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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-159953(P2016-159953A)
(43)【公開日】2016年9月5日
(54)【発明の名称】充填式冷凍食品の容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/78 20060101AFI20160808BHJP
   B65D 1/36 20060101ALI20160808BHJP
   B65D 1/30 20060101ALI20160808BHJP
   B65D 1/46 20060101ALI20160808BHJP
【FI】
   B65D85/78
   B65D1/36
   B65D1/30
   B65D1/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-40125(P2015-40125)
(22)【出願日】2015年3月2日
(71)【出願人】
【識別番号】515057919
【氏名又は名称】京和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】▲徳▼永 隆一郎
【テーマコード(参考)】
3E033
3E035
【Fターム(参考)】
3E033AA10
3E033BA13
3E033CA20
3E033DD11
3E033DE14
3E033EA01
3E033EA05
3E033FA04
3E035AA17
3E035BA02
3E035BB01
3E035BC02
3E035BD10
3E035CA02
(57)【要約】
【課題】材料費等の製造コストの上昇を可及的に抑制しつつ、容器部に充填された冷菓を皿等の給仕用トレイに移す作業の作業性を向上させる。
【解決手段】耐寒性樹脂シートの一体成型により作成される充填式冷凍食品の容器であって、深さ方向の断面形状が略半オーバル形状の凹部にて構成される複数の容器部と、複数の前記容器部の開口縁部を互いに連結して一体化するシート状連結部と、前記容器部の1つと最寄りの前記容器部との開口縁部の近接部の間を結ぶように前記シート状連結部に形成される線状の溝部と、を備えることを特徴とする充填式冷凍食品の容器。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐寒性樹脂シートの一体成型により作成される充填式冷凍食品の容器であって、
深さ方向の断面形状が略半オーバル形状の凹部にて構成される複数の容器部と、
複数の前記容器部の開口縁部を互いに連結して一体化するシート状連結部と、
前記容器部の1つと最寄りの前記容器部との開口縁部の近接部の間を結ぶように前記シート状連結部に形成される線状の溝部と、
を備えることを特徴とする充填式冷凍食品の容器。
【請求項2】
前記容器部の1つと最寄りの前記容器部との開口縁部の近接部の間には、前記線状の溝部が互いに略平行に複数形成されていることを特徴とする請求項1に記載の充填式冷凍食品の容器。
【請求項3】
耐寒性樹脂シートの一体成型により作成されるシート状蓋体の係合凸部に対して凹凸係合するように前記シート状連結部に設けられた係合凹部を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の充填式冷凍食品の容器。
【請求項4】
複数の前記容器部を一定数毎に分断可能とするべく前記シート状連結部に形成された破断線を有することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の充填式冷凍食品の容器。
【請求項5】
前記容器部は、その容器側面の開口縁部が、前記シート状連結部に直交する方向よりも容器内方に傾斜していることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の充填式冷凍食品の容器。
【請求項6】
前記容器部の側面には、指先サイズより広範囲を容器側面の他の部位に比して硬質化させた押圧部を有することを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の充填式冷凍食品の容器。
【請求項7】
前記押圧部は前記容器部の側面に少なくとも2つ設けてあり、前記容器部の開口中心を通る軸に対して略対称な位置関係で設けてあることを特徴とする請求項6に記載の充填式冷凍食品の容器。
【請求項8】
前記容器部の開口形状は、略オーバル形状であることを特徴とする請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の充填式冷凍食品の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填式冷凍食品の容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アイス等の冷菓は、紙や樹脂で作製した容器の凹部に冷菓の原料となる液状物を注入して冷凍固化することにより、容器の凹部に冷菓を充填した状態として店舗等に搬送して販売される。
【0003】
ここで、個人販売用の冷菓については、容器内の冷菓をスプーン等で掬って食べることが一般的であるため、容器からの冷菓の離型性はあまり問題とならない。一方、業務用の冷菓については、容器ごと客に提供する態様であれば個人販売用の冷菓と大きく変わるところはないが、冷菓を皿等の給仕用トレイに移して給仕する態様の場合は、容器からの冷菓の離型性が問題となる。
【0004】
特許文献1に記載の技術では、容器部を形成するシート材の内面に食品用シリコーンをポリプロピレンフィルムにダイレクトラミネートした複合シートを用いて食品用トレイを作成している。シリコーン樹脂は、ほとんどの有機物と非相溶のため高い離型性を有し、しかも耐熱性及び耐寒性に優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−86832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の技術では、容器内面にシリコーン樹脂層を形成するため製造コストの上昇を免れない。また、上述したような容器からの冷菓の離型性に係る問題は、必ずしも冷菓と容器部内面との間の粘着性のみに起因するものではない。
【0007】
そこで、本発明の発明者は、容器部からの冷菓の離型性が悪化する原因を多角的に検討し、材料費等の製造コストの上昇を可及的に抑制しつつ、容器部に充填された冷菓を皿等の給仕用トレイに移す作業の作業性を向上させるべく鋭意工夫を行ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様の1つは、耐寒性樹脂シートの一体成型により作成される充填式冷凍食品の容器であって、深さ方向の断面形状が略半オーバル形状の凹部にて構成される複数の容器部と、複数の前記容器部の開口縁部を互いに連結して一体化するシート状連結部と、前記容器部の1つと最寄りの前記容器部との開口縁部の近接部の間を結ぶように前記シート状連結部に形成される線状の溝部と、を備えることを特徴とする充填式冷凍食品の容器である。
【0009】
このように構成された充填式冷凍食品の容器においては、シート状連結部によって開口縁部を互いに連結して一体化された複数の前記容器部について、容器部の1つと最寄りの容器部との開口縁部の近接部の間を結ぶようにシート状連結部に線状の溝部を形成してあるため、シート状連結部の捩れ耐性が向上する。しかも、深さ方向の断面形状が略半オーバル形状の容器部を線状の溝部によって連結しているため。容器部と溝部とが全体として捩れに強い補強構造として機能するため、容器全体の捩れ耐性が高まる。これにより、容器の捩れが防止され、容器部の変形に起因する冷凍食品の容器部から離型性の悪化を防止することができる。このように構造的に冷凍食品の容器部からの離型性の悪化を防止することにより、材料費等の製造コストの上昇を可及的に抑制しつつ、容器部に充填された冷菓を皿等の給仕用トレイに移す作業の作業性を向上させることができる。
【0010】
本発明の選択的な態様の1つは、前記容器部の1つと最寄りの前記容器部との開口縁部の近接部の間には、前記線状の溝部が互いに略平行に複数形成されていることを特徴とする充填式冷凍食品の容器である。
【0011】
このように構成された充填式冷凍食品の容器においては、容器部の1つと最寄りの容器部との開口縁部の近接部の間を結ぶようにシート状連結部に形成される線状の溝部を複数設けてあるため、容器の捩れ防止性能が向上する。
【0012】
本発明の選択的な態様の1つは、耐寒性樹脂シートの一体成型により作成されるシート状蓋体の係合凸部に対して凹凸係合するように前記シート状連結部に設けられた係合凹部を有することを特徴とする充填式冷凍食品の容器である。
【0013】
このように構成された充填式冷凍食品の容器においては、シート状蓋部の係合凸部を係合凹部に凹凸係合させることにより、容器部の上面をシート状蓋部で覆うことができるため、容器部内に充填される冷凍食品の衛生性が向上するとともに、容器の上に他の容器等を積載可能となるため在庫管理性が向上する。しかも、凹凸係合により容器本体とシート状蓋部とが連結されるため、シート状蓋部を容器本体に凹凸係合させることで、容器本体を捩れ等の少ない状態に矯正保持することができる。これにより、冷凍食品の容器部からの離型性の悪化を防止することができる。
【0014】
本発明の選択的な態様の1つは、複数の前記容器部を一定数毎に分断可能とするべく前記シート状連結部に形成された破断線を有することを特徴とする充填式冷凍食品の容器である。
【0015】
このように構成された充填式冷凍食品の容器においては、破断線に沿ってシート状連結部を切断することにより、一定数以下の容器部を有する容器を顧客側で容易に作成することができる。例えば、破断線により区画される一部に形成された複数の容器部の冷凍食品を全て取り出して使用した場合は、この区画を分断して除去することにより、冷凍食品が充填された容器部のある区画のみで構成される容器を容易に作成できる。このように、容器部の数を少なくした容器を容易に作成できるため、在庫管理性が向上するのはもちろん、容器部に充填された冷菓を皿等の給仕用トレイに移す作業の作業性も向上する。
【0016】
本発明の選択的な態様の1つは、前記容器部は、その容器側面の開口縁部が、前記シート状連結部に直交する方向よりも容器内方に傾斜していることを特徴とする充填式冷凍食品の容器である。
【0017】
このように構成された充填式冷凍食品の容器においては、容器部の開口縁部が内傾しているため、容器部から取り出す冷凍食品が容器部の内側面と密着摺動する区間が短縮され、冷凍食品の容器部からの離型性が向上する。さらに、容器が捩れて開口縁部の開口が狭幅されたとしても、容器部の開口部にオーバーハングが生じにくくなるため、冷凍食品の容器部からの離型性が悪化しにくくなる。
【0018】
本発明の選択的な態様の1つは、前記容器部の側面には、指先サイズより広範囲を容器側面の他の部位に比して硬質化させた押圧部を有することを特徴とする充填式冷凍食品の容器である。
【0019】
このように構成された充填式冷凍食品の容器においては、このように容器部の側面に指先サイズよりも広い範囲を硬質化した押圧部を設けることにより、容器部内の冷凍食品を容器部の外側面を押圧して押し出す際に、押圧面積が拡大されて押し出し効率が向上し、容器部に充填された冷菓を皿等の給仕用トレイに移す作業の作業性が向上する。また、押圧面積が指先サイズよりも拡大することにより、冷凍食品の表面に指痕がつきにくく、離型した冷凍食品をそのまま客に提供する場合に形状の美観を損ないにくい。
【0020】
本発明の選択的な態様の1つは、前記押圧部は前記容器部の側面に少なくとも2つ設けてあり、前記容器部の開口中心を通る軸に対して略対称な位置関係で設けてあることを特徴とする充填式冷凍食品の容器である。
【0021】
このように構成された充填式冷凍食品の容器においては、容器部の外側面を押圧して容器部内の冷凍食品を押し出す際に、容器部の外側面を両側から摘まむように押圧する押し出し態様において、各押圧箇所における押圧面積が拡大されて押し出し効率が向上し、容器部に充填された冷菓を皿等の給仕用トレイに移す作業の作業性が更に向上する。
【0022】
本発明の選択的な態様の1つは、前記容器部の開口形状は、略オーバル形状であることを特徴とする充填式冷凍食品の容器である。
【0023】
このように構成された充填式冷凍食品の容器においては、開口形状に角を有する開口態様の容器に比べて、冷凍食品と容器部側面との干渉が少ないため、押し出し効率が向上し、容器部に充填された冷菓を皿等の給仕用トレイに移す作業の作業性が向上する。
【0024】
なお、以上説明した冷凍食品容器は、他の製品に組み込まれた状態で実施されたり他の方法とともに実施されたりする等の各種の態様を含む。また、本発明は前記冷凍食品容器の構成に対応した工程を有する冷凍食品容器の製造方法、当該製造方法の各工程に対応した機能を実現する製造装置、当該製造装置を制御するためのプログラム、該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体、等としても実現可能である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、容器部からの冷菓の離型性が悪化する原因を多角的に検討し、材料費等のコスト上昇を可及的に抑制しつつ、容器部に充填された冷菓を皿等の給仕用トレイに移す作業の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】第1の実施形態に係る充填式冷凍食品の容器を斜視的に示した図である。
図2】第1の実施形態に係る充填式冷凍食品の容器の本体を平面的に示した図である。
図3】第1の実施形態に係る充填式冷凍食品の容器を断面的に示した図である。
図4】第1の実施形態に係る充填式冷凍食品の容器の本体をA−A線に沿って断面的に示した図である。
図5】第1の実施形態に係る充填式冷凍食品の容器の本体をB−B線に沿って断面的に示した図である。
図6】第2の実施形態に係る本体の断面形状を示す図である。
図7】第3の実施形態に係る充填式冷凍食品の本体を斜視的に示した図、
図8】第3の実施形態に係る充填式冷凍食品の容器の本体を平面的に示した図、
図9】第3の実施形態に係る充填式冷凍食品の容器をC−C線に沿って断面的に示した図である。
図10】第4の実施形態に係る容器部の第一例の断面形状を示す図、
図11】第4の実施形態に係る容器部の第二例の断面形状を示す図、
図12】第4の実施形態に係る容器部の使用状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、下記の順序に従って本発明を説明する。
(1)第1の実施形態:
(2)第2の実施形態:
(3)第3の実施形態:
(4)第4の実施形態:
【0028】
(1)第1の実施形態:
図1は、本実施形態に係る充填式冷凍食品の容器を斜視的に示した図、図2は、本実施形態に係る充填式冷凍食品の容器の本体を平面的に示した図、図3は、本実施形態に係る充填式冷凍食品の容器をA−A線に沿って断面的に示した図、図4は、本実施形態に係る充填式冷凍食品の容器の本体を断面的に示した図、図5は、本実施形態に係る充填式冷凍食品の容器の本体をB−B線に沿って断面的に示した図である。
【0029】
容器Dは、本体1と蓋2を備えている。本体1の上面に対して蓋2を被せるように装着することで本体1の容器部10が封止され、容器部10内に充填された冷凍食品を保護するとともに、容器Dの上に他の容器Dを積載可能となる。これにより冷凍食品の衛生性及び在庫管理性が向上する。また、本体1の上面をいったん剥離させると再接着が難しいシール等で封止した場合と異なり、蓋2は本体1の上面の再封止が可能であるため、冷凍食品の衛生性及び在庫管理性が優れている。
【0030】
本体1は、半球殻状又は半楕円球殻状の凹部にて構成される複数の容器部10を有する。本体1は、耐寒性の樹脂シートを用いて真空成型により一体的に作製されており、複数の容器部10の開口部12をシート状連結部20によって互いに連結して一体化してある。このように、冷凍食品を単位量ずつ各容器部10に個別に収容したものを連結して顧客に提供するため、顧客側で冷凍食品の質や量を調整する必要が無く、顧客の利便性を向上できる。
【0031】
本体1は、全体に亘って略均一な厚みで薄肉状に形成されている。本体1は、補強構造を有さない部位については、手指の先で無理なく押圧変形可能な程度の薄肉に形成されている。例えば、容器部10の側面は、容器部10の中に冷凍食品が充填されていない状態において、手指の先で容易に押圧屈曲させて窪ませることができる程度の厚みである。
【0032】
ここで、容器Dの容器部10内に充填された冷凍食品を皿などの給仕用トレイに移す際には容器Dを天地反転させることが一般的である。そして、容器部10の内壁に対して冷凍食品が密着している場合には、容器部10の外側から底部を手指の先で押圧して、冷凍食品を容器部10の内壁から剥離させつつ押し出すように離型させる。すなわち、容器部10から冷凍食品が離型しにくくなる原因の1つは、容器部10の内壁に対する冷凍食品の付着力であり、この付着を解除可能とすることで冷凍食品を離型容易にすることができる。
【0033】
他方、冷凍食品の容器部10からの離型非容易性の原因として容器Dの変形も考えられる。すなわち、上述したように本実施形態に係る本体1は全体的に薄肉に形成されていて捩れやすい。このため、例えば或る容器部10に充填された冷凍食品を取り出そうとして容器Dを天地反転させると、適切な方法で適切な個所を支えなければ、容器Dの自重及び他の容器部10に充填されている冷凍食品の重みによって容器Dが大きく捩れてしまう。この捩れによって天地反転状態の容器Dの容器部10の開口がひしゃげて開口部が狭まるような捩れが発生する可能性が極めて高い。
【0034】
本実施形態で説明する容器Dにおいては、冷凍食品を離型非容易性の原因となる各種要因を可能な限り解消することで、通常の耐寒性の樹脂シートの成型で作成する薄肉状の容器Dであっても冷凍食品を離型性が向上する様々な工夫を行っており、これにより容器部10に充填された冷菓を皿等の給仕用トレイに移す作業の作業性を向上させてある。
【0035】
容器部10の1つと、当該1つの容器部10の最寄りの容器部10と間には、これら容器部10の開口縁部が近接する部位において、開口縁部の間を連結するようにシート状連結部20に浅い線状の溝部21を設けてある。本実施形態に係る溝部21は3つの溝21a,21b,21cを互いに平行に並設した構成であり、溝21a,21b,21cは横断面形状が半円状の溝である。溝21a,21b,21cの長手方向端部はそれぞれ容器部10の容器空間に対して開放されている。
【0036】
このように構成された溝21a,21b,21cで容器部10の間を連結することにより、連結された容器部10の間のシート状連結部20の捩れが抑制される。さらには、溝21a,21b,21c及びこれによって連結される複数の容器部10が全体的に捩れ難くなるため、これら全体が捩れ抑制構造として機能することにより容器D全体の捩れが抑制される。
【0037】
容器部10のうち、容器Dの縁部26寄りに配置されているものについては、当該容器部10と縁部26との間に、当該容器部10の開口縁部が縁部26に近接する部位において、当該容器部10と縁部26との間を結ぶようにシート状連結部20に浅い線状の溝部22を設けてある。本実施形態に係る溝部22は1本の溝22aで構成され、溝22aは横断面形状が半円状の溝である。溝22aの長手方向端部は、一方が容器部10の容器空間に対して開放され、他方が縁部26から容器Dの外方に開放されている。
【0038】
このように構成された溝22aで容器部10を縁部26に連結することにより、縁部26のシート状連結部20の捩れが抑制され、ひいては溝21a,21b,21c及びこれによって連結される複数の容器部10による捩れ抑制構造がシート状連結部20の端まで延設され、容器Dの捩れ抑制効果が更に向上する。
【0039】
シート状連結部20には係合凹部23,24が形成されている。係合凹部23は、シート状連結部20において複数の容器部10によって囲まれた部位に形成され、係合凹部24は、シート状連結部20において複数の容器部10と縁部26とによって囲まれた部位に形成される。
【0040】
係合凹部23,24は、容器部10や縁部26から一定以上離間して形成されており、容器部10の開口縁部や縁部26に対向する側の縁部は、その対向する容器部10の開口縁部や縁部26に沿う形状に形成されている。
【0041】
係合凹部23,24は、その縁部に側壁23W,24Wを有している。側壁23W,24Wは、シート状連結部20の面から略垂直に屈曲するように設けてあり、係合凹部23,24は、その底部とシート状連結部20の間が急峻な側壁となる陥没穴状に形成されている。このように、係合凹部23,24の側壁23W,24Wを急峻に形成することにより、後述する蓋2に形成される係合凸部223,224との係合性が向上する。
【0042】
また、係合凹部23,24を形成することにより、容器Dに発生する捩れをある程度緩和することができる。すなわち、複数の容器部10によって囲まれた係合凹部23は略ひし形状であり、複数の容器部10と縁部26とによって囲まれた係合凹部24は略三角形状であり、これら凹状構造体をシート状連結部20の容器部10の隙間に設けることでシート状連結部20の強度が向上し、容器Dを天地反転したときに容器Dに捩れが発生しにくい状態に支持しやすくなる。
【0043】
なお、シート状連結部20には、ミシン目等の破断線25を設けてあり、ハサミなどの切断工具を用いずにシート状連結部20を破断線25に沿って切断可能に構成してある。この破断線25によって区画された各部位に配設される容器部10の数は一定数以下としてある。従って、例えば、ある区画の容器部10に充填された冷凍食品を全て取り出して使用済みになった場合、空の容器部10のみで構成される区画を切除して分離する作業を容易に行うことができる。これにより冷凍食品の在庫管理性が向上するとともに、容器Dのサイズを適宜に縮小して容器Dに捩れが発生しにくくすることができる。
【0044】
シート状連結部20の縁部26は、縁部26に沿って折り曲げた折り曲げ部26aを設けて補強してある。これにより、シート状連結部20の縁部26の強度が向上し、容器Dを天地反転したときに容器Dに捩れが発生しにくくなり、上述した溝部21,22、係合凹部23,24との組み合わせにより、容器Dの捩れ抑制効果が更に向上する。
【0045】
次に、容器部10の形状について説明する。容器部10の深さ方向の断面形状は、略半オーバル形状であり、略半オーバル形状の具体的な一例としては略半球殻状又は略半楕円球殻状が例示される。
【0046】
オーバルとは、幾何学上、(1)微分可能な(スムーズな・滑らかな)曲線であり、(2)交差しておらず、凸状で、閉じた、平面上の曲線であり、(3)形が円や長円からあまり違わず、(4)最低一箇所、線対称な部分がある曲線を指すが、本実施形態で言う略オーバル形状については(1),(4)の要件は必須ではなく、(2),(3)の要件を備えた縁部を有する形状を指すものとする。なお、略半オーバル形状は、略オーバル形状を略半分に切断したいずれか一方の形状を指すものとする。むろん、略オーバル形状には、円形や楕円形も含みうる。
【0047】
また容器部10の開口形状も略オーバル形状とする。これにより、四角形や三角形等のように鋭角な偶部を有する開口形状に比べて、形が円や長円からあまり違わない略オーバル形状であれば、容器部10内に充填された冷凍食品を容器部10から出しやすくなる。
【0048】
蓋2は、本体1の上面と略同一サイズに構成されており、本体1と同様に耐寒性の樹脂シートを用いて真空成型により一体的に作製されている。蓋2には本体1の破断線25に対応する位置に、同様の破断線を設けてある。蓋2は、本体1に被せた状態で、容器部10に対面する部位に蓋状凹部210が形成されており、係合凹部23,24に対面する部位に係合凸部223,224が形成されている。蓋2の縁部226には、本体1の縁部の外側に回り込んで嵌り合うように屈曲された折り返し部226aが設けられている。
【0049】
蓋状凹部210は、蓋2を構成するシート状樹脂を略オーバル形状の浅溝状に凹ませて形成された部位であり、蓋2を本体1に被せると容器部10の開口部に浅く凹凸係合する。このため、冷凍食品の元となる液状体を容器部10に多めに充填して蓋状凹部210を容器部10に浅く凹凸係合させると、蓋状凹部210によって規定される量を超える液状体が容器部10から押し出されて、容器Dに充填される冷凍食品の体積を規格化することができる。
【0050】
係合凸部223,224は、蓋2を構成するシート状樹脂の面から略垂直に屈曲するように設けてあり、上述した係合凹部23,24と同様に、蓋2の上面視において、その底部とシート状連結部20の間が急峻な側壁で連続する陥没穴状に形成されている。逆に言えば、蓋2の底面視において、その底部とシート状連結部20の間が急峻な側壁で連続する突出台状に形成されている。係合凸部223,224を係合凹部23,24に凹凸係合させることにより、蓋2を本体1に対して固定することができる。
【0051】
また、折り返し部226aを設けることにより、容器Dの縁部において、本体1と蓋2の一体性が高まり、本体1の縁部が蓋2の折り返し部226aによって側面側から覆われることになり、容器Dの縁部において本体1と蓋2の間に隙間ができにくくなる。これにより、本体1と蓋2の間に隙間から、本体1の容器部10へ異物等が侵入する可能性を可及的に抑制することができる。
【0052】
このように、蓋2を本体1に被せて係合凸部223,224を本体1の係合凹部23,24に凹凸係合させるとともに、蓋2の折り返し部226aが本体1の縁部26の外側に嵌め込み状に被せることにより、蓋2が本体1のシート状連結部を歪みの少ない状態に矯正保持する効果もある。これにより、本体1に歪みの少ない状態で容器部10の液状体を冷凍固化させることが可能となり、容器部に充填された冷菓を皿等の給仕用トレイに移す作業の作業性をさらに向上させることができる。
【0053】
(2)第2の実施形態:
図6は、本実施形態に係る本体の断面形状を示す図である。なお、本実施形態に係る容器Dは、容器部の形状及び数を除くと上述した第1の実施形態と同様であるため、容器部以外の構成については上述した第1の実施形態と同じ符号を用いて説明を行う。
【0054】
本実施形態に係る容器部210は、その開口付近の容器側面211が、シート状連結部20に直交する方向よりも容器内方に傾斜したテーパー状部211aを有する。このように、容器部210の開口部付近の容器側面を内傾させることにより、容器部210内から冷凍食品を取り出しやすくなる。
【0055】
すなわち、容器部210から冷凍食品を取り出す際に、容器部210の内壁と冷凍食品とが面接触しつつ動く過程が可及的に低減され、冷凍食品を容器部210からスムーズに取り出すことができる。しかも、容器部210の開口付近がオーバーハングしにくいため(容器部210の開口付近が容器部210内方よりも狭幅化しにくいため)、容器Dに捩れが発生して開口付近が基本状態よりも狭幅化した場合でも開口縁部にオーバーハングが発生するほどには狭幅化しにくく、冷凍食品の容器部210からの取出しやすさが向上する。
【0056】
(3)第3の実施形態:
図7は本実施形態に係る充填式冷凍食品の本体を斜視的に示した図、図8は、本実施形態に係る充填式冷凍食品の容器の本体を平面的に示した図、図9は、本実施形態に係る充填式冷凍食品の容器をC−C線に沿って断面的に示した図である。なお、本実施形態に係る容器Dは、容器部の形状及び数を除くと上述した第1の実施形態と同様であるため、容器部以外の構成については上述した第1の実施形態と同じ符号を用いて説明を行う。
【0057】
本実施形態に係る容器部310は、容器部310の深さ方向の断面形状は、略半オーバル形状としての略半楕円球殻状である。従って、容器部310に充填して冷凍固化された冷凍食品は、いわゆる半レモン型と呼ばれる形状に形成される。
【0058】
容器部310は、図9に示すように、C−C線に沿う断面形状において、容器部310の開口付近の容器側面311に、シート状連結部20に直交する方向よりも容器内方に傾斜させて形成したテーパー状部311aを有する。これにより、上述した第2の実施形態に係る容器部210と同様に、容器部310内から冷凍食品を取り出しやすくなる。また、このようなテーパー状部は、図9のC−C線と直交する方向の断面形状においても、容器部310の開口付近の容器側面に形成してもよく、これにより容器部310内からの冷凍食品の取り出しやすさが更に向上する。
【0059】
(4)第4の実施形態:
図10は、本実施形態に係る容器部の第一例の断面形状を示す図、図11は、本実施形態に係る容器部の第二例の断面形状を示す図、図12は、本実施形態に係る容器部の使用状態を説明する図である。なお、本実施形態に係る容器Dは、容器部の形状を除くと上述した第1の実施形態と同様であるため、容器部以外の構成については上述した第1の実施形態と同じ符号を用いて説明を行う。
【0060】
本実施形態に係る容器部410は、容器部410の側面又は底面に、指先サイズより広範囲を容器側面の他の部位に比して硬質化させた押圧部411を有する。押圧部411の形状及び/又は構造は、様々に変更して実現可能であるため、図10図11には押圧部411の一例を示してある。
【0061】
図10に示す押圧部411は、容器部410の底部と側部の間あたりに、他の部位に比して曲率の高い高屈曲部を設けることにより実現してある。この押圧部411を図12に示すように押圧すると高屈曲により硬質化した部位全体が一体的に移動し、手指の押圧力を押圧部411のサイズに拡大して容器部410内の冷凍食品に作用させる。これにより、冷凍食品の押し出し容易性が向上し、さらには、容器部410から押し出された冷凍食品に手指の押圧形が残りにくくなる。
【0062】
なお、図10に示す押圧部411は、容器部410の側面に少なくとも2つ設けて、容器部410の開口中心を通る軸に対して略対称な位置関係で設けると押圧が容易になる。すなわち、容器部410内の冷凍食品を押し出す際は、図12に示すように手指で挟むように押圧することが一般的であるため、手指の押圧箇所にそれぞれ押圧部411を設けることにより、冷凍食品の押し出し容易性が向上し、さらには、容器部410から押し出された冷凍食品に手指の押圧形が残りにくくなる。
【0063】
図11に示す押圧部411は、容器部410の底部を平坦化して、平坦化した部位と他の部位との間に他の部位に比して曲率の高い高屈曲部をリング状に設けることにより実現してある。この押圧部411を図12に示すように押圧すると高屈曲により硬質化した部位及びこれに囲われた平坦部とが一体的に移動し、手指の押圧力を押圧部411のサイズに拡大して容器部410内の冷凍食品に作用させる。これにより、冷凍食品の押し出し容易性が向上し、さらには、容器部410から押し出された冷凍食品に手指の押圧形が残りにくくなる。
【0064】
なお、本発明は上述した実施形態や変形例に限られず、上述した実施形態および変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施形態および変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も含まれる。また,本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されず,特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【符号の説明】
【0065】
1…本体、2…蓋、10…容器部、12…開口部、20…シート状連結部、21…溝部、21a…溝、21b…溝、21c…溝、22…溝部、22a…溝、23…係合凹部、24…係合凹部、25…破断線、26…縁部、210…蓋状凹部、210…容器部、223…係合凹部、224…係合凸部、226…縁部、226a…折り返し部、310…容器部、410…容器部、411…押圧部、D…容器
図1
図2
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図5
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図12