特開2016-161198(P2016-161198A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士工業株式会社の特許一覧

特開2016-161198レンジフードの取付装置およびレンジフード
<>
  • 特開2016161198-レンジフードの取付装置およびレンジフード 図000003
  • 特開2016161198-レンジフードの取付装置およびレンジフード 図000004
  • 特開2016161198-レンジフードの取付装置およびレンジフード 図000005
  • 特開2016161198-レンジフードの取付装置およびレンジフード 図000006
  • 特開2016161198-レンジフードの取付装置およびレンジフード 図000007
  • 特開2016161198-レンジフードの取付装置およびレンジフード 図000008
  • 特開2016161198-レンジフードの取付装置およびレンジフード 図000009
  • 特開2016161198-レンジフードの取付装置およびレンジフード 図000010
  • 特開2016161198-レンジフードの取付装置およびレンジフード 図000011
  • 特開2016161198-レンジフードの取付装置およびレンジフード 図000012
  • 特開2016161198-レンジフードの取付装置およびレンジフード 図000013
  • 特開2016161198-レンジフードの取付装置およびレンジフード 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-161198(P2016-161198A)
(43)【公開日】2016年9月5日
(54)【発明の名称】レンジフードの取付装置およびレンジフード
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20160808BHJP
【FI】
   F24F7/06 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-39410(P2015-39410)
(22)【出願日】2015年2月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000237374
【氏名又は名称】富士工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100145241
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康裕
(72)【発明者】
【氏名】小木原 吉紀
(72)【発明者】
【氏名】野澤 勝
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 巧
【テーマコード(参考)】
3L058
【Fターム(参考)】
3L058BJ04
(57)【要約】
【課題】 レンジフードを取り付ける際の位置出し作業を容易にすると共に、レンジフードのフードが壁面に直接当接することで正面側への出っ張りを無くし、外観上の問題を解決する。
【解決手段】 レンジフード1を壁面WLに取り付けるための取付装置100であって、レンジフードのフード部2の端部上面に当接するフード当接部11と、フード当接部と略垂直をなし、壁面に取り付けられた場合壁面に当接する壁面当接部13と、壁面当接部の壁面に当接する面の反対側の面に、レンジフードに設けられた被掛合部4と掛合する掛合部21とを備え、壁面当接部は、壁内部の下地材間にわたり、取付装置を壁面に取り付けるための取付具を貫通させる複数の孔を有する第一貫通孔形成部14と、第一貫通孔形成部の少なくとも一端に位置合わせ部16と、を有し、位置合わせ部は、フード当接部の下面からフード部の厚さ以上の縦長さを有する取付装置。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンジフードを壁面に取り付けるための取付装置であって、
前記レンジフードのフード部の端部上面に当接するフード当接部と、
前記フード当接部と略垂直をなし、前記壁面に取り付けられた場合前記壁面に当接する壁面当接部と、
前記壁面当接部の前記壁面に当接する面の反対側の面に、前記レンジフードに設けられた被掛合部と掛合する掛合部と、
を備え、
前記壁面当接部は、
前記壁面の壁内部の下地材間にわたり、前記取付装置を前記壁面に取り付けるための取付具を貫通させる複数の孔を有する第一貫通孔形成部と、
前記第一貫通孔形成部の少なくとも一端に位置合わせ部と、
を有し、
前記位置合わせ部は、前記フード当接部の下面から前記フード部の厚さ以上の縦長さを有する、
取付装置。
【請求項2】
前記位置合わせ部と前記第一貫通孔形成部の間、または前記第一貫通孔形成部の下端を水平方向に延長した線で上下に分かたれた前記位置合わせ部の上半部の何れかに、周辺よりも耐曲げ強度が低く、前記位置合わせ部を折り曲げられる部分を有することを特徴とする請求項1に記載の取付装置。
【請求項3】
前記位置合わせ部を前記折り曲げ部分で折り曲げることで切断することを特徴とする請求項2に記載の取付装置。
【請求項4】
前記位置合わせ部は、その切断が必要な構成の場合に、切断忘れを防ぐための立ち上がり部その他の凸部を伴うことを特徴とする請求項3に記載の取付装置。
【請求項5】
第1部材と第2部材の2つの部材から構成され、
前記第1部材は、前記フード当接部および前記壁面当接部を有し、
前記第2部材は、第二貫通孔形成部および前記掛合部を有し、
前記第1部材と前記第2部材は、結合されて前記レンジフードを前記壁面に取り付けることを特徴とした請求項1乃至4のいずれかに記載の取付装置。
【請求項6】
前記位置合わせ部の前記縦長さは、前記フード部の厚さと略等しいことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の取付装置。
【請求項7】
前記位置合わせ部は、縦方向に付された、前記フード部の厚さを示す目盛りを有することを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の取付装置。
【請求項8】
前記位置合わせ部は、前記位置合わせ部を折り曲げるときにつまむためのつまみ部を有することを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載の取付装置。
【請求項9】
フード部と、該フード部に接続され、送風機を収納する送風機ボックスとを備え、請求項1乃至8のいずれかに記載の取付装置により取り付けられるレンジフード。
【請求項10】
請求項9に記載のレンジフードであって、前記フード部が壁面に直接当接するレンジフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンジフードを壁面に取り付けるための取付装置およびその取付装置により取り付けられるレンジフードに関する。
【背景技術】
【0002】
壁面に設置された既存のレンジフードを交換し、新たなレンジフードを取り付ける際、壁面下の間柱等の位置が、新たなレンジフードの取付機構とは適合しない場合がある。このような場合、壁表面の一部を一旦剥がし取り付けに適した下地を形成の後、改めて壁表面を復元した後、新しいレンジフードを設置していた。しかし、これでは作業が煩雑であり、工事費用も高額になるので、レンジフードの壁面設置用取付けベースが考案されている。
【0003】
例えば、特許文献1は、壁設置タイプの既設のレンジフードから新規のレンジフードへの交換設置を容易に短時間で可能にするレンジフードの取付装置を開示する。この取付装置は、レンジフードをキッチン壁に取り付け設置するための取付装置であって、ネジ止めによるキッチン壁への壁取付孔とネジ孔を備える略帯板状の第1取付部材と第2取付部材とを備え、さらに、第2取付部材をキッチン壁に取り付けるときに、第2取付部材を結合状態でキッチン壁に保持するための桟部材を備えて構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−237461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような従来のレンジフードの取付装置においては、取り付け時に固定用座付ネジの位置出しと打ち込みが必要なため、型紙やものさしを用いた作業を行っており、まだ煩雑な作業を伴っていた。また、取付装置を用いてレンジフードを取り付けた場合、取付装置の厚さ分だけ正面側へ出っ張ることとなり、側面または底面から見た場合取付装置が視認できるために外観上問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、レンジフードを取り付ける際の位置出し作業を容易にすると共に、レンジフードのフードが壁面に直接当接することで正面側への出っ張りを無くし、外観上の問題を解決した取付装置およびレンジフードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、レンジフードを壁面に取り付けるための取付装置であって、レンジフードのフード部の端部上面に当接するフード当接部と、フード当接部とほぼ垂直をなし、壁面に取り付けられた場合壁面に当接する壁面当接部と、壁面当接部の壁面に当接する面の反対側の面に、レンジフードに設けられた被掛合部と掛合する掛合部と、を備え、壁面当接部は、壁面の壁内部の下地材間にわたり、取付装置を壁面に取り付けるための取付具を貫通させる複数の孔を有する第一貫通孔形成部と、第一貫通孔形成部の少なくとも一端に位置合わせ部と、を有し、位置合わせ部は、フード当接部の下面からフード部の厚さ以上の縦長さを有する取付装置が提供される。
これによれば、レンジフードのフードの厚さ以上の縦長さを有する少なくとも一つの位置合わせ部を有することで、レンジフードを取り付ける際の位置出し作業を容易にする取付装置を提供することができる。
【0008】
さらに、第1部材と第2部材の2つの部材から構成され、第1部材は、フード当接部および壁面当接部を有し、第2部材は、第二貫通孔形成部および掛合部を有し、第1部材と第2部材は、結合されてレンジフードを壁面に取り付けることを特徴としてもよい。
これによれば、位置合わせ部を設けた壁面当接部を有する部材(第1部材)と、レンジフードを支持する掛合部を有する部材(第2部材)とを別部材とすることで、先に第1部材のみで位置合わせすることができるので、位置出し作業をより容易にすることができる。また、取付装置全体に対し、第1部材は比較的小さく軽量なので、位置出し作業をより容易にすることができる。
【0009】
さらに、位置合わせ部と第一貫通孔形成部の間、または第一貫通孔形成部の下端を水平方向に延長した線で上下に分かたれた位置合わせ部の上半部の何れかに、周辺よりも耐曲げ強度が低く、位置合わせ部を折り曲げられるミシン目、ハーフカット、凹溝形成その他の加工方法を施した折り曲げ部分を有することを、特徴としてもよい。
これによれば、かかる折り曲げ部分で位置合わせ部を折り曲げることにより、フード部を壁面に当接することを妨げない位置に位置合わせ部を避けることができる。また、フード部の左右両側面が壁または吊戸棚等により挟まれている場合に、フード部の底面から視認できない取付装置を提供することができる。これに加えて、前幕板も設けたときには、レンジフードの正面からも視認できない取付装置となる。
【0010】
さらに、位置合わせ部を折り曲げ部分で折り曲げて切断することを、特徴としてもよい。
これによれば、折り曲げ部分を折り曲げ切断後の位置合わせ部が、横幕板その他の部材をフード部と同様に壁面へ当接することを、妨げない形状にすることができる。また、折り曲げ部分を折り曲げ切断することにより、フード部の底面、正面および側面から視認できない取付装置を提供することができる。この場合に、前幕板と横幕板を設けたときは、レンジフードの正面および側面からも視認できない取付装置となる。
【0011】
さらに、位置合わせ部は、その切断が必要な構成の場合に、切断忘れを防ぐための立ち上がり部その他の凸部を伴うことを特徴としてもよい。
これによれば、かかる凸部がフード部を壁面に当接する際の妨げとなるので、作業者は位置合わせ部の切断忘れを防ぐことができる。
【0012】
さらに、位置合わせ部の縦長さは、フード部の厚さとほぼ等しいことを特徴としてもよい。
これによれば、位置合わせ部の下端がフード部の下端と一致することで、縦方向の位置出し作業を容易にすることができる。
【0013】
さらに、位置合わせ部は、縦方向に付された、フード部の厚さを示す目盛りを有することを特徴としてもよい。
これによれば、さまざまなフード部の厚さを有するレンジフードに適応した取付装置を提供することができる。
【0014】
さらに、位置合わせ部は、位置合わせ部を折り曲げるときにつまむためのつまみ部を有することを特徴としてもよい。
これによれば、作業者が位置合わせ部を容易に折り曲げて切断することができる。
【0015】
上記課題を解決するために、フード部と、そのフード部に接続され、送風機を収納する送風機ボックスとを備え、上記の取付装置により取り付けられるレンジフードが提供される。
これによれば、レンジフードのフード部の端部上面に当接するフード当接部と、フード部の厚さ以上の縦長さを有する少なくとも一つの位置合わせ部を有する取付装置により取り付けることで、レンジフードを取り付ける際の位置出し作業を容易にするレンジフードを提供することができる。
【0016】
さらに、上記のレンジフードであって、フード部が壁面に直接当接するレンジフードであってもよい。
これによれば、レンジフードのフードが壁面に直接当接することで正面側への出っ張りを無くし、取付装置が側面や底面から視認できなくなり、外観上の問題を解決することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、レンジフードを取り付ける際の位置出し作業を容易にすると共に、レンジフードのフードが壁面に直接当接することで正面側への出っ張りを無くし、外観上の問題を解決した取付装置およびレンジフードを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係るレンジフードの第一実施例の、(A)正面図、(B)側面図、(C)正面拡大図。
図2】本発明に係る取付装置の第一実施例における第1部材の、(A)正面図、(B)平面図、(C)底面図、(D)右側面図。
図3】本発明に係る取付装置の第一実施例における第2部材の、(A)正面図、(B)平面図、(C)底面図、(D)右側面図。
図4A】本発明に係る取付装置の第一実施例における取付説明図(その一)。
図4B】本発明に係る取付装置の第一実施例における取付説明図(その二)。
図4C】本発明に係る取付装置の第一実施例における取付説明図(その三)。
図4D】本発明に係る取付装置の第一実施例における取付説明図(その四)。
図4E】本発明に係る取付装置の第一実施例における取付説明図(その五)。
図4F】本発明に係る取付装置の第一実施例における取付説明図(その六)。
図5】本発明に係る取付装置の第一実施例の変形例における第1部材の、(A)正面図、(B)平面図、(C)底面図、(D)右側面図。
図6】本発明に係る取付装置の第一実施例の変形例における取付説明図。
図7】従来技術のレンジフードの、(A)正面図、(B)側面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
まず、図7を参照し、従来技術のレンジフード1Zおよびレンジフード1Zを壁面WLに取り付けるための取付装置100Zを説明する。レンジフード1Zは、薄型(平型)のフード部2Zと、送風機など(図示せず)を収納する送風機ボックス3Zとを備え、両者は、フード部2Zの上面と送風機ボックス3Zの下面とで接続されている。フード部1Zの背面側の面と、送風機ボックス3Zの背面側の面とはほぼ面一となっており、両方の面とも取付装置100Zの正面側の面に着設される。そうすると、レンジフード1Zの使用者がレンジフード1Zの下方や側方から見ると、フード部2Zと壁面WLとの間に取付装置100Zの端面が視認されることとなる。これは、インテリアの一部となるレンジフードの外観上からすれば、好ましいことではない。
【0020】
また、フード部2Zの正面側の位置、すなわち使用者にとってのレンジフード1Zの一番手前の位置は、取付装置100Zの厚さ分より手前になることとなる。すなわち、レンジフード1Zのフード部2Zは、正面側へ取付装置100Zの厚さ分出っ張ることとなる。フード部2Zの正面側の面の位置は、使用者にとって最も気になるところであり、空間の有効利用の観点からもこの出っ張りは好ましいことではない。
【0021】
また、取付装置100Zを壁面WLに取り付ける際、レンジフード1Zの取り付ける位置を決めるための位置出し作業が必要となる。従来技術では、位置出し作業を容易にするためにレンジフード1Zの外形を表した型紙を用いたり、物差しを用いたりして、レンジフード1Zを取り付ける位置を決めている。かかる作業は、取付現場においては時間を要する作業であり、効率化が望まれていた。
【0022】
以下では、図面を参照しながら、本発明に係る実施例について説明する。
<第一実施例>
図1を参照し、本実施例のレンジフード1およびレンジフード1を壁面WLに取り付けるための取付装置100を説明する。レンジフード1は、薄型(平型)のフード部2と、送風機など(図示せず)を収納する送風機ボックス3とを備え、両者は、フード部2の上面と送風機ボックス3の下面とで接続されている。フード部2の正面視の横幅はFL、厚さはFWとして示される。送風機ボックス3の正面視の横幅は、フード部2の横幅FLよりわずかに短い長さを有する。
【0023】
取付装置100は、壁面WLに取り付けられており、レンジフード1は、レンジフード1の被掛合部4(図中におけるダルマ穴を指す)と取付装置100の掛合部21(図中における丸ネジを指す)とが掛合することにより、取付装置100に取り付けられている。より具体的には、レンジフード1は、送風機ボックス3において取付装置100に着設され、フード部2において壁面WLに当接されている。
【0024】
フード部2の背面側の面と、送風機ボックス3の背面側の面とは面一ではなく、送風機ボックス3の背面側の面は、フード部2の背面側の面より取付装置100の厚さ分正面側に寄っている。その結果、レンジフード1は、フード部2の背面側の面と取付装置100の背面側の面とが面一となって壁面WLに取り付けられている。
【0025】
取付装置は、フード部2と壁面WLの間に挿入するような薄板を有していてもよいが、本実施例の取付装置100は、そのような構成を有さず、送風機ボックス3と壁面WLの間にのみ位置する構成である。そうすると、フード部2が壁面WLに直接当接することとなり、正面側への出っ張りを無くし、取付装置100が側面や底面から視認できなくなり、外観上の問題を解決することができる。
【0026】
なお、本実施例では、送風機ボックス3の背面側の面はフード部2の背面側の面より取付装置100の厚さ分だけ正面側に寄っているが、これに限定されない。掛合部と被掛合部の大きさや形状、位置関係により、送風機ボックス3の背面側の面は、取付装置100の厚さ以上正面側に寄っていてもよい。
【0027】
本図の(C)は、後述する取付装置100の位置合わせ部16とフード部2のとの関係を示す。位置合わせ部16は、レンジフード1を取り付ける前はミシン目17を介して第一貫通孔形成部14と一体的に繋がっているが、レンジフード1の取り付け過程においてミシン目17で切断、除去されるため点線で表されている。レンジフード1を壁面WLに取り付ける際、レンジフード1の位置合わせを、縦方向(垂直方法)はフード部2の下端で、横方向(水平方向)はフード部2の側端で行うことが通常である。取付装置100において、フード部2の下端部であってかつ側端部である部分、すなわち位置合わせ部16の角部PSUを、レンジフード1を取り付ける際の位置合わせの基準とすることができる。
【0028】
後述するように取付装置100のフード当接部11は、レンジフード1のフード部2の背面側の端部の上面に当接することになるから、位置合わせ部16の角部PSUのフード当接部11までの垂直方向の距離は、本実施例の場合はフード部2の厚さFWとなる。なお、位置合わせ部16は、フード当接部11の下面からフード部2の厚さFW以上の縦長さを有すればよい。位置合わせ部が縦方向に付されたフード部の厚さを示す目盛りを有することで位置合わせが可能となるからであるが、本実施例のように、位置合わせ部16の縦長さは、フード部2の厚さFWとほぼ等しいことが好ましい。こうすることで、位置合わせ部の下端がフードの下端と一致し、縦方向の位置出し作業を容易にすることができる。
【0029】
また、位置合わせ部16は、取付装置100の左右少なくとも一方に有すればよい。取付装置100の片方にあれば、横方向の位置合わせができるからである。これによれば、レンジフード1のフード部2の端部上面2PUに当接するフード当接部11と、フード部2の厚さFW以上の縦長さを有する少なくとも一つの位置合わせ部とを有する取付装置100により取り付けることで、レンジフードを取り付ける際の位置出し作業を容易にすることができる。無論、本実施例のように、取付装置100は位置合わせ部16を左右両方に有することが好ましい。左右両方に位置合わせの基準となる角部PSUが存在するので、より位置合わせが容易になる。この場合、2つの位置合わせ部16の外側端面の水平距離(2つの角部PSUの水平距離)は、ほぼフード部2の正面視横幅FLと等しい。
【0030】
図2および図3を参照し、本実施例の取付装置100を説明する。取付装置100は、第1部材10と第2部材20の2つの部材から構成されており、図2が第1部材10を、図3が第2部材20を示す。第1部材10は、第2部材20より縦幅が狭く、その分第2部材20より軽量である。第2部材20は、第1部材10より縦幅が広く、送風機ボックス3の縦方向の厚み以上の縦幅を有する。
【0031】
第1部材10は、レンジフード1のフード部2の背面側の端部上面に当接するフード当接部11と、そのフード当接部11とほぼ垂直をなして形成され、壁面WLに取り付けられた場合壁面WLに当接する壁面当接部13と、を有する。後述するように、第1部材10は、壁面当接部13を壁面WLに当接させて壁面WLに取り付けられる。そうすると、フード当接部11は、壁面WLに対して垂直となる。フード部2の上面は、壁面WLに対して垂直となるところ、レンジフード1を取付装置100に取り付ける場合、フード部2の背面側の端部上面をフード当接部11の下面12に当接するようにして取り付ける。こうすることで、レンジフード1は、確実にフード部2を水平方向の位置出しをして取り付けることができると共に、取付装置100と一体的に取り付けることができる。
【0032】
壁面当接部13は、複数の孔15を有する第一貫通孔形成部14と、第一貫通孔形成部14の長手方向の両側に位置合わせ部16と、位置合わせ部16と第一貫通孔形成部14の間にミシン目17とを有する。第一貫通孔形成部14の複数の孔15は、第1部材10を壁面WLに取り付けるための取付具(後述)を貫通させるための孔である。複数の孔15は、第一貫通孔形成部14のほぼ全域に亘り一列に形成されており、両端の孔15の距離は、壁面WLの壁内部の下地材の間の水平距離以上である。孔15同士の間隔は、下地材に取付具を適切に打ち込めるように強度が落ちない程度に小さいことが好ましい。なお、上述したように、位置合わせ部16は、第一貫通孔形成部14の少なくとも一端に存すればよい。また、複数の孔は、壁面への取り付けが強固になるので第一貫通孔形成部に複数列で形成されてもよい。
【0033】
ミシン目17は、第一貫通孔形成部14の孔15を貫通する取付具により第1部材10が壁面WLに取り付けられた後、位置合わせ部16を壁面WLから浮かせて折り曲げることで切断するためのものである。なお、位置合わせ部16は、位置合わせ部16から壁面WLと逆方向に立ち上った、位置合わせ部16を折り曲げるときにつまむためのつまみ部18を、位置合わせ部16の端部に垂直方向に有することが好ましい。これによれば、作業者が位置合わせ部16を容易に折り曲げて切断することができる。なお、ミシン目は、周辺よりも耐曲げ強度が低く、ハーフカット、凹溝形成その他の加工方法を施した折り曲げ易い折り曲げ部分であってもよい。また、かかる折り曲げ部分は、第一貫通孔形成部の下端を水平方向に延長した線Lで上下に分かれるように位置合わせ部を形成し、その位置合わせ部の上半部Aの何れかに、折り曲げ部分を備えてもよい。
【0034】
切断する前の位置合わせ部16は、位置合わせ部16の側端部PSにおいてフード部2の横方向(水平方向)の位置合わせの基準として使用される。また、同様に、位置合わせ部16の下端部PUは、フード部2の縦方向(垂直方向)の位置合わせの基準として使用される。したがって、側端部PSと下端部PUが交差する位置合わせ部16の角部PSUは、フード部2の位置合わせの基準として使用され、フード部2の背面側下端の両端部分が位置することとなる。
【0035】
位置合わせ部16の縦長さPL、すなわち、フード当接部11の下面12から位置合わせ部16の下端部PUまでの垂直方向の距離PLは、本実施例では、フード部2の厚さFWと等しい。これによれば、位置合わせ部16の下端がフード部2の下端と一致することで、縦方向の位置出し作業を容易にすることができる。なお、これに限定されず、位置合わせ部16は、フード当接部11の下面12からフード部2の厚さFW以上の縦長さを有していてもよい。この場合、たとえば、位置合わせ部に縦方向に付されたフード部の厚さを示す目盛りを有することが好ましい。これによれば、1つの位置合わせ部でさまざまなフード部の厚さを有するレンジフードに適応することができる。
【0036】
また、第1部材10は、第2部材20を係止するための係止部19を3か所に有する。係止部19が第2部材20の下部を確実に係止することで、第1部材10と第2部材20は結合されて、取付装置100として一体となって、壁面WLに取り付けられる。
【0037】
第2部材20は、第二貫通孔形成部22と、掛合部21と、被係止部24と、支持部25とを有する。第二貫通孔形成部22は、第一貫通孔形成部14と同様、壁面WLの壁内部の下地材間にわたり、第2部材20を壁面WLに取り付けるための取付具を貫通させる複数の穴23を有する。掛合部21は、壁面WLに当接する面の反対側の面に、レンジフード1に設けられた被掛合部4と掛合し、レンジフード1の重さを支えるものである。被係止部24は、第1部材10の係止部19と係止する部分である。支持部25は、第2部材20の本体と言える部分であり、下部に被係止部24を、上部に掛合部21を、上端に第二貫通孔形成部22を有し、レンジフード1の送風機ボックス3の縦方向厚みとほぼ同じ縦幅を有する。
【0038】
本実施例における取付装置100は、第1部材10と第2部材20の2つの部材から構成され、両方の部材が第一貫通孔形成部14と第二貫通孔形成部22で壁面に取付具で取り付けられると共に、係止部19と被係止部24で係止し結合される。このように、位置合わせ部を設けた壁面当接部を有する部材(第1部材)と、レンジフードを支持する掛合部を有する部材(第2部材)とを別部材とすることで、後述するように、先に第1部材のみで位置合わせすることができるので、位置出し作業をより容易にすることができる。また、取付装置全体に対し、第1部材は比較的小さく軽量なので、位置出し作業をより容易にすることができる。
【0039】
そして、第1部材10と第2部材20が結合された取付装置100は、一体となり、レンジフード1のフード部2の端部上面に当接するフード当接部11と、そのフード当接部11とほぼ垂直をなし、壁面WLに取り付けられた場合壁面WLに当接する壁面当接部13と、壁面当接部13の壁面WLに当接する面の反対側の面に、レンジフード1に設けられた被掛合部4と掛合する掛合部21と、を備え、壁面当接部13は、壁面WLの壁内部の下地材間にわたり、取付装置100を壁面WLに取り付けるための取付具を貫通させる複数の孔15を有する第一貫通孔形成部14と、第一貫通孔形成部14の少なくとも一端に位置合わせ部16と、位置合わせ部16と第一貫通孔形成部14の間に、位置合わせ部16を折り曲げることで切断できるミシン目17と、を有し、位置合わせ部16は、フード当接部11の下面12からフード部2の厚さ以上の縦長さを有する、取付装置である。これによれば、レンジフードのフードの厚さ以上の縦長さを有する少なくとも一つの位置合わせ部を有することで、レンジフードを取り付ける際の位置出し作業を容易にすると共に、取り付け後位置合わせ部をミシン目で折り曲げて切断することで側面から視認できなくなる取付装置を提供することができる。
【0040】
図4A乃至図4Fを参照し、取付装置100およびレンジフード1の壁面への取り付け方法を説明する。図4Aは、第1部材10を壁面WLに取り付ける場合を示す。作業者は、第1部材10を取り付ける際、強固な取り付けを確保するために壁面WLの壁内部の下地材UDの位置を確認する。
【0041】
次に、作業者は、レンジフード1の取り付け位置の位置出し作業を行う。周囲の吊戸棚などの関係から、レンジフード1のフード部2の背面側下端の両端の位置が、両方の位置出し部16の角部PSUの位置となるように、第1部材10の取り付け位置を定める。第1部材10の取り付け位置を定めたら、壁面当接部13を壁面WLに押し当てて当接させ、下地材UDの位置にある第一貫通孔形成部14の少なくとも2以上の孔15に対して取付具5を打ち込み、第1部材10を壁面WLに固定する。この場合、フード当接部11は水平をなし、また、突片状の係止部19は上方を向いている。なお、第1部材10は、第2部材20より縦幅が狭く、その分第2部材20より軽量なので、容易に位置出しすることができる。
【0042】
第1部材10を壁面WLに固定した後、位置出し作業に用いた位置出し部16は不要となるので、作業者は、つまみ部18を摘まんで位置出し部16を、一点鎖線矢印のように壁面WLから引き起こすようにして持ち上げて、ミシン目17で切断し、除去する。図4Bは、位置出し部16を除去した状態を示す。
【0043】
図4Cは、壁面WLに取り付けられた第1部材10へ、第2部材20を取り付ける場合を示す。作業者は、第2部材20をやや斜めにして一点鎖線矢印のように移動させて、孔状の被係止部24をそれぞれ対応する突片状の係止部19に差し込むようにして、第1部材10と第2部材20とを結合させる。
【0044】
被係止部24を係止部19に差し込み結合したら、図4Dに示すように、第2部材20を壁面WLへ押し付けて、第二貫通孔形成部22を壁面WLに当接させる。第二貫通孔形成部22を壁面WLに当接させた後、下地材UDの位置にある第二貫通孔形成部22の少なくとも2以上の穴23に対して取付具5を打ち込み、第2部材20を壁面WLに固定する。このように、取付装置100は、第1部材10と第2部材20の2つの部材から構成されるが、係止部19と被係止部24で係止し結合されると共に、両方の部材が第一貫通孔形成部14と第二貫通孔形成部22において壁面に取付具5により少なくとも4点で取り付けられるので、一体として強固な取付装置と言える。
【0045】
取付装置100が壁面WLに取り付けられたら、図4Eに示すように、レンジフード1の被掛合部4と取付装置100の掛合部21とが掛合するように、一点鎖線矢印のようにレンジフード1を移動させて、レンジフード1を取付装置100に取り付ける。図4Fは、レンジフード1を取付装置100に取り付けた場合を示す。このとき、フード部2の背面側の端部上面は、取付装置100のフード当接部11に当接している。また、フード部2は、直接壁面WLに当接しており、レンジフード1の下方や側方から、取付装置100を視認することはできない。また、レンジフード1の送風機ボックス3は、取付装置100を介して壁面WLに取り付けられているが、使用者が最も気になるフード部2の正面側の位置はフード部2が直接壁面WLに当接していることから、余分な出っ張りは無い。
【0046】
<第一実施例の変形例>
図5図6を参照し、レンジフード1を壁面WLに取り付けるための取付装置における本変形例の第1部材10’を説明する。なお、重複記載を避けるために、上記実施例と異なる点を中心に述べる。第1部材10’に対応する第2部材は、上記実施例における第2部材20と同じであり、第1部材10’と第2部材20とで取付装置を構成する。
【0047】
第1部材10’は、レンジフード1のフード部2の背面側の端部上面に当接するフード当接部11’と、そのフード当接部11’とほぼ垂直をなして形成され、壁面WLに取り付けられた場合壁面WLに当接する壁面当接部13’と、を有する。第1部材10’は、壁面当接部13’を壁面WLに当接させて壁面WLに取り付けられるから、フード当接部11’は、壁面WLに対して垂直となるところは上記実施例と同様である。
【0048】
壁面当接部13’は、上記実施例と同様に、複数の孔15’を有する第一貫通孔形成部14’と、第一貫通孔形成部14’の長手方向の両側に位置合わせ部16’と、位置合わせ部16’と第一貫通孔形成部14’の間に位置合わせ部16’を折り曲げることで切断するためのミシン目17’とを有する。
【0049】
位置合わせ部16’は、位置合わせ部16’から壁面WLと逆方向に立ち上った、位置合わせ部16’を折り曲げるときにつまむためのつまみ部18’を、位置合わせ部16’の下端に水平方向に有することが好ましい。これによれば、作業者が位置合わせ部16’を使って、レンジフードを取り付ける際の水平の位置出し作業を容易に行うことができる。
【0050】
また、位置合わせ部16’は、ミシン目17’の切断が必要な構成の場合に、切断忘れを防ぐため、位置合わせ部16’の内側の端面に、壁面WLの反対側へ突出する立ち上がり部その他の凸部181’を伴うことが好ましい。位置合わせ部16’の内側の端面にかかる凸部181’を伴うことで、レンジフードを取り付けようとする際、凸部181’がフード部を壁面に当接する際の妨げとなるので、作業者は位置合わせ部16’の切断忘れを防ぐことができる。
【0051】
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。即ち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に関し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状等の限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0052】
1 レンジフード
2 フード部
3 送風機ボックス
4 被掛合部
5 取付具
100 取付装置
10 第1部材
11 フード当接部
12 フード当接部の下面
13 壁面当接部
14 第一貫通孔形成部
15 孔
16 位置合わせ部
17 ミシン目
18 つまみ部
181’ 凸部
19 係止部
20 第2部材
21 掛合部
22 第二貫通孔形成部
23 穴
24 被係止部
25 支持部
PS 位置合わせ部の側端部
PU 位置合わせ部の下端部
PSU 位置合わせ部の角部
PL 位置合わせ部の縦長さ
FW フードの厚さ
FL フード部の壁面に当接する面の横幅
WL 壁面
UD 下地材
L 第一貫通孔形成部の下端を水平方向に延長した線
A 位置合わせ部の上半部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5
図6
図7