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特開2016-155762炎症性皮膚疾患の予防または治療用製剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-155762(P2016-155762A)
(43)【公開日】2016年9月1日
(54)【発明の名称】炎症性皮膚疾患の予防または治療用製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/662 20060101AFI20160805BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20160805BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20160805BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20160805BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20160805BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20160805BHJP
【FI】
   A61K31/662
   A61P17/00
   A61P17/16
   A61P29/00
   A61P37/06
   A61K9/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-32533(P2015-32533)
(22)【出願日】2015年2月23日
(71)【出願人】
【識別番号】512230513
【氏名又は名称】株式会社ナールスコーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】503417187
【氏名又は名称】株式会社トーア紡コーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】503359821
【氏名又は名称】国立研究開発法人理化学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100125450
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 広明
(72)【発明者】
【氏名】吉田 尚弘
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 龍藏
(72)【発明者】
【氏名】石田 英晃
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA06
4C076AA11
4C076AA72
4C076BB31
4C076CC05
4C076CC07
4C076CC18
4C076DD34A
4C076EE51A
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA34
4C086MA28
4C086MA63
4C086NA14
4C086ZA89
4C086ZB08
4C086ZB11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】有用なアトピー性皮膚炎等の炎症性皮膚疾患の治療剤の提供。
【解決手段】γ−グルタミントランスペプチダーゼ阻害剤として知られている化学式1で表される化合物を含有する炎症性皮膚疾患の予防または治療用製剤。

【効果】前記予防又は治療用製剤は、表皮顆粒層及び角質部分で構成され得る皮膚バリアの修復に貢献し得るとともに、その修復に前後して活性化した皮膚免疫系細胞群の免疫反応を抑制し得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1で表される化合物を含有する炎症性皮膚疾患の予防または治療用製剤。
【化1】
【請求項2】
さらに油脂性皮膚バリア保護剤を含む、
請求項1に記載の炎症性皮膚疾患の予防または治療用製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炎症性皮膚疾患の予防または治療用製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、表皮細胞及びそれが分化して形成される角質によって覆われる。同時に、それらの間隙を表皮細胞顆粒層が産生するアミノ酸や脂質で構成されている成分が埋められることによって、水に対しても油に対しても強い皮膚バリアが形成される。また、皮膚組織は皮膚バリアのみならず免疫細胞も多数有しているため、皮膚バリアを担う細胞及び免疫を担う細胞が外来性異物の侵入を抑制ないし防御(以下、総称的に「防御」という)している。これらの防御システムは、表皮細胞直下の真皮に存在する間質細胞などによって支持され、恒常的に表皮細胞が再生・維持されることによって保たれている。これらの皮膚バリアによる防御システムの破たん、それに引き続く皮膚の免疫を担う細胞の機能異常、又はそれらの複合により、アトピー性皮膚炎などの皮膚炎症性疾患が発生すると考えられている。
【0003】
アトピー性皮膚炎は、反復する掻痒感の強い湿潤性皮膚炎症、及びその一部である血清IgE値が高いなどのアトピック素因を含む、アレルギー性疾患との関連性の高い疾患である。例えば、先進国では、約10%〜20%の乳幼児がアトピー性皮膚炎を発症するといわれている。フィラグリン分子の欠損など、先天的に皮膚バリア機能が低下している者がアトピー性皮膚炎になりやすいこと、及び現代的な空調設備によって乾燥した室内生活で暮らす機会が増えている先進国における発症率が高いことは、先天的な要因に加えて環境要因による皮膚バリア機能の破たんを生じさせている可能性がある。アトピー性皮膚炎を発症した乳幼児は、その後、食物アレルギー、アレルギー性鼻炎、又はぜんそく等の様々なアレルギー性疾患を発症すること(「アトピックマーチ」、又は「アレルギーマーチ」と呼ばれる)が知られている。従って、アトピー性皮膚炎を早期に治療する又は発症を予防することは、患者のQOLの上でも、また社会的な生産性増加の上でも、積極的に求められている。
【0004】
また、アトピー性皮膚炎の症状は、代表的には、次の幾つかの原因によって誘発されやすいことが知られている。それらは、湿度低下による皮膚の乾燥、界面活性剤を含有する石鹸、シャンプー又は化粧品等の利用による皮脂の除去、あるいは、ナイロンタオルでこすり過ぎるなどの物理的破壊によって引き起こされた皮膚バリア破壊である。
【0005】
アトピー性皮膚炎の治療薬の1つの例は、ステロイドやタクロリムスなどの免疫抑制作用を持つ薬剤の外用である。前述の薬剤は、皮膚炎が発生している際に、その炎症が生じた皮膚に存在する免疫を担う細胞の免疫反応を抑制するため、炎症が沈静化することによって痒みを抑えることができる。しかし、これらの物質は皮膚バリア機能を改善するものではない。長期に使用し、免疫が抑制されている間に皮膚が再生し、皮膚バリアの再構成が進むが、皮膚バリア機能に遺伝要因を持つ患者では根本的な解決には至らない。このため、ステロイド製剤などの免疫抑制剤は一定期間の使用後に使用量を漸減して使用停止し、それと入れ替わりにワセリンやシアバターなどの保湿製剤を使い続けるなどして皮膚バリア機能の保護に努める必要がある。
【0006】
ところで、γグルタミントランスペプチダーゼ(以下、「GGsTop」(登録商標)という)阻害物質である下記の化学式1で表される化合物が知られている。
【化1】
【0007】
上述の化合物は、ナールスゲン(登録商標)(一般名称:2−アミノ−4−{[3−(カルボキシメチル)フェニル](メチル)ホスホノ}ブタン酸,化粧品原料の国際命名法(「INCI」,International Nomenclature of Cosmetic Ingredients)による名称:Methyl Carboxymethylphenyl Aminocarboxypropylphosphonate,その他の表記:カルボキシメチルフェニルアミノカルボキシプロピルホスホン酸メチル)という物質であり、特許文献3においては、その総称的な化学物質が紹介されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−226644号公報
【特許文献2】特開2009−126813号公報
【特許文献3】特開2010−270115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
免疫抑制作用によって炎症性皮膚疾患の炎症症状を改善させる場合、ステロイド外用剤の顔面などへの長期連用は、皮膚の菲薄化による酒さ様皮膚炎などの副作用を生む可能性がある。また、ステロイド外用剤は皮膚バリア機能を改善するものではない。長期に使用し、免疫が抑制されている間に皮膚が再生し、皮膚バリアの再構成が進むが、皮膚バリア機能が正常に戻らない限り、炎症の症状は根本的に改善されない。
【0010】
このため、ステロイド製剤などの免疫抑制剤は一定期間の使用後に使用量を漸減して使用停止し、それと入れ替わりにワセリンやシアバターなどの保湿製剤を使い続けるなどして皮膚バリア機能の保護に努める必要がある。従って、炎症が抑制された後は、できるだけ速やかにステロイド外用剤の使用を漸減することによって皮膚バリア保護剤の外用に切り替える必要がある。しかしながら、適切なステロイドの使用と離脱、皮膚バリア保護又は皮膚バリア回復のための外用剤への切り替えの判定は継続が難しい。
【0011】
炎症性皮膚疾患に用いる皮膚外用剤として、例えば軟膏剤またはクリーム剤が挙げられる。油脂性基材を用いる軟膏剤は皮膚への刺激が少なく、皮膚バリアの保護としての効果は高いものの、有効成分(薬効成分)の透過性が下がる。一方、クリーム剤は油脂と水を乳化剤で乳化した乳剤性基材を用いており、有効成分が皮膚へ浸透しやすい特徴を有する。しかし、クリーム剤は皮膚刺激が強く、皮膚バリアを損なうという問題点がある。
【0012】
以上の状況により、本発明者らは基材に依らず皮膚バリアの保護または回復を促進することで炎症性皮膚疾患の予防(皮膚炎の炎症症状の低減を含む)または治療のための薬用成分となる物質が必要であるという課題を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、鋭意分析と検討を重ねた結果、下記の化学式1で表される化合物の投与によって皮膚組織の免疫反応を抑制し、皮膚バリア機能の再生と強化に貢献し得ることを見出し、本発明を想到するに至った。
【0014】
すなわち、上記の課題を解決するために、本発明は以下のとおりである。
[1] 炎症性皮膚疾患の予防または治療に用いる製剤であって、下記一般式(1)
【化2】
(式中、RおよびRの少なくとも一方が脱離基を表し、RおよびRの少なくともいずれか一方が一般式(2)〜一般式(6)
【化3】
(式中、Rが置換基を有していてもよいアリール基、および置換基を有していてもよい複素環残基のいずれかであり、R,R,R,R,RおよびRのそれぞれが、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、および電子吸引基からなる群より選択される少なくとも1つの置換基であり、R〜Rの置換基のうち隣接する2つの置換基が互いに結合して環を形成してもよい。)のいずれかを表す。)で表される化合物又はその塩を有効成分として含有する、剤。
【0015】
[2] 炎症性皮膚疾患の予防または治療に用いる製剤であって、下記一般式(1)
【化4】
(式中、RおよびRがそれぞれ独立して、一般式(2)または一般式(3)
【化5】
(式中、Rが置換基を有していてもよいアリール基、および置換基を有していてもよい複素環残基のいずれかであり、R、RおよびRのそれぞれが、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、および電子吸引基からなる群より選択される少なくとも1つの置換基であり、R、RおよびRの置換基のうち隣接する2つの置換基が互いに結合して環を形成してもよい。)を表し、
前記電子吸引基が、ハロゲン原子、−COOR’、−CONR’、−COR’、−OCOR’、−CF、−CN、−SR’、−S(O)R’、−SOR’、−SONR’、−PO(OR’)、および−NOからなる群より選択される少なくとも1つの基であり、R’が水素原子、および二重結合を有してもよいアルキル基のいずれかを表す。)
で表される化合物又はその塩を有効成分として含有する、剤。
【0016】
[3] 一般式(1)
【化6】
がOR10であり、RがOR11であり、R10が、置換基を有していてもよいアルキル基、および置換基を有していてもよいアリール基のいずれかであり、R11が、置換基を有していてもよいアリール基である、上記[2]記載の剤。
[4]前記置換基を有していてもよいアルキル基の置換基が、置換基を有していてもよいフェニル基、窒素を有する複素環残基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アミノ基、グアニジノ基、アルコキシ基、アミド基、カルボキシ基、およびカルボキシ基の等価体からなる群より選択される少なくとも1つの基であり、
前記カルボキシ基およびカルボキシ基の等価体が、−COOR、−CONR、−COR、−CN、−NO、−NHCOR、−OR、−SR、−OCOR、−SOR、および−SONRからなる群より選択される少なくとも1つの基であり、Rが水素原子およびアルキル基のいずれかである、上記[3]記載の剤。
【0017】
[5] 前記R10の置換基を有していてもよいアルキル基が、一般式(7)
【化7】
(式中、R12が、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、および水素原子のいずれかを表し、R13が、水素原子、および一般式(8)
【化8】
(式中、nが0−4の整数を、nが0および1のいずれかを、nが0−4の整数を、Xがアミド基およびアルケニル基のいずれかを、Xがカルボキシ基、およびカルボキシ基の等価体のいずれかを、R14が水素原子、メチル基およびエチル基のいずれかを表す。)のいずれかを表す。)であり、前記カルボキシ基およびカルボキシ基の等価体が、−COOR、−CONR、−COR、−CN、−NO、−NHCOR、−OR、−SR、−OCOR、−SOR、および−SONRからなる群より選択される少なくとも1つの基であり、Rが水素原子およびアルキル基のいずれかである、上記[3]記載の剤。
【0018】
[6] 前記R12の置換基を有していてもよいアルキル基の置換基が、置換基を有していてもよいフェニル基、窒素を有する複素環残基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルバモイル基、アミノ基、グアニジノ基、アルコキシ基、およびアミド基からなる群より選択される少なくとも1つの基である、上記[5]記載の剤。
【0019】
[7] 前記置換基を有していてもよいアリール基の置換基が、カルボキシ基、およびカルボキシ基の等価体のいずれかにより置換されていてもよいアルキル基、電子吸引基、カルボキシ基、およびカルボキシ基の等価体からなる群より選択される少なくとも1つの基であり、前記電子吸引基が、ハロゲン原子、−COOR’、−CONR’、−COR’、−OCOR’、−CF、−CN、−SR’、−S(O)R’、−SOR’、−SONR’、−PO(OR’)、および−NOからなる群より選択される少なくとも1つの基であり、R’が水素原子、および二重結合を有してもよいアルキル基のいずれかを表し、前記カルボキシ基およびカルボキシ基の等価体が、−COOR”、−CONR”、−COR”、−CN、−NO、−NHCOR”、−OR”、−SR”、−OCOR”、−SOR”、および−SONR”からなる群より選択される少なくとも1つの基であり、R”が水素原子、および二重結合を有してもよいアルキル基のいずれかである、上記[3]記載の剤。
【0020】
[8] 前記置換基を有してもよいアリール基が、置換基を有してもよいフェニル基である、上記[3]記載の剤。
[9] 前記置換基を有してもよいフェニル基が、一般式(9)
【化9】
(式中、Yが、−R’、−OR’、および電子吸引基からなる群より選択される1つの基を表し、Yが、カルボキシ基、およびカルボキシ基の等価体のいずれかで置換されていてもよく、かつ二重結合を有していてもよいアルキル基、水素原子、カルボキシ基、およびカルボキシ基の等価体からなる群より選択される1つの基を表し、隣接する2つの置換基YとYとが互いに結合して環を形成してもよく、R’が、水素原子、および二重結合を有してもよいアルキル基のいずれかを表す。)であり、
前記電子吸引基が、ハロゲン原子、−COOR’、−CONR’、−COR’、−OCOR’、−CF、−CN、−SR’、−S(O)R’、−SOR’、−SONR’、−PO(OR’)、および−NOからなる群より選択される少なくとも1つの基であり、R’が水素原子、および二重結合を有してもよいアルキル基のいずれかを表し、
前記カルボキシ基およびカルボキシ基の等価体が、−COOR”、−CONR”、−COR”、−CN、−NO、−NHCOR”、−OR”、−SR”、−OCOR”、−SOR”、および−SONR”からなる群より選択される少なくとも1つの基であり、R”が水素原子、および二重結合を有してもよいアルキル基のいずれかである、上記[8]記載の剤。
【0021】
[10] 一般式(10)
【化10】
(式中、R12が置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、および水素原子のいずれかを表し、R14が水素原子、メチル基およびエチル基のいずれかを表し、Xがカルボキシ基、およびカルボキシ基の等価体のいずれかを表し、Yが−R’、−OR’、および電子吸引基からなる群より選択される1つの基を表し、R’が、水素原子、および二重結合を有してもよいアルキル基のいずれかを表し、およびnが0−4の整数を表し、
前記カルボキシ基およびカルボキシ基の等価体が、−COOR、−CONR、−COR、−CN、−NO、−NHCOR、−OR、−SR、−OCOR、−SOR、および−SONRからなる群より選択される少なくとも1つの基であり、Rが水素原子およびアルキル基のいずれかであり、
前記電子吸引基が、ハロゲン原子、−COOR’、−CONR’、−COR’、−OCOR’、−CF、−CN、−SR’、−S(O)R’、−SOR’、−SONR’、−PO(OR’)、および−NOからなる群より選択される少なくとも1つの基であり、R’が水素原子、および二重結合を有してもよいアルキル基のいずれかを表す。)で示される、化合物又はその塩を有効成分として含有する、炎症性皮膚疾患の予防または治療に用いる製剤。
【0022】
[11] 一般式(11)
【化11】
(式中、R12が置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、および水素原子のいずれかを表し、R14が水素原子、メチル基およびエチル基のいずれかを表し、Xがカルボキシ基、およびカルボキシ基の等価体のいずれかを表し、Yが−R’、−OR’、および電子吸引基からなる群より選択される1つの基を表し、R’が、水素原子、および二重結合を有してもよいアルキル基のいずれかを表し、nが0−4の整数を表し、およびnが0−4の整数を表し、
前記カルボキシ基およびカルボキシ基の等価体が、−COOR、−CONR、−COR、−CN、−NO、−NHCOR、−OR、−SR、−OCOR、−SOR、および−SONRからなる群より選択される少なくとも1つの基であり、Rが水素原子およびアルキル基のいずれかであり、
前記電子吸引基が、ハロゲン原子、−COOR’、−CONR’、−COR’、−OCOR’、−CF、−CN、−SR’、−S(O)R’、−SOR’、−SONR’、−PO(OR’)、および−NOからなる群より選択される少なくとも1つの基であり、R’が水素原子、および二重結合を有してもよいアルキル基のいずれかを表す。)で示される、化合物又はその塩を有効成分として含有する、炎症性皮膚疾患の予防または治療に用いる製剤。
【0023】
[12]
一般式(12)
【化12】
(式中、R15が、メチル基およびエチル基を表し、Wが、一般式(13)−一般式(16)
【化13】
のいずれかを表し、R16が、水素原子、メチル基およびエチル基のいずれかを表し、Yが、−R’、−OR’、および電子吸引基からなる群より選択される1つの基を表し、Yが、カルボキシ基、およびカルボキシ基の等価体のいずれかで置換されていてもよく、かつ二重結合を有していてもよいアルキル基、水素原子、カルボキシ基、およびカルボキシ基の等価体からなる群より選択される1つの基を表し、隣接する2つの置換基YとYとが互いに結合して環を形成してもよく、R’が、水素原子、および二重結合を有してもよいアルキル基のいずれかを表し、
前記電子吸引基が、ハロゲン原子、−COOR’、−CONR’、−COR’、−OCOR’、−CF、−CN、−SR’、−S(O)R’、−SOR’、−SONR’、−PO(OR’)、および−NOからなる群より選択される少なくとも1つの基であり、R’が水素原子、および二重結合を有してもよいアルキル基のいずれかを表し、
前記カルボキシ基およびカルボキシ基の等価体が、−COOR”、−CONR”、−COR”、−CN、−NO、−NHCOR”、−OR”、−SR”、−OCOR”、−SOR”、および−SONR”からなる群より選択される少なくとも1つの基であり、R”が水素原子、および二重結合を有してもよいアルキル基のいずれかを表す。)で示される化合物又はその塩を有効成分として含有する、炎症性皮膚疾患の予防または治療に用いる製剤。
【0024】
[13] 一般式(17)
【化14】
(式中、R12が置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、および水素原子のいずれかを表し、Yが、−R’、−OR’、および電子吸引基からなる群より選択される1つの基を表し、R’が、水素原子、および二重結合を有してもよいアルキル基のいずれかを表し、
前記電子吸引基が、ハロゲン原子、−COOR’、−CONR’、−COR’、−OCOR’、−CF、−CN、−SR’、−S(O)R’、−SOR’、−SONR’、−PO(OR’)、および−NOからなる群より選択される少なくとも1つの基であり、R’が水素原子、および二重結合を有してもよいアルキル基のいずれかを表す。)で示される化合物又はその塩を有効成分として含有する、炎症性皮膚疾患の予防または治療に用いる製剤。
【0025】
[14] 一般式(18)
【化15】
(式中、Yが、−R’、−OR’、および電子吸引基からなる群より選択される1つの基を表し、Yが、カルボキシ基、およびカルボキシ基の等価体のいずれかで置換されていてもよく、かつ二重結合を有していてもよいアルキル基、水素原子、カルボキシ基、およびカルボキシ基の等価体からなる群より選択される1つの基を表し、隣接する2つの置換基YとYとが互いに結合して環を形成してもよく、R’が、水素原子、および二重結合を有してもよいアルキル基のいずれかを表し、
前記電子吸引基が、ハロゲン原子、−COOR’、−CONR’、−COR’、−OCOR’、−CF、−CN、−SR’、−S(O)R’、−SOR’、−SONR’、−PO(OR’)、および−NOからなる群より選択される少なくとも1つの基であり、R’が水素原子、および二重結合を有してもよいアルキル基のいずれかを表し、
前記カルボキシ基およびカルボキシ基の等価体が、−COOR”、−CONR”、−COR”、−CN、−NO、−NHCOR”、−OR”、−SR”、−OCOR”、−SOR”、および−SONR”からなる群より選択される少なくとも1つの基であり、R”が水素原子、および二重結合を有してもよいアルキル基のいずれかを表す。)で示される化合物又はその塩を有効成分として含有する、炎症性皮膚疾患の予防または治療に用いる製剤。
【0026】
[15]下記の化学式1で表される化合物又はその塩を有効成分として含有する、炎症性皮膚疾患の予防または治療に用いる製剤。
【化16】
【0027】
[16]上記の化学式1で表される化合物の光学異性体のうち、1から4のいずれかの光学異性体のみを有効成分として含有する、炎症性皮膚疾患の予防または治療に用いる製剤。
【0028】
[17]CD45陽性細胞の活性化が抑制される、上記[1]乃至[16]記載の剤。
【0029】
[18]乳剤性基材を用いた製剤である、上記[1]乃至[16]記載の剤。
【0030】
[19]皮膚組織の所属リンパ節のリンパ球数の減少が阻止される、上記[18]記載の剤。
【0031】
[20]所属リンパ節のリンパ球が、CD3陽性CD4陰性T細胞、CD3陽性CD4陽性T細胞、ナイーブCD4陽性T細胞、活性化CD4陽性T細胞、Th1細胞、Th2細胞、Tfh細胞及び制御性T細胞からなる群の少なくとも1つのリンパ球である、上記[19]記載の剤。
【0032】
[21]上記[1]乃至[16]記載の化合物又はその塩を含んでなる、乳剤性基材。
【0033】
[22]皮膚組織の所属リンパ節のリンパ球数の減少が阻止される、上記[21]記載の基材。
【0034】
[23]所属リンパ節のリンパ球が、CD3陽性CD4陰性T細胞、CD3陽性CD4陽性T細胞、ナイーブCD4陽性T細胞、活性化CD4陽性T細胞、Th1細胞、Th2細胞、Tfh細胞及び制御性T細胞からなる群の少なくとも1つのリンパ球である、上記[22]記載の基材。
【発明の効果】
【0035】
本発明は、炎症性皮膚疾患(皮膚炎を含む)の予防または治療に利用することができる。特に、(1)皮膚バリアの保護又は回復に有用な油脂性基材と同等に皮膚バリアの保護又は回復を促進することができる、(2)これまで皮膚刺激の原因となっていた乳剤性基材を用いるクリーム剤においても皮膚バリアを損なうことなく炎症症状を改善することができる、という炎症性皮膚疾患の症状の改善に極めて有効な特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】第1の実施形態におけるアトピー性皮膚炎モデルマウス皮膚へのナールスゲン含有クリームを塗布した場合の皮膚炎発症へ及ぼす影響と、比較例としての、無処置群、ワセリン、又はクリームを塗布した場合の皮膚炎発症へ及ぼす影響とを観察するための工程図である。
図2】第1の実施形態における、アトピー性皮膚炎自然発症モデル(Spadeマウス)におけるアトピー性皮膚炎モデルマウスの皮膚炎発症率を示すグラフである。
図3】第1の実施形態におけるアトピー性皮膚炎モデルマウス皮膚へのナールスゲン含有クリームを塗布した場合の皮膚炎発症の頻度と、比較例としての無処置群、ワセリン、又はクリームを塗布した場合の皮膚炎発症の頻度とが示されている。
図4】第1の実施形態における表皮内常在白血球の活性化と、比較例における表皮内常在白血球の活性化との違いを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本実施形態の1つの実施形態である化合物を、添付する図面に基づいて詳細に述べる。
【0038】
<第1の実施形態>
本実施形態において使用する化合物は、下記一般式(1)
【化17】
(式中、RおよびRの少なくとも一方が脱離基を表し、RおよびRの少なくともいずれか一方が一般式(2)〜一般式(6)
【化18】
(式中、Rが置換基を有していてもよいアリール基、および置換基を有していてもよい複素環残基のいずれかであり、R,R,R,R,RおよびRのそれぞれが、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、および電子吸引基からなる群より選択される少なくとも1つの置換基であり、R〜Rの置換基のうち隣接する2つの置換基が互いに結合して環を形成してもよい。)のいずれかを表す。)で表される化合物である。
好ましくは、下記一般式(1)
【化19】
(式中、RおよびRがそれぞれ独立して、一般式(2)または一般式(3)
【化20】
(式中、Rが置換基を有していてもよいアリール基、および置換基を有していてもよい複素環残基のいずれかであり、R、RおよびRのそれぞれが、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、および電子吸引基からなる群より選択される少なくとも1つの置換基であり、R、RおよびRの置換基のうち隣接する2つの置換基が互いに結合して環を形成してもよい。)を表し、
前記電子吸引基が、ハロゲン原子、−COOR’、−CONR’、−COR’、−OCOR’、−CF、−CN、−SR’、−S(O)R’、−SOR’、−SONR’、−PO(OR’)、および−NOからなる群より選択される少なくとも1つの基であり、R’が水素原子、および二重結合を有してもよいアルキル基のいずれかを表す。)
で表される化合物、
下記一般式(1)
【化21】
がOR10であり、RがOR11であり、R10が、置換基を有していてもよいアルキル基、および置換基を有していてもよいアリール基のいずれかであり、R11が、置換基を有していてもよいアリール基である化合物、
下記一般式(10)
【化22】
(式中、R12が置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、および水素原子のいずれかを表し、R14が水素原子、メチル基およびエチル基のいずれかを表し、Xがカルボキシ基、およびカルボキシ基の等価体のいずれかを表し、Yが−R’、−OR’、および電子吸引基からなる群より選択される1つの基を表し、R’が、水素原子、および二重結合を有してもよいアルキル基のいずれかを表し、およびnが0−4の整数を表し、
前記カルボキシ基およびカルボキシ基の等価体が、−COOR、−CONR、−COR、−CN、−NO、−NHCOR、−OR、−SR、−OCOR、−SOR、および−SONRからなる群より選択される少なくとも1つの基であり、Rが水素原子およびアルキル基のいずれかであり、
前記電子吸引基が、ハロゲン原子、−COOR’、−CONR’、−COR’、−OCOR’、−CF、−CN、−SR’、−S(O)R’、−SOR’、−SONR’、−PO(OR’)、および−NOからなる群より選択される少なくとも1つの基であり、R’が水素原子、および二重結合を有してもよいアルキル基のいずれかを表す。)で示される、化合物、
下記 一般式(11)
【化23】
(式中、R12が置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、および水素原子のいずれかを表し、R14が水素原子、メチル基およびエチル基のいずれかを表し、Xがカルボキシ基、およびカルボキシ基の等価体のいずれかを表し、Yが−R’、−OR’、および電子吸引基からなる群より選択される1つの基を表し、R’が、水素原子、および二重結合を有してもよいアルキル基のいずれかを表し、nが0−4の整数を表し、およびnが0−4の整数を表し、
前記カルボキシ基およびカルボキシ基の等価体が、−COOR、−CONR、−COR、−CN、−NO、−NHCOR、−OR、−SR、−OCOR、−SOR、および−SONRからなる群より選択される少なくとも1つの基であり、Rが水素原子およびアルキル基のいずれかであり、
前記電子吸引基が、ハロゲン原子、−COOR’、−CONR’、−COR’、−OCOR’、−CF、−CN、−SR’、−S(O)R’、−SOR’、−SONR’、−PO(OR’)、および−NOからなる群より選択される少なくとも1つの基であり、R’が水素原子、および二重結合を有してもよいアルキル基のいずれかを表す。)で示される化合物、
下記 一般式(12)
【化24】
(式中、R15が、メチル基およびエチル基を表し、Wが、一般式(13)−一般式(16)
【化25】
のいずれかを表し、R16が、水素原子、メチル基およびエチル基のいずれかを表し、Yが、−R’、−OR’、および電子吸引基からなる群より選択される1つの基を表し、Yが、カルボキシ基、およびカルボキシ基の等価体のいずれかで置換されていてもよく、かつ二重結合を有していてもよいアルキル基、水素原子、カルボキシ基、およびカルボキシ基の等価体からなる群より選択される1つの基を表し、隣接する2つの置換基YとYとが互いに結合して環を形成してもよく、R’が、水素原子、および二重結合を有してもよいアルキル基のいずれかを表し、
前記電子吸引基が、ハロゲン原子、−COOR’、−CONR’、−COR’、−OCOR’、−CF、−CN、−SR’、−S(O)R’、−SOR’、−SONR’、−PO(OR’)、および−NOからなる群より選択される少なくとも1つの基であり、R’が水素原子、および二重結合を有してもよいアルキル基のいずれかを表し、
前記カルボキシ基およびカルボキシ基の等価体が、−COOR”、−CONR”、−COR”、−CN、−NO、−NHCOR”、−OR”、−SR”、−OCOR”、−SOR”、および−SONR”からなる群より選択される少なくとも1つの基であり、R”が水素原子、および二重結合を有してもよいアルキル基のいずれかを表す。)で示される化合物、
下記 一般式(17)
【化26】
(式中、R12が置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、および水素原子のいずれかを表し、Yが、−R’、−OR’、および電子吸引基からなる群より選択される1つの基を表し、R’が、水素原子、および二重結合を有してもよいアルキル基のいずれかを表し、
前記電子吸引基が、ハロゲン原子、−COOR’、−CONR’、−COR’、−OCOR’、−CF、−CN、−SR’、−S(O)R’、−SOR’、−SONR’、−PO(OR’)、および−NOからなる群より選択される少なくとも1つの基であり、R’が水素原子、および二重結合を有してもよいアルキル基のいずれかを表す。)で示される化合物、又は
下記一般式(18)
【化27】
(式中、Yが、−R’、−OR’、および電子吸引基からなる群より選択される1つの基を表し、Yが、カルボキシ基、およびカルボキシ基の等価体のいずれかで置換されていてもよく、かつ二重結合を有していてもよいアルキル基、水素原子、カルボキシ基、およびカルボキシ基の等価体からなる群より選択される1つの基を表し、隣接する2つの置換基YとYとが互いに結合して環を形成してもよく、R’が、水素原子、および二重結合を有してもよいアルキル基のいずれかを表し、
前記電子吸引基が、ハロゲン原子、−COOR’、−CONR’、−COR’、−OCOR’、−CF、−CN、−SR’、−S(O)R’、−SOR’、−SONR’、−PO(OR’)、および−NOからなる群より選択される少なくとも1つの基であり、R’が水素原子、および二重結合を有してもよいアルキル基のいずれかを表し、
前記カルボキシ基およびカルボキシ基の等価体が、−COOR”、−CONR”、−COR”、−CN、−NO、−NHCOR”、−OR”、−SR”、−OCOR”、−SOR”、および−SONR”からなる群より選択される少なくとも1つの基であり、R”が水素原子、および二重結合を有してもよいアルキル基のいずれかを表す。)で示される化合物である。
【0039】
本実施形態の1つの化合物は、上述の一般式(1)において、上述の置換基を有していてもよいアルキル基の置換基が、置換基を有していてもよいフェニル基、窒素を有する複素環残基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、アミノ基、グアニジノ基、アルコキシ基、アミド基、カルボキシ基、およびカルボキシ基の等価体からなる群より選択される少なくとも1つの基であり、
上述のカルボキシ基およびカルボキシ基の等価体が、−COOR、−CONR、−COR、−CN、−NO、−NHCOR、−OR、−SR、−OCOR、−SOR、および−SONRからなる群より選択される少なくとも1つの基であり、Rが水素原子およびアルキル基のいずれかであってもよい。
【0040】
また、本実施形態の1つの化合物は、前記R10の置換基を有していてもよいアルキル基が、一般式(7)
【化28】
(式中、R12が、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、および水素原子のいずれかを表し、R13が、水素原子、および一般式(8)
【化29】
(式中、nが0−4の整数を、nが0および1のいずれかを、nが0−4の整数を、Xがアミド基およびアルケニル基のいずれかを、Xがカルボキシ基、およびカルボキシ基の等価体のいずれかを、R14が水素原子、メチル基およびエチル基のいずれかを表す。)のいずれかを表す。)であり、前記カルボキシ基およびカルボキシ基の等価体が、−COOR、−CONR、−COR、−CN、−NO、−NHCOR、−OR、−SR、−OCOR、−SOR、および−SONRからなる群より選択される少なくとも1つの基であり、Rが水素原子およびアルキル基のいずれかであってもよい。好ましくは、前記R12の置換基を有していてもよいアルキル基の置換基が、置換基を有していてもよいフェニル基、窒素を有する複素環残基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルバモイル基、アミノ基、グアニジノ基、アルコキシ基、およびアミド基からなる群より選択される少なくとも1つの基である。
【0041】
また、本実施形態の1つの化合物は、上述の一般式(1)において、上述の置換基を有していてもよいアリール基の置換基が、カルボキシ基、およびカルボキシ基の等価体のいずれかにより置換されていてもよいアルキル基、電子吸引基、カルボキシ基、およびカルボキシ基の等価体からなる群より選択される少なくとも1つの基であり、上述の電子吸引基が、ハロゲン原子、−COOR’、−CONR’、−COR’、−OCOR’、−CF、−CN、−SR’、−S(O)R’、−SOR’、−SONR’、−PO(OR’)、および−NOからなる群より選択される少なくとも1つの基であり、R’が水素原子、および二重結合を有してもよいアルキル基のいずれかを表し、上述のカルボキシ基およびカルボキシ基の等価体が、−COOR”、−CONR”、−COR”、−CN、−NO、−NHCOR”、−OR”、−SR”、−OCOR”、−SOR”、および−SONR”からなる群より選択される少なくとも1つの基であり、R”が水素原子、および二重結合を有してもよいアルキル基のいずれかであってもよい。
また、本実施形態の1つの化合物は、上述の一般式(1)において、上述の置換基を有してもよいアリール基が、置換基を有してもよいフェニル基であってもよい。好ましくは、上述の置換基を有してもよいフェニル基が、一般式(9)
【化30】
(式中、Yが、−R’、−OR’、および電子吸引基からなる群より選択される1つの基を表し、Yが、カルボキシ基、およびカルボキシ基の等価体のいずれかで置換されていてもよく、かつ二重結合を有していてもよいアルキル基、水素原子、カルボキシ基、およびカルボキシ基の等価体からなる群より選択される1つの基を表し、隣接する2つの置換基YとYとが互いに結合して環を形成してもよく、R’が、水素原子、および二重結合を有してもよいアルキル基のいずれかを表す。)であり、
上述の電子吸引基が、ハロゲン原子、−COOR’、−CONR’、−COR’、−OCOR’、−CF、−CN、−SR’、−S(O)R’、−SOR’、−SONR’、−PO(OR’)、および−NOからなる群より選択される少なくとも1つの基であり、R’が水素原子、および二重結合を有してもよいアルキル基のいずれかを表し、
上述のカルボキシ基およびカルボキシ基の等価体が、−COOR”、−CONR”、−COR”、−CN、−NO、−NHCOR”、−OR”、−SR”、−OCOR”、−SOR”、および−SONR”からなる群より選択される少なくとも1つの基であり、R”が水素原子、および二重結合を有してもよいアルキル基のいずれかである。
【0042】
本実施形態の1つの化合物において、より好ましくは、下記の化学式1で表される化合物であり、さらに好ましくは、通常、化学式1で表される化合物の4種の光学異性体の混合物として存在するが、そのうちのいずれか1から4の光学異性体のみで精製された化合物である。
【0043】
【化31】
【0044】
上述の化学式1で表される化合物は、ナールスゲン(登録商標)(化粧品原料の国際命名法(「INCI」,International Nomenclature of Cosmetic Ingredients)による名称:Methyl Carboxymethylphenyl Aminocarboxypropylphosphonate,カルボキシメチルフェニルアミノカルボキシプロピルホスホン酸メチル,一般名称:2−アミノ−4−{[3−(カルボキシメチル)フェニル](メチル)ホスホノ}ブタン酸)と呼ばれる物質である。前記化合物は、国際公開公報WO2007/066705号及び特開2010−270115に記載され前述の公報に記載されている方法又はそれに準じた公知の方法を用いて製造することができる。なお、本願においては、説明の便宜上、「ナールスゲン」という表現を用いて本実施形態、各実施例、及び各図を説明する。
【0045】
本実施形態における炎症性皮膚疾患の予防または治療用製剤の好ましい適用対象は、皮膚疾患などの炎症性皮膚疾患である。なお、さらに好ましい適用対象は、皮膚バリア機能障害を伴うアトピー性皮膚炎である。
【0046】
本実施形態における皮膚疾患の予防または治療用製剤は、CD45陽性細胞の活性化が抑制することを目的に利用することができる。本実施形態の別の態様においては、乳剤性基材により引き起こされる皮膚バリア機能障害を軽減することを目的に利用することができる。また、本実施形態の別の態様においては、皮膚組織の所属リンパ節のリンパ球数の減少を阻止する目的に利用することができる。前記所属リンパ節のリンパ球は、CD3陽性CD4陰性T細胞、CD3陽性CD4陽性T細胞、ナイーブCD4陽性T細胞、活性化CD4陽性T細胞、Th1細胞、Th2細胞、Tfh細胞及び制御性T細胞からなる群の少なくとも1つのリンパ球である。本実施形態の1つの剤に利用される化合物は、前記の特徴を有し、1)CD45陽性細胞の活性化の抑制、2)乳剤性基材により引き起こされる皮膚バリア機能障害の軽減、3)皮膚組織の所属リンパ節のリンパ球数の減少の阻止のうち、少なくとも1つの効果を有するものである。
【0047】
本実施形態の別の態様としては、前記化合物を含んだ乳剤性基材である。当該基材は、前記化合物が含まれることにより、皮膚組織の所属リンパ節のリンパ球数の減少が阻止され、皮膚炎症疾患の炎症症状の予防または改善するための基材として利用できる。本実施形態の1つの乳剤性基材に利用される化合物は、前記の特徴を有し、1)CD45陽性細胞の活性化の抑制、2)乳剤性基材により引き起こされる皮膚バリア機能障害の軽減、3)皮膚組織の所属リンパ節のリンパ球数の減少の阻止のうち、少なくとも1つの効果を有するものである。
【0048】
ナールスゲンを炎症性皮膚疾患(例えばアトピー性皮膚疾患)の予防または治療用製剤として使用する場合、塗布剤として投与することができる。例えば、ナールスゲンを塗布剤として投与する場合、液剤、ゲル、軟膏、クリーム剤、パッチ剤、又は噴霧剤を含む、いわゆる製剤を利用することができる。また、製剤の形態は特に限定されることはない。公知の各種の形態を採用することは採用し得る一態様である。但し、本実施形態の炎症性皮膚疾患の予防または治療用製剤の製剤形態は、前述の各剤形及び各形態に限定されない。
【0049】
また、本実施形態の炎症性皮膚疾患(例えばアトピー性皮膚疾患)の予防または治療用製剤には、ナールスゲンに加えて、他のアトピー性皮膚疾患の予防または治療用製剤を含有することができる。そのような場合、当該他のアトピー性皮膚疾患の予防または治療用製剤の使用量が、本実施形態の効果を損なわない質的及び量的範囲であれば、当該他のアトピー性皮膚疾患の予防または治療用製剤を採用することができる。
【0050】
上述の他のアトピー性皮膚疾患の予防または治療用製剤の代表的な例は、デキサメタゾン、タクロリムスなどの免疫抑制剤、ワセリン、及びヒルドイドクリームの群から選択される1種又は2種以上の塗布剤である。但し、当該他のアトピー性皮膚炎の予防または治療用塗布剤及び経口製剤の例は、前述の各例に限定されない。
【0051】
また、本実施形態の効果を損なわない質的及び量的範囲であれば、界面活性剤(アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤)、ビタミン類(例えば、ビタミンB2など)、アミノ酸、保湿剤、動物あるいは植物、生薬の抽出物やエキス、微生物培養代謝物、α−ヒドロキシ酸、無機顔料、収斂剤、殺菌・消毒薬、香料、色素・着色剤、その他、ホルモン類、金属イオン封鎖剤、pH調整剤、キレート剤、溶解補助剤、崩壊剤、結合剤、潤沢剤、防腐・防バイ剤、安定化剤、乳化剤、動・植物性タンパク質及びその分解物、動・植物性多糖類及びその分解物、動・植物性糖タンパク質及びその分解物、血流促進剤、消炎剤・抗アレルギー剤、細胞賦活剤、創傷治療剤、増粘剤、及び/又は酵素なども、上述の製剤または基材中に含有することが可能である。
【0052】
また、本実施形態の炎症性皮膚疾患(例えばアトピー性皮膚疾患)の予防または治療用製剤におけるナールスゲンの配合量は、特に限定されない。なお、ナールスゲンを配合する際の剤形の種類、性状、品質、及び/又は期待する効果の程度によって異なるが、例えば、ナールスゲンの配合量は、0.0000001重量%〜50.0重量%であることが好ましい。また、ナールスゲンの配合量は、0.005重量%〜5.0重量%であることがより好ましく、さらには0.01重量%〜1.0重量%が特に好ましい。加えて、安全性と有効性の観点から言えば、0.001重量%〜0.1重量%であることが非常に好ましい。
【0053】
また、本実施形態の炎症性皮膚疾患(例えばアトピー性皮膚疾患)の予防または治療用製剤の投与の好適な一例は、1回あたり0.1μmol〜2μmol、好ましくは1回あたり0.5μmol〜1.5μmolのナールスゲンを、1日1〜4回皮膚に塗布することである。また、この投与量は、製剤の剤型、年齢、性別、及び/又は症状の重症度により適宜増減することが可能である。
【0054】
また、本実施形態の炎症性皮膚疾患(例えばアトピー性皮膚疾患)の予防または治療用製剤は、例えば、医薬品、医薬部外品、または化粧品として使用し得る。また、本実施形態の1つの別の態様である乳剤性基材は、医薬品、医薬部外品、または化粧品の基材として使用し得る。
【0055】
[実施例]
以下、実施例を挙げて上述の実施形態を説明するが、本発明及び上述の実施形態は、下記の各実施例の記載内容に限定されるものではない。
【0056】
(アトピー性皮膚炎モデルマウスの作製)
アトピー性皮膚炎モデルとして、アトピー性皮膚炎自然発症モデル(Spadeマウス)を用いた。このマウスは、化学変異原エチルニトロソウレアによりゲノムDNA上にランダムな点突然変異を誘導したC57BL/6Jマウスの中から確立されたミュータント系統である。また、このマウスは、温度23±1℃、湿度55±5%、明暗サイクル(明期7〜19時、暗期19〜7時)で標準量の飼料と水が与えられる。本実施形態のアトピー性皮膚炎モデルは、そのモデルマウスをSPF環境で飼育した場合、出生後7〜10週齢で耳介に掻痒感の強い皮膚炎を自然発症するモデルである。なお、前述のモデルマウスは、特開2011−83279において開示されている。
【0057】
本願発明者らは、上述のSpadeマウスを評価対象として、該マウスの出生時から出生後第9週0日までの飼育観察を行った。また、解析方法として、作用効果の比較には、χ(カイ)2乗検定を用いた。
【0058】
図1は、本実施形態におけるアトピー性皮膚炎モデルマウス皮膚へのナールスゲン含有クリームを塗布した場合の皮膚炎発症へ及ぼす影響と、比較例としての、無処置群、ワセリン、又はクリームを塗布した場合の皮膚炎発症へ及ぼす影響とを観察するための工程図である。また、図2は、本実施形態におけるSpadeマウスにおける、アトピー性皮膚炎モデルマウスの皮膚炎発症率(Incidence of Dermatitis)を示すグラフである。なお、皮膚炎発症の評価として、外見観察による臨床スコア(Clinical score)システムを採用した。
【0059】
また、図3においては、本実施形態におけるアトピー性皮膚炎モデルマウス皮膚へのナールスゲン含有クリーム(図3における「ナールスゲン処理群」)を塗布した場合の皮膚炎発症の頻度と、比較例としての無処置群、ワセリン、又はクリームを塗布した場合の皮膚炎発症の頻度が示されている。
【0060】
(ナールスゲンによるアトピー性皮膚炎治療効果の評価)
上述のマウスの皮膚に、出生後第6週0日からナールスゲンを含有する製剤を塗布することにより、皮膚炎発症が抑制できるかどうかを調査し、その結果を検討した。
【0061】
この評価においては、図1に示すように、出生後第6週0日から出生後第9週0日まで、ナールスゲン0.1%が配合されることにより、ナールスゲンを含有するクリーム(本実施形態の一例)、及びナールスゲンを配合しないクリーム(比較例の一例)、及びワセリン(比較例の他の一例)を、月曜日、水曜日、金曜日の週に3回、1日おきに耳に塗布した。また、何も塗布しない同腹のSpadeマウスを、もう一つの比較例である無処置(コントロール)群として、同一環境下で飼育した。本願発明者らは、クリーム塗布前に目視観察を行い、皮膚炎の発症について皮膚炎進行度を点数化(スコア化)した。
【0062】
また、図2に示すように、出生後第6週0日以降、無処置(コントロール)群の皮膚炎発症率が上昇することも確認することができた。一方、ナールスゲンを含有するクリーム(本実施形態の一例)を塗布した群(図2の「Mutant」)は、無処置(コントロール)群に対して、出生後第6週0日以降について、臨床スコアの上昇を確認することができた。従って、皮膚炎発症を抑制又は防止する役割を、ナールスゲンが果たしていることが明らかとなった。
【0063】
次に、下記の表1は、皮膚炎発症についての調査結果が示されている。具体的には、無処置群(表中の「コントロール群」との表記)、ワセリン塗布群(表中のワセリン群との表記)、クリーム塗布群(表中の「クリーム群のみ」との表記)、及び本実施形態のナールスゲンを含有するクリームの塗布群(表中の「クリーム+ナールスゲン群」との表記)についての各個体の臨床スコアおよび臨床所見の詳細結果を示している。
【0064】
【表1】
【0065】
表1及び図3に示すように、無処置群は、評価対象の全数が皮膚炎症状を発症したのに対し、ワセリンを塗布したワセリン処理群は、皮膚炎発症の発生は確認されなかった。また、クリーム塗布の処理を行ったクリーム処理群では2匹中1匹に皮膚炎発症が確認できた。これに対して、本実施形態ナールスゲンを含有するクリームを塗布したマウスでは、ワセリン処理群と同様に、皮膚炎発症を防止することができた。
【0066】
より具体的には、図3に示すように、出生後第8週6日までに、本実施形態のナールスゲンが与えられたマウスの耳には軽度の皮膚乾燥を認めたが、皮膚炎は発症しなかった(耳:n=0/4、個体:n=0/2)。一方、クリームのみを塗布したマウスのうち1匹の片耳で皮膚炎発症が認められた(耳:n=1/4、個体:n=1/2)。また、無処置群ではすべての個体の全ての耳で8週齢までに皮膚炎が発症した(耳:n=5/6、個体:n=3/3)。
【0067】
(リンパ節及び脾臓白血球の測定)
マウスを安楽死後、リンパ球及び脾臓を速やかに摘出し、氷冷PBS中でメッシュにこすりつけて血球浮遊液を作成し、細胞数をカウントした。これらの浮遊細胞を、10の6乗個ずつエッペンドルフチューブに分注し、牛血清アルブミン0.5%及びマウス血清0.1%を入れたPBS中において非特異的抗体付着反応をブロックした。その後、複数の白血球表面抗原に対する抗体に蛍光ラベルしたモノクローナル抗体を用いて染色し、その発現についてフローサイトメトリー装置FACS(登録商標)キャリバー(ベクトン・ディッキンソン社製)によって測定した。
【0068】
フローサイトメトリー装置により、細胞表面抗原の組み合わせによる分類で以下の項目を測定した。
Lymphocyte CD3 T cell CD4 T cell Naive CD4 T cell Activated CD4 T cell Th1 cell CD8 T cell Naive CD8 T cell Activated CD8 T cell gd T
cell B cell GC B
cell T cell CD4 T cell Tfh cell CD3e-,SiglecF- c-kit-,FceRIa+ Basophil Macrophage Mast cell Monocyte Neutrophil Eosinophil CD3e-,NK1.1- cell Sca1+,c-kit+ cell NH cell Sca1-,c-kit+ cell LTi cell NK cell NK T cell
CD19+,IgD- cell IgE+ T cell CD3+
T cell CD4+,FoxP3- CD3+ T cell Th2 cell Treg cell
【0069】
次に、図4について説明する。図4は、本実施形態における表皮内常在白血球の活性化と、比較例における表皮内常在白血球の活性化との違いを示すグラフである。具体的には、ワセリン塗布群、クリーム塗布群、クリーム+ナールスゲン塗布群、及び無処置群における皮膚炎発症の各結果が示されている。なお、図4において、横軸はそれぞれの群を、黒いバーは、500倍で、顕微鏡で観察した際の1視野内の表皮内のCD45陽性白血球数(total leukocyte)を示す。また、白いバーは、活性化した形態を呈する表皮内のCD45陽性白血球数(activated leukocyte)を示す。
【0070】
ここで、表皮内の白血球は皮膚バリアが破壊されるとその形態を変え、免疫的に活性化されることが知られている。7週齢〜10週齢の野生型マウスの表皮においては、500倍で、顕微鏡で観察した際の1視野内の表皮内のCD45陽性白血球数はおよそ6〜7個であった。また、そのうち、活性化した形態を呈する白血球の割合は10〜15%程度である。一方、同週齢のSpadeマウスの表皮内白血球数は11〜13個とほぼ倍増している。さらに、そのうち、活性化した形態を呈する白血球の割合は80〜95%程度である。
【0071】
図4に示すように、無処置群の表皮内白血球数、及び活性化した表皮内白血球の割合は、平均して12.3個、87.7%であり、標準的な皮膚炎症が進行していることがわかる。これに対して、ワセリン塗布群の表皮内白血球数、及び活性化した表皮内白血球の割合は、それぞれ12.1個、65%であった。また、クリーム塗布群の表皮内白血球数、及び活性化した表皮内白血球の割合は、それぞれ11.3個、72%であった。従って、ワセリン塗布群及びクリーム塗布群のいずれにおいても、活性化した表皮内白血球の割合が減少している。
【0072】
しかしながら、ナールスゲンを含有するクリームを塗布したマウスの群(本実施形態)の表皮内白血球数、及び活性化した表皮内白血球の割合は、それぞれ8.6個、35%であった。従って、本実施形態を採用することにより、表皮内白血球の数の減少と、活性化した表皮内白血球の割合の著しい減少とが確認された。この結果は、本実施形態を採用することによって表皮内白血球の活性化が効率よく抑制されていることを顕著に示している。
【0073】
また、皮膚炎発症部位の所属リンパ節である頸部リンパ節の白血球の数と比率について塗布開始後3週間、生後第9週齢において確認及び検討したところ、無処置群、ワセリン塗布群、本実施形態の間では、リンパ節の細胞数及び比率に大きな差を認めなかった。しかしながら、クリームのみ塗布群では細胞数の減少、特にリンパ球数の減少を認めた。このことは、すなわち、クリーム塗布は皮膚所属リンパ節における細胞増殖を抑制する作用を有する可能性を示しているとともに、ナールスゲンを与えることがそれを正常と同等にまで回復する作用を有している可能性を示している。
【0074】
上述の各結果から、ナールスゲンは、アトピー性皮膚炎の発症予防に優れた機能を発揮することがわかった。
【0075】
なお、本実施例においては、皮膚炎症の病理組織学的評価、免疫系の細胞数変動測定、及び解析方法について、以下の方法を採用した。
【0076】
(皮膚の病理組織観察)
皮膚炎の評価として、耳組織のヘマトキシリン&エオジン染色、トルイジンブルー染色、サイトケラチン14に対する免疫染色、CD45に対する免疫染色(図4を参照)、Mcpt8に対する免疫染色を行った。これにより、形態変化による表皮の炎症所見の確認、表皮の肥厚、皮膚におけるトルイジンブルー陽性の肥満細胞の分布、増殖、表皮基底細胞数の増加と形態変化、表皮内及び真皮内の常在白血球の増殖と形態変化、及び好塩基球の真皮への浸潤などについて、定性的及び定量的に観察した。また、アトピー性皮膚炎の評価としては、表皮の肥厚と炎症細胞の浸潤を指標として炎症の程度を判断するとともに、肥満細胞や好塩基球の数を数えることで炎症の進行度を判断した。
【0077】
皮膚の病理組織観察の結果からも、ナールスゲンは、アトピー性皮膚炎の発症予防に優れた機能を発揮することがわかった。
【0078】
上述の実施形態又は実施例の開示は、該実施形態又は該実施例の説明のために記載したものであって、本発明を限定するために記載したものではない。加えて、上述の実施形態及び各実施例における他の組み合わせを含む本発明の範囲内に存在する変形例もまた、特許請求の範囲に含まれるものである。
図1
図3
図4
図2