【解決手段】車両に搭載される複数の装置を制御する前席オーディオ装置81は、音声を収音する収音部35と、収音部35によって収音した音声が装置の制御を示す場合、当該音声を発した車両の搭乗者の位置を特定し、特定した位置に応じて、装置の制御の可否を判別し、当該判別に基づき装置を制御する制御部31と、を備える。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態に係る制御システム1の構成を示す図である。
【0009】
図1に示すように、制御システム1は、車両2に搭載される前席オーディオ装置81(車載装置)と、車両2の搭乗者が所有する携帯端末4と、インターネットや電話網等を含んで構成されたネットワークNに接続された音声認識サーバ5と、を備える。
【0010】
前席オーディオ装置81は、車両2の搭乗者の指示に従って、車両2における前席(運転席、及び、助手席)に対応する領域に、CDやラジオ等の音声を出力する。前席オーディオ装置81には、携帯端末4が、ブルートゥース(Bluetooth:登録商標)等の近距離無線通信に従って接続される。携帯端末4は、ネットワークNに接続可能であり、前席オーディオ装置81は、携帯端末4を介してネットワークNにアクセスし、音声認識サーバ5と通信する。前席オーディオ装置81は、車両2における後席に対応する領域に音声を出力する後席オーディオ装置82と共に、オーディオシステム8を構成する。
【0011】
携帯端末4は、ユーザが持ち運び可能な携帯型の端末であり、例えばスマートフォンやタブレット型端末等である。
【0012】
音声認識サーバ5は、詳細は後述するが、車両2内で収音された音声の音声データに基づいて、音声を示すテキストを生成する機能を有するサーバである。
【0013】
図1に示すように、車両2には、上述したオーディオシステム8のほか、車両制御装置6と、エアコンシステム7と、シートヒータシステム9と、室内灯システム10と、サンルーフシステム11とが設けられる。
【0014】
エアコンシステム7は、後述する運転席用エアコン71と、助手席用エアコン72と、後席用エアコン73とを備える。シートヒータシステム9は、後述する運転席用シートヒータ91と、助手席用シートヒータ92と、二列目右用シートヒータ93と、二列目左用シートヒータ94と、三列目右用シートヒータ95と、三列目左用シートヒータ96とを備える。室内灯システム10は、運転席灯101と、助手席灯102と、後席灯103と、荷室灯104と、を備える。サンルーフシステム11は、前席用サンルーフ111と、後席用サンルーフ112と、を備える。車両2に設けられた各装置は、バス12を介して通信可能に接続される。
【0015】
車両制御装置6は、詳細は後述するが、前席オーディオ装置81から入力された制御データに基づいて、バス12に接続された各装置に制御信号を送信して、前席オーディオ装置81を含む各装置を制御する。
【0016】
図2は、第1実施形態における車両2に搭載される各装置を説明するための図である。
図2(A)はエアコンシステム7を説明するための図であり、
図2(B)はオーディオシステム8を説明するための図であり、
図2(C)はシートヒータシステム9を説明するための図であり、図(D)は室内灯システム10を説明するための図であり、
図2(E)はサンルーフシステム11を説明するための図である。
【0017】
図2の各図に示すように、本実施形態に係る車両2は、運転者が着座する運転席と、運転席の隣に設けられる助手席と、運手席の後方に設けられる二列目右席と、助手席の後方に設けられる二列目左席と、二列目右席の後方に設けられる三列目右席と、二列目左席の後方に設けられる三列目左席とを備える。三列目右席、及び、三列目左席の後方には、荷物を載置可能な荷物室が設けられる。以下、運転席、及び、助手席をまとめて「前席」と表現し、二列目右席、二列目左席、三列目右席、及び、三列目左席をまとめて「後席」と表現する。
【0018】
エアコンシステム7は、上述したように、運転席用エアコン71と、助手席用エアコン72と、後席用エアコン73とを備える。
図2(A)に示すように、エアコンシステム7の運転席用エアコン71は運転席に対応する領域A1を空調し、助手席用エアコン72は助手席に対応する領域A2を空調し、後席用エアコン73は後席に対応する領域A3を空調する。
【0019】
以下、運転席用エアコン71と、助手席用エアコン72と、後席用エアコン73とを区別しない場合、「エアコンAR」と表現する。
【0020】
各エアコンARは、車両2の搭乗者の指示に応じて、電源のオンオフと、設定温度の変更と、風量の変更と、風向の変更と、内外気切替と、空気清浄とを、それぞれ独立して、実行可能である。
【0021】
オーディオシステム8は、上述したように、前席オーディオ装置81と、後席オーディオ装置82とを備える。
図2(B)に示すように、前席オーディオ装置81は、車両2の搭乗者の指示に応じて、前席に対応する領域A4に、スピーカ39a(
図3)を介してCDやラジオ等の音声を出力する。また、
図2(B)に示すように、後席オーディオ装置82は、車両2の搭乗者の指示に応じて、後席に対応する領域A3に、CDやラジオ等の音声を出力する。本実施形態では、後席オーディオ装置82から出力される音声は、後席の各座席に対応して設けられたジャック等に接続されたヘッドフォンを介して出力される。また、後席オーディオ装置82は、動画、静止画、その他の画像を表示するモニターである後席モニターを有する。後席モニターは、後席に着座する搭乗者が、表示する画像を視認可能な所定の位置に設けられる。
【0022】
以下、前席オーディオ装置81と、後席オーディオ装置82とを区別しない場合、「オーディオ装置OD」と表現する。
【0023】
各オーディオ装置ODは、車両2の搭乗者の指示に応じて、音量の変更と、再生楽曲の変更と、ラジオの選局・楽曲の選曲と、音場・音質の調整と、後席モニターの開閉と、後席モニター角度の調整と、を実行可能である。後席モニターの開閉とは、後席モニターが表示する画像を視認可能な開状態と、後席モニターが表示する画像を視認できない閉状態とを切り替えることである。また、後席モニター確度の調整とは、後席モニターの筐体の角度を調整することをいう。
【0024】
図2(C)に示すように、シートヒータシステム9は、運転席のシートに対応する領域A5を温める運転席用シートヒータ91と、助手席のシートに対応する領域A6を温める助手席用シートヒータ92と、二列目右席のシートに対応する領域A7を温める二列目右用シートヒータ93と、二列目左席のシートに対応する領域A8を温める二列目左用シートヒータ94と、三列目右席のシートに対応する領域A9を温める三列目右用シートヒータ95と、3列目左席のシートに対応する領域A10を温める三列目左用シートヒータ96と、を備える。
【0025】
以下、運転席用シートヒータ91と、助手席用シートヒータ92と、二列目右用シートヒータ93と、二列目左用シートヒータ94と、三列目右用シートヒータ95と、三列目左用シートヒータ96とを区別しない場合、「シートヒータSH」と表現する。
【0026】
各シートヒータSHは、車両2の搭乗者の指示に応じて、電源のオンオフと、温度の変更とを実行する。
【0027】
図2(D)に示すように、室内灯システム10は、運転席に対応する領域A5の照明用の運転席灯101と、助手席に対応する領域A6の照明用の助手席灯102と、後席に対応する領域A3の照明用の後席灯103と、荷物室に対応する領域A11の照明用の荷室灯104とを備える。
【0028】
以下、運転席灯101と、助手席灯102と、後席灯103と、荷室灯104とを区別しない場合、「室内灯ST」と表現する。
【0029】
各室内灯STは、車両2の搭乗者の指示に応じて、電源のオンオフを実行する。
【0030】
図2(E)に示すように、サンルーフシステム11は、車両2のルーフにおいて、前席に対応する領域A4に対応する位置に設けられた前席用サンルーフ111と、後席に対応する領域A3に対応する位置に設けられた後席用サンルーフ112とを備える。前席用サンルーフ111、及び、後席用サンルーフ112は、それぞれ、車両2のルーフに設けられた開口装置である。
【0031】
以下、前席用サンルーフ111と、後席用サンルーフ112とを区別しない場合、「サンルーフSF」と表現する。
【0032】
各サンルーフSFは、車両2の搭乗者の指示に応じて、ルーフ開閉を実行する。ルーフ開閉とは、各サンルーフSFに対応して車両2のルーフに設けられた開口について、開状態と閉状態とを切り替えることをいう。
【0033】
図3は、前席オーディオ装置81の機能ブロック図である。
【0034】
図3に示すように、前席オーディオ装置81は、制御部31と、記憶部32と、タッチパネル33と、近距離無線通信部34と、収音部35と、ラジオ受信部36と、メディア装置37と、外部装置通信部38と、音声処理部39と、バストランシーバ40と、を備える。
【0035】
制御部31は、CPUや、ROM、RAM、その他の制御回路等を備え、前席オーディオ装置81の各部を制御する。
【0036】
記憶部32は、ハードディスクや、EEPROM等の不揮発性メモリーを備え、データを書き換え可能に記憶する。記憶部32は、制御プログラムのほか、後述する装置制御テーブルTを記憶する。
【0037】
タッチパネル33は、表示パネル33aと、タッチセンサ33bとを備える。表示パネル33aは、液晶ディスプレイやEL(Electro Luminescent)ディスプレイ等により構成され、制御部31の制御の下、各種情報を表示する。タッチセンサ33bは、表示パネル33aに重ねて配置され、車両2の搭乗者によるタッチ操作を検出し、タッチ操作に対応する信号を制御部31に出力する。制御部31は、タッチセンサ33bから入力された信号に基づいて、タッチ操作に対応する処理を実行する。
【0038】
近距離無線通信部34は、制御部31の制御の下、ブルートゥース等の近距離無線通信に係る通信規格に従って、携帯端末4と通信リンクを確立し、携帯端末4と通信する。
【0039】
収音部35は、マイクに接続され、車両2の搭乗者が発話した音声をマイクによって収音し、収音した音声に基づいて音声データを生成し、生成した音声データを制御部31に出力する。本実施形態では、全方位から音声の入力が可能なマイクである全方位マイクが車両2内の天井中央に設けられる。当該全方位マイクは、収音した音声に基づく音声データを生成して制御部31に出力する際に、当該音声が入力された方向を示す音声入力方向情報も併せて出力する。
【0040】
ラジオ受信部36は、受信アンテナ36aを介してAMラジオ、FMラジオ、ハイウェイラジオ、又は、衛星ラジオの放送波を受信する。ラジオ受信部36は、受信した放送波を音声データに変換して、制御部31に出力する。制御部31は、音声データに基づく音声信号を、後述する音声処理部39に出力する。
【0041】
メディア装置37は、CDやMD、DVD等のメディアを再生する装置であり、制御部31の制御に従って、メディアに記録された音声データの読出しを行い、制御部31に出力する。制御部31は、音声データに基づく音声信号を、後述する音声処理部39に出力する。
【0042】
外部装置通信部38は、制御部31の制御に従って、例えばジャックを介して接続された外部装置と通信する。外部装置通信部38は、例えば、外部装置から音声データを受信し、制御部31に出力する。制御部31は、音声データに基づく音声信号を、後述する音声処理部39に出力する。
【0043】
音声処理部39は、D/Aコンバータや、ボリューム、アンプ等を備え、制御部31から入力された音声信号をデジタル/アナログ変換した後、増幅し、所定の音量でスピーカ39aから出力する。
【0044】
バストランシーバ40は、バス12に接続している。バストランシーバ40は、バス12間のインターフェイス用IC(Integrated Circuit)である。バストランシーバ40は、制御部31が生成した制御データを、バス12を介して車両制御装置6に送信する。
【0045】
以上の構成の下、前席オーディオ装置81は、車両2の搭乗者の発話による指示によって、車両2に設けられた各装置を制御する。以下、前席オーディオ装置81の処理について詳述する。
【0046】
図4は、前席オーディオ装置81の基本的な動作の説明に利用する図である。まず、
図4を用いて、前席オーディオ装置81の基本的な動作について説明する。
【0047】
図4に示すように、車両2の搭乗者は、車両2に設けられた装置の何れかに、所定の処理を実行させることを望む場合、対応する音声を発話する。
【0048】
車両2に設けられた装置が実行する所定の処理とは、各装置について上記で説明した各処理であり、例えば、装置がオーディオ装置ODの場合、音量の変更と、再生楽曲の変更と、ラジオの選局・楽曲の選曲と、音場・音質の調整と、後席モニターの開閉と、後席モニター角度の調整とが、処理に相当する。
【0049】
また、対応する音声とは、所定の処理を行わせようとしている装置を表す文言、及び、当該装置に行わせようとしている所定の処理を表す文言を含む音声である。搭乗者は、車両2に設けられた各装置を表す文言や、指示に応じて各装置が実行可能な処理を表す文言を、所定の方法で取得可能である。
【0050】
以下、装置に所定の処理を実行させるために搭乗者が発話する音声を、「制御用音声」という。
【0051】
搭乗者が、制御用音声を発話した場合、収音部35は、発話に基づく音声を収音し、制御用音声に対応する音声データを制御部31に出力する。その際、収音部35は、音声が入力された方向を示す音声入力方向情報も併せて制御部31に出力する。制御部31は、入力された音声データに基づいて、後述する方法により、音声データが示す音声が制御用音声であるか否かを判別すると共に、制御用音声である場合は、装置と、所定の処理とを特定する。さらに、制御部31は、入力された音声入力方向情報に基づいて、後述する方法により、発話した搭乗者が着座する座席(発話者の車内における位置)を判別する(ステップSA2)。
【0052】
発話した搭乗者が着座する座席が運転席と特定した場合(ステップSA21)、制御部31は、以下の処理を実行する。すなわち、制御部31は、制御用音声に対応する指示を運転者が行ってよいか否かを判別する(ステップSA31)。運転者が行ってよい場合、制御用音声に対応する指示が、運転者が行ってよい操作範囲に収まっているか否かを判別する(ステップSA41)。操作範囲とは、後に詳述するが、所定の処理を行わせる対象となる装置の位置の範囲を示す。操作範囲に収まっている場合、制御部31は、制御用音声に対応する指示に基づいて、対応する装置に動作要求を行って(ステップSA51)、所定の処理を実行させる。対応する装置は、動作要求に応じて、指示に対応する処理を実行する(ステップSA61)
【0053】
また、発話した搭乗者が着座する座席が助手席と特定した場合(ステップSA22)、制御部31は、以下の処理を実行する。すなわち、制御部31は、制御用音声に対応する指示を助手席に着座する人が行ってよいか否かを判別する(ステップSA32)。助手席に着座する人が行ってよい場合、制御用音声に対応する指示が、助手席に着座する人が行ってよい操作範囲(後述)に収まっているか否かを判別する(ステップSA42)。操作範囲に収まっている場合、制御部31は、制御用音声に対応する指示に基づいて、対応する装置に動作要求を行って(ステップSA52)、所定の処理を実行させる。対応する装置は、動作要求に応じて、指示に対応する処理を実行する(ステップSA62)。
【0054】
また、発話した搭乗者が着座する座席が後席と特定した場合(ステップSA23)、制御部31は、以下の処理を実行する。すなわち、制御部31は、制御用音声に対応する指示を後席に着座する人が行ってよいか否かを判別する(ステップSA33)。後席に着座する人が行ってよい場合、制御用音声に対応する指示が、後席に着座する人が行ってよい操作範囲(後述)に収まっているか否かを判別する(ステップSA43)。操作範囲に収まっている場合、制御部31は、制御用音声に対応する指示に基づいて、対応する装置に動作要求を行って(ステップSA53)、所定の処理を実行させる。対応する装置は、動作要求に応じて、指示に対応する処理を実行する(ステップSA63)。
【0055】
このように、前席オーディオ装置81の制御部31は、車両2の搭乗者が、制御用音声を発話した場合、発話した搭乗者の座席の位置を特定し、発話した搭乗者が対応する指示を行ってよいか否か、及び、対応する指示が、搭乗者が行ってよい操作範囲に収まっているか否かを判別した上で、対応する装置に対応する処理を実行させる。
【0056】
次に、前席オーディオ装置81の処理、及び、付随して行われる音声認識サーバ5の処理について詳述する。
【0057】
図5は、制御システム1の動作を示すフローチャートである。
図5(A)は前席オーディオ装置81の動作を示し、
図5(B)は音声認識サーバ5の動作を示す。
【0058】
図5(A)に示すように、前席オーディオ装置81の制御部31は、収音部35が収音した装置の制御を示す音声を音声データとして取得する(ステップSB1)。上述したように、収音部35は、搭乗者が発話した場合、発話した音声を収音し、音声に基づく音声データを生成して、制御部31に出力する。これと併せて、収音部35は、音声入力方向情報を制御部31に出力する。
【0059】
次いで、制御部31は、音声データに係る音声をテキスト化することを要求するテキスト化要求データを生成し、生成したテキスト化要求データを、音声認識サーバ5に送信する(ステップSB2)。なお、本実施形態では、前席オーディオ装置81と、音声認識サーバ5との間でのデータの送受信は、これら装置間で所定フォーマットのデータが携帯端末4を介して送受信されることにより行われる。携帯端末4には、前席オーディオ装置81から受信したデータを音声認識サーバ5に転送し、また、音声認識サーバ5から受信したデータを携帯端末4に転送する機能を有するアプリケーションが事前にインストールされており、携帯端末4は、当該アプリケーションの機能により、これら装置間でのデータの送受信を仲介する。
【0060】
図5(B)に示すように、音声認識サーバ5は、テキスト化要求データを受信する(ステップSC1)。次いで、音声認識サーバ5は、テキスト化要求データに含まれる音声データに基づいて、音声データに係る音声をテキスト化し、音声を示すテキスト(以下、「音声テキスト」と表現する。)が記述されたテキストデータ(以下、「音声テキストデータ」と表現する。)を生成する(ステップSB2)。次いで、音声認識サーバ5は、音声テキストデータを、前席オーディオ装置81に送信する(ステップSB3)。なお、音声データに係る音声のテキスト化は、既存の全ての技術を利用可能であり、どのような方法で行われてもよい。
【0061】
図5(A)に示すように、制御部31は、音声テキストデータを受信する(ステップSB3)。
【0062】
次いで、制御部31は、音声テキストデータに記述された音声を示すテキストを分析し、搭乗者が発話した音声が、制御用音声であるか否かを判別する(ステップSB4)。ステップSB4において、制御部31は、例えば、以下の方法で、搭乗者が発話した音声が制御用音声か否かの判別を行う。すなわち、制御部31は、音声を示すテキストに、装置を表すテキスト、及び、装置が実行可能な処理を表すテキストの組み合わせが含まれているか否かを判別する。制御部31は、当該組み合わせが含まれている場合、搭乗者が発話した音声が制御用音声であると判別し、含まれていない場合、搭乗者が発話した音声が制御用音声でないと判別する。
【0063】
搭乗者が発話した音声が制御用音声でない場合(ステップSB4:NO)、制御部31は、処理を終了する。
【0064】
搭乗者が発話した音声が制御用音声の場合(ステップSB4:YES)、制御部31は、音声データと共に取得した音声入力方向情報に基づいて、制御用音声を発話した搭乗者が着座する座席(以下、「発話者位置」という。)を特定する(ステップSB5)。ステップSB5において、制御部31は、例えば、以下の方法で、音声入力方向情報に基づいて、発話者位置を特定する。なお、収音部35のマイクに対して音声が入力された方向が特定されれば、マイクが設けられた位置との関係で、音声を発話した搭乗者に係る発話者位置を特定可能である。例えば、音声入力方向情報が示す方向と、方向に対応する発話者位置との対応関係を示すテーブルが事前に記憶され、ステップSB5で、制御部31は、当該テーブルに基づいて、発話者位置を特定する。
【0065】
次いで、制御部31は、特定した発話者位置と、記憶部32が記憶する装置制御テーブルTに基づき、制御データ生成処理を実行する(ステップSB6)。制御データ生成処理とは、音声テキストデータに記述された音声テキストと、発話者位置情報と、装置制御テーブルTとに基づいて、制御用音声に対応する装置に、制御用音声に対応する処理を実行させる制御データを生成する処理である。以下、制御データ生成処理について詳述する。
【0066】
図6は、装置制御テーブルTの一例を示す図である。
【0067】
図6に示すように、装置制御テーブルTの1件のレコードは、装置を示す情報が格納される装置フィールドF1と、処理を示す情報が格納される処理フィールドF2と、運転席に着座する搭乗者(運転者)に対応する制御情報(後述)が格納される運転席フィールドF3と、助手席に着座する搭乗者(以下、「助手席者」という。)に対応する制御情報(後述)が格納される助手席フィールドF4と、後席に着座する搭乗者(以下、「後席者」という。)に対応する制御情報(後述)が格納される後席フィールドF5とを有する。
【0068】
装置制御テーブルTは、装置と、装置が実行可能な処理との組み合わせごとにレコードを有し、各レコードにおいて、装置及び処理の組み合わせと、運転者に対応する制御情報、助手席者に対応する制御情報、及び、後席者に対応する制御情報とを対応付けて記憶する。
【0069】
制御情報は、指示可否情報と、操作範囲情報とを有する。以下、指示可否情報と、操作範囲情報とについて詳述する。
【0070】
<指示可否情報>
指示可否情報は、指示可能情報(
図6で「〇」と表現)と、範囲内指示可能情報(
図6で「▽」と表現)と、許可時指示可能情報(
図6で「△」と表現)と、条件付指示可能情報(
図6で「□」と表現)と、のいずれかの情報である。
【0071】
指示可能情報(
図6で「〇」と表現)は、対応する搭乗者が対応する装置に対応する処理を実行させる指示を行えることを示す情報である。
【0072】
例えば、
図6のレコードR1において、運転席フィールドF3には、指示可能情報が格納される。これは、運転者が、後述する操作範囲に属するエアコンAR(装置)に、電源のオンオフ(処理)を実行させる指示を行えることを意味する。
【0073】
範囲内指示可能情報(
図6で「▽」と表現)は、対応する搭乗者が対応する装置に対応する処理を実行させる指示を、所定の範囲内で、行えることを示す情報であり、当該所定の範囲を示す情報を含んでいる。
図6では、範囲内指示可能情報を「▽」で表すと共に、「▽」と対応づけて範囲を示す情報を明示している。
【0074】
例えば、
図6のレコードR2において、助手席フィールドF4には、範囲内指示可能情報が格納される。また、範囲は「±5℃」である。これは、助手席者が、後述する操作範囲に属するエアコンAR(装置)に、現在設定されている設定温度から、±5℃の範囲内で、設定温度の変更(処理)を実行させる指示を行えることを意味する。
【0075】
また例えば、
図6のレコードR7において、後席フィールドF5には、範囲内指示可能情報が格納される。また、範囲は「±2レベル」である。これは、後席者が、後述する操作範囲に属するオーディオ装置OD(装置)に、現在の音量のレベルから、±2レベルの範囲内で、音量の変更(処理)を実行させる指示を行えることを意味する。
【0076】
許可時指示可能情報(
図6で「△」と表現)は、対応する搭乗者が対応する装置に対応する処理を実行させる指示を、運転者の許可を得た場合に、行えることを示す情報である。
【0077】
例えば、
図6のレコードR5において、助手席フィールドF4には、許可時指示可能情報が格納される。これは、助手席者が、後述する操作範囲に属するエアコンAR(装置)に、運転者の許可を得た場合に、内外気切替(処理)を実行させる指示を行えることを意味する。
【0078】
条件付指示可能情報(
図6で「□」と表現)は、対応する搭乗者が対応する装置に対応する処理を実行させる指示を、所定の条件を満たす場合に、行えることを示す情報であり、当該所定の条件を示す情報を含んでいる。
図6では、条件付指示可能情報を「□」で表すと共に、「□」と対応付けて条件を示す情報を明示している。
【0079】
例えば、
図6のレコードR4において、助手席フィールドF4には、条件付指示可能情報が格納される。また、条件は、「デフロスタが稼働していないこと」である。これは、助手席者が、後述する操作範囲に属するエアコンAR(装置)に、デフロスタが稼働していないという条件を満たす場合に、風向の変更(処理)を実行させる指示を行えることを意味する。
【0080】
<操作範囲情報>
次に、制御情報が有する操作範囲情報について説明する。
操作範囲情報とは、対応する搭乗者が、対応する同一種類の装置のうち、対応する処理の実行の指示を可能な装置を示す情報である。「対応する同一種類の装置のうち、対応する処理の実行の指示を可能な装置」の概念が「操作範囲」に相当する。
【0081】
図6では、各レコードにおいて、運転席フィールドF3、助手席フィールドF4、及び、後席フィールドF5に、操作範囲情報を明示している。
【0082】
例えば、
図6のレコードR1において、運転席フィールドF3に格納される操作範囲情報は「全装置」である。これは、運転者が、エアコンARのそれぞれに対して、電源のオンオフ(処理)を実行させる指示を行えることを意味する。
【0083】
また例えば、
図6のレコードR1において、助手席フィールドF4に格納される操作範囲情報は、「助手席用エアコン、後席用エアコン」である。これは、助手席者が、助手席用エアコン72、及び、後席用エアコン73に対してのみ、電源のオンオフ(処理)を実行させる指示を行えることを意味する。
【0084】
また例えば、
図6のレコードR1において、後席フィールドF5に格納される操作範囲情報は、「後席用エアコン」である。これは、後席者が、後席用エアコン73に対してのみ、電源のオンオフ(処理)を実行させる指示を行えることを意味する。
【0085】
また例えば、
図6のレコードR13において、後席フィールドF5に格納される操作範囲情報は、「座席に対応する装置」である。これは、後席者が、自身が着座する座席に対応するシートヒータSHに対してのみ、温度の変更(処理)を実行させる指示を行えることを意味する。例えば、二列目右席に着座する後席者は、二列目右用シートヒータ93に対してのみ、温度の変更を実行させる指示を行うことができる。
【0086】
図6に示す装置制御テーブルTのレコードR1は、エアコンARの電源のオンオフに係るレコードである。レコードR1について、運転席フィールドF3、助手席フィールドF4、及び、後席フィールドF5に格納された制御情報が、
図6に示す情報である理由は以下である。
【0087】
すなわち、エアコンARの電源のオンオフについて、運転者が、各エアコンARの電源のオンオフを指示できる状態とすることが望ましい。運転者は運転を行うため、運転者が車両2のエアコンARの状態を統括的に管理できるようにして運転を快適に行えるようにするためである。一方、助手席者が、助手席用エアコン72、及び、後席用エアコン73のみの電源のオンオフを指示できる状態とすることが望ましい。助手席者が、運転席用エアコン71の電源のオンオフを指示できることとすると、運転者が望まない態様で運転席用エアコン71の電源のオンオフが行われる可能性があると共に、助手席者が、運転者の要望に応じて、又は、車両2内の温度の状況を考慮して、後席用エアコン73の電源のオンオフを制御できるようにしたいとするニーズがあるからである。また、後席者が、後席用エアコン73のみの電源のオンオフを指示できる状態とすることが望まし。運転者が望まない態様で、前席に対応する領域A1の空調に影響を与える運転席用エアコン71、及び、助手席用エアコン72の電源のオンオフが制御されるのを防止し、また、後席者は、自身の位置に対応する領域の空調に影響を与える後席用エアコン73の電源のオンオフを制御できれば十分だからである。
【0088】
レコードR2は、エアコンARの設定温度の変更に係るレコードである。レコードR2について、運転席フィールドF3、助手席フィールドF4、及び、後席フィールドF5に格納された制御情報が、
図6に示す情報である理由は以下である。
【0089】
すなわち、エアコンARの設定温度の変更について、エアコンARの電源のオンオフと同様の理由により、運転者が各エアコンARの設定温度の変更を指示できることが望まれ、助手席に着座する搭乗者が助手席用エアコン72及び後席用エアコン73の設定温度の変更を指示できることが望まれ、後席に着座する搭乗者が後席用エアコン73の設定温度の変更を指示できることが望まれるからである。そして、助手席者、及び、後席者が、対応するエアコンARの設定温度を変更する場合、対応するエアコンARの設定温度の変更に影響を受けて、車両2内の温度が急激に変化し、運転者による運転に影響を与えることを防止するためである。
【0090】
レコードR3は、エアコンARの風量の変更に係るレコードである。レコードR3について、運転席フィールドF3、助手席フィールドF4、及び、後席フィールドF5に格納された制御情報が、
図6に示す情報である理由は以下である。すなわち、エアコンARについて、風量の変更は、座席にかかわらず、任意の搭乗者の指示に応じて行われてよいからである。
【0091】
レコードR4は、エアコンARの風向の変更に係るレコードである。レコードR4について、運転席フィールドF3、助手席フィールドF4、及び、後席フィールドF5に格納された制御情報が、
図6に示す情報である理由は以下である。
【0092】
すなわち、各エアコンARについて、風向の変更は、座席にかかわらず、任意の搭乗者の指示に応じて行われてよい。例えば、後席者の指示に応じて、運転席用エアコン71の風向の変更が行われてもよい。しかしながら、車両2のフロントガラスの曇りを除去するためのデフロスタが稼働している場合、風向の変更は、デフロスタによる曇りの除去に影響を与え運転に影響を与えるおそれがある。このため、デフロスタの稼働中は、運転者以外の搭乗者の指示に応じてエアコンARの風向の変更が行われることは望ましくないからである。
【0093】
レコードR5は、エアコンARの内外気切替に係るレコードである。レコードR5について、運転席フィールドF3、助手席フィールドF4、及び、後席フィールドF5に格納された制御情報が、
図6に示す情報である理由は以下である。
【0094】
すなわち、各エアコンARについて、内外気切替は、フロントガラスの曇り除去のために行われる場合がある。この場合、エアコンARによる内外気切替は、運転に影響を与えるおそれがあるため、運転者以外の搭乗者による指示があった場合、運転者の許可があった場合に限り、指示に応じて行われることが望まれるからである。
【0095】
レコードR6は、エアコンARの空気清浄に係るレコードである。レコードR6について、運転席フィールドF3、助手席フィールドF4、及び、後席フィールドF5に格納された制御情報が、
図6に示す情報である理由は以下である。すなわち、エアコンARについて、空気清浄は、座席にかかわらず、任意の搭乗者の指示に応じて行われてよいからである。
【0096】
レコードR7は、オーディオ装置ODの音量の変更に係るレコードである。レコードR7について、運転席フィールドF3、助手席フィールドF4、及び、後席フィールドF5に格納された制御情報が、
図6に示す情報である理由は以下である。
【0097】
すなわち、オーディオ装置ODの音量の変更について、運転者が、各オーディオ装置ODの音量の変更を指示できることが望まれる。一方、極端な音量変化による運転に対する影響を抑制するため、助手席者、及び、後席者については、予め定められた範囲で音量の変更を指示できるようにすることが望ましいからである。
【0098】
レコードR8〜レコードR12は、それぞれ、オーディオ装置ODについて、再生楽曲の変更、ラジオの選局・楽曲の選曲、音場・音質の調整、後席モニターの開閉、及び、後席モニター角度の調整に係るレコードである。レコードR8〜レコードR12について、運転席フィールドF3、助手席フィールドF4、及び、後席フィールドF5に格納された制御情報が、
図6に示す情報である理由は以下である。すなわち、オーディオ装置ODについて、これら処理は、座席にかかわらず、任意の搭乗者の指示に応じて行われてよいからである。
【0099】
レコードR13、レコードR14は、それぞれ、シートヒータSHについて、電源のオンオフ、及び、温度の変更に係るレコードである。レコードR13、レコードR14について、運転席フィールドF3、助手席フィールドF4、及び、後席フィールドF5に格納された制御情報が、
図6に示す情報である理由は以下である。すなわち、シートヒータSHについて、これら処理は、車両2の各搭乗者によって、各搭乗者が着座する座席に対応するシートヒータSHに対する指示に応じて行われることが望まれるからである。
【0100】
レコードR15は、室内灯STの電源のオンオフに係るレコードである。レコードR15について、運転席フィールドF3、助手席フィールドF4、及び、後席フィールドF5に格納された制御情報が、
図6に示す情報である理由は以下である。
【0101】
すなわち、各室内灯STについて、電源のオンオフは、座席にかかわらず、任意の搭乗者の指示に応じて行われてよい。しかしながら、例えば、車両2が夜間走行中の場合、運転席に対応する運転席灯101が点灯すると運転に影響を与えるため、運転席灯101の電源のオンオフは、運転者以外の搭乗者の指示に応じて行えないようにすることが望まれるからである。
【0102】
レコードR16は、サンルーフSFのルーフ開閉に係るレコードである。レコードR16について、運転席フィールドF3、助手席フィールドF4、及び、後席フィールドF5に格納された制御情報が、
図6に示す情報である理由は以下である。
【0103】
すなわち、各サンルーフSFについて、ルーフ開閉は、座席にかかわらず、任意の搭乗者の指示に応じて行われてよい。しかしながら、例えば、車両2が昼間走行中の場合、前席用サンルーフ111の開口に伴う眩しさによって運転に影響があるおそれがあるため、前席用サンルーフ111のルーフ開閉は、後席の搭乗者の指示に応じて行われないようにすることが望まれるからである。
【0104】
さて、
図5のステップSB6の制御データ生成処理において、制御部31は、以下の処理を実行する。
【0105】
図7は、制御データ生成処理の実行時における制御部31の動作を示すフローチャートである。
図7に示すように、制御部31は、装置制御テーブルTを参照し、音声テキストデータに基づいて、当該テーブルのレコードのうち、処理対象とすべきレコードを特定する(ステップSD1)。詳述すると、ステップSD1において、制御部31は、音声テキストに含まれるテキストが表す装置を示す情報が装置フィールドF1に格納され、かつ、音声テキストに含まれるテキストが表す処理を示す情報が処理フィールドF2に格納されたレコードを特定する。
【0106】
次いで、制御部31は、運転席フィールドF3、助手席フィールドF4、及び、後席フィールドF5のうち、ステップSB5で特定した発話者位置に対応するフィールドから、制御情報を取得する(ステップSD2)。具体的には、制御部31は、発話者位置が運転席を示す場合、運転席フィールドF3から制御情報を取得し、発話者位置が助手席を示す場合、助手席フィールドF4から制御情報を取得し、発話者位置が後席を示す場合、後席フィールドF5から制御情報を取得する。ステップSD2で制御部31が取得した制御情報は、制御用音声を発話した搭乗者に対応する制御情報である。
【0107】
次いで、制御部31は、制御情報に含まれる指示可否情報を取得する(ステップSD3)。
【0108】
次いで、制御部31は、ステップSD3で取得した指示可否情報に基づいて、制御用音声を発話した搭乗者が、制御用音声に対応する指示を行えるか否かを判別する(ステップSD4)。以下、ステップSD4の処理について詳述する。
【0109】
制御部31は、取得した指示可否情報が指示可能情報である場合、制御用音声を発話した搭乗者が、制御用音声に対応する指示を行えると判別する。
【0110】
また、制御部31は、取得した指示可否情報が範囲内指示可能情報である場合、制御用音声に対応する指示が、所定の範囲内である場合、制御用音声を発話した搭乗者が、制御用音声に対応する指示を行えると判別する。一方、所定の範囲内ではない場合、制御用音声を発話した搭乗者が、制御用音声に対応する指示を行えないと判別する。
【0111】
また、制御部31は、取得した指示可否情報が許可時指示可能情報である場合、所定の手段により、運転者に、指示に対応する装置による対応する処理の実行の可否を問い合わせる。例えば、制御部31は、音声処理部39を制御して、対応する装置により対応する処理を実行してもよいか否かを問い合わせる音声を、スピーカ39aから出力する。併せて、制御部31は、表示パネル33aに、指示に対応する装置による対応する処理の実行の可否を入力するためのユーザーインターフェースを表示する。制御部31は、表示したユーザーインターフェースに対する入力に基づいて、運転者が、指示に対応する装置による対応する処理の実行を許可したか否かを判別する。そして、制御部31は、運転者が許可した場合、制御用音声を発話した搭乗者が、制御用音声に対応する指示を行えると判別する。一方、運転者が許可していない場合、制御用音声を発話した搭乗者が、制御用音声に対応する指示を行えないと判別する。
【0112】
ステップSD4において制御用音声を発話した搭乗者が、制御用音声に対応する指示を行えないと判別した場合(ステップSD4:NO)、制御部31は、制御データを生成することなく(ステップSD5)、処理を終了する。
【0113】
制御用音声を発話した搭乗者が、制御用音声に対応する指示を行えると判別した場合(ステップSD4:YES)、制御部31は、操作範囲情報を取得する(ステップSD5)。
【0114】
次いで、制御部31は、ステップSD5で取得した操作範囲情報に基づいて、制御用音声に係る指示に対応する装置が、同一種類の装置のうち、制御用音声を発話した搭乗者が対応する処理の実行の指示を可能な装置であるか否か(操作範囲に収まるか否か)を判別する(ステップSD7)。
【0115】
制御用音声を発話した搭乗者が対応する処理の実行の指示を可能な装置ではない場合(ステップSD7:NO)、制御部31は、制御データを生成することなく(ステップSD5)、処理を終了する。
【0116】
制御用音声を発話した搭乗者が対応する処理の実行の指示を可能な装置である場合(ステップSD7:YES)、制御部31は、音声テキストデータに基づいて、制御データを生成する(ステップSD8)。制御データは、車両制御装置6に対して、制御用音声に係る指示に対応する装置に対応する処理を実行させることを指示する制御用のデータであり、車両制御装置6が処理可能な制御コマンドを含んで構成される。制御データの生成により、
図5のステップSB6の制御データ生成処理が完了する。
【0117】
さて、
図5(A)に示すように、ステップSB6で制御データを生成した後、制御部31は、生成した制御データを、車両制御装置6に出力する(ステップSB7)。
【0118】
車両制御装置6は、入力された制御データに基づいて、バス12を介して、対応する装置に対応する処理を実行させる制御コマンドを出力し、当該対応する装置に当該対応する処理を実行させる。当該処理が行われることにより、搭乗者の制御用音声の発話に基づいて、対応する装置により対応する処理が行われる。
【0119】
以上、説明したように、本実施形態に係る前席オーディオ装置81(車載装置)は、車両2に搭載される複数の装置を制御する車載装置であって、音声を収音する収音部35と、収音部35によって収音した音声が装置の制御を示す場合、当該音声を発した車両2の搭乗者の位置を特定し、特定した位置に応じて、装置の制御の可否を判別し、当該判別に基づき前記装置を制御する制御部31と、を備える。
【0120】
これにより、装置の制御を示す音声を発話した車両2の搭乗者の位置に応じて、装置を制御できる。
【0121】
また、本実施形態に係る前席オーディオ装置81の制御部31は、特定した位置が、運転者以外の搭乗者の位置である場合、音声が示す装置の制御によって運転者に影響が有るか否かを判別し、当該判別に基づき装置を制御する。
【0122】
これにより、運転者に影響があるか否かを判別し、装置を制御するため、装置の制御に起因する運転者への影響を抑制できる。
【0123】
また、本実施形態における前席オーディオ装置81の制御部31は、音声が示す装置の制御が運転者に影響があると判別した場合、装置の許可を運転者に問い合わせ、運転者が装置の制御を許可する場合に、装置を制御する。
【0124】
これにより、搭乗者の指示に基づいて装置が処理を実行した場合に、運転者による運転に影響がある場合に、運転者が許可した場合にのみ、処理が実行されるようにすることができる。
【0125】
また、本実施形態では、制御部31は、車両2の状態を反映して、制御用音声が示す装置の制御が、運転者による運転に影響があるか否かを判別する。本例では、制御部31は、エアコンARの風向の変更について、デフロスタが稼働しているか否かという車両2の状態を反映して、運転者による運転に影響があるか否かを判別する。
この構成によれば、車両2の状態を踏まえて、装置が実行する処理が運転に影響を与えるか否かを的確に判別した上で、装置に処理を実行させるか否かを決定できる。
【0126】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。
図8は、本実施形態に係る制御システム1aを示す図である。以下の説明において、第1実施形態で説明した構成要素と、同一の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0127】
図8に示すように、制御システム1aは、オーディオ装置8aと、エアコン7aと、車両制御装置6とを備え、これら各装置がバス12を介して通信可能に接続される。
【0128】
オーディオ装置8aは、第1実施形態に係る前席オーディオ装置81に対応する装置であり、前席オーディオ装置81と同様の構成、同様の機能を有する。ただし、オーディオ装置8aは、後席モニターを有していない。
【0129】
エアコン7aは、第1実施形態に係るエアコンARに対応する装置であり、エアコンARと同様の機能を有する。
【0130】
図9(A)は、エアコン7aを説明するための図であり、
図9(B)はオーディオ装置8aを説明するための図である。
【0131】
エアコン7aは、
図9(A)に示すように、前席、後席に対応する領域A12を空調する。エアコン7aは、車両2の搭乗者の指示に従って、電源のオンオフと、設定温度の変更と、風量の変更と、風向の変更と、内外気切替と、空気清浄とを実行する。
【0132】
オーディオ装置8aは、
図9(B)に示すように、スピーカを介して領域A12に音声を出力する。オーディオ装置8aは、車両2の搭乗者の指示に従って、音量の変更と、再生楽曲の変更と、ラジオの選局・楽曲の選曲と、音場・音質の調整と、を実行する。
【0133】
上記構成において、本実施形態に係るオーディオ装置8aは、以下に示す装置制御テーブルTaを記憶し、装置制御テーブルTaに基づいて、
図5、
図7のフローチャートを用いて説明した処理を実行する。
【0134】
図10は、本実施形態に係る装置制御テーブルTaを示す図である。
【0135】
装置制御テーブルTaにおいて、レコードRa1は、エアコン7aの電源のオンオフに係るレコードである。レコードRa1について、運転席フィールドF3、助手席フィールドF4、及び、後席フィールドF5に格納された制御情報が、
図10に示す情報である理由は以下である。
【0136】
すなわち、エアコン7aの電源のオンオフについて、運転者が、エアコン7aの電源のオンオフを指示できる状態とすることが望ましい。運転者は運転を行うため、運転者が車両2のエアコンARの状態を統括的に管理できるようにして運転を快適に行えるようにするためである。一方、助手席者、及び、後席者については、運転者の許可を得た場合にのみエアコン7aの電源のオンオフの指示を行えることとすることが望ましい。なぜなら、エアコン7aは、前席、及び、後席に対応する領域A12を空調するため、助手席者、又は、後席者が運転者の許可を得ることなく、エアコン7aの電源のオンオフを指示した場合、運転者が望まない態様でエアコン7aが稼働し、運転者による運転に影響を与える可能性があるからである。
【0137】
レコードRa2は、エアコン7aの設定温度の変更に係るレコードである。レコードRa2について、運転席フィールドF3、助手席フィールドF4、及び、後席フィールドF5に格納された制御情報が、
図10に示す情報である理由は以下である。
【0138】
すなわち、エアコン7aの設定温度の変更について、エアコン7aの電源のオンオフと同様の理由により、運転者がエアコン7aの設定温度の変更を指示できることが望まれる。一方、助手席者、及び、後席者が、エアコン7aの設定温度を変更する場合、設定温度の変更に起因して車両2内の温度が急激に変化し、運転者による運転に影響を与えることを防止するためである。
【0139】
レコードRa3は、エアコン7aの風量の変更に係るレコードである。レコードRa3について、運転席フィールドF3、助手席フィールドF4、及び、後席フィールドF5に格納された制御情報が、
図10に示す情報である理由は以下である。すなわち、エアコン7aについて、風量の変更は、座席にかかわらず、任意の搭乗者の指示に応じて行われてよいからである。
【0140】
レコードRa4は、エアコン7aの風向の変更に係るレコードである。レコードR4について、運転席フィールドF3、助手席フィールドF4、及び、後席フィールドF5に格納された制御情報が、
図10に示す情報である理由は以下である。
【0141】
すなわち、エアコン7aについて、風向の変更は、座席にかかわらず、任意の搭乗者の指示に応じて行われてよい。しかしながら、車両2のフロントガラスの曇りを除去するためのデフロスタが稼働している場合、風向の変更は、デフロスタによる曇りの除去に影響を与え運転に影響を与えるおそれがある。このため、デフロスタの稼働中は、運転者以外の搭乗者の指示に応じてエアコン7aの風向の変更が行われることは望ましくないからである。
【0142】
レコードRa5は、エアコン7aの内外気切替に係るレコードである。レコードRa5について、運転席フィールドF3、助手席フィールドF4、及び、後席フィールドF5に格納された制御情報が、
図10に示す情報である理由は以下である。
【0143】
すなわち、エアコン7aについて、内外気切替は、フロントガラスの曇り除去のために行われる場合がある。この場合、エアコン7aによる内外気切替は、運転に影響を与えるおそれがあるため、運転者以外の搭乗者による指示があった場合、運転者の許可があった場合に限り、指示に応じて行われることが望まれるからである。
【0144】
レコードRa6は、エアコン7aの空気清浄に係るレコードである。レコードRa6について、運転席フィールドF3、助手席フィールドF4、及び、後席フィールドF5に格納された制御情報が、
図6に示す情報である理由は以下である。すなわち、エアコン7aについて、空気清浄は、座席にかかわらず、任意の搭乗者の指示に応じて行われてよいからである。
【0145】
レコードRa7は、オーディオ装置8aの音量の変更に係るレコードである。レコードRa7について、運転席フィールドF3、助手席フィールドF4、及び、後席フィールドF5に格納された制御情報が、
図10に示す情報である理由は以下である。
【0146】
すなわち、オーディオ装置8aの音量の変更について、運転者が、オーディオ装置8aの音量の変更を指示できることが望まれる。一方、極端な音量変化による運転に対する影響を抑制するため、助手席者、及び、後席者については、予め定められた範囲で音量の変更を指示できるようにすることが望ましいからである。
【0147】
レコードRa8〜レコードRa12は、それぞれ、オーディオ装置8aについて、再生楽曲の変更、ラジオの選局・楽曲の選曲、音場・音質の調整に係るレコードである。レコードRa8〜レコードRa12について、運転席フィールドF3、助手席フィールドF4、及び、後席フィールドF5に格納された制御情報が、
図6に示す情報である理由は以下である。すなわち、オーディオ装置8aについて、これら処理は、座席にかかわらず、任意の搭乗者の指示に応じて行われてよいからである。
【0148】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示するものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び、応用が可能である。
【0149】
例えば、上述した実施形態では、収音部35によって収音した音声データをテキストに変換する処理を音声認識サーバ5が行う構成を例示したが、前席オーディオ装置81(オーディオ装置8a)が音声認識を行っても良い。
【0150】
また、例えば、上記では、前席オーディオ装置81(オーディオ装置8a)が、制御用音声に基づく音声テキストデータを分析することにより、搭乗者が発話した音声が、特定の装置に特定の処理を実行させることを指示する者であるか否かを判別していた。しかしながら、例えば、所定のボタンを各座席に設け、装置の制御を示す音声を発話する際に操作するボタンが各座席に設けられており、当該ボタンの操作されている間に、発話された音声を、分析の対象とする構成であってもよい。
【0151】
また、例えば、
図4、
図5、及び、
図7の処理単位は、制御部31の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものであり、処理単位の分割の仕方や名称によって、本発明が限定されることはない。制御部31の処理は、処理内容に応じて、されに多くの処理単位に分割してもよい。また、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割してもよい。
【0152】
また、例えば、上述した実施形態において、車載装置を前席オーディオ装置81と例示したが、車載装置は、例示したものに限定されない。例えば、ナビゲーション機能を有するナビゲーション装置においても本発明を適応できる。