特開2016-161389(P2016-161389A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2016-161389手触り感の評価方法および当該方法を実行する測定装置。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-161389(P2016-161389A)
(43)【公開日】2016年9月5日
(54)【発明の名称】手触り感の評価方法および当該方法を実行する測定装置。
(51)【国際特許分類】
   G01N 19/02 20060101AFI20160808BHJP
【FI】
   G01N19/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-40161(P2015-40161)
(22)【出願日】2015年3月2日
(71)【出願人】
【識別番号】310000244
【氏名又は名称】DICグラフィックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124970
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 通洋
(72)【発明者】
【氏名】高橋 雅人
(57)【要約】
【課題】物体表面の触感の評価方法、特に従来定量的に測定することが困難であったベルベット調やスエード調といった触感を、個人差や検査時の環境等に影響を排除し、定量的に測定するための評価方法、当該評価方法を実行する測定装置を提供する。
【解決手段】
物体表面の動摩擦係数を第1の測定速度と、第1の測定速度とは異なる第2の測定速度で測定し、測定速度を第1の測定速度から第2の測定速度に変化させたときの動摩擦係数の変化率により物体表面の触感を評価する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体表面の動摩擦係数を第1の測定速度と、前記第1の測定速度とは異なる第2の測定速度で測定し、測定速度を前記第1の測定速度から前記第2の測定速度に変化させたときの動摩擦係数の変化率により物体表面の触感を評価することを特徴とする評価方法。
【請求項2】
前記第1の測定速度と、前記第2の測定速度とは、1mm/s以上50mm/s以下であることを特徴とする、請求項1に記載の評価方法。
【請求項3】
前記第1の速度と前記第2の測定速度のうち、一方が1mm/s以上5mm/s以下であり、他方が15mm/s以上25mm/s以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の評価方法。
【請求項4】
前記第1の測定速度よりも前記第2の測定速度の方が速く、前記変化率の値が負であるとき、前記物体表面はすべすべとした触感を備えると判断することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の評価方法。
【請求項5】
前記第1の測定速度よりも前記第2の測定速度の方が速く、前記変化率の値が正であるとき、前記物体表面はしっとりとした触感を備えると判断することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の評価方法。
【請求項6】
物体表面の動摩擦係数を第1の測定速度で測定するステップと、
前記物体表面の動摩擦係数を前記第1の測定速度とは異なる第2の測定速度で測定するステップと、
測定速度を前記第1の測定速度から前記第2の測定速度に変化させたときの動摩擦係数の変化率を算出するステップとを実行することを特徴とする測定装置。
【請求項7】
算出した変化率の値から、前記物体表面の触感を判断するステップを実行することを特徴とする請求項6に記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人が感じる物体表面の手触り感、特にベルベット調やスエード調などと評される手触り感を判別する評価方法および当該方法を実行する測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物体本来の表面触感とは異なる手触りを付与する試みが多くなされている。例えば、商業印刷の分野では印刷物の表面にコーティング剤を塗布して印刷物にベルベット調やスエード調などと評される手触りを付与したり、コーティング剤を塗布した後に鏡面のステンレス板で加熱、加圧して印刷物にすべすべした手触りを付与したりすることが試みられている。プラスチック成形の分野ではシボ加工などの表面加工、刃物やレーザーを用いた切削加工、塗布加工などにより本来とは異なる手触りを付与している。皮加工分野においては薬品による加工や機械加工などによる触感の改良が行われている。このようにして付与された触感は、人による官能評価によって評価するのが主流である。
【0003】
しかしながら、人による官能評価は個人差や検査時の環境等に影響を受けるために客観性に欠ける。このような点を鑑み、人が感じる物体表面の触感を定量的に評価しようという試みがなされている。
【0004】
例えば、従来人の感覚で判断していた生地の風合いを数値化する手法としてKES(Kawabata Evaluation System)が提案されている。これは、引張特性、曲げ特性、せん断特性、圧縮特性、摩擦や凹凸などの表面特性、厚さ、重さの計測を行うことで得られる17の力学特性値を処理し、基本風合い値を算出するというものである。
【0005】
特許文献1では、生地表面の触感を評価するために大掛かりな装置を用い、5種の測定を行う必要があるKESと比較して、より簡便な手法によって物体表面の触感に対応付けられる測定結果を得る測定装置として、感圧の大きさに応じた出力信号を生成する圧電素子と、圧電素子を一定の圧力で物体表面に押し当てつつ物体表面上で相対的に移動させる移動手段とを備える測定装置が提案されている。さらに、このような測定装置によって生成された出力信号を演算して物体の表面特性を評価することを提案している。
【0006】
特許文献2では、肌に塗布する化粧品基剤のなじみの早さや物品の触感を定量的に評価するために、基台と、化粧品基剤を塗布した人工皮膚などの評価対象を保持する保持台との間に、評価対象を擦る際に生じるx方向の摩擦力とz方向の荷重を同時に検出するための、荷重により歪を生ずる第1の弾性部材と、摩擦力により歪を生ずる第2の弾性部材とを設けた触感計を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−181693号公報
【特許文献2】特開2005−127717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような試みにより、人が感じる物体表面の触感のいくつかは機械等により定量的な評価が行われるようになってきているものの、定量的な評価方法が確立されていない触感も多い。
【0009】
本発明者は、測定速度を変えて物体表面の動摩擦係数を測定したときの動摩擦係数の変化率と、物体表面の触感との間に相関が見られることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は物体表面の触感を定量的に評価する新規な評価方法および当該評価方法を実行するための測定装置を提供するためになされたものであって、特に従来定量的に測定することが困難であったベルベット調やスエード調といった触感を定量的に測定するための評価方法、測定装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(適用例1)
本適用例に係る物体表面の触感を測定する評価方法は、物体表面の動摩擦係数を第1の測定速度と、第1の測定速度とは異なる第2の測定速度で測定し、測定速度を第1の測定速度から第2の測定速度に変化させたときの動摩擦係数の変化率により物体表面の触感を評価することを特徴とする。
(適用例2)
上記適用例に係る評価方法において、第1の測定速度と、第2の測定速度とは、1mm/s以上50mm/s以下であることが好ましい。
【0011】
(適用例3)
上記適用例に係る評価方法において、第1の速度と第2の測定速度のうち、一方が1mm/s以上5mm/s以下であり、他方が15mm/s以上25mm/s以下であることが好ましい。
(適用例4)
上記適用例に係る評価方法において、第1の測定速度よりも第2の測定速度の方が速く、変化率の値が負であるとき、物体表面はすべすべとした触感を備えると判断することを特徴とする。
(適用例5)
上記適用例に係る評価方法において、第1の測定速度よりも第2の測定速度の方が速く、変化率の値が正であるとき、前記物体表面はしっとりとした触感を備えると判断することを特徴とする。
【0012】
(適用例6)
本適用例に係る測定装置は、物体表面の動摩擦係数を第1の測定速度で測定するステップと、物体表面の動摩擦係数を第1の測定速度とは異なる第2の測定速度で測定するステップと、測定速度を第1の測定速度から第2の測定速度に変化させたときの動摩擦係数の変化率を算出するステップとを実行することを特徴とする。
(適用例7)
上記適用例に係る測定装置において、算出した変化率の値から、前記物体表面の触感を判断するステップを実行することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の評価方法によれば、人による官能評価を行うことなく物体表面の触感を定量的に評価する新規な評価方法および当該評価方法を実行する測定装置を提供することができる。特にベルベット調やスエード調といった、従来定量的に評価することが難しかった、しっとりとした触感を定量的に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の評価方法に用いる測定装置の概略図である。
図2】本発明の評価方法に用いる測定装置の概略図である。
図3】本発明の評価方法に用いる測定装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<評価方法>
本発明の物体表面の触感を評価する評価方法は、物体表面の動摩擦係数を第1の測定速度と、前記第1の測定速度とは異なる第2の測定速度で測定し、測定速度を前記第1の測定速度から前記第2の測定速度に変化させたときの動摩擦係数の変化率により物体表面の触感を評価することを特徴とする。
【0016】
本発明の評価方法において、物体表面の動摩擦係数を測定する測定装置は特に限定されず従来公知のものを好適に用いることができる。一例として、図1図2図3に示すようなものが挙げられる。図1に示す測定装置100は、サンプル101を固定するためのテーブル102と、テーブル102上に固定されたサンプル101上を移動する移動重錘103と、移動重錘103を索引させるロードセル104と、移動重錘103とロードセル104とを繋ぐ索引用糸105と、を備える。サンプル101上で移動重錘103を移動させることにより、動摩擦係数を測定する。移動重錘103のサンプル101と対向する面(接触面)には、フェルトやスポンジラバー、サンプル101と同じ素材などを巻く。
【0017】
図2に示す測定装置200は、サンプル201を固定するためのテーブル202と、サンプル201上を移動する補強板203と、補強板203上に荷重を与える重錘204と、補強板203を索引させるロードセル205と、補強板203とロードセル205とを繋ぐ索引用糸206と、を備える。サンプル201上で補強板203を移動させることにより、動摩擦係数を測定する。
【0018】
図3に示す測定装置300は、サンプル301を固定するためのテーブル302と、サンプル301上に配置される重錘303と、重錘303と結合用糸を介して接続されたロードセル304と、索引用金属棒305と、引取装置306とを備える。テーブル302は、固定部302aと可動部302bとを備え、可動部302bに図示しない固定冶具でサンプル301が固定される。また、可動部302bには索引用金属棒305の一端が接続されており、引取装置306が索引用金属棒305を引くことでサンプル301(可動部302b)を移動させて動摩擦係数を測定する。
本明細書において、測定速度とは、移動重錘103や補強板203、サンプル301(可動部302b)を移動させる速度を意味する。
【0019】
また、本発明の測定対象は特に限定されない。一例として、コーティングを施した印刷物やアルミ板、表面加工を施した革製品等が挙げられる。
【0020】
本発明の評価方法では、まず第1の測定速度で測定対象の動摩擦係数を測定する。次に、第1の測定速度とは異なる第2の測定速度で測定対象の動摩擦係数を測定する。下記式(1)のようにして求めた動摩擦係数の変化率aを利用して物体表面の手触り感を評価する。
(式1)
μ1:第1の測定速度で測定した動摩擦係数
μ2:第2の測定速度で測定した動摩擦係数
【0021】
動摩擦係数変化率aは、物体表面の手触り感のうち、例えばすべすべ感や、ベルベット調やスエード調と称されるしっとりとした手触り感との間に特に相関が見られる。人がこれらの手触り感を感じる変化率aの範囲は第1の測定速度、第2の測定速度、測定時の荷重や測定面の材質等の測定条件によって異なる。よって予め本発明の測定方法による評価と従来の官能評価とを照合し、これらの手触りを感じる動摩擦係数変化率aの範囲を求めるとよい。以降は、動摩擦係数変化率aが始めに求めた範囲内かどうかを調べることで、人による官能評価を行うことなく、かつ定量的に物体表面の手触り感を評価することができる。
【0022】
測定条件によって動摩擦係数の変化率と触感との相関関係が変化することは既に述べたが、本発明者が鋭意検討したところによれば、測定速度が速くなるにつれて動摩擦係数が減少するとき(第1の測定速度よりも第2の測定速度の方が速く、変化率aの値が負となるとき)、人はその物体表面をすべすべ感があると感じる傾向にある。
測定速度が速くなるにつれて動摩擦係数が上昇するとき(第1の測定速度よりも第2の測定速度の方が速く、変化率aの値が正となるとき)、人はその物体表面をしっとりとした手触り感があると感じる傾向にある。
このように、動摩擦係数の変化率aを利用することにより、物体表面の触感を定量的に評価することができる。
【0023】
第1の測定速度、第2の測定速度は任意であるが、測定速度が1mm/s以下である場合や50mm/sを越えた場合は動摩擦係数の変化が少なかったり、安定した値とならなかったりする場合がある。従って、測定速度は1mm/s以上50mm/s以下であることが好ましく、1mm/s以上30mm/s以下であることがより好ましい。
また、第1の測定速度と第2の測定速度の差が小さすぎると動摩擦係数がどのように変化する傾向にあるのか適切に把握できない。これらを勘案して第1または第2の測定速度のいずれか一方1mm/s以上5mm/s以下であり、他方の測定速度が15mm/s以上25mm/s以下であることが好ましい。これにより動摩擦係数の変化率aをより適切に求めることができる。
【0024】
本発明の評価方法では第1、第2の測定速度とは異なる第3の測定速度で測定対象の動摩擦係数を測定し、測定速度を第1から第3に変更した際の動摩擦係数の変化率aおよび/または第2から第3に変更した際の動摩擦係数の変化率aをさらに求めることが好ましい。さらに異なる測定速度で動摩擦係数を測定し、測定速度と動摩擦係数との相関を示す回帰式を作成した上で、任意の二点間の変化率aを求めるようにしてもよい。これにより、測定速度と動摩擦係数の相関をより正確に把握することができ、物体表面の手触り感を適切に判定することができる。
【0025】
測定時の荷重は任意であるが、一例として100g以上200g以下である。荷重が100g以上であると、例えば測定対象が歪んでいる状態であってもその影響を最小限に抑えることができる。また、200g以下とすることで測定対象の変形による測定誤差を抑制することができる。
【0026】
接触面の面積は任意であるが、一例として10mm×10mm以上70mm×70mm以下である。これにより、測定結果をより人の感覚に近づけることができる。
【0027】
<測定装置>
本発明の評価方法を、測定装置に適用してもよい。すなわち本発明の測定装置は、物体表面の動摩擦係数を第1の測定速度で測定するステップと、第2の測定速度で測定するステップと、測定速度を第1の測定速度から第2の測定速度に変化させたときの動摩擦係数の変化率aを算出するステップとを実行することを特徴とする。
【0028】
あるいは、物体表面の動摩擦係数を第1の測定速度で測定するステップと、第2の測定速度で測定するステップと、を測定装置に実行させ、測定速度を第1の測定速度から第2の測定速度に変化させたときの動摩擦係数の変化率aを算出するステップを実行するプログラムを備える制御装置を、測定装置に取り付けたものであってもよい。
【0029】
測定装置としては、物体表面の動摩擦係数を測定できるものであれば特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。
第1の測定速度と第2の測定速度とは任意である。予め設定されている値で測定してもよいし、必要に応じて設定してもよい。第1、第2の測定速度、荷重、その他測定条件については上述した測定方法と同様である。
このような測定装置により、人による官能評価を行うことなく物体表面の触感を定量的に測定することができる。
【実施例】
【0030】
以下、実施例と比較例により本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0031】
1.評価用サンプル
以下のようにして評価用サンプルを作成した。
(サンプル1)
板紙(UFコート紙270g/m、王子製紙株式会社製)に、HYDLITHピーチフィール(DIC株式会社製)をバーコーター(#6)を用いて塗布し、メタルハライドランプ(120W/cm、40m/分)にて硬化させ、サンプル1とした。
(サンプル2)
PETシート(アリンダ 厚さ75μm、ダイニック社製)にHYDLITHピーチフィール(DIC株式会社製)をバーコーター#6を用いて塗布し、メタルハライドランプ(120W/cm、40m/分)にて硬化させ、サンプル2とした。
【0032】
(サンプル3)
人工皮革(コードレ レザー調人工皮革 厚さ0.8mm ダークグレー、帝人株式会社製)に、エンボス加工(表面に、1.2mm四方、深さ0.1mmの凹型四角形を、0.8mmの間隔を介して格子状に配置)を施し、サンプル3とした。
(サンプル4)
ポリスチレン(DICスチレンGH6300−2、DIC株式会社製)を、シボ加工(成形面が、直径30μmの半球形の凸型となる加工を並べて施したプレート金型を用いて射出成形)により成形し、サンプル4とした。
【0033】
(サンプル5)
アルミ板(表面処理無し、板厚0.2mm、UACJ社製)に、フィラー入り塗料をバーコーター(#12)で塗布を用いて塗布し、熱風式ガスオーブンを用いて180℃、5分間で加熱し、サンプル5とした。なお、フィラー入り塗料は、ポリエステル樹脂(数平均分子量6000〜10000の混合物)26部、アミノ樹脂(スーパーベッカミン L−701−70、DIC株式会社製)21部、溶剤(炭化水素、グリコールエーテルなどの混合物)52部に、フィラー(ウレタンビーズC−80 透明、根上工業株式会社製)5部を分散させたものを用いた。
【0034】
(サンプル6)
表面に加工を施していない板紙(UFコート紙270g/m、王子製紙株式会社製)をサンプル6とした。
(サンプル7)
表面に加工を施していない板紙(UFコート紙270g/m、王子製紙株式会社製)に、両面粘着テープ(ダイタック#8616S 厚さ60μm PET基材、DIC株式会社製)を貼り付け、剥離フィルムを剥がした後、ウレタンビーズ(C−200 透明 平均粒子径32μm、根上工業株式会社製)を均一にふりかけ、球状二次元配列法により均一に塗布した。表面状態を光学顕微鏡により確認し、サンプル7とした。
【0035】
(サンプル8)
PETシート(アリンダ 厚さ75μm、ダイニック社製)に、HYDLITH 2255R(DIC株式会社製)を、バーコーター(#6)を用いて塗布し、常温乾燥により硬化させてサンプル8とした。
(サンプル9)
人工皮革(コードレ レザー調人工皮革 厚さ0.8mm ダークグレー、帝人株式会社製)に、エンボス加工(表面に、2.2mm四方、深さ0.1mmの凹型四角形を、1.8mmの間隔を介して格子状に配置)を施し、サンプル9とした。
【0036】
(サンプル10)
ポリスチレン(DICスチレンGH6300−2、DIC株式会社製)を、シボ加工(2mm間隔で深さ1mmの溝が格子状に形成されたプレート金型を用いて射出成形)により成形し、サンプル10とした。
(サンプル11)
アルミ板(表面処理無し、板厚0.2mm、UACJ社製)に、ウレタン樹脂にフィラー(ウレタンビーズC−80 透明、根上工業株式会社製)を分散させた塗料をバーコーター(#12)を用いて塗布し、熱風式ガスオーブンを用いて180℃、5分間で加熱し、サンプル11とした。
【0037】
2.評価用サンプルの動摩擦係数の測定1
(実施例1)
作成した評価用サンプル1の動摩擦係数を、ASTMD1894−90(同一材料または他の材料の上を滑らせたときのプラスチックフィルムおよびシートの摩擦係数を測定するための試験条件)に準拠し、英弘精機株式会社製のTA.XT.Plusを用い、測定速度をさまざまに変えて測定した。接触面は63.5mm×63.5mm、加重は200g、表面は装置標準のフェルト地とした。
(実施例2〜5)
実施例1と同様にして、評価用サンプル2〜5の動摩擦係数を測定した。
【0038】
(実施例6〜11)
実施例1と同様にして、評価用サンプル6〜11の動摩擦係数を測定した。
【0039】
3.評価用サンプルの動摩擦係数の測定2
(実施例12)
測定装置の摩擦面をアルミ箔(マイホイル、厚み12ミクロン、株式会社UACJ社製)とした以外は実施例2と同様にして、サンプル2の動摩擦係数を測定した。
(実施例13)
測定装置の摩擦面をポリエチレンフィルム(サンプル包装用、厚み4ミクロン、株式会社生産日本社製)とした以外は実施例2と同様にして、サンプル2の動摩擦係数を測定した。
(実施例14)
測定装置の摩擦面をコピー用上質紙(PPC Paper High White、秤量68g/m、tanosee社製)とした以外は実施例2と同様にして、サンプル2の動摩擦係数を測定した。
【0040】
(実施例15)
測定装置の摩擦面を実施例12で用いたアルミ箔とした以外は実施例8と同様にして、サンプル8の動摩擦係数を測定した。
(実施例16)
測定装置の摩擦面を実施例13で用いたポリエチレンフィルムとした以外は実施例8と同様にして、サンプル8の動摩擦係数を測定した。
(実施例17)
測定装置の摩擦面を実施例14で用いたコピー用上質紙とした以外は実施例8と同様にして、サンプル8の動摩擦係数を測定した。
【0041】
3.人による評価用サンプルの官能評価
作成した評価用サンプルの触感を、人による官能試験によって評価した。官能試験では、10人へのアンケート調査による評価方法を用いた。被験者が評価用サンプルを直接見ることが出来ないように、手が入る穴を開けた箱に入れ、被験者が穴から手を入れた状態で、サンプルを手や指で触り、「しっとり感」「すべすべ感」をそれぞれ10人中何人が感じたかを調べた。
表1〜3に、動摩擦係数の測定結果、測定速度を2mm/sから20mm/sに変化させたときの動摩擦係数の変化率a、人による官能評価の結果を表1〜3にまとめた。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
表1〜3から明らかなように、動摩擦係数の変化率と官能試験の結果との間には相関が見られた。
【符号の説明】
【0046】
100 測定装置
101 サンプル
102 テーブル
103 移動重錘
104 ロードセル
105 索引用糸
200 測定装置
201 サンプル
202 テーブル
203 補強板
204 重錘
205 ロードセル
300 測定装置
301 サンプル
302 テーブル
302a 固定部
302b 可動部
303 重錘
304 ロードセル
305 索引用金属棒
306 引取装置
図1
図2
図3