【解決手段】ボビン方向揃え装置6は、底部4aと、底部4aよりも直径の小さい頂部4bと、を有する円筒状の芯管4に糸が巻かれた給糸ボビン3の方向を変換するものである。ボビン方向揃え装置6は、傾斜して形成された1対の芯管案内経路63を備える。それぞれの芯管案内経路63には、底部側受止め部71と、頂部側受止め部72と、が形成されている。底部側受止め部71は、芯管4の頂部4bを通過させ、底部4aを受け止める。頂部側受止め部72は、底部側受止め部71の下流側に位置し、頂部4bを受け止める。底部側受止め部71は、芯管4の端部を下側で受け止める受け面84aを開放可能に構成されている。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るボビン供給装置10を、トレイ搬送経路110及び自動ワインダ100とともに示す平面図である。
図2は、ボビン供給装置10の全体的な構成を示す斜視図である。
【0028】
なお、以下の説明において「上流側」及び「下流側」とは、給糸ボビン3及び搬送トレイ(搬送部材)2の搬送方向に対する上流側及び下流側を意味する。
【0029】
図1に示すボビン供給装置(ボビン供給システム)10は、芯管(巻取管)4に糸を巻いた給糸ボビン3を自動ワインダ100に供給するものである。
【0030】
自動ワインダ100は、並べて配置された複数のワインダユニット101を備える。それぞれのワインダユニット101は、供給された給糸ボビン3から糸を解舒して所定量の糸を巻き付けたパッケージを形成する。
【0031】
トレイ搬送経路110は、
図1に示すように、給糸ボビン導入路111と、給糸ボビン搬送路112と、芯管搬送路113と、戻しボビン搬送路114と、を備えている。
【0032】
給糸ボビン導入路111には、給糸ボビン3を供給する後述のボビン供給装置10が設けられている。当該給糸ボビン導入路111は、ボビン供給装置10により給糸ボビン3がセットされた搬送トレイ2を給糸ボビン搬送路112へ搬送できるように構成されている。
【0033】
給糸ボビン導入路111と給糸ボビン搬送路112との間に、給糸ボビン口出し装置115が設けられている。給糸ボビン口出し装置115は、給糸ボビン導入路111から供給された給糸ボビン3の表面(糸層)から糸端を解離させて口出しし、口出しされた糸端を芯管4の頂部(搬送トレイ2に挿入する側の反対側)に巻き付けて、芯管4の天孔(頂部側の孔)に挿入する処理を行う。
【0034】
給糸ボビン口出し装置115により口出し処理された給糸ボビン3は、給糸ボビン搬送路112を介して、自動ワインダ100の各ワインダユニット101へ供給される。それぞれのワインダユニット101においては、供給された給糸ボビン3の底部から圧縮空気を吹くことにより、給糸ボビン口出し装置115で処理された糸端を吹き飛ばすことで、当該給糸ボビン3から糸端を引き出して巻き取る。なお、ワインダユニット101で行われる糸巻取作業は公知であるため、説明を省略する。
【0035】
芯管搬送路113は、各ワインダユニット101によって糸が解舒されて排出された給糸ボビン(即ち、芯管4)を、その下流側に配置されたボビン抜取り装置116へ搬送するように構成されている。
【0036】
ところで、芯管4は、細長い円筒状の部材であって、その底部(大径端部)4aから頂部(小径端部)4bに向かって径が直線的に減少するように形成されている。即ち、芯管4の底部4aの径は、頂部4bの径より大きくなっている。そして、芯管4の底部4aが搬送トレイ2のペッグに差し込まれることにより、給糸ボビン3が搬送トレイ2にセットされ、搬送トレイ2とともに搬送される。
【0037】
ボビン抜取り装置116は、芯管4がセットされた搬送トレイ2から当該芯管4を抜き取って回収できるように構成されている。当該ボビン抜取り装置116により芯管4を抜き取られた搬送トレイ2は、
図1に示すように、ボビン供給装置10へ供給される。
【0038】
戻しボビン搬送路114は、
図1に示すように、給糸ボビン搬送路112と芯管搬送路113との間に設けられている。戻しボビン搬送路114は、給糸ボビン口出し装置115により口出し処理に失敗した給糸ボビン3や、何らかの原因でボビン抜取り装置116へ搬送された芯管4を、再処理させるように構成されている。
【0039】
ボビン供給装置10は、
図2に示すように、ボビン投入装置11と、パーツフィーダ(ボビン個別化装置)12と、ボビン振分け装置(給糸ボビン分配装置)5と、1対のボビン方向揃え装置(給糸ボビン方向変換装置)6と、1対のボビンシュート(ボビン装着装置)13と、制御部90と、を備えている。
【0040】
ボビン投入装置11は
図2において概念的に示されており、このボビン投入装置11は、図略の精紡機で製造された給糸ボビン3を、例えばコンベア等を用いて、パーツフィーダ12の中央底部に投入するように構成されている。また、これに限定せず、給糸ボビン3を、図略のコンテナ等に入れた状態でパーツフィーダ12まで運んで、当該パーツフィーダ12に投入する構成とすることもできる。
【0041】
パーツフィーダ12において、その内周面には螺旋状通路12aが中心部から外周の搬出口12bまで連続して設けられている。パーツフィーダ12の下部には、当該パーツフィーダ12を振動する駆動装置が設けられている。ボビン投入装置11により投入された給糸ボビン3は、パーツフィーダ12の振動により、螺旋状通路を上昇しつつ1個ずつ整列して搬出口12bに向けて搬送される。
【0042】
ボビンフィードコンベア(ボビン搬送装置)14は、パーツフィーダ12とボビン振分け装置5との間に設けられている。当該ボビンフィードコンベア14は、パーツフィーダ12の搬出口12bに連続し、搬出口12b近傍の螺旋状通路12aを延長するように構成されている。これにより、搬出口12bから搬出された給糸ボビン3は、そのままボビンフィードコンベア14により受け継がれて搬送される。
【0043】
ボビンフィードコンベア14は、給糸ボビン3の太さ(糸が巻かれた部分の太さ)より若干広い幅を有している。ボビンフィードコンベア14は、給糸ボビン3の芯管4の長手方向(以下、単に給糸ボビン3の長手方向と呼ぶことがある。)が当該ボビンフィードコンベア14における搬送方向と一致するように、給糸ボビン3をほぼ水平な姿勢で搬送できるように構成されている。
【0044】
ボビンフィードコンベア14の下流側には、ボビン振分け装置5が配置されている。ボビン振分け装置5は、ボビンフィードコンベア14から搬送された給糸ボビン3が通る細長いボビン通路16を上部に備える。また、ボビン振分け装置5は、等しい角度間隔で並べて配置され、一体的に回転可能な5つの回転ガイド板27を備える。この回転ガイド板27は、回転することでボビンを案内する回転案内部(ボビン分配部)17の一部を構成している。ボビン振分け装置5は、回転案内部17を正方向又は逆方向に回転させることにより、給糸ボビン3を、ボビン通路16経路の一側又は他側の脇に振り分けることができる。
【0045】
ボビン振分け装置5の下流側には、給糸ボビン3を分配して供給するための2つの供給経路8が配置される。それぞれの供給経路8には、ボビン方向揃え装置6と、排出案内部材15と、ボビンシュート13と、が配置されている。
【0046】
ボビン方向揃え装置6は、ボビン振分け装置5が備えるボビン通路16の長手方向に対する両脇の下側にそれぞれ配置されている。
【0047】
それぞれのボビン方向揃え装置6は、ボビン振分け装置5から水平な姿勢で投入される給糸ボビン3の両端部(芯管4が露出している部分である底部4a又は頂部4b)を案内する1対の芯管案内経路(巻取管案内経路)63を備える。1対の芯管案内経路63のうち、一方には給糸ボビン3の底部4aが送られ、他方には頂部4bが送られる。なお、ボビン方向揃え装置6に対して給糸ボビン3がどの向きで供給されるかは不定であるため、それぞれの芯管案内経路63に底部4aと頂部4bのうち何れが送られるのかはわからない。
【0048】
それぞれの芯管案内経路63は、給糸ボビン3の底部4aと頂部4bとを所定の場所で受け止める。そして、底部4aを受止める場所の下側を開放することにより、給糸ボビン3を底部4a側から落下させる。このようにして、ボビン方向揃え装置6は、底部4aが下になるように給糸ボビン3の方向を揃えて下流側へ供給することができる。
【0049】
ボビン方向揃え装置6の下方には、ボビンシュート13が配置されている。ボビンシュート13は、ボビン方向揃え装置6から供給された給糸ボビン3を、給糸ボビン3を搬送するための搬送トレイ2のペッグに給糸ボビン3の芯管4が差し込まれるようにセットする。こうして搬送トレイ2に装着された給糸ボビン3は、
図1に示す給糸ボビン導入路111及び給糸ボビン搬送路112を介して、自動ワインダ100における複数のワインダユニット101へ搬送される。
【0050】
ボビン方向揃え装置6とボビンシュート13との間には、ボビン方向揃え装置6により方向が揃えられた給糸ボビン3を案内する中空状の排出案内部材15が設けられている。排出案内部材15には、大きさが異なる2つの開口部(第1開口部15a及び第2開口部15b)が形成されている。第1開口部15aは、相対的に大きく形成され、排出案内部材15の上面に配置されている。第2開口部15bは、相対的に小さく形成され、排出案内部材15の下面に配置されている。第1開口部15aはボビン方向揃え装置6の直下方に位置し、第2開口部15bはボビンシュート13の直上方に位置している。この構成で、排出案内部材15は、ボビン方向揃え装置6から落下する給糸ボビン3を確実にボビンシュート13へ案内することができる。
【0051】
続いて、ボビン振分け装置5について
図3及び
図4を参照して詳細に説明する。
図3は、ボビン振分け装置5の構成を示す斜視図である。
図4は、
図3のA−A断面矢視図である。
【0052】
ボビン振分け装置5は、1対の脚部21と、1対の支持軸(軸部材)22と、通路支持板23と、ボビン導入コンベア24と、コンベア駆動モータ(コンベア駆動源)25と、1対の回転支持板26と、5つの回転ガイド板(押出し部材)27と、規制板(ボビン規制部材)28と、回転モータ29と、カム部材30と、位相保持アーム31と、を備える。
【0053】
そして、ボビン振分け装置5において回転することで給糸ボビン3を振り分ける前記回転案内部17は、1対の回転支持板26と、5枚の回転ガイド板27と、規制板28と、を含んで構成されている。
【0054】
1対の脚部21は、適宜の間隔をおいて互いに対面するように配置されている。1対の脚部21の間には、回転案内部17、通路支持板23、ボビン導入コンベア24、及びコンベア駆動モータ25等が配置される。
【0055】
1対の支持軸22は、それぞれの脚部21の上部に固定されている。1対の支持軸22は、その軸線同士を一致させるように配置されている。1対の支持軸22は互いに向かい合うように突出し、この突出部分に、それぞれ回転支持板26が回転可能に支持されている。この支持軸22の軸線は、回転案内部17の回転軸線と一致する。なお、
図3に示すように支持軸22には貫通状の軸孔22aが形成されており、この結果、支持軸22は、中空状(軸方向両端を開放させた円筒状)に形成されている。
【0056】
通路支持板23は、回転案内部17の軸線と平行な向きに細長い矩形状の板状部材として構成されており、その厚み方向を水平に向けるように配置されている。また、
図4で示すように、通路支持板23は、回転ガイド板27に取り囲まれた空間(言い換えれば、回転ガイド板27が描く円筒状の回転軌跡の内部空間)において、その回転軸線から水平方向で一側に偏った位置に配置されている。これにより、ボビン導入コンベア24やコンベア駆動モータ25を設置するスペースを確保することができる。細長い矩形状に形成された通路支持板23の長手方向は、回転案内部17の回転軸線と平行に配置される。通路支持板23の長手方向両端部は、1対の支持軸22の突出部分に、図示しないブラケットを介してそれぞれ固定されている。
【0057】
ボビン導入コンベア24は、通路支持板23の一側の面に取り付けられている。このボビン導入コンベア24は、駆動ローラ51と、従動ローラ52と、経路規制ローラ53と、搬送ベルト(コンベアベルト)54と、を備える。
【0058】
駆動ローラ51、従動ローラ52、及び経路規制ローラ53は何れも、通路支持板23の一側の面に回転可能に片持ち支持されている。搬送ベルト54は無端状に形成され、駆動ローラ51及び従動ローラ52に巻き掛けられている。
【0059】
コンベア駆動モータ25は、通路支持板23において、ボビン導入コンベア24が配置される側と同じ面に取り付けられている。コンベア駆動モータ25は、ボビン導入コンベア24の下方に配置されている。
【0060】
コンベア駆動モータ25の出力軸は、通路支持板23を貫通して突出している。一方、駆動ローラ51の軸も、通路支持板23を貫通して突出している。そして、コンベア駆動モータ25の出力軸と、駆動ローラ51の軸とが、伝動ベルト55によって連結されている。これにより、コンベア駆動モータ25の駆動力を駆動ローラ51に伝達してボビン導入コンベア24を駆動することができる。
【0061】
搬送ベルト54は、駆動ローラ51と従動ローラ52の間で、細長い水平な搬送面を形成している。この搬送面は、給糸ボビン3が通るボビン通路16の路面を構成している。このボビン通路16は上記のボビンフィードコンベア14に連続するように配置されている。ボビン導入コンベア24の駆動により、給糸ボビン3はボビン通路16を、その長手方向を当該ボビン通路16の長手方向と一致させた状態で、水平な姿勢で通ることができる。
【0062】
なお、従動ローラ52の径は、駆動ローラ51より小さく構成されている。また、経路規制ローラ53は、搬送ベルト54の経路の下側の部分を案内して、搬送ベルト54の循環軌道を高さ方向で狭めるように規制している。そして、このように軌道が高さ方向で狭められた部分の下方に、コンベア駆動モータ25が配置されている。これにより、後述の回転ガイド板27が描く円筒状の回転軌跡の内部空間において、ボビン導入コンベア24とコンベア駆動モータ25とを互いに干渉することなく配置することができる(
図4を参照)。
【0063】
1対で配置される回転支持板26は、それぞれ、円形のフランジ部57と、このフランジ部57から径方向に突出する5本のアーム部58と、を備える。フランジ部57の中心部には図略の軸孔が形成されており、この軸孔に前記支持軸22が差し込まれることにより、回転支持板26が回転可能に支持される。5本のアーム部58は、長さが互いに等しく形成されるとともに、何れもフランジ部57と一体的に形成されている。また、アーム部58は、周方向で等間隔に(即ち、72°の間隔で)配置されている。
【0064】
回転ガイド板27は、一定の厚みを有する細長い板状の部材として構成されている。回転ガイド板27の長手方向一端は、一側の回転支持板26のアーム部58の先端に固定され、長手方向他端は、他側の回転支持板26のアーム部58の先端に固定される。
【0065】
回転ガイド板27の厚み方向両側の面(以下、押出し面27aと称することがある)は、何れも、給糸ボビン3に接触して当該給糸ボビン3をボビン通路16の脇に押し出すことができるように構成されている。それぞれの回転ガイド板27(押出し面27a)はボビン通路16と略同じ長さを有しているので、ボビン通路16に位置する細長い給糸ボビン3を、回転ガイド板27によって好適に押し出すことができる。
【0066】
それぞれの回転ガイド板27は、その長手方向が、回転案内部17の回転軸線と平行となるように配置されている。また、5つの回転ガイド板27は上述のように回転支持板26のアーム部58に固定されるため、ボビン通路16の長手方向(ボビン導入コンベア24の搬送方向)と平行な軸である回転案内部17の回転軸線を中心とした仮想円に沿って、周方向に等間隔で(即ち、72°の間隔で)並べて配置されることになる。そして、回転ガイド板27は、その厚み方向を当該仮想円の周方向に沿わせるように配置されている。これにより、回転ガイド板27は、仮想円の中心(回転案内部17の回転軸線)を中心とする放射状に配置される。また、回転ガイド板27が備える2つの押出し面27aは、何れも、仮想円に直交する向きに向けられる。
【0067】
5つの回転ガイド板27は、支持軸22によって回転可能に支持される回転支持板26に取り付けられている。従って、5つの回転ガイド板27は、支持軸22の軸線(回転案内部17の回転軸線)を中心として、上記の仮想円に沿って一体的に回転することができる。5つの回転ガイド板27が回転するときに描く軌跡は中空の円筒状となっており、この内部に、通路支持板23、ボビン導入コンベア24、コンベア駆動モータ25等が配置される。
【0068】
なお、5つの回転ガイド板27が回転を停止した状態では、
図3等に示すように、5つのうち周方向で隣り合う2つの回転ガイド板27の一方がボビン通路16の幅方向一端近傍に位置し、他方がボビン通路16の幅方向他端近傍に位置する状態となるように、後述のカム部材30により回転位相が制御されている。従って、回転ガイド板27が回転を停止している状態では、ボビンフィードコンベア14から供給された給糸ボビン3がボビン通路16を通るのを当該回転ガイド板27が妨げることはない。
【0069】
回転ガイド板27が有する2つの押出し面27aには、それぞれ1対の端部押出し部材(凸部)27bが配置されている。それぞれの端部押出し部材27bは、回転ガイド板27の長手方向端部近傍に配置されている。具体的に言えば、回転ガイド板27の長手方向一端側に位置する端部押出し部材27bは、規制板28に固定され、長手方向他端側に位置する端部押出し部材27bは、回転ガイド板27に固定されている。
【0070】
それぞれの端部押出し部材27bは押出し面27aから突出するように構成されており、その突出方向の端面が、給糸ボビン3の端部(芯管4の底部4a又は頂部4b)に接触できるように構成されている。この結果、給糸ボビン3に巻かれている糸の量が少なく、押出し面27aで給糸ボビン3をボビン通路16から脇に押し出すと給糸ボビン3が傾いてしまう状態でも、端部押出し部材27bによって給糸ボビン3が傾くことなく、当該給糸ボビン3を確実に押し出すことができる。
【0071】
なお、それぞれの端部押出し部材27bにはテーパ部が形成されている。このテーパ部により、ボビン通路16を通る給糸ボビン3が端部押出し部材27bに引っ掛かることを防止することができる。
【0072】
1対の端部押出し部材27bは何れも、その位置を回転ガイド板27の長手方向で調整可能に取り付けられている。具体的には、規制板28の位置が回転案内部17の軸線方向で調整可能とされているので(詳細は後述)、当該規制板28に固定されている端部押出し部材27bも、規制板28とともに位置を移動させることができる。また、規制板28から離れた位置の端部押出し部材27bは、回転ガイド板27の長手方向に沿う向きに当該回転ガイド板27に形成された長孔を介して、ボルト等の適宜の固定部材によって取り付けられているので、その位置を移動させることができる。これにより、2つの端部押出し部材27bの間隔を調整できるので、異なる長さの給糸ボビン3に柔軟に対応することができる。
【0073】
規制板28は、リング状に形成された板状部材であり、ボビン通路16の下流側端部に配置されている。この規制板28は、1対の回転支持板26の間であって、ボビン通路16の下流側に位置する回転支持板26の近傍に配置されている。また、規制板28は、5枚の回転ガイド板27同士を周方向に接続するように設けられている。
【0074】
規制板28には、貫通状の差込孔28aが周方向に等間隔で5つ並べて形成されている。そして、5つの回転ガイド板27が当該差込孔28aにそれぞれ差し込まれている。従って、規制板28は、回転ガイド板27の長手方向(回転案内部17の軸線方向)に沿って移動することができる。
【0075】
規制板28には5つのL字状の連結部材が固定されており、それぞれの連結部材は、長孔を介して回転ガイド板27に取り付けられている(
図2を参照)。従って、当該長孔を介して、規制板28の位置を、回転ガイド板27の長手方向と平行な向きで調整することができる。これにより、異なる長さの給糸ボビン3に対応することができる。
【0076】
規制板28は、
図3に示すように、ボビン通路16の下流側で給糸ボビン3の一側の端部に接触するように構成されている。これにより、ボビン導入コンベア24によって搬送される給糸ボビン3を所定の位置に規制することができるので、回転ガイド板27の回転によって当該給糸ボビン3を確実に案内することができる。
【0077】
回転モータ29は、回転案内部17の駆動源であり、一側の脚部21に固定されている。回転モータ29の出力軸は、一側の回転支持板26と伝動ベルト60によって連結されている。これにより、回転モータ29の動力を回転支持板26に伝達して、5つの回転ガイド板27を含む回転案内部17を回転させることができる。回転モータ29は、正逆回転が可能で、かつ回転角度を制御可能なモータとして構成されている。回転モータ29は、ボビン供給装置10を制御する制御部(詳細は後述)からの指令に応じて、回転案内部17を何れかの方向に、回転ガイド板27の角度間隔である72°ずつ回転させることができる。
【0078】
カム部材30は、一側の回転支持板26に固定されており、当該回転支持板26と一体的に回転することができる。カム部材30の外周には、5つの凹部が周方向に等しい間隔で(即ち、72°の間隔で)形成されている。
【0079】
位相保持アーム31は、回動可能となるように一側の脚部21に支持されており、その先端には、カム部材30の外周に接触可能な小さなローラ31aが回転可能に取り付けられている。位相保持アーム31には図示しないバネが取り付けられており、ローラ31aをカム部材30に押し当てる付勢力を当該位相保持アーム31に作用させている。
【0080】
そして、5つのうち周方向で隣り合う2つの回転ガイド板27の一方がボビン通路16の幅方向一端近傍に位置し、他方がボビン通路16の幅方向他端近傍に位置する状態で、位相保持アーム31の先端のローラ31aがカム部材30の凹部に入り込むように構成されている。これにより、回転案内部17(回転ガイド板27)の回転位相を、給糸ボビン3のボビン通路16への導入を回転ガイド板27が妨げない位相で適切に保持することができる。
【0081】
ここで、ボビン導入コンベア24の搬送ベルト54は、回転ガイド板27により取り囲まれた内側の空間で、上述したように循環軌道を走行する。そして、この循環軌道のうち上側を通過する搬送ベルト54の上面は、ボビン通路16の路面を構成している。5つの回転ガイド板27は、ボビン通路16の長手方向で見たときに、
図4に示すように当該ボビン通路16の路面を取り囲んでいる。また、このボビン通路16の路面は、
図4に示すように、回転ガイド板27が描く円筒状の回転軌跡の内部空間のうち、上端部に配置されている。
【0082】
更に言えば、当該ボビン通路16の路面(ボビン導入コンベア24の上面)は、回転案内部17が停止した状態において、5つの回転ガイド板27のうち上部に位置する2つの回転ガイド板27の間に配置されている。そして、ボビン通路16の路面は、当該2つの回転ガイド板27における、回転案内部17の回転軸線に近い側の端部同士の間に配置されている。当該2つの回転ガイド板27における、回転案内部17の回転軸線に近い側の端部同士の間隔は、ボビン通路16の路面の幅と略等しい。
【0083】
以上により、水平な路面と、路面の幅方向両端から延びる1対の回転ガイド板27と、によって、給糸ボビン3の下側及び幅方向両側を囲むように構成され、上側が開放されたボビン通路16が形成される。即ち、ボビンフィードコンベア14からボビン通路16に給糸ボビン3が搬送されるとき、回転ガイド板27は、当該給糸ボビン3が路面から脇に転落しないように規制する側壁ガイドとして機能する。
【0084】
ここで、ボビン通路16の路面の幅は、給糸ボビン3の太さ(糸が巻かれた部分の太さ)とほぼ等しくなっている。また、上記の側壁ガイドは路面から斜めに向けられているため、ボビン通路16は、下側(回転軸線に近い側)の幅が狭く上側(回転軸線から遠い側)の幅が広いテーパ状に構成される。これにより、給糸ボビン3の位置が路面の幅方向端部に偏りにくくなるので、当該給糸ボビン3を、コンパクトなボビン通路16に沿ってスムーズに搬送することができる。
【0085】
なお、ボビン導入コンベア24を駆動するコンベア駆動モータ25は、ボビン導入コンベア24とともに、5つの回転ガイド板27の回転軌跡の内部に配置されている。これにより、ボビン導入コンベア24を駆動するための簡素でコンパクトな構成が実現できている。一方、この構成では、コンベア駆動モータ25の周囲を回転ガイド板27が回転することになるため、コンベア駆動モータ25に接続される電線25aの取回しが困難である。この点、本実施形態では、脚部21に固定される支持軸22に貫通状の軸孔22aが形成されており、コンベア駆動モータ25に接続される電線25aが当該軸孔22aを通過している(
図3を参照)。従って、電気配線が回転ガイド板27と干渉することなく、コンベア駆動モータ25に外部から電力及び信号を供給することができる。
【0086】
ボビン供給装置10は、ボビン通路16を搬送される給糸ボビン3が所定の位置まで到達したことを検出するためのセンサ96を備える(
図2を参照)。このセンサ96は、投光器と受光器とを備える光電センサとして構成されている。このセンサ96の光軸96aは、ボビン通路16を給糸ボビン3が移動する方向における規制板28よりやや上流側の位置であって、ボビン通路16の路面より少し高い位置を、当該ボビン通路16の幅方向で水平に通過するように定められている。なお、センサ96の光を遮らないようにするために、5つの回転ガイド板27には、回転案内部17の回転軸線から遠い側を矩形状に切り欠いた切欠部27cが形成されている。
【0087】
次に、ボビン方向揃え装置6について
図5から
図7を参照して詳細に説明する。なお、1対のボビン方向揃え装置6の構成は実質的に同一であるので、以下では、代表して一側のボビン方向揃え装置6について説明する。
図5は、一側のボビン方向揃え装置6の構成を示す斜視図である。
図6は、ボビン方向揃え装置6の一側の芯管案内経路63において、底部側受止め部(第1受止め部)71によって給糸ボビン3の底部4aを受け止めている様子を示す図である。
図7は、ボビン方向揃え装置6の他側の芯管案内経路63において、頂部側受止め部(第2受止め部)72によって給糸ボビン3の頂部4bを受け止めている様子を示す図である。
【0088】
ボビン方向揃え装置6は、1対のサイドフレーム61と、エンドフレーム62と、1対の芯管案内経路63と、開放駆動部64と、を主要な構成として備えている。
【0089】
1対のサイドフレーム61は、
図5に示すように、何れも平板状の部材として構成されている。1対のサイドフレーム61同士は、その厚み方向を水平方向に向けた状態で、所定の間隔をあけて互いに対面するように配置されている。サイドフレーム61同士の間隔は、給糸ボビン3の長手方向の長さよりもやや大きくなっている。
【0090】
エンドフレーム62は、平板状の部材として構成されている。エンドフレーム62は、その厚み方向を水平方向に向けた状態で、サイドフレーム61におけるボビン振分け装置5から遠い側の端部に配置される。エンドフレーム62の両端部は、1対のサイドフレーム61の端部に対してそれぞれ垂直に連結されている。
【0091】
このようにサイドフレーム61及びエンドフレーム62を構成することにより、ボビン振分け装置5に近い側と、上側と、下側と、を開放させた折れ板状の案内フレームが構成されている。この案内フレームは、ボビン振分け装置5によって分配された給糸ボビン3を受け入れるように、ボビン振分け装置5の一側の脇に配置されている。上述したように、1対のサイドフレーム61の間隔は給糸ボビン3の長さよりやや大きくなっているので、案内フレームの内部には、給糸ボビン3を、その長手方向端部をそれぞれのサイドフレーム61に近接させた水平姿勢のまま通過させることができる。
【0092】
サイドフレーム61とエンドフレーム62とは、長孔を介して、ボルト等の固定部材で取り付けられている。これにより、1対のサイドフレーム61の間隔を調整できるので、異なる長さの給糸ボビン3に柔軟に対応することができる。
【0093】
1対のサイドフレーム61のそれぞれには、給糸ボビン3の芯管4を案内する傾斜状の芯管案内経路63が設けられている。当該1対の芯管案内経路63は、サイドフレーム61の内面に配置され、互いに向かい合うように構成されている。
【0094】
芯管案内経路63は、ボビン振分け装置5に近い側から順に、導入部70と、底部側受止め部71と、頂部側受止め部72と、を有する。なお、1対で配置される芯管案内経路63のうち一側の芯管案内経路63が
図6に示され、他側の芯管案内経路63が
図7に示されている。このように、1対の芯管案内経路63は実質的に同一の構成となっており、互いに対称に配置されている。
【0095】
導入部70、底部側受止め部71及び頂部側受止め部72は、サイドフレーム61の内面に板状又はブロック状の部材を突出状に取り付けることによって構成される。サイドフレーム61の内部に取り付けられる部材の突出長さは、給糸ボビン3の端部における芯管4の露出部分の長さと等しいか、やや短く形成されている。これにより、芯管案内経路63によって給糸ボビン3を案内するときに、突出状の部材に糸が引っ掛かりにくくなるとともに、給糸ボビン3の糸層の損傷も防止することができる。
【0096】
導入部70は、芯管案内経路63に沿って給糸ボビン3が移動する方向の上流側に位置している。当該導入部70は、
図5から
図7までに示すように、2つの板状の導入ガイド部材81,82から構成されている。
【0097】
導入ガイド部材81,82は、サイドフレーム61の内面からほぼ垂直に突出するように配置されている。2つの導入ガイド部材81,82は芯管案内経路63を上下に挟むように配置されており、当該2つの導入ガイド部材81,82の間に給糸ボビン3の芯管4の端部を通すことができる。
【0098】
2つの導入ガイド部材81,82の上下方向の間隔は、ボビン振分け装置5に近い側が広く、遠い側が狭くなるように構成されている。また、2つの導入ガイド部材81,82は何れも、ボビン振分け装置5から遠い側が下になるように傾斜して配置されている。従って、ボビン振分け装置5からサイドフレーム61の間に投入された給糸ボビン3は、その端部が導入部70の導入ガイド部材81,82の間に入り込んで、下流側の底部側受止め部71へ向かって自重で移動する。
【0099】
底部側受止め部71は、
図6に示すように、固定側受止め部材(規制部材)83と、可動側受止め部材(開閉部材)84と、を備えている。
【0100】
固定側受止め部材83及び可動側受止め部材84は、ブロック状に形成され、サイドフレーム61の内面からほぼ垂直に突出するように配置されている。また、固定側受止め部材83及び可動側受止め部材84は、芯管案内経路63を上下に挟むように配置されている。
【0101】
芯管案内経路63の上側に位置する固定側受止め部材83の下面と、下側に位置する可動側受止め部材84の上面(受け面84a)と、の間には隙間が形成されている。この隙間は、ボビン振分け装置5に近い側が広く、遠い側が狭くなるように構成されている。そして、隙間において最も狭くなっている部分の幅71wは、芯管4の底部4aの径より狭く、かつ頂部4bの径より広くなっている。
【0102】
ここで、上述したように、ボビン振分け装置5からボビン方向揃え装置6に投入される給糸ボビン3は、どちらを向いているか不定である。従って、それぞれの芯管案内経路63に配置される底部側受止め部71には、芯管4の底部4aが送られる場合と、頂部4bが送られる場合と、の両方が考えられる。底部側受止め部71に芯管4の底部4aが送られてきた場合は、固定側受止め部材83と可動側受止め部材84の間を通過できないため、当該底部側受止め部71によって受け止められる(
図6を参照)。一方、底部側受止め部71に芯管4の頂部4bが送られてきた場合は、固定側受止め部材83と可動側受止め部材84の間を通過して、下流側の頂部側受止め部72へ向かって自重で移動する(
図7を参照)。このように、底部側受止め部71は、芯管4の底部4aと頂部4bのうち、底部4aだけを選択的に受け止めることができる。
【0103】
なお、固定側受止め部材83は、長孔を介して、ボルト等の固定部材により取り付けられている。これにより、固定側受止め部材83の位置(言い換えれば、固定側受止め部材83と可動側受止め部材84との隙間の幅71w)を調整できるので、芯管4の太さの異なる給糸ボビン3にも対応することができる。
【0104】
図6及び
図7に示すように、可動側受止め部材84は、回動支点84bを中心にして上下方向に回動可能に支持されている。従って、可動側受止め部材84が
図6及び
図7に破線で示す状態から下方に回動することにより、底部側受止め部71の下部を開放することができる。ここで、上述のとおり、給糸ボビン3の芯管4の底部4aが底部側受止め部71に送られた場合、当該底部4aは底部側受止め部71によって受け止められる。従って、この状態で可動側受止め部材84が下方へ回動すると、給糸ボビン3の芯管4の底部4aが自重で落下することになる。
【0105】
なお、1対の芯管案内経路63において、底部側受止め部71を構成する可動側受止め部材84同士は、連結軸86によって互いに連結されている。従って、2つの可動側受止め部材84は連動して動作し、一方の可動側受止め部材84が底部側受止め部71の下部を開放するときは、それと同時に、他方の可動側受止め部材84も底部側受止め部71の下部を開放することになる。
【0106】
頂部側受止め部72は、底部側受止め部71に下流側で隣接するように配置されている。頂部側受止め部72は、芯管案内経路63の下側に配置されたブロック状の受け部材(支持部材)85を備えている。受け部材85の上面には、V字状の凹部85aが形成されている。
【0107】
この構成で、給糸ボビン3の芯管4の頂部4bが頂部側受止め部72に送られると、当該頂部4bは、
図7に示すように、受け部材85の凹部85aにより受け止められる。なお、凹部85aはV字状に形成されているので、頂部4bを安定した位置で受止め可能な頂部側受止め部72を簡素な構成で実現することができる。
【0108】
ここで、一側の芯管案内経路63において、頂部側受止め部72に頂部4bが送られてくるということは、他側の芯管案内経路63において、底部側受止め部71によって底部4aが受け止められていることを意味する。そして、底部側受止め部71の下部が開放されて芯管4の底部4aが落下しようとするとき、頂部4bは凹部85aで受け止められているから、給糸ボビン3は底部4aが先に(即ち、底部4aを下にして)落下することになる。
【0109】
1対のサイドフレーム61及びエンドフレーム62の下端には、上記の排出案内部材15が接続されている。芯管案内経路63から落下した給糸ボビン3は、排出案内部材15により姿勢が上下方向に向けられる。このとき、給糸ボビン3の向きは、底部4aが下側になるように揃えられていることは言うまでもない。上下方向に向けられた給糸ボビン3は、ボビンシュート13へ案内される。
【0110】
なお、上述したように、ボビン振分け装置5からボビン方向揃え装置6に投入された給糸ボビン3は、一側の端部である底部4aが底部側受止め部71によって、他側の端部である頂部4bが頂部側受止め部72によって、それぞれ受け止められることになる。1対の芯管案内経路63において導入部70、底部側受止め部71及び頂部側受止め部72は互いに対応する位置に配置されているので、給糸ボビン3の両端が上記のように受け止められるとき、当該給糸ボビン3の姿勢は若干斜めになる(
図6及び
図7を参照)。しかしながら、それぞれの芯管案内経路63において底部側受止め部71と頂部側受止め部72とは隣接して配置されているので、両端部が受け止められた状態の給糸ボビン3の姿勢が強く傾斜することを防止できる。この結果、給糸ボビン3がボビン方向揃え装置6から落下する経路を狭い範囲に収めることができるので、排出案内部材15の第1開口部15aを大きく形成する必要がなくなり、ボビン供給装置10のコンパクト化を図ることができる。
【0111】
なお、ボビン方向揃え装置6のエンドフレーム62には、
図2に示すようにセンサ97が取り付けられている。このセンサ97は、例えば光電センサ等で構成されている。センサ97は、底部側受止め部71及び頂部側受止め部72で端部が受け止められた状態の給糸ボビン3の有無を検出することができる。
【0112】
次に、可動側受止め部材84を駆動するための開放駆動部64の構成を説明する。
図5及び
図7に示すように、1対で配置されたサイドフレーム61のうち一側には、アクチュエータとしてのロータリソレノイド91が取り付けられている。また、1対の芯管案内経路63において可動側受止め部材84同士を連結する連結軸86が、ロータリソレノイド91が配置されている側のサイドフレーム61を貫通して突出しており、この突出部分にアーム92が固定されている。そして、ロータリソレノイド91の可動子と、アーム92の先端部とが、リンク部材93によって互いに連結されている。これにより、ロータリソレノイド91を駆動することによって、1対の可動側受止め部材84を、
図6及び
図7に破線で示す閉鎖位置と、鎖線で示す開放位置と、の間で切り換えることができる。
【0113】
このように、本実施形態のボビン方向揃え装置6は、傾斜状に形成された1対の芯管案内経路63のそれぞれに底部側受止め部71と頂部側受止め部72とを設けることによって、自重で移動する給糸ボビン3の芯管4の底部4aと頂部4bとを異なる場所で受け止める。そして、芯管4の底部4aを受け止める底部側受止め部71の下部を開放させることで、給糸ボビン3を芯管4の底部4a側から先に落下させる。以上により、ボビン方向揃え装置6に供給される給糸ボビン3の方向が何れであっても、芯管4の底部4aを下にした状態に向きを揃えて、下流側へ排出することができる。
【0114】
即ち、本実施形態のボビン方向揃え装置6は、センサ等による給糸ボビン3の向きの判別を要せずに、単に可動側受止め部材84の下方開放動作を行うだけで、給糸ボビン3の方向を揃えることができる。また、給糸ボビン3を長手方向に移動させる機構が不要であるので、ボビン方向揃え装置6をコンパクトに構成することができる。
【0115】
次に、ボビン供給装置10を制御するための構成を説明する。
図8は、ボビン供給装置10の制御を説明するブロック図である。
【0116】
図8に示すように、ボビン供給装置10には制御部90が設けられている。制御部90は、図略のCPU、ROM、RAM等のハードウェアと、前記ROMに記憶された制御プログラム等のソフトウェアと、から構成されている。
【0117】
制御部90には、ボビン振分け装置5に備えられた前記センサ96と、1対のボビン方向揃え装置6に備えられた前記センサ97と、がそれぞれ電気的に接続される。また、1対のボビンシュート13は、給糸ボビン3の有無を検出するための図略のセンサを備える。このセンサは、制御部90に電気的に接続される。
【0118】
この構成で、1対のボビンシュート13のうち少なくとも何れかに給糸ボビン3がないことを上記のセンサで検出すると、制御部90は、当該ボビンシュート13に接続されるボビン方向揃え装置6において、給糸ボビン3が底部側受止め部71と頂部側受止め部72で受け止められているか否かを、センサ97によって調べる。受け止められた状態の給糸ボビン3がある場合は、制御部90は、当該ボビン方向揃え装置6(ロータリソレノイド91)を動作させて、底部側受止め部71の受け面84aを開放し、給糸ボビン3をボビンシュート13に供給する。
【0119】
また、1対のボビン方向揃え装置6のうち少なくとも何れかにおいて、給糸ボビン3が底部側受止め部71と頂部側受止め部72で受け止められていないことをセンサ97により検出すると、制御部90は、ボビン振分け装置5のボビン通路16に給糸ボビン3があるか否かを、センサ96によって調べる。ボビン通路16に給糸ボビン3がある場合は、制御部90は、ボビン振分け装置5の回転モータ29を駆動して回転ガイド板27を72°回転させ、ボビン通路16上の給糸ボビン3を、給糸ボビン3が無い側のボビン方向揃え装置6へ向かって回転ガイド板27で押し出して供給する。なお、上述したように、給糸ボビン3を何れのボビン方向揃え装置6に供給するかは、回転案内部17(回転ガイド板27)の回転方向によって切り換えることができる。ボビン通路16に給糸ボビン3がない場合は、制御部90はボビンフィードコンベア14及びボビン振分け装置5(コンベア駆動モータ25)を制御して給糸ボビン3をボビン通路16まで搬送させつつ、センサ96が給糸ボビン3を検出するまで待機する。
【0120】
なお、ボビンシュート13に給糸ボビン3がある場合は、制御部90は、当該ボビンシュート13の上流側のボビン方向揃え装置6において、底部側受止め部71の受け面84aを開放せずに待機する。また、1対のボビン方向揃え装置6の何れにおいても給糸ボビン3が底部側受止め部71と頂部側受止め部72で受け止められている場合は、制御部90は、ボビン振分け装置5において、回転ガイド板27を何れの方向にも回転させずに待機する。これにより、給糸ボビン3の衝突等を防止することができる。
【0121】
このように、ボビン振分け装置5、ボビン方向揃え装置6、及びボビンシュート13に配置されたセンサの検出結果に基づいて、制御部90は、適切なタイミングで、ボビン振分け装置5に供給された給糸ボビン3をバランス良く分配する。また、制御部90は、2つのボビン方向揃え装置6に振り分けられた給糸ボビン3を、それぞれ適切なタイミングでボビンシュート13に供給する。向きが揃えられた状態でボビンシュート13に供給された給糸ボビン3は、ボビンシュート13によって搬送トレイ2に装着される。
【0122】
ボビン供給装置10は上記のように構成されるので、
図1に示すように、2つの経路を搬送される搬送トレイ2のそれぞれに給糸ボビン3を同時並行的に装着して供給することができる。この結果、給糸ボビン3の供給能力を増強できるので、ボビン供給装置10全体の効率を向上することができる。
【0123】
以上に説明したように、本実施形態のボビン方向揃え装置6は、底部4aと、底部4aよりも直径の小さい頂部4bと、を有する芯管4に糸が巻かれた給糸ボビン3の方向を変換するものである。ボビン方向揃え装置6は、傾斜して形成された1対の芯管案内経路63を備える。それぞれの芯管案内経路63には、底部側受止め部71と、頂部側受止め部72と、が形成されている。底部側受止め部71は、芯管4の頂部4bを通過させ、底部4aを受け止める。頂部側受止め部72は、底部側受止め部71の下流側に位置し、頂部4bを受け止める。底部側受止め部71は、芯管4の端部を下側で受け止める受け面84aを開放可能に構成されている。
【0124】
これにより、1対の傾斜状の芯管案内経路63によって芯管4の底部4a及び頂部4bがそれぞれ案内されながら給糸ボビン3が自重で移動する過程で、一側の芯管案内経路63では底部側受止め部71により給糸ボビン3の底部4aが受け止められ、他側の芯管案内経路63では頂部側受止め部72により頂部4bが受け止められる。そして、底部側受止め部71の受け面84aを開放させることで、当該給糸ボビン3を、底部側受止め部71で受け止められていた底部4a側から先に落下させることができる。このように、給糸ボビン3の向きをセンサ等によって判別することなく、コンパクトかつ簡素な構成で、給糸ボビン3の向きを底部が下側となるように変換することができる。
【0125】
また、本実施形態のボビン方向揃え装置6において、底部側受止め部71は、回動可能な可動側受止め部材84を備える。受け面84aは、可動側受止め部材84に形成されている。可動側受止め部材84は、下方に回動することにより、受け面84aを下方に開放する。
【0126】
これにより、簡素な構成で受け面84aを開放させることができる。
【0127】
また、本実施形態のボビン方向揃え装置6において、底部側受止め部71には、芯管4の底部4aより狭く、頂部4bより広い幅を有する隙間が形成されている。
【0128】
これにより、簡単な構成で、底部側受止め部71が芯管4の底部4aだけを選択的に受け止めることができる。
【0129】
また、本実施形態のボビン方向揃え装置6において、底部側受止め部71は、芯管案内経路63を挟んで受け面84aの反対側に位置する固定側受止め部材83を備える。固定側受止め部材83は、その位置を調整可能に構成されている。固定側受止め部材83の位置を調整することで前記隙間の幅71wが変更される。
【0130】
これにより、芯管4の太さが異なる給糸ボビン3に対応することができる。
【0131】
また、本実施形態のボビン方向揃え装置6においては、底部側受止め部71及び頂部側受止め部72は、芯管案内経路63の一部として構成される。頂部側受止め部72は、底部側受止め部71に隣接して配置されている。
【0132】
これにより、芯管案内経路63を短くすることができ、ボビン方向揃え装置6を一層コンパクトに構成することができる。また、芯管4の頂部4bと底部4aとをそれぞれ受け止める位置が近いので、芯管案内経路63に案内される給糸ボビン3の向きが何れであっても、受け止められた給糸ボビン3の姿勢が大きく変化することを防止できる。従って、給糸ボビン3をコンパクトな落下経路で落下させることができる。
【0133】
また、本実施形態のボビン方向揃え装置6において、頂部側受止め部72は、V字状の凹部85aが形成された受け部材85を備える。
【0134】
これにより、頂部側受止め部72に案内された給糸ボビン3の芯管4の頂部4bを、V字状の凹部85aにより安定した位置で受け止めることができる。また、頂部側受止め部72を簡単な構成で実現することができる。
【0135】
また、本実施形態のボビン供給装置10は、ボビン方向揃え装置6と、ボビンシュート13と、を備える。ボビンシュート13は、給糸ボビン3の搬送経路においてボビン方向揃え装置6の下流側に設けられ、方向が変換された給糸ボビン3を搬送トレイ2に装着する。
【0136】
これにより、方向が揃えられた給糸ボビン3をボビンシュート13に供給することができるので、ボビンシュート13が効率良く給糸ボビン3を装着することができる。
【0137】
また、本実施形態のボビン供給装置10には、ボビン方向揃え装置6の受け面84aの開放動作を制御する制御部90が設けられる。制御部90は、ボビンシュート13の作業状態に応じて受け面84aを開放する。
【0138】
これにより、ボビンシュート13において作業が滞留している場合に、給糸ボビン3を、底部側受止め部71及び頂部側受止め部72で受け止められた状態で待機させておくことができる。この結果、ボビンシュート13における給糸ボビン3の詰まり等を防止することができる。
【0139】
また、本実施形態のボビン供給装置10は、ボビン投入装置11と、パーツフィーダ12と、ボビンフィードコンベア14と、ボビン振分け装置5と、を更に備える。ボビン投入装置11は、複数の給糸ボビン3を投入する。パーツフィーダ12は、前記ボビン投入装置11により投入された給糸ボビン3を個別化する。ボビンフィードコンベア14は、パーツフィーダ12により個別化された給糸ボビン3を搬送する。ボビン振分け装置5は、ボビンフィードコンベア14によって搬送された給糸ボビン3を導入し、導入された給糸ボビン3を、その導入方向に対する両脇側に分配する。ボビン方向揃え装置6及びボビンシュート13は、ボビン振分け装置5の両側にそれぞれ配置されている。
【0140】
これにより、ボビンフィードコンベア14によって搬送された給糸ボビン3を複数のボビン方向揃え装置6及びボビンシュート13によって搬送トレイ2に装着することができるので、給糸ボビン3の供給効率が高いボビン供給装置10を実現することができる。
【0141】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0142】
芯管案内経路63の上流側端部(導入部70)に対しては、横からではなく、直上方から給糸ボビン3を投入する構成としても良い。
【0143】
1対の芯管案内経路63において、導入部70を省略し、給糸ボビン3が底部側受止め部71に直接投入されるように構成しても良い。
【0144】
可動側受止め部材84を回動させるアクチュエータとしては、ロータリソレノイド91に限定されず、直線運動型のソレノイドを使用しても良い。また、ソレノイドに代えて、可動側受止め部材84を、例えば電動モータや流体シリンダ等を用いて駆動しても良い。
【0145】
頂部側受止め部72において、受け部材85には、V字状ではなく例えば半円状の凹部が形成されても良い。
【0146】
ボビン方向揃え装置6は、2つでなく1つだけ配置されても良い。言い換えれば、ボビン振分け装置5を省略して、パーツフィーダ12で個別化された給糸ボビン3を振り分けずにボビン方向揃え装置6に供給しても良い。
【0147】
ボビン方向揃え装置6は、搬送トレイ2に給糸ボビン3をセットする目的以外に用いられても良い。