特開2016-156820(P2016-156820A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-156820(P2016-156820A)
(43)【公開日】2016年9月1日
(54)【発明の名称】ルーペを備えた時計
(51)【国際特許分類】
   G04B 45/00 20060101AFI20160805BHJP
【FI】
   G04B45/00 G
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-30650(P2016-30650)
(22)【出願日】2016年2月22日
(31)【優先権主張番号】15156307.9
(32)【優先日】2015年2月24日
(33)【優先権主張国】EP
(71)【出願人】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル・サガルドワイビュリュ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】時計の美しさを損なう審美的な問題や、斜め等から見ても文字盤の光学的な変形のない、ルーペを備えた時計を提供する。
【解決手段】時計は、時計ムーブメントを収容するケースを含み、このケースは、時計ガラス12を備え、時計ガラス12は、時計ガラス12を通して視認可能な時計ムーブメントの1要素を、瞬間的に、視覚的に拡大する液体ズームレンズ14を支持する。液体レンズ14を、透明な液体20を含むリザーバの弾性膜16及び第1部分18によって形成する。液体レンズ14は、弾性膜16が略平坦となる非拡大状態と、透明な液体20に加えた圧力に応じてこの弾性膜16が湾曲形状となる拡大状態とで、切り換え可能である。時計は、リザーバの第2部分30の弾性壁34に押し込んで透明な液体20の圧力を変化させるために設けた作動装置52に加えて、ユーザによって、一変形例では、作動できる作動装置52を制御する手段24Aを含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計ガラス(12)を備えるケース、及び該ケースに収容される時計ムーブメント(6)を含む時計(2、42)であり、前記時計ガラスは、該時計ガラスを通して視認可能な前記時計ムーブメントの少なくとも1要素を、少なくとも瞬間的に、視覚的に拡大するために設けた光学拡大装置を支持する時計(2、42)であって、前記光学拡大装置は、少なくとも1つの液体ズームレンズ(14)を含み、該液体レンズを、透明な液体(20)を含むリザーバの第1部分(18)の下壁を画成する弾性膜(16)によって形成し、該弾性膜を、前記時計ガラス下に設け、前記リザーバの第1部分を、前記弾性膜と前記時計ガラスとの間に位置させること;前記液体レンズは、前記弾性膜が略平坦となる非拡大状態と、該弾性膜が湾曲形状となる少なくとも1つの拡大状態とで、切り換え可能であること;及び前記時計は、前記リザーバ内の前記透明な液体の圧力を変化させるために設けた作動装置(26、52)に加えて、該作動装置を制御する手段(24、24A)を含み、前記作動装置及び該作動装置の前記制御手段を、前記液体レンズの焦点距離を可変にするために、特に、前記非拡大状態と前記拡大状態とに前記液体レンズを切り換えるために、設けることを特徴とする時計。
【請求項2】
前記時計ムーブメントの前記要素は、アナログ表示部を形成し、前記液体ズームレンズを、前記アナログ表示部の前記要素に直交して配設することを特徴とする、請求項1に記載の時計。
【請求項3】
前記液体ズームレンズは、第1液体レンズである時計であって、前記光学拡大装置は、少なくとも1つの第2液体ズームレンズを更に含み、該第2液体ズームレンズを、前記第1液体レンズと同様に形成し、前記作動装置によって前記透明な液体の圧力を変化させることで、前記第2レンズの前記焦点距離を変化させるように、前記リザーバに接続することを特徴とする、請求項1又は2に記載の時計。
【請求項4】
前記リザーバの前記第1部分は、側壁を有し、該側壁を、前記弾性膜と同じ材料から形成し、該弾性膜と共に一片体で構成することを特徴とする、請求項1ないし3の何れかに記載の時計。
【請求項5】
前記リザーバは、前記時計ガラスの辺縁部下に設けた第2部分(30)を含むこと;前記リザーバの前記第1部分と前記第2部分とを流路(32)で接続し、該流路を、少なくとも部分的に前記時計ガラス下で該時計ガラスと平行に設け、前記流路は、前記弾性膜と同じ材料で形成し、前記弾性膜と共に一片体で構成する少なくとも1つの壁を有することを特徴とする、請求項4に記載の時計。
【請求項6】
前記リザーバの第2部分を、前記弾性膜と同じ材料で同様に形成し、該弾性膜と共に一片体で構成すること;前記第2部分は、弾性壁(34)を有すること;及び前記作動装置は、前記弾性壁に可変圧力を加えられるように前記弾性壁に対向して設ける圧力要素を含むことを特徴とする、請求項5に記載の時計。
【請求項7】
前記リザーバの前記第2部分を、該第2部分が前記時計ガラスを通して実質的に視認できないように、前記時計のベゼル(44)下で、前記時計ガラスと文字板(10)との間に設けた隆起部(46)より少なくとも部分的に後方に位置させることを特徴とする、請求項5又は6に記載の時計。
【請求項8】
前記リザーバの前記第1部分と前記弾性膜を、前記時計ガラスの視認可能な面全体の下に延在するエラストマ層内に形成し、前記時計ガラスの内面(22)と前記層の下面(50)との間の距離を、前記時計ガラスの前記視認可能な面全体の下で略一定にすることを特徴とする、請求項1ないし7の何れかに記載の時計。
【請求項9】
前記透明な液体(20)は、前記エラストマと略同じ屈折率を有することを特徴とする、請求項8に記載の時計。
【請求項10】
前記時計ムーブメントは、機械的ムーブメントであること;及び前記制御手段を、ユーザが前記ケースの外から機械的に作動可能な制御要素(24、24A)によって形成することを特徴とする、請求項1ないし9の何れかに記載の時計。
【請求項11】
前記制御要素は、押ボタンであることを特徴とする、請求項10に記載の時計。
【請求項12】
前記制御要素は、少なくとも1つのカムに接続する回転ベゼルであり、該カムを、前記回転ベゼルの少なくとも1つの第1角度位置で前記液体レンズを作動状態にするために、及び前記第1角度位置とは異なる少なくとも1つの第2角度位置で前記液体レンズを非作動状態のままにするために設けることを特徴とする、請求項10に記載の時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意のデータ、特にカレンダデータのアナログ表示を拡大するために、該表示を読み易くするために、或いは時計ムーブメント又は文字板の1要素若しくは一部分を拡大するために、時計ガラスのレベルにルーペを設ける時計の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
日付の表示を拡大するために、時計ガラスのレベルにルーペを備える時計は、前々から知られている。第1変形例によると、ルーペを、時計ガラス内に機械加工している。別の変形例では、拡大レンズをガラス内面の下に接着している。
【0003】
そうしたルーペは、窓の大きさや日付の印字が、特に各日付を1つの環又は円板上に印字している場合に、極小であることが多いため、ユーザに評価されている。しかしながら、消費者の中には、ルーペが時計の美しさを損ない、審美的な問題となると考える者もいる。実際に、ルーペは、時計の見た目をレトロ調にしてしまうことも多い。その上、遠くから又は斜めから見ると、文字板を光学的に変形させる。
【0004】
この問題を改善するために、時計技師らは、日付を表示するために文字板に設けた窓に関して「大きな窓」の時計とも呼ばれる、「大きな日付」の時計を提案した。そうした解決方法は、時計ムーブメントを一層複雑にするため、製作費が高くなる。また、大きな窓は、文字板上でより広い空間を占領し、関連するメカニズムは、時計ムーブメントの地板レベルで比較的扱いにくくなることが多く、それにより、この解決方法では、他の情報を配置する可能性が限定されてしまう。最後に、実施形態によっては、一般的に視認可能な様々なレベルに、数十日及び日付単位を設置するものもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、以上で説明した従来技術の課題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明の主題は、時計ガラスを備えるケース、及び該ケースに収容される時計ムーブメントを含む時計であり、該時計ガラスは、この時計ガラスを通して視認可能な時計ムーブメントの少なくとも1要素を、少なくとも瞬間的に、視覚的に拡大するために設けた光学拡大装置を支持する時計とする。光学拡大装置は、液体ズームレンズを含み、該液体レンズを、透明な液体を含むリザーバの第1部分の下壁を画成する弾性膜によって形成する。弾性膜を、時計ガラス下に設け、リザーバの第1部分を、この弾性膜とこの時計ガラスとの間に位置させる。液体レンズは、弾性膜が略平坦となる非拡大状態と、この弾性膜が湾曲形状となる少なくとも1つの拡大状態とで、切り換え可能である。また、時計は、リザーバ内の透明な液体の圧力を変化させるために設けた作動装置、及び作動装置を制御する手段を含む。この作動装置及び該作動装置の制御手段を、液体レンズの焦点距離を可変にするために、特に、非拡大状態と拡大状態とにこの液体レンズを切り換えるために、設ける。
【0007】
液体ズームレンズを、時計における任意のデータ、特にカレンダを読むためのルーペを形成するために、又は時計ガラスを通して視認可能な時計ムーブメントの1要素を拡大して見るために新たに適用することで、従来技術の課題に見事に対処できる。事実、ユーザが、例えば日付を知りたいときに、ルーペを液体レンズによって瞬間的に形成して、日付を拡大するのに、作動装置に接続した制御手段を自分で作動させるだけでよい。一旦読み取った後、液体レンズは、該レンズの弾性膜を略平坦な状態に戻すことができる。この弾性膜を平坦にした非作動状態では、拡大効果がなくなり、液体レンズは辛うじて視認可能となる、及び本発明の好適な実施形態によると、ある程度視認できなくさえなる。
【0008】
本発明に関する他の特定の特徴について、以下で[発明を実施するための形態]において説明する。
【0009】
本発明について、決して限定目的ではなく、例示目的で挙げた添付図を用いて、後述する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明による時計の第1実施形態の第1変形例を、液体レンズを非拡大状態にして、図式的に断面図で、示している。
図2】液体レンズを拡大状態にした、図1と同様な図である。
図3】第1実施形態の改良した第2変形例を、液体レンズを非拡大状態にして、断面図で、示している。
図4図3の液体レンズを形成するエラストマ構造体に関して上から見た図であり、図3のIV−IV線に沿った断面図に相当する。
図5】複数の液体レンズを画成するエラストマ構造体の変形例を、図4と同様に、上から見た図である。
図6】横断面図で、本発明による時計の第2実施形態を示している。
図7図6の時計に関する、この図6のVII−VII線に沿った水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1及び図2を用いて、本発明による時計に関する第1実施形態の第1変形例について以下で記載するが、この第1変形例を、図式的に表す。時計2は、カレンダデータのアナログ表示部8を有する時計ムーブメント6を収容するケース4を含む(本発明の効果を図面で示すために、断面に「A」と記したが、実際には、これらのカレンダデータは、リング9の上面に印字されており、文字板10にある窓を通して視認可能である)。このケースは、このアナログ表示部上方に配設する時計ガラス12を含む。本発明によると、この時計は、特定の変形例によると、アナログ表示部8に垂直に配設する液体ズームレンズ14を含む。この液体レンズは、カレンダデータを読むために光学拡大レンズを、断続的に要求に応じて、形成可能にする。そのために、液体レンズを、弾性膜16によって形成し、該弾性膜は、透明な液体20が存在するリザーバの第1部分18の下壁を画成する。液体レンズを、時計ガラスの下に配置し、弾性膜は、このガラスの内面22から離間し、リザーバの第1部分は、弾性膜とこのガラスの間に延在する。
【0012】
弾性膜16を略平坦にした非拡大状態(図1)と、弾性膜16を、透明な液体に加えた圧力に対応して湾曲させた拡大状態(図2)とに液体レンズを切り換えるために、時計は、作動装置と該作動装置を制御する手段を共に画成する押ボタン24を、更に含む。一般に、作動装置を、透明な液体の圧力を変動させるために設け、制御手段を、時計のユーザによって作動可能にする。そのため図1及び図2で表した図式的な変形例では、作動装置と制御手段を、ユーザがケース外から機械的に作動できる単一の押ボタンによって形成している。他の変形例では、作動装置と制御手段とを分離する。機械式時計ムーブメントの場合には、作動装置及び制御手段を機械式にするのが好ましい。逆に、電子式ムーブメントでは、一変形例を、制御手段を電子式にし、作動装置を、例えば圧電モータによって電気的に作動させるよう設計できる。一般に、制御手段を、上記のように、外部に設けることができる、又は内部(例えば、時計ムーブメントの所定状態)に設けることができる。
【0013】
改良した一実施形態では、時計のアナログ表示部に対する針の衝突防止システムを設ける。第1変形例では、針が液体レンズの下又は付近にある場合には、液体レンズの作動を防ぐメカニズムを設ける。第2変形例では、光学レンズの作動中に針が衝突する虞がある場合に、液体レンズを拡大状態にする前に、針(複数可)の適切な位置に瞬間的に変位させるメカニズムを設ける。そうして変位させた針(複数可)を、液体レンズが再び非拡大状態になると、針(複数可)の正しい位置に戻す。
【0014】
「弾性膜」とすることで、例えば、ユーザの指でピストンに軽く力を加えて透明な液体を押圧するという動作で、かなり弾力的に変形する膜であることが、理解される。一変形例では、弾性膜を、かかる力を距離1〜2ミリメートルに亘り加えた動作で、略半球体(例えば、半径3〜4ミリメートルの)を形成するように変形可能なものを選択する。
【0015】
特定の特徴によると、リザーバの第1部分18は、側壁28を有し、該側壁を、弾性膜と同じ材料から形成し、該弾性膜と共に一片体で構成する。側壁28の厚さを、好適には、弾性膜の厚さより厚くする。側壁の厚さ分だけ、ガラス12と平行な寸法があることが分かるが、それは、この寸法で側壁の剛性を確保するためである。リザーバの第1部分の構成を、液圧20の変化が膜16を実質的に変形だけさせるように、設ける。
【0016】
別の特定な特徴によると、リザーバは、ケース4の内周に設けた第2部分30を含む。リザーバの第1部分と第2部分を、流路32で接続し、該流路32を、少なくとも部分的に時計ガラスの下で、時計ガラスに平行に設け、この流路は、弾性膜と同じ材料で形成し、この弾性膜と共に一片体で構成する少なくとも1つの壁部を有する。
【0017】
他の特定の特徴によると、リザーバの第2部分を、時計ガラスの辺縁部の下に設け、流路を全体的に、時計ガラスの下に設ける。流路は、1つの壁を時計ガラスによって形成し、中間層で被覆する又は被覆しないで有し、残りの壁を、弾性膜と同じ材料で形成し、この弾性膜と共に一片体で構成する。リザーバの第2部分も、同様に、弾性膜と同じ材料で形成し、この弾性膜と共に一片体で構成する。
【0018】
別の特定の特徴によると、リザーバの第2部分30は、弾性壁とも呼ばれる、弾性変形可能な壁34を有し、押ボタン24は、この弾性壁に様々な圧力を加えられるように、この弾性変形可能な壁に対向して設ける圧力要素26を含む。
【0019】
別の特定の特徴によると、弾性膜16を、エラストマ、特にポリジメチルシロキサン(PDMS)で形成する。この材料の屈折率は、約1.4に等しい。好適な変形例では、透明な液体の屈折率は、エラストマ構造体の屈折率と略同じである。第1実施例では、透明な液体は、グリセロール約60%と水約40%を含む。第2実施例では、透明な液体は、エチレングリコール約73.5%とエタノール約26.5%を含む。他の混合物を、高屈折率と低屈折率の液体から作製することもでき、そうした液体を、他のパラメータ、特に粘着性を同様に調整するために、選択可能である。
【0020】
好適な変形例では、弾性膜、リザーバの2部分及び該2部分を接続する流路を、同一のエラストマ構造体によって、及び時計ガラスによって形成する。リザーバの第1部分18の弾性膜16と該リザーバの第2部分30の弾性壁34だけが、透明な液体20の圧力を上昇させるために作動装置を作動させた際に、大幅に変形するようにする。このエラストマ部分を、金型を用いて得ることができる。エラストマを重合させると直ぐに、エラストマ部分の上面を、ガラスの内面22に対して接着することを意図して、酸素プラズマ処理を施すのが好ましい。かかる処理は、ガラスの内面に対しても同様に作用する。その結果、エラストマ構造体が、内面22に対して接着され、そうして形成したリザーバを、透明な液体で充填する。液体の導入用開口部を密封すると、液体ズームレンズが得られる。好適には、リザーバの第2部分を除いて、エラストマ部分で、一定の厚さの層を画成する、即ち、時計ガラスの内面22とこの層の下面50との距離を、略一定にする。好適な変形例では、エラストマ層は、時計ガラスの視認可能な面全体の下に広がる。
【0021】
図3及び図4を用いて、上記の第1実施形態の第2変形例について説明するが、この第2変形例は、以下で説明する幾つかの更なる特徴のために第1変形例より改善されている。既に上述した要素については、再び詳述しない。
【0022】
時計40は、標準的に、中間部分42、ベース43及びベゼル44から形成するケースを含む。透明な液体リザーバ20は、液体レンズ14を形成する第1部分18と、時計ガラスの辺縁部の下に設ける第2部分30を含む。リザーバを有する液体ズームレンズ及び該リザーバの第1部分18と第2部分30を接続する流路32を、時計ガラス12の内面22に接着する同一のエラストマ構造体48によって形成する。
【0023】
この第2変形例は、リザーバの第2部分30が、該第2部分を時計ガラスから実質的に視認できないように、時計40のベゼル44下で、時計ガラス12と文字板10との間に設けた隆起部46より少なくとも部分的に後方に位置するため、審美的に有利である。
【0024】
好適な特徴によると、日付表示部8に対向して液体レンズを形成するリザーバの第1部分18及び弾性膜16を、構造体48のエラストマ層に形成するが、この層は、時計ガラス12の視認可能な面全体の下に広がり、この時計ガラスの内面22と反対側では平面を有する。また、ガラス12の視認可能な面の下に位置する流路32の少なくとも一部を、この層に設ける。時計ガラスはここでは、平坦な内面を有するため、エラストマ層、及びリザーバの第1部分18と流路32に位置する透明な液体20は、時計ガラスの視認可能な面の下で一定の厚さを有する。つまり、ガラスの内面と構造体48の下面50との間の距離が、時計ガラスの視認可能な面全体の下に略一定になるようにする。湾曲したガラスの場合には、エラストマ層は、平行且つ湾曲した下面と上面を有する。また、有利な変形例では、透明な液体は、エラストマと略同じ屈折率を有する。液体レンズ14が非拡大状態(図3)にある場合では、このレンズの存在は、時計のユーザに視認できない。従って、このレンズは、弾性膜16を湾曲するために、及び日付を拡大させる(液体レンズの拡大状態)ために、ユーザが制御手段(図示した例では、押ボタン24A)を作動させた際にのみ視認可能になる。
【0025】
この第2変形例では、時計40は、透明な液体の圧力を変化させるために設ける作動装置52、及び該作動装置に接続し、時計のユーザが作動できる制御手段24Aを含む。リザーバの第2部分30は、弾性壁34を有し、作動装置を、該弾性壁に対向して設けた圧力要素によって形成する。
【0026】
図5では、複数の液体レンズ55、56、57及び58を設け、各レンズを、上述したように、リザーバの分離した第1部分18A、18B、18C及び18Dによってそれぞれ形成した実施形態の変形例によるエラストマ構造体48Aについて、図4と同様な断面で、図式的に示している。リザーバのこれら第1部分を、作動装置が作用する弾性壁34にあるリザーバの第2部分30に全て接続する。液体レンズを、図示したように、流路32Aによって互いに接続でき、流路32Aはまた、これらの液体レンズを、リザーバの第2部分にも接続する。別の変形例では、各液体レンズを各自の流路で、リザーバのこの第2部分に接続できる。従って、各液体レンズの焦点距離を、同時に変えられる。図5で示した実施例では、4つの液体レンズを、4カレンダ項目、即ち、曜日、年、月、日を拡大するために、設ける。
【0027】
特定の実施形態によると、時計ムーブメント6は、機械的ムーブメントである。押ボタン24Aは、ユーザがケースの外から機械的に作動可能で、押ボタンを加圧すると、圧力要素が弾性壁34を押圧して、変形するように、作動装置に接続される。ただし、リザーバの第2部分の形状及び配置は、異なる変形例では、異なることがあり、作動装置が、図3で示したものよりも複雑になることがある。特に、この作動装置を、圧力要素を画成する終端部分を有する複数の部分から形成することがある。
【0028】
図6及び図7では、本発明による時計62の第2実施形態を、図式的に表している。この時計は、時計ガラス12を支持する中間部分65、ベース66及び固定ベゼル67から形成するケース64を含む。既に上述した参照番号については、再びここで説明しない。この第2実施形態は、作動装置の制御手段に関する構成が実質的に第1実施形態と異なる。作動装置52Aを、上述したように、透明液体リザーバの第2部分30の弾性壁34に対向して位置するピストンによって形成する。この作動装置の制御手段を、ピン又は環状リング72によって円形カム70に接続する回転竜頭68によって形成する。カム70の内部形状74は、リザーバの第2部分30の方向にピストン52Aを作動させるために設けた少なくとも1つの突出部76を画成し、それにより、液体ズームレンズ14を通して所望する倍率を得るために、このピストンの頭部を弾性壁34に押し込んで、透明な液体の圧力を上昇させるようにする。従って、円形カムは、作動装置52Aに対向して位置合わせすると、液体レンズを拡大状態にできる少なくとも1つの突出部(図7で示した実施例では、4か所存在する)、及びこの突出部から後退して位置し、作動装置に対向して位置合わせすると、液体レンズを非拡大状態のままにする少なくとも1つの円形部分78を有する。好適には、円形部分78の半径を、ピストン52Aが、液体レンズ14の弾性膜16を平坦にする、即ち変形させないリザーバ内圧力に対応する径方向位置を有するように、選択する。回転ベゼル68を順送りに作動させることで、ユーザは、液体レンズ14を、拡大状態(作動状態)から非拡大状態(非作動状態)に移動できる。
【0029】
一般に、回転ベゼルを、該回転ベゼルの少なくとも1つの第1角度位置で液体レンズを作動させるために、及び第1角度位置と異なる少なくとも1つの第2角度位置で液体レンズを非作動状態のままにするために設けた少なくとも1個のカムに接続する。なお、実施形態の変形例、及び他の制御手段も、当業者は想定できる。例えば、回転ベゼルを、2角度位置間だけに、例えば60度離隔させて設けることができ、これら2位置は、其々液体レンズの作動状態と非作動状態に対応する。別の変形例では、カムが、透明な液体リザーバの弾性壁を直接押圧するようにできる。なお、またここでも、回転ベゼルを、時計の他の機能を作動するのに更に使用できる。
【0030】
上述した本発明の実施形態の変形例では、液体レンズは、文字板の窓を通して視認可能な日付表示、より一般的にはカレンダデータを瞬間的に拡大するために、ルーペを形成する。これは、本発明の一特定用途にすぎない。実際、液体レンズを、特に円板又は手動によるアナログ表示、或いはデジタル表示で任意の情報を断続的に拡大するために、使用できる。従って、互いに流路で接続した複数の液体レンズを用いて、小さな文字板の情報を拡大できる。他の特定用途では、液体レンズは、時計ムーブメントの記銘(signature)、このムーブメントのブランド、要素又は部品、特にメカニズム、共鳴器、脱進機、石、彫刻等を瞬間的に拡大する役割を果たす。
【0031】
最後に、本発明による時計は、複数の独立した液体レンズ、即ち其々が独自のリザーバを有する液体レンズを含むことができる。其々1つの作動装置又は複数の作動装置を、設けられる。同様に、複数の制御手段(例えば複数の押ボタン)、或いは同一の制御手段(例えば、様々なリザーバ内の透明な液体の圧力を連続的に変化させるために、また場合によっては、複数の液体レンズを同時に所与の一角度位置で作動させるために設けた回転ベゼル)を設けることができる。
【符号の説明】
【0032】
2、40、62 時計
4、64 ケース
6 時計ムーブメント
8 アナログ表示部
9、72 リング
10 文字板
12 時計ガラス
14、55、56、57、58 液体ズームレンズ
15 弾性膜
18 第1部分
20 液体
22 内面
24 押ボタン
26 圧力要素
28 側壁
30 第2部分
32 流路
34 弾性壁
42、65 中間部分
43、66 ベース
44、67 ベゼル
48 エラストマ構造体
52A 作動装置
68 竜頭
70 カム
74 内部形状
76 突出部
78 円形部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7