【課題】軽い書き味で鮮明な描線が得られる水性インキの長所と、筆跡の裏抜けが無く耐水性を備える油性インキの長所を兼ね備えるとともに、滑らかな筆感での筆記が長期に亘って得られるO/W型エマルションインキとそれを用いたボールペン。
【解決手段】水性成分中に油性成分が分散されてなるO/W型エマルションインキ組成物であって、着色剤と乳化剤と剪断減粘性付与剤を含有し、前記油性成分が少なくともイオン液体からなるボールペン用O/W型エマルションインキ組成物。前記O/W型エマルションインキ組成物を内蔵してなるボールペン。
水性成分中に油性成分が分散されてなるO/W型エマルションインキ組成物であって、着色剤、乳化剤、剪断減粘性付与剤を含有し、前記油性成分が少なくともイオン液体からなるボールペン用O/W型エマルションインキ組成物。
【発明を実施するための形態】
【0008】
前記水性成分は、水媒体中に少なくとも着色剤と剪断減粘性付与剤を含む。
前記着色剤としては、水性系媒体に溶解もしくは分散可能な染料及び顔料がすべて使用可能であり、その具体例を以下に例示する。
前記染料としては、酸性染料、塩基性染料、直接染料等を使用することができる。
酸性染料としては、ニューコクシン(C.I.16255)、タートラジン(C.I.19140)、アシッドブルーブラック10B(C.I.20470)、ギニアグリーン(C.I.42085)、ブリリアントブルーFCF(C.I.42090)、アシッドバイオレット6B(C.I.42640)、ソルブルブルー(C.I.42755)、ナフタレングリーン(C.I.44025)、エオシン(C.I.45380)、フロキシン(C.I.45410)、エリスロシン(C.I.45430)、ニグロシン(C.I.50420)、アシッドフラビン(C.I.56205)等が用いられる。
塩基性染料としては、クリソイジン(C.I.11270)、メチルバイオレットFN(C.I.42535)、クリスタルバイオレット(C.I.42555)、マラカイトグリーン(C.I.42000)、ビクトリアブルーFB(C.I.44045)、ローダミンB(C.I.45170)、アクリジンオレンジNS(C.I.46005)、メチレンブルーB(C.I.52015)等が用いられる。
直接染料としては、コンゴーレッド(C.I.22120)、ダイレクトスカイブルー5B(C.I.24400)、バイオレットBB(C.I.27905)、ダイレクトディープブラックEX(C.I.30235)、カヤラスブラックGコンク(C.I.35225)、ダイレクトファストブラックG(C.I.35255)、フタロシアニンブルー(C.I.74180)等が用いられる。
【0009】
前記顔料としては、カーボンブラック、群青などの無機顔料や銅フタロシアニンブルー、ベンジジンイエロー等の有機顔料の他、予め界面活性剤や樹脂を用いて微細に安定的に水媒体中に分散された水分散顔料製品等が用いられ、例えば、C.I.Pigment Blue 15:3B〔品名:Sandye Super Blue GLL、顔料分24%、山陽色素株式会社製〕、C.I. Pigment Red 146〔品名:Sandye Super Pink FBL、顔料分21.5%、山陽色素株式会社製〕、C.I.Pigment Yellow 81〔品名:TC Yellow FG、顔料分約30%、大日精化工業株式会社製〕、C.I.Pigment Red 220/166〔品名:TC Red FG、顔料分約35%、大日精化工業株式会社製〕等を挙げることができる。
尚、前記顔料を分散する樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、アクリル酸樹脂、マレイン酸樹脂、アラビアゴム、セルロース、デキストラン、カゼイン等、およびそれらの誘導体、前記した樹脂の共重合体等が挙げられる。
蛍光顔料としては、各種蛍光性染料を樹脂マトリックス中に固溶体化した合成樹脂微細粒子状の蛍光顔料が使用できる。
また、酸化チタン等の白色顔料、アルミニウム等の金属粉、天然雲母、合成雲母、アルミナ、ガラス片から選ばれる芯物質の表面を二酸化チタン等の金属酸化物で被覆したパール顔料、コレステリック液晶型光輝性顔料等を使用することもできる。
更に、熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(加熱消色型顔料)や、熱変色性組成物と共に、染料や顔料を内包したマイクロカプセル顔料等の熱変色性顔料を使用することもできる。
【0010】
前記熱変色性組成物としては、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物が好適であり、マイクロカプセルに内包させて可逆熱変色性マイクロカプセル顔料として適用される。
前記可逆熱変色性組成物としては、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報、特公平1−29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル中に内包させた加熱消色型のマイクロカプセル顔料が適用できる。
更に、特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報、特開平8−39936号公報等に記載されている比較的大きなヒステリシス特性(ΔH=8〜50℃)を示すものや、特開2006−137886号公報、特開2006−188660号公報、特開2008−45062号公報、特開2008−280523号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性を示す、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度以上の高温域での消色状態が、特定温度域で色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包させ加熱消色型のマイクロカプセル顔料も適用できる。
尚、前記色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物として具体的には、完全発色温度を冷凍室、寒冷地等でしか得られない温度、即ち−50〜0℃、好ましくは−40〜−5℃、より好ましくは−30〜−10℃、且つ、完全消色温度を摩擦体による摩擦熱、ヘアドライヤー等身近な加熱体から得られる温度、即ち50〜95℃、好ましくは50〜90℃、より好ましくは60〜80℃の範囲に特定し、ΔH値を40〜100℃に特定することにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持に有効に機能させることができる。
【0011】
前記着色剤は一種又は二種以上を適宜混合して使用することができ、インキ組成物中1〜30重量%、好ましくは2〜20重量%の範囲で用いられる。
特に、前記着色剤のうち染料を用いたものは、経時的なインキ安定性が高くなるため、より長期に亘って滑らかな筆記が可能となる。
【0012】
また、水に相溶性のある従来汎用の水溶性有機溶剤(補助)を用いることもでき、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ソルビトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブタンジオール、ネオプレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
尚、前記水溶性有機溶剤は一種又は二種以上を併用することもでき、インキ組成物中2〜45重量%、好ましくは5〜35重量%の範囲で用いられる。
【0013】
前記剪断減粘性付与剤としては、水に可溶乃至分散性の物質が効果的であり、キサンタンガム、ウェランガム、ゼータシーガム、ダイユータンガム、マクロホモプシスガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100乃至800万)、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万〜15万の重合体、グルコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する炭水化物、ポリN−ビニル−カルボン酸アミド架橋物、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、架橋性アクリル酸重合体、無機質微粒子、HLB値が8〜12のノニオン系界面活性剤、ジアルキルスルホコハク酸の金属塩やアミン塩等を例示できる。更には、インキ組成物中にN−アルキル−2−ピロリドンとアニオン系界面活性剤を併用して添加してもよい。
前記剪断減粘性付与剤は、インキ組成物中0.1〜20重量%の範囲で用いることができる。
【0014】
その他、必要に応じて、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類、水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物等のpH調整剤、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、サポニン等の防錆剤、石炭酸、1、2−ベンズチアゾリン3−オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン等の防腐剤或いは防黴剤、尿素、ソルビット、マンニット、ショ糖、ぶどう糖、還元デンプン加水分解物、ピロリン酸ナトリウム等の湿潤剤、消泡剤、インキの浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤やノニオン系界面活性剤を使用してもよい。
更に、潤滑剤を添加することができ、金属石鹸、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイド付加型カチオン活性剤、リン酸エステル系活性剤、N−アシルアミノ酸系界面活性剤、ジカルボン酸型界面活性剤、β−アラニン型界面活性剤、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールやその塩やオリゴマー、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、チオカルバミン酸塩、ジメチルジチオカルバミン酸塩、α−リポ酸、N−アシル−L−グルタミン酸とL−リジンとの縮合物やその塩等が用いられる。
また、N−ビニル−2−ピロリドンのオリゴマー、N−ビニル−2−ピペリドンのオリゴマー、N−ビニル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム、N−ビニル−ε−カプロラクタムのオリゴマー等の増粘抑制剤を添加することで、出没式形態での機能を高めることもできる。
【0015】
また、耐乾燥性を妨げない範疇でアルキッド樹脂、アクリル樹脂、スチレンマレイン酸共重合物、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン等の水溶性樹脂を一種又は二種以上添加したり、尿素、ノニオン系界面活性剤、ソルビット、マンニット、ショ糖、ぶどう糖、還元デンプン加水分解物、ピロリン酸ナトリウム等の湿潤剤を一種又は二種以上添加することもできる。
【0016】
前記油性成分を構成するイオン液体とは、カチオンとアニオンとの組み合わせからなる、イオンのみで構成される有機塩であり、一般に、常圧で融点が100℃以下である。本発明のO/W型エマルションインキに用いられるイオン液体は、無水イオン液体及び空気中の水分を吸収した含水イオン液体であってもよく、常温(25℃)で液体であり、特に、0℃で液体であることが望ましい。
尚、前記イオン液体は、20℃における水への溶解度が0.15重量%未満とすることで、水性成分と混合することなく、長期間安定してO/W型のエマルション状態を維持できる。そのため、優れた筆記性能を長期に亘って維持できる。
【0017】
前記イオン液体を構成するカチオン、アニオンは、特に限定されるものではなく、例えば、カチオンとしては、アンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ピロリニウムカチオン、ピラジニウムカチオン、トリアゾリウムカチオン、イソキノリニウムカチオン、オキサゾリニウムカチオン、チアゾリニウムカチオン、モルホリニウムカチオン、グアニジウムカチオン、チオフェニウムカチオン、ピリミジニウムカチオン、ピペラジニウムカチオン、トリアジニウムカチオン、キノリニウムカチオン、インドリニウムカチオン、キノキサリニウムカチオン、イソオキサゾリウムカチオン、チオオキソニウムカチオン、カチオン性アミノ酸等が挙げられる。
【0018】
前記アンモニウムカチオンとしては、アンモニウムカチオン、アンモニウムカチオンの窒素に結合した水素が炭素数1〜18の直鎖又は分岐アルキル基により置換されたアンモニウムカチオン、また、そのアルキル鎖中に水酸基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アルケニル基、アミノ基、ニトリル基、ハロゲン基、アリール基等の官能基を含むアンモニウムカチオンが挙げられ、例えば、2−ヒドロキシエチルアンモニウムカチオン、(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)プロピル)アンモニウムカチオン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムカチオン、トリス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムカチオン、テトラメチルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオン、テトラペンチルアンモニウムカチオン、テトラヘキシルアンモニウムカチオン、テトラデシルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチルエチルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチルプロピルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチルブチルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチルペンチルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチルヘキシルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチルヘプチルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチルオクチルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチルデシルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチルドデシルアンモニウムカチオン、N−エチル−N,N−ジメチルプロピルアンモニウムカチオン、N−エチル−N,N−ジメチルブチルアンモニウムカチオン、N−エチル−N,N−ジメチルヘキシルアンモニウムカチオン、N−(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムカチオン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムカチオン、N−エチル−N−(2−メトキシエチル)ジメチルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−(2−メトキシエチル)メチルアンモニウムカチオン、N−(2−メトキシエチル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムカチオン、N−(2−エトキシエチル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムカチオン、N−(2−プロポキシエチル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムカチオン、N−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチルプロピルアンモニウムカチオン、N−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチルブチルアンモニウムカチオン、トリメチル(1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル)アンモニウムカチオン、トリメチル−(4−ビニルベンジル)アンモニウムカチオン、トリブチル−(4−ビニルベンジル)アンモニウムカチオン、2−(メタクリロキシ)エチルトリメチルアンモニウムカチオン、ベンジルジメチル(オクチル)−アンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−(2−フェノキシエチル)−1−ドデシルアンモニウムカチオン等を挙げることができる。
【0019】
前記イミダゾリウムカチオンとしては、イミダゾリウムカチオン、イミダゾリウムカチオンの窒素に結合した水素が炭素数1〜18の直鎖又は分岐アルキル基により置換されたイミダゾリウムカチオン、また、そのアルキル基中に水酸基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アルケニル基、アミノ基、ニトリル基、ハロゲン基、アリール基等の官能基を含むイミダゾリウムカチオンを挙げることができ、例えば、置換基を1個有するイミダゾリウムカチオンとしては、1−メチルイミダゾリウムカチオン、1−エチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチルイミダゾリウムカチオン、1−ヘキシルイミダゾリウムカチオン等が挙げられ、置換基を2個有するイミダゾリウムカチオンとしては、1,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ヘキサデシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−オクタデシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−(2−ヒドロキシエチル)−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−(2−カルボキシエチル)−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−シアノプロピル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−オクチルイミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−ブチルイミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−ペンチルイミダゾリウムカチオン、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ヘプチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムカチオン、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−エチルイミダゾリウムカチオン、1−オクチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−ヘキシル3−ビニルイミダゾリウムカチオン、1−アリル3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−アリル−3−エチルイミダゾリウムカチオン、1−アリル−3−プロピルルイミダゾリムカチオン、1−アリル−3−ブチルイミダゾリムカチオン、1−アリル−3−ペンチルイミダゾリムカチオン、1−アリル−3−ヘキシルイミダゾリムカチオン、1−アリル−3−へプチルイミダゾリムカチオン、1−アリル−3−オクチルイミダゾリムカチオン、1,3−ジアリルイミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)イミダゾリウムカチオン、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−メトキシエチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−(2−(2−メトキシエトキシ)−エチル)−3−メチルイミダゾリウムカチオン等が挙げられ、置換基を3個有するイミダゾリウムカチオンとしては、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウムカチオン、1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1,2−ジメチル−3−ブチルイミダゾリウムカチオン、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1,2−ジメチル−3−ヘキシルイミダゾリウムカチオン、1,2−ジメチル−3−オクチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3,4−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−イソプロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン等を挙げることができる。
【0020】
前記ピリジニウムカチオンとしては、ピリジニウムカチオン、ピリジニウムカチオンの窒素に結合した水素が炭素数1〜18の直鎖又は分岐アルキル基により置換されたピリジニウムカチオン、また、そのアルキル鎖中に水酸基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アルケニル基、アミノ基、ニトリル基、ハロゲン基、アリール基等の官能基を含むピリジニウムカチオンを挙げることができ、例えば、N−メチルピリジニウムカチオン、N−エチルピリジニウムカチオン、N−ブチルピリジニウムカチオン、N−プロピルピリジニウムカチオン、N−ヘキシルピリジニウムカチオン、N−エチル−3−メチルプリジウム、N−ブチル−4−メチルピリジニウムカチオン、N−ブチル−3−メチルピリジニウムカチオン、N−(3−ヒドロキシプロピル)ピリジニウムカチオン等を挙げることができる。
【0021】
前記ピロリジニウムカチオンとしては、ピロリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオンの窒素に結合した水素が炭素数1〜18の直鎖又は分岐アルキル基により置換されたピロリジニウムカチオン、また、そのアルキル鎖中に水酸基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アルケニル基、アミノ基、ニトリル基、ハロゲン基、アリール基等の官能基を含むピロリジニウムカチオンを挙げることができ、例えば、N,N−ジメチルピロリジニウムカチオン、N−エチル−N−メチルピロリジニウムカチオン、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムカチオン、N−ブチル−N−メチルピロリジニウムカチオン、N−メチル−N−ペンチルピロリジニウムカチオン、N−ヘキシル−N−メチルピロリジニウムカチオン、N−メチル−N−オクチルピロリジニウムカチオン、N−デシル−N−メチルピロリジニウムカチオン、N−ドデシル−N−メチルピロリジニウムカチオン、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルピロリジニウムカチオン、N−(2−エトキシエチル)−N−メチルピロリジニウムカチオン、N−(2−プロポキシエチル)−N−メチルピロリジニウムカチオン、N−(2−イソプロポキシエチル)−N−メチルピロリジニウムカチオン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルピロリジニウムカチオン等を挙げることができる。
【0022】
前記ピペリジニウムカチオンとしては、ピペリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオンの窒素に結合した水素が炭素数1〜18の直鎖又は分岐アルキル基により置換されたピペリジニウムカチオン、また、そのアルキル鎖中に水酸基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アルケニル基、アミノ基、ニトリル基、ハロゲン基、アリール基等の官能基を含むピペリジニウムカチオンが挙げられ、例えば、N,N−ジメチルピペリジニウムカチオン、N−エチル−N−メチルピペリジニウムカチオン、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムカチオン、N−ブチル−N−メチルピペリジニウムカチオン、N−メチル−N−ペンチルピペリジニウムカチオン、N−ヘキシル−N−メチルピペリジニウムカチオン、N−メチル−N−オクチルピペリジニウムカチオン、N−デシル−N−メチルピペリジニウムカチオン、N−ドデシル−N−メチルピペリジニウムカチオン、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルピペリジニウムカチオン、N−(2−メトキシエチル)−N−エチルピペリジニウムカチオン、N−(2−エトキシエチル)−N−メチルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−(2−メトキシフェニル)ピペリジニウムカチオン、N−メチル−N−(4−メトキシフェニル)ピペリジニウムカチオン、N−エチル−N−(2−メトキシフェニル)ピペリジニウムカチオン、N−エチル−N−(4−メトキシフェニル)ピペリジニウムカチオン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルピペリジウムカチオン等を挙げることができる。
【0023】
前記ホスホニウムカチオンとしては、ホスホニウムカチオン、ホスホニウムカチオンの窒素に結合した水素が炭素数1〜18の直鎖又は分岐アルキル基、アリール基により置換されたホスホニウムカチオン、また、そのアルキル鎖中に水酸基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アルケニル基、アミノ基、ニトリル基、ハロゲン基、アリール基等の官能基を含むホスルホニウムカチオンが挙げられ、例えば、テトラメチルホスホニウムカチオン、テトラエチルホスホニウムカチオン、テトラプロピルホスホニウムカチオン、テトラブチルホスホニウムカチオン、トリイソブチルメチルホスホニウムカチオン、テトラヘキシルホスホニウムカチオン、トリブチル−n−オクチルホスホニウムカチオン、トリヘキシルメテトラデシルホスホニウムカチオン、トリブチル(4−ビニルベンジル)ホスホニウムカチオン、テトラフェニルホスホニウムカチオン、トリフェニルメチルホスホニウムカチオン、(2−シアノエチル)トリオクチルホスホニウムカチオン、3−(トリフェニルホスホニオ)プロパン−1−スルホン酸カチオン、(3−クロロプロピル)トリオクチルホスホニウムカチオン等の第四級ホスホニウムカチオンを挙げることができる。
【0024】
前記スルホニウムカチオンとしては、スルホニウムカチオン、スルホニウムカチオンの窒素に結合した水素が炭素数1〜18の直鎖又は分岐アルキル基、アリール基により置換されたスルホニウムカチオン、また、そのアルキル鎖中に水酸基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アルケニル基、アミノ基、ニトリル基、ハロゲン基、アリール基等の官能基を含むスルホニウムカチオンが挙げられ、例えば、トリメチルスルホニウムカチオン、トリエチルスルホニウム、トリプロピルスルホニウムカチオン、トリブチルスルホニウムカチオン、トリフェニルスルホニウムカチオン等の第三級スルホニウムカチオンを挙げることができる。
【0025】
前記ピロリニウムカチオンとしては、ピロリニウムカチオン、ピロリニウムカチオンの窒素に結合した水素が炭素数1〜18の直鎖又は分岐アルキル基により置換されたピロリニウムカチオン、また、そのアルキル鎖中に水酸基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アルケニル基、アミノ基、ニトリル基、ハロゲン基、アリール基等の官能基を含むピロリニウムカチオンが挙げられ、例えば、1−メチルピロリニウムカチオン、1−エチルピロリニウムカチオン、1−プロピルピロリニウムカチオン、1−ブチルピロリニウムカチオン等を挙げることができる。
【0026】
前記ピラジニウムカチオンとしては、ピラジニウムカチオン、ピラジニウムカチオンの窒素に結合した水素が炭素数1〜18の直鎖又は分岐アルキル基により置換されたピラジニウムカチオン、また、そのアルキル鎖中に水酸基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アルケニル基、アミノ基、ニトリル基、ハロゲン基、アリール基等の官能基を含むピラジニウムカチオンが挙げられ、例えば、1−メチルピラジニウムカチオン、1−エチルピラジニウムカチオン、1−プロピルピラジニウムカチオン、1−ブチルピラジニウムカチオン等を挙げることができる。
【0027】
前記トリアゾリウムカチオンとしては、トリアゾリウムカチオン、トリアゾリウムカチオンに結合した水素が炭素数1〜18の直鎖又は分岐アルキル基により置換されたトリアゾリウムカチオン、また、そのアルキル鎖中に水酸基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アルケニル基、アミノ基、ニトリル基、ハロゲン基、アリール基等の官能基を含むトリアゾリウムカチオンが挙げられ、例えば、1,4−ジメチル−1,2,4−トリアゾリウムカチオン、1,4−ジエチル−1,2,4−トリアゾリウムカチオン等が挙げられる。
【0028】
前記イソキノリニウムカチオンとしては、イソキノリニウムカチオンカチオン、イソキノリニウムカチオンの窒素に結合した水素が炭素数1〜18の直鎖又は分岐アルキル基により置換されたイソキノリニウムカチオン、また、そのアルキル鎖中に水酸基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アルケニル基、アミノ基、ニトリル基、ハロゲン基、アリール基等の官能基を含むイソキノリニウムカチオンが挙げられ、例えば、N−メチルイソキノリニウムカチオン、N−エチルイソキノリニウムカチオン、N−プロピルイソキノリニウムカチオン、N−ブチルイソキノリニウムカチオン、N−ヘキシルイソキノリニウムカチオン、N−オクチルイソキノリニウムカチオン等を挙げることができる。
【0029】
前記オキサゾリニウムカチオンとしては、オキサゾリニウムカチオン、オキサゾリニウムカチオンの窒素に結合した水素が炭素数1〜18の直鎖又は分岐アルキル基により置換されたオキサゾリニウムカチオン、また、そのアルキル鎖中に水酸基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アルケニル基、アミノ基、ニトリル、ハロゲン基等の官能基を含むオキサゾリニウムが挙げられ、例えば、3−メチル−4−メチルオキサゾリウムカチオン、3−エチル−4−メチルオキサゾリウムカチオン、3−プロピル−4−メチルオキサゾリウムカチオン、3−ブチル−4−メチルオキサゾリウムカチオン等を挙げることができる。
【0030】
前記チアゾリニウムカチオンとしては、チアゾリニウムカチオン、チアゾリニウムカチオンの窒素に結合した水素が炭素数1〜18の直鎖又は分岐アルキル基により置換されたチアゾリウムカチオン、また、そのアルキル鎖中に水酸基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アルケニル基、アミノ基、ニトリル基、ハロゲン基、アリール基等の官能基を含むチアゾリウムカチオンが挙げられ、例えば、3−メチルチアゾリウムカチオン、3−エチルチアゾリウムカチオン、3−プロピルチアゾリウムカチオン、3−ブチル−4−メチルチアゾリウムカチオン等を挙げることができる。
【0031】
前記モルホリニウムカチオンとしては、モルホリニウムカチオン、モルホリニウムカチオンの窒素に結合した水素が炭素数1〜18の直鎖又は分岐アルキル基により置換されたモルホリニウムカチオン、また、そのアルキル鎖中に水酸基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アルケニル基、アミノ基、ニトリル基、ハロゲン基、アリール基等の官能基を含むモルホリニウムカチオンが挙げられ、例えば、N−エチル−N−メチルモルホリニウムカチオン、N−ブチル−N−メチルモルホリニウムカチオン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルモルホリニウムカチオン等を挙げることができる。
【0032】
前記グアニジウムカチオンとしては、グアニジウムカチオン、グアニジウムカチオンの窒素に結合した水素と炭素数1〜18の直鎖又は分岐アルキル基により置換されたグアニジウムカチオン、また、そのアルキル鎖中に水酸基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アルケニル基、アミノ基、ニトリル基、ハロゲン基、アリール基等の官能基を含むグアニジウムカチオンが挙げられ、例えば、グアニジウムカチオン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジウムカチオン、N,N,N′,N′,N″,N″−ヘキサアルキルグアニジウムカチオン、N,N,N′,N′,N″−ペンタアルキル−N″−ベンジルグアニジウムカチオン等を挙げることができる。
【0033】
また、上記カチオンに、より疎水性を付与する場合、カチオンに結合した水素または直鎖又は分岐アルキル基中の水素は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素等のハロゲン元素に置換したり、カチオンに結合した直鎖又は分岐アルキル基の総炭素数は4以上が好ましく、より好ましくは8以上、さらに12以上が好ましい。
【0034】
イオン液体を構成するアニオンとしては、例えば、ハロゲン系アニオン、硫黄系アニオン、リン系アニオン、シアン系アニオン、ホウ素系アニオン、フッ素系アニオン、窒素酸化物系アニオン、カルボン酸アニオン等が挙げられる。
【0035】
前記ハロゲン系アニオンとしては、例えば、クロリドイオン、ブロミドイオン、ヨードイオン等が挙げられる。
【0036】
前記硫黄系アニオンとしては、スルファートアニオン、水素スルファートアニオン、アルキルスルホナートアニオン(例えば、メタンスルホナート、エチルスルホナート、ブチルスルホナート、ベンゼンスルホナート、p−トルエンスルホナート、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホナート、スチレンスルホナート、3−スルホプロピルメタクリレートアニオン、3−スルホプロピルアクリレート等)、アルキルスルファートアニオン(例えば、メチルスルファートアニオン、エチルスルファートアニオン、ブチルスルファートアニオン、オクチルスルファートアニオン、2−(2−メトキシエトキシ)エチルスルファートアニオン等)含窒素複素環を有するアルカンスルホナートアニオン等が挙げられる。
【0037】
前記リン系アニオンとしては、ホスファートアニオン、水素ホスファートアニオン、二水素ホスファートアニオン、ホスホナートアニオン、水素ホスホナートアニオン、ホスフィナートアニオン、アルキルホスファートアニオン(例えば、ジメチルホスファート、ジエチルホスファート、ジプロピルホスファートアニオン、ジブチルホスファートアニオン等)、アルキルホスホナートアニオン(例えば、メチルホスホナートアニオン、エチルホスホナートアニオン、プロピルホスホナートアニオン、ブチルホスホナートアニオン、メチルメチルホスホナートアニオン等)、アルキルホスフィナートアニオン、ヘキサアルキルホスファートアニオン等が挙げられる。
【0038】
前記シアン系アニオンとしては、例えば、テトラシアノボレートアニオン、ジシアナミド、チオシアネートアニオン、イソチオシアネートアニオン等が挙げられる。
【0039】
前記ホウ素系アニオンとしては、例えば、テトラフルオロボレートアニオン、ビスオキサレートボラートアニオン、テトラフェニルボレート、テトラアルキルボレートアニオン等が挙げられる。
【0040】
前記フッ素系アニオンとしては、フルオロハイドロジェネートアニオン、パーフルオロアルキルスルホナートアニオン(例えば、トリフルオロメタンスルホナートアニオン、ペンタフルオロエタンスルホナートアニオン、ヘプタフルオロプロパンスルホナートアニオン、ノナフラートアニオン、パーフルオロオクタンスルホーナートアニオン等)、フルオロホスファートアニオン(例えば、ヘキサフルオロホスファートアニオン、トリ(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスファートアニオン等)、フルオロボレートアニオン(例えば、テトラフルオロボレートアニオン等)、2,2,2−トリフルオロ−N−(トリフルオロメタンスルホニル)アセトアミドアニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、ビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミドアニオン(例えば、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドアニオン、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、ビス(ヘプタフルオロプロパンスルホニル)イミドアニオン、ビス(ノナフルオロブチルスルホニル)イミドアニオン等)、トリス(パーフルオロアルキルスルホニル)メチドアニオン(例えば、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドアニオン、トリス(ペンタフルオロエタンスルホニル)メチドアニオン、トリス(ヘプタフルオロプロパンスルホニル)メチドアニオン、トリス(ノナフルオロブタンスルホニル)メチドアニオン等)、フルオロカルボン酸アニオン(例えば、トリフルオロ酢酸、ペンタフルオロプロピオン酸、パーフルオロノナン酸等のフルオロカルボン酸からプロトンが解離したアニオン)等が挙げられる。
【0041】
前記窒素酸化物系アニオンとしては、例えば、硝酸アニオン、亜硝酸アニオンが挙げられる。
【0042】
前記カルボン酸アニオンは、分子中に、少なくとも1個以上のカルボン酸アニオン(−COO
−)を持つ有機酸アニオンであり、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子を持つ官能基を含んでいても良い。特に限定されないが、カルボン酸アニオンとしては、例えば、飽和脂肪族カルボン酸アニオン、不飽和脂肪族カルボン酸アニオン、脂環式カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン、飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸アニオン、不飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸アニオン、脂環式ヒドロキシカルボン酸アニオン、芳香族ヒドロキシカルボン酸アニオン、カルボニルカルボン酸アニオン、アルキルエーテルカルボン酸アニオン、ハロゲンカルボン酸アニオン、シアノ基含有カルボン酸、アミノ酸アニオン等が挙げられる。
【0043】
前記飽和脂肪族カルボン酸アニオンは、直鎖又は分岐鎖の脂肪族飽和炭化水素基と1個以上のカルボン酸アニオンからなり、炭素数1〜22が好ましい。具体的には、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、イソ酪酸、2−メチル酪酸、イソ吉草酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等からプロトンが解離したアニオンが挙げられる。
【0044】
前記不飽和脂肪族カルボン酸アニオンは、直鎖又は分岐鎖の脂肪族不飽和炭化水素基と1個以上のカルボン酸アニオンからなり、炭素数3〜22が好ましい。具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキドン酸、マレイン酸、フマル酸等からプロトンが解離したアニオンが挙げられる。
【0045】
前記脂環式カルボン酸アニオンは、芳香族性を持たない飽和もしくは不飽和の炭素環と1個以上のカルボン酸アニオンからなり、炭素数6〜20が好ましい。中でも、シクロヘキサン環骨格を有する脂環式カルボン酸アニオンが好ましく、具体的には、例えば、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸からプロトンが解離したアニオンが挙げられる。
【0046】
前記芳香族カルボン酸アニオンは、芳香族性を持つ単環又は複数の環と1個以上のカルボン酸アニオンからなり炭素数6〜20が好ましい。中でも、ベンゼン環骨格を有する芳香族カルボン酸アニオンが好ましく、具体的には、例えば、安息香酸、ケイヒ酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等からプロトンが解離したアニオンが挙げられる。
【0047】
前記飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸アニオンは、直鎖又は分岐鎖の脂肪族飽和炭化水素基、1個以上のカルボン酸アニオン及び1個以上の水酸基からなり、炭素数2〜24が好ましい。中でも、1〜4個の水酸基を有する炭素数2〜7の飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸アニオンが好ましい。具体的には、例えば、グリコール酸、乳酸、タルトロン酸、グリセリン酸、ヒドロキシ酢酸、ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシデカンリン酸、3−ヒドロキシデカン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ジヒドロキシステアリン酸、セレブロン酸、リンゴ酸、酒石酸、シトラマル酸、クエン酸、イソクエン酸、ロイシン酸、メバロン酸、パントイン酸等からプロトンが解離したアニオンが挙げられる。
【0048】
前記不飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸アニオンは、直鎖又は分岐鎖の脂肪族不飽和炭化水素基、1個以上のカルボン酸アニオン及び1個以上の水酸基からなり、炭素数3〜22が好ましい。具体的には、リシノール酸、リシノレイン酸、リシネライジン酸等からプロトンが解離したアニオンが挙げられる。
【0049】
前記脂環式ヒドロキシカルボン酸アニオンは、芳香族性を持たない飽和もしくは不飽和の炭素環、1個以上のカルボン酸アニオン及び1個以上の水酸基からなり、炭素数6〜20が好ましい。中でも、1〜4個の水酸基を有する6員環骨格の脂環式ヒドロキシカルボン酸アニオンが好ましく、具体的には、例えば、ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、ジヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、キナ酸(1,3,4,5−テトラヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸)、シキミ酸等からプロトンが解離したアニオンが挙げられる。
【0050】
前記芳香族ヒドロキシカルボン酸アニオンは、芳香族性を持つ単環あるいは複数の環、1個以上のカルボン酸アニオン及び1個以上の水酸基からなり、炭素数6〜20が好ましい。中でも、1〜3個の水酸基を有するベンゼン環骨格の芳香族カルボン酸アニオンが好ましく、具体的には、例えば、サリチル酸、ヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシ安息香酸、トリヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシメチル安息香酸、バニリン酸、シリング酸、ピロトカテク酸、ゲンチジン酸、オルセリン酸、マンデル酸、ベンジル酸、アトロラクチン酸、フロレト酸、クマル酸、ウンベル酸、コーヒー酸、フェルラ酸、シナピン酸等からプロトンが解離したアニオンが挙げられる。
【0051】
前記カルボニルカルボン酸アニオンは、分子内にカルボニル基を有する炭素数3〜22のカルボン酸アニオンであり、1〜2個のカルボニル基を有する炭素数3〜7のカルボニルカルボン酸アニオンが好ましい。中でも、CH
3((CH
2)
nCO(CH
2)
p)COO
−(n及びpは0〜2の整数を示す。)で表わされるカルボニルカルボン酸アニオンが好ましい。具体的には、例えば、ピルビン酸等からプロトンが解離したアニオンが挙げられる。
【0052】
前記アルキルエーテルカルボン酸アニオンは、ポリオキシエチレンアルキルエーテル カルボン酸アニオンを含む、分子内にエーテル基を有する炭素数22〜22のカルボン酸アニオンであり、1〜2個のエーテル基を有する炭素数2〜12のアルキルカルボン酸アニオンが好ましい。中でも、CH
3(CH
2)
qO(CH
2)
rCOO
−(q及びrは0〜4の整数を示す。)で表わされるアルキルエーテルカルボン酸アニオンが好ましい。具体的には、例えば、メトキシ酢酸、エトキシ酢酸、メトキシ酪酸、エトキシ酪酸等からプロトンが解離したアニオンが挙げられる。
【0053】
前記ハロゲンカルボン酸アニオンとしては、炭素数2〜22のハロゲンカルボン酸アニオンが好ましい。具体的には、例えば、トリフルオロ酢酸、ペンタフルオロプロピオン酸、パーフルオロノナン酸等のフッ素置換のハロゲンカルボン酸等からプロトンが解離したアニオンが挙げられる。
【0054】
前記シアノ基含有カルボン酸アニオンとしては、炭素数3〜20のシアノ基含有カルボン酸等が好ましい。具体的には、シアノ酢酸、6‐シアノヘキサン酸等からプロトンが解離したアニオンが挙げられる。
【0055】
前記アミノ酸としては、特に限定されないが、グリシン、アラニン、グルタミン酸、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、イソロイシン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、システイン、ロイシン、リシン、プロリン、フェニルアラニン、トレオニン、セリン、トリプトファン、チロシン、メチオニン、バリン、サルコシン、アミノ酪酸、メチルロイシン、アミノカプリル酸、アミノヘキサン酸、ノルバリン、アミノ吉草酸、アミノイソ酪酸、チロキシン、クレアチン、オルニチン、オパイン、テアニン、トリコロミン、カイニン酸、ドウモイ酸、イボテン酸、アクロメリン酸、シスチン、ヒドロキシプロリン、ホスホセリン、デスモシン等からプロトンが解離したアニオンが挙げられる。
【0056】
また、前記アニオンに、より疎水性を付与する場合、アニオン中の水素は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素等のハロゲン元素に置換しても良く、前記アニオンのうちハロゲン系アニオン、フッ素系アニオン、フッ素を含むホウ素系アニオン、飽和脂肪族カルボン酸アニオン、不飽和脂肪族カルボン酸アニオン、脂環式カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオンが好ましい。また、飽和脂肪族カルボン酸アニオン、不飽和脂肪族カルボン酸アニオンの直鎖又は分岐鎖の炭化水素基の炭素数は4以上が好ましく、より好ましくは8以上、さらに12以上が好ましい。特に、フッ素系アニオン、フッ素を含むホウ素系アニオンは、水への溶解度が低く、エマルション状態を維持し易い点で優れるため、好適である。
【0057】
本発明のインキ組成物に用いるイオン液体は、カチオン及びアニオンは特に限定されるものではないが、カチオンに窒素、リン、硫黄、ハロゲンなどの金属に配位可能な原子を含有し、金属表面に防食膜を形成するため、チップ先端部の金属部材に対する防食の点で優れる。特に、カチオン、アニオンのどちらか、もしくは双方に窒素、酸素、リン、硫黄、ハロゲンの原子を含む配位性官能基を持つイオン液体は、良好な防食膜を形成して防食効果を発現するため特に好適である。
窒素原子カチオンを含むイオン液体は、カチオンを製造する場合の原料が、ホスホニウムカチオン、スルホニウムカチオンを製造する場合の原料よりも比較的安全性が高く、操作性、価格面に優れ、更に、多様性に富み、要求される物性に対してイオン液体の構造を幅広くデザインすることが可能であり、物性を微調整しやすいため好適である。窒素原子を含むカチオンとしては、アンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリニウムカチオン、ピラジニウムカチオン、トリアゾリウムカチオン、イソキノリニウムカチオン、オキサゾリニウムカチオン、モルホリニウムカチオン、ピリミジニウムカチオン、ピペラジニウムカチオン、トリアジニウムカチオン、キノリニウムカチオン、インドリニウムカチオン、キノキサリニウムカチオン、イソオキサゾリウムカチオン、カチオン性アミノ酸等が挙げられる。特に、アンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオンが好適である。
【0058】
前記イオン液体は一種又は二種以上を適宜混合して使用することができ、特に限定されるものではないが、好ましくは油性成分としてインキ組成物中の1重量%以上、特に好ましくは3重量%以上の組成比で適用される。
【0059】
前記油性成分中には、前述のイオン液体とともに、従来汎用の油性ボールペン用の有機溶剤を併用することもできる。例えば、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、tert−アミルアルコール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ベンジルグリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノフェニルエーテル、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルイソブチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルn−ブチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ギ酸n−ブチル、ギ酸イソブチル、酢酸メチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸プロピル等を例示できる。
【0060】
前記油性成分中に着色剤を添加することもできる。その際、従来から油性インキに適用される汎用の染料、顔料が適宜用いられる。
前記染料としては、例えば、カラーインデックスにおいてソルベント染料として分類される有機溶剤可溶性染料が挙げられる。
前記ソルベント染料の具体例としては、バリファストブラック3806(C.I.ソルベントブラック29)、同3807(C.I.ソルベントブラック29の染料のトリメチルベンジルアンモニウム塩)、スピリットブラックSB(C.I.ソルベントブラック5)、スピロンブラックGMH(C.I.ソルベントブラック43)、バリファストレッド1320、バリファストレッド1308(C.I.ベーシックレッド1の染料とC.I.アシッドイエロー23の染料の造塩体)、バリファストイエローAUM(C.I.ベーシックイエロー2の染料とC.I.アシッドイエロー42の染料の造塩体)、スピロンイエローC2GH(C.I.ベーシックイエロー2の染料の有機酸塩)、スピロンバイオレットCRH(C.I.ソルベントバイオレット8−1)、バリファストバイオレット1701(C.I.ベーシックバイオレット1とC.I.アシッドイエロー42の染料の造塩体)、スピロンレッドCGH(C.I.ベーシックレッド1の染料の有機酸塩)、スピロンピンクBH(C.I.ソルベントレッド82)、ニグロシンベースEX(C.I.ソルベントブラック7)、オイルブルー613(C.I.ソルベントブルー5)、ネオザポンブルー808(C.I.ソルベントブルー70)、バリファストブルー1621等が挙げられる。
前記顔料としては、カーボンブラック、群青、二酸化チタン顔料等の無機顔料、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、スレン顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、スレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリノン系顔料等の有機顔料、アルミニウム粉やアルミニウム粉表面を着色樹脂で処理した金属顔料、透明又は着色透明フィルムにアルミニウム等の金属蒸着膜を形成した金属光沢顔料、フィルム等の基材に形成したアルミニウム等の金属蒸着膜を剥離して得られる厚みが0.01〜0.1μmの金属顔料、金、銀、白金、銅から選ばれる平均粒子径が5〜30nmのコロイド粒子、蛍光顔料、蓄光性顔料、熱変色性顔料、芯物質として天然雲母、合成雲母、ガラス片、アルミナ、透明性フィルム片の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆したパール顔料等が挙げられる。
【0061】
更に、必要に応じて上記成分以外に、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防錆剤、他の潤滑剤、粘度調整剤、顔料分散剤、消泡剤、剪断減粘性付与剤、界面活性剤等の各種添加剤を使用できる。
前記添加剤はいわゆる慣用的添加剤と呼ばれるもので、公知の化合物から適宜必要に応じて使用することができる。
【0062】
また、前記水性成分や油性成分には、乳化剤が添加される。
前記乳化剤は、安定なエマルションを形成するために添加されるものであり、添加する成分に応じて市販の乳化剤を自由に選択して使用することができる。
前記乳化剤としては、例えば、ミリスチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、ジオレイン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸ジグリセリル、モノオレイン酸ジグリセリル、ジオレイン酸ジグリセリル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、モノステアリン酸テトラグリセリル、モノオレイン酸テトラグリセリル、トリステアリン酸テトラグリセリル、ペンタステアリン酸テトラグリセリル、ペンタオレイン酸テトラグリセリル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノステアリン酸ヘキサグリセリル、モノオレイン酸ヘキサグリセリル、トリステアリン酸ヘキサグリセリル、テトラベヘン酸ヘキサグリセリル、ペンタステアリン酸ヘキサグリセリル、ペンタオレイン酸ヘキサグリセリル、ポリリノレン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノリノール酸デカグリセリル、ジステアリン酸デカグリセリル、ジイソステアリン酸デカグリセリル、トリステアリン酸デカグリセリル、トリオレイン酸デカグリセリル、ペンタステアリン酸デカグリセリル、ペンタヒドロキシステアリン酸デカグリセリル、ペンタイソステアリン酸デカグリセリル、ペンタオレイン酸デカグリセリルヘプタステアリン酸デカグリセリル、ヘプタオレイン酸デカグリセリル、デカステアリン酸デカグリセリル、デカイソステアリン酸デカグリセリル、デカオレイン酸デカグリセリル、ポリリシノレン酸デカグリセリル、ポリオキシエチレンモノステアリン酸グリセリル、ポリオキシエチレンモノオレイン酸グリセリル、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノパルミチン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレントリステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノイソステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレントリオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンモノラウリン酸ソルビット、ポリオキシエチレンヘキサステアリン酸ソルビット、ポリオキシエチレンテトラステアリン酸ソルビット、ポリオキシエチレンテトラオレイン酸ソルビット、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレンフィトスタノール、ポリオキシエチレンコレスタノール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコール、ジステアリン酸ジエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、ジイソステアリン酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。また上記乳化剤のポリオキシエチレン鎖末端を硫酸エステル或いはリン酸エステルとしたアニオン性界面活性剤等も用いることができる。
【0063】
本発明のO/W型エマルションインキ組成物中に占める油性成分の割合は、重量%で1〜30%である。油性成分の割合が1%より小さいと、筆記性で満足な性能が得られ難くなるために好ましくない。また、油性成分の割合が30%より大きいと、流動性が損なわれて粘度上昇する結果、筆感が悪くなり、また油性インキに性質が近づくため、描線の裏抜け等の原因となり好ましくない。油性成分の好ましい割合は、重量%で1〜30%であり、更に好ましくは5〜20%である。
【0064】
前記油性成分と水性成分は、比重差が0.2以下、好ましくは、0.1以下になるように調整される。比重差が0.2以下の場合、油性成分の分散安定性が長期間維持し易くなるため、よりインキ安定性の高いエマルションインキとなる。
【0065】
エマルション化するための乳化分散方法は従来知られている種々の乳化方法、例えば、転相乳化方法、D相乳化方法、PIT乳化方法、機械的な乳化方法を用いることができる。
更に、油性溶液と水性溶液との攪拌混合は、例えば、混合撹拌機により各成分を均一に混合する方法や、ボールミル、ビーズミル、ロールミル、ホモミキサー、ディスパー、超音波分散機、高圧ホモジナイザー等の分散機を用いて各成分を分散混合する方法を用いることができる。このとき、油相成分と水性相成分とを同時に撹拌混合あるいは分散混合してもよく、また各成分を順次撹拌混合あるいは分散混合しても構わない。
例えば、撹拌機を用いて、水性成分に油性成分を撹拌しながら添加し混合することにより、油性成分が水性成分中に分散されたO/W型エマルションインキを得ることができる。
【0066】
前記ボールペン用O/W型エマルションインキ組成物を充填するボールペンの筆記先端部(チップ)の構造は、従来汎用の機構が有効であり、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、或いは、金属材料をドリル等による切削加工により形成したボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、或いは、金属製のパイプや金属材料の切削加工により形成したチップに抱持するボールをバネ体により前方に付勢させたもの等を適用できる。
また、前記ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック等からなる汎用のものが適用でき、直径0.1mm〜2.0mm、好ましくは0.15mm〜1.0mmの範囲のものが好適に用いられる。特に、ボール径が0.5mm以下の小径のものでは、筆記距離に対するボールの回転数が多くなることから、本発明のインキがより好適に作用する。また、前記ボールの材質のうち、硬度が高い超硬合金ボールは座摩耗を生じ易いため、本発明のインキ組成物が有用なものとなる。
【0067】
前記エマルションインキ組成物を収容する軸筒は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂からなる成形体が、インキの低蒸発性、生産性の面で好適に用いられる。
前記軸筒にはチップを直接連結する他、接続部材を介して前記軸筒とチップを連結してもよい。
前記軸筒内に収容されるインキ組成物は、インキ組成物が低粘度である場合は軸筒前部にインキ保留部材を装着し、軸筒内に直接インキ組成物を収容する方法と、多孔質体或いは繊維加工体に前記インキ組成物を含浸させて収容する方法が挙げられる。
【0068】
更に、前記軸筒として透明、着色透明、或いは半透明の成形体を用いることにより、インキ色やインキ残量等を確認できる。
尚、前記軸筒は、ボールペン用レフィルの形態として、前記レフィルを外軸内に収容するものでもよいし、先端部にチップを装着した軸筒自体をインキ収容体として、前記軸筒内に直接インキを充填してもよい。
【0069】
更に、インキ収容管(軸筒)内に充填されたインキ組成物の後端部にはインキ逆流防止体(液栓)を配することもできる。
前記インキ逆流防止体としては、液状または固体のいずれを用いることもでき、前記液状のインキ逆流防止体としては、ポリブテン、α−オレフィンオリゴマー、シリコーン油、精製鉱油等の不揮発性媒体が挙げられ、所望により前記媒体中にシリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、脂肪酸アマイド等を添加することもできる。また、固体のインキ逆流防止体としては樹脂成形物が挙げられる。前記液状及び固体のインキ逆流防止体は併用することも可能である。
【0070】
前記軸筒を用いたボールペンは、キャップ式、出没式のいずれの形態であっても適用できる。出没式ボールペンとしては、ボールペンレフィルに設けられた筆記先端部が外気に晒された状態で外軸内に収納されており、出没機構の作動によって外軸開口部から筆記先端部が突出する構造であれば全て用いることができる。
出没機構の操作方法としては、例えば、ノック式、回転式、スライド式等が挙げられる。
前記ノック式は、外軸後端部や外軸側面にノック部を有し、該ノック部の押圧により、ボールペンレフィルの筆記先端部を外軸前端開口部から出没させる構成、或いは、外軸に設けたクリップ部を押圧することにより、ボールペンレフィルの筆記先端部を外軸前端開口部から出没させる構成を例示できる。
前記回転式は、外軸に回転部(後軸等)を有し、該回転部を回すことによりボールペンレフィルの筆記先端部を外軸前端開口部から出没させる構成を例示できる。
前記スライド式は、軸筒側面にスライド部を有し、該スライドを操作することによりボールペンレフィルの筆記先端部を外軸前端開口部から出没させる構成、或いは、外軸に設けたクリップ部をスライドさせることにより、ボールペンレフィルの筆記先端部を外軸前端開口部から出没させる構成を例示できる。
尚、前記出没式ボールペンは、外軸内に一本のボールペンレフィルを収容したもの以外に、複数のボールペンレフィルを収容してなる複合タイプの出没式ボールペンであってもよい。
【実施例】
【0071】
以下に実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の表に実施例及び比較例のボールペン用O/W型エマルションインキの組成を示す。尚、表中の組成の数値は重量部を示す。
【0072】
【表1】
【0073】
表中の原料の内容について注番号に沿って説明する。
(1)オリエント化学工業(株)製、商品名:ウォーターブラックR510
(2)(株)アイゼン製、商品名:フロキシン(C.I.45410)
(3)第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフAL
(4)アーチケミカルズジャパン社製、商品名:プロキセルXL−2
(5)オリエント化学工業(株)製、商品名:オイルピンク312
(6)オリエント化学工業(株)製、商品名:バリファストブラック3830
(7)ポリビニルピロリドン樹脂、日本触媒(株)製、商品名:K−90
(8)〜(16)
【化1】
(17)日光ケミカルズ(株)製、商品名:Decaglyn 5−S
尚、前記イオン液体(8)〜(16)は、いずれも水への溶解度が0.15重量%未満である。
【0074】
ボールペンインキの調製
前記表1における比較例1を除く各成分は、70℃にて溶解した油性成分を、70℃の水30部(乳化用)に撹拌しながら投入することでエマルションを得た。これとは別に、乳化に用いた以外の水に対して水性成分を均一に溶解することで水性溶液を得た。更に、得られた水性溶液と前記エマルションとを均一になるまで撹拌することで実施例及び比較例のO/W型エマルションインキ組成物を得た。
得られたエマルションインキ組成物について、実施例の油性成分と水性成分の比重差は0.1以下であった。
また、比較例1の水性ゲルインキについては、各成分を混合し、回転数1000rpmの条件で1時間攪拌することに水性インキ組成物を得た。
【0075】
インキ逆流防止体の調製
基油としてポリブテン98.5部中に、増粘剤として脂肪酸アマイド1.5部を添加した後、3本ロールにて混練してインキ逆流防止体を得た。
【0076】
ボールペンの作製
直径0.5mmの超硬合金製ボールを抱持するステンレススチール製チップが透明ポリプロピレン製パイプの一端に嵌着されたボールペンレフィル内に、前記各インキ組成物を充填し、その後端に前記インキ逆流防止体を配設した後、前記ボールペンレフィルを軸筒に組み込み、キャップを装着することでボールペンを作製した。
【0077】
得られた各ボールペンを用いて以下の試験を行った。
機械筆記試験(筆記抵抗値測定)
筆記可能であることを確認した前記ボールペンを、室温にて円板式画線機(筆記角度75°、荷重100g、筆記速度4m/min)を用いて筆記した際の筆記抵抗値を測定した。尚、得られた値は、3本の筆記抵抗値データの平均値(単位:g)である。
手書筆記試験
筆記可能であることを確認した前記ボールペンを、室温にてレポート用紙(JIS P3201筆記用紙A)に手書きで1行に12個の螺旋状の丸を連続筆記した際の筆記感を確認した。
各試験の結果を以下に示す。
【0078】
【表2】
【0079】
尚、前記表2中の記号に関する評価は以下の通りである。
手書筆記試験
筆記感
○:軽くて滑らかな筆記感。
×:軽いが滑らかでない、もしくは筆記感が重い。
各試験の結果より、本発明のO/W型エマルションインキ組成物を使用したボールペンは、軽くて滑らかな筆感で永続的な筆記が可能であることが確認された。