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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-155186(P2016-155186A)
(43)【公開日】2016年9月1日
(54)【発明の名称】把持装置、及び昇降助力装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20160805BHJP
   B66C 1/28 20060101ALI20160805BHJP
   B66F 19/00 20060101ALI20160805BHJP
【FI】
   B25J15/08 C
   B66C1/28 K
   B66C1/28 E
   B66F19/00 B
   B25J15/08 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-33233(P2015-33233)
(22)【出願日】2015年2月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】下山 竜郎
【テーマコード(参考)】
3C707
3F004
【Fターム(参考)】
3C707AS38
3C707DS01
3C707ES03
3C707ET05
3C707EV05
3C707EV23
3C707EW07
3C707HS12
3C707XK22
3F004AA01
3F004AB03
3F004AD03
3F004AD05
3F004AE03
3F004AF06
(57)【要約】
【課題】把持対象物を安定的に把持し、把持対象物を落下させること無く所定位置まで移動させること。
【解決手段】把持装置30は、把持対象物を把持する把持機構60と、一対の平行リンク機構40,50の揺動と同期して直線運動するロッド70とを備えている。把持機構60は、第2爪62を第1爪61に向けて移動させるアクチュエータ63を備えている。さらに、把持装置30は、一対の平行リンク機構40,50における把持対象物から離れる方向への揺動を少なくとも規制するために、一対の平行リンク機構40,50の揺動と同期するロッド70の直線運動をロック可能なロック機構71を備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベースに連結されるとともに互いに接離する方向へ揺動する一対の平行リンク機構と、
各平行リンク機構に設けられるとともに把持対象物を把持する把持機構と、
前記一対の平行リンク機構に連結されるとともに前記一対の平行リンク機構の揺動と同期して直線運動するロッドと、を備え、
前記把持機構は、
第1爪と、前記第1爪と協働して前記把持対象物を把持する第2爪と、前記第1爪及び前記第2爪のいずれか一方を他方に向けて移動させるアクチュエータと、を備え、
前記一対の平行リンク機構における前記把持対象物から離れる方向への揺動を少なくとも規制するために、前記揺動と同期する前記ロッドの直線運動をロック可能なロック機構を備えたことを特徴とする把持装置。
【請求項2】
前記ロック機構は、前記一対の平行リンク機構における前記把持対象物から離れる方向への揺動と同期するロッドの直線運動のみをロック可能になっていることを特徴とする請求項1に記載の把持装置。
【請求項3】
前記ロッドは重力方向に沿って直線運動し、
前記ロッドと前記ベースとは、引張ばねによって連結されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の把持装置。
【請求項4】
把持対象物を把持する把持装置と、
前記把持装置を支持するアームと、
前記アームの昇降動作を可能とし、且つ前記把持装置に把持された把持対象物の重量を重力とバランスさせるリニアアクチュエータと、を備える昇降助力装置であって、
前記把持装置は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の把持装置であることを特徴とする昇降助力装置。
【請求項5】
前記把持装置は、ボールジョイントを介して前記アームに支持されていることを特徴とする請求項4に記載の昇降助力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把持対象物を把持する把持装置、及び該把持装置を備えた昇降助力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、把持装置を備えた釣り合いクレーンが開示されている。図12に示すように、釣り合いクレーン100は、基台101に対して回転可能に設けられた本体102と、本体102から水平方向に延びるリンク103と、リンク103を本体102に対して上下方向へ移動させる駆動装置104とを備えている。リンク103の先端には吊り上げアーム105、及び駆動装置104を制御するボックス106を介して把持装置110が連結されている。そして、駆動装置104の駆動に伴うリンク103の本体102に対する上下運動と、基台101に対する本体102の回転運動とによって、把持装置110によって把持された把持対象物W100を移動させるようになっている。
【0003】
図13に示すように、把持装置110は、上下方向に延びるシリンダ111と、シリンダ111に対して出没可能に設けられたピストン112と、シリンダ111の下部に固定されたベース部材113とを備えている。ベース部材113には、上下方向に延びる一対の第1リンク114が枢支軸115aを介してベース部材113に対して揺動可能に支持されている。また、ベース部材113における各第1リンク114よりも内側には、第1リンク114の下部に平行な一対の第2リンク116が枢支軸115bを介してベース部材113に対して揺動可能に支持されている。さらに、各第1リンク114及び各第2リンク116の下端側は、枢支軸115c,115dを介してブラケット117に連結されている。各ブラケット117の内面には、把持対象物W100を把持するパッド118が取り付けられている。また、各第1リンク114の上部側には、枢支軸115eを介して揺動アーム119が枢支軸115e周りで揺動可能に支持されている。各揺動アーム119は、ピストン112の上部側に設けられた支持具120に枢支軸115fを介して支持されている。支持具120は、ボックス106に取り付けられている。
【0004】
図14に示すように、把持装置110は、ピストン112をシリンダ111に対して突出する方向へ常時付勢するスプリング121を備えている。さらに、シリンダ111には係合部122が設けられるとともに、ピストン112には、係合部122に係合可能な係止体123が設けられている。係止体123は、ボール123aと、ボール123aを付勢するバネ123bとを備えている。ピストン112には、開口部112hが形成されており、バネ123bの付勢力によってボール123aの外周一部が開口部112hを介してピストン112外へ突出するようになっている。そして、ピストン112のシリンダ111に対する没入時に、係合部122にボール123aの外周一部が係止され、ピストン112におけるシリンダ111に対する没入状態が保持可能になっている。ボール123aにおける係合部122に対する係合は、解除レバー124を押動操作することによって解除可能になっている。
【0005】
把持装置110によって把持対象物W100を把持する際には、係合部122にボール123aの外周一部を係止させ、ピストン112におけるシリンダ111に対する没入状態を保持する。そして、各パッド118を把持対象物W100の両側に配置した状態で、解除レバー124を押動操作することによりボール123aにおける係合部122に対する係合を解除する。すると、スプリング121の付勢力によってピストン112がシリンダ111に対して突出する方向へ移動し、このピストン112の移動に伴い、各揺動アーム119、各第1リンク114及び各第2リンク116を介して各パッド118が互いに近づく方向に移動する。これにより、各パッド118によって把持対象物W100が把持される。したがって、各パッド118を把持対象物W100の両側に配置した状態で、解除レバー124を押動操作するだけで、各パッド118によって把持対象物W100を把持することができ、把持対象物W100の把持が容易に行える。
【0006】
また、把持対象物W100を所定位置にまで移動させて下ろすときには、把持対象物W100を所定位置で接地させた状態で、駆動装置104によってリンク103を本体102に対して下方側へ移動させる。すると、ピストン112がシリンダ111に対して没入する方向へ移動し、このピストン112の移動に伴い、各揺動アーム119、各第1リンク114及び各第2リンク116を介して各パッド118が互いに離間する方向に移動する。これにより、各パッド118における把持対象物W100の把持状態が解除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平2−124985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の把持装置110では、各パッド118による把持対象物W100に作用する把持力は、スプリング121の付勢力に基づくものである。よって、スプリング121の付勢力によっては、把持対象物W100を各パッド118によって把持した状態で、把持対象物W100を所定位置まで移動させる際に、把持対象物W100が落下してしまう虞がある。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、把持対象物を安定的に把持し、把持対象物を落下させること無く所定位置まで移動させることができる把持装置、及び昇降助力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する把持装置は、ベースと、前記ベースに連結されるとともに互いに接離する方向へ揺動する一対の平行リンク機構と、各平行リンク機構に設けられるとともに把持対象物を把持する把持機構と、前記一対の平行リンク機構に連結されるとともに前記一対の平行リンク機構の揺動と同期して直線運動するロッドと、を備え、前記把持機構は、第1爪と、前記第1爪と協働して前記把持対象物を把持する第2爪と、前記第1爪及び前記第2爪のいずれか一方を他方に向けて移動させるアクチュエータと、を備え、前記一対の平行リンク機構における前記把持対象物から離れる方向への揺動を少なくとも規制するために、前記揺動と同期する前記ロッドの直線運動をロック可能なロック機構を備えた。
【0011】
上記把持装置において、前記ロック機構は、前記一対の平行リンク機構における前記把持対象物から離れる方向への揺動と同期するロッドの直線運動のみをロック可能になっていることが好ましい。
【0012】
上記把持装置において、前記ロッドは重力方向に沿って直線運動し、前記ロッドと前記ベースとは、引張ばねによって連結されていることが好ましい。
上記課題を解決する昇降助力装置は、把持対象物を把持する把持装置と、前記把持装置を支持するアームと、前記アームの昇降動作を可能とし、且つ前記把持装置に把持された把持対象物の重量を重力とバランスさせるリニアアクチュエータと、を備える昇降助力装置であって、前記把持装置は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の把持装置である。
【0013】
上記昇降助力装置において、前記把持装置は、ボールジョイントを介して前記アームに支持されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、把持対象物を安定的に把持し、把持対象物を落下させること無く所定位置まで移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態における昇降助力装置を示す斜視図。
図2】把持装置を示す斜視図。
図3】把持装置の部分縦断面図。
図4】アクチュエータを拡大して示す縦断面図。
図5】ロック機構の縦断面図。
図6】ピストンが第2シリンダに向けて移動した状態を示す縦断面図。
図7】ボールが保持溝内でテーパ面から離れる方向へ僅かに移動した状態を示す断面図。
図8】ボールジョイントを拡大して示す縦断面図。
図9】把持装置が初期位置において把持対象物よりも上方に配置されている状態を示す正面図。
図10】各第1爪が把持対象物の側面に当接している状態を示す正面図。
図11】把持対象物のフランジを第1爪及び第2爪によって挟み込んだ状態を示す正面図。
図12】従来例における釣り合いクレーンの全体図。
図13】従来例における把持装置の正面図。
図14】従来例における把持装置の部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、把持装置を備えた昇降助力装置を具体化した一実施形態を図1図11にしたがって説明する。昇降助力装置は、重量物等の把持対象物を所定位置まで移動させる際の作業者の負担を軽減するために用いられるものである。
【0017】
図1に示すように、昇降助力装置10は、本体11と、本体11に連結される把持装置30とを備える。本体11は、柱状の複数の水平材12aによって枠組みされてなる長四角枠状の基台12と、基台12に対して直交する方向(垂直方向)に立設される長四角枠状の立設部13とを備える。本実施形態では、立設部13の立設方向を上下方向(重力方向)とするとともに、基台12の長手方向を前後方向とし、基台12の短手方向を左右方向とする。基台12と立設部13との間には、立設部13の立設方向及び基台12が延びる水平方向に対して交差する方向に延びる支持材14が複数架け渡されている。基台12の四隅には、車輪15がそれぞれ設けられている。本体11は、車輪15によって移動可能になっている。
【0018】
また、本体11は、立設部13の内側に設けられるリニアアクチュエータ16を備えている。リニアアクチュエータ16は、図示しないピストンロッドを有するエアシリンダ17と、ピストンロッドの先端に連結される移動体18と、移動体18を直線的にガイドするリニアガイド19とを備える。リニアガイド19は、立設部13の内側に固定されている。そして、エアシリンダ17に対するエアの給排が行われることにより、ピストンロッドが往復動し、ピストンロッドの往復動に伴って、移動体18がリニアガイド19に案内されながら立設部13の立設方向に沿って直線的に往復動する。移動体18には、一対のブラケット20が固設されている。
【0019】
本体11は、一対のブラケット20を介して移動体18に連結されるアーム21を備えている。アーム21は、支軸22を介して一対のブラケット20に対して水平方向に沿って揺動可能な第1アーム部21aと、第1アーム部21aにおけるブラケット20とは反対側の先端に連結されるとともに第1アーム部21aに対して水平方向に沿って揺動可能な第2アーム部21bとを備える。
【0020】
アーム21は、第2アーム部21bにおける第1アーム部21aとは反対側の先端に設けられる軸部21cを備えている。軸部21cは上下方向に延びている。さらに、アーム21は、軸部21cにおける第2アーム部21bとは反対側の端部に取り付けられる昇降操作用ハンドル23を備えている。昇降操作用ハンドル23は、軸部21cの軸心を回動中心として回動可能になっている。
【0021】
本体11は、エアシリンダ17に対するエアの給排を制御する制御コントローラ25と、エアシリンダ17に供給するエアを給排し、エアの圧力を制御する電空レギュレータ26とを備えている。制御コントローラ25及び電空レギュレータ26は、立設部13に取り付けられている。制御コントローラ25と電空レギュレータ26とは電気的に接続されている。
【0022】
アーム21は、昇降操作用ハンドル23における軸部21cとは反対側に取り付けられる荷重センサ27(例えばロードセル)を備えている。荷重センサ27は、制御コントローラ25に電気的に接続されている。荷重センサ27は、把持装置30によって把持された把持対象物W1の荷重を検出する。
【0023】
荷重センサ27により検出された荷重は、制御コントローラ25に送られる。そして、制御コントローラ25は、荷重センサ27から送られた荷重に基づいて、電空レギュレータ26の駆動を制御する制御信号を電空レギュレータ26に送信する。電空レギュレータ26は、制御コントローラ25から送られた制御信号に基づいて、エアシリンダ17に供給するエアを給排し、エアの圧力を制御する。そして、把持装置30によって把持対象物W1が把持された状態において、作業者が昇降操作用ハンドル23を握って昇降操作用ハンドル23(アーム21)を昇降動作させると、把持装置30に把持された把持対象物W1の重量がほぼ相殺されるようになっている。すなわち、リニアアクチュエータ16は、エアシリンダ17に給排されるエアの圧力によって、アーム21の昇降動作を可能としつつも、把持装置30に把持された把持対象物W1の重量を重力とバランスさせている。
【0024】
図2及び図3に示すように、把持装置30は、ベース31と、ベース31に連結されるとともに互いに接離する方向へ揺動する一対の平行リンク機構40,50と、各平行リンク機構40,50におけるベース31とは反対側の端部に設けられるとともに把持対象物W1を把持する把持機構60とを備えている。
【0025】
ベース31は、水平方向に沿って配置される矩形平板状の第1板31aと、第1板31aの長手方向の端部下面から第1板31aに対して直交する方向に延びる平板状の一対の第2板31bとを有する。さらに、ベース31は、第1板31aの長側縁に連続するとともに第1板31aに対して直交する方向に延びる一対の側板31cを有する。一対の側板31cは側面視略U字形状であるとともに、第2板31bを挟む位置にそれぞれ配置されている。
【0026】
一方の平行リンク機構40は、長板状の2枚の第1リンク部40a、長板状の2枚の第2リンク部40b、長板状の2枚の第3リンク部40c及び長板状の2枚の第4リンク部40dを、それらの厚み方向に間隔をあけて配置してそれぞれを互いに連結した二重構造になっている。各第1リンク部40aは、一対の側板31cにおける第1板31aとは反対側の一端部の外面にそれぞれ取り付けられている。各第2リンク部40bは、各第1リンク部40aの一端部に第1回転支軸41aを介してそれぞれ取り付けられている。各第3リンク部40cは、各第1リンク部40aの他端部に第2回転支軸41bを介してそれぞれ取り付けられている。各第4リンク部40dは、各第2リンク部40bにおける第1リンク部40aとは反対側の端部に第3回転支軸41cを介してそれぞれ取り付けられるとともに、各第3リンク部40cにおける第1リンク部40aとは反対側の端部に第4回転支軸41dを介してそれぞれ取り付けられている。
【0027】
各第1リンク部40aと各第4リンク部40dとは互いに平行に延びている。各第2リンク部40bと各第3リンク部40cとは互いに平行に延びている。各第2リンク部40bにおける長手方向の長さは、各第3リンク部40cにおける長手方向の長さと同じである。各第4リンク部40dの長手方向の長さは、各第1リンク部40aの長手方向の長さよりも長い。各第2リンク部40bにおける各第1リンク部40aとは反対側の端部は、第3回転支軸41cを介して各第4リンク部40dの一端部に取り付けられている。各第3リンク部40cにおける各第1リンク部40aとは反対側の端部は、第4回転支軸41dを介して各第4リンク部40dに取り付けられている。第1回転支軸41aと第2回転支軸41bとの間の距離と、第3回転支軸41cと第4回転支軸41dとの間の距離は等しくなっている。
【0028】
第2リンク部40b同士は、回転支軸41eによって互いに連結されている。また、第3リンク部40c同士は、連結軸41fによって互いに連結されている。そして、各第2リンク部40b及び各第3リンク部40cは、各第1回転支軸41aの軸心又は各第2回転支軸41bの軸心を揺動中心として、各第1リンク部40aに対して互いに平行な状態を維持しながら揺動可能になっている。また、各第4リンク部40dは、各第2リンク部40b及び各第3リンク部40cの揺動に伴って各第1リンク部40aと平行な状態を維持しながら移動可能になっている。
【0029】
他方の平行リンク機構50は、長板状の2枚の第1リンク部50a、長板状の2枚の第2リンク部50b、長板状の2枚の第3リンク部50c及び長板状の2枚の第4リンク部50dを、それらの厚み方向に間隔をあけて配置してそれぞれを互いに連結した二重構造になっている。各第1リンク部50aは、一対の側板31cにおける第1板31aとは反対側の他端部の外面にそれぞれ取り付けられている。各第2リンク部50bは、各第1リンク部50aの一端部に第1回転支軸51aを介してそれぞれ取り付けられている。各第3リンク部50cは、各第1リンク部50aの他端部に第2回転支軸51bを介してそれぞれ取り付けられている。各第4リンク部50dは、各第2リンク部50bにおける第1リンク部50aとは反対側の端部に第3回転支軸51cを介してそれぞれ取り付けられるとともに、各第3リンク部50cにおける第1リンク部50aとは反対側の端部に第4回転支軸51dを介してそれぞれ取り付けられている。
【0030】
各第1リンク部50aと各第4リンク部50dとは互いに平行に延びている。各第2リンク部50bと各第3リンク部50cとは互いに平行に延びている。各第2リンク部50bにおける長手方向の長さは、各第3リンク部50cにおける長手方向の長さと同じである。各第4リンク部50dの長手方向の長さは、各第1リンク部50aの長手方向の長さよりも長い。各第2リンク部50bにおける各第1リンク部50aとは反対側の端部は、第3回転支軸51cを介して各第4リンク部50dの一端部に取り付けられている。各第3リンク部50cにおける各第1リンク部50aとは反対側の端部は、第4回転支軸51dを介して各第4リンク部50dに取り付けられている。第1回転支軸51aと第2回転支軸51bとの間の距離と、第3回転支軸51cと第4回転支軸51dとの間の距離は等しくなっている。
【0031】
第2リンク部50b同士は、回転支軸51eによって互いに連結されている。また、第3リンク部50c同士は、連結軸51fによって互いに連結されている。そして、各第2リンク部50b及び各第3リンク部50cは、各第1回転支軸51aの軸心又は各第2回転支軸51bの軸心を揺動中心として、各第1リンク部50aに対して互いに平行な状態を維持しながら揺動可能になっている。また、各第4リンク部50dは、各第2リンク部50b及び各第3リンク部50cの揺動に伴って各第1リンク部50aと平行な状態を維持しながら移動可能になっている。
【0032】
把持機構60は、各第4リンク部40d,50dにそれぞれ固定された第1爪61と、第1爪61と協働して把持対象物W1を把持する第2爪62と、各第2爪62を各第1爪61に向けて移動させるアクチュエータ63とを備えている。
【0033】
図4に示すように、アクチュエータ63は、有底筒状のシリンダチューブ64と、シリンダチューブ64の開口を閉鎖するヘッドカバー64eとを備える。ヘッドカバー64eの内周面にはシール部材64sが設けられている。シリンダチューブ64内には、シリンダチューブ64の軸方向に往復動するピストン65が収容されている。ピストン65の外周面にはシール部材65sが設けられている。ピストン65には、ピストン65と一体的に移動するとともにシリンダチューブ64に対して没入可能に設けられるピストンロッド66が設けられている。ピストンロッド66の一部は、ヘッドカバー64eを貫通してシリンダチューブ64の外部へ突出している。ピストンロッド66とヘッドカバー64eとの間はシール部材64sによってシールされている。ピストンロッド66の突出方向の端部には、第2爪62が一体的に設けられている。
【0034】
シリンダチューブ64内は、ピストン65によって、シリンダチューブ64における底部寄りの第1圧力作用室64aと、ヘッドカバー64e寄りの第2圧力作用室64bとに仕切られている。第1圧力作用室64aと第2圧力作用室64bとの間はシール部材65sによってシールされている。シリンダチューブ64における底部寄りには、第1圧力作用室64aに連通する第1給排ポート641が形成されるとともに、シリンダチューブ64におけるヘッドカバー64e寄りには、第2圧力作用室64bに連通する第2給排ポート642が形成されている。第1圧力作用室64a及び第2圧力作用室64bは、第1給排ポート641又は第2給排ポート642及び5ポートバルブ67sを介してエア供給源67kに接続されている。
【0035】
図2及び図3に示すように、一対の平行リンク機構40,50は、連結リンク機構55を介して互いに連結されている。連結リンク機構55は、長板状の2枚の第1連結リンク部55a、長板状の2枚の第2連結リンク部55b及び長板状の2枚の第3連結リンク部55cを、それらの厚み方向に間隔をあけて配置してそれぞれを互いに連結した二重構造になっている。各第1連結リンク部55aの一端部は、回転支軸41eに連結されている。各第2連結リンク部55bの一端部は、回転支軸51eに連結されている。各第1連結リンク部55a及び各第2連結リンク部55bは、回転支軸41e,51eからベース31の下方に向けて延びている。
【0036】
第1連結リンク部55a同士は、連結軸56aによって互いに連結されている。各第1連結リンク部55aは、回転支軸41eの軸心を揺動中心として、各第2リンク部40bに対して揺動可能になっている。第2連結リンク部55b同士は、連結軸56bによって互いに連結されている。各第2連結リンク部55bは、回転支軸51eの軸心を揺動中心として、各第2リンク部50bに対して揺動可能になっている。
【0037】
各第3連結リンク部55cは、各第1連結リンク部55aにおける回転支軸41eとは反対側の他端部と、各第2連結リンク部55bにおける回転支軸51eとは反対側の他端部とを連結している。各第3連結リンク部55cは、ベース31の下方に配置されている。各第3連結リンク部55cの一端は、回転支軸57aを介して各第1連結リンク部55aにおける回転支軸41eとは反対側の他端部に取り付けられるとともに、各第3連結リンク部55cの他端は、回転支軸57bを介して各第2連結リンク部55bにおける回転支軸51eとは反対側の他端部に取り付けられている。
【0038】
把持装置30は、一対の平行リンク機構40,50の揺動と同期して直線運動するロッド70を2本備えている。本実施形態では、各ロッド70は、重力方向に沿って直線運動するように配置されている。各ロッド70における連結リンク機構55側の端部は、2枚の第3連結リンク部55cに挟まれる位置に配置されるとともに、各ロッド70における連結リンク機構55側の端部に設けられた連結部70eを介して各第3連結リンク部55cに連結されている。各ロッド70は、各第3連結リンク部55cに対して直交する方向(垂直方向)に延びている。よって、連結リンク機構55は、一対の平行リンク機構40,50と各ロッド70とを連結している。すなわち、各ロッド70は、連結リンク機構55を介して一対の平行リンク機構40,50に連結されている。そして、連結リンク機構55により、一対の平行リンク機構40,50は左右対称に開閉可能になっている。
【0039】
一対の平行リンク機構40,50が互いに離れる方向へ揺動すると、各第2リンク部40b,50b及び各第3リンク部40c,50cにおける各第1回転支軸41a,51aの軸心及び各第2回転支軸41b,51bの軸心を揺動中心とした揺動に追従して、各第1連結リンク部55a及び各第2連結リンク部55bがベース31に近づく方向へ揺動する。すると、第3連結リンク部55cがベース31に近づくように移動し、この第3連結リンク部55cの移動に追従してロッド70が上方向に直線運動する。これにより、一対の把持機構60の間隔が広がるようになっている。
【0040】
一対の平行リンク機構40,50が互いに近づく方向へ揺動すると、各第2リンク部40b,50b及び各第3リンク部40c,50cにおける各第1回転支軸41a,51aの軸心及び各第2回転支軸41b,51bの軸心を揺動中心とした揺動に追従して、各第1連結リンク部55a及び第2連結リンク部55bがベース31に対して離れる方向へ揺動する。すると、第3連結リンク部55cがベース31から離れるように移動し、この第3連結リンク部55cの移動に追従してロッド70が下方向に直線運動する。これにより、一対の把持機構60の間隔が狭まるようになっている。
【0041】
把持装置30は、一対の平行リンク機構40,50における互いに離れる方向への揺動と同期する各ロッド70の直線運動のみをロック可能なロック機構71をそれぞれ備えている。各ロック機構71は、一対の側板31cに挟まれるとともに第1板31a及び第2板31bをそれぞれで挟む位置に配置されている。
【0042】
図5に示すように、ロック機構71は、ロッド70が貫通するとともにベース31に取り付けられるシリンダチューブ72を備えている。シリンダチューブ72は、有底筒状の第1シリンダ73と、第1シリンダ73に組み付けられる有底筒状の第2シリンダ74とを有する。第1シリンダ73と第2シリンダ74とは互いに開口端が向かい合うようにして組み付けられている。第1シリンダ73の底部にはロッド70が挿通される挿通孔73hが形成されている。第2シリンダ74の底部にはロッド70が挿通される挿通孔74hが形成されている。
【0043】
第1シリンダ73の底部には、筒状の第1ロッドカバー75が組み付けられている。第1ロッドカバー75の中央部には、ロッド70が貫挿される貫挿孔75hが形成されている。また、第2シリンダ74の底部には、筒状の第2ロッドカバー76が組み付けられている。第2ロッドカバー76の中央部には、ロッド70が貫挿される貫挿孔76hが形成されている。ロッド70と各貫挿孔75h,76hとの間には滑り軸受77,78がそれぞれ配設されている。
【0044】
第1シリンダ73の内部には、ピストン室73aが形成されている。ピストン室73a内には環状のピストン79が収容されている。ピストン79の外周には環状のリップシール79sが装着されている。ピストン79の中央部には、ロッド70が挿通可能な挿通孔79hが形成されている。
【0045】
第2シリンダ74の内部には、収容室74aが形成されている。収容室74aは、ピストン室73aに連通している。ピストン室73aにおける収容室74aとは反対側の圧力作用室731aと収容室74aとの間は、リップシール79sによってシールされている。第1シリンダ73には、圧力作用室731aに連通する給排ポート73pが形成されている。圧力作用室731aは、給排ポート73p及び3ポートバルブ73sを介してエア供給源73kに接続されている。また、第2シリンダ74には、収容室74aに連通する排出ポート74pが形成されている。
【0046】
収容室74a内には、筒状の移動部材80が収容されている。また、収容室74a内には、移動部材80の内側に配置される筒状の保持部材81が収容されている。保持部材81は、ロッド70が挿通される挿通孔81hを有する。保持部材81は、ロッド70の周方向に沿って全周に亘って延びる保持溝81aが形成されている。保持溝81aには複数のボール82が転動可能に収容されている。各ボール82の外周面は、ロッド70の外周面に接触可能になっている。また、各ボール82は、各ボール82の外周面の一部が保持部材81の外面よりも外方へ突出する大きさになっている。
【0047】
移動部材80の内面における保持部材81よりもピストン室73a寄りには、規制リング83が取り付けられている。規制リング83と保持部材81との間には付勢ばね84が配設されている。付勢ばね84は、保持部材81を第2シリンダ74の底部の内面に押し付けるとともに規制リング83を介して移動部材80をピストン室73aに向けて付勢している。そして、移動部材80におけるピストン室73a側の端面は、ピストン79に当接している。
【0048】
移動部材80の内面には、ピストン室73a側から第2シリンダ74の底部側に向かうにつれて縮径していくテーパ面80aが形成されている。テーパ面80aは、各ボール82における保持部材81の外面よりも外方へ突出する外周面の一部に接触可能になっている。
【0049】
3ポートバルブ73sによって圧力作用室731aからの給排ポート73pを介したエアが外部へ排出されている状態では、移動部材80は、付勢ばね84の付勢力によってピストン室73aに向けて移動した状態になっている。このとき、テーパ面80aは、各ボール82の外周面に接触しており、各ボール82は、ロッド70の外周面に押し付けられている。これにより、ロッド70の上方向への直線運動がロックされた状態になっている。
【0050】
図6に示すように、3ポートバルブ73sによって、給排ポート73pを介した圧力作用室731aへのエアの供給が行われると、付勢ばね84の付勢力に抗して、ピストン79が第2シリンダ74に向けて移動するとともに、排出ポート74pを介して収容室74a内のエアが排出される。すると、移動部材80がピストン79の移動に伴って第2シリンダ74の底部に向けて移動し、テーパ面80aと各ボール82との接触が解除される。これにより、各ボール82がロッド70に押し付けられた状態が解除され、ロッド70の直線運動が許容される。
【0051】
図7に示すように、3ポートバルブ73sによって圧力作用室731aからの給排ポート73pを介したエアが外部へ排出されている状態において、ロッド70が下方向に直線運動しようとすると、ロッド70と各ボール82との摺動抵抗により各ボール82が保持溝81a内でテーパ面80aから離れる方向へ僅かに移動する。これにより、各ボール82がロッド70に押し付けられた状態が解除され、ロッド70の下方向への直線運動が許容される。その結果、ロック機構71は、一対の平行リンク機構40,50における互いに離れる方向への揺動と同期するロッド70の上方向への直線運動のみがロック可能になっており、一対の平行リンク機構40,50における互いに近づく方向への揺動と同期するロッド70の下方向への直線運動が許容されている。
【0052】
図3に示すように、各第2板31bにおける互いに対向する面には、第1係止部31fがそれぞれ突設されている。また、各ロッド70の連結部70eにおける互いに対向する部位には第2係止部70fがそれぞれ突設されている。そして、各第1係止部31fと各第2係止部70fとの間には、各第2係止部70fを各第1係止部31fに向けて牽引する引張ばね85がそれぞれ設けられている。各引張ばね85の一端は各第1係止部31fに係止されるとともに他端は各第2係止部70fに係止されている。よって、各ロッド70とベース31とは各引張ばね85によって連結されている。各引張ばね85は、ロッド70の自重によってロッド70が重力方向下方へ落下してしまうことを防止している。
【0053】
図8に示すように、把持装置30は、ボールジョイント90を介してアーム21に支持されている。ボールジョイント90は、アーム21に取り付けられるケース91と、ケース91内に収容されるボール部92と、ボール部92から延びるとともにケース91外に突出する円柱状の軸部93とを備えている。ボール部92は、一対のベアリングシート94を介してケース91内に転動可能に支持されている。
【0054】
軸部93は、第1板31aを貫通している。軸部93の先端部には抜け止め部材93aが設けられている。この抜け止め部材93aにより、軸部93からのベース31の脱落が防止されている。また、ケース91におけるベース31側の端面には、第1板31aに設けられた複数の回り止めピン95が挿入されている。よって、把持装置30は、複数の回り止めピン95によって、軸部93の軸心を回転中心としたアーム21に対する回転が規制されている。また、把持装置30は、ボール部92がベアリングシート94を介してケース91内を転動することにより、アーム21に対して傾動可能になっている。
【0055】
図2に示すように、アーム21には、第1切換スイッチSW1が設けられている。第1切換スイッチSW1により、移動体18の動きがロックされた状態と、移動体18の動きが許容された状態とに切り換えられる。さらに、アーム21には、第2切換スイッチSW2が設けられている。第2切換スイッチSW2により、5ポートバルブ67sを切り換え、ピストンロッド66を上下動させる。
【0056】
第4リンク部40d,50dには、開閉操作用ハンドル28がそれぞれ設けられている。また、第4リンク部40d,50dには、給排ポート73pを介した圧力作用室731aへのエアの供給を行うために操作される押しボタンスイッチSW3がそれぞれ設けられている。各押しボタンスイッチSW3は、作業者が各開閉操作用ハンドル28を握った状態で、各押しボタンスイッチSW3を指で押すことが可能な位置に配置されている。そして、作業者が各押しボタンスイッチSW3をそれぞれ押し続けると、給排ポート73pを介した圧力作用室731aへのエアの供給が行われるようになっている。
【0057】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図9に示すように、作業者は、移動体18の動きが許容された状態にするために、第1切換スイッチSW1を切換操作する。そして、作業者は、昇降操作用ハンドル23を握って、把持装置30が、把持対象物W1が載置された初期位置において把持対象物W1よりも上方に配置されるように昇降操作用ハンドル23を昇降動作する。なお、本実施形態の把持対象物W1は箱であり、上部側面にフランジW2が突出しているものである。
【0058】
続いて、作業者は、開閉操作用ハンドル28を握るとともに各押しボタンスイッチSW3を押し続ける。すると、3ポートバルブ73sが切り換わって、給排ポート73pを介した圧力作用室731aへのエアの供給が行われ、付勢ばね84の付勢力に抗して、ピストン79が第2シリンダ74に向けて移動する。そして、排出ポート74pを介して収容室74a内のエアが排出されるとともに、移動部材80がピストン79の移動に伴って第2シリンダ74の底部に向けて移動し、テーパ面80aと各ボール82との接触が解除される。これにより、各ボール82がロッド70に押し付けられた状態が解除され、ロッド70の直線運動が許容された状態となる。
【0059】
図10に示すように、作業者は、開閉操作用ハンドル28を操作して、一対の平行リンク機構40,50を揺動させ、各第1爪61を把持対象物W1におけるフランジW2よりも下部の側面に当接させる。続いて、作業者は、各押しボタンスイッチSW3から指を離す。これにより、3ポートバルブ73sが切り換わって、圧力作用室731aからの給排ポート73pを介したエアが外部へ排出され、移動部材80は、付勢ばね84の付勢力によってピストン室73aに向けて移動する。そして、テーパ面80aが、各ボール82の外周面に接触し、各ボール82が、ロッド70の外周面に押し付けられる。これにより、ロッド70の上方向への直線運動がロックされる。
【0060】
図11に示すように、作業者は、第2切換スイッチSW2を切換操作し、第1給排ポート641を介して第1圧力作用室64aにエアが供給されるように、5ポートバルブ67sを切り換える。すると、第2圧力作用室64bから第2給排ポート642を介して外部にエアが排出され、ピストン65がヘッドカバー64eに向けて移動する。これにより、ピストンロッド66が突出方向へ移動し、第2爪62が第1爪61に向けて移動する。そして、第2爪62が把持対象物W1のフランジW2の上端面に当接する。さらに、第2爪62におけるフランジW2の上端面に対しての押圧力の反力によって、移動体18が上方向へ移動し、把持装置30全体が上方向へ移動する。これにより、第1爪61がフランジW2の下端面に当接し、フランジW2が第1爪61及び第2爪62に挟み込まれる。
【0061】
このとき、アクチュエータ63によって第2爪62を第1爪61に向けて移動させることにより、第2爪62が把持対象物W1に押し付けられた状態で、把持対象物W1が第1爪61及び第2爪62によって挟み込まれるようにして把持されており、把持対象物W1の安定した把持が行われる。また、一対の平行リンク機構40,50における互いに近づく方向への揺動と同期するロッド70の直線運動が許容されている。このため、第1爪61及び第2爪62によって把持対象物W1を把持した際に、把持対象物W1が変形したとしても、把持対象物W1の変形に追従して、一対の平行リンク機構40,50が互いに近づく方向へ揺動することで、一対の平行リンク機構40,50が把持対象物W1から離れてしまうことが防止されている。
【0062】
続いて、作業者は、昇降操作用ハンドル23を握って、昇降操作用ハンドル23を持ち上げる。このとき、把持対象物W1の重量によって、アーム21が立設部13の立設方向に対して撓むように傾く場合がある。この場合、ボールジョイント90のボール部92が、ベアリングシート94を介してケース91内で転動することにより、把持装置30は、アーム21に対して傾動する。よって、作業者が昇降操作用ハンドル23を持ち上げたときに、把持対象物W1が水平方向に対して傾くことが抑制され、把持対象物W1の一部が初期位置の載置面から浮いた状態になってしまうことが抑制される。したがって、作業者が昇降操作用ハンドル23を持ち上げると、把持対象物W1の姿勢が初期位置の載置面に対して水平状態に維持されたまま把持対象物W1が載置面から離れる。
【0063】
そして、把持対象物W1が初期位置の載置面から離れると、把持装置30によって把持された把持対象物W1の荷重が荷重センサ27によって検出される。ここで、把持対象物W1が載置面から離れたときに、把持対象物W1の姿勢が水平状態に維持されているため、把持対象物W1の一部が初期位置の載置面から浮いた状態で、荷重センサ27における把持対象物W1の荷重の検出が行われてしまうことが抑制される。したがって、荷重センサ27における把持対象物W1の荷重の検出が正確且つ迅速に行われる。
【0064】
そして、制御コントローラ25が、荷重センサ27から送られた荷重に基づいて、電空レギュレータ26の駆動を制御し、電空レギュレータ26が、制御コントローラ25から送られた制御信号に基づいて、エアシリンダ17に供給するエアを給排し、エアの圧力を制御する。さらに、把持装置30によって把持対象物W1が把持された状態において、作業者が昇降操作用ハンドル23を握って昇降操作用ハンドル23を昇降動作すると、把持装置30に把持された把持対象物W1の重量がほぼ相殺される。
【0065】
続いて、第1爪61及び第2爪62によって把持対象物W1を把持した状態で、アーム21を水平方向に沿って揺動させ、把持対象物W1を所定位置の上方まで移動させる。このとき、ロック機構71によって、一対の平行リンク機構40,50における互いに離れる方向への揺動と同期するロッド70の直線運動がロックされている。すなわち、ロック機構71によって、一対の平行リンク機構40,50における把持対象物W1から離れる方向への揺動と同期するロッド70の直線運動のみがロックされている。よって、第1爪61及び第2爪62によって把持対象物W1を把持した状態で、アーム21を水平方向に沿って揺動させ、把持対象物W1を所定位置の上方まで移動させる際に、一対の平行リンク機構40,50が把持対象物W1から離れる方向へ揺動してしまうことが防止されている。
【0066】
続いて、把持対象物W1を所定位置の上方まで移動させて、昇降操作用ハンドル23を下降させる。このとき、把持対象物W1の重量によって、アーム21が立設部13の立設方向に対して撓むように傾いており、把持対象物W1の姿勢が水平方向に対して傾いている場合がある。この場合であっても、所定位置の載置面に把持対象物W1の一部が接触して、ボールジョイント90のボール部92が、ベアリングシート94を介してケース91内で転動することにより、把持装置30は、アーム21に対して傾動する。これにより、把持対象物W1の姿勢が所定位置の載置面に対して水平状態になる。
【0067】
続いて、作業者は、第2切換スイッチSW2を切換操作し、第2給排ポート642を介して第2圧力作用室64bにエアが供給されるように、5ポートバルブ67sを切り換える。すると、第1圧力作用室64aから第1給排ポート641を介して外部にエアが排出され、ピストン65がシリンダチューブ64の底部に向けて移動する。これにより、ピストンロッド66が没入方向へ移動し、第2爪62が第1爪61から離れる方向へ移動する。よって、把持対象物W1に対する第1爪61及び第2爪62による把持状態が解除され、把持対象物W1が所定位置の載置面に載置される。
【0068】
このとき、把持対象物W1の姿勢が所定位置の載置面に対して水平状態となってから、把持対象物W1に対する第1爪61及び第2爪62による把持状態を解除している。このため、把持対象物W1の姿勢が水平方向に対して傾いており、所定位置の載置面に把持対象物W1の一部が接触している状態で、把持対象物W1に対する第1爪61及び第2爪62による把持状態を解除する場合に比べると、把持対象物W1が所定位置の載置面に対して載置される際の衝撃が緩和される。このようにして、把持対象物W1が落下すること無く所定位置まで移動される。
【0069】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)把持装置30は、把持対象物W1を把持する把持機構60と、一対の平行リンク機構40,50の揺動と同期して直線運動するロッド70とを備えている。把持機構60は、第2爪62を第1爪61に向けて移動させるアクチュエータ63を備えている。さらに、把持装置30は、一対の平行リンク機構40,50における把持対象物W1から離れる方向への揺動を少なくとも規制するために、一対の平行リンク機構40,50の揺動と同期するロッド70の直線運動をロック可能なロック機構71を備えている。これによれば、把持対象物W1を把持する際に、アクチュエータ63によって第2爪62を第1爪61に向けて移動させることにより、第2爪62を把持対象物W1に押し付けた状態で、把持対象物W1を第1爪61及び第2爪62によって挟み込むようにして把持することができる。よって、把持対象物W1を安定的に把持することができる。さらに、ロック機構71によって、一対の平行リンク機構40,50における把持対象物W1から離れる方向への揺動と同期するロッド70の直線運動がロックされる。これによれば、第1爪61及び第2爪62によって把持対象物W1を把持した状態で、把持対象物W1を所定位置まで移動させる際に、一対の平行リンク機構40,50が把持対象物W1から離れる方向へ揺動してしまうことを防止することができる。その結果、把持対象物W1を安定的に把持し、把持対象物W1を落下させること無く所定位置まで移動させることができる。
【0070】
(2)ロック機構71は、一対の平行リンク機構40,50における把持対象物W1から離れる方向への揺動と同期するロッド70の直線運動のみをロック可能になっている。すなわち、一対の平行リンク機構40,50における把持対象物W1に近づく方向への揺動と同期するロッド70の直線運動が許容されている。このため、第1爪61及び第2爪62によって把持対象物W1を把持した際に、把持対象物W1が変形したとしても、把持対象物W1の変形に追従して、一対の平行リンク機構40,50が互いに近づく方向へ揺動することで、一対の平行リンク機構40,50が把持対象物W1から離れてしまうことを防止することができる。
【0071】
(3)ロッド70は重力方向に沿って直線運動し、ロッド70とベース31とは、引張ばね85によって連結されている。これによれば、引張ばね85によって、ロッド70の自重によってロッド70が落下してしまうことを防止することができる。
【0072】
(4)上記構成の把持装置30を備えた昇降助力装置10によれば、重量物等の把持対象物W1を安定的に把持しつつも、把持対象物W1を落下させること無く所定位置まで移動させることができ、作業者の負担を軽減することができる。
【0073】
(5)把持装置30は、ボールジョイント90を介してアーム21に支持されている。例えば、把持対象物W1の重量によって、アーム21が立設部13の立設方向に対して撓むように傾いており、把持対象物W1の姿勢が水平方向に対して傾いている場合がある。この場合であっても、所定位置の載置面に把持対象物W1の一部が接触したとき、ボールジョイント90によって、把持装置30がアーム21に対して傾動する。これにより、把持対象物W1の姿勢を所定位置の載置面に対して水平状態にすることができる。そして、把持対象物W1の姿勢が所定位置の載置面に対して水平状態となってから、把持対象物W1に対する第1爪61及び第2爪62による把持状態を解除する。その結果、把持対象物W1の姿勢が水平方向に対して傾いており、所定位置の載置面に把持対象物W1の一部が接触している状態で、把持対象物W1に対する第1爪61及び第2爪62による把持状態を解除する場合に比べると、把持対象物W1が所定位置の載置面に対して載置される際の衝撃を緩和することができる。
【0074】
(6)把持対象物W1の重量によって、アーム21が立設部13の立設方向に対して撓むように傾く場合がある。この場合、ボールジョイント90のボール部92が、ベアリングシート94を介してケース91内で転動することにより、把持装置30は、アーム21に対して傾動する。よって、作業者が昇降操作用ハンドル23を持ち上げたときに、把持対象物W1が水平方向に対して傾くことが抑制され、把持対象物W1の一部が初期位置の載置面から浮いた状態になってしまうことを抑制することができる。そして、把持対象物W1が初期位置の載置面から離れると、把持装置30によって把持された把持対象物W1の荷重が荷重センサ27によって検出される。ここで、把持対象物W1が載置面から離れたときに、把持対象物W1の姿勢が水平状態に維持されているため、把持対象物W1の一部が初期位置の載置面から浮いた状態で、荷重センサ27における把持対象物W1の荷重の検出が行われてしまうことを抑制することができる。したがって、荷重センサ27における把持対象物W1の荷重の検出を正確且つ迅速に行うことができる。
【0075】
(7)各平行リンク機構40,50は、それぞれ2枚の長板状の第1リンク部40a,50a、第2リンク部40b,50b、第3リンク部40c,50c及び第4リンク部40d,50dを、それらの厚み方向に間隔をあけて配置してそれぞれを互いに連結した二重構造になっている。これによれば、第1リンク部40a,50a、第2リンク部40b,50b、第3リンク部40c,50c及び第4リンク部40d,50dそれぞれの厚みを極力薄くしつつも、各平行リンク機構40,50の強度を確保することができるため、把持装置30の軽量化を図ることができる。
【0076】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 実施形態において、ロック機構71は、一対の平行リンク機構40,50における把持対象物W1から離れる方向への揺動を少なくとも規制するために、一対の平行リンク機構40,50の揺動と同期するロッド70の直線運動をロック可能な構成であればよい。例えば、ロック機構71は、一対の平行リンク機構40,50における把持対象物W1から離れる方向、及び一対の平行リンク機構40,50における把持対象物W1に対して近づく方向への揺動と同期するロッド70の直線運動をロック可能な構成にしてもよい。
【0077】
・ 実施形態において、ロッド70は、重力方向とは異なる方向に沿って直線運動するように配置されていてもよい。例えば、ロッド70が、水平方向に沿って直線運動するように配置されていてもよいし、重力方向に対して交差する方向に沿って直線運動するように配置されていてもよい。
【0078】
・ 実施形態において、引張ばね85が設けられていなくてもよい。
・ 実施形態において、把持装置30は、ボールジョイント90以外の継手機構を介してアーム21に支持されていてもよい。
【0079】
・ 実施形態において、アクチュエータ63は電磁式であってもよい。
・ 実施形態において、リニアアクチュエータ16は電磁式であってもよい。
・ 実施形態において、把持機構60は、第1爪61がアクチュエータによって移動可能に構成されていてもよい。この場合、第2爪62が第1爪61に向かって移動できない構成であってもよいし、移動可能な構成であってもよい。
【0080】
・ 実施形態において、把持対象物W1は箱であり、上部側面にフランジW2が突出しているものであったが、これに限らない。例えば、筒形状の把持対象物であってもよい。そして、把持装置30は、各把持機構60を把持対象物の内側に挿入するとともに、一対の平行リンク機構40,50を互いに離れる方向へ揺動させ、第1爪61及び第2爪62によって把持対象物の両端面を挟み込むようにして把持する構成としてもよい。この場合、一対の平行リンク機構40,50における互いに離れる方向への揺動が、一対の平行リンク機構40,50における把持対象物W1に対して近づく方向への揺動となる。
【0081】
・ 実施形態において、ロッド70の上下動をエアシリンダや電動アクチュエータで行って、一対の平行リンク機構40,50の開閉動作を自動制御するようにしてもよい。
・ 実施形態において、把持装置30を、昇降助力装置10以外の装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0082】
W1…把持対象物、10…昇降助力装置、16…リニアアクチュエータ、21…アーム、30…把持装置、31…ベース、40,50…一対の平行リンク機構、60…把持機構、61…第1爪、62…第2爪、63…アクチュエータ、70…ロッド、71…ロック機構、85…引張ばね、90…ボールジョイント。
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