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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-159291(P2016-159291A)
(43)【公開日】2016年9月5日
(54)【発明の名称】ポリマーナノ粒子の製造方法、ポリマーナノ粒子及びナノバブルの形成方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 13/18 20060101AFI20160808BHJP
   C08G 61/12 20060101ALI20160808BHJP
   A61K 9/51 20060101ALI20160808BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20160808BHJP
   A61K 47/34 20060101ALI20160808BHJP
   A61K 8/11 20060101ALI20160808BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20160808BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20160808BHJP
【FI】
   B01J13/18
   C08G61/12
   A61K9/51
   A61K47/32
   A61K47/34
   A61K8/11
   A61K8/81
   A61K8/86
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-43861(P2015-43861)
(22)【出願日】2015年3月5日
(71)【出願人】
【識別番号】504182255
【氏名又は名称】国立大学法人横浜国立大学
【住所又は居所】神奈川県横浜市保土ヶ谷区常盤台79番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】跡部 真人
【住所又は居所】神奈川県横浜市保土ヶ谷区常盤台79番1号 国立大学法人横浜国立大学内
(72)【発明者】
【氏名】田嶋 彩香
【住所又は居所】神奈川県横浜市保土ヶ谷区常盤台79番1号 国立大学法人横浜国立大学内
(72)【発明者】
【氏名】小川 義幸
【住所又は居所】神奈川県横浜市保土ヶ谷区常盤台79番1号 国立大学法人横浜国立大学内
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4G005
4J032
【Fターム(参考)】
4C076AA65
4C076EE16A
4C076FF31
4C076GG23
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD071
4C083AD072
4C083DD14
4C083FF01
4G005AA02
4G005AA04
4G005AB13
4G005BA03
4G005BB01
4G005BB08
4G005BB20
4G005DA14W
4G005DC03Y
4G005DC10Y
4G005DC24Y
4G005DC29Y
4G005DC41Y
4G005DC51Y
4G005DC67Y
4G005DD04Z
4G005DD05Z
4G005DD07Z
4G005DD12Z
4G005DD13Z
4G005DD23Z
4G005DD32Z
4G005DD42Z
4G005DD58Z
4G005EA03
4G005EA06
4J032BA03
4J032BA04
4J032BA13
4J032BB01
4J032BC03
4J032CG06
(57)【要約】
【課題】ナノバブルそのものをテンプレートとするポリマーナノ粒子の製造方法、該ポリマーナノ粒子の製造方法により得られるポリマーナノ粒子及び、該ポリマーナノ粒子の製造方法に好適に用いられるナノバブルの形成方法を提供する。
【解決手段】モノマー水溶液31にナノバブル32を形成させ(I)、重合開始剤41を加えて重合させること(II)を特徴とするポリマーナノ粒子33の製造方法。この製造方法により得られたポリマーナノ粒子33。モノマー水溶液31に超音波を照射することを特徴とするナノバブル32の形成方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノマー水溶液にナノバブルを形成させ、重合開始剤を加えて重合させることを特徴とするポリマーナノ粒子の製造方法。
【請求項2】
前記ナノバブルの平均粒径が500nm以下である、請求項1に記載のポリマーナノ粒子の製造方法。
【請求項3】
前記ナノバブルの数密度が4×10/ml以上である、請求項1又は2に記載のポリマーナノ粒子の製造方法。
【請求項4】
前記モノマー水溶液が、ピロール類、チオフェン類、インドール類、アニリン類、アジン類、p−フェニレンビニレン類、p−フェニレン類、ピレン類、フラン類、セレノフェン類、ピリダジン類、カルバゾール類、アクリラート類、メタクリラート類、アセチレン、及びそれらの誘導体の中から選択される水溶性モノマーの水溶液である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリマーナノ粒子の製造方法。
【請求項5】
前記重合開始剤が酸化剤である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリマーナノ粒子の製造方法。
【請求項6】
前記酸化剤が塩化鉄(III)である、請求項5に記載のポリマーナノ粒子の製造方法。
【請求項7】
前記ポリマーナノ粒子の平均粒径が900nm以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリマーナノ粒子の製造方法。
【請求項8】
ポリマーナノ粒子が中空粒子である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリマーナノ粒子の製造方法。
【請求項9】
モノマー水溶液に超音波を照射してナノバブルを形成させる、請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリマーナノ粒子の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリマーナノ粒子の製造方法により得られたポリマーナノ粒子。
【請求項11】
モノマー水溶液に超音波を照射することを特徴とするナノバブルの形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーナノ粒子の製造方法、ポリマーナノ粒子及びナノバブルの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマー微粒子や中空粒子は、徐放性を利用したドラッグデリバリーシステム(DDS)、光散乱性を利用した白色顔料、ディスプレイ反射防止シート、断熱性を利用した断熱塗料、透明断熱シート、超音波共振特性を利用した超音波診断の造影剤など多様な用途への応用がなされている。
中空粒子の作製は、液体や固体をテンプレートとして用いる方法が一般的である。例えば、乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)粒子をDDSに利用する例が知られている(非特許文献1)。
【0003】
また、直径1μm以下のナノバブルの形成方法として、気液二相流旋回方式/気液混合せん断方式(非特許文献2)や、加圧溶解式/旋回液流式(非特許文献3)が知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】辻本「ナノ・微粒子設計によるDDS製剤,医療デバイス等への応用」、粉砕、2010年、No.53、p.38−49
【非特許文献2】西内ら「微細気泡の最新技術vol2」、株式会社エヌ・テイー・エス、2014年8月8日、p.38−39
【非特許文献3】丸山ら、「超音波および他の方法によるウルトラファインバブルの脱泡」、第23回ソノケミストリー討論会講演論文集、2014年、p.59−60
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献1の方法では多量の熱や有機溶媒を利用してテンプレート物質を除去する必要があり、環境に対する負荷が大きい。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、ナノバブルそのものをテンプレートとするポリマーナノ粒子の製造方法、該ポリマーナノ粒子の製造方法により得られるポリマーナノ粒子及び、該ポリマーナノ粒子の製造方法に好適に用いられるナノバブルの形成方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下の通りである。
(1)モノマー水溶液にナノバブルを形成させ、重合開始剤を加えて重合させることを特徴とするポリマーナノ粒子の製造方法。
(2)前記ナノバブルの平均粒径が500nm以下である、(1)に記載のポリマーナノ粒子の製造方法。
(3)前記ナノバブルの数密度が4×10/ml以上である、(1)又は(2)に記載のポリマーナノ粒子の製造方法。
(4)前記モノマー水溶液が、ピロール類、チオフェン類、インドール類、アニリン類、アジン類、p−フェニレンビニレン類、p−フェニレン類、ピレン類、フラン類、セレノフェン類、ピリダジン類、カルバゾール類、アクリラート類、メタクリラート類、アセチレン、及びそれらの誘導体の中から選択される水溶性モノマーの水溶液である、(1)〜(3)のいずれか一項に記載のポリマーナノ粒子の製造方法。
(5)前記重合開始剤が酸化剤である、(1)〜(4)のいずれか一項に記載のポリマーナノ粒子の製造方法。
(6)前記酸化剤が塩化鉄(III)である、(5)に記載のポリマーナノ粒子の製造方法。
(7)前記ポリマーナノ粒子の平均粒径が900nm以下である、(1)〜(6)のいずれか一項に記載のポリマーナノ粒子の製造方法。
(8)ポリマーナノ粒子が中空粒子である、(1)〜(7)のいずれか一項に記載のポリマーナノ粒子の製造方法。
(9)モノマー水溶液に超音波を照射してナノバブルを形成させる、(1)〜(8)のいずれか一項に記載のポリマーナノ粒子の製造方法。
【0008】
(10)(1)〜(9)のいずれか一項に記載のポリマーナノ粒子の製造方法により得られたポリマーナノ粒子。
(11)モノマー水溶液に超音波を照射することを特徴とするナノバブルの形成方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明のポリマーナノ粒子の製造方法により、ナノバブルをテンプレートとしてポリマーナノ粒子を製造することができる。本発明のナノバブルの形成方法により、本発明のポリマーナノ粒子の製造方法に好適なナノバブルを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】モノマー水溶液に超音波を照射してナノバブルを形成させる工程(I)と、重合開始剤を加えて重合させる工程(II)により、ポリマーナノ粒子の製造方法を示した図である。
図2】モノマー水溶液にタンデム超音波照射してナノバブルを形成する工程を示した図である。
図3】ポリピロールのポリマーナノ粒子の電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)像である。
図4】ポリピロールのポリマーナノ粒子を模式的に示した断面図である。
図5】ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)のポリマーナノ粒子の電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)像である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<ポリマーナノ粒子の製造方法>
本発明のポリマーナノ粒子の製造方法は、モノマー水溶液にナノバブルを形成させ、重合開始剤を加えて重合させることを特徴とする。本発明のポリマーナノ粒子33の製造方法は、図1に示すように、モノマー水溶液31にナノバブル32を形成させる工程(I)と、重合開始剤41を加えて重合させる工程(II)に分けて説明することができる。
【0012】
(工程(I))
工程(I)では、モノマー水溶液にナノバブルを形成させる。ナノバブルの形成方法としては、気液二相流旋回方式/気液混合せん断方式(非特許文献2)や、加圧溶解式/旋回液流式(非特許文献3)を採用することができるが、好ましくは、超音波を照射してナノバブルをより高密度に形成させることができる。モノマー水溶液に超音波を照射すると、水面の攪拌により生じたバブルが、その後、継続的に照射された超音波により生じる剪断力、あるいはキャビテーション効果によって分断されることによりナノバブルが形成すると考えられる。
【0013】
超音波としては、20kHz〜500kHzの単独の周波数の超音波を照射する方法を採用することができ、20kHz〜500kHzの単独の周波数の超音波を照射した後、0.5〜2.0MHzの周波数の超音波を照射するタンデム超音波照射方法を採用することができ、20kHz〜500kHzの単独の周波数の超音波を照射した後、0.5〜2.0MHzの周波数の超音波を照射し、その後、さらに、2.0〜3.0MHzの周波数の超音波を照射するタンデム超音波照射法を採用することもできる。
20kHz〜500kHzの周波数の超音波の照射時間としては、5〜20分間、好ましくは7〜15分間、より好ましくは9〜12分間を採用することができる。
0.5〜2.0MHzの周波数の超音波の照射時間としては、2〜15分間、好ましくは3〜10分間、より好ましくは4〜8分間を採用することができる。
【0014】
例えば、図2に示すように、モノマー水溶液21に超音波発振装置の破砕ホーン11により20kHzの周波数の超音波を照射してナノバブル22を発生させ、1.6MHzの超音波発振装置12により、より小さなナノバブル23を形成させ、2.4MHzの超音波発振装置13により、更に小さなナノバブル24を形成させることができる。
【0015】
モノマーとしては、ピロール類、チオフェン類、インドール類、アニリン類、アジン類、p−フェニレンビニレン類、p−フェニレン類、ピレン類、フラン類、セレノフェン類、ピリダジン類、カルバゾール類、アクリラート類、メタクリラート類、アセチレン、及びそれらの誘導体の中から選択される水溶性のモノマーを用いることができ、これらのモノマーを用いて、本発明により、ナノバブルの界面で好適に重合させることができる。
【0016】
工程(I)では、平均粒径500nm以下のナノバブルを形成させることができ、平均粒径400nm以下のナノバブルを形成させることができ、平均粒径300nm以下のナノバブルを形成させることができる。上限値以下の平均粒径とすることによりナノバブルの上昇速度を抑えることができ、モノマー水溶液中で安定なナノバブルが形成できる。
【0017】
工程(I)では、0.4×10/ml以上(4×10/ml以上)の数密度のナノバブルを形成させることができ、0.6×10/ml以上の数密度のナノバブルを形成させることができ、0.8×10/ml以上の数密度のナノバブルを形成させることができ、1.0×10/ml以上の数密度のナノバブルを形成させることができ、2.0×10/ml以上の数密度のナノバブルを形成させることができる。
【0018】
工程(I)において、モノマー水溶液の濃度としては、0.1mM〜10.0mMとすることができ、0.2mM〜6.0mMとすることができ、0.4mM〜4.0mMとすることができ、0.6mM〜3.0mMとすることができ、0.8mM〜2.0mMとすることができる。
【0019】
工程(I)で形成できるナノバブルのゼータ電位の絶対値は、30mVよりも大きくすることができ、モノマー水溶液への溶解が起こりづらく、モノマー水溶液中で非常に安定して長く存在することができ、ポリマーナノ粒子を製造するに際してのテンプレートとして好適に利用することができる。
【0020】
(工程(II))
工程(II)では、ナノバブルを含むモノマー水溶液に重合開始剤を加えて重合させる。ナノバブルを含むモノマー水溶液に重合開始剤を加えると、ナノバブルの界面で重合が進行することによって、ポリマーナノ粒子が形成する。工程(II)の重合反応では、易水溶性のモノマーから難水溶性のポリマーに変化するか、又は、モノマーよりもポリマーの方が水溶性が低下するので、ナノバブルの界面で重合反応が起こり易く、好適にポリマーナノ粒子を形成することができる。
【0021】
重合開始剤としては、使用するモノマー水溶液に合わせて公知の重合開始剤を用いることができる。酸化剤を用いることにより酸化重合させることができ、酸化剤として塩化鉄(III)を塩化鉄(III)水溶液として用いることができる。また、ラジカル重合開始剤を用いることにより、ラジカル重合させることができる。重合開始剤として酸化剤水溶液を用いる際には、重合反応液中の重合開始剤濃度が、0.1〜10mMの濃度とすることができ、0.4〜5mMの濃度とすることができ、1.0〜4.0mMの濃度とすることができ、1.5〜3mMの濃度とすることができる。上限値以下の重合開始剤濃度とすることにより、好適にポリマーナノ粒子を形成することができ、ナノバブルの界面以外のモノマー水溶液全体で重合が生じて膜状乃至塊状の重合体が形成することを防ぐことができる。
【0022】
工程(II)により、平均粒径が、900nm以下のポリマーナノ粒子を製造でき、700nm以下のポリマーナノ粒子を製造でき、600nm以下のポリマーナノ粒子を製造できる。
【0023】
工程(II)により、製造できるポリマーナノ粒子を中空粒子とすることができる。中空粒子は、内部に空洞を有する粒子のことであり、その特殊な構造から、特異的な光学特性や伝導特性、力学特性をもつため、医療分野、情報分野、塗工分野など様々な分野に応用可能である。中でもドラックデリバリーシステムや白色顔料がその代表例である。
【実施例】
【0024】
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
【0025】
具体的実施例において、各種測定に用いた機器、および、超音波照射に用いた超音波発振装置を説明する。
(ナノバブルの平均直径、ゼータ電位)
非接触後方散乱光学系(NIBS)を使用したゼータサイザー ナノ ZS(マルバーン インスツルメンツ社製)を用いて測定した。
(ナノバブルの数密度)
ブラウン運動トラッキング型粒子サイズ解析装置(マルバーン インスツルメンツ社製、Nanosight(LM10))を用いて測定した。
(超音波発振装置)
20kHzの超音波の照射には、BRANSON SONIFIER−450D(Branson Ultrasonics社製)を用い、破砕ホーンの先端にマイクロチップ(φ0.32 cm)を付けて使用した。
1.6MHz、2.4MHzの超音波の照射には、Oscillator(本田電子株式会社製)を用い、直径24mm、長さ75mmの耐熱ガラス製の円筒形管の振動子を繋げて使用した。
【0026】
<ナノバブルの製造実験1>
純水10mlに対し単独の超音波照射(20 kHz, 250 W cm-2, 10 min)を行った。超音波を照射する前の純水にレーザー光を当てても光路は確認されなかったが、超音波照射(20 kHz)の後は、くっきりとした緑の光路が見られた。発生させたナノバブルの平均直径、ゼータ電位、および数密度を測定した。評価結果を表1に示した。
【0027】
<ナノバブルの製造実験2>
純水10mlに対しタンデム超音波照射(20 kHz (250 W cm-2,10 min)→1.6 MHz (16 W cm-2, 5 min))を行った。超音波を照射する前の純水にレーザー光を当てても光路は確認されなかったが、超音波照射(20 kHz→1.6 MHz)の後は、くっきりとした緑の光路が見られた。発生させたナノバブルの平均直径、ゼータ電位、および数密度を測定した。評価結果を表1に示した。
【0028】
<ナノバブルの製造実験3>
純水10mlに対しタンデム超音波照射(20 kHz (250 W cm-2,10 min)→1.6 MHz (16 W cm-2, 5 min)→2.4 MHz (7 W cm-2, 5 min))を行った。超音波を照射する前の純水にレーザー光を当てても光路は確認されなかったが、超音波照射(20 kHz→1.6 MHz→2.4 MHz)の後は、くっきりとした緑の光路が見られた。発生させたナノバブルの平均直径、ゼータ電位、および数密度を測定した。評価結果を表1に示した。
【0029】
【表1】
【0030】
表1に示したとおり、20 kHzの超音波照射において143 nmであったナノバブルの平均直径は、タンデム超音波照射により1.6 MHz照射後は119 nm,2.4 MHz照射後は110 nmと小さくなっていくことが確認された。また、それぞれのナノバブルのゼータ電位は、一般的な粒子の分散安定性の指標とされている絶対値として30 mV以上の大きさを有しており、十分安定であると言える。さらに、気泡の数密度はいずれも108 ml-1以上と、従来の気液二相流旋回方式/気液混合せん断方式(非特許文献2)で、2.3×10ml-1、加圧溶解式/旋回液流式(非特許文献3)で、3.1×10ml-1程度であったナノバブルの形成方法と比較して、10〜100倍程度の濃度を有するものであることが確認された。
これは、20 kHzの超音波照射によって気液界面での激しい剪断により生じた気泡が、超音波によって水中で分断されることにより、ナノバブルが生成したと考えられる。さらに、タンデム超音波照射時には、1.6 MHz、2.4 MHzの超音波照射の大きな加速度およびキャビテーション効果によってナノバブルがより細分化され、気泡径がさらに小さくなったと考えられる。
【0031】
[実施例1]
<ナノバブルの製造実験4>
1.2mMのピロール水溶液(10ml)に対し遮光して単独の超音波照射(20 kHz, 250 W cm-2, 10 min)を行い、発生させたナノバブルの平均直径を、測定した。評価結果を表2に示した。
【0032】
[実施例2]
<ナノバブルの製造実験5>
1.2mMのピロール水溶液(10ml)に対し遮光してタンデム超音波照射(20 kHz (250 W cm-2,10 min)→1.6 MHz (16 W cm-2, 5 min))を行い、発生させたナノバブルの平均直径を、測定した。評価結果を表2に示した。
【0033】
[実施例3]
<ナノバブルの製造実験6>
1.2mMのピロール水溶液(10ml)に対し遮光して超音波照射(20 kHz (250 W cm-2,10 min)→1.6 MHz (16 W cm-2, 5 min)→2.4 MHz (7 W cm-2, 5 min))を行い発生させたナノバブルの平均直径を、測定した。評価結果を表2に示した。
【0034】
【表2】
【0035】
[実施例4]
<ポリマーナノ粒子の製造1>
モノマーであるピロール水溶液(1.2 mM、10 ml)に対し、単独の超音波照射(20 kHz, 250 W cm-2, 10 min)を行い、水溶液内にナノバブルを発生させた(I)。続いて、この溶液に酸化剤としてFeCl3水溶液(15 mM、2 ml)を滴下して加え、反応液中の重合開始剤濃度を2.5 mMとし、ナノバブルをテンプレートとして、室温条件下、静置し遮光して30分間、酸化重合させた(II)。ナノバブル界面での酸化重合によって得られたポリピロールナノ粒子分散液を、ろ過して不純物を除いた後、エバポレータにより濃縮し、純水2 mlに再度分散させた後、インジウム/スズ酸化物(ITO)基板上にキャスト・乾燥して電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)により観察した。
【0036】
図3(a)には合成したポリピロールナノ粒子のFE−SEM像を示した。合成されたポリピロールナノ粒子の平均粒径は600 nm程度であった。さらに、一部殻が欠けた形状をしているものも確認され(図3(b))、これらのポリピロールナノ粒子が中空であると推定できる。ポリピロールナノ粒子の平均粒径が600 nm、ピロール水溶液中のナノバブルの平均直径が282 nmであったことから、図4に示すように、ポリピロールナノ粒子の殻の厚さは160 nm程度と考えられる。
従来のテンプレート法では、粒子やエマルション液滴をテンプレートとして、その外側に殻を形成させ、その後にコアつまりテンプレート物質を除去することで、中空粒子を製造している。
本願発明の方法による中空粒子の製造方法では、従来のテンプレート法とは異なり、ナノバブルをテンプレートとして利用できるため、後処理として大量の熱や酸などの溶媒を使用したコア物質の除去プロセスが不要となり、廃棄物の低減化を図ることができる。そのため、本願発明のポリマーナノ粒子の製造方法は、環境負荷が少なく、生産コストが低い、非常に理想的な中空粒子合成法として期待できる。
【0037】
ITO基板上のポリピロールナノ粒子をEDX(エネルギー分散型X線分光法)により元素分析した。結果を表3に示す。なお、ITO基板由来のInのピーク等は除いている。ポリピロールナノ粒子由来のC元素及びN元素のK線と、塩化鉄(III)由来のCl元素のK線が検出された。ただし、空気中のN元素も検出するため、定量的ではない。
【0038】
【表3】
【0039】
[実施例5]
<ポリマーナノ粒子の製造2>
モノマーである3,4−エチレンジオキシチオフェン水溶液(1.2 mM、10 ml)に対し、単独の超音波照射(20 kHz, 250 W cm-2, 10 min)を行い、水溶液内にナノバブルを発生させた(I)。続いて、この溶液に酸化剤としてFeCl3水溶液(15 mM、2 ml)を滴下して加え、重合反応液中の重合開始剤濃度を2.5 mMとし、ナノバブルをテンプレートとして、室温条件下、静置し遮光して30分間、酸化重合させた(II)。ナノバブル界面での酸化重合によって得られたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ナノ粒子分散液を、ろ過して不純物を除いた後、エバポレータにより濃縮し、純水2 mlに再度分散させた後、ITO基板上にキャスト・乾燥して電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)により観察した。
【0040】
また、図5には合成したポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ナノ粒子のFE−SEM像を示した。合成されたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ナノ粒子の平均粒径は600 nm程度であった。
【0041】
ITO基板上のポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ナノ粒子をEDX(エネルギー分散型X線分光法)により元素分析した。結果を表4に示す。ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ナノ粒子由来のC元素、O元素及びS元素のK線と、塩化鉄(III)由来のCl元素のK線が検出された。ただし、空気中のO元素も検出するため、定量的ではない。
【0042】
【表4】
【符号の説明】
【0043】
11・・・超音波発振装置の破砕ホーン、12・・・超音波発振装置、13・・・超音波発振装置、14・・・容器、15・・・外容器、16・・・水、21・・・モノマー水溶液、22・・・ナノバブル、23・・・ナノバブル、24・・・ナノバブル、31・・・モノマー水溶液、32・・・ナノバブル、33・・・ポリマーナノ粒子、41・・・重合開始剤
図1
図2
図4
図3
図5