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特開2016-155122磁性粒子スカベンジング装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-155122(P2016-155122A)
(43)【公開日】2016年9月1日
(54)【発明の名称】磁性粒子スカベンジング装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B03C 1/00 20060101AFI20160805BHJP
   A61M 1/36 20060101ALI20160805BHJP
   B03C 1/28 20060101ALI20160805BHJP
【FI】
   B03C1/00 A
   A61M1/36 100
   B03C1/00 H
   B03C1/28
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-21073(P2016-21073)
(22)【出願日】2016年2月5日
(62)【分割の表示】特願2013-556941(P2013-556941)の分割
【原出願日】2012年3月9日
(31)【優先権主張番号】61/451,808
(32)【優先日】2011年3月11日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】513228708
【氏名又は名称】ヤン、 ギーシェン
【氏名又は名称原語表記】YANG, Guisheng
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、 ギーシェン
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA09
4C077BB03
4C077CC03
4C077CC07
4C077EE01
4C077KK11
4C077NN15
4C077NN20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】磁性粒子を除去する装置の多くで問題となる、使用する複数の外部磁石を、磁石が入れられている液体から分離することや、実験的な分析のために少量の場合に適するのみでなく、大規模な量の場合には適する方法の提供。
【解決手段】磁性粒子を含んでいる液体を保持する少なくとも1つの容器30と、少なくとも1つの容器の中に置かれるための少なくとも1つの磁石とを備えており、液体が少なくとも1つの磁石と接触すると、磁性粒子が少なくとも1つの磁石の方に引き付けられて磁石に結合し、その結果、液体が少なくとも1つの磁石から分離されたとき、磁性粒子が液体から除去される磁性粒子を液体から除去する装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性粒子を液体から除去する装置であって、
磁性粒子を含んでいる液体を保持する少なくとも1つの容器と、
前記少なくとも1つの容器の中に置かれるための少なくとも1つの磁石と
を備えており、
前記液体が前記少なくとも1つの磁石と接触すると、前記磁性粒子が前記少なくとも1つの磁石の方に引き付けられて該磁石に結合し、その結果、前記液体が前記少なくとも1つの磁石から分離されたとき、前記磁性粒子が前記液体から除去される、装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの磁石は、少なくとも1つの磁性柱である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
少なくとも1つの軸をさらに備えており、前記少なくとも1つの磁性柱が、前記軸を中心として動くように支えられている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの磁性柱が中空であり、内部の磁石を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記内部の磁石が、永久磁石、電磁石、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記内部の磁石が、前記少なくとも1つの磁性柱から取出し可能である、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの磁性柱がさらに非磁性スペーサを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの磁性柱が取外し可能なカバーを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの磁性柱が複数の磁性柱である、請求項3に記載の装置。
【請求項10】
前記複数の磁性柱のうちの少なくとも2つの磁性柱が異なる寸法を有する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記複数の磁性柱が、少なくとも1つのアレイの形で前記軸に支えられている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つのアレイが、前記軸に支えられた複数のアレイである、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記液体が、血液、血液製剤、骨髄、CSF、細胞培養液、食品、ミルク、飲料、油、潤滑剤、緩衝剤、溶剤であって水、エタノール、ホルムアミド、フェノール、クロロホルムからなる群から選択された溶剤、試薬、ならびにこれらの組合せからなる群から選択される、請求項2に記載の装置。
【請求項14】
前記磁性粒子が細胞、バクテリア、藻類、ウイルス、タンパク質、核酸、または汚染物質に結合される、請求項2に記載の装置。
【請求項15】
前記容器は、流入導管および流出導管を含むチャンバを備えており、
前記磁石は、前記チャンバ内で前記流入導管と前記流出導管の間に支えられており、
前記液体が前記流入導管から前記流出導管へと流れるときに、前記磁石が前記液体中の前記磁性粒子を引き付け結合する、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記チャンバ内で前記磁石を支えるための複数の保持部分をさらに含む、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記磁石が保護コーティングを有する、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
互いに係合して前記チャンバを形成する2つの部分を備え、前記2つの部分のうちの一方の部分が前記流入導管を含み、他方の部分が前記流出導管および前記磁石を含む、請求項15に記載の装置。
【請求項19】
前記磁石が前記チャンバから取外し可能である、請求項15に記載の装置。
【請求項20】
前記磁石が前記チャンバの壁に取り付けられている、請求項15に記載の装置。
【請求項21】
前記液体が通って流れる開口を前記磁石が備えている、請求項15に記載の装置。
【請求項22】
前記流入導管および前記流出導管が、患者の静脈または動脈に直接または間接的に連結されるように構成されている、請求項15に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性粒子を含む液体に関する。より詳細には、本発明は、液体から磁性粒子を除去する新規の装置および方法を対象とする。
【0002】
本明細書全体を通じて、本発明が関連する最新技術をより完全に説明するために様々な参考文献が引用されている。これらの参考文献の開示を参照することによって、それらの開示の全てがここでの開示に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
磁性粒子を除去する装置および方法は、特許文献1〜15により知られている。これらの装置および方法の多くは複数の外部磁石を使用し、該磁石は、磁石が入れられている液体から分離されない。加えて、これらの装置および方法の多くは、実験的な分析のために少量の場合に適するのみで、大規模な量の場合には適さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第2,029,078号
【特許文献2】米国特許第3,567,026号
【特許文献3】米国特許第3,676,337号
【特許文献4】米国特許第3,902,994号
【特許文献5】米国特許第4,141,687号
【特許文献6】米国特許第4,554,088号
【特許文献7】米国特許第4,663,029号
【特許文献8】米国特許第5,108,933号
【特許文献9】米国特許第5,200,084号
【特許文献10】米国特許第5,466,574号
【特許文献11】米国特許第5,622,831号
【特許文献12】米国特許第6,451,207号
【特許文献13】米国特許第6,468,810号
【特許文献14】米国特許第6,695,004号
【特許文献15】米国特許出願公開第2006/0286137号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した各装置は一般には有効であるが、従来技術の少なくとも1つの欠陥を克服し、さらに他の利点を装置自体にもたらす装置および方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、液体の媒体から磁性粒子をスカベンジングまたは除去する新規の装置および方法である。磁性粒子は、いかなる粒径、形状または構成でもよい。例えば、磁性粒子は、それだけには限らないが、ヤスリ粉、切粉、削り屑などでもよい。本明細書に記載の装置および方法には、白血病、糖尿病、またはウイルス感染などの血液感染性の病気の処置に関して用途が見出される。本明細書に記載の装置および方法はまた、例えば骨髄、脳脊髄液(CSF)、細胞培養液、食品、ミルク、飲料、試薬などの、血液または血液製剤以外の液体、例えばエンジンオイルなどの油、例えば機械潤滑剤などの潤滑剤、緩衝剤、例えば水、エタノール、ホルムアミド、フェノール、クロロホルム、および他の化学液体などの溶剤、ならびに化学試薬から、汚染物質または混入物を除去するのにも有用である。他の用途には、実験的な分析において溶剤からDNAまたはRNAを取り出すことが含まれる。タンパク質は、酵素、抗体、受容体、ポリペプチド、ハプテンなどであり得る。ポリペプチドはポリペプチドホルモンであり得る。ハプテンは、レクチン、ホルモン、薬剤、殺虫剤、毒素などの低分子化合物であり得る。
【0007】
本発明の態様によれば、液体から磁性粒子を除去する装置が提供され、この装置は、その液体および磁性柱を保持する容器を備えている。この容器は、液体を保持するのに適した任意の容器とすることができ、当業者には知られている。本発明の1つの実施形態では、容器は管である。本発明の別の実施形態では、容器は、板に形成された少なくとも1つの窪みである。本発明の別の実施形態では、その少なくとも1つの窪みが複数の窪みである。本発明の実施形態では、板はプラスチック板である。容器および磁性柱は、少量の液体中の磁性粒子を除去するのに十分である(図2の(26)参照)。磁性柱は任意のサイズ、形状および構成とすることができる。例えば、磁性柱は、それだけには限らないが、ケーキ、柱状体、針、ビーズ、釘、外科用メス、スプーンなどとすることができる。任意のサイズの磁性柱を個別に使用し、軸に取り付けて、または取り付けずに容器の中に入れて磁性粒子を除去することができる。本発明の1つの実施形態では、容器は非磁性である。
【0008】
本発明の一態様によれば、磁性粒子を液体から除去する装置が提示され、この装置は、その液体を保持する容器と、軸と、この軸を中心として動くように取り付けられた少なくとも1つの磁性柱とを備えており、この磁性柱が液体を攪拌し、液体中の磁性粒子を引き付ける。軸を中心とする動きは、当業者が分かるような任意の動きとすることができる。本発明の1つの実施態様では、軸を中心とする動きは多方向である。本発明の1つの実施態様では、軸を中心とする動きは、攪拌、回転、振動、揺れ、旋回、前後動、上下動、およびこれらの組合せからなる群から選択される。
【0009】
一態様では、磁性柱は中空であり、内部の磁石を含む。一態様では、磁石は磁性柱から取出し可能である。本発明の1つの実施態様では、磁石は永久磁石である。本発明の別の実施態様では、磁石は電磁石である。磁性柱はさらに、非磁性スペーサおよび取外し可能なカバーを含んでもよい。磁性柱の外側は、より多くの物質を保持できるように、いくつかの釘状または網状の突起を付けて製作することができる。加えて、磁性柱はまた、物質を保持するのにより効果的であるために、フックまたは他の形状(ナイフまたはスプーンなど)を付けて製作することもできる。
【0010】
別の態様では、複数の磁性柱が少なくとも1つのアレイの形で軸に支えられており、それぞれの磁性柱は、異なるサイズおよび/または直径であってもよい。本発明の実施態様では、少なくとも1つのアレイは、軸に支えられている単一のアレイである。本発明の別の実施態様では、少なくとも1つのアレイは、軸に支えられている複数のアレイである。本発明の別の実施態様では、少なくとも1つのアレイは、当業者に分かるように任意の数のアレイである。本発明の別の実施態様では、少なくとも1つのアレイは1列から約20列までのアレイである。
【0011】
別の態様では、複数のアレイは、実質的に平行(=)、実質的に交差(×または+)、およびこれらの組合せからなる群から選択された配置で軸に支えられている。
【0012】
別の態様では、軸を中心とする動きが、手動、自動、およびこれらの組合せからなる群から選択される。
【0013】
別の態様では、液体は、血液、血液製剤、骨髄、脳脊髄液(CSF)、細胞培養液、食品、ミルク、飲料、例えばエンジンオイルなどの油、例えば機械などから取り出された潤滑剤、緩衝剤、それだけには限らないが水、エタノール、ホルムアミド、フェノール、クロロホルムおよび他の化学液体を含む溶剤、ならびに化学試薬から選択される。一態様では、液体は血液または血液製剤である。
【0014】
別の態様では、磁性粒子は細胞、バクテリア、藻類、ウイルス、タンパク質、核酸、または汚染物質に結合される。磁性粒子が固体の担持体として使用される場合、または磁性粒子がターゲット物質よりも大きい場合は、磁性粒子をウイルス、細胞またはタンパク質に結合させるのではなく、細胞、バクテリア、藻類、ウイルス、タンパク質を磁性粒子に結合させることができる。しかし、これらが結合された後は複合体になるので、違いはない。磁性粒子がターゲット物質よりも小さい場合には、磁性粒子(ナノ粒子)はターゲット物質に結合される。磁性粒子がターゲット物質に結合されるか、それともターゲット物質が磁性粒子に結合されるかは、それぞれ異なる状況によって決まる。そのとき、磁性柱は、粒子−細胞/ウイルス複合体を引き付ける。
【0015】
液体は、当業者に分かるように少量または大量であり得る。本発明の実施態様では、その量は約10μlから約106リットルである。例えば、研究用途では、その量は約10μlしかない。本発明の実施態様では、その量は約0.1mlである。産業用途では、その量は水泳プールの容積ほどにも多くなり得る。磁石が大きいサイズに拡大される1つの実施態様では、スカベンジング装置は、水中の人毛、藻類、および他の異質(混入)物質を除去できるように、真空吸引掃除機のように製作することができ、また水泳プール中を歩くことができる。1つの実施態様では、液体は約300mlから約1000mlである。この量では、臨床目的に使用してもよい。
【0016】
本発明の別の態様によれば、磁性粒子を液体から除去する方法が提示され、この方法は、液体中で磁性柱を動かし、それによって磁性粒子を引き付けることと、磁性柱および引き付けられた磁性粒子を液体から除去することとを含む。本発明の実施態様では、その動きは、撹拌、回転、振動、揺れ、旋回、前後動、上下動、およびこれらの組合せからなる群から選択される。本発明の実施態様では、その動きは撹拌である。
【0017】
一態様では、磁性柱は中空であり、内部の磁石を含み、磁石は磁性柱から取出し可能でもよい。別の態様では、磁性柱はさらに、非磁性スペーサおよび取外し可能なカバーを含む。
【0018】
別の態様では、複数の磁性柱は少なくとも1つのアレイの形で前記軸に支えられており、それぞれの磁性柱は異なるサイズ/長さ、および/または直径である。本発明の実施態様では、少なくとも1つのアレイは、軸に支えられた単一のアレイである。本発明の別の実施態様では、少なくとも1つのアレイは、軸に支えられた複数のアレイである。本発明の別の実施態様では、少なくとも1つのアレイは、当業者に分かるように、軸に支えられた任意の数のアレイである。本発明の別の実施態様では、少なくとも1つのアレイは、1列から約20列のアレイである。
【0019】
別の態様では、複数のアレイは、実質的に平行(=)、実質的に交差(×または+)、およびこれらの組合せからなる群から選択された配置で軸に支えられている。
【0020】
別の態様では、軸を中心とする動きは、手動、自動、およびこれらの組合せからなる群から選択される。
【0021】
一態様では液体は、血液、血液製剤、骨髄、CSF、細胞培養液、食品、ミルク、飲料、例えばエンジンオイルなどの油、例えば機械から取り出されたものなどの潤滑剤、緩衝剤、それだけには限らないが水、エタノール、ホルムアミド、フェノール、クロロホルム、他の化学液体を含む溶剤、他の化学試薬、およびこれらの組合せからなる群から選択される。一態様では液体は、血液、血液製剤、およびこれらの組合せからなる群から選択される。
【0022】
別の態様では磁性粒子は、細胞、バクテリア、藻類、ウイルス、タンパク質、核酸、汚染物質、またはこれらの組合せに結合される。
【0023】
別の態様では、液体は、当業者に分かるように大量である。本発明の実施態様では、液体は量が約300mlから約1000mlである。
【0024】
本発明の別の態様によれば、磁性粒子を液体から除去する装置が提示され、この装置は、流入導管および流出導管を含むチャンバと、チャンバ内で流入導管と流出導管の間に支えられた磁石とを備えており、磁石は、液体が流入導管から流出導管へと流れるときに、液体中の磁性粒子を引き付ける。
【0025】
一態様では、磁石は固定されている。
【0026】
一態様では、磁石は、当業者に分かるように任意の形状またはサイズにすることができる。
【0027】
一態様では、磁石は、チャンバの壁の内側および/または外側に装着することができる。
【0028】
別の態様では、装置はさらに、チャンバ内に磁石を支持するための複数の保持部分を有する。
【0029】
別の態様では、磁石は保護コーティングを有する。
【0030】
別の態様では、装置は、互いに係合してチャンバを形成する2つの部分を備え、一方の部分は流入導管を有し、他方の部分は流出導管および磁石を有する。
【0031】
一態様では、磁石はチャンバから取外し可能であり、その2つの部分は、一緒にネジ止めすることによって互いに係合されている。
【0032】
別の態様では、磁石の外径はチャンバの内径よりも小さくなっている。別の態様では、磁石は、流体が通って流れる開口を備えている。別の態様では、磁石は片側または両側が凹状になっている。
【0033】
一態様では液体は、血液、血液製剤、骨髄、CSF、細胞培養液、食品、ミルク、飲料、例えばエンジンオイルなどの油、例えば機械から取り出されたものなどの潤滑剤、緩衝剤、それだけには限らないが水、エタノール、ホルムアミド、フェノール、クロロホルム、他の化学液体を含む溶剤、他の化学試薬、およびこれらの組合せからなる群から選択される。一態様では液体は、血液、血液製剤、およびこれらの組合せからなる群から選択される。
【0034】
一態様では磁性粒子は、細胞、バクテリア、藻類、ウイルス、タンパク質、核酸、または汚染物質に結合される。
【0035】
別の態様では、液体は、当業者に分かるように大量である。本発明の実施態様では、液体は量が約300mlから約1000mlである。
【0036】
本発明の別の態様によれば、磁性粒子を液体から除去する方法が提示され、この方法は、内部の磁石を含むドリップ式チャンバの中に液体を、該液体が該磁石に接触して流通し該磁石が液体中の磁性粒子を引き付けるように通過させることと、液体をドリップ式チャンバの外へ通過させることとを含む。
【0037】
別の態様では、ドリップ式チャンバは、チャンバ内で磁石を支えるための複数の保持部分を含む。
【0038】
別の態様では、磁石は保護コーティングを有する。
【0039】
別の態様では、ドリップ式チャンバは、互いに係合してドリップ式チャンバを形成する2つの部分を備え、一方の部分は流入導管を有し、他方の部分は流出導管および磁石を有する。一態様では、磁石はドリップ式チャンバから取外し可能であり、その2つの部分は、一緒にネジ止めすることによって互いに係合されている。
【0040】
一態様では、磁石の外径はドリップ式チャンバの内径よりも小さくなっている。別の態様では、磁石は、流体が通って流れる開口を備えている。別の態様では、磁石は片側または両側が凹状になっている。
【0041】
別の態様では液体は、血液、血液製剤、骨髄、CSF、細胞培養液、食品、ミルク、飲料、例えばエンジンオイルなどの油、例えば機械から取り出されたものなどの潤滑剤、緩衝剤、それだけには限らないが水、エタノール、ホルムアミド、フェノール、クロロホルム、および他の化学液体を含む溶剤、ならびに化学試薬からなる群から選択される。一態様では液体は、血液または血液製剤である。
【0042】
別の態様では磁性粒子は、細胞、バクテリア、藻類、ウイルス、タンパク質、核酸、または汚染物質に結合される。
【0043】
別の態様では、液体は、約300mlから約1000mlなど大量である。
【0044】
本発明の別の態様によれば、患者の血液感染性の病気または障害を処置する方法が提示され、この方法は、病気または障害を引き起こす部分に向けられて結合する磁性粒子を用いて患者の血液を処置することと、本明細書に記載の装置を使用することによって、磁性粒子および、病気または障害を引き起こす部分を血液から除去することとを有する。
【0045】
一態様では、血液感染性の病気または障害は、癌、ウイルス、および自己免疫疾患からなる群から選択される。一態様では、癌は白血病であり、ウイルスはHIV、HBVまたはHCVであり、ロタウイルスおよび自己免疫疾患は糖尿病、全身性エリテマトーデスまたは関節リウマチである。
【0046】
別の態様では、その病気または障害を引き起こす部分は、細胞、ウイルス粒子、自己免疫タンパク質複合体、毒物、タンパク質複合体、およびコレステロール複合体から選択される。
【0047】
別の態様では、血液は処置のために患者から取り出され、処置後に患者に戻される。
【0048】
本発明の別の態様によれば、本明細書に記載の、患者の血液感染性の病気または障害を処置する装置の使用が提示され、病気または障害を引き起こす部分に向けられて結合する磁性粒子は患者の血液中に存在する。
【0049】
一態様では、血液感染性の病気または障害は、癌、ウイルス、および自己免疫疾患から選択される。一態様では、癌は白血病であり、ウイルスはHIV、HBVまたはHCVであり、自己免疫疾患は糖尿病、全身性エリテマトーデスまたは関節リウマチである。
【0050】
別の態様では、病気または障害を引き起こす部分は、細胞、ウイルス粒子、自己免疫タンパク質複合体、毒物、タンパク質複合体、コレステロール複合体から選択される。
【0051】
本発明のほかの特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになろう。しかし、詳細な説明および具体的な諸例は、本発明の趣旨および範囲内での様々な変更および修正が当業者には詳細な説明から明らかになるので、本発明の諸実施態様を示しながらも単なる例示として示されていることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】本発明の装置の斜視図である。
図2図1の装置に関する磁性柱の斜視図である。
図3図1の装置に関するアレイの上面図および側面図である。
図4図1の装置の組立てを示す斜視図である。
図5A】本発明の別の装置の側面図である。
図5B図5Aの装置の側面断面図である。
図5C】使用中の図5Aの装置の側面断面図である。
図6A】分解したときの図5Aの装置の側面図である。
図6B図6Aの装置の断面図である。
図6C図5Aの装置の上面断面図である。
図7A】本発明の装置の使用方法を示す図である。
図7B】本発明の装置の使用方法を示す図である。
図8】本発明の態様による、ターゲット粒子を磁性粒子に結合させて複合体を形成し、その複合体を磁石に結合させることを示す図である。
図9】本発明の装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
次に諸実施形態を単なる例として、添付の図を参照して説明する。
【0054】
本発明は、液体から磁性粒子を除去すなわちスカベンジングする新規の装置および方法を対象とする。これらの装置および方法には、磁性粒子を血液などからの生体液体、血液製剤、骨髄、CSF、細胞培養液、食品、ミルク、飲料、例えばエンジンオイルなどの油、例えば機械から取り出されたものなどの潤滑剤、緩衝剤、それだけには限らないが水、エタノール、ホルムアミド、フェノール、クロロホルム、および他の化学液体を含む溶剤、ならびに化学試薬から除去することに関して、用途が見出される。磁性粒子は、それ自体が液体中の混入物または汚染物質であること、または、液体中の混入物もしくは病気を引き起こす部分に結合していることがある。あるいは磁性粒子は、精製のために液体から取り出さなければならない液体の望ましい成分であることもある。
【0055】
ここでは、本発明のスカベンジング装置の1つの態様を示す図1を参照して本発明を説明する。この装置20は、つまみ24に連結された軸22を備えている。軸22とつまみ24は互いに連結されており、その結果、つまみ24が動くことで(この実施形態では回転)、対応する動き(この実施形態では軸22の回転)が生じることになる。こうして装置20は、つまみ24が動くこと(この実施形態では回転)により、手動および/または自動で動作することができる。軸22には複数の円柱26が取り付けられている。円柱26は中空であり、磁石28を収容し(図2参照)、軸22を中心に回転する。複数の円柱26は、図示の実施形態ではそれぞれが6本の円柱でのアレイの形で軸のまわりに支えられている。6本の円柱と3列のアレイは一例にすぎない。円柱およびアレイは、当業者に分かるように装置20の直径に応じてより多くしてもより少なくしてもよい。円柱26の長さは、当業者に分かるように、容器30内側の液体容積の深さまたは浅さに応じてより短くしてもより長くしてもよい。それぞれのアレイは、異なる寸法に設定された複数の円柱26を備える。寸法が変わることにより、対応する磁界の強さの変化が可能になり、最終使用者が望むとおりに装置20をカスタマイズすることができる。軸22および円柱26は、液体を保持する容器30の中に挿入可能であり、この容器は、カバー32を用いて蓋をすることができる。
【0056】
装置20は、磁石28が円柱26内に収容されていないときは攪拌装置として機能できるのに対し、磁石28が円柱26内に収容されているときには、さらに液体中の磁性粒子を引き付けるようにも機能できる点で多機能であることを理解されたい。
【0057】
次に図2を参照すると、円柱26および磁石28が別々に示されている。磁石28は、3つの異なるサイズのもの28a、28bおよび28cで示されている。加えて、非磁性スペーサ34が、3つの異なるサイズのもの34a、34bおよび34cで示されている。非磁性スペーサ34は、金属(例えば、アルミニウム、鉛または銅)、磁器、ガラス、セラミック、プラスチック、または木などの任意の非磁性材料で作ることができる。これらの磁石28およびスペーサ34を様々に並び換えて組み合わせることによって、結果として生じる磁界は、最終使用者の要求に合うように調整可能である。例えば、円柱26aは磁石28だけを含み、強い磁界を発生する。円柱26bは、1つのスペーサ34によってそれぞれ分離された3つの磁石28を含み、容器30内の3つの異なる平面の位置に中程度の磁界を作り出す。最後に、円柱26cは、3つのスペーサ34によって分離された2つの磁石28を含み、それによって、容器30内の別々の離れた2つの平面の位置に弱い磁界を作り出す。このような磁石28とスペーサ34の組合せの構成により、最終使用者にはほぼ無制限に磁界のカスタマイズ化が可能になる。
【0058】
この組合せの構成は、液体中のいかなる磁性粒子も、それらの異なる固有の重力のために容器30の底に直ちに沈殿するのではなく、ある時間浮遊し得るので有利である。磁界の面を調整することによって、磁性粒子は、液体中に粒子が沈むのを待つのではなく、磁性柱26に直ちに引き付けることができる。加えて、より強いまたは弱い磁界を液体中の磁性粒子の濃度または大きさに応じて作り出すために、磁石のサイズを調整してもよい。
【0059】
図2から、円柱26は、1つの閉端と、磁石28およびスペーサ34を挿入できる1つの開放端とを有する管であることが明らかである。開放端は、蓋36によって保護されてよく、それによって、容器30内の液体が磁石28およびスペーサ34を汚染することが防止される。こうして、磁石28およびスペーサ34は、それぞれの使用の間に洗浄することを必ずしも必要とせずに再使用可能である。
【0060】
図3は、アレイ38中の複数の円柱26の配置を示す。図1および図2に示されるように、例えば、それぞれが6本の円柱からなる3つのアレイ38を軸22のまわりに組み立てることができる。あるいは、単一のアレイ38、または任意の数のアレイを軸22のまわりに組み立ててもよい。アレイ38は、当業者に分かるように任意の配置で軸22のまわりに組み立ててもよい。本発明の実施形態では、複数のアレイ38は、軸22のまわりに実質的に平行(=)、実質的に交差(×または+)、およびこれらの組合せからなる群から選択された配置で組み立てられる。図3は、複数のアレイ38を軸22のまわりに実質的に交差した配置で組み立てることを示す。アレイ38は、大きいアレイ38a、中間のアレイ38b、および小さいアレイ38cを作るように、異なるサイズまたは直径の複数の円柱26からなっていてよい。これらのアレイ38a、38b、および38cは、軸22のまわりに任意の組合せで組み立ててもよく、それぞれのアレイ38は、図に示されているように1種類だけの円柱26からなるものでなくてもよい。異なる複数の円柱26を単一のアレイ38内に一緒に組み合わせられると考えられている。したがって、最終使用者には、作り出される磁界に関してよりいっそうのカスタム化の可能性が与えられる。
【0061】
次に図4を参照すると、装置20の組立てが示されている。つまみ24および軸22は、カバー32の孔を通して挿入され、軸22は、磁石28および任意選択のスペーサ34を所望の構成で含むアレイ38に取り付けられている。軸22は中空であり、したがって、容器30から上へ延びている支柱40の最上部に置くことができる。あるいは、軸22は、当業者に分かるように、様々な運動または動きを実現できる任意の箇所に配置または固定することもできる。軸22は、つまみ24を使用することによって支柱40上で回転可能である。現段階では、装置20は、つまみ24を単純に回すことによって手動で動作させることができ、それによってアレイ38が容器30内で回転することになる。あるいは、装置20は、回転速度、ならびに、時間、紫外線殺菌、温度および光源などの他の望ましいパラメータを制御できる自動化筐体42の中に入れてもよい。
【0062】
図4では、筐体42は、医学的用途が目的の例示的な装置である。使用の際、装置20は、磁石28、スペーサ34、およびアレイ38を使用して所望の構成に、図示されたように組み立てられる。磁性粒子を含む液体が容器30の中に入れられ、つまみ24が回される。これにより、液体全体にわたって液体が攪拌されるとともに磁界が動くことになり、それによって液体中の磁性粒子が磁界内に見出され、そうして磁石28に引き付けられる可能性が増す。ある期間の後、精製された液体が所望の最終製品であるか、それとも磁性粒子が所望の最終製品であるかによって、液体を容器30から取り出してもよく、および/またはアレイ38を液体から取り出してもよい。磁性粒子は円柱26に引き付けられ、この引き付ける力は、例えば中の磁石を除去することによって円柱26が消磁されるまで無くならない。
【0063】
次に図5および図6を参照すると、本発明の装置の別の態様が示されている。ここでは、その装置は、液体58が流通できる流入導管46および流出導管48を有する中空のドリップ式チャンバ44の形を取る。磁石28が、ドリップ式チャンバ44内で保持部分50の上に支持されている。磁石28の外径は、液体58が保持部分50間の間隙60を経由して磁石28を通り過ぎ、流出導管48を通って流れ出るように、ドリップ式チャンバ44の内径よりも小さくなっている。あるいは、磁石28はドリップ式チャンバ44の内径と同じ直径を有していてもよいが、この場合には、液体58が通って流れることができるように磁石28に少なくとも1つの開口があるべきである。この装置の態様では、磁石28は固定されており、液体58と一緒に動かないことが理解されよう。別法として、磁石28は、チャンバ44の内側および/または外側で壁に取り付けてもよい。チャンバ44はまた、病気を引き起こす成分を捕捉するために、患者の体内に装置を埋め込むことによって流入導管46および流出導管48が患者の静脈または動脈に接続されるように変更することもできる。
【0064】
ドリップ式チャンバ44は、互いに係合してドリップ式チャンバ44を形成する2つの部分から作られる。一方の部分62は流入導管46を含み他方の部分64は流出導管48および磁石28を含む。図6に示されるように、2つの部分62、64は互いにネジで止められてドリップ式チャンバ44を形成する。これら2つの部分は、ネジ止め以外に例えば摩擦ばめによって、または一緒にスナップ止めすることなどの方法によって互いに係合できることが理解されよう。あるいは、ドリップ式チャンバ44は、磁石28が中に製作された、別々になっていない一体型装置として提供することもできる。ドリップ式チャンバ44は、滴下の速度を監視できるように透明にしてもよい。ドリップ式チャンバの材料は、磁石のシリンジまたはコーティング52の材料と同じでもよい。
【0065】
図示の実施形態では、磁石28は保護コーティング52を有する。保護コーティング52の材料は、シリンジまたは他の医療用途消耗品の材料と一致していてもよい。保護コーティングの材料は無毒性で、例えばポリエチレンまたはポリセンなどの、規制された認証グレード材料であるべきである。保護コーティングの厚さは、約0.2mmから約1.0mmとすることができる。コーディング52は、磁石28で発生する磁界を妨げずに、磁石28と、当該コーティングが接触する液体58との間で不都合な反応が何も生じないようにするために存在する。例えば、液体58が血液である場合、コーティング52は生体適合性としても、また不活性としてもよい。加えて、コーティング52は、磁石28のどちらかの面または両面に凹状の窪み54を形成するように形づくってもよい。窪み54は、ドリップ式チャンバ44の中に磁石28が置かれる向きが問題にならないように、磁石28の両面に形成されている。窪み54は、液体58中のいかなる磁性粒子56も磁石28によって引き付けられ所定の位置に保持される一方で、液体58が通過し続けることを確実にする助けとするために、液体が磁界と接触する時間を増やすように機能する。
【0066】
液体58が血液または血液製剤である場合、ドリップ式チャンバ44は、図7に示されたような医療用液体容器66の下に吊り下げてもよい。この実施形態では、血液または血液製剤は医療用液体容器66からドリップ式チャンバ44に流れ込み、最終的に患者に流れ込む。こうして、血液または血液製剤は、それが患者の中に入る前に磁性粒子56が取り除かれる。血液または血液製剤は、以前に取り出された患者自身の血液または血液製剤でもよい。1つの態様では、ターゲットとなる磁性粒子56は、例えば患者の血液内で見つかった悪性細胞に結合されたとする。この血液をドリップ式チャンバ44の中に通すことによって、悪性細胞は、血液を患者の身体に戻す前に磁性粒子56と一緒に血液から除去される。
【0067】
使用の際、磁気粒子56を含む液体58は、流入導管46を経由してドリップ式チャンバ44に流れ込むことができる。液体58は磁石28に接し、液体中に見出されるいかなる磁性粒子56も磁石28によって引き付けられ、所定の位置に保持される一方で、液体58は通過し続け、流出導管48を通って流れ出る。ドリップ式チャンバ44を出ると、液体58には実質的に磁性粒子56が無いことになる。
【0068】
次に、ここで、本発明の装置の別の態様を示す図7Aおよび図7Bを参照して本発明を説明する。具体的には、図7Aは、医療用液体容器66および磁性柱72を含む装置を示す。この特定の実施形態で、血液58が白血病の患者から採取され、医療用液体容器66内に集められる。集められた血液58中の白血病細胞は、磁性粒子56に結合される。磁性柱72は、医療用液体容器66の中の集められた血液58中に浸漬され、回転または攪拌される。血液58中の磁性粒子56に結合している白血病細胞は、磁性柱72に磁気的に結合し、磁性柱72が医療用液体容器66から取り出されるときに磁性柱72と一緒に血液58から除去される。それから、その白血病細胞が無い血液を患者に注入して戻すことができる。次に図7Bを参照すると、医療用液体容器66は、ドリップ式チャンバ44付きの血液ボトルである。その血液ボトルの肩には、磁性柱72を挿入できる開口76がある。再び、血液58が白血病の患者から採取され、その血液ボトル内に集められる。集められた血液58中の白血病細胞は、磁性粒子56に結合される。磁性柱72は、血液ボトルの肩の開口76に挿入され、集められた血液58中に浸漬され、回転または攪拌される。血液58中の磁性粒子56に結合している白血病細胞は、磁気的に磁性柱72に結合し、磁性柱72が血液ボトルから取り出されるときに磁性柱72と一緒に血液58から除去される。それから、その捕捉された白血病細胞は、分析のために別の容器に入れることができる。
【0069】
本発明の実施形態では、ターゲット物質は、磁石支持材料に結合するように作られている。このターゲット物質は、例えば1対の生体特異性リガンドと受容体、抗原と抗体、または特定の結合親和性を有するものは何でも、何か特定の結合対の部材とすることができる。生体特異性結合対のどんな部材を決定することも、この部材と他の対の部材との選択的相互作用に依存する。例えば、免疫複合体を形成する際、「層」が磁性粒子/抗原/抗体、又は磁性粒子/抗体/抗原であるといった「サンドイッチ」が形成される。このサンドイッチはまた、磁性粒子/受容体/ウイルス、又は磁性粒子/受容体/細胞とすることもできる。次に図8を参照すると、磁気的に反応する粒子が固体の担持体を形成する。この特定の実施形態では、磁性粒子は、酸化鉄のコアなどの鉄のコア、およびシリカ/ポリマーのシェルからなる。磁性粒子の粒径範囲は、約10nmから約500μmとしてもよい。生体親和性成分は、共有結合によって、またはビオチン/ストレプトアビジン結合によって粒子に付着する。生体親和性成分は、細胞、ウイルス、および他のターゲット物質が、抗原−抗体、リガンド−受容体などのように粒子に付着するのに必要になる。この特定の実施形態では、粒子はシリカまたはポリマーでコーティングされ、その結果、粒子は、例えば1つを超える受容体を呈示するために、またいくつかのターゲット物質で取り囲むために、表面積を大きくすることができ、例えば花状の複合体を形成できるようになる。同じ理由で、1つの細胞が1つを超える受容体を細胞の膜に有する場合、設計に応じて1つを超える粒子を1つの細胞に付着させることができる。この特定の実施形態では、磁気的に応答する粒子自体は磁化されない。粒子は担体の役割を果たし、本物のコロイドとして挙動する。粒子は、磁界にさらされたときだけ磁性を持つことになる。加えて、粒子の例えば鉄と液体成分の間の特定の化学反応を回避するために、コーティング材料により、粒子の例えば鉄が液体と直接接触することを防止することができる。このことは、粒子が臨床目的に使用される場合には非常に重要な安全性の関心事になり得る。
【0070】
次に、ここで、本発明の装置の別の態様を示す図9を参照して本発明を説明する。この特定の実施形態では、装置20は、例えば水泳プール業界などの業界で使用されるスカベンジャーである。大きいサイズに磁石が拡大されているこの実施形態で、装置20はスカベンジャーであり、水泳プール内の水から人毛および他の混入物質を除去するために真空掃除機のような形に製作されており、液体容器がプールであり、軸22、つまみ24、磁性柱26、および支柱40が装置20を構成する。装置20は、水泳プール内の水の中を通って、この実施形態では支柱40に支えられた車輪80により水泳プールの内面にわたって装置20が移動するように、モータを付けることができ、あるいは取っ手78を押すことによって手動で移動させることができ、その結果、水中の人毛、藻類、および他の異質(混入)物質を除去できることになる。この実施形態は、フィルター浄化よりも有効で経済的である。
【0071】
本明細書に記載の装置は、液体から磁性粒子を除去する方法に関して用途が見出される。液体の種類は非限定的なものであり、いくつかの例には、血液、血液製剤、骨髄、CSF、細胞培養液、食品、ミルク、飲料、例えばエンジンオイルなどの油、潤滑剤、緩衝剤、それだけには限らないが水、エタノール、ホルムアミド、フェノール、クロロホルム、および他の化学液体を含む溶剤、ならびに化学試薬が含まれる。磁性粒子自体を液体から除去することが望ましいこともあれば、磁性粒子が液体中の除去することが望ましい成分に結合していることもある。例えば、磁性粒子は、細胞、バクテリア、藻類、ウイルス、タンパク質、核酸、または液体中に見出される汚染物質に向けられて結合してもよい。こうして、本明細書に記載の装置は、汚染水もしくは汚れた水を浄化するのに使用しても、あるいは、エンジンオイル中および潤滑剤中に見出される金属剥離物の小片を除去するのに使用してもよい。あるいは、この装置は、白血病を含む癌、HIV、HBVもしくはHCVを含むウイルス、糖尿病、全身性エリテマトーデスもしくは関節リウマチを含む自己免疫疾患などの病気または障害を処置するのに使用してもよい。これらの列挙された病気および障害は、現在特許請求されている装置を使用してあらゆる液体の病気または障害(血液、骨髄、CSFなどの体液中の循環する細胞、ウイルス、タンパク質、自己抗体を伴うあらゆる病気または障害)を処置してもよいので、非限定的なものと考えられる。本明細書に記載の装置はまた、タンパク質、バクテリア、ウイルス、DNAもしくはRNAを溶液から分離することに関してなど、実験的な分析に関して用途が見出される。
【0072】
このような病気または障害を処置する際、磁性粒子は、病気を引き起こす部分に向けられて結合する。例えば、白血病の場合では、磁性粒子は悪性細胞をターゲットとする。ウイルス感染の場合では、磁性粒子はウイルス粒子をターゲットとする。自己免疫障害の場合では、磁性粒子は自己免疫タンパク質複合体をターゲットとする。他のタンパク質複合体またはコレステロール複合体を、他の病気または障害を処置するためのターゲットとしてもよい。
【0073】
提示した説明は、網羅的なものではなく、あるいは本発明の範囲を限定するものでもない。以下の特許請求の範囲および趣旨から逸脱することなく、多くの修正および変形が上記の教示に照らして可能である。本発明を利用することは、様々な特性を有する構成要素を伴い得ることが考えられる。本発明の範囲は、等価物に関して完全な認識範囲をすべての点で与える添付の特許請求の範囲によって定義されるものである。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2016年3月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性粒子を液体から除去する装置であって、
磁性粒子を含液体を保持する少なくとも1つの容器と、
前記少なくとも1つの容器の底部から上方へ延びる支柱と、
前記支柱に対して動くように該支柱に取り付けられた軸と、
前記軸に支持された少なくとも1つの磁性柱有し
前記容器が前記磁性粒子を含む液体を保持して前記軸が前記支柱に対して動くと、前記少なくとも1つの磁性柱が前記液体内を動くことにより、前記磁性粒子が前記少なくとも1つの磁性柱の方に引き付けられて該磁性柱に結合し、その結果、前記液体が前記少なくとも1つの磁性柱から分離されたとき、前記磁性粒子が前記液体から除去される、装置。
【請求項2】
前記軸の前記支柱に対する動きが任意の方向である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記軸の前記支柱に対する動きが多方向である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの磁性柱が、少なくとも1つの磁石を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの磁性柱が、少なくとも2つの磁石を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの磁性柱が、前記少なくとも2つの磁石の2つの磁石の間に少なくとも1つの非磁性スペーサをさらに有する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの磁性柱が中空であり、前記少なくとも1つの磁石が内部の磁石である、請求項に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの磁石が、永久磁石、電磁石、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの磁性柱が複数の磁性柱である、請求項に記載の装置。
【請求項10】
前記複数の磁性柱の少なくとも2つの磁性柱が異なる寸法を有する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記複数の磁性柱が、少なくとも1つのアレイの形で前記軸に支持されている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つのアレイが、前記軸に支持された複数のアレイである、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
複数のアレイが、実質的に平行、実質的に交差、およびこれらの組合せからなる群から選択された配置で前記軸に支持されている、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
磁性粒子を液体から除去する装置であって、
流入導管および流出導管を有するチャンバと、
前記チャンバ内で前記流入導管と前記流出導管の間に支持された磁石とを有し、
前記磁石は、前記液体が前記流入導管から流入して前記チャンバを通過し前記流出導管へと流出するときに、前記液体中の前記磁性粒子を引き付けて該磁石に結合させ、装置。
【請求項15】
前記チャンバ内で前記磁石を支持する複数の保持部分をさらに有する、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記磁石が保護コーティングを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記チャンバが、互いに係合してチャンバを形成する2つの部分であって、前記流入導管を有する一方の部分と、前記流出導管および前記磁石を有する他方の部分とを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記磁石が前記チャンバから取外し可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記磁石が前記チャンバの壁に取り付けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記磁石は、前記液体が通って流れる開口を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記流入導管および前記流出導管が、患者の静脈または動脈に直接または間接的に連結されるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記液体が、血液、血液製剤、骨髄、CSF、細胞培養液、食品、ミルク、飲料、油、潤滑剤、緩衝剤、試薬、溶剤であって水、エタノール、ホルムアミド、フェノール、クロロホルムからなる群から選択された溶剤、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1または14に記載の装置。
【請求項23】
前記磁性粒子が細胞、バクテリア、藻類、ウイルス、タンパク質、核酸、汚染物質、毒物、タンパク質複合体、またはコレステロール複合体に結合されている、請求項1または14に記載の装置。
【請求項24】
前記ウイルスが、HIV、HBVまたはHCVである、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記タンパク質複合体が、自己免疫タンパク質複合体である、請求項23に記載の装置。