特開2016-157926(P2016-157926A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-157926(P2016-157926A)
(43)【公開日】2016年9月1日
(54)【発明の名称】回路基板および回路基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20160805BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20160805BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20160805BHJP
【FI】
   H05K3/46 U
   H05K3/46 B
   H05K3/46 N
   H05K3/46 Q
   H01L23/12 J
   H01L23/12 N
   H01L23/12 B
   H01L23/36 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-17522(P2016-17522)
(22)【出願日】2016年2月1日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0025165
(32)【優先日】2015年2月23日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】タエ−ホン ミン
(72)【発明者】
【氏名】ミュン−サム カン
(72)【発明者】
【氏名】ジン−ヒュク ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ヨン−グヮン コ
【テーマコード(参考)】
5E316
5F136
【Fターム(参考)】
5E316AA03
5E316AA32
5E316AA43
5E316CC02
5E316CC16
5E316CC41
5E316EE31
5E316FF07
5E316FF15
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG22
5E316GG28
5E316HH17
5E316JJ12
5E316JJ13
5E316JJ26
5E316JJ28
5F136BB03
5F136BB05
5F136FA23
(57)【要約】
【課題】本発明は、回路基板および回路基板の製造方法に関する。
【解決手段】グラファイトまたはグラフェン材質の第1コア層と、金属材質からなり、前記第1コア層の一面および他面にそれぞれ備えられる第2コア層および第3コア層と、を含むコア部が備えられており、第1コア層の一面と他面との間を貫通するスルーホールが第1コア層に備えられ、このスルーホールの内部に金属材質が充填されている回路基板を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラファイト(graphite)またはグラフェン(graphene)材質からなり、一面と他面との間を貫通するスルーホールが形成された第1コア層と、
金属材質からなり、前記第1コア層の一面および他面にそれぞれ形成された第2コア層および第3コア層と、を含むコア部を含み、
前記スルーホールには、前記第2コア層および前記第3コア層をなす前記金属材質が充填されている回路基板。
【請求項2】
前記コア部の一面と他面との間を貫通するスルービアが前記スルーホールの内側を貫通する、請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
前記コア部の一面または他面に回路パターンが備えられており、前記スルービアの外面と前記コア部の表面との間、および前記回路パターンの外面と前記コア部の表面との間に絶縁膜が備えられる、請求項2に記載の回路基板。
【請求項4】
前記第2コア層または前記第3コア層を貫通するビアが備えられており、前記ビアの表面と前記コア部との間に絶縁膜が備えられる、請求項1から3の何れか一項に記載の回路基板。
【請求項5】
前記スルーホールは、前記スルービアが内側を貫通する第1スルーホールと、前記スルービアが内側を貫通しない第2スルーホールと、を含む、請求項2または3に記載の回路基板。
【請求項6】
前記第1コア層の外周縁側壁の少なくとも一部が前記第2コア層および前記第3コア層の外部に露出される、請求項1から5の何れか一項に記載の回路基板。
【請求項7】
前記第1コア層の外周縁側壁の少なくとも一部が前記第2コア層および前記第3コア層をなす金属材質で覆われる、請求項1から6の何れか一項に記載の回路基板。
【請求項8】
前記コア部の一面と他面との間を貫通するキャビティ(cavity)が備えられており、前記キャビティの内部に第1電子部品の少なくとも一部が挿入される、請求項1から7の何れか一項に記載の回路基板。
【請求項9】
前記第1電子部品の外周縁側壁の少なくとも一部が絶縁膜を挟んで前記キャビティに接触される、請求項8に記載の回路基板。
【請求項10】
前記第1コア層の表面にプライマー層が備えられる、請求項1から9の何れか一項に記載の回路基板。
【請求項11】
前記第1コア層は、グラファイトまたはグラフェンの表面にプライマー層が備えられてなる単位体が積層されてなる、請求項1から10の何れか一項に記載の回路基板。
【請求項12】
グラファイト(graphite)またはグラフェン(graphene)材質からなり、一面と他面との間を貫通するスルーホールが形成された第1コア層を提供する段階と、
前記スルーホールの内部に金属材が充填されるように前記第1コア層の一面および他面に前記金属材を提供して第2コア層および第3コア層を形成することで、コア部を形成する段階と、
前記コア部の一面と他面との間を貫通し、且つ前記スルーホールの内側を通過するスルービアホールを形成する段階と、
前記スルービアホールの内側壁に絶縁膜を形成する段階と、
前記スルービアホールに導体を充填してスルービアを形成する段階と、を含む回路基板の製造方法。
【請求項13】
前記スルービアホールを形成する段階と前記絶縁膜を形成する段階との間に、
前記第2コア層または前記第3コア層を貫通して前記第1コア層を露出させるビアホールを形成する段階をさらに含む、請求項12に記載の回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板および回路基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の軽量化、小型化、高速化、多機能化、および高性能化の傾向に対応するために、プリント回路基板(Printed Circuit Board;PCB)などの回路基板に複数の配線層を形成する、いわゆる多層基板技術が開発されており、さらに、能動素子や受動素子などの電子部品を多層基板に搭載する技術も開発されている。
【0003】
一方、多層基板に連結されるアプリケーションプロセッサ(Application processor;AP)などの多機能化および高性能化により、発熱量が著しく増加している状況である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国登録特許第10‐0976201号公報
【特許文献2】特開2000−349435号公報
【特許文献3】特開平11−284300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一つの目的は、回路基板の放熱性能の向上、軽薄短小化、信頼性の向上、製造効率の向上の少なくとも一つが可能な技術を提供することにある。
【0006】
本発明が解消しようとする技術的課題は、上述の技術的課題に制限されず、言及されていない他の技術的課題は、以下の記載から本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が明確に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の例示的な実施形態による回路基板には、グラファイトまたはグラフェン材質の第1コア層と、金属材質からなり、前記第1コア層の一面および他面にそれぞれ備えられる第2コア層および第3コア層と、を含むコア部が備えられる。そして、第1コア層には、第1コア層の一面と他面との間を貫通するスルーホールが備えられており、このスルーホールの内部に金属材質が充填されている。
【0008】
一実施形態において、スルーホールを通過するスルービアが備えられることができ、第2コア層または第3コア層の何れか一つを貫通して第1コア層に接触されるビアが備えられることができる。
【0009】
一実施形態において、スルービア、ビア、回路パターンなどがコア部に形成されることができ、コア部の表面とスルービア、ビア、回路パターンなどとの間の境界面には絶縁膜が備えられることができる。
【0010】
一実施形態において、コア部にはキャビティが備えられて電子部品が挿入されることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態によれば、回路基板が軽薄短小化するとともに、放熱性能が向上する。
【0012】
また、回路基板の放熱性能が向上するとともに、信頼性を確保することができるため、電子製品の高性能化による発熱問題に効果的に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態による回路基板を概略的に例示した図面である。
図2】本発明の他の実施形態による回路基板を概略的に例示した図面である。
図3】本発明の一実施形態による回路基板に適用される第1コア層の一例を概略的に例示した図面である。
図4】本発明の一実施形態による回路基板に適用される第1コア層の他の例を概略的に例示した図面である。
図5A】本発明の一実施形態による回路基板の製造方法を説明するための図面であって、第1コア層を提供した状態を例示した図面である。
図5B】本発明の一実施形態による回路基板の製造方法を説明するための図面であって、第2コア層および第3コア層をさらに形成した状態を例示した図面である。
図5C】本発明の一実施形態による回路基板の製造方法を説明するための図面であって、スルービアホール、ビアホール、およびキャビティをさらに形成した状態を例示した図面である。
図5D】本発明の一実施形態による回路基板の製造方法を説明するための図面であって、絶縁膜をさらに形成した状態を例示した図面である。
図5E】本発明の一実施形態による回路基板の製造方法を説明するための図面であって、第1電子部品を挿入し、スルービアおよびビアをさらに形成した状態を例示した図面である。
図5F】本発明の一実施形態による回路基板の製造方法を説明するための図面であって、第1上部絶縁層および第1下部絶縁層をさらに形成した状態を例示した図面である。
図5G】本発明の一実施形態による回路基板の製造方法を説明するための図面であって、第2上部絶縁層および第2下部絶縁層をさらに形成した状態を例示した図面である。
図6A】本発明の他の実施形態による回路基板の製造方法を説明するための図面であって、第1コア層を提供した状態を例示した図面である。
図6B】本発明の他の実施形態による回路基板の製造方法を説明するための図面であって、第2コア層および第3コア層をさらに形成した状態を例示した図面である。
図6C】本発明の他の実施形態による回路基板の製造方法を説明するための図面であって、スルービアホール、ビアホール、およびキャビティをさらに形成した状態を例示した図面である。
図6D】本発明の他の実施形態による回路基板の製造方法を説明するための図面であって、絶縁膜をさらに形成した状態を例示した図面である。
図6E】本発明の他の実施形態による回路基板の製造方法を説明するための図面であって、第1電子部品を挿入し、スルービアおよびビアをさらに形成した状態を例示した図面である。
図6F】本発明の他の実施形態による回路基板の製造方法を説明するための図面であって、第1上部絶縁層および第1下部絶縁層をさらに形成した状態を例示した図面である。
図6G】本発明の他の実施形態による回路基板の製造方法を説明するための図面であって、第2上部絶縁層および第2下部絶縁層をさらに形成した状態を例示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の利点および特徴、そしてそれらを果たす技術などは、添付の図面とともに詳細に後述する実施形態を参照すると明確になるであろう。しかし、本発明は以下に開示される実施形態に限定されず、互いに異なる様々な形態に具現することができる。本実施形態は、本発明の開示を完全にするとともに、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に伝達するために提供されることができる。明細書全体において、同一の参照符号は同一の構成要素を示す。
【0015】
本明細書で用いられる用語は、実施形態を説明するためのものであり、本発明を限定しようとするものではない。本明細書において、単数型は文章で特に言及しない限り複数型も含む。明細書で用いられる「含む(comprise)」および/または「含んでいる(comprising)」と言及された構成要素、段階、動作および/または素子は一つ以上の他の構成要素、段階、動作および/または素子の存在または追加を排除しない。
【0016】
図示の簡略化および明瞭化のために、図面は一般的な構成方式を図示しており、本発明の説明において実施形態の論議を不明瞭にすることを避けるために、公知の特徴および技術に関する詳細な説明を省略することができる。さらに、図面の構成要素は必ずしも縮尺に従って図示されたものではない。例えば、本発明の実施形態の理解を容易にするために、図面の一部の構成要素のサイズが他の構成要素に比べ誇張されることがある。互いに異なる図面における同一の参照符号は同一の構成要素を示し、必ずしもそうではないが、類似の参照符号は類似の構成要素を示すことができる。
【0017】
明細書および請求範囲において、「第1」、「第2」、「第3」および「第4」などの用語が記載されている場合、類似した構成要素同士を区別するために用いられ、必ずしもそうではないが、特定の順次または発生順序を記述するために用いられる。そのように用いられる用語は、ここに記述された本発明の実施形態が、例えば、ここに図示または説明されたものではなく他のシーケンスで動作するように適切な環境下で互換可能であることを理解することができる。同様に、ここで、方法が一連の段階を含むと記述される場合、ここに提示されたそのような段階の順序が必ずしもそのような段階が実行される順序であるわけではなく、任意に記述された段階は省略することができ、および/またはここに記述されていない任意の他の段階をその方法に付加することができる。
【0018】
明細書および請求範囲において、「左側」、「右側」、「前」、「後」、「上部」、「底部」、「上に」、「下に」などの用語が記載されている場合には、説明のために用いられるものであり、必ずしも不変の相対的な位置を記述するためのものではない。そのように用いられる用語は、ここに記述された本発明の実施形態が、例えば、ここに図示または説明されたものではなく他の方向に動作するように適切な環境下で互換可能であることを理解することができる。ここで用いられた用語「連結された」は、電気的または非電気的な方式で直接または間接的に接続されることに定義される。ここで、互いに「隣接する」と記述された対象は、その文章が用いられる文脈に対して適切に、互いに物理的に接触するか、互いに近接するか、互いに同一の一般的な範囲または領域に存在することができる。
【0019】
以下、添付の図面を参照して本発明の構成および作用効果についてより詳細に説明する。
【0020】
図1は本発明の一実施形態による回路基板100を概略的に例示した図面であり、図2は本発明の他の実施形態による回路基板200を概略的に例示した図面であり、図3は本発明の一実施形態による回路基板100に適用される第1コア層11´の一例を概略的に例示した図面であり、図4は本発明の一実施形態による回路基板100に適用される第1コア層11´´の他の例を概略的に例示した図面である。
【0021】
図面を参照すれば、本発明の一実施形態による回路基板100はコア部10を含む。コア部10の上には、絶縁層および回路パターン層が備えられることができ、必要に応じて、複数の層をなすことができる。
【0022】
一実施形態において、コア部10は、第1コア層11〜第3コア層13からなることができる。この際、第1コア層11はグラファイト(graphite)またはグラフェン(graphene)からなり、第2コア層12および第3コア層13は銅(Cu)などの金属材質からなることができる。
【0023】
通常、グラファイトまたはグラフェンは、炭素が相互結合してなる板状構造を有しており、この板状構造が複数の層に積層されることもある。ここで、炭素が板状構造をなす平面をXY平面と称し、複数の板状構造が積層される方向をZ軸方向と称することができる。そして、グラファイトまたはグラフェンは、一般的な銅などの金属材質に比べ熱伝導度が著しく高く、特に、Z軸方向に比べXY平面方向への熱伝導度が著しく高い。
【0024】
したがって、第1コア層をなすグラファイトまたはグラフェンのXY平面方向が水平方向を向く場合、回路基板の一地点で発生した熱が回路基板の全体領域に迅速に分散されることとなり、これにより、放熱性能が向上することができる。また、第1コア層をなすグラファイトまたはグラフェンのXY平面方向が垂直方向を向く場合、回路基板の上面から下面への方向、またはその逆方向に熱が迅速に移動することができることとなる。
【0025】
一方、第1コア層をなすグラファイトまたはグラフェンは、金属材質に比べ硬度が相対的に低い。特に、板状構造が積層されてなるグラファイトまたはグラフェンの場合、積層された板と板との結合力が相対的に低い。また、グラファイトまたはグラフェンからなる第1コア層と、金属材質の第2、3コア層は、その材質が互いに異なるため、境界面における結合力が相対的に弱化され得る。
【0026】
しかし、本発明の一実施形態による回路基板100は、第1コア層11の一面および他面に金属材質の第2コア層12および第3コア層13が備えられる。そして、この金属材質は、第1コア層11を貫通するスルーホールの内部にも充填される。
【0027】
すなわち、図面に例示されたように、第1コア層11にスルーホールが備えられており、第2コア層12と第3コア層13とがスルーホールを介して一体に連結されて第1コア層11を強固に支持することができる。これにより、第1コア層11をなすグラファイトまたはグラフェンの板状構造の相互間の結合力が向上し、さらに、異種材質の第2コア層12および第3コア層13との境界面における結合力も向上することができる。
【0028】
一実施形態において、コア部10を貫通するスルービアTV1、TV2が備えられる。この際、スルービアTV1、TV2は複数個備えられることができ、このように複数個備えられたスルービアTV1、TV2の少なくとも一つは、スルーホールを通過することができる。そして、スルーホールも複数個備えられることができ、スルービアTV1、TV2が貫通するスルーホールは、スルービアTV1、TV2より大きい直径を有することができる。また、スルービアTV1、TV2が貫通しないスルーホールの直径は制限されないが、少なくともスルービアTV1、TV2が貫通するスルーホールよりは小さい直径となるようにすることで、コア部10の信頼性を確保しながらも、第1コア層11の熱伝逹性能を最大限向上させることができる。図面では、スルービアTV1、TV2が貫通するスルーホールをH1と示し、スルービアTV1、TV2が貫通しないスルーホールをH2と示した。
【0029】
一実施形態において、コア部10のうち第1コア層11を除いた第2コア層12または第3コア層13のみを貫通するビアV1、V1´、V2、V2´が備えられることができる。このビアがグラファイトまたはグラフェン材質からなる第1コア層11に接触されることで、第1コア層11との熱伝達効率が向上することができる。
【0030】
一実施形態において、コア部10の一面および他面の少なくとも一部には回路パターンが備えられることができる。そして、この回路パターンの一部は、上述のスルービアTV1、TV2またはビアに接触されることができる。
【0031】
一方、第2コア層12および第3コア層13は金属材質からなる。そのため、第2コア層12または第3コア層13の外面に導体パターンが直接接触される場合、不要な電気的連結が生じ得る。したがって、本発明の一実施形態による回路基板100は、第2コア層12または第3コア層13と導体パターンとの間に絶縁膜14を備えることで、絶縁性を確保する。ここで、導体パターンとは、上述のスルービアTV1、TV2、ビア、および回路パターンから選択される少なくとも一つを意味する。一実施形態において、絶縁膜14は、パリレン(Parylene)などをコア部10の表面に気相蒸着する方式により形成されることができる。すなわち、スルービアTV1、TV2を形成するためのスルービアホールTVHをコア部10に加工した状態で、コア部10の表面に絶縁物質を提供することで、スルービアホールTVHの内部にも絶縁膜14を形成することができる。これにより、スルービアTV1、TV2、ビア、および回路パターンなどとコア部10との間の絶縁性を確保することができる。
【0032】
一方、コア部10にはキャビティC1が備えられており、このキャビティC1に第1電子部品300が挿入されることができる。ここで、第1電子部品300は能動素子または受動素子であることができる。また、第1電子部品300は、熱伝導性の高い材質からなって、熱伝達機能を遂行する構造体であってもよい。
【0033】
一実施形態において、第1電子部品300が熱伝達機能を遂行する構造体である場合、第1電子部品300の側壁がコア部10のキャビティC1の内側壁面に接触されるようにすることで、第1電子部品300の熱がコア部10を介して水平方向に迅速に分散されるようにすることができる。
【0034】
この場合、第1電子部品300とコア部10との間の絶縁性が確保されるように、キャビティC1の表面にも上述の絶縁膜14が備えられることができる。
【0035】
図1に例示されたように、一実施形態では、第1コア層11の外周縁側壁が第2コア層12および第3コア層13の外側に露出されるが、このようにコア部10の外面に露出された第1コア層11に第1電子部品300が直接(または絶縁膜14を介して)接触されることにより、第1電子部品300の熱が第1コア層11を介してさらに迅速に伝達されることができる。
【0036】
それに対し、図2に例示されたように、他の実施形態では、第1コア層11の外周縁側壁も第2コア層12および第3コア層13をなす金属材質で覆われることができる。この場合、図1に例示された実施形態に比べ第1電子部品300との熱交換効率は減少するが、第1コア層11自体の結合力または第1コア層11と第2、3コア層12、13との結合力は向上する。
【0037】
ここで、図1および図2では、理解の便宜のために、垂直断面図と水平断面図をともに図示している。すなわち、水平断面図は、垂直断面図に示されたI‐I´線に沿って切断した面を概略的に例示しており、垂直断面図は、水平断面図に示されたII‐II´線に沿って切断した面を概略的に例示している。
【0038】
また、コア部10の外側には、少なくとも一つの絶縁層および回路パターン層が備えられることができる。そして、回路基板100、200の少なくとも一面には集積回路などの第2電子部品500が実装されることができ、回路基板100はメインボードなどの付加基板800に搭載されることができる。
【0039】
ここで、コア部10の上部に備えられた絶縁層を第1上部絶縁層121、コア部10の下部に備えられた絶縁層を第1下部絶縁層121´と称することができ、この第1上部絶縁層121または第1下部絶縁層121´をなす物質がキャビティC1と第1電子部品300との間に充填されることができる。図面では、第1電子部品300とキャビティC1との間に充填された物質を121Mで示した。
【0040】
これにより、第1電子部品300が熱伝達機能を遂行する場合、第2電子部品500で発生した熱が第1電子部品300を経て付加基板800に移動することができ、これとともに、コア部10を介して水平方向へも迅速に分散されることができる。
【0041】
また、第1電子部品300がMLCCなどの受動素子で構成されて、熱伝達機能を円滑に遂行できない場合にも、第2電子部品500で発生した熱が回路パターンおよびビアを介してコア部10に伝達され、コア部10を介して迅速に分散されることができる。
【0042】
その結果、回路基板100の放熱性能が向上することとなる。
【0043】
一方、図3を参照すれば、第1コア層11´の外面にプライマー層15が備えられた例が図示されている。すなわち、グラファイトまたはグラフェンシートからなる第1コア層11´の外面にプライマー層15を備えることで、層間結合力を向上させることができる。この際、プライマー層15は、第1コア層11´をなすグラファイトまたはグラフェン同士の層間結合力を向上させるだけでなく、第1コア層11´と第2コア層12との間および第1コア層11´と第3コア層13との間の層間結合力を向上させる機能も遂行することができる。
【0044】
他の実施形態において、図4を参照すれば、グラファイトまたはグラフェンシートの表面にプライマー層15が備えられてなる単位体を垂直方向に積層することで、第1コア層11´´を形成することができる。この場合、第1コア層11´´の水平放熱機能の減少を最小化しながらも、第1コア層11´´の垂直方向における剥離問題を低減することができる。
【0045】
ここで、プライマー層15は、イソプロピルアルコール(Iso Propyl Alcohol)およびアクリル(Acryl)系シラン(Silan)を含むプライマーからなることができる。また、プライマー層15はMPS(3‐(trimethoxysilyl)propylmethacrylate)からなることができ、プライマー層15にはシラン系添加剤が加えられることができる。
【0046】
図5A図5Gは、本発明の一実施形態による回路基板100の製造方法を説明するための図面である。
【0047】
先ず、図5Aを参照すれば、グラファイトまたはグラフェン材質からなる第1コア層11を提供する。この際、第1コア層11には、少なくとも一つのスルーホールが備えられることができる。
【0048】
次に、図5Bを参照すれば、第1コア層11に金属材質を提供して第2コア層12および第3コア層13を形成する。ここで、金属材質はプリント法やメッキ法などの様々な方式で提供することができ、スルーホールにも金属材を充填することで、第2コア層12と第3コア層13とが一体をなして形成されることができる。
【0049】
次に、図5Cを参照すれば、コア部10にスルービアホールTVH、ビアホールVH、およびキャビティC1などを形成することができる。
【0050】
次に、図5Dを参照すれば、コア部10の露出された表面に絶縁膜14を形成することができる。
【0051】
次に、図5Eを参照すれば、コア部10にスルービアTV1、TV2、ビア、および回路パターンなどを形成することができる。この際、キャビティC1に第1電子部品300を挿入することができる。
【0052】
次に、図5Fを参照すれば、コア部10および第1電子部品300を覆う第1上部絶縁層121および第1下部絶縁層121´を形成することができる。
【0053】
次に、図5Gを参照すれば、第2上部絶縁層131および第2下部絶縁層131´をさらに形成することができる。
【0054】
図示されていないが、回路基板100の上面に第2電子部品500を実装することができる。また、回路基板100を付加基板800に実装することもできる。この過程で半田ボールSBが活用されることができ、これに限定されるものではない。
【0055】
図6A図6Gは本発明の他の実施形態による回路基板200の製造方法を説明するための図面であって、第1コア層11の外周縁側壁の少なくとも一部が第2コア層12および第3コア層13をなす金属材質で覆われる状態を除き、上述の実施形態と同様であるためその重複説明は省略する。
【符号の説明】
【0056】
10 コア部
11、11´、11´´ 第1コア層
12 第2コア層
13 第3コア層
14 絶縁膜
15 プライマー層
100、200 回路基板
121 第1上部絶縁層
121´ 第1下部絶縁層
131 第2上部絶縁層
131´ 第2下部絶縁層
H1 第1スルーホール
H2 第2スルーホール
TVH スルービアホール
VH ビアホール
TV1、TV2 スルービア
V1、V2、V1´、V2´ ビア
SB 半田ボール
300 第1電子部品
500 第2電子部品
800 付加基板
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G