特開2016-158885(P2016-158885A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-158885(P2016-158885A)
(43)【公開日】2016年9月5日
(54)【発明の名称】吹き零れ防止具
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/56 20060101AFI20160808BHJP
   A47J 27/00 20060101ALI20160808BHJP
   A47J 36/16 20060101ALI20160808BHJP
【FI】
   A47J27/56
   A47J27/00 101E
   A47J36/16 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-40379(P2015-40379)
(22)【出願日】2015年3月2日
(71)【出願人】
【識別番号】515058042
【氏名又は名称】林 昶
(74)【代理人】
【識別番号】100100859
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 昌也
(72)【発明者】
【氏名】林 昶
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA01
4B055AA50
4B055BA31
4B055BA32
4B055BA53
4B055CA13
4B055CB02
4B055CB03
4B055CB07
4B055CC42
4B055CC43
4B055FA20
4B055FB05
(57)【要約】
【課題】吹き零れを抑制でき、使用中に鍋の中で浮き上がったり沈んだりしてカタカタと音を立てることもなく、調理後の取り出しも容易な吹き零れ防止具を提供する。
【解決手段】本発明の吹き零れ防止具1は、ステンレス板にて形成され、中央部に向かって凸形状に形成され、裏面aは逆さ凹部形状に形成されると共に、貫通孔2を有している。このため、吹き零れを抑制でき、使用中に鍋の中で浮き上がったり沈んだりしてカタカタと音を立てることもなく、調理後の取り出しも容易となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステンレス板にて形成され、中央部に向かって凸形状に形成され、裏面は逆さ凹部形状に形成されると共に、貫通孔を有していることを特徴とする吹き零れ防止具。
【請求項2】
前記吹き零れ防止具は、複数の前記貫通孔を有している請求項1に記載の吹き零れ防止具。
【請求項3】
前記吹き零れ防止具は、中央部に前記貫通孔を有している請求項1または2に記載の吹き零れ防止具。
【請求項4】
前記吹き零れ防止具は、取り出し用チェーンまたは紐を有している請求項1ないし3のいずれかに記載の吹き零れ防止具。
【請求項5】
前記吹き零れ防止具は、円盤状に形成されている請求項1ないし4のいずれかに記載の吹き零れ防止具。
【請求項6】
前記吹き零れ防止具は、半径方向に沿って形成された山状溝部を有し、前記貫通孔は複数設けられると共に前記山状溝部に沿って設けられている請求項5に記載の吹き零れ防止具。
【請求項7】
前記吹き零れ防止具は、前記貫通孔が同一円周上に等角度離間して複数設けられると共に、前記複数の貫通孔の開口部は円周方向に沿って側方に向かって開口している請求項5または6に記載の吹き零れ防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理用鍋などに入れて吹き零れを防止することができる吹き零れ防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、調理用鍋の中などに入れて吹き零れを防止する吹き零れ防止具が種々提案されている。例えばそのようなものとして、中央部が円形状凹部で、凹部を構成する外周縁に所定の幅員を以て表面を凸形状に、裏面を凹形状とする膨出部を形成し、膨出部の外周縁部に複数の切欠部を形成した金属板等の吹き零れ防止具がある(実開昭63−37139号公報)。この吹き零れ防止具は、鍋底から発生する細かい気泡を裏面の凹形状膨出部で受け止めて大きな気泡にして切欠部から上昇させると、大きい気泡は壊れやすいことから多数の気泡が鍋内に発生することがなくなり、吹き零れが防止されるという作用効果を奏するものである。
【0003】
しかし、この吹き零れ防止具は、使用中に鍋の中で浮き上がったり沈んだりしてカタカタと音を立てるため不快感を生起させるものであった。また、調理後の取り出しが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63−37139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の課題は、吹き零れを抑制できることに加え、使用中に鍋の中で浮き上がったり沈んだりしてカタカタと音を立てることもなく、調理後の取り出しも容易な吹き零れ防止具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するものは、ステンレス板にて形成され、中央部に向かって凸形状に形成され、裏面は逆さ凹部形状に形成されると共に、貫通孔を有していることを特徴とする吹き零れ防止具である。
【0007】
前記吹き零れ防止具は、複数の前記貫通孔を有していることが好ましい。前記吹き零れ防止具は、中央部に前記貫通孔を有していることが好ましい。前記吹き零れ防止具は、取り出し用チェーンまたは紐を有していることが好ましい。前記吹き零れ防止具は円盤状に形成されていることが好ましい。前記吹き零れ防止具は、半径方向に沿って形成された山状溝部を有し、前記貫通孔は複数設けられると共に前記山状溝部に沿って設けられていることが好ましい。前記吹き零れ防止具は、前記貫通孔が同一円周上に等角度離間して複数設けられると共に、前記複数の貫通孔の開口部は円周方向に沿って側方に向かって開口していることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載した吹き零れ防止具によれば、裏面に溜まる細かい気泡が大きな気泡となって貫通孔から上昇して破壊するため吹き零れを抑制でき、裏面に発生した気泡を貫通孔から上昇させるため、使用中に鍋の中で浮き上がったり沈んだりしてカタカタと音を立てることがなく、また、調理後には貫通孔に引っ掛けて吹き零れ防止具を調理鍋等から容易に取り出すことができる。
請求項2に記載した吹き零れ防止具によれば、大きな気泡を複数の貫通孔から分散させて上昇させることができ、単一の貫通孔で水柱が発生することを抑制できる。
請求項3に記載した吹き零れ防止具によれば、加熱により吹き零れ防止具の裏面に発生する気泡を中央頂部に設けられた貫通孔から大きな気泡にして上昇させることができ、吹き零れ防止具の裏面に気泡が滞留することを抑制できる。
請求項4に記載した吹き零れ防止具によれば、取り出し用チェーンまたは紐を手繰って吹き零れ防止具を調理鍋等から容易に取り出すことができる。
請求項5に記載した吹き零れ防止具によれば、より取扱い易く、鍋の底面形状に対応させた形状の吹き零れ防止具を構成できる。
請求項6に記載した吹き零れ防止具によれば、山状溝部に沿って加熱により吹き零れ防止具の裏面に発生する気泡の流路を形成できると共に、山状溝部に沿って形成された複数の貫通孔により、気泡を分散させて上昇させることができる。
請求項7に記載した吹き零れ防止具によれば、複数の貫通孔の開口部が円周方向に沿って気泡を側方に流出させるため、調理鍋等の中で回転流が発生して調理を促進させ加熱燃料を節約することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の吹き零れ防止具の一実施例の平面図である。
図2図1のA−A線断面図である。
図3】本発明の吹き零れ防止具の一実施例の平面図である。
図4図3のB−B線断面図である。
図5】本発明の吹き零れ防止具の一実施例の平面図である。
図6図5のC−C線断面図である。
図7】本発明の吹き零れ防止具の一実施例の平面図である。
図8図7のD−D線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、ステンレス板にて形成され、中央部に向かって凸形状に形成され、裏面aは逆さ凹部形状に形成されると共に、貫通孔2を有していることで、加熱により吹き零れ防止具の裏面aに溜まる気泡を大きな気泡にして貫通孔から上昇させることができるため吹き零れを抑制できると共に、使用中に鍋の中で吹き零れ防止具1が浮き上がったり沈んだりしてカタカタと音を立てることがなく、調理後には貫通孔に引っ掛けて吹き零れ防止具1を調理鍋等から容易に取り出すことができる吹き零れ防止具1を実現した。
【実施例1】
【0011】
本発明の吹き零れ防止具を図1または図2に示した一実施例を用いて説明する。
この実施例の吹き零れ防止具1は、ステンレス板にて形成され、中央部に向かって凸形状に形成され、裏面aは逆さ凹部形状に形成されると共に、貫通孔2を有していることを特徴とする吹き零れ防止具である。以下、各構成について詳述する。
【0012】
この実施例の吹き零れ防止具1は、ステンレス板にて形成されているため、錆びることがなく、長期に渡って衛生的に使用することができる。また、この実施例の吹き零れ防止具1は、図1に示すように、円盤状に形成されているため、より取扱い易く、鍋の底面形状に対応させた形態の吹き零れ防止具となっている。
【0013】
吹き零れ防止具1は、図2に示すように、中央部に向かって凸形状に形成され、裏面aは中央部が最も窪んでいる逆さ凹部形状に形成されている。これにより、鍋底から大量に発生する細かい気泡は、逆さ凹部形状の裏面aにて受け止めて合体させ大きな気泡とすることができる。
【0014】
貫通孔2は、逆さ凹部形状の裏面aにて形成された大きな気泡の流出口として機能する部位である。この実施例の貫通孔2は、最頂部である中央部に設けられており、加熱により吹き零れ防止具の裏面aに溜まった気泡を中央頂部に設けられた貫通孔2から大きな気泡にして上昇させることができ、吹き零れ防止具1の裏面aに気泡が滞留して吹き零れ防止具自体を上昇させることを抑制できる。
【0015】
つぎに、この実施例の吹き零れ防止具1の使用方法を作用と共に説明する。
吹き零れ防止具1を使用する場合は、調理用鍋等の底にこの吹き零れ防止具1を載置する。あとは通常の調理時と同様であり水や食材を入れて加熱する。加熱が進行すると鍋底から細かい気泡が発生して吹き零れ防止具1の裏面aに溜まっていくが、ここで細かい気泡は相互に合体して大きな気泡となって貫通孔2より上昇する。大きな気泡は、食材が麺等の気泡に粘性を与える食材であっても気泡を維持できず上昇しては破裂する。このため、気泡が大量に発生することがなくなり吹き零れが抑制される。また、気泡は吹き零れ防止具1が浮き上がる前に貫通孔2から抜け出るため、調理中に鍋の中で吹き零れ防止具1が浮き上がったり沈んだりしてカタカタと音を立てることもない。さらに、調理後には貫通孔2に菜箸の先などを引っ掛けて吹き零れ防止具1を調理鍋等から容易に取り出すことができる。
【0016】
さらに、図3または図4に示した吹き零れ防止具10について説明する。
この実施例の吹き零れ防止具10と前述した吹き零れ防止具1との相違は、吹き零れ防止具10が複数の貫通孔2,11,12を有している点と、吹き零れ防止具10が半径方向に沿って90度間隔に4本の山状溝部13を有しており、複数の貫通孔11,12は山状溝部13に沿って形成されている点のみである。吹き零れ防止具1と同一構成部分については同一符号を付し説明を省略する。
【0017】
このように、吹き零れ防止具10が複数の貫通孔2,11,12を有していることにより、大きな気泡を複数の貫通孔2,11,12から分散させて上昇させることができ、単一の貫通孔2で水柱が発生することを抑制できる。また、吹き零れ防止具10が半径方向に沿って90度間隔に4本の山状溝部(表面側が凸条部で裏面a側が凹条部となる溝部)13を有しており、複数の貫通孔11,12は山状溝部13に沿って形成されていることで、山状溝部13に沿って、加熱により吹き零れ防止具10の裏面aに発生する気泡の流路を形成できると共に、山状溝部13に沿って形成された複数の貫通孔11,12により、気泡を分散させて上昇させることができる。
【0018】
さらに、図5および図6に示した吹き零れ防止具20について説明する。
この実施例の吹き零れ防止具20と前述した吹き零れ防止具10との基本的な相違は、吹き零れ防止具20が取り出し用チェーン21を有している点である。吹き零れ防止具10と同一構成部分については同一符号を付し説明を省略する。
【0019】
具体的には、この実施例の吹き零れ防止具20は、半径方向に沿って120度間隔に形成された3本の山状溝部23に沿ってそれぞれ2つ設けられた貫通孔22の外周縁側の一つに取り出し用チェーン21が取り付けられている。この取り出し用チェーン21は調理用鍋の鍋底に吹き零れ防止具20を載置した状態で調理用鍋の外方に他端が位置できる長さを有しており、調理後は他端に設けられたリング21aを把持して持ち上げることで調理鍋から吹き零れ防止具20を容易に取り出せるように構成されている。
【0020】
このように、吹き零れ防止具には、取り出し用チェーンまたは紐が設けられていてもよく、これにより、取り出し用チェーンまたは紐を手繰って吹き零れ防止具を調理鍋等から容易に取り出すことができる。
【0021】
さらに、図7および図8に示した吹き零れ防止具30について説明する。
この実施例の吹き零れ防止具30と前述した吹き零れ防止具1との基本的な相違は、中央部に設けられた貫通孔2がない点と、複数の貫通孔31の開口部32が同一円周上に等角度離間して設けられ、複数の貫通孔31の開口部は円周方向に沿って側方に向かって開口している点である。吹き零れ防止具1と同一構成部分については同一符号を付し説明を省略する。
【0022】
この実施例の吹き零れ防止具30の貫通孔31は、同一円周上に90度間隔に設けられた4つの貫通孔から形成されている。これら4つの貫通孔31の上方および三方がステンレスにて一体的に覆われており、開口部32は円周方向に沿い、かつ側方(この実施例では接線方向)に向かってそれぞれ開口している。このため、4つの開口部32が円周方向に沿って気泡を流出させるため、調理鍋等の中で回転流が発生して調理を促進させ加熱燃料を節約することができる。なお、この実施例は中央部に貫通孔を有していないが、中央頂部にも貫通孔を有するものも本発明の範疇に包含される。
【符号の説明】
【0023】
1 吹き零れ防止具
a 裏面
2 貫通孔
10 吹き零れ防止具
11 貫通孔
12 貫通孔
13 山状溝部
20 吹き零れ防止具
21 取り出し用チェーン
22 貫通孔
23 山状溝部
30 吹き零れ防止具
31 貫通孔
32 開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8