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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-155648(P2016-155648A)
(43)【公開日】2016年9月1日
(54)【発明の名称】糸継装置及び糸巻取装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 69/06 20060101AFI20160805BHJP
   D01H 15/00 20060101ALI20160805BHJP
【FI】
   B65H69/06
   D01H15/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-34287(P2015-34287)
(22)【出願日】2015年2月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】澤田 映
【テーマコード(参考)】
4L056
【Fターム(参考)】
4L056CB04
4L056CB07
(57)【要約】
【課題】撚り掛け条件に応じた空気の噴射位置の変更を簡易な構成で実現できる糸継装置及び糸巻取装置を提供する。
【解決手段】糸継装置10は、圧縮空気を供給する供給流路48を有する本体部20と、本体部20に着脱可能に設けられ、本体部20の供給流路48から供給される圧縮空気を噴射することにより糸端同士を撚り掛けて糸継ぎを行う糸継部50と、を備え、糸継部50は、空気の噴射位置を変更する噴射位置変更機構132を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮空気の作用によって糸端同士の糸継ぎを行う糸継装置であって、
前記圧縮空気を供給する供給流路を有する本体部と、
前記本体部に取り付けられ、前記本体部の前記供給流路から供給される前記圧縮空気を噴射することにより前記糸端同士を撚り掛けて糸継ぎを行う糸継部と、を備え、
前記糸継部は、空気の噴射位置を変更する噴射位置変更機構を有する、糸継装置。
【請求項2】
前記糸継部は、
前記空気が噴射される複数の噴射孔と、
前記供給流路から供給された前記圧縮空気を複数の前記噴射孔のそれぞれに導く複数の空気流路を有し、
前記噴射位置変更機構は、前記糸継部を前記本体部に対して複数の状態で取り付け可能とする取付部であり、
前記本体部に対する前記糸継部の取り付け状態を前記取付部によって変更することにより、前記供給流路から前記圧縮空気の供給を受ける前記空気流路が変更される、請求項1に記載の糸継装置。
【請求項3】
前記糸継部において前記糸端の糸継ぎを行う前工程として前記糸端を解撚する解撚部材が設けられた解撚部を備え、
前記糸継部は、前記本体部に固定された前記解撚部を介して前記本体部に取り付けられており、
前記解撚部に対する前記糸継部の取り付け状態を前記取付部によって変更することにより、前記供給流路から前記圧縮空気の供給を受ける前記空気流路が変更される、請求項2に記載の糸継装置。
【請求項4】
前記糸継部において前記糸端の糸継ぎを行う前工程として前記糸端を解撚する解撚部材が設けられた解撚部を備え、
前記糸継部は、前記解撚部を介して前記本体部に取り付けられており、
前記本体部に対する前記糸継部及び前記解撚部の取り付け状態を前記取付部によって変更することにより、前記供給流路から前記圧縮空気の供給を受ける前記空気流路が変更される、請求項2に記載の糸継装置。
【請求項5】
前記糸継部は、前記取付部によって、前記本体部に対して第1の状態と第2の状態とに取り付けられ、
前記第2の状態は、前記第1の状態に対して、糸道に直交する方向を基準に前記糸継部を180°回転させて前記本体部に取り付けられた状態であり、
前記糸継部を前記第1の状態から前記第2の状態に変更することにより、前記空気の噴射位置が変更され、前記糸継部において前記空気の旋回方向が逆回りに変更される、請求項2〜4のいずれか一項に記載の糸継装置。
【請求項6】
前記糸継部は、前記取付部によって、前記本体部に対して第1の状態と第2の状態とに取り付けられ、
前記第2の状態は、前記第1の状態に対して、糸道に直交する方向を基準に前記糸継部を180°回転させて前記本体部に取り付けられた状態であり、
前記糸継部を前記第1の状態から前記第2の状態に変更することにより、前記空気の噴射位置が変更され、前記糸継部において前記空気の噴射領域が変更される、請求項2〜4のいずれか一項に記載の糸継装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の糸継装置と、
糸を供給可能な給糸部と、
前記糸を巻き取る巻取部と、を備える、糸巻取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸継装置及び糸巻取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の糸継装置としては、例えば、特許文献1に記載の装置が知られている。特許文献1に記載の糸継装置は、糸端同士の撚り掛けを行う撚掛ノズルと、撚掛ノズルに対して、圧縮空気を供給して撚掛空気流を発生させると共に、撚掛空気流の旋回方向を切り替え可能、及び/又は撚掛空気流の発生領域を切り替え可能に構成された撚掛空気流供給機構と、を備えている。この糸継装置は、撚掛空気流供給機構に対する制御により、糸端同士の撚り掛けを行う撚掛空気流を、糸継ぎすべき糸の撚り掛け条件に応じた旋回方向、及び/又は発生領域で発生させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−245069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の糸継装置では、撚掛空気流供給機構は、右用撚掛流路と、左用撚掛流路と、右用撚掛バルブと、左用撚掛バルブと、を備えている。従来の糸継装置では、右用撚掛バルブと左用撚掛バルブとを切り替える制御により、圧縮空気を右用撚掛流路又は左用撚掛流路に供給し、右撚り(S撚り)及び左撚り(Z撚り)の糸に対応している。この従来の糸継装置のように、バルブの切り替え制御を要する構成では、構成が複雑化すると共に、どうしても製造コストが増大してしまう。
【0005】
本発明は、撚り掛け条件に応じた空気の噴射位置の変更を簡易な構成で実現できる糸継装置及び糸巻取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る糸継装置は、圧縮空気の作用によって糸端同士の糸継ぎを行う糸継装置であって、圧縮空気を供給する供給流路を有する本体部と、本体部に取り付けられ、本体部の供給流路から供給される圧縮空気を噴射することにより糸端同士を撚り掛けて糸継ぎを行う糸継部と、を備え、糸継部は、空気の噴射位置を変更する噴射位置変更機構を有する。
【0007】
この糸継装置では、糸継部は、空気の噴射位置を変更する噴射位置変更機構を有する。これにより、糸継部では、噴射位置変更機構によって空気の噴射位置を変更することにより、糸の撚り掛け条件(例えば、糸の種類(右撚り及び左撚り)等)に応じた処理が可能となる。このように、糸継装置では、糸継部において空気の噴射位置を変更できるため、従来の装置のようにバルブの切り替え等を必要としない。したがって、糸継装置では、撚り掛け条件に応じた空気の噴射位置の変更を簡易な構成で実現できる。
【0008】
一実施形態においては、糸継部は、空気が噴射される複数の噴射孔と、供給流路から供給された圧縮空気を複数の噴射孔のそれぞれに導く複数の空気流路を有し、噴射位置変更機構は、糸継部を本体部に対して複数の状態で取り付け可能とする取付部であり、本体部に対する糸継部の取り付け状態を取付部によって変更することにより、供給流路から圧縮空気の供給を受ける空気流路が変更されてもよい。この構成では、糸継部の取り付け状態を変更することにより、供給流路から圧縮空気の供給を受ける空気流路が変更される。これにより、空気が噴射される噴射孔が変更されるため、空気の噴射位置が変更される。このように、糸継装置では、糸継部の取り付け状態を変更するという簡易な構成により、空気の噴射位置を変更することができる。
【0009】
一実施形態においては、糸継装置は、糸継部において糸端の糸継ぎを行う前工程として糸端を解撚する解撚部材が設けられた解撚部を備え、糸継部は、本体部に固定された解撚部を介して本体部に取り付けられており、解撚部に対する糸継部の取り付け状態を取付部によって変更することにより、供給流路から圧縮空気の供給を受ける空気流路が変更されてもよい。この構成では、糸継部の解撚部に対する取り付け状態を変更することにより、空気の噴射位置を変更することができる。
【0010】
一実施形態においては、糸継装置は、糸継部において糸端の糸継ぎを行う前工程として糸端を解撚する解撚部材が設けられた解撚部を備え、糸継部は、解撚部を介して本体部に取り付けられており、本体部に対する糸継部及び解撚部の取り付け状態を取付部によって変更することにより、供給流路から圧縮空気の供給を受ける空気流路が変更されてもよい。この構成では、ロットの変更に合わせて解撚部及び糸継部を交換する場合、糸継部を本体部に対して取り付ける作業により、糸継部及び解撚部を本体部に取り付けることができる。つまり、この構成では、本体部に解撚部を取り付けた後に解撚部に糸継部を取り付け、その後、解撚部に対する糸継部の状態を変更する手間を省くことができる。
【0011】
一実施形態においては、糸継部は、取付部によって、本体部に対して第1の状態と第2の状態とに取り付けられ、第2の状態は、第1の状態に対して、糸道に直交する方向を基準に糸継部を180°回転させて本体部に取り付けられた状態であり、糸継部を第1の状態から第2の状態に変更することにより、空気の噴射位置が変更され、糸継部において空気の旋回方向が逆回りに変更されてもよい。この構成では、糸継部を第1の状態と第2の状態とに変更する簡易な操作により、糸継部において空気の旋回方向を変更することができる。
【0012】
一実施形態においては、糸継部は、取付部によって、本体部に対して第1の状態と第2の状態とに取り付けられ、第2の状態は、第1の状態に対して、糸道に直交する方向を基準に糸継部を180°回転させて本体部に取り付けられた状態であり、糸継部を第1の状態から第2の状態に変更することにより、空気の噴射位置が変更され、糸継部において空気の噴射領域が変更されてもよい。この構成では、糸継部を第1の状態と第2の状態とに変更する簡易な操作により、糸継部において空気の噴射領域を変更することができる。
【0013】
本発明に係る糸巻取装置は、上記の糸継装置と、糸を供給可能な給糸部と、糸を巻き取る巻取部と、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、撚り掛け条件に応じた空気の噴射位置の変更を簡易な構成で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態に係る巻取ユニットを示す正面図である。
図2】一実施形態に係る糸継装置の正面図である。
図3図2に示す糸継装置の側面図である。
図4】糸継部を示す斜視図である。
図5】糸継部を示す斜視図である。
図6】糸継部の断面構成を示す斜視図である。
図7】糸継部の断面構成を示す斜視図である。
図8】糸継部の断面構成を示す斜視図である。
図9】糸継部の断面構成を示す斜視図である。
図10】ノズル部の構成を模式的に示す図である。
図11】解撚部と糸継部とを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
初めに、図1を参照して、本実施形態の糸継装置10を備えるワインダユニット(糸巻取装置)1の全体的な構成について説明する。なお、本明細書において「上流」及び「下流」とは、糸巻取時での糸の走行方向における上流及び下流を意味する。
【0018】
図1に示されるように、ワインダユニット1は、給糸ボビンBからパッケージPに糸Yを巻き取る。給糸ボビンBは、前工程の精紡機で形成され、例えば、トレーにセットされた状態で精紡機から搬送される。なお、複数のワインダユニット1が並設されることにより、繊維機械である自動ワインダが構成されている。
【0019】
ワインダユニット1には、ボビン支持部(給糸部)2、糸解舒補助装置3、プレクリアラ4、テンション付与装置5、テンションセンサ6、下糸捕捉装置7、糸継装置10、カッター9、糸監視装置11、上糸捕捉装置12及び巻取装置(巻取部)13が、糸Yの走行経路に沿って上流側(ここでは、下側)からこの順序で設けられている。これらの各構成は、ユニット本体部8に取り付けられている。
【0020】
ボビン支持部2は、給糸ボビンBを直立させた状態で支持し、糸Yを供給可能にする。糸解舒補助装置3は、給糸ボビンBの上方に配置された筒状部材によって、給糸ボビンBから解舒された糸Yのバルーンを制御する。テンション付与装置5は、櫛歯状の固定ゲート及び可動ゲートからなる一対のゲートによって糸Yをジグザグ状に保持することで、走行する糸Yに所定テンションを付与するゲート式テンサである。テンションセンサ6は、テンション付与装置5によって付与された糸Yのテンションを測定する。
【0021】
プレクリアラ4は、糸Yの走行経路を挟んで所定間隔で配置された一対の規制部材によって、規定値よりも大きい絡み糸等の糸欠陥の通過を規制する。糸監視装置11は、糸Yの巻取中にスラブ等の糸欠陥を検出する。カッター9は、糸監視装置11によって糸欠陥が検出されたときに、糸Yを切断する。糸継装置10は、カッター9による糸Yの切断時、或いは糸Yの糸切れ時等に、パッケージP側の糸Yの糸端と給糸ボビンB側の糸Yの糸端とを圧縮空気の作用により継ぐ。
【0022】
下糸捕捉装置7は、軸線αを中心として回動可能にユニット本体部8に取り付けられている。下糸捕捉装置7の回動端には、吸引口7aが設けられている。吸引口7aは、糸継装置10の上部とプレクリアラ4の下部との間で回動させられる。プレクリアラ4の下部側に吸引口7aが待機しており、下糸捕捉装置7は、カッター9による糸Yの切断時、或いは糸Yの糸切れ時等に吸引口7aで給糸ボビンB側の糸Yの糸端を吸引し、その後、糸継装置10の上部側に吸引口7aを回動させて給糸ボビンB側の糸Yを糸継装置10に引き渡す。
【0023】
上糸捕捉装置12は、軸線βを中心として回動可能にユニット本体部8に取り付けられている。上糸捕捉装置12の回動端には、吸引口12aが設けられている。吸引口12aは、糸継装置10の下部と巻取装置13との間で回動させられる。上糸捕捉装置12は、カッター9による糸Yの切断時、或いは糸Yの糸切れ時等に、巻取装置13側に吸引口12aを回動させて吸引口12aでパッケージP側の糸Yの糸端を吸引し、その後、糸継装置10の下部側に吸引口12aを回動させてパッケージP側の糸Yを糸継装置10に引き渡す。
【0024】
巻取装置13は、給糸ボビンBから解舒された糸YをパッケージPに巻き取って満巻のパッケージPを形成する。巻取装置13は、ドラム溝14aが形成された巻取ドラム14、及びパッケージPを回転可能に支持するクレードル15を有している。クレードル15は、パッケージPの表面を巻取ドラム14の表面に対して適切な接圧で接触させる。巻取装置13は、モータで巻取ドラム14を駆動回転させてパッケージPを従動回転させることにより、糸Yを所定幅で綾振りしつつ糸YをパッケージPに巻き取っていく。
【0025】
ユニット本体部8には、制御部16、入力部17及び表示部18が設けられている。制御部16は、ワインダユニット1の各構成を制御する。入力部17は、例えば操作ボタン等であり、オペレータが制御部16に対して種々の値を設定する際等に使用される。表示部18は、ワインダユニット1の動作状況等を表示する。なお、制御部16は、自動ワインダが備える上位制御部との間で、ワインディング動作に関する種々の情報を送受信する。上位制御部は、各ワインダユニット1の制御部16を統制し、自動ワインダの全体を制御する。
【0026】
次に、糸継装置10の構成について説明する。なお、以下の説明では、便宜上、パッケージP側を上側、給糸ボビンB側を下側、糸継装置10に対して糸Yの走行経路側を前側、その反対側を後側という。また、パッケージP側の糸Yを上糸YAといい、給糸ボビンB側の糸Yを下糸YBという。
【0027】
図2に示されるように、糸継装置10は、解撚部40と、糸継部50と、一対の糸寄せレバー81と、一対の撚り止めレバー82と、を備えている。解撚部40は、第1解撚パイプ部材(解撚部材)41A及び第2解撚パイプ部材(解撚部材)41Bを有している。一対の糸寄せレバー81は、第1解撚パイプ部材41A及び第2解撚パイプ部材41Bを挟むように旋回する。一対の撚り止めレバー82は、糸継部50を挟むように旋回する。糸継装置10は、その各構成を支持する本体フレーム(本体部)20を介してユニット本体部8に取り付けられている。
【0028】
第1解撚パイプ部材41A及び第2解撚パイプ部材41Bの上側には、第1ガイド板21が配置されている。第1解撚パイプ部材41A及び第2解撚パイプ部材41Bの下側には、第2ガイド板22が配置されている。第1ガイド板21と第2ガイド板22とは、上下方向において糸継部50を挟んで対向している。第1ガイド板21には、ガイド溝21a及びガイド溝21bが形成されている。第2ガイド板22には、ガイド溝22a及びガイド溝22bが形成されている。第1ガイド板21のガイド溝21aは、上下方向において第2ガイド板22のガイド溝22aと対向している。第1ガイド板21のガイド溝21bは、上下方向において第2ガイド板22のガイド溝22bと対向している。
【0029】
上下方向において対向するガイド溝21a及びガイド溝22aには、上糸捕捉装置12によって案内されて糸寄せレバー81によって引き寄せられた上糸YAが導入される。上下方向において対向するガイド溝21b及びガイド溝22bには、下糸捕捉装置7によって案内されて糸寄せレバー81によって引き寄せられた下糸YBが導入される。
【0030】
第1ガイド板21の上側には、上糸保持部60Aが設けられており、第1ガイド板21の下側には、下糸切断部70Aが設けられている。第2ガイド板22の下側には、下糸保持部60Bが設けられており、第2ガイド板22の上側には、上糸切断部70Bが設けられている。上糸保持部60Aは、ガイド溝21aに導入された上糸YAを保持する。上糸切断部70Bは、上糸保持部60Aによって上糸YAが保持された状態で、ガイド溝22aに導入された上糸YAを切断する。下糸保持部60Bは、ガイド溝22bに導入された下糸YBを保持する。下糸切断部70Aは、下糸保持部60Bによって下糸YBが保持された状態で、ガイド溝21bに導入された下糸YBを切断する。
【0031】
第1解撚パイプ部材41Aは、上糸保持部60Aによって上糸YAが保持された状態で、上糸切断部70Bによって切断された上糸YAの糸端を取り込んで解撚する。第2解撚パイプ部材41Bは、下糸保持部60Bによって下糸YBが保持された状態で、下糸切断部70Aによって切断された下糸YBの糸端を取り込んで解撚する。
【0032】
糸継部50は、第1解撚パイプ部材41Aによって解撚された上糸YAの糸端と、第2解撚パイプ部材41Bによって解撚された下糸YBの糸端とを撚り合わせることで、上糸YAの糸端と下糸YBの糸端とを継ぐ。糸継部50において糸端同士を撚り合わせる際には、上糸YAは、上糸保持部60Aによって保持されており、下糸YBは、下糸保持部60Bによって下糸YBが保持されている。そして、糸寄せレバー81によって上糸YAの糸端が第1解撚パイプ部材41Aから引き出されると共に下糸YBの糸端が第2解撚パイプ部材41Bから引き出され、撚り止めレバー82によって上糸YAの糸端の先端部分及び下糸YBの糸端の先端部分が糸継部50の近傍において配置される。
【0033】
図3に示されるように、本体フレーム20には、一対の糸寄せレバー81及び一対の撚り止めレバー82の駆動源として駆動モータ23が取り付けられている。駆動モータ23は、例えばステッピングモータである。駆動モータ23の駆動軸24には、アーム25が固定されている。アーム25には、連結部材26の後端部が回転可能に連結されている。連結部材26の前端部には、糸寄せレバー81の基端部が回転可能に連結されている。糸寄せレバー81は、本体フレーム20に固定された支持軸27に回転可能に支持されている。
【0034】
図2及び図3に示されるように、支持軸27には、撚り止めレバー82が回転可能に支持されている。撚り止めレバー82は、支持軸27に回転可能に取り付けられたねじりコイルばね28によって第1解撚パイプ部材41A及び第2解撚パイプ部材41B側に付勢されている。これにより、撚り止めレバー82は、糸寄せレバー81と共に第1解撚パイプ部材41A及び第2解撚パイプ部材41B側に回動させられる。ただし、撚り止めレバー82の基端部に螺合されたストッパボルト(図示しない)の先端部が本体フレーム20の一部に接触した後は、糸寄せレバー81のみが第1解撚パイプ部材41A及び第2解撚パイプ部材41B側に回動させられる。
【0035】
本体フレーム20には、第1処理部95及び第2処理部97の駆動源として駆動モータ31が取り付けられている。駆動モータ31は、例えばステッピングモータである。第1処理部95は、上述した上糸保持部60A及び下糸切断部70A、並びに第1伝達機構90Aを有している。第2処理部97は、上述した下糸保持部60B及び上糸切断部70B、並びに第2伝達機構90Bを有している。第1処理部95及び第2処理部97は、糸継部50の両側に設けられている。つまり、糸継部50は、第1処理部95と第2処理部97との間に配置されている。
【0036】
図3に示されるように、第1伝達機構90Aは、第1アーム91A及び第1連結部材92Aを含んでおり、駆動モータ31の第1駆動軸部32Aから上糸保持部60A及び下糸切断部70Aに駆動力を伝達する。第1駆動軸部32Aには、第1アーム91Aが固定されている。第1アーム91Aには、第1連結部材92Aの後端部が回転可能に連結されている。
【0037】
図2に示されるように、下糸切断部70Aは、固定片71及び可動片72を有している。固定片71は、第1ガイド板21に固定されている。可動片72は、第1ガイド板21に固定された支持軸(図示せず)に回転可能に支持されている。第1連結部材92Aの前端部は、可動片72の基端部から延在するアーム(図示せず)に回転可能に連結されている。上糸保持部60Aは、ベース部材61及びサブ部材62を有している。上糸保持部60Aでは、ベース部材61とサブ部材62とで上糸YAが保持される。
【0038】
図3に示されるように、第2伝達機構90Bは、第2アーム91B及び第2連結部材92Bを含んでおり、駆動モータ31の第2駆動軸部32Bから下糸保持部60B及び上糸切断部70Bに駆動力を伝達する。第2駆動軸部32Bには、第2アーム91Bが固定されている。第2アーム91Bには、第2連結部材92Bの後端部が回転可能に連結されている。
【0039】
図2に示されるように、上糸切断部70Bの構成は、前側から見た場合に、糸継部50を中心として下糸切断部70Aの構成と点対称の関係にある。同様に、下糸保持部60Bの構成は、前側から見た場合に、糸継部50を中心として上糸保持部60Aの構成と点対称の関係にある。
【0040】
続いて、糸継部50の構成について詳細に説明する。図4図9に示されるように、糸継部50は、ノズル部100と、ノズル支持部120と、を備えている。ノズル部100は、ノズル支持部120に対して着脱可能に固定されている。
【0041】
ノズル部100は、例えばセラミックで形成されている。ノズル部100は、糸継室102を有している。糸継室102は、糸継用エアー(空気)の作用によって糸継が行われる空間である。図10に示されるように、糸継室102は、第1糸継室104と、第2糸継室106と、を有している。
【0042】
第1糸継室104は、ノズル部100における上下方向の中央から一方側に設けられ、一方に開口している。第2糸継室106は、ノズル部100における上下方向の中央から他方側に設けられ、他方に開口している。第1糸継室104と第2糸継室106とは、上下方向の他方向から見て、左右方向にずれた位置に配置されている。第1糸継室104及び第2糸継室106は、ノズル部100における上下方向の中央部で互いに連通している。
【0043】
ノズル部100は、第1糸継室104に連通する第1噴射ノズル108と、第1糸継室104に連通する第2噴射ノズル110と、第2糸継室106に連通する第3噴射ノズル112と、第2糸継室106に連通する第4噴射ノズル114と、を有している。
【0044】
第1糸継室104に開口する第1噴射ノズル108の第1噴射孔108Aからは、第1糸継室104に糸継用エアーが噴射される。第1糸継室104に開口する第2噴射ノズル110の第2噴射孔110Aからは、第1糸継室104に糸継用エアーが噴射される。第2糸継室106に開口する第3噴射ノズル112の第3噴射孔112Aからは、第2糸継室106に糸継用エアーが噴射される。第2糸継室106に開口する第4噴射ノズル114の第4噴射孔114Aからは、第2糸継室106に糸継用エアーが噴射される。図10に示されるように、第1噴射孔108Aと第2噴射孔110Aとは、同じ高さ位置に配置されている。また、第3噴射孔112Aと第4噴射孔114Aとは、同じ高さ位置に配置されている。
【0045】
ノズル部100は、第1流路122Aと、第2流路124Aと、を有している。第1流路122Aと第2流路124Aとは、互いに独立している。第1流路122Aは、第1噴射ノズル108及び第3噴射ノズル112に連通している。第1流路122Aは、後述する第1流路122Bと連通しており、第1流路122Bと共に第1空気流路122を構成している。第2流路124Aは、第2噴射ノズル110及び第4噴射ノズル114に連通している。第2流路124Aは、後述する第2流路124Bと連通しており、第2流路124Bと共に第2空気流路124を構成している。
【0046】
ノズル支持部120は、略直方体形状を呈している。ノズル支持部120は、例えば、アルミニウム等の金属又は樹脂で形成されている。ノズル支持部120には、ノズル部100を収容する収容部121が形成されている。ノズル支持部120は、前面である第1面120Aと、第1面120Aと対向する背面である第2面120Bと、を有している。
【0047】
ノズル支持部120は、第1流路122Bと、第2流路124Bと、を有している。第1流路122Bと第2流路124Bとは、互いに独立している。第1流路122Bは、第1流路122Aに連通し、これにより、第1噴射ノズル108及び第3噴射ノズル112に連通している。また、第1流路122Bは、第1導入口128と連通している。第1導入口128は、ノズル支持部120の第2面120Bに開口している。第1導入口128には、後述する供給ノズル42が挿入され、圧縮空気が供給される。第1導入口128から導入された圧縮空気は、第1流路122B及び第1流路122Aから構成される第1空気流路122を介して第1噴射ノズル108及び第3噴射ノズル112に導かれ、糸継用エアーとして第1噴射ノズル108及び第3噴射ノズル112から噴射される。
【0048】
第2流路124Bは、第2流路124Aに連通し、これにより、第2噴射ノズル110及び第4噴射ノズル114に連通している。また、第2流路124Bは、第2導入口130と連通している。第2導入口130は、ノズル支持部120の第2面120Bに開口している。第2導入口130には、後述する供給ノズル42が挿入され、圧縮空気が供給される。第1導入口128と第2導入口130とは、同じ高さ位置に配置されていると共に、第2面120Bの長手方向において所定の間隔をあけて配置されている。第2導入口130から導入された圧縮空気は、第2流路124B及び第2流路124Aから構成される第2空気流路124を介して第2噴射ノズル110及び第4噴射ノズル114に導かれ、糸継用エアーとして第2噴射ノズル110及び第4噴射ノズル114から噴射される。
【0049】
ノズル支持部120は、取付部(噴射位置変更機構)132を有している。取付部132は、糸継部50を解撚部40に取り付けるための部分である。糸継部50は、取付部132により、解撚部40に対して、2つの状態で取り付け可能とされている。具体的には、糸継部50は、解撚部40に取り付けられる第1の状態と、糸継装置10の前後方向であり糸Yの糸道に直交する方向を基準に糸継部50を第1の状態から180°回転させた第2の状態と、の2つの状態で取り付けられる。糸継部50では、当該糸継部50の解撚部40への取り付け状態を取付部132により変更することで、糸継用エアーの噴射位置が変更される。取付部132は、第1取付部134と、第2取付部136と、を有している。
【0050】
第1取付部134は、図4及び図5に示されるように、ノズル支持部120の上下方向の一方の面120C側に配置されている。具体的には、第1取付部134は、ノズル支持部120の左右方向において中央から一方側に偏った位置に配置されている。第1取付部134には、第1ねじ孔134aが形成されている。
【0051】
第2取付部136は、ノズル支持部120の上下方向の他方の面120D側に配置されている。具体的には、第2取付部136は、ノズル支持部120の左右方向において中央から他方側に偏った位置に配置されている。つまり、第1取付部134と第2取付部136とは、点対称に配置されている。第2取付部136には、第2ねじ孔136aが形成されている。
【0052】
上記構成を有する糸継部50は、解撚部40を介して本体フレーム20に取り付けられている。図11に示されるように、解撚部40は、第1解撚パイプ部材41Aと、第2解撚パイプ部材41Bと、供給ノズル42と、第1ねじ孔44と、第2ねじ孔46と、を有している。第1解撚パイプ部材41Aと第2解撚パイプ部材41Bとは、解撚部40の前面40Sにおいて、異なる高さ位置に配置されていると共に、前面40Sの中央を挟んで、左右方向において所定の間隔をあけて配置されている。供給ノズル42は、本体フレーム20に設けられた供給流路48に連通している。供給流路48は、圧縮空気を流通させる流路であり、図示しない空気源に接続されている。供給流路48は、圧縮空気を供給ノズル42に導く。これにより、供給ノズル42は、圧縮空気を糸継部50に供給する。供給ノズル42は、解撚部40の前面40Sから前方に突出している。
【0053】
糸継部50を解撚部40に取り付ける場合には、ノズル支持部120の第2面120Bと解撚部40の前面40Sとが対向するように糸継部50を位置させ、第1導入口128又は第2導入口130に供給ノズル42が挿入されるように、糸継部50を配置する。糸継部50の解撚部40に対する取り付け状態は、糸継ぎを行う糸Yの種類によって異なる。具体的には、糸継部50の解撚部40に対する取り付け状態は、S撚り(右撚り)の糸Yと、Z撚り(左撚り)の糸Yと、により異なる。S撚りは、糸Yに右回りで撚りが入れられており、Z撚りは、糸Yに左回りで撚りが入れられている。すなわち、S撚りとZ撚りとでは、撚り掛けの方向が逆になっている。
【0054】
最初に、糸YがS撚りの場合について説明する。糸YがS撚りの場合には、供給ノズル42が第1導入口128に挿入される。第1導入口128に供給ノズル42を挿入した後、解撚部40の第1ねじ孔44に第1取付部134の第1ねじ孔134aを位置させると共に、解撚部40の第2ねじ孔46に第2取付部136の第2ねじ孔136aを位置させ、それぞれにねじNを取り付ける。これにより、糸YがS撚りの場合に対応して、糸継部50が解撚部40に取り付けられる。本実施形態では、この取り付け状態を第1の状態とする。
【0055】
次に、糸YがZ撚りの場合について説明する。糸YがZ撚りの場合には、供給ノズル42が第2導入口130に挿入される。具体的には、糸YがZ撚りの場合には、第1の状態の糸継部50の配置に対して、糸継装置10の前後方向であり糸Yの糸道に直交する方向を基準に糸継部50を180°回転させて、第2導入口130に供給ノズル42を挿入する。第2導入口130に供給ノズル42を挿入した後、解撚部40の第1ねじ孔44に第2取付部136の第2ねじ孔136aを位置させると共に、解撚部40の第2ねじ孔46に第1取付部134の第1ねじ孔134aを位置させ、それぞれにねじNを取り付ける。これにより、糸YがZ撚りの場合に対応して、糸継部50が解撚部40に取り付けられる。本実施形態では、この取り付け状態を第2の状態とする。
【0056】
続いて、糸継装置10の動作について説明する。最初に、糸YがS撚りの場合について説明する。糸継装置10においてS撚りの糸Yの糸継ぎの際には、解撚部40に対して、糸継部50が第1の状態で取り付けられる。この場合、糸継部50の第1導入口128に圧縮空気が供給される。この圧縮空気は、ノズル支持部120の第1空気流路122によりノズル部100の第1噴射ノズル108及び第3噴射ノズル112に導かれ、第1噴射孔108A及び第3噴射孔112Aから糸継用エアーとして糸継室102に噴射される。これにより、糸継室102に、右回り方向の旋回流が発生する。この旋回流によって、第1解撚パイプ部材41Aによって解撚された上糸YAの糸端と、第2解撚パイプ部材41Bによって解撚された下糸YBの糸端とが撚り合わされる。
【0057】
次に、糸YがZ撚りの場合について説明する。糸継装置10においてZ撚りの糸Yの糸継ぎの際には、解撚部40に対して、糸継部50が第2の状態で取り付けられる。この場合、糸継部50の第2導入口130に圧縮空気が供給される。この圧縮空気は、ノズル支持部120の第2空気流路124によりノズル部100の第2噴射ノズル110及び第4噴射ノズル114に導かれ、第2噴射孔110A及び第4噴射孔114Aから糸継用エアーとして糸継室102に噴射される。これにより、糸継室102に、S撚りの場合とは逆回りの左回り方向の旋回流が発生する。この旋回流によって、第1解撚パイプ部材41Aによって解撚された上糸YAの糸端と、第2解撚パイプ部材41Bによって解撚された下糸YBの糸端とが撚り合わされる。
【0058】
以上説明したように、本実施形態に係る糸継装置10では、糸継部50は、糸継用エアーの噴射位置を変更する噴射位置変更機構を有する。これにより、糸継部50では、噴射位置変更機構によって糸継用エアーの噴射位置を変更することにより、糸の撚り掛け条件(例えば、糸の種類(右撚り及び左撚り)等)に応じた処理が可能となる。このように、糸継装置10では、糸継部50において糸継用エアーの噴射位置を変更できるため、従来の装置のようにバルブの切り替え等を必要としない。したがって、糸継装置10では、撚り掛け条件に応じた糸継用エアーの噴射位置の変更を簡易な構成で実現できる。
【0059】
本実施形態では、糸継部50は、糸継用エアーを噴射する複数の噴射孔108A,110A,112A,114Aと、供給ノズル42から供給された圧縮空気を噴射孔108A,110Aに導く第1空気流路122、及び、圧縮空気を噴射孔112A,114Aのそれぞれに導く第2空気流路124と、を有する。噴射位置変更機構は、糸継部50を解撚部40に対して複数の状態で取り付け可能とする取付部132である。糸継装置10では、解撚部40に対する糸継部50の取り付け状態を取付部132によって変更することにより、供給ノズル42から圧縮空気の供給を受ける流路が第1空気流路122又は第2空気流路124に変更される。この構成では、糸継部50の取り付け状態を変更することにより、供給ノズル42から圧縮空気の供給を受ける流路が第1空気流路122又は第2空気流路124に変更される。これにより、糸継用エアーが噴射される噴射孔が変更されるため、糸継用エアーの噴射位置が変更される。このように、糸継装置10では、糸継部50の取り付け状態を変更するという簡易な構成により、糸継用エアーの噴射位置が変更できる。
【0060】
本実施形態では、糸継装置10は、糸継部50において糸端の糸継ぎを行う前工程として糸端を解撚する第1解撚パイプ部材41A及び第2解撚パイプ部材41Bが設けられた解撚部40を備えている。糸継部50は、解撚部40を介して本体フレーム20に取り付けられている。糸継装置10では、解撚部40に対する糸継部50の取り付け状態を取付部によって変更することにより、供給ノズル42から圧縮空気の供給を受ける流路が変更される。この構成では、糸継部50の解撚部40に対する取り付け状態を変更することにより、糸継用エアーの噴射位置を変更することができる。
【0061】
本実施形態では、糸継部50は、取付部132によって、解撚部40に対して第1の状態と第2の状態とに取り付けられる。第2の状態は、第1の状態に対して、糸道に直交する方向を基準に糸継部を180°回転させて解撚部40に取り付けられた状態である。糸継装置10では、糸継部50を第1の状態から第2の状態に変更することにより、糸継用エアーの噴射位置が変更され、糸継部50において糸継用エアーの旋回方向が逆回りに変更される。この構成では、糸継部50を第1の状態と第2の状態とに変更する簡易な操作により、糸継用エアーの旋回方向を変更することができる。
【0062】
本発明は、上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態では、糸継用エアーの噴射位置を変更する噴射位置変更機構が取付部132である形態を一例に説明したが、噴射位置変更機構はこれに限定されない。上記実施形態では、糸継部50が解撚部40に対して完全に取り外される構成としているが、例えば、糸継部50と解撚部40とが所定の機構により接続された状態で、糸継部50が回転する構成であってよい。例えば、糸継部50を解撚部40に対して回転自在に支持すると共に、糸道に直交する方向において、糸継部50を解撚部40に接近する方向及び離間する方向に移動可能とする機構であってもよい。また、供給ノズル42が解撚部40の前面40Sから突出しない構成とした場合には、単に、糸継部50が回転する構成であってもよい。
【0063】
上記実施形態では、糸継用エアーの噴射位置を変更することにより糸継用エアーの旋回方向を変更する形態を一例に説明したが、糸継用エアーの噴射位置を変更することにより、糸継部50において圧縮空気の噴射領域が変更されてもよい。第1空気流路122に連通する噴射孔の数と第2空気流路124に連通する噴射孔の数が異なる場合、噴射位置が変更されることにより、噴射領域が変更される。
【0064】
上記実施形態では、本体フレーム20に固定された解撚部40に対する糸継部50の取り付け状態を取付部132によって変更する形態を一例に説明したが、本体フレーム20部に対する糸継部50及び解撚部40を一体として取り付け状態を変更することにより、供給流路から圧縮空気の供給を受ける流路が変更されてもよい。この構成では、ロットの変更に合わせて解撚部40及び糸継部50を交換する場合、糸継部50を本体フレーム20に対して取り付ける作業により、糸継部50及び解撚部40を本体フレーム20に取り付けることができる。つまり、この構成では、本体フレーム20に解撚部40を取り付けた後に解撚部40に糸継部50を取り付け、その後、解撚部40に対する糸継部50の状態を変更する手間を省くことができる。なお、本体フレーム20に対する解撚部40の取り付け状態を変更した場合には、第1解撚パイプ部材41A及び第2解撚パイプ部材41Bの取り付け状態を、糸の解撚条件に応じて変更すればよい。また、解撚部40に複数の空気流路を形成すればよい。
【符号の説明】
【0065】
1…ワインダユニット(糸巻取装置)、2…ボビン支持部(給糸部)、10…糸継装置、13…巻取装置(巻取部)、20…本体フレーム(本体部)、40…解撚部、41A…第1解撚パイプ部材(解撚部材)、41B…第2解撚パイプ部材(解撚部材)、48…供給流路、50…糸継部、108A…第1噴射孔、110A…第2噴射孔、112A…第3噴射孔、114A…第4噴射孔、122…第1空気流路、124…第2空気流路、132…取付部(噴射位置変更機構)、134…第1取付部(噴射位置変更機構)、136…第2取付部(噴射位置変更機構)。
図1
図2
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図10
図11