【解決手段】荷物を昇降方向、走行方向に搬送する搬送装置102であって、走行方向に延在する水平案内部材121と、記水平案内部材121に沿って走行する台車123と、台車123と接続されるマスト128と、マスト128に案内されて昇降し、走行方向においてマスト128に対し両側へ延びる昇降台125と、走行方向において前記マストの両側方に昇降台125にそれぞれ取り付けられる第一移載装置と、第二移載装置とを備える搬送装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが昨今では、高い密度で荷物を保管することができる空間効率の高い自動倉庫が要望されている。しかしながら、走行方向に一対のマストを備える搬送装置は、搬送装置が走行する端部においてマストが占める領域が必要になり、当該領域では荷物を移載することができずデッドスペースが発生するという課題を備えていた。
【0007】
本願発明は、前記課題に鑑みなされたものであり、高い空間効率の自動倉庫を実現することができる搬送装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願発明にかかる搬送装置は、荷物を上下方向である昇降方向、および、水平面内の任意の一軸である走行方向に搬送する搬送装置であって、走行方向に延在する水平案内部材と、前記水平案内部材に沿って走行する台車と、昇降方向に延在し、前記台車と接続されるマストと、前記マストに案内されて昇降方向に昇降し、走行方向において前記マストに対し両側へ延びる昇降台と、走行方向において前記マストの両側方に存在する前記昇降台の部分にそれぞれ取り付けられる第一移載装置と、第二移載装置とを備えることを特徴とする。
【0009】
これによれば、走行方向において一つのマストの両側に昇降台、および、移載装置(第一移載装置と第二移載装置とを総称して移載装置と記載する場合がある)があるため、マストの走行領域以上の領域において荷物の移載が可能となる。従って、当該搬送装置を備えた自動倉庫では、デッドスペースを抑えた空間効率の高い自動倉庫とすることが可能となる。
【0010】
さらに、走行方向において前記マストの両側方に存在する前記昇降台の部分にそれぞれ取り付けられる第一電装部品、および、第二電装部品とを備えてもかまわない。
【0011】
これによれば、走行方向においてマストに対しさらにバランスを取ることができ、剛性を抑制したマストを用いても安定した走行を確保することができる。
【0012】
さらに、走行方向において前記マストの両側方に存在する前記昇降台の部分にそれぞれ取り付けられる第一制御盤および第二制御盤を備えてもよい。
【0013】
これによれば、搬送装置を組み立てる際、または、調整する際にマストの両側にそれぞれ存在する機器(例えば移載装置)に対し個別に調整することが可能となる。また、マストの両側のそれぞれに対し独立して取り付け、取り外しを行うことが可能となる。また、走行方向においてマストに対しさらにバランスを取ることができ、剛性を抑制したマストを用いても安定した走行を確保することができる。
【0014】
さらに、前記マストに取り付けられ、前記昇降台の昇降を案内する昇降レールと、前記昇降台を昇降させる駆動力を伝える吊り下げ部材とを備え、前記昇降台は、走行方向において中央部に前記吊り下げ部材を取り付ける接続部と、前記昇降レールにスライド可能に係合し、当該昇降レールに沿って一列に配置される複数の昇降ガイドとを備える。
【0015】
これによれば、マストに対し走行方向にバランスのとれた昇降台、および、移載装置をバランスよく昇降させることが可能となる。また、マストは、1本の昇降レールを備えればよく、マストを小型化することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本願発明によれば、マストの可動領域よりも広い領域において荷物を移載することができ、自動倉庫におけるデッドスペースを抑制することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本願発明に係る搬送装置の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態は、本願発明に係る搬送措置の一例を示したものに過ぎない。従って本願発明は、以下の実施の形態を参考に請求の範囲の文言によって範囲が画定されるものであり、以下の実施の形態のみに限定されるものではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、本発明の課題を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成するものとして説明される。
【0019】
また、図面は、本願発明を示すために適宜強調や省略、比率の調整を行った模式的な図となっており、実際の形状や位置関係、比率とは異なる場合がある。
【0020】
図1は、自動倉庫を示す斜視図である。
【0021】
同図に示すように、自動倉庫100は、外部から搬入された荷物200を自動的に保管し、また、保管した荷物200を自動的に取り出して搬出することのできる設備であり、保管棚101と、搬送装置102とを備えている。
【0022】
保管棚101は、荷物200を保管する保管部111を上下方向、および、左右方向にマトリクス状に並べて有する設備である。
【0023】
図2は、保管棚の保管部を示す斜視図である。
【0024】
同図に示すように保管部111は、荷物200を保管する保管棚101の部分である。ここで、保管部111とは、保管棚101において一つの荷物200を保持する部分(領域)を示す抽象的な概念である。
【0025】
本実施の形態の場合、荷物200は、保管棚101に沿った左右方向の両方に向かってそれぞれ突出するフランジ部201を備えている。一方、保管棚101は、保管棚101の背部に背面部112が設けられており、背面部112から前方(図中X軸正の向き)に突出状態で背面部112に取り付けられる保持部材113(キャンチ)を一つの荷物200に対して2本備えている。以上のように、二つの保持部材113、および、フランジ部201と保持部材113とが係合した状態で二つの保持部材113の間にぶら下がる荷物200を含む領域が保管部111となる。
【0026】
なお、保管棚101が水平方向に拡がる棚板を備え、荷物200を棚板の上に載置した状態で保管する場合などは、保管部111の位置が水平方向においては定まらない場合もある。
【0027】
図3は、搬送装置の中間部を示す斜視図である。
【0028】
図4は、搬送装置の昇降台部分を示す斜視図である。
【0029】
これらの図に示すように、搬送装置102は、荷物200を保管棚101に沿った上下方向である昇降方向(図中Z軸方向)、および、水平面内の保管棚101に沿った一軸である走行方向(図中Y軸方向)に搬送する装置であって、水平案内部材121と、台車123と、マスト128と、昇降台125と、第一移載装置131と、第二移載装置132とを備えている。さらに搬送装置102は、第一制御盤161と、第二制御盤162と、昇降レール133と、吊り下げ部材134とを備えている。
【0030】
水平案内部材121は、台車123が走行する軌道を形成し、台車123およびマスト128、昇降台125などの荷重を支える部材である。水平案内部材121は、保管棚101の内方の水平面上に配置される部材であり、水平案内部材121の上方、および、下方には、保管部111が存在している。また、水平案内部材121は、保管棚101に沿った左右方向(図中Y軸方向)に延在している。つまり、保管棚101は、保管部111の上下方向に連続する複数段(本実施の形態では2段)に該当する領域を水平案内部材121を配置する領域とし、水平案内部材121は、保管棚101の前記領域に埋め込まれた状態となっている。
【0031】
図5は、水平案内部材の近傍を一部断面で示す側面図である。
【0032】
同図に示すように本実施の形態の場合、水平案内部材121は、水平面上において保管棚101に沿った左右方向(図中Y軸方向)に台車123を案内する部材であり、本実施の形態の場合は、梁部材126と、第一レール141と、第二レール142とを備えている。
【0033】
梁部材126は、水平案内部材121の構造的強度を主として担う棒状の部材である。梁部材126の材種や形状は特に限定されるものではないが、本実施の形態の場合は、角パイプが使用されている。梁部材126は、間隔をおいて立設する複数の支柱122の間に張り渡されるように支持され、保管棚101に沿った左右方向(図中Y軸方向)に沿って保管棚101の内方に配置されている。
【0034】
第一レール141は、梁部材126の延在方向軸を含む梁部材126の第一面部(本実施の形態の場合上面部)に取り付けられるレールである。本実施の形態の場合、第一レール141は、台車123やマスト128の荷重を支えつつ、台車123の走行を滑らかにガイドするレールとなっている。第一レール141としては、例えばリニアガイドを構成するリニアレールを挙示することができる。
【0035】
第二レール142は、梁部材126の延在方向軸を含み、第一面部と交差する梁部材126の第二面部(本実施の形態の場合、搬送装置側面部)に取り付けられるレールである。本実施の形態の場合、第二レール142は、マスト128の走行方向軸を回転中心とする揺れを抑制するためのレールとなっている。第二レール142としては、例えばシャフト付きのベアリングであるカムフォロアが当接状態で転がすことができる板状のレールを挙示することができる。
【0036】
このように、梁部材126の延在方向軸を含む互いに交差する面部にそれぞれレールを設けることで、それぞれに異なる機能を発揮させることができる。
【0037】
本実施の形態の場合、梁部材126にはさらに、台車123が走行する駆動力を発生させるための駆動レール143が設けられている。駆動レール143は例えば、ラックであり、台車123が備えるピニオンと係合することで駆動力を発生させることができる。なお、通常のラックとピニオンでは動作音が大きく、また、バックラッシュが存在する。従って、ピニオンを回転軸が平行となるように円周上に等間隔に配置されたローラーピンを備えたピニオンとし、ラックはトロコロイド歯などを備えたラックとすることで音の発生を抑制し、バックラッシュの発生を抑制することが可能となる。また、駆動レール143は、リニアモータのように電磁コイルを備えているものでもよい。
【0038】
支柱122は、取付基礎301(
図6参照)に立設され、梁部材126を支持する部材であり、保管棚101に沿った左右方向の側方に保管部111が存在する状態で保管棚101に沿った上下方向に延在しする部材である。保管棚101は、水平案内部材121と同様に、保管棚101の保管部111に該当する領域を保管部111とせず、支柱122を配置する領域としており、支柱122は、前記領域に配置され保管棚101に埋め込まれた状態となっている。
【0039】
本実施の形態の場合、支柱122は、一つの水平案内部材121に対して2本設けられているが、複数本であってもかまわない。
【0040】
また、支柱122と保管棚101、および、水平案内部材121と保管棚101とは、取付基礎301を介する接続以外は機械的な接続はなされていない。つまり、搬送装置102と保管棚101とは取付基礎301に独立して設置されている。これにより搬送装置102の振動が保管棚101に伝わりにくくなり、保管棚101に保管中の荷物200のずれなどの発生を抑制することが可能となる。
【0041】
台車123は、水平案内部材121に沿って走行し、取り付けられたマスト128を水平案内部材121に沿って移動させる装置である。本実施の形態の場合、台車123は、走行方向(図中Y軸方向)における両端部に、水平案内部材121に対しスライド可能に係合するガイド部材127をそれぞれ備えている。また、台車123は、二つのガイド部材127の中央位置にマスト128が取り付けられている。これにより、マスト128が走行方向に向かう倒れを抑制することが可能となっている。
【0042】
さらに、ガイド部材127は、第一レール141にスライド可能に係合する第一ガイド151、および、第二レール142にスライド可能に係合する第二ガイド152を備えている。本実施の形態の場合、第一ガイド151は、リニアレールにスライド可能に係合するリニアガイドである。第二ガイド152は、平板状の第二レール142を上下方向で挟持するように配置された二つのカムフォロアで構成されている。
【0043】
また、台車123は、上下方向に配置される保管部111の間を移動し、台車123を水平案内部材121に沿って走行させる水平駆動装置120を備える。水平駆動装置120は、梁部材126に取り付けられた駆動レール143と係り合うことで走行方向の力を発生させる駆動体153を備えている。本実施の形態の場合、駆動体153は、駆動レール143であるラックに回転しながら係合して走行方向に移動するピニオンである。
【0044】
なお、駆動レール143がリニアモーターを構成する電磁石のアレイである場合、駆動体153は、磁性体の部材となる。
【0045】
また、水平駆動装置120は、台車123の走行方向に沿って配置される回転軸体(図示せず)を有するモータ130を備えている。このようにモータ130を配置することで、小型の保管棚101であっても水平駆動装置120の全体を保管棚101の内方に収容した状態で台車123を走行させることが可能となる。
【0046】
マスト128は、上下方向に昇降する昇降台125を案内するための長尺状の構造部材であり、保管棚101に沿って上下方向に延在している。また、本実施の形態の場合、マスト128は、マスト128の上下方向の中間位置において台車123に固定されている。また、マスト128は、昇降台125が通過する領域において、中央位置よりも保管棚101の近くに配置されている。
【0047】
本実施の形態の場合、マスト128は、中空角形で上下方向に延在する形状が採用されるが、マスト128の形状は特に限定されるものではなく、複数の構造体の集合物でもかまわない。マスト128は、保管棚101の近傍に配置されており、マスト128の中空部分には昇降台125に接続され昇降する駆動力を伝達する吊り下げ部材134の一部が挿通され、これらを案内するプーリー(図示せず)などが端部などに取り付けられている。
【0048】
また、マスト128の下端部であって、保管棚101の最下段の保管部111よりも下、かつ、保管棚101の側方の位置には、昇降台125をマスト128に沿って昇降させる垂直駆動装置129(
図1、
図6参照)が取り付けられている。垂直駆動装置129は、吊り下げ部材134と接続され駆動力を昇降台125に伝えるものとなっている。
【0049】
吊り下げ部材134は、昇降台125をマスト128の上端部から吊り下げるための可撓性のある部材であり、例えば、ベルト、チェーン、ワイヤなどを例示することができる。本実施の形態の場合、吊り下げ部材134は、ベルト状の部材であり、マスト128の下端部に設けられた垂直駆動装置129と昇降台125とを、マスト128上端に設けられたプーリーを経由して接続している。そして垂直駆動装置129が吊り下げ部材134を巻き取ると昇降台125を上昇させ、巻き戻すと昇降台125を下降させることができるものとなっている。
【0050】
昇降レール133は、マスト128のほぼ全長にわたって取り付けられる長尺の部材であり、昇降台125とスライド可能に係合して昇降台125のマスト128に沿った昇降を案内する部材である。本実施の形態の場合、昇降レール133は、マスト128に対し台車123の反対側に1本のみ取り付けられている。昇降レール133を1本に限定することで、マスト128を小型化し、搬送装置102全体を小型化することが可能となる。本実施の形態の場合、マスト128の幅(Y軸方向の長さ)は、保管棚101の保管部111の幅以下になっている。従って、第一移載装置131、および、第二移載装置132を一の保管部111の両側にそれぞれ存在する保管部111に対応するように配置することができ、幅方向において非常に近い二つの保管部111に対して荷物200を同時に移載することが可能となる。また、昇降レール133としては、例えばリニアガイドを構成するリニアレールを挙示することができる。
【0051】
昇降台125は、マスト128に案内されて昇降方向に昇降する部材であり、走行方向においてマスト128に対し両側へ延びて両側のそれぞれに移載装置(第一移載装置131、および、第二移載装置132)が取り付けられる部材である。本実施の形態の場合マスト128が保管棚101の近傍に配置されているため、昇降台125は、荷物200の移載方向(図中X軸方向)においては、マスト128片側(本実施の形態の場合、保管棚101の反対側)に比較的長く張り出すような構成となっている。
【0052】
また、昇降台125は、接続部135と、昇降ガイド136とを備えている。
【0053】
昇降ガイド136は、昇降台125に複数個取り付けられ、昇降レール133にスライド可能に係合する部材である。昇降ガイド136は、走行方向において昇降台125がバランスする位置、例えば走行方向において昇降台125の中央部に取り付けられている。これにより昇降台125をスムーズに昇降させることが可能となる。本実施の形態の場合、昇降台125(本体)の上方、および、下方にそれぞれ1個ずつ取り付けられている。これにより、上方端に存在する昇降ガイド136と、下方端に存在する昇降ガイド136との距離を長くすることができ、昇降台125の昇降を安定させることができる。また、昇降ガイド136を昇降台125(本体)の上下に分散させることにより、マスト128の上端部や下端部のデッドスペースを少なくすることが可能となる。なお本実施の形態の場合、昇降ガイド136は、リニアレールである昇降レール133にスライド可能に係合するリニアガイドである。
【0054】
接続部135は、走行方向において昇降台125の中央部に吊り下げ部材134を接続する部分である。接続部135による吊り下げ部材134の接続方法は特に限定されるものではないが、例えば、吊り下げ部材134を挟み込んで接続するものや、吊り下げ部材134が備える孔にシャフトを挿通する場合などを例示することができる。
【0055】
本実施の形態のように、搬送方向において、昇降ガイド136と接続部135が同じ昇降台125の中央位置に存在しているため昇降台125を安定した状態で昇降させることが可能となる。また、リニアガイドを構成する昇降レール133は、マスト128に取り付けられており、吊り下げ部材134は、昇降レール133(昇降ガイド136)よりも吊り下げ部材134が吊り下げる物体(昇降台125、移載装置などを含む)の重心側に配置されている。これによれば、昇降レール133や昇降台125、マスト128にかかるモーメントを小さくすることができる。
【0056】
なお、接続部135は、水平面において昇降台125と第一移載装置131と第二移載装置132とによる重心位置に存在する、または、昇降ガイド136よりも重心位置に近い側に存在するものとなっている。
【0057】
これにより移載方向においても昇降台125と移載装置とをバランスよく吊り下げることが可能となる。
【0058】
第一移載装置131、および、第二移載装置132は、走行方向においてマスト128から延出する昇降台125にそれぞれ取り付けられ、保管棚101に向かって相互に独立してアーム107を出退させることで保管棚101と昇降台125との間で荷物200を移載する装置である。
【0059】
本実施の形態の場合、移載装置は、アーム107の前端部、および、後端部に爪部171を備え、爪部171を荷物200側に突出させてアーム107を移動させることで、荷物200を押し、または、引いて荷物200を移載するものとなっている。
【0060】
これにより、一度に二つの荷物200を搬送することができ、さらに、マスト128の可動領域よりも広い範囲で荷物200の移載をすることが可能となる。つまり、走行方向において保管棚101の一端部から他端部まで保管される荷物200を移載することができ、自動倉庫100におけるデッドスペースを抑制することが可能となる。
【0061】
また、マスト128に対するバランスがよくなり、マスト128を移動させた際の移動方向に対するマスト128の揺れを軽減させることが可能となる。
【0062】
なお、走行方向において1本のマスト128の両側にそれぞれ第一移載装置131と第二移載装置132とを配置した構成であるため、台車123は、走行方向において長いものが好ましい。これによれば、できる限り離れた位置、かつ、マスト128に対して対称な状態で水平案内部材121とガイド部材127を係合させることができ、マスト128を揺らすことなく安定して走行させることが可能となる。一方、台車123が長すぎるとマスト128の可動領域を狭くすることになる。
【0063】
以上から、台車123の長さは、昇降台125および第一移載装置131、第二移載装置132で構成される構造部材の台車123の走行方向における一端縁から他端縁までの長さと同等、または、それ以下であることが好ましい。
【0064】
また、移載装置の移載方法については特に限定されるものではないが、例えば、アームを用いて荷物200を押したり引いたりすることで、保管棚101と昇降台125との間を滑らせて移載するものや、アームに取り付けられたフォークを用いて荷物200を持ち上げで移動させ、荷物200を降ろすことで載置させて移載するもの等を例示することができる。
【0065】
本実施の形態の場合、搬送装置102は、第一制御盤161、および、第二制御盤162を走行方向においてマスト128の両側方に存在する昇降台125の部分にそれぞれ備えている。第一制御盤161、および、第二制御盤162は、主として第一移載装置131と第二移載装置132とにそれぞれ電力を供給し、また、第一移載装置131と第二移載装置132とをそれぞれ制御するための第一電装部品、および、第二電装部品(図示せず)をそれぞれ収容する箱体である。
【0066】
第一電装部品、および、第二電装部品としては、例えば、移載装置が備えるモータを制御するモータドライバや、移載装置や昇降台125に取り付けられたセンサ群のI/Oユニットなどである。
【0067】
以上のように、昇降台125に対しバランスよく制御盤を配置しバランスよく電装部品を配置することで、全体としてバランスよく昇降させることが可能となる。
【0068】
図6は、自動倉庫の設置部分を一部切り欠いて示す側面図である。
【0069】
同図に示すように、自動倉庫100は、保管棚101と対向して配置される対面保管棚109を備えている。対面保管棚109は、保管棚101と同様に搬送装置102に備えられる移載装置により荷物200が移載される棚であり、水平案内部材121や支柱122が配置されないため、保管棚101よりも多くの荷物200が保管できるものとなっている。
【0070】
搬送装置102は、台車123の走行に伴って対面保管棚109の下方において形態が変化しつつ搬送装置102に電力を供給する電源ケーブル191を備えている。
【0071】
本実施の形態の場合、自動倉庫100は、建屋などの基礎部300から所定の高さだけ離れた位置に設けられた取付基礎301に設置されている。一方、自動倉庫100のマスト128は、取付基礎301の下方にまで延び、昇降台125を昇降させるための垂直駆動装置129は、搬送装置102の下方であって取付基礎301よりも下に配置されている。また、対面保管棚109の下方であって取付基礎301よりも下に配置されている電源ケーブル191は、マスト128の移動に伴って形態が変化するため、当該形態の変化に伴う電源ケーブル191の損傷を抑制するため、ケーブル保護チェーン192に保持された状態となっている。
【0072】
以上の自動倉庫100によれば、保管棚101の保管部111の複数段(本実施の形態では2段)に該当する領域を水平案内部材121を配置する領域にすることにより、マスト128を保管棚101側に寄せることが可能となる。従って、保管棚101と対面保管棚109との間であってもマスト128を越えて人が通ることが可能となる。従って、自動倉庫100を容易にメンテナンスすることが可能となる。
【0073】
また、水平案内部材121に沿って走行する台車123は、マスト128の中央、又はその近傍でマスト128を保持しているため、マスト128の構造的強度は保持部分から端部までの長さの強度程度を確保すればよい。すなわち、マスト128の端部を保持するよりも構造的強度を弱く設定することができる。従って、マスト128を比較的細く、又は、薄くすることができ、マスト128が保管棚101と対面保管棚109との間の空間に占める割合を低くすることができる。この点においても、メンテナンス時に人がマスト128を越えて容易に通行することが可能となる。
【0074】
なお、本願発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本願発明の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本願発明の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本願発明に含まれる。
【0075】
例えば、台車123は、マスト128の下端部などに取り付けられるものでもよい。また、水平案内部材121は、保管棚101の内方に配置されていなくても良い。例えば、水平案内部材121は、マスト128の上端部や下端部、または、その両方に存在していてもかまわない。
【0076】
また、
図7に示すように、自動倉庫100は、搬送装置102を上下方向に複数段備えるものでもかまわない。これによれば、複数の搬送装置102により多くの荷物200を同時に搬送することができるため、高い処理能力を実現することが可能となる。この場合、保管棚101や、対面保管棚109は、一つの大きな棚であってもかまわない。