康状態を予測する。具体的には、記憶装置31Aに記憶された予測日のステージSaと同じステージのココロ指数MIとカラダ指数PCIの平均値MIm,PCImを演算することによって、予測日の健康状態を推定する。このため、被測定者毎に記憶された過去の健康状態に基づいて健康状態を予測するから、一般的な月経周期と健康状態との関連性に基づいて健康状態を予測する場合に比べて、被測定者Hに適合した健康状態を予測することができる。
【0157】
これに加えて、処理装置31は、予測日の気象情報を取得するから、予測日の気象情報を考慮して、被測定者の健康状態を予測することができる。このため、例えば季節、気温、気圧等のような気象条件に応じて被測定者Hの体調や感情が変化するときでも、このような体調等の変動を考慮して、健康状態を予測することができ、健康状態の予測精度を高めることができる。
【0158】
また、携帯端末21は、被測定者Hの音声によって感情を判定し、被測定者Hの下瞼の裏側の画像によって貧血の度合いを判定する。このため、被測定者Hが主観的に感情や体調を入力する場合に比べて、感情や体調を客観的に把握することができる。
【0159】
なお、前記実施の形態では、
図15中のステップ7および
図21に示すステージ特定処理がステージ特定手段の具体例を示し、
図15中のステップ8および
図22に示す健康状態予測処理が健康状態予測手段の具体例を示し、
図21中のステップ73が移行時期特定手段の具体例を示し、ステップ74〜77がステージ決定手段の具体例を示している。
【0160】
また、前記実施の形態では、
図19中のステップ43,46,48が平均低温期日数特定手段の具体例を示し、
図19中のステップ44,47,49が平均高温期日数特定手段の具体例を示し、
図19中のステップ50および
図20に示す次回排卵期の推定処理が排卵期推定手段の具体例を示し、
図19中のステップ51〜53が月経開始日推定手段の具体例を示している。
【0161】
また、前記実施の形態では、
図15中のステップ3および
図16に示す平均月経周期日数特定処理が平均月経周期日数特定手段の具体例を示し、
図16中のステップ13が正常月経周期判定手段の具体例を示し、
図16中のステップ14〜18が日数演算手段の具体例を示し、
図15中のステップ4および
図17に示す周期平均温度演算処理が周期平均温度演算手段の具体例を示し、
図22中のステップ81が気象情報取得手段の具体例を示している。
【0162】
また、前記実施の形態では、月経周期を8個のステージS1〜S8に分割して、予測日のステージSaを特定するものとした。しかし、本発明はこれに限らず、各ステージS1〜S8を前半と後半とに分けて、合計16個のステージ中で、予測日のステージSaを特定してもよい。また、第1〜第4ステージS1〜S4は、低温期を4等分したが、必ずしも均等な日数に分割する必要はなく、例えば第1〜第4ステージS1〜S4が互いに異なる日数に分割してもよい。同様に、第5〜第8ステージS5〜S8は、高温期を4等分したが、必ずしも均等な日数に分割する必要はなく、例えば第5〜第8ステージS5〜S8が互いに異なる日数に分割してもよい。さらに、8個のステージS1〜S8とは別個に、次回排卵期での健康状態を予測してもよい。この場合、過去の排卵期での健康状態を参照することによって、次回排卵期での健康状態を予測することができる。
【0163】
また、前記実施の形態では、貧血度合いを測定するときに、被測定者Hの指先で下瞼を下方に引っ張るものとした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば
図28に示す変形例のように、予め色が特定された補助器具41を用いて、下瞼を下方に引っ張ってもよい。これにより、下瞼の裏側を写真撮影するときに、補助器具41を一緒に撮影することができるから、例えば昼白色、電球色等のように照明の色が異なる場所で撮影したときでも、補助器具41の色を基準にして、撮影画像の色を補正することができる。このため、貧血度合いの測定精度を高めることができる。なお、補助器具41は、
図28に示したようなへら状のものに限らず、例えば指サック等のように指先を覆うものでもよい。
【0164】
また、前記実施の形態では、頭痛度合いおよび貧血度合いに基づいて、カラダ指数PCIを算出した。しかし、本発明はこれに限らず、頭痛度合いおよび貧血度合いに加えて、例えば腹痛、冷え、顔のむくみ、肌荒れ、髪の毛のぱさつき、口中の渇き等を考慮して、カラダ指数PCIを算出してもよい。また、単一のカラダ指数PCIとして算出する必要はなく、頭痛、貧血、腹痛、冷え等を別個に指標化して、予測日におけるこれらの度合いの大小を予測してもよい。さらに、貧血度合いは、下瞼の裏側の画像によって計測するものとしたが、頭痛度合いと同様に、被測定者による主観的な値を入力してもよい。
【0165】
また、前記実施の形態では、「興奮」、「哀しみ」、「喜び」、「怒り」の4つの基準に基づいてココロ指数MIを算出したが、これらに加えて、例えば「やる気」、「苛立ち」等の感情を考慮してもよい。また、単一のココロ指数MIとして算出する必要はなく、「興奮」、「哀しみ」、「喜び」、「怒り」の4つの基準を別個に指標化し、予測日におけるこれらの数値の大小を予測してもよい。さらに、被測定者の音声等によってココロ指数MIを算出したが、被測定者による主観的な値を入力してもよい。
【0166】
また、前記実施の形態では、処理装置31は、記憶装置31Aに予め記憶された複数日の被測定者Hの健康状態を用いて、被測定者Hの予測日の健康状態を推定する構成としたが、本発明はこれに限らない。記憶装置31Aには、各年代におけるステージ毎の健康状態(例えば、ココロ指数MIとカラダ指数PCIの平均値)を予め記憶しておいてもよい。この場合、処理装置31は、被測定者Hの予測日のステージSaが特定されたときに、記憶装置31Aを参照して、このステージSaに応じた各年代の健康状態を特定し、特定した健康状態を予測結果として出力してもよい。
【0167】
また、前記実施の形態は、直近3周期分の高温期日数NH1〜NH3がいずれも算出されないときに、平均高温期日数NHmを13日に設定したが、例えば直近3周期分のデータが蓄積される前は、高温期日数NH1,NH2が算出されるか否かに拘らず、平均高温期日数NHmを13日や14日に設定してもよく、各年代の平均値に設定してもよい。
【0168】
また、前記実施の形態では、今回の月経開始日Ds0から平均月経周期日数Nm後の日を次回予定の月経開始日Dsとして特定したが、例えば平均月経周期日数Nmに代えて自己申告周期日数N0を用いて次回予定の月経開始日Dsを特定してもよく、今回の月経開始日Ds0から平均低温期日数NLmと平均高温期日数NHmとを加算した日数後の日を次回予定の月経開始日Dsとして特定してもよい。
【0169】
また、前記実施の形態では、センサ装置1は計測の開始時間と終了時間を予め設定しておき、これらの間で一定時間毎に体表温度検出データD1および外気温度検出データD2を検出する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、センサ装置1は、例えば体表温度検出部3によって検出した温度T1が一定温度(例えば32℃)を超えて上昇すると、温度検出データD1,D2の読込み、記憶を開始し、一定温度よりも低下すると、温度検出データD1,D2の読込み等を終了する構成としてもよい。
【0170】
さらに、センサ装置1にマイクロ方位スイッチを設け、被測定者が座位または立位から臥位に姿勢を変更すると、方位スイッチがオン状態となり、被測定者が臥位から座位または立位に姿勢を変更すると、方位スイッチがオフ状態となる構成としてもよい。これにより、センサ装置1は、方位スイッチのオン状態、オフ状態に応じて温度検出データD1,D2の読込み等を開始、終了を行うことができる。
【0171】
また、センサ装置1は、体表温度検出データD1だけを検出し、記憶する構成としてもよい。また、前記各実施の形態では、就寝中の体表温度検出データD1を1日当り複数回検出する構成としたが、例えば体温が十分に安定した後に1日当り1回だけ検出する構成としてもよい。
【0172】
さらに、就寝中の体表温度検出データD1に基づいて代表温度となる体温データD3を求める構成としたが、例えば起床直後の安定した状態で口中温度や耳内温度等のように、一般的な基礎体温を計測した体温データを用いる構成としてもよい。
【0173】
また、
図18に示す低温期と高温期の判定処理では、月経周期内で2日以上続けて体温データD3が周期平均温度Tmを上回ったときに、その初日から高温期に移行したものとして低温期から高温期への移行時期を特定した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば所定の期間内で体温データD3が周期平均温度Tmを1日でも上回ったときに低温期から高温期への移行時期を特定してもよく、特許第4933227号公報に開示されたように体温データD3が所定の高温期基準温度を上回ったときに低温期から高温期への移行時期を特定してもよい。
【0174】
また、前記実施の形態では、処理装置31は平均月経周期日数Nmに基づいて周期平均温度Tmを演算した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば平均月経周期日数Nmに関係なく、低温期から高温期への移行時期を特定する月経周期を決めたときに、その月経周期全体の体温データD3を平均して周期平均温度Tmを演算してもよい。
【0175】
また、前記実施の形態では、記憶装置31Aに蓄積された複数日間の体温データD3と、気象データセンタ32から取得した気象情報とに基づいて、現在および未来における被測定者Hの健康状態を推定するものとした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば気象情報を除いて、記憶装置31Aに蓄積された複数日間の体温データD3に基づいて、現在および未来における被測定者Hの健康状態を推定してもよい。