特開2016-154594(P2016-154594A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-154594(P2016-154594A)
(43)【公開日】2016年9月1日
(54)【発明の名称】靴ずれ防止具
(51)【国際特許分類】
   A43B 23/28 20060101AFI20160805BHJP
【FI】
   A43B23/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-32821(P2015-32821)
(22)【出願日】2015年2月23日
(71)【出願人】
【識別番号】505064057
【氏名又は名称】テストロン製薬株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】515049486
【氏名又は名称】株式会社コウヨウ商工
(74)【代理人】
【識別番号】100107940
【弁理士】
【氏名又は名称】岡 憲吾
(74)【代理人】
【識別番号】100120938
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 教郎
(74)【代理人】
【識別番号】100122806
【弁理士】
【氏名又は名称】室橋 克義
(74)【代理人】
【識別番号】100168192
【弁理士】
【氏名又は名称】笠川 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100174311
【弁理士】
【氏名又は名称】染矢 啓
(74)【代理人】
【識別番号】100182523
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 由賀里
(74)【代理人】
【識別番号】100195590
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 博臣
(72)【発明者】
【氏名】辻川 茂一
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA01
4F050BC08
4F050HA26
4F050HA28
4F050HA55
4F050LA01
(57)【要約】
【課題】優れた靴ずれ防止効果を奏するとともに、使用に際しての取り扱いが容易な靴ずれ防止具の提供。
【解決手段】上記靴ずれ防止具2は、第1袋体4と、この第1袋体4の内部に収納された支持板8とを備えており、上記第1袋体4が、滑性及び柔軟性を有する合成樹脂フィルム、織布及び不織布の少なくとも一つから形成されており、上記支持板8が弾力性を有している。上記支持板8が、滑性及び柔軟性を有する第2袋体6の内部に収納された状態で、上記第1袋体4の内部に収納されているのが好ましい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1袋体と、
この第1袋体の内部に収納された支持板とを備えており、
上記第1袋体が、滑性及び柔軟性を有する合成樹脂フィルム、織布及び不織布の少なくとも一つから形成されており、
上記支持板が弾力性を有している靴ずれ防止具。
【請求項2】
上記第1袋体の内部が、第1空間と第2空間とに仕切られており、
この第1空間に、上記支持板が収納されており、
上記第2空間に、柔軟なクッション材が収納されている請求項1に記載の靴ずれ防止具。
【請求項3】
上記第1袋体が、外部に対して密封された状態にされており、
この第1袋体の内部に、上記支持板が占める空間以外に、余剰の空間が形成されている請求項1又は2に記載の靴ずれ防止具。
【請求項4】
上記支持板が、第2袋体の内部に収納された状態で、上記第1袋体の内部に収納されており、
この第2袋体が、滑性及び柔軟性を有する合成樹脂フィルム、織布及び不織布の少なくとも一つから形成されている請求項1から3のいずれかに記載の靴ずれ防止具。
【請求項5】
上記支持板が、段ボール紙から形成されている請求項1から4のいずれかに記載の靴ずれ防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴ずれ防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
新しい靴を履くと、主に足の踵やアキレス腱近傍に靴ずれが生じることがある。靴ずれが生じると、激しい痛みに襲われ、歩行が困難になることがある。この靴ずれは、歩行時に、足の踵の後部と、靴の踵部の内面との摩擦によって生じる。このような靴ずれを防止するために、踵と靴の内面との摩擦を軽減する、靴ずれの防止用具が提案されている。
【0003】
例えば、特開2002−369836公報には、靴擦れ防止用の当て材が開示されている。この当て材は、使用者の足の踵に貼着される。当て材は、当て材主体と滑り片とを備えている。当て材主体と滑り片とは、互いに固着されている。当て材主体が使用者の足の踵に貼着される。滑り片は、当て材主体と靴の踵部内面との間に介在する。
【0004】
当て材主体はパッドを有している。滑り片は、扁平な環形状(ループ状)に形成されたフィルムからなる。このフィルムは滑性と柔軟性とを有している。
【0005】
この当て材は、使用に際して、上記滑り片のループが上下方向となるように、足の踵に貼着される。そうすると、使用者の歩行時に、滑り片があたかもキャタピラーが前後動を繰り返すように動き、滑性を有する滑り片同士が擦れ合うので、実質的に摩擦に対して縁切り状態となる、とのことである。
【0006】
上記公報に開示された靴擦れ防止用の当て材では、使用者の歩行中に、踵から剥がれてしまうおそれがある。この当て材は、踵から剥がれると、期待する作用を奏し得なくなる可能性が高い。また、使用者が入浴すると、貼着されていた当て材は再度の使用は困難となる。また、滑り片を構成するフィルムは、キャタピラーの前後動と同様の動きをする保証はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−369836公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前述した現状に鑑みてなされたものであり、優れた靴ずれ防止効果を奏するとともに、使用に際しての取り扱いが容易であり、複数回の使用が可能な靴ずれ防止具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る靴ずれ防止具は、
第1袋体と、
この第1袋体の内部に収納された支持板とを備えており、
上記第1袋体が、滑性及び柔軟性を有する合成樹脂フィルム、織布及び不織布の少なくとも一つから形成されており、
上記支持板が弾力性を有している。
【0010】
好ましくは、上記第1袋体の内部が、第1空間と第2空間とに仕切られており、
この第1空間に、上記支持板が収納されており、
上記第2空間に、柔軟なクッション材が収納されている。
【0011】
好ましくは、上記第1袋体が、外部に対して密封された状態にされており、この第1袋体の内部に、上記支持板が占める空間以外に、余剰の空間が形成されている。
【0012】
好ましくは、上記支持板が、第2袋体の内部に収納された状態で、上記第1袋体の内部に収納されており、
この第2袋体が、滑性及び柔軟性を有する合成樹脂フィルム、織布及び不織布の少なくとも一つから形成されている。
【0013】
好ましくは、上記支持板が、段ボール紙から形成されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る靴ずれ防止具は、優れた靴ずれ防止効果を奏するとともに、使用に際しての取り扱いが容易であり、複数回の使用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1(a)は、本発明の一実施形態に係る靴ずれ防止具を示す一部切り欠き斜視図であり、図1(b)は図1(a)のI−I線に沿った断面図である。
図2図2は、図1の靴ずれ防止具を靴の内部に装着する方法の一例を示す斜視図である。
図3図3は、図1の靴ずれ防止具が靴の内部に装着された状態を示す一部断面側面図である。
図4図4(a)は、他の靴ずれ防止具を示す断面図であり、図4(b)は、さらに他の靴ずれ防止具を示す断面図であり、図4(c)は、さらに他の靴ずれ防止具を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0017】
図1には、本発明の一実施形態に係る靴ずれ防止具2が示されている。ここでは、図1における上下方向を、靴ずれ防止具2の上下方向又は縦方向と呼び、図1における左右方向を、靴ずれ防止具2の左右方向又は横方向と呼ぶ。
【0018】
この靴ずれ防止具2は、第1袋体4と、第2袋体6と、支持板8と、クッション材10とを備えている。第2袋体6は、第1袋体4の内部に収納されている。従って、第1袋体4を外側袋体4ともいう。第2袋体6を内側袋体6ともいう。支持板8は、内側袋体6の内部に収納されている。支持板8は、靴ずれ防止具2の形状及び姿勢が大きく変化することを防止する作用を奏する。支持板8は、使用者の足に対するクッション作用を奏しうる。支持板8は、靴に対する使用者の足の相対的上下動をガイドする作用も奏しうる。本実施形態では、外側袋体4及び内側袋体6のいずれもが、脱気して平面状にされたとき、矩形を呈する。支持板8及びクッション材10も矩形を呈している。しかし、これら4、6、8、10は、かかる形状には限定されない。例えば、使用する靴の形状に適合させるように変更可能である。
【0019】
外側袋体4及び内側袋体6はともに、合成樹脂フィルム、織布及び不織布のうちの少なくともいずれかから形成されている。合成樹脂フィルムの場合、その物性は、引張強さが20MPa以上240MPa以下、引張伸びが5%以上700%以下、ヤング率が200MPa以上4000MPa以下にされるのが好ましい。引張強さ及び引張伸びの測定方法はJIS C2151に準じ、ヤング率の測定方法はASTM D882に準じる。この合成樹脂フィルム及び不織布の材質としては、典型的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン等、及び、これらのうちの少なくとも2つを混合したものが採用されうる。また、織布の場合、その材質としては、銅アンモニアレーヨン、ビスコースレーヨン等からなる再生繊維、ナイロン、アクリル、ポリエステル等からなる合成繊維、絹、羊毛等からなる自然繊維等が採用されうる。これら袋体4、6の材料の厚さは、0.006mm以上0.6mm以下の範囲から選択するのが好ましい。袋体4、6が織布や不織布から形成されている場合であっても、その摩擦係数は小さい。合成樹脂フィルムの場合は、摩擦係数はさらに小さくなる。袋体4、6は、滑性及び柔軟性(可撓性)を有している。合成樹脂フィルム製の袋体4、6は、さらに滑性及び柔軟性に優れている。この袋体4、6同士が擦れ合うとき、その摩擦は大変小さいものとなる。合成樹脂フィルムの場合、透明であるのが好ましい。袋体4、6の内部の部材の状態を目視で容易に確認しうるからである。
【0020】
外側袋体4は、適量の空気が注入されたうえで、外部に対して密封された状態にされているのが好ましい。すなわち、外側袋体4には、通気孔が存在しないのが好ましい。この観点からは、外側袋体4は、合成樹脂フィルムから形成されているのが好ましい。外側袋体4の内部に適量の空気が封入されていれば、内側袋体6に収納された状態の支持板8が動きやすい。内外の袋体4、6同士が滑りやすくなり、摩擦がより低減する。内側袋体6は、密封状態に形成されてもよく、通気可能に形成されてもよい。
【0021】
本実施形態では、支持板8として段ボール紙が採用されている。段ボール紙は、適度な弾力性を有する。段ボール紙は、靴ずれ防止具2の形状及び姿勢を保持しうるだけの適度な剛性を有する。この靴ずれ防止具2は、靴べらによる取り扱いが容易となる。段ボール紙は、内側袋体6の内部において、その細長い空洞部を形成する段部18が上下方向に延びる姿勢にされているのが好ましい。使用者の足が靴に対して上下動する際、この段部18が、抵抗になることなく、足の上下動をスムーズにガイドしうるからである。支持板8として段ボール紙が好ましいが、適度な弾力性及び剛性を有する他の材料も選択しうる。
【0022】
外側袋体4は、横方向に線状に延びる圧着部12により、上下の二つの空間に分けられている。大きな下方の第1空間14には、支持板8が収納された内側袋体6が収納されている。小さな上方の第2空間16には、クッション材10が収納されている。上記第1空間14を下方空間14とも呼び、第2空間16を上方空間16とも呼ぶ。下方空間14は、内側袋体6に収納された支持板8が、自在に移動できる大きさを有している。特に上下方向には、支持板8にとって5mmから20mm程度の移動可能スペース(遊び)があるのが好ましい。上記圧着部12は、断続線であってもよく連続線であってもよい。換言すれば、外側袋体4が合成樹脂フィルム製である場合、圧着部12には、通気部が有ってもよく無くてもよい。すなわち、下方空間14と上方空間16とは、相互に通気性が有ってもよく無くてもよい。圧着部12の形成に代えて、クッション材10の装入位置と、支持板8の装入位置との間の外側袋体4の幅を、クッション材10の長さより狭くしてもよい。すなわち、外側袋体4に、クッション材が通過しにくいくびれを形成してもよい。
【0023】
上記クッション材10は、横方向に長い帯状を呈している。靴ずれ防止具2が靴に装着されたとき、クッション材10は、靴の踵部の上端縁に沿う位置となることが求められる。靴ずれ防止効果の向上のためである。クッション材10は柔軟である。このクッション材10としては、綿、不織布、スポンジ、汎用合成樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)から形成された緩衝材等が採用されうる。クッション材10は、いかなる包装もされずに上方空間16に収納されているが、かかる構成には限定されない。クッション材10は、合成樹脂フィルム等から形成された別の袋体に収納されたうえで、上方空間16に収納されてもよい。また、クッション材10は、上方空間16内に固着されていてもよい。
【0024】
図2には、靴ずれ防止具2を靴20の内側へ装着する要領が示されている。図2で示される装着は、靴ずれ防止具2を靴20に接着や係止によって固定するのではない。ここでいう装着は、図3に示されるように、使用者の足の踵22の後端面と、靴20の踵部の内面との間に挟圧されて保持されることをいう。靴ずれ防止具2は、足にも靴20にも固着されていない。
【0025】
図2に示されるように、使用者は、靴20を履くとき、足の先を靴20の内部に挿入する。次いで、使用者は、靴ずれ防止具2を、踵22の後端面と靴べら24との間に挟み込む。挟み込まれた靴ずれ防止具2の姿勢は、その上方空間16が上方に位置し、下方空間14が下方に位置している。この状態で、靴べら24を通常通りに使用して靴20を履く。すなわち、足を、靴ずれ防止具2と一体で靴べら24の上を滑らせて、靴20の中に挿入する。
【0026】
以上の動作により、靴ずれ防止具2は、図3に示されるように、踵22の後端面と、靴20の踵部の内面との間に挟圧されてしっかりと保持される。このとき、クッション材10は、足のアキレス腱部26の下部と、靴20の踵部の上端縁28との間に位置する可能性が高い。支持板8は、踵22の後端面と、靴20の踵部の内面との間に位置する可能性が高い。このように、靴ずれ防止具2は、簡単に靴20の中に装着されうる。また、通常の要領で靴を脱ぐだけで、靴ずれ防止具2を簡単に取り出すことができる。取り出された靴ずれ防止具2は、再度使用することができる。この靴ずれ防止具2は、繰り返して複数回の使用が可能である。
【0027】
靴ずれ防止具2の装着時、靴べら24を使用することには限定されない。靴べら24を使用することなく、容易に履ける靴も存在する。このような場合、図示しないが、靴ずれ防止具2の圧着部12の近傍を、圧着部12に沿って折り曲げる。この靴ずれ防止具2を、支持板8が靴の内部に位置し、クッション材10が靴の外部に位置する姿勢で、靴20の踵部の上端縁28に引っかける。手指でクッション材10のあたりを軽く保持した状態で、足を靴の中に挿入する。そうすると、図3に示されるように、靴ずれ防止具2は、踵22の後端面と、靴20の踵部の内面との間に挟圧されて保持される。
【0028】
この靴ずれ防止具2が靴20の踵部に装着された状態で、使用者が歩行又は走行したとき、袋体4、6同士が擦れ合う。袋体4、6は滑性を有している。特に合成樹脂フィルム製の袋体4、6は十分な滑性を有している。袋体4、6同士の擦れ合いにおいては、生じる摩擦は大変小さい。袋体4、6同士の擦れ合いは、支持板8の足側と靴側の両方で起こりうる。その結果、摩擦低減の効果が向上する。従って、足の踵22やアキレス腱部26には、靴20からの摩擦力が殆ど伝わらない。また、クッション材10及び支持板8の弾力性により、足に対する靴20からの圧力が緩和されうる。さらに、支持板8を構成する段ボール紙の多数の段部18が上下方向に延在しているので、靴20に対する足の上下動がスムーズにガイドされる。
【0029】
図4(a)、図4(b)及び図4(c)にはそれぞれ、異なる構成の靴ずれ防止具32、34、36が示されている。これらの靴ずれ防止具32、34、36における、図1の靴ずれ防止具2と同一の構成部分には、同一の符号を付して、その説明が省略される。
【0030】
図4(a)に示された靴ずれ防止具32の、図1の靴ずれ防止具2と異なる点は、外側袋体38に圧着部12が形成されていない点である。換言すれば、外側袋体38が上下の空間14、16に分離されていない点である。さらに、クッション材10を備えていない点である。従って、外側袋体38の内部には、支持板8が収納された内側袋体6が占める空間以外に、大きな余剰の空間40が存在している。合成樹脂フィルム製の外側袋体38の場合、この余剰空間40には空気が封入されうる。この余剰空間40はクッション性を具備しうる。図4(a)の靴ずれ防止具32のその他の構成は、図1の靴ずれ防止具2のそれと同じである。この余剰空間40内にクッション材10を、固着状態又は非固着状態で装入してもよい。
【0031】
この靴ずれ防止具32では、外側袋体38の内部空間が大きい。合成樹脂フィルム製の外側袋体38の場合、その内部に空気を封入しうる。その結果、外側袋体38の内部で、内側袋体6が大きく動きうる。すなわち、支持板8が動きやすい。さらに、この靴ずれ防止具32が靴20の内側に装着されたとき、踵22が靴20の内面に圧接することにより、外側袋体38の内部の空気が上方に押しやられる。この上方の空気が、足のアキレス腱部26の下部と靴20の踵部の上端縁28との間のクッションとなりうる。その他の作用効果は、図1の靴ずれ防止具2の作用効果と同等である。図1の靴ずれ防止具2が合成樹脂フィルム製であっても、その圧着部12に通気部が形成されていれば、上記と同様に、外側袋体4の上部にエアクッションが形成されうる。この靴ずれ防止具32の靴20への装着要領は、前述した図1の靴ずれ防止具2の装着要領と同じである。
【0032】
図4(b)に示された靴ずれ防止具34の、図4(a)の靴ずれ防止具32と異なる点は、内側袋体42の大きさが、支持板8よりもかなり大きく、外側袋体38の大きさに近いことである。この内側袋体42は、図4(a)の靴ずれ防止具32の内側袋体6よりも大きい。この靴ずれ防止具34では、前述した余剰の空間40が、内側袋体42の内部に形成されている。この靴ずれ防止具34の、図4(a)の靴ずれ防止具32と同一の構成部分には、同一の符号を付して、その説明が省略される。この靴ずれ防止具34の作用効果は、図4(a)の靴ずれ防止具32の作用効果と同等である。この靴ずれ防止具34の靴20への装着要領は、前述した図1の靴ずれ防止具2の装着要領と同じである。
【0033】
図4(c)に示された靴ずれ防止具36の、図4(b)の靴ずれ防止具34と異なる点は、支持板44の大きさが、図4(b)の靴ずれ防止具34の支持板8よりもかなり大きく、内側袋体42の大きさに近いことである。この靴ずれ防止具36の、図4(b)の靴ずれ防止具34と同一の構成部分には、同一の符号を付して、その説明が省略される。この靴ずれ防止具36の作用効果は、図4(a)の靴ずれ防止具32の作用効果と同等である。この靴ずれ防止具36の靴20への装着要領は、前述した図1の靴ずれ防止具2の装着要領と同じである。
【0034】
前述したとおり、外側袋体、内側袋体、支持板及びクッション材の形状は、矩形には限定されない。これらは、例えば、真円形、長円形、三角形、等脚台形、五角形等でもよい。クッション材の外形は、円柱等でもよい。袋体が、例えば、二等辺三角形の場合、底辺が下側(靴底側)、頂角が上側(アキレス腱側)となるように、靴の内側に装着される。頂角側にクッション材が配置され、底辺側に支持板が配置される。この場合、支持板は等脚台形状に形成されてもよい。例えば、五角形の袋体の場合、その頂角側にクッション材が配置され、その下側に支持板が配置される。そして、頂角が上側となるように、靴の内側に装着される。この場合、支持板は矩形に形成されてもよい。例えば、等脚台形の袋体の場合、その狭い上底側にクッション材が配置され、その下側の広い部分に支持板が配置される。そして、上底が上側となるように、靴の内側に装着される。この場合、支持板は等脚台形状に形成されてもよい。これらの形状の靴ずれ防止具は、その上部が小さくなっている。従って、靴に装着されたときに、靴の上端からわずかにはみ出しても目立ちにくい。一方、下方が幅広となっているので、使用時に、靴の内部で左右に位置ずれしにくい。
【0035】
以上説明された靴ずれ防止具2、32、34、36は、いずれも、その支持板8、44が、予め第2袋体(内側袋体)6、42に収納されたうえで、第1袋体(外側袋体)4、38に収納されている。しかし、本発明はこのような構成には限定されない。支持板8、44は、内側袋体6、42に収納されることなく、裸の状態で外側袋体4、38に収納されてもよい。例えば、図1及び図4における靴ずれ防止具2、32、34、36から、内側袋体6、42を取り除いたものであってもよい。かかる靴ずれ防止具であっても、支持板8、44が介在した状態ではあるが、外側袋体4、38同士が擦れ合う。足と靴との間の摩擦低減効果が奏される。しかし、前述したように、内側袋体と外側袋体との両方を備えた靴ずれ防止具2、32、34、36では、滑性の高い袋体同士の擦れ合いが、支持板の足側と靴側の両方で起こりうる。この作用により、歩行時の足と靴との摩擦低減効果が大きく向上する。従って、支持板は内側袋体に収納されているのが好ましい。
【0036】
袋体は、外側袋体4、38だけの一重、又は、外側袋体4、38と内側袋体6、42との二重には限定されない。袋体は、三重以上であってもよい。この場合、摩擦低減の観点から、少なくとも二重は合成樹脂フィルムから形成されるのが好ましい。最も外側の袋体を織布又は不織布から形成すると、外力による損傷が抑制されうる。合成樹脂からなる袋体を二重以上に形成する場合は、同時に加熱切断及び圧着することにより行ってもよい。
【0037】
以上の靴ずれ防止具2、32、34、36はいずれも、足の踵22からアキレス腱部26の下部までをカバーしうる長さを有するのが好ましい。しかし、靴の形状や構造に応じて、靴ずれ防止具の上下方向の長さの変更は可能である。必要があれば、上下方向の長さは、踵部の内面の下端から上端まで至らなくてもよい。例えば、図4(c)の靴ずれ防止具36の上下方向の長さは、踵部の内面の下端から上端まで至らなくてもよい。また、支持板8、44が収納された内側袋体6、42の内部には特に余剰空間は必要とされない。
【0038】
以上説明された靴ずれ防止具2、32、34、36はいずれも、足と靴の内面とで挟圧されて保持される。しかし、かかる装着方法には限定されない。例えば、靴ずれ防止具2、32、34、36を、靴の踵部の内面に接着することによって装着してもよい。このために、例えば、靴ずれ防止具2、32、34、36の片面の少なくとも一部に、接着剤、いわゆる両面接着テープ等の使用によって接着層を形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明に係る靴ずれ防止具は、製造が容易であり且つそのコストが低い。
【符号の説明】
【0040】
2、32、
34、36・・・靴ずれ防止具
4、38・・・外側袋体(第1袋体)
6、42・・・内側袋体(第2袋体)
8、44・・・支持板
10・・・クッション材
12・・・圧着部
14・・・下方空間
16・・・上方空間
18・・・(段ボール紙の)段部
20・・・靴
22・・・(足の)踵
24・・・靴べら
26・・・(足の)アキレス腱部
28・・・(靴の踵部の)上端縁
40・・・余剰空間
図1
図2
図3
図4